説明

内燃機関およびそれを備えた鞍乗型車両

【課題】ノックセンサが取り付けられた単気筒の内燃機関において、ノックセンサの温度上昇を抑えつつ、ノッキングを高精度に検出することを可能とする。
【解決手段】エンジン10は、内部にシリンダ15が形成されたシリンダブロック12と、シリンダ15を覆うようにシリンダブロック12に接続されたシリンダヘッド13とを備える。シリンダブロック12およびシリンダヘッド13の表面には、前記表面から突出する1または2以上のフィン33が設けられている。シリンダブロック12の表面には、前記表面から突出し且つフィン33の一部と連続するセンサ取付用ボス40が設けられている。センサ取付用ボス40に、ノッキングを検出するノックセンサが取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノッキングを検出するセンサが取り付けられた内燃機関およびそれを備えた鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関において、運転状態によってはノッキングが発生する場合がある。ノッキングは異音の発生や内燃機関の性能の低下等を招くため、できるだけ回避すべきである。従来から、ノッキングを検出するセンサ、すなわちノックセンサを内燃機関に取り付け、ノッキングを検出すると、点火時期を変更する等の対応をとることが知られている。
【0003】
ノッキングを高精度に検出するためには、ノッキングの発生箇所に近い位置にノックセンサを配置することが好ましい。特許文献1には、ノックセンサをシリンダブロックに取り付けた水冷エンジンが開示されている。
【0004】
ところで、水冷エンジンでは、シリンダブロックやシリンダヘッド等に、冷却水の流路、すなわちウォータジャケットを形成することが必要となる。また、冷却水を搬送するためのポンプや、冷却水を冷却するためのラジエータ等も必要となる。そのため、水冷エンジンは構造が複雑である。
【0005】
比較的小型の自動二輪車等に代表されるように、単気筒の内燃機関(以下、単気筒エンジンという)を備えた鞍乗型車両が知られている。単気筒エンジンは、多気筒エンジンに比べて構造が簡単であるという特長を有する。その特長を活かすために、単気筒エンジンでは、比較的簡素な冷却構造が望まれる。そこで従来から、シリンダブロックまたはシリンダヘッドにフィンを設け、シリンダブロックおよびシリンダヘッドの少なくとも一部を空気で冷却することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−301106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フィンを備えた空冷エンジンでは、シリンダブロック等はエンジン表面から冷却されることになる。ところが、水冷エンジンでは、シリンダブロック等はエンジンの表面よりも内側に配置されたウォータジャケットによって冷却される。ノックセンサはエンジンの表面にボスを設けて配置されるため、フィンを備えた空冷エンジンにボスを設けると、エンジンの冷却が不十分になり、その結果、ノックセンサの冷却が不十分になる場合がある。すなわち、エンジン表面よりも内側から冷却を行うことを前提とする前記従来技術を適用したのでは、ノックセンサの温度が高くなり、ノックセンサの信頼性が低下するおそれがある。一方、できるだけ温度の低い箇所にノックセンサを配置すべく、ノックセンサをノッキングの発生箇所から遠い箇所に配置したのでは、ノッキングを高精度に検出することは難しい。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ノックセンサが取り付けられた単気筒の内燃機関において、ノックセンサの温度上昇を抑えつつ、ノッキングを高精度に検出することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る内燃機関は、車両用の単気筒の内燃機関であって、内部にシリンダが形成されたシリンダブロックと、前記シリンダを覆うように前記シリンダブロックに接続されたシリンダヘッドと、を備え、前記シリンダブロックおよび前記シリンダヘッドの少なくとも一方の表面には、前記表面から突出する1または2以上のフィンと、前記表面から突出し且つ前記フィンの一部と連続するセンサ取付用ボスとが設けられ、前記センサ取付用ボスに、ノッキングを検出するセンサが取り付けられているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ノックセンサが取り付けられた単気筒の内燃機関において、ノックセンサの温度上昇を抑えつつ、ノッキングを高精度に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】第1実施形態に係るエンジンの一部分の右側面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿ったフィンおよびボス等の断面図である。
【図5】ボスおよびフィンの一部をボスの軸方向から見た図である。
【図6】ボス、センサおよびボルトの断面を模式的に表す断面図である。
【図7】第2実施形態に係るエンジンユニットに関する図2に相当する断面図である。
【図8】第3実施形態に係るフィンおよびボス等に関する図4に相当する断面図である。
【図9】第4実施形態に係るエンジンユニットに関する図2に相当する断面図である。
【図10】第5実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態に係る鞍乗型車両は、スクータ型の自動二輪車1である。自動二輪車1は本発明に係る鞍乗型車両の一例であるが、本発明に係る鞍乗型車両はスクータ型の自動二輪車1に限定される訳ではない。本発明に係る鞍乗型車両は、いわゆるモペット型、オフロード型、またはオンロード型等の他の型式の自動二輪車であってもよい。また、本発明に係る鞍乗型車両は、乗員が跨って乗車する任意の車両を意味し、二輪車に限られない。本発明に係る鞍乗型車両は、車体を傾けることによって進行方向を変える型式の三輪車等であってもよく、ATV(All Terrain Vehicle)等の他の鞍乗型車両であってもよい。
