説明

共心光学系

【目的】 FNo.3〜1.5、画角60゜以上までフラットで殆ど収差の発生がなく、鮮明な画像の撮影、観察ができる、撮像光学系、接眼光学系何れにも使用できる共心光学系。
【構成】 瞳1近傍に曲率中心を配置し、瞳側に凹面を向けた少なくとも2つの半透過反射面2、3を持ち、これらの半透過反射面の各々は、少なくとも1回の光線の透過と少なくとも1回の光線の反射をするように配置されたフラットな像面4を与える共心光学系。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、接眼光学系又は結像光学系に関し、特に、画角が広くかつ解像力の良い共心光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、天体望遠鏡用の対物鏡として有名なシュミット鏡は、図23に断面を示すように、凹面鏡MCの球面中心に、平行平面板に近い非球面レンズLAをおいて球面収差を補正し、絞りDを球面中心においてコマ収差、非点収差を補正している。
【0003】このようなシュミット鏡に代表される共心光学系は、凹面鏡の曲率中心に配置される絞りのために、コマ収差と非点収差が発生しない。しかし、像面湾曲の発生は補正できないために、大きな像面湾曲が発生してしまう。また、像位置が凹面鏡MCの前側に位置するために、像面上にフィルムF又はCCD等を配置すると、入射光束のケラレが発生してしまう。
【0004】なお、米国再発行特許第27356号は、図24に示すように、半透過凹面鏡6と半透過平面鏡16により、物体面62を遠方に投影する接眼光学系であるが、半透過凹面鏡6により発生する像面湾曲を物体面62を湾曲させて補正する構成をとっている。なお、図2424中、66は射出瞳を示す。
【0005】このような問題点を解決するために、図25R>5(a)、(b)に断面を示すように、凸面鏡MVを配置する構成のものがある。この凸面鏡MVを配置する構成のものは、凸面鏡MVによって像面を凹面鏡MCの後に持ってくることができる。
【0006】何れの場合も、望遠鏡又はカメラ用反射望遠レンズの光学系であり、焦点距離が長く、画角の狭いものが殆どであり、従来、広画角でFナンバーが小さい光学系はなかった。
【0007】また、通常の屈折レンズで構成さる広画角のレンズ系は、構成枚数が多くなり、構造が複雑になってしまう欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、Fナンバー3〜1.5で、画角60゜以上までフラットで殆ど収差の発生がなく、鮮明な画像の撮影、観察ができる、撮像光学系、接眼光学系何れにも使用できる共心光学系を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明の共心光学系は、瞳近傍に曲率中心を配置し、瞳側に凹面を向けた少なくとも2つの半透過反射面を持ち、これらの半透過反射面の各々は、少なくとも1回の光線の透過と少なくとも1回の光線の反射をするように配置されたことを特徴とするものである。
【0010】この場合、前記の少なくとも2つの半透過反射面で1回も反射しないで透過する光線を遮断するために偏光光学素子で構成された遮断手段を配置することが望ましい。
【0011】また、このような共心光学系を接眼光学系内に設けるため、少なくとも2つの半透過反射面の曲率中心をアイポイント近傍に設けると共に、少なくとも2つの半透過反射面を観察者側に凹面を向けて配置することが望ましい。
【0012】また、このような共心光学系を結像光学系内に設けるため、少なくとも2つの半透過反射面の曲率中心を明るさ絞り近傍に設けると共に、少なくとも2つの半透過反射面を物体側に凹面を向けて配置することが望ましい。
【0013】また、瞳により近い半透過反射面の曲率半径をR1 、もう一方の半透過反射面の曲率半径をR2 とする時、 0.5<|R1 /R2 |<1.8 ・・・(2)
なる条件を満足することが望ましい。
【0014】又は、瞳からより遠い半透過反射面の曲率半径をR2 、瞳から瞳により近い半透過反射面までの間隔をD1 、瞳により近い半透過反射面からもう一方の半透過反射面までの面間隔をD2 とする時、 0.4<|(D1 +D2 )/R2 |<1.7 ・・・(3)
なる条件を満足にすることが望ましい。
【0015】あるいは、瞳により近い半透過反射面の曲率半径をR1 、もう一方の半透過反射面の曲率半径をR2 、瞳により近い半透過反射面からもう一方の半透過反射面までの面間隔をD2 とする時、 1<|(|R1 |+D2 )/R2 |<1.8 ・・・(4)
