説明

具入りラー油及びその製造方法

【課題】食味食感に優れ、例えばごはんに載せて食べるおかずとしても好適な、具入りラー油及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
(A)植物油と、(B)唐辛子及び/又はその抽出物と、(C)野菜類、魚介類、肉類、それらの加工食品から選ばれた少なくとも1種を含む、細片状又は粒状の具材と、(D)酸発酵乳とを含有する原料を混合し、加熱調理することを特徴とする具入りラー油を得る。(C)具材としては、鰹節、沢庵、高菜漬け、タケノコ、ゴボウ、レンコン、ニンジン、ショウガ、ネギ、茸、ゴマ、コンニャク、イカ、タコ、フカヒレ、クラゲ、豚肉、鶏肉、牛肉、ベーコン、ハム、ソーセージ及びツナから選ばれた少なくとも1種が好ましく用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具入りラー油及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
辛味油であるラー油は、しょう油や調理液に添加して辛味を付与する調味料として広く用いられてきた(特許文献1−3)。
【0003】
また、近年、ラー油に、フライドガーリックや、フライドオニオンを加えて、ごはん等に乗せて、おかずとしてそのまま食べることもできるようにした具入りのラー油も市販されるようになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−125732号公報
【特許文献2】特開2007−6851号公報
【特許文献3】特開2008−35835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在販売されている、フライドガーリックや、フライドオニオンを加えて、そのまま食べられるようにした具入りのラー油は、ごはんに乗せておかずとして食べようとすると、食味、食感が今一つ満足できるものではなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、食味食感に優れ、例えばごはんに載せて食べるおかずとしても好適な、具入りラー油及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、(A)植物油と、(B)唐辛子及び/又はその抽出物と、(C)野菜類、魚介類、肉類、それらの加工食品から選ばれた少なくとも1種を含む、細片状又は粒状の具材と、(D)酸発酵乳とを含有することを特徴とする具入りラー油を提供するものである。
【0008】
また、本発明のもう一つは、(A)植物油と、(B)唐辛子及び/又はその抽出物と、(C)野菜類、魚介類、肉類、それらの加工食品から選ばれた少なくとも1種を含む、細片状又は粒状の具材と、(D)酸発酵乳とを含有する原料を混合し、加熱調理することを特徴とする具入りラー油の製造方法を提供するものである。
【0009】
本発明によれば、(A)植物油と、(B)唐辛子及び/又はその抽出物とを含むことによりラー油の風味を味わえると共に、(C)野菜類、魚介類、肉類、それらの加工食品から選ばれた少なくとも1種を含む、細片状又は粒状の具材を含むことにより、具材の食感や風味が付与され、栄養源や食物繊維も豊富となり、そのままごはんのおかずとして食することができる。更に、酸発酵乳を添加することにより風味がマイルドになり、より食味に優れた具入りラー油を提供できる。
【0010】
また、本発明の具入りラー油の製造方法によれば、(A)植物油と、(B)唐辛子及び/又はその抽出物と、(C)前記具材と、(D)酸発酵乳とを混合して所定時間加熱調理することにより、植物油の油っぽさが軽減され、唐辛子の辛味がマイルドになるので、そのままおかずとして食するのに適したものとなる。
【0011】
本発明においては、前記(C)具材が、鰹節、沢庵、高菜漬け、タケノコ、ゴボウ、レンコン、ニンジン、ショウガ、ネギ、茸、ゴマ、コンニャク、イカ、タコ、フカヒレ、クラゲ、豚肉、鶏肉、牛肉、ベーコン、ハム、ソーセージ及びツナから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。これらの具材を含有することにより、食味、食感に優れた具入りラー油を提供できる。
【0012】