【0013】
以下の説明において、前、後、左、右は、それぞれ自動二輪車1の乗員から見た前、後、左、右を意味するものとする。図面に付した符号F、Re、L、Rは、それぞれ前、後、左、右を表す。
【0014】
自動二輪車1は、車両本体2と、前輪3と、後輪4と、後輪4を駆動するエンジンユニット5とを備えている。車両本体2は、乗員によって操作されるハンドル6と、乗員が着座するシート7とを備えている。エンジンユニット5は、いわゆるユニットスイング式のエンジンユニットであり、ピボット軸8を中心として揺動可能なように、図示しない車体フレームに支持されている。すなわち、エンジンユニット5は、車体フレームに対して揺動可能に支持されている。
【0015】
図2は、図1のII−II線断面図である。図2に示すように、エンジンユニット5は、本発明に係る内燃機関の一例としてのエンジン10と、Vベルト式無段変速機(以下、CVTという)20とを備えている。本実施形態では、エンジン10とCVT20とが一体となってエンジンユニット5を構成しているが、エンジン10と変速機とが別々であってもよいことは勿論である。
【0016】
エンジン10は、単一の気筒を備えたエンジン、すなわち単気筒エンジンである。エンジン10は、吸気行程、圧縮行程、燃焼行程、および排気行程を順次繰り返す4ストロークエンジンである。エンジン10は、クランクケース11と、クランクケース11から前方に延びるシリンダブロック12と、シリンダブロック12の前部に接続されたシリンダヘッド13と、シリンダヘッド13の前部に接続されたシリンダヘッドカバー14とを備えている。シリンダブロック12の内部には、シリンダ15が形成されている。
【0017】
なお、シリンダ15は、シリンダブロック12の本体(すなわち、シリンダブロック12のうちのシリンダ15以外の部分)内に挿入されたシリンダライナー等によって形成されていてもよく、シリンダブロック12の本体と一体化されていてもよい。言い換えると、シリンダ15は、シリンダブロック12の本体と分離可能に形成されていてもよく、シリンダブロック12の本体と分離できないように形成されていてもよい。シリンダ15内には、図示しないピストンが摺動自在に収容されている。
【0018】
シリンダヘッド13は、シリンダ15を覆っている。シリンダヘッド13には、図示しない凹部と、この凹部につながる図示しない吸気ポートおよび排気ポートとが形成されている。上記ピストンの頂面とシリンダ15の内周壁と上記凹部とにより、燃焼室が形成されている。上記ピストンは、コンロッド16を介してクランク軸17に連結されている。クランク軸17は左方および右方に延びており、クランクケース11内に収容されている。
【0019】
本実施形態では、クランクケース11、シリンダブロック12、シリンダヘッド13、およびシリンダヘッドカバー14は別体であり、互いに組み立てられている。しかし、必ずしもそれらは別体でなくてもよく、適宜に一体化されていてもよい。例えば、クランクケース11とシリンダブロック12とが一体的に形成されていてもよく、シリンダブロック12とシリンダヘッド13とが一体的に形成されていてもよい。また、シリンダヘッド13とシリンダヘッドカバー14とが一体的に形成されていてもよい。
【0020】
CVT20は、駆動側のプーリである第1プーリ21と、従動側のプーリである第2プーリ22と、第1プーリ21と第2プーリ22とに巻き掛けられたVベルト23とを備えている。クランク軸17の左端部は、クランクケース11から左方に突出している。第1プーリ21は、クランク軸17の左端部に取り付けられている。第2プーリ22はメイン軸24に取り付けられている。メイン軸24は、図示しないギア機構を介して後輪軸25に連結されている。なお、図2では、第1プーリ21の前側部分と後側部分とでは、変速比が異なる状態を表している。第2プーリ22についても同様である。クランクケース11の左方には、変速機ケース26が設けられている。CVT20は、変速機ケース26内に収容されている。
【0021】
クランク軸17の右側部分には、発電機27が設けられている。クランク軸17の右端部には、ファン28が固定されている。ファン28はクランク軸17と共に回転する。ファン28は、回転することによって空気を左方に吸引するように形成されている。クランクケース11の右方には、エアシュラウド30が配置されている。発電機27およびファン28は、エアシュラウド30内に収容されている。エアシュラウド30およびファン28は、主にシリンダブロック12およびシリンダヘッド13に対して空気を導く導風部材の一例である。エアシュラウド30には、吸入口31が形成されている。吸入口31はファン28の右方に位置している。図2の矢印Aのように、ファン28によって吸引された空気は、吸入口31を通じてエアシュラウド30内に導入され、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13等に供給される。
【0022】
図3は、エンジン10の一部分の右側面図である。図3に示すように、エアシュラウド30は、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13に沿うように、前方に延びている。エアシュラウド30は、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13の右側部分を覆っている。また、エアシュラウド30の一部は、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13の上側部分および下側部分の一部も覆っている。
【0023】