なる条件を満足することが望ましい。
【0016】又は、瞳により近い半透過反射面の曲率半径をR1 、瞳から瞳により近い半透過反射面までの間隔をD1 とする時、 |D1 /R1 |<1.5 ・・・(5)
なる条件を満足することが望ましい。
【0017】また、本発明の別の共心光学系は、ほぼ光軸上に曲率中心を有し、前記曲率中心の方向に凹面を向けた第1の半透過反射面と、前記第1の半透過反射面の曲率中心とほぼ同位置に曲率中心を設けた第2の半透過反射面とを有することを特徴とするものである。
【0018】さらに、本発明のもう1つの共心光学系は、それぞれの曲率中心をほぼ同位置に有する第1及び第2の半透過反射面を有し、前記第1の半透過反射面を透過した光束が、前記第2の半透過反射面によって反射されると共に、前記第2の半透過反射面によって反射された反射光束が、前記第1の半透過反射面によって反射された後に、前記第2の半透過反射面を透過するように前記第1及び前記第2の半透過反射面が構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
【作用】以下、本発明においてこのような構成をとる理由と作用について説明する。
【0020】本発明は前記のような問題点を解決するためになされたものであり、瞳近傍に曲率中心を配置し、瞳側に凹面を向けた少なくとも2つの半透過反射面を持ち、これらの半透過反射面の各々は、少なくとも1回の光線の透過と少なくとも1回の光線の反射をするように配置されたことを特徴とする共心光学系である。
【0021】以下、説明の都合上、結像光学系として本発明の共心光学系を説明するが、本発明の光学系の像面を物点とした接眼光学系として利用することは容易であり、本発明は、その構成を逆にして接眼光学系としての要件を備えていることは明白である。
【0022】図1は本発明による共心光学系の基本的構成と収差発生が少ない理由を説明するための図であり、図1において、瞳位置を1、第1面の半透過反射面を2、第2面の半透過反射面を3、像面を4とする。この図1は、第1面2の曲率中心と第2面3の曲率中心とが瞳位置1に完全に一致している場合の光路図である。この光路図から分かることは、瞳面1と第1面2の曲率中心と第2面3の曲率中心が一致しているために、軸上光線も軸外光線も瞳位置1を中心に回転対称となっていることである。このことは、軸外収差である非点収差とコマ収差の発生がないことを意味している。また、屈折力を持っている面は全て反射面であるので、色収差の発生も原理的にない。また、Fナンバーが2以下の場合には、球面収差の発生もほぼ無視してよい。
【0023】ただし、第2面3による像面は瞳位置1を中心とする球面となり、像面湾曲が発生し得る。本発明は、上で説明したように収差発生が非常に少ない共心光学系の像面湾曲を良好に補正することに成功したものである。以下、本発明による像面湾曲の補正手段について発明する。
【0024】図24で示した米国再発行特許第27356号のものは、接眼光学系として使用しているが、以下の本発明の説明の都合上、符号66を瞳面、62を像面とし、結合光学系として説明する。図24では凹面鏡6で発生する像面湾曲を補正するために、像面62を湾曲させてその像面湾曲の補正を行っている。しかし、一般には、湾曲を持った像面は、フィルムやCCDと言った撮像素子を配置するには適さない。そこで、本発明では、前述の図1に示すように、凹面鏡3によって発生する像面湾曲の収差を凸面鏡2によって補正するように構成した。
【0025】すなわち、像面湾曲の発生量として一般によく注目されるペッツバール和PSは、以下の式で表される。
PS=Σ(1/n・f) ・・・(1)
ここで、nは屈折率、fは面の焦点距離である。米国再発行特許第27356号の場合は、本発明の凸面鏡2を平面鏡16で置き換えたものに相当するので、凹面鏡6で光線が反射する時に発生するペッツバール和は、平面鏡16の焦点距離が∞なので、全く補正されない。そこで、本発明では、この平面鏡16を凸面鏡2として、凹面鏡3で発生するペッツバール和をこの凸面鏡2で補正できるように構成している。
【0026】また、図25に示すカメラ用反射望遠鏡に代表される光学系では、光束の取り出し口として凹面鏡MCの中心に開口を設ける必要がある。この開口で起きる周辺画角の光線のケラレを少なくするために、凹面鏡MCの開口周辺に瞳面を配置する必要がある。しかし、このような配置をとっても、画角は凹面鏡MCの開口と凸面鏡MVの口径で制限され、数度しかとることができなかった。
