説明

内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法

【課題】要求される内容が複雑に多様化している冷却水ポンプを適切に制御することにより、車両や内燃機関の様々な運転状態においても、内燃機関を最適な状態にすることができ、燃費の改善や、排気ガス性能の改善や、出力性能の向上を図ることができる内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法を提供する。
【解決手段】同一のエンジン回転数であっても吐出量を変化できる可変冷却水ポンプ13と前記可変冷却水ポンプ13を制御する制御装置を備えた内燃機関の冷却装置において、前記制御装置を、アイドル運転状態と減速運転状態と加速運転状態とそれ以外の通常運転状態に分けて前記可変冷却水ポンプ13の運転の制御を行うように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車エンジンや産業用エンジン等の内燃機関における、可変冷却水ポンプを備えた内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法に関し、より詳細には、内燃機関の運転状態に応じて、冷却水ポンプを内燃機関の効率が良く且つ最適となるように制御して、内燃機関の燃費性能を向上させることができる内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の内燃機関を使用する自動車用エンジンや産業用エンジン等における排気ガス規制は年々厳しくなってきている。これに加えて近年は世界的な地球温暖化への対応として、厳しい燃費規制も導入されている。これらに対応するため、最新の内燃機関(エンジン)はシリンダ内における燃焼を改善することで燃費を改善するための研究開発と共に、エンジン本体のフリクションを低減することで燃費を改善するための研究開発も同時に行われてきている。
【0003】
しかし、内燃機関の燃費を改善する手段としてのエンジン本体における燃焼効率の向上が限界に達していることから、近年はエンジン本体のフリクション低減のための研究開発が活発化している。特に、このエンジンフリクションの低減の研究の中で、従来のままの冷却水ポンプ(ウォーターポンプ)の運転では、無駄が多く、内燃機関が必要とする最適な仕事量となっていないことが問題となっている。
【0004】
つまり、通常、内燃機関に使用されている冷却水ポンプは、エンジン駆動部とギヤ又はベルト等によって連結され、エンジン駆動部の動力を直接伝達されて回転駆動されている。従って、一般的に、冷却水ポンプの回転数は、エンジン回転数に比例して増加している。
【0005】
一方、冷却水は内燃機関の各部分を冷却するために、冷却が必要な各部分に供給されているが、この冷却水ポンプの仕様及び流量の選定は、内燃機関の運転で一番厳しいエンジン全負荷運転条件に基づいて行われている。従って、内燃機関側に必要な冷却水の最適流量を考えると、各エンジン回転数と各エンジン負荷に応じて冷却水の流量が調整されるのが最適である。しかしながら、現状の冷却水ポンプではエンジン回転数に従って冷却水の供給量が決まってしまうために、内燃機関の運転状態によっては無駄な仕事をしていることになる。この無駄な仕事量を低減させ、燃費の改善を図ることが重要になってきている。
【0006】
そのため、冷却水ポンプを同一のエンジン回転数であっても吐出量を変化できるようにするという「冷却水ポンプの可変化」による燃費の改善が注目され、近年、冷却水ポンプの可変化に関して様々な装置やシステムが開発されている。例えば、電気を動力としてモータを回転させ、その先に冷却水ポンプを取り付けて羽を回転させる電気式冷却水ポンプ、通常の冷却水ポンプの先端に電磁クラッチを取り付けた電磁クラッチ式冷却水ポンプ、通常の機械式冷却水ポンプの羽の周りを金属板で覆い仕事量を変化させる機械式可変冷却水ポンプ、冷却水路を幾つかに分割し、それぞれに温度設定を変えたサーモスタットを配置させた機械式可変冷却水システム等がある。
【0007】
これに関連して、ウォータジャケットに流入する冷却流体の流入流量を、エンジンが極冷間状態にある場合に通常時流量とし、エンジンが少冷間状態にある場合に無くしまたは通常時流量よりも低減し、エンジンが温間状態にある場合に通常時流量とし、ヒータ経路は、少なくともエンジンが極冷間状態にある場合に流通可能にするエンジンの冷却装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