また、前記(C)具材が、鰹節と、沢庵と、タケノコ、ゴボウ、レンコン、コンニャク、イカ、タコ、豚肉、鶏肉、牛肉、及びツナから選ばれた少なくとも1種とを含むものであることが好ましい。これによれば、鰹節により風味が増強され、沢庵によりコリコリとした歯ごたえを付与でき、タケノコ、ゴボウ、レンコン、コンニャク、イカ、タコ、豚肉、鶏肉、牛肉、及びツナから選ばれた少なくとも1種により、良好な味や食感を付与することができる。
【0013】
また、前記(C)具材が、鰹節と、沢庵と、タケノコ及びゴボウから選ばれた少なくとも1種とを含むものであることが好ましい。これによれば、鰹節により風味が増強され、沢庵によりコリコリとした歯ごたえを付与でき、タケノコ及び/又はゴボウにより、繊維質の組織がばらけるような変化に富んだ食感を付与することができる。
【0014】
また、前記(C)具材が、鰹節と、沢庵と、タケノコ、ゴボウ、レンコン、コンニャク、イカ、及びタコから選ばれた少なくとも1種と、豚肉、鶏肉、牛肉、及びツナから選ばれた少なくとも1種とを含むものであることが好ましい。これによれば、鰹節により風味が増強され、沢庵によりコリコリとした歯ごたえを付与でき、タケノコ、ゴボウ、レンコン、コンニャク、イカ、及びタコから選ばれた少なくとも1種により、サク味や弾力のある良好な食感を付与することができ、豚肉、鶏肉、牛肉、及びツナから選ばれた少なくとも1種により、豚肉、鶏肉、牛肉、又はツナから選ばれた少なくとも1種により、噛んでも残渣感が残るような肉繊維に特有の食感と、良好な呈味成分を付与することができる。
【0015】
また、別の態様として、前記(C)具材が、ゴボウと、ニンジンと、レンコンと、ゴマとを含むものであることが好ましい。これによれば、ゴボウやニンジンやレンコンにより、サクサクした良好な食感及び歯ごたえを付与することができ、ラー油及びゴマによって良好な風味を付与できる。
【0016】
更に、別の態様として、前記(C)具材が、豚肉と、鶏肉と、ネギと、ショウガとを含むものであり、更に調味料としてトウバンジャンとコチュジャンとを含むことが好ましい。これによれば、ごはんにかけておかずとして食するのに適すると共に、例えば豆腐にかけてマーボー豆腐のようにして食べることもできる。
【0017】
本発明において、前記具材は、最大径が1〜30mmとなるように調製されたものであることが好ましい。これよれば、これらの具材を食べやすくなり、口の中で咀嚼して、良好な食感を味わうことができる。
【0018】
本発明においては、前記植物油が胡麻油であることが好ましい。これによれば、より風味の良好な具入りラー油を提供できる。
【0019】
更に、本発明の具入りラー油は、ご飯のおかずとして食されるものであることが好ましい。これによれば、ご飯にかけておかずとして手軽に食することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、(A)植物油と、(B)唐辛子及び/又はその抽出物とを含むことによりラー油の風味を味わえると共に、(C)野菜類、魚介類、肉類、それらの加工食品から選ばれた少なくとも1種を含む、細片状又は粒状の具材を含むことにより、具材の食感や風味が付与され、栄養的にも豊富となり、おかずとすることができる。更に、酸発酵乳を添加することにより、植物油っぽさや、唐辛子の辛みが抑制されて、風味がマイルドになるので、おかずとしてそのまま食するのに適した具入りラー油を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の具入りラー油は、(A)植物油と、(B)唐辛子及び/又はその抽出物と、(C)野菜類、魚介類、肉類、それらの加工食品から選ばれた少なくとも1種を含む、細片状又は粒状の具材と、(D)酸発酵乳とを含有する。
【0022】
本発明において用いられる(A)植物油としては、常温で液体であり食用として用いられるものであれば特に制限はないが、例えば、胡麻油、オリーブ油、菜種油、コーン油、大豆油、紅花油、向日葵油、綿実油、こめ油、ピーナッツオイル、椰子油などが挙げられる。なかでも風味の点から胡麻油を用いることが好ましい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0023】
