説明

共用車両管理装置及び共用車両管理システム

【課題】共用車両の効率的な運用を可能とする共用車両管理装置および共用車両管理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】共用車両管理装置は、複数の利用者で共用する共用車両の外側に向けて設けられ、当該共有車両の予約情報に基づいて、所定時間内に空車状態になるかどうかを含む当該共有車両の利用状況を表示する表示手段と、前記共用車両の利用者を識別する識別情報および指示情報を入力する入力手段と、前記複数の利用者の識別情報および当該共用車両の予約情報を取得する取得手段と、前記取得手段の取得結果を記憶する記憶手段と、前記入力手段で入力された識別情報から前記記憶手段の記憶内容を参照して利用者を認証する認証手段と、前記認証手段の認証結果および前記指示情報に基づいて、前記利用状況の詳細情報の前記表示手段への表示および当該共用車両を利用可能に制御する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の利用者で自動車などの車両を共同利用するカーシェアリングにおいて使用される共用車両管理装置および共用車両管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーシェアリングのためのシステムにおいて使用される共用車両としては、環境に比較的やさしいハイブリッド自動車や電気自動車などが使用され、一般的には、レンタカーなどより比較的狭い地域で利用される。従来、この種の技術として、例えば、特許文献1に開示されたシステムでは、予めPCなどで共用車両の予約を行っておき、予約した共用車両が停車する車庫に出向き、車庫備え付のユーザ認証端末で、IDカード等のユーザ認証操作を行うことにより、キーボックスからキーを取出して共用車両の利用を可能とする。このシステムでは、現在、共用車両を利用するユーザの便宜のために、車載器の表示部に予約状況をグラフ化して表示する。この際、利用ユーザの予約時間帯の後に、空き時間帯があれば、渋滞などで遅れそうな場合に予約延長が可能になっている。
【0003】
特許文献2には、センタ装置が、携帯電話機から受信した予約情報が含む会員位置情報に基づいて、会員位置情報が示す位置の近傍又は最も近い場所に位置する空車状態の共用車両(シェアカー)を検索して携帯電話機に送信し、その表示部に表示させることにより、表示された車位置情報に従って、会員が共用車両の駐車場所まで移動するシステムが記載されている。このシステムでは、ICカードによるユーザ認証をする代わりに、携帯電話機により本人認証情報を近距離無線通信で車載器に送り、本人認証の結果、共用車両の予約を行った会員であると判断した場合に、共用車両のドアロックを解除する。
【0004】
特許文献3には、管理サーバに接続されるインターネット網に接続され、共用車両の車載器と狭域通信を行うステーション装置を含むシステムが記載されている。このシステムでは、予めPCでインターネット網を介して管理サーバに利用予約を行っておき、会員証としての非接触型ICカードをステーション装置にかざし、利用予約時などに通知されたパスワードを入力したことにより、利用者の認証を行い、利用者認証の完了後、狭域通信などにより車両のドアロックを開錠する。開錠後、共有車両の利用中は、キーによるドアの開錠は可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010‐113510号公報
【特許文献2】特開2007−183749号公報
【特許文献3】特開2010−191563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、従来の共用車両管理システムでは、以下のような種々の課題がある。
(1)道路の渋滞の有無や、利用者および同乗する顧客の都合、仕事の進捗度合いなどにより、予約時の予約状態と、利用時の利用実態とは異なる場合があり、共用車両が効率的に利用できないことがある。
(2)利用規約(規則)を守るためや、他の利用者に迷惑をかけないために、自分の都合を予約時間内にあわせる必要がある。
(3)利用前に予約して共用車両の駐車するところまで出向くなど、その利用が面倒である。
(4)借りたいときに借りられない、等々。
【0007】