図3に示すように、本実施形態に係るエンジン10は、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13が水平方向または水平方向から若干前上がりに傾斜した方向に延びる型式のエンジン、すなわち、いわゆる横置き式のエンジンである。符号L1は、シリンダ15(図2参照)の中心を通る線(以下、シリンダ軸心という)を表している。シリンダ軸心L1は、水平方向または水平方向から若干傾斜した方向に延びている。ただし、シリンダ軸心L1の方向は特に限定される訳ではない。例えば、水平面に対するシリンダ軸心L1の傾斜角度は0〜15°であってもよく、それ以上であってもよい。
【0024】
本実施形態に係るエンジン10は、その全体が空気によって冷却される空冷エンジンである。図2に示すように、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13には、複数の冷却用のフィン33が形成されている。ただし、エンジン10は、冷却用のフィン33を備えつつ、その一部が冷却水によって冷却されるエンジンであってもよい。すなわち、エンジン10は、一部が空気によって冷却され且つ一部が冷却水によって冷却されるエンジンであってもよい。
【0025】
フィン33の具体的形状は特に限定される訳ではないが、本実施形態に係るエンジン10では、フィン33は以下のような形状に形成されている。すなわち、本実施形態に係るフィン33は、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13の表面から突出すると共に、シリンダ軸心L1と直交するように延びている。言い換えると、フィン33は、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13の表面に対して直交する方向に延びている。フィン33は、シリンダ軸心L1の方向に並んでいる。隣り合うフィン33の間には、間隔が設けられている。フィン33の間隔は一定であってもよく、一定でなくてもよい。
【0026】
本実施形態では、シリンダブロック12に形成されたフィン33は、シリンダブロック12の上面12a、右面12b、および下面12c(図3参照)に渡って形成されている。シリンダヘッド13に形成されたフィン33は、シリンダヘッド13の上面、右面、下面、および左面に渡って形成されている。ただし、フィン33は、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13の上面、右面、下面、および左面の少なくとも一部に形成されていればよく、その位置は特に限定される訳ではない。フィン33は、シリンダブロック12にのみ形成されていてもよく、シリンダヘッド13にのみ形成されていてもよい。
【0027】
複数のフィン33同士の厚みは、互いに等しい。ただし、フィン33によって厚みが異なっていてもよい。また、同一のフィン33において、その厚みは場所によらずに一定であってもよいが、場所によって異なっていてもよい。すなわち、フィン33の厚みは局所的に異なっていてもよい。
【0028】
本実施形態では、フィン33は平板状に形成されており、フィン33の表面は平面となっている。しかし、フィン33は湾曲していてもよく、フィン33の表面は曲面であってもよい。また、フィン33の形状は平板状に限定されず、例えば針状、半球状等の他の形状であってもよい。フィン33が平板状に形成されている場合、フィン33は必ずしもシリンダ軸心L1と直交する方向に延びている必要はなく、シリンダ軸心L1と平行な方向に延びていてもよい。また、フィン33は、シリンダ軸心L1に対して傾斜する方向に延びていてもよい。複数のフィン33の延伸方向は、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0029】
図2に示すように、シリンダブロック12の上面12aには、センサ取付用のボス40が形成されている。ボス40は、シリンダブロック12の上方に配置されている。言い換えると、ボス40は、エンジン本体(すなわち、エンジン10のうちボス40を除いた部分)の上方に配置されている。平面視において、ボス40はエンジン本体と重なる位置に配置されている。後述するように、シリンダヘッド13の上面には、吸気管35が接続されている。ボス40は、シリンダブロック12のうち、シリンダヘッド13の吸気管35が接続される側の面に対応する面に形成されている。なお、ボス40をシリンダヘッド13に形成することも可能である。ボス40は、シリンダヘッド13の上面に形成されていてもよく、シリンダヘッド13の吸気管35が接続される側の面に形成されていてもよい。
【0030】
図2において、符号19は吸気ポートを示している。図示は省略するが、吸気ポートは湾曲しながら下斜め後ろ向きに延びている。図2に示すように、ボス40の右端部は吸気ポート19の左端部よりも右方に位置し、ボス40の左端部は吸気ポート19の右端部よりも左方に位置している。すなわち、ボス40と吸気ポート19とは、左右方向に関して少なくとも一部が揃った位置に配置されている。言い換えると、ボス40の少なくとも一部と吸気ポート19の少なくとも一部とは、前後に並んでいる。ここでは、ボス40の中心および吸気ポート19の中心は、いずれもシリンダ軸線L1上に位置している。このように、ボス40の少なくとも一部と吸気ポート19の少なくとも一部とが左右方向に関して揃った位置にあることにより、ボス40に取り付けられるノックセンサ41を吸気ポート19によって、前方からの飛び石等から保護することができる。また、吸気ポート19に取り付けられる吸気管35により、ノックセンサ41を保護することができる。
【0031】