【0027】この問題点を解決するためにも、瞳面1は凹面鏡3又は凸面鏡2の周辺や、凹面鏡3より像側にあってはならないのである。つまり、凹面鏡3の曲率中心のある方向に瞳面1を配置することが重要な手段となる。
【0028】さらに、良好な収差補正を実施するために、以下に示す各条件式を満足することが好ましい。以下の条件式はそれぞれ各収差に対応しており、画角やFナンバー等実際の使用によって各々の条件式は独立であり、相関関係はない。また、全ての条件式を満足することも、使用条件によっては必要となる。
【0029】先ず、第1面2と第2面3の関係について説明する。良好な収差補正を実現するためには、ペッツバール和の補正が特に重要であることは上記の説明で述べた通りであり、本発明ではこのペッツバール和の補正のために、以下の条件を満足することが重要である。
0.5<|R1 /R2 |<1.8 ・・・(2)
ただし、R1 は第1面2の曲率半径、R2 は第2面3の曲率半径である。
【0030】この条件式(2)は、正の第2面3と負の第1面2のパワー配置を規定するものであり、下限の0.5を越えると、第1面2と第2面3で補正し合っている主にペッツバール和の補正バランスが崩れ、負のペッツバール和が大きく発生してしまう。また、上限の1.8を越えると、ペッツバール和が正に大きく発生してしまい、他の面で補正することが不可能となってしまう。
【0031】さらに、近年、ハイビジョンTV等に代表される高品位な映像に対応する必要がある場合には、より良好なペッツバール和の補正が必要であり、以下の条件を満足することがより重要である。
0.7<|R1 /R2 |<1.7 ・・・(6)
次に、第2面3の半透過反射面について説明する。瞳面1から第1面2までの間隔をD1 、第1面2と第2面3の面間隔をD2 とすると、好ましくは、 0.4<|(D1 +D2 )/R2 |<1.7 ・・・(3)
なる条件を満足にすることが望ましい。
【0032】上記条件式(3)の下限の0.4を越えると、第2面3を透過する射出主光線傾角が大きくなり、非点収差とコマ収差が負に大きく発生する。また、上限の1.7を越えると、非点収差、コマ収差共に負の発生量がへる。これは、第1面2を透過する時に発生する正の非点収差とコマ収差を打ち消しているので、レンズ系全体として正の非点収差とコマ収差の発生が大きくなってしまう。
【0033】また、好ましくは、第2面3が本発明では共心であることが重要である。第1面2の曲率半径をR1 、第2面3の曲率半径をR2 、第1面2と第2面3の面間隔をD2 とすると、 1<|(|R1 |+D2 )/R2 |<1.8 ・・・(4)
なる条件を満足することが重要である。
【0034】上記条件(4)は第2面3で発生するコマ収差と非点収差の発生を全系で補正できるようにする条件であり、下限の1を越えると、完全な共心光学系に近くなり、ペッツバール和の補正が不可能となり、大きな像面湾曲が発生する。また、上限の1.8を越えると、第2面3に入射する主光線の入射角度が大きくなり、正のコマ収差が大きくなってしまう。どちらの場合も、周辺まで鮮明な像を形成することが不可能となってしまう。
【0035】また、好ましくは、絞り面1から第1面2までの距離をD1 、第1面2の曲率半径をR1 とする時、 |D1 /R1 |<1.5 ・・・(5)
なる条件を満足することが望ましい。
【0036】上記条件式(5)の上限の1.5を越えると、第1面2に入射する主光線の入射高が大きくなり、正のコマ収差と非点収差の発生が大きくなってしまい、周辺まで鮮明な像を形成することが不可能となってしまう。
【0037】次に、面間隔について説明する。絞り面1と第1面2の面間隔をD1 とし、全系の焦点距離をFとする時、 D1 /F<1.6 ・・・(7)
なる条件を満足することが重要である。
【0038】上記条件式(7)は、第1面2で発生するコマ収差を小さくするための条件である。上限の1.6を越えると、第1面2で発生するコマ収差の発生が大きくなり、他の面で補正することが不可能となる。また、本発明の光学系を接眼光学系として使用する場合には、 0.5<D1 /F ・・・(8)
なる条件を満足することが重要となる。
【0039】上記条件式(8)は、接眼光学系の場合には、接眼レンズのアイポイントとなり、下限の0.5を越えると、観察者の瞳位置と接眼光学系の射出瞳位置1がズレてしまい、視野全域を観察することが不可能となる。
【0040】第1面2と第2面3の面間隔をD2 とする時、 0.2<D2 /F<0.7 ・・・(9)