例えば、(1)の理由などで、実際の利用見込み時間より、余裕を見て予約をとることにより、予約時間内であっても、その余裕時間や利用されない時間は、実際には無駄に停車をしていたり、無駄な停車をしていても、その車両を他の利用者が使いたくても使えないかったり、その時間は、予約できなかったりする。
【0008】
本発明では、上記のような課題に鑑み、少なくとも一つの上記課題を緩和することができ、共用車両の効率的な運用を可能とする共用車両管理装置および共用車両管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、共用車両管理装置は、複数の利用者で共用する共用車両の外側に向けて設けられ、当該共有車両の予約情報に基づいて、所定時間内に空車状態になるかどうかを含む当該共有車両の利用状況を表示する表示手段と、前記共用車両の利用者を識別する識別情報および指示情報を入力する入力手段と、前記複数の利用者の識別情報および当該共用車両の予約情報を取得する取得手段と、前記取得手段の取得結果を記憶する記憶手段と、前記入力手段で入力された識別情報から前記記憶手段の記憶内容を参照して利用者を認証する認証手段と、前記認証手段の認証結果および前記指示情報に基づいて、前記利用状況の詳細情報の前記表示手段への表示および当該共用車両を利用可能に制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
上記発明によれば、共用車両の現在の利用実態に応じて、次に利用しようとする空車待ちの利用者に利用状況を表示することが可能となるので、効率よく共用車両を運用することが可能となる。
【0011】
上記共用車両管理装置において、前記利用情報として、当該共有車両が利用状態のとき、空車状態となるまでの期間を示し、当該共有車両が空車状態のとき、残りの空車期間を示すことを特徴とする。
【0012】
上記共用車両管理装置において、前記表示手段が、前記利用状況を表示する第1の表示手段と、前記利用状況の詳細情報を表示する第2の表示手段とを含み、第1および第2の表示手段は異なる場所に設けられることを特徴とする。
【0013】
前記共用車両管理装置において、前記表示手段は、前記所定時間経過したとしても当該共有車両が非空車状態のときは、前記利用状況の詳細情報として、当該共有車両の位置から所定距離内の別の共有車両を紹介する表示をすることを特徴とする。
【0014】
前記共用車両管理装置において、当該共有車両が電気自動車であり、前記表示手段は、前記利用状況の詳細情報として、当該共有車両のバッテリの残量を含む利用条件を表示することを特徴とする。
【0015】
前記共用車両管理装置において、前記第1の表示手段は、表示内容を更新するまで、表示のための電源を切っても表示内容を保持する表示デバイスを含むものであることを特徴とする。
【0016】
共用車両管理システムは、複数の利用者で共用する共用車両の利用状況および前記共有車両の予約情報を管理する管理サーバ装置と、前記共有車両に搭載され、当該共有車両を管理する共用車両管理装置とが、通信網を介して接続される共用車両管理システムであって、前記共用車両管理装置が、当該共用車両の外側に向けて設けられ、当該共有車両の予約情報に基づいて、所定時間内に空車状態になるかどうかを含む当該共有車両の利用状況を表示する表示手段と、前記共用車両の利用者を識別する識別情報および指示情報を入力する入力手段と、前記複数の利用者の識別情報および当該共用車両の予約情報を取得する取得手段と、前記取得手段の取得結果を記憶する記憶手段と、前記入力手段で入力された識別情報から前記記憶手段の記憶内容を参照して利用者を認証する認証手段と、前記認証手段の認証結果および前記指示情報に基づいて、前記利用状況の詳細情報の前記表示手段への表示および当該共用車両を利用可能に制御する制御手段とを具備する
ことを特徴とする。
【0017】