シリンダブロック12の左側部分には、チェーンケース99が設けられている。チェーンケース99の内部には、カムチェーンが配置されている。チェーンケース99の一部、すなわちシリンダブロック12の上面12aの左側部分には、カムチェーンテンショナ97が取り付けられる取付部96が設けられている。カムチェーンテンショナ97は、取付部96の孔に挿入され、カムチェーンに当接する。ボス40の後端部はカムチェーンテンショナ97の前端部よりも後方に位置し、ボス40の前端部はカムチェーンテンショナ97の後端部よりも前方に位置している。すなわち、ボス40とカムチェーンテンショナ97とは、前後方向に関して少なくとも一部が揃った位置に配置されている。言い換えると、ボス40の少なくとも一部とカムチェーンテンショナ97の少なくとも一部とは、左右に並んでいる。このことにより、上記取付部96およびカムチェーンテンショナ97によって、ボス40に取り付けられるノックセンサ41を保護することができる。
【0032】
ボス40は、肉厚の大きな円筒形状に形成されている。ボス40の上面は平坦な面となっている。ただし、後述するノックセンサ41を取り付けることができる限り、ボス40の形状は特に限定される訳ではない。ボス40は、フィン33と連続している。すなわち、ボス40とフィン33との間には、隙間は形成されていない。ボス40とフィン33とは一体的に形成されている。
【0033】
本実施形態では、ボス40は、3つのフィン33と連続している。ただし、ボス40と連続するフィン33の個数は3に限定される訳ではない。ボス40は複数のフィン33と連続していてもよく、1つのフィン33と連続していてもよい。フィン33の厚みは一定であってもよいが、図5に示すように、フィン33はボス40に向かって広がるような形状に形成されていてもよい。例えば、フィン33のうちボス40と連続している部分33aは、ボス40に向かうほど断面積が大きくなるように形成されていてもよい。フィン33のうちボス40と連続している部分33aは、ボス40に向かうほど幅が広くなるように形成されていてもよい。
【0034】
図2に示すように、ボス40は、平面視において、シリンダ軸心L1と重なる位置に形成されている。ボス40は、ボス40の中心の延長線L2(図3参照)とシリンダ軸心L1とが交差するような位置に形成されている。ただし、ボス40は、ボス40の中心の延長線L2とシリンダ軸心L1とが交差しないような位置に形成されていてもよい。例えばボス40は、ボス40の中心に沿った方向から見たときに、シリンダ15の内部とは重なるが、シリンダ軸心L1とは重ならないような位置に形成されていてもよい。なお、ボス40の中心に沿った方向から見たときに、シリンダ15の内部と重ならない位置にボス40を形成することも可能である。
【0035】
ボス40の前後の位置は特に限定されないが、本実施形態では、ボス40の中心C2がピストンの上死点TDCと下死点BDCとの中間点MCよりも下死点BDC側に位置するようになっている。下死点BDCのより近傍にボス40を配置することも可能である。逆に、ボス40の中心がピストンの上死点TDCと下死点BDCとの中間点MCよりも上死点TDC側に位置するようにボス40を配置することも可能である。
【0036】
図3に示すように、ボス40の高さは、フィン33の高さと等しくてもよい。また、ボス40の高さは、フィン33の高さよりも高くてもよい。すなわち、ボス40の一部は、フィン33よりも突出していてもよい。あるいは、ボス40の高さは、フィン33の高さよりも低くてもよい。図4に示すように、ボス40はシリンダヘッド12の上面12aと直交する方向に延びている。フィン33はシリンダヘッド12の上面12aと直交する方向に突出しているため、ボス40の突出方向とフィン33の突出方向とは平行となっている。
【0037】
図3に示すように、ボス40の上には、ノッキングを検出するノックセンサ41が取り付けられている。ノッキングが生じると、燃焼圧が急激に変動するので、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13等に特有の振動が生じる。ノックセンサ41として、振動を検出し、その振動を電気信号に変換して出力するセンサ等(例えば、圧電素子を備えたセンサ等)を好適に用いることができる。ただし、ノックセンサ41の種類は特に限定されない。
【0038】
ノックセンサ41の形状も特に限定されないが、本実施形態では、ノックセンサ41は上面および下面が平坦な環状に形成されている。ノックセンサ41は、ボルト42によってボス40に取り付けられている。図4に示すように、ノックセンサ41をボス40の上に置き、上方からボルト42をノックセンサ41およびボス40に差し込んだ後、ボルト42を締め付けることにより、ノックセンサ41を取り付けることができる。
【0039】
図6に模式的に示すように、ボス40には、ボルト42が挿入される固定孔40Aが形成されている。固定孔40Aは、螺旋状の溝が形成された雌ねじ部40aと、螺旋状の溝が形成されていない孔部40bとを備えている。孔部40bの内周面は、平滑面となっている。雌ねじ部40aは孔部40bよりも表面側に位置している。言い換えると、孔部40bは雌ねじ部40aよりも奥側に位置している。ボルト42を固定孔40Aに挿入して回転させると、ボルト42と雌ねじ部40aとが係合する。これにより、ボルト42がボス40に固定される。その結果、ボルト42によりノックセンサ41がボス40に固定される。
【0040】
固定孔40Aは螺旋状の溝が形成されていない孔部40bを備えているので、ボルト42の先端部42aは、固定孔40Aの最奥部にまでは到達しない。ボルト42の先端部42aとシリンダブロック12の表面との間には、空間98が形成される。この空間98は断熱作用を発揮する。空間98により、シリンダブロック12からボルト42への熱の移動を抑制することができる。
【0041】
ただし、ボルト42の固定方法は上述の方法に限定されない。他の固定方法として、例えば、予めボス40にボルト42(頭部がなく、軸部のみからなるボルト)を埋め込んでおき、そのボルト42にノックセンサ41およびナットを順に嵌め込んだ後、ナットを締め付けるようにしてもよい。