本発明における(B)唐辛子及び/又はその抽出物で用いる唐辛子としては、上記植物油に相溶性を有する辛味成分を含有するものであれば特に制限はないが、トウガラシ属に属するもののうち栽培種であるCapsicum annuum(トウガラシ)、Capsicum frutescens(キダチトウガラシ)、Capsicum pubescens(ロコト)、Capsicum baccatum、Capsicum chinensenなど、あるいは自生種であるCapsicum cardenasii(ウルピカ)などが挙げられる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。なお、唐辛子の辛味成分としてはカプサイシンなどが知られている。
【0024】
上記唐辛子はその辛味成分を他の具材や原材料にいきわたらせるために、粉砕したものを用いることが好ましい。あるいは圧搾又は磨砕したものを用いることもできる。
【0025】
本発明において唐辛子の抽出物とは、唐辛子に上記植物油等の抽出溶媒を加えて辛味成分をその溶媒中に抽出させたものを意味する。したがって、本発明の(A)植物油及び(B)唐辛子及び/又はその抽出物としては、市販のラー油を用いることもできる。
【0026】
本発明における(C)野菜類、魚介類、肉類、それらの加工食品から選ばれた少なくとも1種を含む、細片状又は粒状の具材としては、例えば、鰹節、沢庵、高菜漬け、タケノコ、ゴボウ、レンコン、ニンジン、ショウガ、ネギ、茸、ゴマ、コンニャク、イカ、タコ、フカヒレ、クラゲ、豚肉、鶏肉、牛肉、ベーコン、ハム、ソーセージ及びツナから選ばれた少なくとも1種が好ましく用いられる。これらは、食感や風味の異なるものを2種以上、できれば3種以上組み合わせて用いることが好ましい。ここで、茸としては、例えばシメジ、椎茸などが挙げられる。
【0027】
(C)具材の1つの好ましい態様としては、鰹節と、沢庵と、タケノコ、ゴボウ、レンコン、コンニャク、イカ、タコ、豚肉、鶏肉、牛肉、及びツナから選ばれた少なくとも1種とを含むものが挙げられる。これによれば、鰹節によって旨味が付与され、沢庵によってコリコリとした食感が付与され、タケノコ、ゴボウ、レンコン、コンニャク、イカ、タコ、豚肉、鶏肉、牛肉、及びツナから選ばれた少なくとも1種によって、タケノコ、ゴボウ、又はレンコンのサクッとして繊維質の組織がばらけるような食感、コンニャク、イカ、又はタコのコリコリした食感、豚肉、鶏肉、牛肉、又はツナの噛んでも残渣感が残るような肉繊維に特有の食感などを付与することができる。
【0028】
このうち、特に好ましい態様としては、鰹節と、沢庵と、タケノコ及びゴボウから選ばれた少なくとも1種とを含むものが挙げられる。
【0029】
また、別の好ましい態様としては、鰹節と、沢庵と、タケノコ、ゴボウ、レンコン、コンニャク、イカ、及びタコから選ばれた少なくとも1種と、豚肉、鶏肉、牛肉、及びツナから選ばれた少なくとも1種とを含むものが挙げられる。
【0030】
また、(C)具材の別の好ましい態様としては、高菜漬けと、ゴマと、ショウガとを含むものが挙げられる。これによれば、高菜漬けの風味、食感と、ゴマの風味と、ショウガの風味、食感とが相まって、良好な食味、食感が得られる。
【0031】
更に、(C)具材の別の好ましい態様としては、ゴボウと、ニンジンと、レンコンと、ゴマとを含むものが好ましい。これによれば、ゴボウやニンジンやレンコンにより、サクサクした良好な食感及び歯ごたえを付与することができ、ラー油及びゴマによって良好な風味を付与できる。
【0032】
上記具材の1つとして用いられる鰹節は、食するのに適当な大きさに砕片化されたものであれば特に制限はないが、旨みを他の具材や原材料にいきわたらせるために、最大径が1〜30mm程度、好ましくは2〜10mm程度となるように細かく砕片化したものを用いることが好ましい。また、食感の観点から節削り状に薄く削られたものを用いることが好ましい。
【0033】
本発明においては、上記具材のうち、沢庵、高菜漬け、タケノコ、ゴボウ、レンコン、ニンジン、ショウガ、茸、コンニャク、イカ、タコ、フカヒレ、クラゲ、豚肉、鶏肉、牛肉、ベーコン、ハム、ソーセージ、ツナなどは、例えば細断したりして、最大径が1〜30mm程度、好ましくは2〜10mm程度となるように調製されたものであることが好ましい。
【0034】