このように可変冷却水ポンプの開発が進んでいるが、その一方で、内燃機関に取り付けられた各装置が冷却水ポンプに要求する冷却水の流量も複雑化している。この冷却水ポンプに要求される様々な内容としては、「燃費」「排ガス性能」「出力性能」に関係するものがあり、これらを改善するための冷却水ポンプの最適作動制御が要求されている。
【0009】
「燃費」を改善するためには、無駄な冷却水ポンプの作動を停止させて、冷却水ポンプを駆動するためのエンジンフリクションを低減させる必要がある。また、内燃機関の温度を迅速に上昇させて、循環油の粘性を低下させる等してエンジンフリクションの低減を図る必要があり、この面から冷却水ポンプの最適制御が必要となる。
【0010】
また、「排ガス性能」に関しては、内燃機関における近年の厳しい排ガス規制に対応するためにEGRシステムが重要な役割を果たしているが、このEGRの効果にEGRクーラの冷却能力が大きな影響を及ぼしている。従って、高い排ガス性能を確保するためのEGRを適切に行うために、EGRクーラを効率良く冷却する必要があり、この面からも冷却水ポンプの最適制御が必要となる。
【0011】
更に、「出力性能」に関しては、最近の内燃機関では高い燃費性能の内燃機関の開発競争が盛んに行われており、この一つとして、小さい排気量の内燃機関を高出力化させるという、内燃機関のダウンサイジング化が進んでいる。これにより、エンジンフリクションの大きい大型の内燃機関に代わってエンジンフリクションの小さい小型の内燃機関を搭載することが可能となり、低燃費化を図ることができる。具体的には、従来の内燃機関の全負荷性能曲線よりも上に高出力化を達成させた内燃機関の全負荷性能曲線が描けることで、燃費の改善が可能となる。
【0012】
しかしながら、エンジン負荷が高くなることでエンジン各部の温度が上昇してしまうという問題がある。つまり、エンジン高出力化によりエンジン高負荷状態で冷却水の高流量化を要求される。これに対し、単純にこの要求のまま冷却水ポンプを大型化すると燃費が悪化するという問題が生じる。また、内燃機関が小型化したことで発進性能が不足するという問題もある。つまり、発進時には少しでもエンジンフリクションを減少したいとの要求がある。更に、車両の制動力を増強する補助ブレーキ装置に供給するために、冷却水の高圧化および高流量化が要求される場合もあるなど、冷却水ポンプに要求される内容が複雑に多様化しているという問題もある。
【0013】
つまり、冷却水ポンプの可変化が進んでいるが、冷却水ポンプに要求される内容が複雑に多様化しており、車両や内燃機関の様々な運転状態においても、内燃機関を最適な状態で運転するための冷却水ポンプの制御を行う必要があるにもかかわらず、現行の内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法ではこれら複雑な制御に対応できていないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−266196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、要求される内容が複雑に多様化している冷却水ポンプを適切に制御することにより、車両や内燃機関の様々な運転状態においても、内燃機関を最適な状態にすることができ、燃費の改善や、排気ガス性能の改善や、出力性能の向上を図ることができる内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するための本発明の内燃機関の冷却装置は、同一のエンジン回転数であっても吐出量を変化できる可変冷却水ポンプと該可変冷却水ポンプを制御する制御装置を備えた内燃機関の冷却装置において、前記制御装置を、アイドル運転状態と減速運転状態と加速運転状態とそれ以外の通常運転状態に分けて前記可変冷却水ポンプの運転の制御を行うように構成する。
【0017】
この可変冷却水ポンプとは、冷却水ポンプの回転数がエンジン回転数に比例するだけではなく、同一のエンジン回転数であってもON(運転)−OFF(運転停止)、又は、その吐出量を変化できる冷却水ポンプのことをいい、冷却水ポンプの先端に電磁式クラッチを設けてON−OFF可能にした電磁クラッチ式冷却水ポンプ、電動で回転数を任意に設定することができる電気式冷却水ポンプ(電動式冷却水ポンプ)、内燃機関の駆動軸と冷却水ポンプとの間に変速機を設けた機械式可変冷却水ポンプ等で構成することができる。従って、ここでの可変冷却水ポンプの吐出量の変化には、可変冷却水ポンプのON−OFFも含むことになる。
【0018】
この構成によれば、内燃機関の様々な運転状態に応じて、きめ細かく可変冷却水ポンプの吐出量を変化できるので、内燃機関にとって最適となる可変冷却水ポンプの総合的な制御を行うことができ、燃費の改善、排気ガス性能の改善、出力性能の向上を図ることができるようになる。
【0019】