【0042】
図3に示すように、シリンダヘッド13の上面には、吸気管35が接続されている。吸気管35には、図示しないスロットル弁を収容したスロットルボディ36が接続されている。側面視において、ノックセンサ41は、吸気管35またはスロットルボディ36の下方に配置されている。吸気管35の前方には、燃料噴射弁37が配置されている。側面視において、ノックセンサ41は、吸気管35の燃料噴射弁37が配置された側と反対の側に配置されている。図示は省略するが、シリンダヘッド13の下面には、排気管が接続されている。
【0043】
前述したように、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13の内部には、燃焼室が形成されている。燃焼室内でノッキングが発生すると、そのノッキングに起因する振動が燃焼室からシリンダブロック12およびシリンダヘッド13等に伝播する。本実施形態によれば、ノックセンサ41は、シリンダブロック12に取り付けられている。ノックセンサ41は、燃焼室の近傍、言い換えると、ノッキングの発生箇所の近傍に配置されている。よって、ノックセンサ41によってノッキングを高精度に検出することが可能となる。
【0044】
ところが、燃焼室の近傍は、ノッキングの検出にとって好適な場所であるが、温度の高い場所でもある。シリンダブロック12は、クランクケース11と比べると、温度が高くなる傾向にある。そのため、ノックセンサ41を単にシリンダブロック12に設けただけでは、ノックセンサ41が高温のシリンダブロック12によって加熱され、ノックセンサ41の温度が高くなりすぎるおそれがある。しかし、ノックセンサ41の温度が高くなりすぎると、ノックセンサ41の寿命の低下等を招くおそれがある。
【0045】
燃焼室における燃焼によって発生する熱は、主として、シリンダブロック12からボス40を介してノックセンサ41に伝導される。すなわち、ノックセンサ41は主に、ボス40からの熱伝導によって加熱される。ところが、本実施形態に係るエンジン10によれば、ボス40はフィン33と連続している。そのため、ボス40の熱は、ボス40自体に滞留するのではなく、フィン33を通じて活発に放出される。したがって、ボス40の冷却性が高く、ボス40の温度が過剰に高くなることは防止される。よって、本実施形態によれば、ノックセンサ41がボス40によって加熱されにくくなるので、ノックセンサ41の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0046】
ボス40は1つのフィン33にのみ連続していてもよいが、本実施形態では、ボス40は複数のフィン33と連続している。そのため、ボス40をより効果的に冷却することができ、ノックセンサ41の温度上昇を更に抑制することが可能となる。
【0047】
本実施形態に係るエンジン10では、ファン28およびエアシュラウド30により、シリンダブロック12のフィン33等に空気を供給することとしている。そのため、フィン33等に対して、十分な量の空気を供給することができる。よって、フィン33等をより効果的に冷却することができ、ノックセンサ41の温度上昇を十分に抑制することができる。
【0048】
なお、自動二輪車1の走行に伴って、前方から空気が供給されることになる。ファン28およびエアシュラウド30を用いずに、走行に伴って発生する気流でフィン33等を冷却することも可能である。ただし、自動二輪車1が一時的に停止している際、すなわちアイドリングの際には、そのような気流は発生しない。本実施形態によれば、クランク軸17が回転している限り、ファン28によって空気を供給することができる。アイドリング時にもフィン33等に空気を供給することができるので、ノックセンサ41の温度上昇をより効果的に抑制することができる。
【0049】
図4に示すように、ボス40はシリンダブロック12の上面12aと直交する方向に延びている。シリンダブロック12の上面12a上に位置するフィン33は、上面12aと直交する方向に突出している。そのため、ボス40の突出方向は、フィン33の突出方向と平行である。ところで、ボス40がシリンダブロック12上に存在し且つフィン33と連続するように形成されていることから、ボルト42の占有面積の分だけ、フィン33の表面積は減少する。しかし、本実施形態によれば、ボス40の突出方向とフィン33の突出方向とが平行であるため、フィン33の表面積の減少を最小限に留めることができる。したがって、フィン33の冷却能力の減少を抑えることができるので、ボス40をより効果的に冷却することができる。よって、ノックセンサ41の温度上昇を効果的に抑えることができる。また、ボス40の突出方向とフィン33の突出方向とが平行であるため、ボス40をフィン33によって均一に冷却することができる。
【0050】
また、ボス40の突出方向とフィン33の突出方向とが平行であるため、ボス40の突出方向がフィン33の突出方向から傾いている場合に比べて、フィン33と一体化されたボス40を容易に製作することができる。例えば、ボス40およびフィン33をアルミダイキャストにより一体的に形成する場合、ボス40の孔の抜き加工が容易となる。
【0051】
図3に示すように、ノックセンサ41はフィン33よりも高い位置に配置されている。ノックセンサ41のシリンダブロック12の上面12aからの突出量は、フィン33のシリンダブロック12の上面12aからの突出量よりも大きくなっている。そのため、ノックセンサ41に対して、空気が当たりやすくなっている。供給された空気により、ノックセンサ41自体を効果的に冷却することができる。本実施形態によれば、ボス40からノックセンサ41への熱伝導を抑制すると共に、ノックセンサ41自体を効果的に冷却することができるので、ノックセンサ41の温度上昇を更に抑制することができる。
【0052】