本発明における(D)酸発酵乳とは、乳酸菌で発酵した半ゲル状ないし液状の乳製品である発酵乳のうち、乳酸発酵だけによるものを意味し、例えば、ヨーグルト、酸乳飲料、乳酸菌飲料等が挙げられる。これらのうち乳酸菌飲料には、乳製品乳酸飲料(厚生省令での成分規格により無脂乳固形分3.0〜8.0%)と非乳製品乳酸飲料(厚生省令での成分規格により無脂乳固形分3.0%以下)とがあり、この乳製品乳酸飲料には、更に生菌乳酸菌飲料と殺菌乳酸菌飲料とがある。生菌乳酸菌飲料としては、例えば「ヤクルト」(商品名、株式会社ヤクルト本社製)等が知られており、また、殺菌乳酸菌飲料としては、例えば「カルピス」(商品名、カルピス食品工業株式会社製)等が知られている。本発明では、これらのいずれの酸発酵乳でも用いることができるが、特に殺菌乳酸菌飲料、例えば「カルピス」(商品名、カルピス食品工業株式会社製)が好ましく用いられる。
【0035】
本発明においては、食味食感を害しない範囲で他の具材や原材料が適宜用いられてもよい。例えば、水や、酒、ワイン、しょう油、酵母エキス、ガーリックパウダー等の調味料、砂糖等の甘味料、しそ、バジル等の香味料、パプリカ色素、クチナシ色素、ベニバナ色素等の色素剤、日持向上剤、保存剤、抗酸価剤等が挙げられる。
【0036】
本発明の具入りラー油においては、上記に説明した(A)植物油と、(B)唐辛子及び/又はその抽出物と、(C)野菜類、魚介類、肉類、それらの加工食品から選ばれた少なくとも1種を含む、細片状又は粒状の具材と、(D)酸発酵乳とを、(A)植物油100質量部に対して、(B)唐辛子又はその抽出物を1〜30質量部、(C)具材を35〜230質量部、(D)酸発酵乳を1〜10質量部の割合で配合することが好ましい。
【0037】
次に、本発明の具入りラー油の製造方法について説明する。
【0038】
本発明の具入りラー油の製造方法においては、上記に説明した(A)植物油と、(B)唐辛子又はその抽出物と、(C)野菜類、魚介類、肉類、それらの加工食品から選ばれた少なくとも1種を含む、細片状又は粒状の具材と、(D)酸発酵乳とを用意し、これらを少なくとも含み、更に必要なら、他の具材や原材料を適宜配合した原料を混合し、加熱調理する。
【0039】
加熱調理は、上記原料を140〜180℃で30〜120分程度加熱することで行うことができる。これにより、原料からの水分が適度に抜け煮詰まるとともに、植物油の風味や、唐辛子の辛味や、具材の風味(例えば鰹節の旨みや沢庵特有の塩味など)が、よく混ざり合う。また、タケノコ、ゴボウ、レンコン、ニンジン、ショウガ等の繊維質の組織がふやけてばらけ易くなる。更に、酸発酵乳により、植物油からの油っぽさや、また唐辛子からの辛味がマイルドになるので、そのままでも食しやすくなり、例えばごはんにかけて、おかずとして手軽に食べることができる。
【0040】
なお、本発明において、具材として、豚肉、鶏肉、ネギ、ショウガ等を用い、調味料としてトウバンジャン、コチュジャン、味噌等を用いることにより、そのままごはんにかけておかずとして食するだけでなく、豆腐にかけてマーボー豆腐として食するのにも適した具入りラー油を製造することもできる。
【実施例】
【0041】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、以下の実施例において、カツオ砕片、及び刻み沢庵、ゴボウ、蓮根、コンニャク、イカ、タコ、豚肉、鶏肉、牛肉、ツナは、フードカッターでみじん切りにしたものを用いた。また、タケノコの細断物として「筍ダイス5mm」、日持向上剤として「ホズアツプ」(商品名、株式会社タイショー テクノス社製)、酸発酵乳として「カルピス」(商品名、カルピス株式会社製)を用いた。
[試験例1]
下記表1に示す原材料で具入りラー油を製造した。その際、食感や風味を比較するため、一部の材料を配合しないものも製造した。すなわち、下記表1に示す全ての原材料を配合したものを実施例1とし、刻み沢庵を配合しないものを実施例2とし、筍ダイスを配合しないものを実施例3とし、酸発酵乳を配合しないものを実施例4とし、カツオ砕片、刻み沢庵、筍ダイス、及び酸発酵乳を配合しないものを比較例1とし、カツオ砕片を配合しないものを比較例2とした。製造は、原材料をなべに入れ混合し、140〜180℃で30〜120分加熱して、全体量が5,000グラム程度になるまで煮詰めることにより行った。
【0042】
【表1】

【0043】
評価は食感、食味のそれぞれについて、5名程度のパネラーに試食してもらい、5…大変よい、4…よい、3…普通、2…やや悪い、1…悪いというような基準で評価してもらい、全パネラーの平均点(小数点以下四捨五入)で表した。