上記発明によれば、共用車両の現在の利用実態に応じて、次に利用しようとする空車待ちの利用者に利用状況を表示することが可能となるので、効率よく共用車両を運用することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、共用車両の現在の利用実態に応じて、次に利用しようとする空車待ちの利用者に利用状況を表示することが可能となるので、効率よく共用車両を運用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る共用車両管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る共用車両管理システムの流れを示すシーケンスチャートである。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る表示所処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る詳細表示所処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第一の実施形態に係る表示部による表示例を示す説明図である。
【図6】本発明の第一の実施形態に係る管理テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号(符号)を付している。
【0021】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る共用車両管理システム100の構成を示す図である。
【0022】
本実施形態の共用車両管理システム100は、共用車両に設けられる共用車両管理装置1、携帯電話機、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal
Data Assistance)などを含むPC(Personal Computer)2、管理サーバ装置3とが、インターネットなどを含む通信網4で有線または無線で接続されて構成される。
【0023】
共用車両管理装置1は、情報を入力する入力部11、情報を表示する表示部12、入力部11と表示部12を制御する入出力制御部13、情報を記憶する記憶部14、車両情報を取得する取得部15、ドアロックやエンジン(モータ含む)などの共用車両を制御する車両制御部16、通信網4を介して管理サーバ装置3と予約情報を含む情報の通信制御を行う通信制御部17、および11乃至17の各部および全体の制御を行う制御部18をバス10で接続して構成される。
【0024】
入力部11は、例えば、共用車両の側面部に設けられ、かざされた会員証としての非接触型ICカードに対し、情報を読み書きするリーダライタ11a、指示情報などを入力する指示入力部11b、指紋、瞳孔、顔などの利用者の生体情報を検出する検出部11cを含んで成る。ここでは、検出部11cとして、ドアノブなどに設けられ、利用者の指紋を検出するものとする。
【0025】
表示部12は、共用車両のフロントガラス又はリアガラスに貼り付けられ、それらのガラスを介して表示面を外側に向けて設けられ、あるいは屋根に設けられる表示部a12aを備える。この表示部a12aとして、電子ペーパとして利用されるコレステリック液晶、強誘電液晶等々、表示が更新されるまで、表示のための電源を切っても、表示内容が維持されるメモリ性の表示デバイスを含むのが好ましい。また、指示入力部11bに対応して外側から操作する利用者に分かるように、側面ガラスなどの共用車両の側面部に設けられる表示部b12bを備える。更に、例えば、運転席の操作パネル上、その周辺部、又は、通常の操作パネルの表示部と兼用される表示部c12cを備える。なお、表示部c12cに対する入力部は対応して設けられるか、操作パネルの入力部と兼用される(図示せず)。また、指示入力部11bは、ここでは、表示部b12bの上で触指入力する入力デバイスとする。入力が必要な時以外は、入力機能はロックされているものとする。なお、指示入力部11bの少なくとも一部として、表示部b12bの表示切替えなどのために、ドアノブを操作することにより、次画面への切替えなどを行うようにすることも可能である。押す、引く、等、ドアノブ自体の可動可能な操作を画面切替えや、選択肢の選択等の共用車両管理装置1への指示命令として認識できるようになっているのも良い。
【0026】
入出力制御部13には、入力部11からの本人の識別情報を本人認証情報として、予め登録された識別情報と比較して利用者の本人認証を行う認証部13a、および予約情報などから利用状況を示す表示などを行う表示処理部13bを備える。
【0027】
認証部13aは、例えば、リーダライタ11aを介して読み取られたICカードによる本人認証情報、指示入力部11bからの暗証番号など情報(使用しない運用もあり)、および検出部11cで検出された利用者の生体情報(使用しない運用もあり)に基づいて、利用者の本人認証を行う。
【0028】