図3に示すように、ボス40の中心を通る延長線L2とシリンダ軸心L1とは直交する。延長線L2とシリンダ軸心L1とが必ずしも交差する必要はないが、ボス40の突出方向は、シリンダ軸心L1と直交する仮想面と平行である。そのため、シリンダ軸心L1と直交する仮想面に対して傾斜する方向にボス40を突出させる場合に比べて、ボス40を容易に製作することができる。
【0053】
ところで、自動二輪車1の走行に伴って、地面から小石や泥等が跳ね上げられることがある。そのように跳ね上がられた小石等がボス40またはノックセンサ41に衝突すると、ノックセンサ41の取付状態が悪化したり、ノックセンサ41の故障を招くおそれがある。しかし、図2に示すように本実施形態によれば、ボス40またはノックセンサ41の周囲の一部は、フィン33によって囲まれている。そのため、フィン33により、跳ね上げられた小石等からボス40またはノックセンサ41を保護することができる。なお、フィン33の高さをボス40の高さよりも高くすれば、フィン33によってノックセンサ41を更に良好に保護することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、ボス40はシリンダブロック12の上面12aに設けられている。シリンダブロック12の上面12aは、左右の側面および下面に比べて、地面から跳ね上げられる小石等が当たりにくい。そのため、小石等がボス40またはノックセンサ41に当たることをより抑制することができる。
【0055】
なお、図3に示すように本実施形態では、ノックセンサ41の上方に吸気管35またはスロットルボディ36が配置されている。吸気管35やスロットルボディ36は、ノックセンサ41よりも強度の大きな部品である。万一、上方から落下物が落下してきたとしても、吸気管35またはスロットルボディ36により、ノックセンサ41を保護することができる。
【0056】
図2に示すように本実施形態によれば、ボス40は、ボス40の中心の延長線L2がシリンダ15内を通るような位置に配置され、特に、延長線L2がシリンダ軸心L1と交わるような位置に配置されている。そのため、ノックセンサ41は、ノッキングをより検出しやすい位置に配置されることになる。したがって、本実施形態によれば、ノックセンサ41の検出精度をより高めることができる。
【0057】
本実施形態によれば、ボス40はシリンダブロック12に設けられている。シリンダブロック12は、シリンダヘッド13に比べると温度が低い。そのため、ボス40をシリンダヘッド13に設ける場合に比べると、ボス40の温度を低く抑えることができる。よって、ノックセンサ41の温度上昇をより抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、図5に示すように、フィン33のうちボス40と連続している部分33aは、ボス40に向かうほど断面積が大きくなるように形成されている。そのため、フィン33は、ボス40から熱を奪いやすくなる。したがって、ボス40の冷却効率が向上し、ノックセンサ41の温度上昇を好適に抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、図6に示すように、ボス40の固定孔40Aは、螺旋状の溝が形成された雌ねじ部40aと、螺旋状の溝が形成されていない孔部40bとを備えている。センサ41を取り付けた際に、ボルト42の先端部42aとシリンダブロック12との間に空間98が形成されるので、シリンダブロック12からボルト42への熱の移動が抑制される。そのため、センサ41がボルト42を介してシリンダブロック12によって加熱されることを抑制することができ、センサ41の温度上昇を抑制することができる。
【0060】
本実施形態では、ファン28によって、フィン33等に対して強制的に空気を供給していた。しかし、ファン28は必ずしも必要ではない。前述したように、自動二輪車1の走行に伴って発生する前方からの気流によって、フィン33等を冷却してもよい。
【0061】
また、本実施形態では、フィン33等がエアシュラウド30によって覆われていた。しかし、エアシュラウド30は必ずしも必要ではない。フィン33等は外部に露出していてもよい。
【0062】
<第2実施形態>
図2に示すように、第1実施形態に係るエンジン10では、ボス40は、ボス40の中心の延長線L2がシリンダ軸心L1と交差するような位置に形成されていた。しかし、ボス40の位置は特に限定されない。図7に示すように、第2実施形態は、第1実施形態において、ボス40の位置を変更したものである。
【0063】
図7に示すように、本実施形態に係るエンジン10では、ボス40はシリンダ軸心L1から右方に偏倚している。なお、ボス40をシリンダ軸心L1から左方に偏倚することも可能である。
【0064】
ボス40の位置以外は、第1実施形態と同様である。そのため、その他の部分については、第1実施形態と同様の符号を付し、その説明は省略する。
【0065】
本実施形態においても、第1実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。シリンダブロック12およびシリンダヘッド13に対しては、エアシュラウド30の吸入口31から吸い込まれた空気が供給される。空気は前方に向かって流れると共に、右方から左方に向かって流れる。その際、空気はシリンダブロック12およびシリンダヘッド13を冷却するため、空気の温度は上昇していく。本実施形態によれば、ボス40はシリンダ軸心L1から右方に偏倚しているため、ボス40およびノックセンサ41に対して、より低温の空気が供給されることになる。したがって、ノックセンサ41の温度上昇をより一層抑制することができる。
【0066】
また、図3に示すように、シリンダヘッド13の上方には、吸気管35およびスロットルボディ36が配置されている。吸気管35およびスロットルボディ36は、シリンダ軸心L1の真上に配置されている。そのため、シリンダブロック12の上面12aにおけるシリンダ軸心L1の近傍部分では、吸気管35およびスロットルボディ36の影響により、空気の流れが淀んでしまう場合もある。そのような場合には、本実施形態のようにボス40の位置をシリンダ軸心L1から偏倚させることにより、ボス40およびノックセンサ41に対して、良好な流れの空気を供給することができる。