【0044】
【表2】

【0045】
その結果、すべての原材料を配合した実施例1では食感、食味ともに良好であった。また、(4)沢庵等の細断物である刻み沢庵と筍ダイスのいずれか一方を配合しない実施例2又は実施例3の場合でも、すべての原材料を配合した実施例1に劣らないほどに、食感、食味ともに良好であった。一方、(5)酸発酵乳を配合しない比較例1の場合でも、食感、食味ともに良好であったが、風味のマイルドさでは物足りないという意見が多かった。
【0046】
これに対して、(3)鰹節の砕片物と(4)沢庵等の細断物と(5)酸発酵乳とを配合しない比較例2では、食感、食味ともに劣っていた。
[試験例2]
下記表3〜5に示す原材料で具入りラー油を製造した。その際、食感や風味を比較するため、一部の材料の配合を替えたものを製造した。すなわち、上記実施例1と同じ原材料を配合したものを実施例4とし、筍ダイスの替わりに、ゴボウ、蓮根、コンニャク、イカ、タコ、豚肉、鶏肉、牛肉、又はツナをそれぞれ配合したものを、実施例5〜13とし、筍ダイスの替わりに、ゴボウ、蓮根、コンニャク、イカ、又はタコのそれぞれと、豚肉とを組み合わせて配合したものを、実施例14〜18とし、筍ダイスの替わりに、蓮根と、コンニャク、イカ、又はタコのそれぞれとを組み合わせて配合したものを、実施例19〜21とした。製造は、原材料をなべに入れ混合し、140〜180℃で30〜120分加熱して、全体量が11,600グラム程度になるまで煮詰めることにより行った。
【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
【表5】

【0050】
評価は、5名程度のパネラーに試食してもらい、その代表的な評価を得ることにより行った。
【0051】
その結果、筍ダイスの替わりに、ゴボウ又は蓮根を配合した実施例5、6では、それらにより、繊維質の組織がばらけるような食感が付与されて、筍ダイスを配合したときと同様の食感、食味が得られた。
【0052】
また、筍ダイスの替わりに、コンニャク、イカ、又はタコを配合した実施例7〜9では、それらにより、筍ダイスを配合したときにはないコリコリした食感が付与され、全体として、良好な食感、食味が得られた。
【0053】
また、筍ダイスの替わりに、豚肉、鶏肉、牛肉、又はツナを配合した実施例10〜13では、それらにより、筍ダイスを配合したときにはない肉繊維に特有の食感と、良好な食味が付与され、全体として、良好な食感、食味が得られた。
【0054】
また、筍ダイスの替わりに、ゴボウ、蓮根、コンニャク、イカ、又はタコのそれぞれと、豚肉とを組み合わせて配合した実施例14〜18、又は、筍ダイスの替わりに、蓮根と、コンニャク、イカ、又はタコのそれぞれとを組み合わせて配合した実施例19〜21では、それらにより付与される食感、食味がマッチして、全体として、良好な食感、食味が得られた。
[試験例3]
下記表6に示す原材料で具入りラー油を製造した。
【0055】
表6中の実施例22は、酸発酵乳を添加したもの、比較例2は、酸発酵乳を添加しないものである。
【0056】
【表6】

【0057】
上記実施例22、比較例2について、試験例1と同様にして、食感食味を評価した。その結果を表7に示す。
【0058】
【表7】

【0059】
表7に示すように、酸発酵乳を添加した実施例22は、酸発酵乳を添加しない比較例2と比べて、唐辛子の辛みが軽減されてまろやかな味となり、食味に優れていた。
[試験例3]
下記表8に示す原材料で具入りラー油を製造した。
【0060】
表8中の実施例23は、酸発酵乳を添加したもの、比較例3は、酸発酵乳を添加しないものである。
【0061】
【表8】

【0062】
上記実施例23、比較例3について、試験例1と同様にして、食感食味を評価した。その結果を表9に示す。
【0063】
【表9】

【0064】
表9に示すように、酸発酵乳を添加した実施例23は、酸発酵乳を添加しない比較例3と比べて、唐辛子の辛みが軽減されてまろやかな味となり、食味に優れていた。
【0065】
また、この具入りラー油は、ごはんにかけておかずとして食するだけでなく、豆腐にかけてマーボー豆腐として食することもできた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)植物油と、(B)唐辛子及び/又はその抽出物と、(C)野菜類、魚介類、肉類、それらの加工食品から選ばれた少なくとも1種を含む、細片状又は粒状の具材と、(D)酸発酵乳とを含有することを特徴とする具入りラー油。