また、上記の内燃機関の冷却装置において、前記可変冷却水ポンプを吐出量を増減できる可変冷却水ポンプで形成し、前記制御装置を、前記通常運転状態では、内燃機関の過熱状態を検出する温度センサの測定温度が予め設定された第1判定温度以下の場合には前記可変冷却水ポンプを第1運転状態とすると共に、前記測定温度が前記第1判定温度を超えた場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加する通常運転時制御を行い、前記アイドル運転状態では、前記測定温度が予め前記第1判定温度より高く設定された第2判定温度以下の場合には前記可変冷却水ポンプを前記第1運転状態とすると共に、前記測定温度が前記第2判定温度を超えた場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加するアイドル運転時制御を行い、前記減速運転状態では、燃料噴射がある場合には前記可変冷却水ポンプを前記第1運転状態とすると共に、燃料噴射が無くなった場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加する減速運転時制御を行い、前記加速運転状態では、前記測定温度が予め設定された第3判定温度以下の場合には前記可変冷却水ポンプを前記第1運転状態とすると共に、前記測定温度が前記第3判定温度を超えた場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加する加速運転時制御を行うように構成する。
【0020】
この第2判定温度と第3判定温度はそれぞれ第1判定温度よりも高い温度に設定されるが、第3判定温度は第2判定温度とは関係させずに設定される。そのため、第3判定温度が第2判定温度と同じであっても、異なっていてもよい。また、この第1運転状態とは、内燃機関の運転において、必要最小限の冷却水量で冷却水の循環を行うための可変冷却水ポンプの運転状態であり、測定温度の判定時までに予め設定される運転状態である。
【0021】
また、内燃機関の過熱状態を検出する温度センサが複数ある場合には、それらの温度センサで検出された温度を、それぞれの温度センサに対して予め設定された判定温度と比較し、それらの一つ、又は、幾つか、又は、全部が以下の場合に、内燃機関の過熱状態を検出する温度センサの温度が予め設定された判定温度以下であると判定する。また、この判定温度以下であると判定が成立しない時には、判定温度より大きいと判定する。
【0022】
なお、この判定が、これらの温度センサの温度の内の一つでもその判定温度以下になった時に判定温度以下と判定するか、又は、これらの温度センサの温度の内の幾つかがそれぞれの判定温度以下になった時に判定温度以下と判定するか、これらの温度センサの温度の全部が各判定温度以下になった時に判定温度以下と判定するかは、本発明では特に限定しないが、実際の制御では予め設定しておく。
【0023】
この構成によれば、通常運転状態では、内燃機関の過熱状態を検出する温度センサの測定温度が予め設定された第1判定温度以下の場合には可変冷却水ポンプを第1運転状態にしてできる限り燃費の改善を狙う。
【0024】
そして、アイドル運転状態においても、測定温度が第2判定温度以下の場合には、エンジン全体の温度が急激に上昇することは少ないため、可変冷却水ポンプを第1運転状態にして、できる限り燃費の改善を狙う。
【0025】
また、減速運転状態では、燃料噴射がある場合には、内燃機関の回転を維持するためやオイルポンプ等のアクセサリ(フリクション)の駆動のために必要な燃料が噴射されているということであり、燃料噴射のあるときには、できるだけ可変冷却水ポンプを回さない方がよいので、可変冷却水ポンプを第1運転状態にしてエンジンフリクションを低減し、燃費の低減を狙う。さらに、燃料噴射が無い場合は、可変冷却水ポンプの吐出量を第1運転状態より増加しても燃費に影響を及ぼさないため、また、内燃機関に対するダメージ低減のためにも、可変冷却水ポンプの吐出量を増加して、冷却水を循環させてエンジン全体の温度を安定させると共に、冷却で温度が低下した分だけ次の運転状態(例えば加速)での温度リミットに到達するまでの時間、即ち、冷却ポンプを回すまでの時間が長くなるため、燃費の改善を図ることができる。
【0026】
更に、加速運転状態においては、測定温度が第3判定温度以下では、可変冷却水ポンプを第1運転状態にしてエンジンフリクションを低減して、車両の発進動力性能、加速性能及び燃費を改善することができる。
【0027】
但し、これらの内燃機関の各運転状態に置いても、測定温度が各判定温度を越えた場合には、可変冷却水ポンプの吐出量を第1運転状態よりも増加して内燃機関の冷却を優先する。
【0028】