表示処理部13bは、制御部18の制御下で通信制御部17が通信網4を介して管理サーバ装置3から予約情報を含む情報を、所定のタイミングで受信して取得し、その情報を記憶部14に記憶したものから、当該共有車両の利用状況を表示するための表示情報を作成し、表示部12に表示する。
【0029】
記憶部14は、制御部18の制御下で通信制御部17が通信網4を介して管理サーバ装置3から予約情報を含む情報を、所定のタイミングで受信して取得した情報を記憶する。
【0030】
取得部15は、所定のタイミングで、共用車両の既存の管理装置(カーナビゲーション装置や車両管理装置等々、図示せず)などから車両位置、バッテリ残量(又は充電量)、時刻情報など必要な車両情報を取得し、その要求先に転送すると共に、例えば、記憶部14に記憶して管理する。
【0031】
車両制御部16は、ドアロックやエンジン(モータ含む)など共用車両の制御を上述の既存の管理装置(図示せず)を制御して行う。
【0032】
通信制御部17は、制御部18の制御下で通信網4を介して管理サーバ装置3から予約情報を含む情報を、所定のタイミングで受信して取得すると共に、取得した情報を記憶部14に記憶する。
【0033】
制御部18は、以上の述べた共用車両管理装置1の各部を制御すると共に、装置全体の制御を行う。本実施形態では、予約が可能か否かの判断や、予約の変更、延長などの処理も行う。
【0034】
管理サーバ装置3は、通信網4と接続される通信制御部31、共用車両の車両情報や、共用車両を利用する複数の利用者の識別情報などの情報を後述する管理テーブル32aなどを記憶する記憶部32、および、通信制御部31と記憶部32を制御して共用車両の管理に必要な情報を管理すると共に、装置全体を制御する制御部33をバス30で接続して構成される。
【0035】
共用車両管理装置1および管理サーバ装置3の要部は、プログラムを記憶するROM(リードオンリメモリ)、前記プログラムを読み出して実行することにより表示処理など各種処理を行う中央処理装置(CPU)、作業領域として利用するRAM(ランダムアクセスメモリ)、大量のデータを記憶するハードディスクドライブや光ファイルなどの外部記憶装置、外部との通信行うための通信制御装置、および情報を入出力する入出力装置を含んで構成されるコンピュータで実現される。
【0036】
図2は、本発明の第一の実施形態に係る共用車両管理システム100の流れを示すシーケンスチャート、図3および図4は、表示所処理および詳細表示処理の流れを示すフローチャートである。これらの図面を参照して共用車両管理システム100の処理動作を説明する。ここで、図5に、表示処理で表示される表示部12aの表示例を示し、図6に、管理サーバ装置3で管理される管理テーブル32aの一部を簡略的に示す。
【0037】
まず、PC2により通信網4を介して管理サーバ装置3に予約情報を送信し予約を行う(ステップS101)。管理サーバ装置3は、記憶部32内の管理テーブル32aを参照して予約可能か否かの判断をし、その判断結果を、通信制御部31および通信網4を介してPC2に送信する(ステップS102)。予約可能であれば、予約情報を共用車両管理装置1に、通信制御部31および通信網4を介して送信する(ステップS103)。
【0038】
本実施形態では、予約情報として、図6に示すように、予約種別を持ち、比較的長い予約時間が可能な通常予約(N)の他に、比較的短い予約時間で地域が限定されるが予約が簡単な簡約予約(L)を新たに設けている。通常予約(N)では、サービス対象地域を複数に分割したとき、複数の分割地域の予約が可能である。例えば、同図に示すように、対象地域の全域や分割地域のA、B地域が対象となる。従って、この通常予約では、顧客を同乗させて複数の地域に亘る場所を案内するような業務にも使用できる。一方、簡約予約(L)は、例えば、分割地域のA又はB地域しか対象とならないが、予約時間は、宅配便のように、午後の第1時間帯(PM1)、第2時間帯(PM2)のように、ラフに選択でき、特定の共用車両に限定されない。その時間帯に、その地域で、いずれかの空車があれば、利用できるが、競合した場合には、利用できない(利用義務がない)。利点として、渋滞となる道路を避けて分割地域を予め指定することで、渋滞の影響を受けにくい運用が可能となる。一般的な通常予約の場合は、当然ながら予約時に重複がないことが判断されて、確定し、特定の共用車両での利用義務が生じる。簡易予約の場合、例えば、公共交通機関で自宅からデパートやスーパに買い物に行き、荷物が増えたときに空車があれば利用するような場合が考えられる。空車がなければ、公共交通機関で帰宅する。