【0067】
<第3実施形態>
図4に示すように、第1実施形態に係るエンジン10では、ボス40の突出方向はフィン33の突出方向と平行であった。しかし、ボス40の突出方向は特に限定されない。図8に示すように、第3実施形態は、第1実施形態において、ボス40の突出方向を変更したものである。
【0068】
図8に示すように、本実施形態に係るエンジン10では、ボス40の突出方向D1は、フィン33の突出方向D2に対して傾斜している。ボス40は、鉛直方向から傾いた方向に延びている。なお、本実施形態では、ボス40の突出方向D1は右斜め上向きに傾斜しているが、左斜め上向きに傾斜させることも可能である。
【0069】
本実施形態では、第1実施形態と比べると、フィン33の表面積は減少する。しかし、ボス40とフィン33とが連続している部分(図8の線43で示される部分)は、第1実施形態に比べると大きくなる。そのため、ボス40からフィン33への熱伝導量を多くすることができる。本実施形態によれば、ボス40からフィン33に対して、より多くの熱を伝えることができる。また、ボス40からフィン33に対して、熱をより速く伝えることができる。
【0070】
<第4実施形態>
図2に示すように、第1実施形態に係るエンジン10では、ボス40はシリンダブロック12の上面12aに設けられていた。しかし、ボス40の位置は、シリンダブロック12の上面12aに限定されない。図9に示すように、第4実施形態は、ボス40をシリンダブロック12の右面12bに形成したものである。シリンダブロック12のシリンダ軸線L1よりも左方には、チェーンケース99が設けられている。ボス40は、シリンダブロック12のうち、チェーンケース99と反対側に形成されている。以下の説明では、第1実施形態と同様の部分には同様の符号を付し、その説明は省略する。
【0071】
本実施形態においても、エアシュラウド30の吸入口31から吸い込まれた空気は、前方に向かって流れると共に、右方から左方に向かって流れる。シリンダブロック12の右面12bには、比較的温度の低い空気が流れることになる。したがって、本実施形態によれば、ボス40およびノックセンサ41に対して、より低温の空気を供給することができる。本実施形態によれば、ボス40およびノックセンサ41の冷却効率を高めることができ、ノックセンサ41の温度上昇を更に抑制することができる。
【0072】
また、自動二輪車1が一時的に停止しているアイドリング時には、シリンダブロック12の熱が自然対流により上昇し、シリンダブロック12の上面12aは、左右の側面12b等よりも温度が高くなる傾向にある。本実施形態のように、ボス40をシリンダブロック12の右面12bに設けることにより、アイドリング時のノックセンサ41の温度上昇を抑制することができる。なお、本実施形態では、ボス40はシリンダブロック12の右面12bに設けられていたが、ボス40をシリンダブロック12の左面に設けることも可能である。ボス40は、チェーンケース99と同じ側に形成されていてもよい。
【0073】
<第5実施形態>
前記各実施形態に係るエンジン10は、シリンダ軸心L1が水平またはほぼ水平に延びる横置き式のエンジンであった。しかし、シリンダ軸心L1の方向は、水平またはほぼ水平に限定されない。図10に示すように、第5実施形態に係るエンジン50は、シリンダ軸心L1がほぼ垂直に延びるいわゆる縦置き式のエンジンである。シリンダ軸心L1の水平面からの傾斜角は、45°以上となっている。
【0074】
本実施形態に係る鞍乗型車両は、いわゆるオンロード型の自動二輪車1Aである。自動二輪車1Aは、ハンドル6およびシート7等を有する車両本体2と、前輪3と、後輪4とを備えている。後輪4は、伝動チェーン(図示せず)を介してエンジン50と接続されており、エンジン50によって駆動される。本実施形態では、エンジン50は車体フレーム9に揺動不能に固定されている。
【0075】
エンジン50は、クランクケース11と、クランクケース11から前方斜め上向きに延びるシリンダブロック12と、シリンダブロック12の上部に接続されたシリンダヘッド13と、シリンダヘッド13の上部に接続されたシリンダヘッドカバー14とを備えている。本実施形態においても、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13には、フィン33が形成されている。シリンダブロック12の後面にボス40が形成され、ボス40にはノックセンサ41が取り付けられている。ボス40は後方斜め上向きに突出している。ボス40の突出方向とフィン33の突出方向とは、平行である。ボス40は、複数のフィン33と連続している。
【0076】
本実施形態では、自動二輪車1Aの走行に伴い、エンジン50に対して前方から後方に向かって空気が流れる。シリンダブロック12およびシリンダヘッド13等は、前方からの空気によって冷却される。
【0077】
本実施形態においても、ボス40がフィン33と連続しているので、ボス40の冷却性を向上させることができる。本実施形態においても、ノックセンサ41の温度上昇を抑制することができる等、第1実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0078】
<その他の実施形態>
前記各実施形態では、ノックセンサ41を取り付けるためのボス40は、シリンダブロック12に形成されていた。しかし、ボス40はシリンダヘッド13に形成され、シリンダヘッド13のフィン33と連続していてもよい。ボス40をシリンダヘッド13に形成することにより、ノックセンサ41をノッキングの発生箇所に更に近づけることができ、ノッキングの検出精度をより一層向上させることができる。