【請求項2】
前記(C)具材が、鰹節、沢庵、高菜漬け、タケノコ、ゴボウ、レンコン、ニンジン、ショウガ、ネギ、茸、ゴマ、コンニャク、イカ、タコ、フカヒレ、クラゲ、豚肉、鶏肉、牛肉、ベーコン、ハム、ソーセージ及びツナから選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の具入りラー油。
【請求項3】
前記(C)具材が、鰹節と、沢庵と、タケノコ、ゴボウ、レンコン、コンニャク、イカ、タコ、豚肉、鶏肉、牛肉、及びツナから選ばれた少なくとも1種とを含むものである請求項2記載の具入りラー油。
【請求項4】
前記(C)具材が、鰹節と、沢庵と、タケノコ及びゴボウから選ばれた少なくとも1種とを含むものである請求項3記載の具入りラー油。
【請求項5】
前記(C)具材が、鰹節と、沢庵と、タケノコ、ゴボウ、レンコン、コンニャク、イカ、及びタコから選ばれた少なくとも1種と、豚肉、鶏肉、牛肉、及びツナから選ばれた少なくとも1種とを含むものである請求項2記載の具入りラー油。
【請求項6】
前記(C)具材が、ゴボウと、ニンジンと、レンコンと、ゴマとを含むものである請求項2記載の具入りラー油。
【請求項7】
前記(C)具材が、豚肉と、鶏肉と、ネギと、ショウガとを含むものであり、更に調味料としてトウバンジャンとコチュジャンとを含む請求項2記載の具入りラー油。
【請求項8】
前記具材は、最大径が1〜30mmとなるように細断されたものである請求項1〜7のいずれか1つに記載の具入りラー油。
【請求項9】
前記植物油が胡麻油である請求項1〜8のいずれか1つに記載の具入りラー油。
【請求項10】
ご飯のおかずとして食されるものである請求項1〜9のいずれか1つに記載の具入りラー油。
【請求項11】
(A)植物油と、(B)唐辛子及び/又はその抽出物と、(C)野菜類、魚介類、肉類、それらの加工食品から選ばれた少なくとも1種を含む、細片状又は粒状の具材と、(D)酸発酵乳とを含有する原料を混合し、加熱調理することを特徴とする具入りラー油の製造方法。
【請求項12】
前記(C)具材が、鰹節、沢庵、高菜漬け、タケノコ、ゴボウ、レンコン、ニンジン、ショウガ、ネギ、茸、ゴマ、コンニャク、イカ、タコ、フカヒレ、クラゲ、豚肉、鶏肉、牛肉、ベーコン、ハム、ソーセージ及びツナから選ばれた少なくとも1種である請求項11記載の具入りラー油の製造方法。
【請求項13】
前記(C)具材が、鰹節と、沢庵と、タケノコ、ゴボウ、レンコン、コンニャク、イカ、タコ、豚肉、鶏肉、牛肉、及びツナから選ばれた少なくとも1種とを含むものである請求項12記載の具入りラー油の製造方法。
【請求項14】
前記(C)具材が、鰹節と、沢庵と、タケノコ及びゴボウから選ばれた少なくとも1種とを含むものである請求項13記載の具入りラー油の製造方法。
【請求項15】
前記(C)具材が、鰹節と、沢庵と、タケノコ、ゴボウ、レンコン、コンニャク、イカ、及びタコから選ばれた少なくとも1種と、豚肉、鶏肉、牛肉、及びツナから選ばれた少なくとも1種とを含むものである請求項12記載の具入りラー油の製造方法。
【請求項16】
前記(C)具材が、ゴボウと、ニンジンと、レンコンと、ゴマとを含むものである請求項12記載の具入りラー油の製造方法。
【請求項17】
前記(C)具材が、豚肉と、鶏肉と、ネギと、ショウガとを含み、更に調味料としてトウバンジャンとコチュジャンとを添加する請求項12記載の具入りラー油の製造方法。
【請求項18】
前記具材は、最大径が1〜30mmとなるように調製されたものである請求項11〜17のいずれか1つに記載の具入りラー油の製造方法。
【請求項19】
前記植物油が胡麻油である請求項11〜18のいずれか1つに記載の具入りラー油の製造方法。

【公開番号】特開2012−19780(P2012−19780A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179438(P2010−179438)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(500465488)株式会社有明のり (8)
【Fターム(参考)】