【0039】
共用車両管理装置1は、管理サーバ装置3から更新すべき予約情報の送信があると、制御部18の制御下で、通信制御部17を介して受信(取得)し、記憶部14に記憶すると共に、入出力制御部13の表示処理部13bに更新すべきことが通知される。表示処理部13bでは、利用状況を表示する表示処理が実行される(ステップS104)。
【0040】
この表示処理は、先に説明したように、更新要求があると、既に取得し記憶済みの予約情報を記憶部14から読み出し、読み出された予約情報に基づいて、所定時間内に空車状態になるかどうかを含む当該共有車両の利用状況を表示するための表示情報を作成する(図3、ステップS31乃至S35)。作成された表示情報を表示部12aにより利用状況として表示する(図3、ステップS36)。ここで、所定時間が0時間であれば、空車状態か利用状態かを示すものになり、図5の表示例では、所定時間が2時間(2H)である場合を示す。
【0041】
図5(a)、(b)は、それぞれ利用中状態、空車状態を示すものである。同図(a)の残時間を示す表示領域51aは、2時間のうち、1時間分が消えて白色であり、1時間(1H)だけが、状態表示領域52と同じ表示(青色)なので、残り1時間で利用中状態が終わり、空車状態となることを示し、目的駐車場は「中央駅駐車場」であることを示す。また、この時間帯には、簡易予約(L)をしている人がいることを示す。次期間を示す表示領域53には、空車状態の期間が1時間(1H)あり、その後に少なくとも1時間(1H)、予約中状態であることを示す。同図(b)の表示領域51bは空車状態と同じ白色なので、少なくとも現在から2時間は空車状態であり、目的駐車場は「スーパ駐車場」である。空車状態のときには、目的駐車場の表示の変わりに、簡易予約者(L)または未予約者のために、限定対象地域を表示してもよい。次期間の表示領域53は、図(a)と同様である。
【0042】
従って、図5(a)の表示例の表示情報が作成され、表示部12aに表示されるとする。駐車場又は路上付近などで、表示部12aを共用車両の外から見た利用者が、これから利用しようとする場合に1時間の利用でも良いときは、1時間前までに、状態表示領域52の示す「中央駅駐車場」に出向き、そのとき、下記と同様のことをする。一方、同図(b)の表示例の表示情報が作成され、表示部12aに表示されるとすると、これから利用しようとする利用者が、現在、駐車している「スーパ駐車場」か、駐車待ちなどで、その付近に停車していることになるので、例えば、その場で、共用車両の側面のリードライタ11aに会員証としてのICカードをかざすことにより、利用者の識別情報を入力する(ステップS105)。この結果、認証部13aが、利用者の識別情報と記憶部14にある登録済みの当該利用者の識別情報とを比較して一致していれば、利用者が本人であると認証する(ステップS106)。なお、このシーケンスでは、ICカードのみの場合で説明したが、指示入力部によるパスワード(暗証番号含む)や、検出部11cによる生体情報を求めて厳重に本人認証をしてもよい。さらに、ICカードを忘れた場合には、検出部11cによる生体情報の検出と、指示入力部11bにより、ペットの名前などの本人しか知りえない情報(キーワード)の入力で本人認証してもよい。
【0043】
次に、本人認証後に、利用状況に利用可能性があれば、指示入力部11bにより、指示入力部11bに対応した共用車両の側面部にある表示部b12bに詳細情報を表示させる指示を行う。この指示を、入出力制御部13を介して表示処理部13bが受け取ると、詳細表示処理を実行する(ステップS107、図4ステップS41)。即ち、まず、詳細情報を作成する(図4、ステップS42)。この際、既に会員であることが特定されているので、予約情報などを基に、テキストを含んで、時系列で、予約期間を利用している利用中状態、予約がなされていない空車状態、予約期間の予約中状態などの詳細な利用状況が表示される。この際、近くに位置する他の共用車両の利用状況も併せて表示しても良い。特に、他の共用車両に所定時間内に空車状態があり、当該共用車両に所定時間内に空車状態がないとき有効である。また、利用条件として、記憶部14の車両情報を参照して得られた現在の共用車両位置が地域Aにあれば、例えば、利用可能地域A(管理者が予め設定しておいても良い)、車両情報からバッテリの残量(充電量)を例えば、2時間程度などとする。このように作成された詳細な利用状況を表示部12bに表示する(図4、ステップS43)。