更に、上記の内燃機関の冷却装置において、前記可変冷却水ポンプの吐出量の増減を前記可変冷却水ポンプのON−OFFで行い、かつ、前記第1運転状態を前記可変冷却水ポンプの運転がOFFの状態とすると、ON−OFF制御の簡単な構成の可変冷却水ポンプを使用して、同様な効果を奏することができる。
【0029】
そして、上記の目的を達成するための本発明の内燃機関の冷却方法は、内燃機関の冷却装置に備えた可変冷却水ポンプの吐出量を、同一のエンジン回転数であっても内燃機関の運転状態によって変化できる内燃機関の冷却方法において、アイドル運転状態と減速運転状態と加速運転状態とそれ以外の通常運転状態に分けて前記可変冷却水ポンプの運転の制御を行うことを特徴とする方法である。
【0030】
また、上記の内燃機関の冷却方法において、前記可変冷却水ポンプを吐出量を増減して制御し、前記通常運転状態では、内燃機関の過熱状態を検出する温度センサの測定温度が予め設定された第1判定温度以下の場合には前記可変冷却水ポンプを第1運転状態とすると共に、前記測定温度が前記第1判定温度を超えた場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加する通常運転時制御を行い、前記アイドル運転状態では、前記測定温度が予め前記第1判定温度より高く設定された第2判定温度以下の場合には前記可変冷却水ポンプを前記第1運転状態とすると共に、前記測定温度が前記第2判定温度を超えた場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加し、前記減速運転状態では、燃料噴射がある場合には前記可変冷却水ポンプを前記第1運転状態とすると共に、燃料噴射が無くなった場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加し、前記加速運転状態では、前記測定温度が予め設定された第3判定温度以下の場合には前記可変冷却水ポンプを前記第1運転状態とすると共に、前記測定温度が予め設定された第3判定温度を超えた場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加する。
【0031】
更に、上記の内燃機関の冷却方法において、前記可変冷却水ポンプの吐出量の増減を前記可変冷却水ポンプのON−OFFで行い、かつ、前記第1運転状態を前記可変冷却水ポンプの運転がOFFの状態とする。
【0032】
これらの内燃機関の冷却方法によれば、上記の内燃機関の冷却装置と同様な作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法によれば、サーモスタット等による温度制御に加えて、可変冷却水ポンプの運転を、アイドル運転状態と減速運転状態と加速運転状態とそれ以外の通常運転状態に分けて制御するので、これらの総合的な制御により、内燃機関の各部分にとっての冷却効果と、この冷却に必要な可変冷却水ポンプの駆動力を、内燃機関の運転状態に合わせて最適な状態にすることができる。
【0034】
従って、車両や内燃機関の様々な運転状態において、複雑かつ多様化している冷却水の供給に対して、可変冷却水ポンプを適切に制御することで対応することができ、内燃機関の燃費の改善や、排気ガス性能の改善や、出力性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態の内燃機関の冷却水路の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施の形態の内燃機関の冷却方法の制御フローの一例を示す図である。
【図3】本発明の第2実施の形態の内燃機関の冷却方法の制御フローの一例を示す図である。
【図4】減速状態における可変冷却水ポンプの作動指示(1)と作動停止(0)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係る実施の形態の内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、車両搭載のディーゼルエンジンのみならず、車両搭載のその他の内燃機関や産業用の内燃機関や発電用の内燃機関等の内燃機関全般において適用できる。
【0037】
図1に内燃機関(エンジン)の冷却水路の構成の一例を示す。冷却水は、冷却水タンク11から冷却水供給路12を経由して可変冷却水ポンプ13によってオイルクーラ14に入り、サーモスタット15で、冷却水温度によって、冷却水流路16とラジエータ17経由で可変冷却水ポンプ13に戻ったり、冷却水流路16とラジエータ17を経由せずに、冷却水たまり18を経由して可変冷却水ポンプ13に戻ったりする。また、冷却水の一部はオイルクーラ14を冷却した後、冷却水流路19を経由してEGRクーラ20に入り、冷却水流路21を経由して可変冷却水ポンプ13に戻る。また、冷却水たまり18やEGRクーラ20にはエア抜き配管22、23が設けられている。