なる条件を満足することが重要となる。本条件は、第1面2でのペッツバール和発生と第2面3でのペッツバール和発生のバランスをとるために必要となる。上限の0.7を越えても下限の0.2を越えても、第1面2と第2面3で発生する上記収差のバランスが崩れ、ほぼ修正し合っているペッツバール和収差が大きく発生してしまう。
【0041】また、第1面2でも第2面3でも1回も反射しないで透過して像面4に達してしまうフレアー光をカットするためには、米国再発行特許第27356号に示されているような偏光を利用した偏光光学素子を配置とすることが重要となる。例えば、第1面2の瞳1側に第1偏光板と4分の1波長板を配置して入射光を円偏光とし、第1面2と第2面3の半透過反射面の間に別の4分の1波長板を配置し、第2面3の半透過反射面の後に第1偏光板とパラニコルの偏光面を配置した第2偏光板を配置する。このような偏光光学素子を配置すると、第1面2と第2面3でそれぞれ1回反射した正規の光線は、第1面2と第2面3の間の4分の1波長板を3回通過することになり、正規の光線はトータル4回、4分の1波長板を通過することになる。したがって、第1偏光板を通過した光の偏光面は回転せずに、パラニコルに配置された第2偏光板を通過する。しかし、第1面2の半透過反射面を反射しないで通過した光線はトータル2回の4分の1波長板通過しかしないで、偏光面は90゜回転して、第2偏光板でカットされる。
【0042】この様に、偏光光学素子を使うことによって、フレアー光をカットすることが可能となる。また、上に説明した以外の偏光光学素子の配置も可能であり、ここではほんの一例を示しただけである。
【0043】
【実施例】以下、図面を参照にして本発明の共心光学系の第1実施例〜第9実施例について説明する。
第1実施例図2を参照にして第1実施例を説明する。図中、1は絞り位置、2は第1の半透過反射面、3は第2の半透過反射面、4は像面である。この実施例は、2個のメニスカスレンズL1、L2を用い、メニスカスレンズL1の凸面を第1の半透過反射面2とし、メニスカスレンズL2の凸面を第2の半透過反射面3としている。数値実施例は以下に示す通りである。ただし、ndはレンズの屈折率、νdはアッベ数である(以下、同様)。本実施例の画角は45°で、焦点距離はF=10mm、Fナンバーは3.5である。
【0044】
面番号 曲率半径 面間隔 nd νd 1 瞳位置1 9.158 2 -5.5382 1.624 1.5163 64.1 3 -7.7395 0.071 4 -7.8437 2.777 1.5163 64.1 5 -9.1995 (反射面3) -2.777 1.5163 64.1 6 -7.8437 -0.071 7 -7.7395 (反射面2) 0.071 8 -7.8437 2.777 1.5163 64.1 9 -9.1995 5.141 10 像面4図11(a)に本実施例の球面収差、非点収差、歪曲収差を表す縦収差図を、図11(b)に横収差図を示す。
【0045】第2実施例図3を参照にして第2実施例を説明する。図中、1は絞り位置、2は第1の半透過反射面、3は第2の半透過反射面、4は像面である。この実施例は、1個のメニスカスレンズLを用い、その凹面を第1の半透過反射面2とし、その凸面を第2の半透過反射面3としている。数値実施例は以下に示す通りである。本実施例の画角は60°で、焦点距離はF=10mm、Fナンバーは1.5である。
【0046】
面番号 曲率半径 面間隔 nd νd 1 瞳位置1 10.130 2 -13.6165 5.239 1.5163 64.1 3 -14.6357 (反射面3) -5.239 1.5163 64.1 4 -13.6165 (反射面2) 5.239 1.5163 64.1 5 -14.6357 1.216 6 像面4図12に本実施例の図11と同様な収差図を示す。
【0047】第3実施例図4を参照にして第3実施例を説明する。図中、1は絞り位置、2は第1の半透過反射面、3は第2の半透過反射面、4は像面である。この実施例は、1個のメニスカスレンズLを用い、その凹面を第1の半透過反射面2とし、その凸面を第2の半透過反射面3としており、さらに、像歪み補正用の非球面レンズLAをその像面4側に配置している。数値実施例は以下に示す通りである。本実施例の画角は60°で、焦点距離はF=10mm、Fナンバーは2.0である。
【0048】