【0044】
表示部12bの表示により、利用者は利用条件を含む空車状態の期間が利用可能と判断した場合には、指示入力部11bにより、利用指示を出す。その結果、入出力制御部13から制御部18へ転送され、制御部18が、そのとき、予約情報の更新がなく、予約などに重複がない場合には、空車期間の利用を可能と判断する。なお、このとき、念のため、更新から時間が経っている場合には、管理サーバ装置3に予約情報の送信要求を行って、最新の予約情報を得てから判断を行っても良い。例えば、現在、簡易予約(L)をした予約者と、利用指示を出した利用者と同じであれば、利用可能と判断する。異なる場合には、優先度を判断する。車両に近い利用者、即ち、利用指示を出したものを優先度が高いと判断する。このように、簡易予約をしておかなくても、利用可能であるが、当然ながら、簡易予約しておいほうが、優先度は高い。なお、通知要の簡易予約者(L)には、予約時間帯で所定時間内に空車状態になる期間がある場合には、その期間の所定時間前(例えば、30分前)に携帯端末機などのPC2で共有者に連絡してあるものとする。
【0045】
利用指示を出した利用者が、優先度が高いと制御部18が判断すると、車両制御部16を制御して共用車両のドアロックを開錠し、さらに、エンジン(モータ)をインキー状態のキーで操作可能とし、エンジンを始動させる(ステップS109)。このとき、利用始動開始として、記憶部14に履歴として記録されると共に、課金および共用車両管理などのために管理サーバ装置3に利用始動開始情報および車両位置情報などの車両情報を含む情報が送信され、制御部33により、記憶部32の管理テーブル32aに記録される(ステップS110)。
【0046】
このようにして、共用車両を利用しているときに、都合により、予め定められた時間 (例えば、1時間) 以上残して、予定より早く共用車両の利用が終わったときは、予約変更の画面を操作パネル上に設けられた表示部12cに操作部(図示せず)により表示させ、その残時間を利用中状態から空車状態にする予約変更指示を行い、制御部18により予約変更指示に対応する予約変更依頼が管理サーバ装置3に送信される(ステップS111、S112)。この予約変更依頼を、通信制御部31を介して管理サーバ装置3の制御部33が受け取り、制御部33により予定変更条件に基づき、予定変更の可否が判断される。その判断結果に対応した記録が管理テーブル32aになされると共に、判断結果が、通信制御部31を介して共用車両管理装置1に送信され、さらに通信網4および通信制御部17を介して記憶部14に記憶されると共に、制御部18にその旨通知される(ステップS113)。この場合、予定変更条件を満足し、予定変更可能通知を制御部18が受け取ると、その変更通知に基づき、入出力制御部13の表示処理部13bを制御することにより、予定変更可能を示す予定変更結果を表示部12cに表示させると共に、表示部12aに残時間を空車状態とする利用状況を表示させる(ステップS114)。空車待ちの利用者は、表示部12aの利用状況を見て、空車状態の共用車両を利用することが可能となる。なお、都合により、予定より遅れそうな場合には、同様の手順により、予約延長画面の表示、予約延長指示、予約延長依頼、予約延長条件に基づく予約延長可否判断、予約延長可否判断結果の送受信により、利用中期間を延長した利用状況の表示などが、表示部12aに表示される。
【0047】
このようにして共用車両が利用され、共有車両に対する所定の利用終了操作により、利用終了の送信が、共用車両管理装置1から、管理サーバ装置3に送信され、当該利用者による共用車両の利用が終了する(ステップS115)。
【0048】
以上述べたように、本実施形態によれば、共用車両の現在の利用実態に応じて、次に利用しようとする空車待ちの利用者に利用状況を表示することが可能となるので、効率よく共用車両を運用することが可能となる。
【0049】
以上述べた実施形態では、通信網と共用車両管理装置の間に設けられるステーション装置が介在する場合については説明していないが、狭域通信により共用車両管理装置とステーション装置との間で通信できる通信インターフェースを通信制御部17に設けることにより、ステーション装置を中継させて管理サーバ装置と通信を行うシステムも可能となる。