【0079】
前記各実施形態では、エンジン10,50は空冷エンジンであった。しかし、前述したように、本発明に係るエンジンは、フィンを備えるものであれば足り、一部が冷却水によって冷却されるものであってもよい。例えば、シリンダヘッドにウォータジャケットが形成され、シリンダヘッドが冷却水によって冷却されるようになっていてもよい。フィンはシリンダブロックのみに形成されていてもよい。このような形態であっても、ノックセンサを取り付けるためのボスをフィンと連続するように設けることにより、前述の効果を得ることができる。
【0080】
前記各実施形態では、エンジン10,50は、4ストロークエンジンであった。しかし、本発明に係る内燃機関は、2ストロークエンジンであってもよい。
【0081】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前記各実施形態は例示にすぎず、ここで開示される発明には前述の各実施形態を様々に変形または変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
10 エンジン(内燃機関)
11 クランクケース
12 シリンダブロック
13 シリンダヘッド
14 シリンダヘッドカバー
15 シリンダ
33 フィン
40 ボス(センサ取付用ボス)
41 ノックセンサ(センサ)
L1 シリンダ軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の単気筒の内燃機関であって、
内部にシリンダが形成されたシリンダブロックと、
前記シリンダを覆うように前記シリンダブロックに接続されたシリンダヘッドと、を備え、
前記シリンダブロックおよび前記シリンダヘッドの少なくとも一方の表面には、前記表面から突出する1または2以上のフィンと、前記表面から突出し且つ前記フィンの一部と連続するセンサ取付用ボスとが設けられ、
前記センサ取付用ボスに、ノッキングを検出するセンサが取り付けられている、内燃機関。
【請求項2】
前記センサ取付用ボスの突出方向は、前記フィンの突出方向と平行である、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記センサ取付用ボスの突出方向は、前記フィンの突出方向に対して傾斜している、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記センサ取付用ボスの突出方向は、前記シリンダの軸心と直交する仮想面と平行である、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記センサの前記表面からの突出量は、前記フィンの前記表面からの突出量よりも大きい、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項6】
前記フィンは、前記センサ取付用ボスまたは前記センサの周囲の少なくとも一部を囲むように配置されている、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項7】
前記シリンダブロックおよび前記シリンダヘッドは、上面、下面、左面、および右面を有し、
前記センサ取付用ボスは、前記シリンダブロックまたは前記シリンダヘッドの上面に設けられている、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項8】
前記シリンダブロックおよび前記シリンダヘッドは、上面、下面、左面、および右面を有し、
前記センサ取付用ボスは、前記シリンダブロックまたは前記シリンダヘッドの左面または右面に設けられている、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項9】
前記センサ取付用ボスは、前記センサ取付用ボスの中心の延長線が前記シリンダの内部を通るような位置に配置されている、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項10】
前記センサ取付用ボスは、前記センサ取付用ボスの中心の延長線が前記シリンダの軸心と交わるような位置に配置されている、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項11】
前記フィンは、少なくとも前記シリンダブロックの表面に設けられ、
前記センサ取付用ボスは、前記シリンダブロックの表面に設けられている、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項12】
前記フィンは複数設けられ、
前記センサ取付用ボスは、複数のフィンと連続している、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項13】
前記フィンのうち前記ボスと連続している部分は、前記ボスに向かうほど断面積が大きくなるように形成されている、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項14】
前記ボスには、前記ボスに前記センサを固定するボルトが挿入される孔が形成され、
前記孔は、螺旋状の溝が形成された雌ねじ部と、前記雌ねじ部よりも奥側に位置し且つ螺旋状の溝が形成されていない孔部とを備えている、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項15】
請求項1に記載の内燃機関を備えた鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−24101(P2013−24101A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158623(P2011−158623)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)