【0038】
本発明の第1の実施の形態の内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法では、可変冷却水ポンプ13を、ON−OFF制御可能に構成する。具体的には、一般的な冷却水ポンプの先端に電磁クラッチを取り付けた電磁クラッチ式冷却水ポンプの可変冷却水ポンプ13で構成する。
【0039】
この電磁クラッチ式可変冷却水ポンプは、内燃機関のコンプレッサに使用されている電磁クラッチを冷却水ポンプの駆動軸に取り付けたもので、電気信号により電磁クラッチ内に設置されたマグネットが作動することでマグネットプレートが吸引し、本体が作動する装置であり、同一のエンジン回転数であっても可変冷却水ポンプ13を、ON−OFFできる装置である。この電磁クラッチ式可変冷却水ポンプでは、ONの循環運転とOFFの循環停止の2パターンのみの運転となり、OFFの運転停止の場合は、冷却水は循環しない。
【0040】
更に、内燃機関の温度・性能を詳細に把握するために、内燃機関の冷却が重要な部分に温度センサを設けて温度を計測して、その測定温度に基づいて、可変冷却水ポンプ13をON−OFF制御するように構成する。この温度センサとしては、例えば、冷却水温度センサ、循環オイル温度センサ、排気ガス温度センサ、EGR冷却水温度センサ、排ガス温度センサ、ヘッド温度センサ、ボディ温度センサ等がある。
【0041】
また、EGRクーラに温度センサを設けて、その測定温度に基づいて可変冷却水ポンプ13をON−OFF制御するように構成すると、高いEGR率を維持できて、シリンダ内の燃焼で発生するNOxの発生量を低減でき、排ガス性能を改善することができる。
【0042】
つまり、内燃機関には早く温度を高めたい箇所と逆に温度を下げたい箇所があり、また、それらは逆に温度制限のリミット条件にもなるので、これらの温度を事前のエンジン試験によって最適な箇所と温度を明らかにして制御に使用する。
【0043】
さらに様々な内燃機関の運転モードに応じて要求される可変冷却水ポンプ13の制御に対し、事前に内燃機関の各部分に備えた各センサの検出結果とで制御マップを設定し、この制御マップを参照しながら各運転モードに合わせた細かい制御を行うことにより、内燃機関の燃費の改善、排ガス性能の改善、動力性能の改善を行うことができるようになる。
【0044】
そして、この可変冷却水ポンプ13を制御する制御装置は、可変冷却水ポンプ13の運転を、アイドル運転時と減速運転時と加速運転時とそれ以外の通常運転時に分けて、内燃機関の過熱状態を検出する温度センサの測定温度を予め設定又は予め設定された各判定温度と比較しながら制御するように構成される。
【0045】
この内燃機関の過熱状態を検出する温度センサが複数ある場合には、それらの温度センサで検出された温度を、それぞれの温度センサに対して予め設定された判定温度と比較し、それらの一つ、又は、幾つか、又は、全部がそれぞれの判定温度以下の場合に、内燃機関の過熱状態を検出する温度センサの測定温度が予め設定された判定温度以下であると判定する。また、この判定温度以下であると判定が成立しない時には、判定温度より大きいと判定する。
【0046】
また、この判定としては、次の三つの判定方法がある。一つ目は、これらの温度センサの温度の内の一つでもその判定温度以下になった時に判定温度以下と判定する。二つ目は、これらの温度センサの温度の内の幾つかがそれぞれの判定温度以下になった時に判定温度以下と判定する。三つ目は、これらの温度センサの温度の全部がそれぞれの判定温度以下になった時に判定温度以下と判定する。これらのいずれの判定方法を選択するかは、内燃機関によるが、実際の制御では、いずれかの判定方法を予め選択し、それに対応した判定温度の算出方法等の判定基準を設定しておく必要がある。
【0047】
この内燃機関の冷却方法について、図2の制御フローを参照しながら説明する。この図2の制御フローは内燃機関の運転開始と共に、上位に制御フローから呼ばれて、実施され、内燃機関の運転停止と共に、割り込みが生じて、上位の制御フローにリターンして、上位の制御フローの終了と共に終了するものとして示してある。
【0048】
内燃機関が運転開始されると、それと共に、図2の制御フローが呼ばれて、この制御フローがスタートし、ステップS11でエンジンの各種情報を取得する。この各種情報の中には、エンジン回転数、燃料噴射量、内燃機関の過熱状態を検出する温度センサの検出値である測定温度Tm等がある。
【0049】