面番号 曲率半径 面間隔 nd νd 1 瞳位置1 11.423 2 -14.4225 4.817 1.5163 64.1 3 -14.9832 (反射面3) -4.817 1.5163 64.1 4 -14.4225 (反射面2) 4.817 1.5163 64.1 5 -14.9832 0.046 6 12.5539 (非球面) 0.914 1.5163 64.1 K= 0 A=-0.352385×10-3 B=-0.213608×10-5 C= 0 7 110.7802 1.857 8 像面4上記において、非球面は、円錐定数をK、非球面係数をA、B、Cとした時に、下記の式によって表される回転対称面のことである。ただし、下記の式において、Rは近軸曲率半径であり、光軸上の光の進行方向にZ軸、光軸と直交する方向にY軸をとっている。
Z=(Y2/R)/[1+{1−(1+K)(Y/R)2 1/2 ]+AY4 +BY6 +CY8図13に本実施例の図11と同様な収差図を示す。
【0049】第4実施例図5を参照にして第4実施例を説明する。本実施例は第2実施例と同様である。数値実施例は以下に示す通りである。本実施例の画角は45°で、焦点距離はF=10mm、Fナンバーは3.0である。
【0050】
面番号 曲率半径 面間隔 nd νd 1 瞳位置1 13.127 2 -11.2445 5.633 1.5163 64.1 3 -14.0354 (反射面3) -5.633 1.5163 64.1 4 -11.2445 (反射面2) 5.633 1.5163 64.1 5 -14.0354 0.348 6 像面4図14に本実施例の図11と同様な収差図を示す。
【0051】第5実施例図6を参照にして第5実施例を説明する。本実施例も第2実施例と同様である。数値実施例は以下に示す通りである。本実施例の画角は45°で、焦点距離はF=10mm、Fナンバーは3.0である。
【0052】
面番号 曲率半径 面間隔 nd νd 1 瞳位置1 5.805 2 -24.3790 (反射面3) 4.437 1.5163 64.1 3 -17.4632 (反射面2) -4.437 1.5163 64.1 4 -24.3790 4.437 1.5163 64.1 5 -17.4632 3.193 6 像面4図15に本実施例の図11と同様な収差図を示す。
【0053】第6実施例図7を参照にして第6実施例を説明する。本実施例も第2実施例と同様である。数値実施例は以下に示す通りである。本実施例の画角は45°で、焦点距離はF=10mm、Fナンバーは3.0である。
【0054】
面番号 曲率半径 面間隔 nd νd 1 瞳位置1 7.259 2 -27.0911 4.287 1.5163 64.1 3 -18.0607 (反射面3) -4.287 1.5163 64.1 4 -27.0911 (反射面2) 4.287 1.5163 64.1 5 -18.0607 3.534 6 像面4図16に本実施例の図11と同様な収差図を示す。
【0055】第7実施例図8を参照にして第7実施例を説明する。本実施例も第2実施例と同様である。数値実施例は以下に示す通りである。本実施例の画角は45°で、焦点距離はF=10mm、Fナンバーは3.0である。
【0056】
面番号 曲率半径 面間隔 nd νd 1 瞳位置1 9.152 2 -10.2521 5.711 1.5163 64.1 3 -13.6695 (反射面3) -5.711 1.5163 64.1 4 -10.2521 (反射面2) 5.711 1.5163 64.1 5 -13.6695 0.100 6 像面4図17に本実施例の図11と同様な収差図を示す。
【0057】第8実施例図9を参照にして第8実施例を説明する。本実施例は第1実施例とほぼ同様である。数値実施例は以下に示す通りである。本実施例の画角は70°で、焦点距離はF=10mm、Fナンバーは2.5である。
【0058】
面番号 曲率半径 面間隔 nd νd 1 瞳位置1 8.255 2 ∞ 2.813 1.5163 64.1 3 -22.1680 0.355 4 -19.6995 5.058 1.5163 64.1 5 -18.7996 (反射面3) -5.058 1.5163 64.1 6 -19.6995 -0.355 7 -22.1680 (反射面2) 0.355 8 -19.6995 5.058 1.5163 64.1 9 -18.7996 0.520 10 像面4図18に本実施例の図11と同様な収差図を示す。
【0059】第9実施例図10を参照にして第9実施例を説明する。図中、1は絞り位置、2は第1の半透過反射面、3は第2の半透過反射面、4は像面である。この実施例は、単一屈折率の平行平面板PP中に第1の半透過反射面2と第2の半透過反射面3を設けたものである。数値実施例は以下に示す通りである。本実施例の画角は70°で、焦点距離はF=10mm、Fナンバーは2.5である。