【0050】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0051】
1…共用車両管理装置
2…PC
3…管理サーバ装置
4…通信網
10、30…バス
11…入力部
11a…リーダライタ
11b…指示入力部
11c…検出部
12…表示部
12a…表示部a
12b…表示部b
12c…表示部c
13…入出力制御部
13a…認証部
13b…表示処理部
14、32…記憶部
15…取得部
16…車両制御部
17、31…通信制御部
18、33…制御部
100…共用車両管理システム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の利用者で共用する共用車両の外側に向けて設けられ、当該共有車両の予約情報に基づいて、所定時間内に空車状態になるかどうかを含む当該共有車両の利用状況を表示する表示手段と、
前記共用車両の利用者を識別する識別情報および指示情報を入力する入力手段と、
前記複数の利用者の識別情報および当該共用車両の予約情報を取得する取得手段と、
前記取得手段の取得結果を記憶する記憶手段と、
前記入力手段で入力された識別情報から前記記憶手段の記憶内容を参照して利用者を認証する認証手段と、
前記認証手段の認証結果および前記指示情報に基づいて、前記利用状況の詳細情報の前記表示手段への表示および当該共用車両を利用可能に制御する制御手段とを具備することを特徴とする共用車両管理装置。
【請求項2】
前記利用情報として、当該共有車両が利用状態のとき、空車状態となるまでの期間を示し、当該共有車両が空車状態のとき、残りの空車期間を示すことを特徴とする請求項1に記載の共用車両管理装置。
【請求項3】
前記表示手段が、前記利用状況を表示する第1の表示手段と、前記利用状況の詳細情報を表示する第2の表示手段とを含み、第1および第2の表示手段は異なる場所に設けられることを特徴とする請求項1に記載の共用車両管理装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記所定時間経過したとしても当該共有車両が非空車状態のときは、前記利用状況の詳細情報として、当該共有車両の位置から所定距離内の別の共有車両を紹介する表示をすることを特徴とする請求項1の共用車両管理装置。
【請求項5】
当該共有車両が電気自動車であり、前記表示手段は、前記利用状況の詳細情報として、当該共有車両のバッテリの残量を含む利用条件を表示することを特徴とする請求項1に記載の共用車両管理装置。
【請求項6】
前記共用車両管理装置において、前記第1の表示手段は、表示内容を更新するまで、表示のための電源を切っても表示内容を保持する表示デバイスを含むものであることを特徴とする請求項3に記載の共用車両管理装置。
【請求項7】
複数の利用者で共用する共用車両の利用状況および前記共有車両の予約情報を管理する管理サーバ装置と、前記共有車両に搭載され、当該共有車両を管理する共用車両管理装置とが、通信網を介して接続される共用車両管理システムであって、
前記共用車両管理装置が、
当該共用車両の外側に向けて設けられ、当該共有車両の予約情報に基づいて、所定時間内に空車状態になるかどうかを含む当該共有車両の利用状況を表示する表示手段と、
前記共用車両の利用者を識別する識別情報および指示情報を入力する入力手段と、
前記複数の利用者の識別情報および当該共用車両の予約情報を取得する取得手段と、
前記取得手段の取得結果を記憶する記憶手段と、
前記入力手段で入力された識別情報から前記記憶手段の記憶内容を参照して利用者を認証する認証手段と、
前記認証手段の認証結果および前記指示情報に基づいて、前記利用状況の詳細情報の前記表示手段への表示および当該共用車両を利用可能に制御する制御手段とを具備する
ことを特徴とする共用車両管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−215919(P2012−215919A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78865(P2011−78865)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】