制御装置は、アイドル運転状態と減速運転状態と加速運転状態とそれ以外の通常運転状態に分けて制御する。そのため、図2の制御フローのステップS12のアイドル運転状態あるか否かの判定と、ステップS13の減速運転状態であるか否かの判定と、ステップS14の加速運転状態であるか否かの判定とを行う。ステップS12、S13、S14の判定でいずれも否の場合(NO)は、通常運転状態であると判定して、ステップS15に行き、通常運転時制御を行う。
【0050】
このステップS15では、測定温度Tmが予め設定された第1判定温度Ta以下であるか否かの判定を行い、測定温度Tmが第1判定温度Ta以下の場合(YES)には、ステップS20に行き、電磁クラッチをOFFにして可変冷却水ポンプ13の運転を停止し、即ち、可変冷却水ポンプ13をOFFする制御を行い、ステップS11に戻る。
【0051】
また、ステップS15で測定温度Tmが第1判定温度Taを超えた場合(NO)には、ステップS30に行き、エンジン回転数と燃料噴射量の検出値に基づいて、予め設定した制御マップを参照して、電磁クラッチをON−OFFして可変冷却水ポンプ13を運転及び運転停止の動作をさせる制御を行い、ステップS11に戻る。
【0052】
このステップS15の通常運転時制御では、測定温度Tmが第1判定温度Taを超えた場合(NO)には、ステップS30でエンジン回転数と燃料噴射量で決定されるエンジン運転状態に応じて、電磁クラッチのON−OFF動作の時間を調整し、可変冷却水ポンプ13の運転時間と停止時間を調整する。つまり、この運転状態のために用いる通常運転時制御用の「定常用の停止期間マップ」等を使用して、内燃機関の運転状態とそのときの状態にあわせて、可変冷却水ポンプ13を制御して、できるかぎり燃費の低減を狙う。
【0053】
この通常運転時制御は、基本的なエンジン制御マップを制御装置に入力しておき、内燃機関の運転時に、エンジン回転数センサ(図示しない)からエンジン回転数(エンジン回転速度)を検出し、燃料噴射量を検出して、事前の内燃機関の試験結果、計測結果や計算シミュレーション結果等に基づいて予め設定された基本的なエンジン制御マップに基づく可変冷却水ポンプ制御用マップを参照して、電磁クラッチのON、OFFを算出して、可変冷却水ポンプ13の運転を操作する。
【0054】
これらの可変冷却水ポンプ制御用マップ(基本マップ)により、内燃機関にとって最適な状態に作動させることが可能な制御システムとなる。この制御では、この可変冷却水ポンプ制御用マップを有効に利用して可変冷却水ポンプ13を作動させることができ、必要十分な冷却水の流量で内燃機関1の各部分を冷却することができるようになる。
【0055】
つまり、内燃機関1の冷却が重要な部分に温度センサを設けて温度を計測して、その温度に基づいて、可変冷却水ポンプ13の吐出量を増減する制御を行うので、これにより必要十分な冷却水の流量で内燃機関1の各部分を冷却して迅速に内燃機関1にとって最適な状態にできるので、可変冷却水ポンプ13の作動効率と冷却効率を向上し、燃費を改善することができる。
【0056】
また、ステップS12の判定で、アイドル運転状態であると判定された場合(YES)は、ステップS12aに行き、アイドル運転時制御を行う。このステップS12aでは、測定温度Tmが予め設定された第2判定温度Tb以下であるか否かを判定する。この第2判定温度Tbは第1判定温度Taよりも高い温度に設定される。この判定で測定温度Tmが第2判定温度Tb以下の場合(YES)には、ステップS20に行き、電磁クラッチをOFFにして可変冷却水ポンプ13の運転を停止する制御を行い、ステップS11に戻る。また、ステップS12aの判定で、測定温度Tmが第2判定温度Tbを超えた場合(NO)には、ステップS30で可変冷却水ポンプ13をONとする制御を行い、ステップS11に戻る。
【0057】
このアイドル運転状態では、内燃機関全体の温度が大きく上がることは少ないため、測定温度Tmが第2判定温度Tb以下の場合に可変冷却水ポンプ13をOFFとし、できる限り燃費の低減を狙う。
【0058】
また、ステップS13の判定で、減速運転状態ではないと判定された場合(NO)、または、燃料噴射量がゼロでないと判定された場合(NO)はステップS14に行き、減速運転状態でかつ燃料噴射量がゼロであると判定された場合(YES)は、減速運転時制御を行うとして、ステップS30で可変冷却水ポンプ13をONとする制御を行い、可変冷却水ポンプ13を運転してステップS11に戻る。この減速運転状態で用いる電磁クラッチの制御マップの例を図4に示す。「1」表示がONを、「0」表示がOFFを示す。
【0059】
この減速運転状態で燃料噴射が無い場合は、車両の減速時や車両を制動してエンジンブレーキを作動させている状態が多いので、制御装置から内燃機関の燃料噴射装置に実際に指示している燃料噴射量を用いることで、確実に燃料が噴射されていない車両の減速時及び制動状態を把握して、電磁クラッチをONにして可変冷却水ポンプ13を運転して内燃機関の制動力の増加の一助とすることができる。