【0060】
面番号 曲率半径 面間隔 nd νd 1 瞳位置1 8.255 2 ∞ 5.426 1.5163 64.1 3 -12.7792 2.822 1.5163 64.1 4 -12.9610 (反射面3) -2.822 1.5163 64.1 5 -12.7792 (反射面2) 3.322 1.5163 64.1 6 ∞ 3.455 7 像面4図19に本実施例の図11と同様な収差図を示す。
【0061】以上の各実施例の上記条件式(2)(=(6))、(3)、(4)、(5)、(7)(=(8))、(9)の値を次の表に示す。


【0062】なお、本発明の共心光学系は、接眼光学系や結像光学系の1つのレンズとして設けてもよいし、この共心光学系単独で接眼光学系や結像光学系を構成してもよい。その一例を以下に示す。結像光学系としては、例えば、図20に斜視図を示すように、撮影用光学系Obとファインダー光学系Fiとが別体にほぼ並設されたコンパクトカメラCaのファインダー光学系Fiに用いることができる。また、図21に断面を示す如く、前側レンズ群GFと明るさ絞りDの後方に、第1半透過反射面2及び第2半透過反射面3とからなる本発明の共心光学系MLを、曲率中心を共に上記絞りDの面と光軸の交点にほぼ一致させて配置して対物レンズ系L0 を構成することができる。この対物レンズ系L0 によって形成された像は、上記対物レンズ系L0 の観察者側に設けられた4回反射のポロプリズムPによって正立され、接眼レンズOcによって観察可能となっている。
【0063】さらに、結像光学系として使用するに際しては、フロント絞り光学系として構成することも可能である。次に、接眼光学系としては、例えば図22(a)に斜視図を示すように、虚像を観察者Mの眼球内に拡大投影して仮想の空中拡大像を観察するようにした頭部装着型ディスプレイシステムHMDに用いることができる。この場合、図22(b)の断面図に示すように、映像を表示するための液晶表示素子LCDと、このLCDに表示された映像を観察者眼球内に拡大投影するために、第1半透過反射面2と第2半透過反射面3からなる本発明の共心光学系MLを、曲率中心を共に観察者側のアイポイント(瞳位置)EP近傍に位置させて配置し、接眼光学系を構成している。
【0064】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の共心光学系によると、Fナンバー3〜1.5で、画角60゜以上までフラットで殆ど収差の発生がなく、鮮明な画像の撮影、観察ができる、撮像光学系、接眼光学系何れにも使用できる共心光学系が得られる。このような共心光学系を用いて、広い提示画角で、周辺の画角まで鮮明に観察できる頭部装着型表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による共心光学系の基本的構成と収差発生が少ない理由を説明するための図である。
【図2】本発明の第1実施例の共心光学系の断面図である。
【図3】第2実施例の断面図である。
【図4】第3実施例の断面図である。
【図5】第4実施例の断面図である。
【図6】第5実施例の断面図である。
【図7】第6実施例の断面図である。
【図8】第7実施例の断面図である。
【図9】第8実施例の断面図である。
【図10】第9実施例の断面図である。
【図11】第1実施例の球面収差、非点収差、歪曲収差を表す縦収差図(a)と横収差図(b)である。
【図12】第2実施例の図11と同様な収差図である。
【図13】第3実施例の図11と同様な収差図である。
【図14】第4実施例の図11と同様な収差図である。
【図15】第5実施例の図11と同様な収差図である。
【図16】第6実施例の図11と同様な収差図である。
【図17】第7実施例の図11と同様な収差図である。
【図18】第8実施例の図11と同様な収差図である。
【図19】第9実施例の図11と同様な収差図である。
【図20】本発明の共心光学系をコンパクトカメラのファインダー光学系の結像光学系に用いる例を説明するための斜視図である。
【図21】本発明の共心光学系を対物レンズの一部に用いる例を説明するための断面図である。
【図22】本発明の共心光学系を頭部装着型ディスプレイシステムの接眼光学系として用いる例を説明するための図である。
【図23】従来技術のシュミット鏡の断面図である。
【図24】従来技術の半透過凹面鏡と半透過平面鏡を用いた接眼光学系の断面図である。
【図25】従来技術の反射望遠レンズの断面図である。
【符号の説明】
1…絞り位置
2…第1の半透過反射面
3…第2の半透過反射面
4…像面