【0060】
つまり、冷却というのは基本的には内燃機関にとっては必要なものであるため、冷却水温度が異常に低い場合、即ち、冷却し過ぎる場合を除いては、燃費に影響のない状態では積極的に可変冷却水ポンプ13を運転して、内燃機関の温度上昇を抑え、安定させる。なお、この減速運転状態において燃料噴射が有る場合には、ステップS20で電磁クラッチをOFFにして可変冷却水ポンプ13を停止してエンジンフリクションを低減する。
【0061】
更に、ステップS14の判定で、加速運転状態であると判定された場合(YES)は、ステップS14aに行き、加速運転時制御を行う。この加速運転状態では、測定温度Tmが予め設定された第3判定温度Tc以下であるか否かの判定を行う。この第3判定温度Tcは第1判定温度Taより高く設定されるが、第2判定温度Tbとは関係させずに設定される。そのため、第3判定温度Tcが第2判定温度Tbと同じであっても、異なっていてもよい。
【0062】
このステップS14aの判定で、測定温度Tmが第3判定温度Tc以下の場合(YES)には場合には、ステップS20で可変冷却水ポンプ13をOFFとする制御を行い、ステップS11に戻る。このステップS14aの判定で測定温度Tmが第3判定温度Tcを超えた場合(NO)には、ステップS30で可変冷却水ポンプ13をONとする制御を行い、ステップS11に戻る。
【0063】
このステップS14の加速運転状態であるか否かの判定においては、燃料噴射量の所定の経過時間における増加量と閾値との比較や、単純に前後する時間における噴射量の比較等によって、内燃機関の加速状態を把握する。また、この加速判定をトリガーとして使用し、この加速判定の時刻からその後一定時間(予め設定した)を経過するまでの時刻の間を、ここでいう「加速運転状態にある」と判定するようにしてもよい。
【0064】
このステップS14で、加速運転状態であると判定された場合は、測定温度Tmによって電磁クラッチをON−OFFさせて可変冷却水ポンプ13のON(運転)又はOFF(運転停止)させる。つまり、内燃機関の加速運転状態の判定と測定温度Tmの判定に基づいて可変冷却水ポンプ13を運転又は運転停止する制御を行う。
【0065】
そして、加速運転状態では、測定温度Tmが第3判定温度Tc以下のときは電磁クラッチをOFFにして可変冷却水ポンプ13を停止してエンジンフリクションを低減して、車両の発進動力性能、加速性能及び燃費を改善する。また、加速運転状態で測定温度Tmが第3判定温度Tcより高い場合には、可変冷却水ポンプ13を運転して冷却水を供給して内燃機関の冷却能力を増加させる。これにより、高負荷状態の内燃機関の各部分に十分な冷却水を供給して、過熱を防止する。
【0066】
この図2の制御フローによれば、内燃機関の運転状態と測定温度Tm、燃料噴射量の有無によって、ステップS11〜S20、S11〜S30のいずれかを実施しては、ステップS11に戻り、ステップS11〜S20、S11〜S30のいずれかを繰り返す。そして、内燃機関の運転停止が入力されると、図2の制御フローに、ステップS40の割り込みが生じて、上位の制御フローにリターンし、内燃機関の停止に伴う上位の制御フローの終了と共に、この図2の制御フローも終了する。
【0067】
この図2の制御フローに従って実施される内燃機関の冷却方法によれば、内燃機関の様々な運転状態に応じて、きめ細かく可変冷却水ポンプ13を運転(ON)又は停止(OFF)して、可変冷却水ポンプ13の吐出量を変化でき、必要に応じて冷却水をEGRクーラ等の内燃機関の各部分に供給することができるので、内燃機関にとって最適となる可変冷却水ポンプ13の総合的な制御を行うことができる。これにより、可変冷却水ポンプ13の作動効率と冷却効率が向上するので燃費を改善できる。その結果、燃費の改善、排気ガス性能の改善、出力性能の向上を図ることができる。
【0068】
次に、第2の実施の形態の内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法について説明する。この第2の実施の形態の内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法では、可変冷却水ポンプ13を、電気式冷却水ポンプなど、同一のエンジン回転数において、連続的または段階的に吐出量を変更できる可変冷却水ポンプで構成する点と、可変冷却水ポンプ13をOFFする代わりに、可変冷却水ポンプ13を第1運転状態とする点と、可変冷却水ポンプ13をONする代わりに、可変冷却水ポンプ13の吐出量を第1運転状態より増加する点とが、第1の実施の形態の内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法と異なる。