L、L1、L2…メニスカスレンズ
LA…非球面レンズ
PP…平行平面板
Ob…撮影用光学系
Fi…ファインダー光学系
Ca…コンパクトカメラ
GF…前側レンズ群
D…明るさ絞り
ML…共心光学系
0 …対物レンズ系
P…ポロプリズム
Oc…接眼レンズ
M…観察者
HMD…頭部装着型ディスプレイシステム
LCD…液晶表示素子
EP…アイポイント(瞳位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 瞳近傍に曲率中心を配置し、瞳側に凹面を向けた少なくとも2つの半透過反射面を持ち、これらの半透過反射面の各々は、少なくとも1回の光線の透過と少なくとも1回の光線の反射をするように配置されたことを特徴とする共心光学系。
【請求項2】 前記の少なくとも2つの半透過反射面で1回も反射しないで透過する光線を遮断するために偏光光学素子で構成された遮断手段が配置されていることを特徴とする請求項1記載の共心光学系。
【請求項3】前記共心光学系を接眼光学系内に設けるため、前記少なくとも2つの半透過反射面の曲率中心をアイポイント近傍に設けると共に、前記少なくとも2つの半透過反射面を観察者側に凹面を向けて配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の共心光学系。
【請求項4】前記共心光学系を結像光学系内に設けるため、前記少なくとも2つの半透過反射面の曲率中心を明るさ絞り近傍に設けると共に、前記少なくとも2つの半透過反射面を物体側に凹面を向けて配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の共心光学系。
【請求項5】 前記瞳により近い半透過反射面の曲率半径をR1 、もう一方の半透過反射面の曲率半径をR2 とする時、 0.5<|R1 /R2 |<1.8 ・・・(2)
なる条件を満足することを特徴とする請求項1又は2記載の共心光学系。
【請求項6】 前記瞳からより遠い半透過反射面の曲率半径をR2 、前記瞳から前記瞳により近い半透過反射面までの間隔をD1 、前記瞳により近い半透過反射面からもう一方の半透過反射面までの面間隔をD2 とする時、 0.4<|(D1 +D2 )/R2 |<1.7 ・・・(3)
なる条件を満足にすることを特徴とする請求項1又は2記載の共心光学系。
【請求項7】 前記瞳により近い半透過反射面の曲率半径をR1 、もう一方の半透過反射面の曲率半径をR2 、前記瞳により近い半透過反射面からもう一方の半透過反射面までの面間隔をD2 とする時、 1<|(|R1 |+D2 )/R2 |<1.8 ・・・(4)
なる条件を満足することを特徴とする請求項1又は2記載の共心光学系。
【請求項8】 前記瞳により近い半透過反射面の曲率半径をR1 、前記瞳から前記瞳により近い半透過反射面までの間隔をD1 とする時、 |D1 /R1 |<1.5 ・・・(5)
なる条件を満足することを特徴とする請求項1又は2記載の共心光学系。
【請求項9】ほぼ光軸上に曲率中心を有し、前記曲率中心の方向に凹面を向けた第1の半透過反射面と、前記第1の半透過反射面の曲率中心とほぼ同位置に曲率中心を設けた第2の半透過反射面とを有することを特徴とする共心光学系。
【請求項10】それぞれの曲率中心をほぼ同位置に有する第1及び第2の半透過反射面を有し、前記第1の半透過反射面を透過した光束が、前記第2の半透過反射面によって反射されると共に、前記第2の半透過反射面によって反射された反射光束が、前記第1の半透過反射面によって反射された後に、前記第2の半透過反射面を透過するように前記第1及び前記第2の半透過反射面が構成されていることを特徴とする共心光学系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図25】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図22】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図24】
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【公開番号】特開平7−120679
【公開日】平成7年(1995)5月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−264828
【出願日】平成5年(1993)10月22日
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)