【0069】
制御フローに関しては、第1の実施の形態の内燃機関の冷却方法の図2の制御フローのステップS20の「可変冷却水ポンプをOFFする。」とS30「可変冷却水ポンプをONする。」が、第2の実施の形態の内燃機関の冷却方法の図3の制御フローでは、ステップS20A「可変冷却水ポンプを第1運転状態とする」とS30A「可変冷却水ポンプの吐出量を第1運転状態より増加する」にそれぞれ変更となる。
【0070】
このステップS20Aの第1運転状態は、内燃機関の運転において、必要最小限の冷却水量で冷却水の循環を行うための可変冷却水ポンプ13の運転であり、予め設定される運転状態である。また、ステップS30Aの可変冷却水ポンプ13の吐出量を第1運転状態より増加する制御は、可変冷却水ポンプ13の回転数変化等で吐出量を増加させる制御である。
【0071】
なお、この第2の実施の形態の制御の第1運転状態として、可変冷却水ポンプ13が停止(OFF)している状態を選択することもできるが、この場合は、第2の実施の形態の制御が第1の実施の形態の制御に近い制御になるが、第2の実施の形態の制御では可変冷却水ポンプ13を単にONするだけでなく、可変冷却水ポンプ13の吐出量を増加したり、増減したりする、よりきめ細かい制御をすることが可能となる。
【0072】
従って、この構成によれば、内燃機関の様々な運転状態に応じて、可変冷却水ポンプ13の吐出量をきめ細かく変化でき、必要かつ十分な冷却水をEGRクーラ等の内燃機関の各部分に供給することができ、内燃機関にとって最適となる可変冷却水ポンプ13の総合的な制御を行うことができる。これにより、可変冷却水ポンプ13の作動効率と冷却効率が著しく向上するので燃費を著しく改善できる。その結果、燃費の改善、排気ガス性能の改善、出力性能の向上をより図ることができる。
【0073】
上記の内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法によれば、サーモスタット等による温度制御に加えて、可変冷却水ポンプ13の運転を、アイドル運転状態と減速運転状態と加速運転状態とそれ以外の通常運転状態に分けて制御するので、これらの総合的な制御により、内燃機関の各部分にとっての冷却効果と、この冷却に必要な可変冷却水ポンプの駆動力を、内燃機関の運転状態に合わせて最適な状態にすることができる。
【0074】
また、上記の可変冷却水ポンプ13の制御により、低温始動時及び低温運転状態における燃費の改善、車両の発進動力性能と加速性能の改善、内燃機関の暖機時間の低減による燃費の改善、加速判定を使用した可変冷却水ポンプ13の仕事量の低減制御による燃費の改善、燃料を噴射しない減速状態における可変冷却水ポンプ13の積極的な作動制御による燃費の改善等を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法は、サーモスタット等による温度制御に加えて、可変冷却水ポンプの運転を、アイドル運転状態と減速運転状態と加速運転状態とそれ以外の通常運転状態に分けて制御して、これらの総合的な制御により、内燃機関の各部分にとっての冷却効果と、この冷却に必要な冷却水ポンプの駆動力を、内燃機関の運転状態に合わせて最適な状態にすることができるので、自動車に搭載する内燃機関や建設機械用や発電用の内燃機関等の広範囲の内燃機関において利用できる。
【符号の説明】
【0076】
11 冷却水タンク
12 冷却水供給路
13 可変冷却水ポンプ
14 オイルクーラ
15 サーモスタット
17 ラジエータ
18 冷却水たまり
20 EGRクーラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一のエンジン回転数であっても吐出量を変化できる可変冷却水ポンプと該可変冷却水ポンプを制御する制御装置を備えた内燃機関の冷却装置において、前記制御装置を、アイドル運転状態と減速運転状態と加速運転状態とそれ以外の通常運転状態に分けて前記可変冷却水ポンプの運転の制御を行うように構成したことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
【請求項2】
前記可変冷却水ポンプを吐出量を増減できる可変冷却水ポンプで形成し、
前記制御装置を、
前記通常運転状態では、内燃機関の過熱状態を検出する温度センサの測定温度が予め設定された第1判定温度以下の場合には前記可変冷却水ポンプを第1運転状態とすると共に、
前記測定温度が前記第1判定温度を超えた場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加する通常運転時制御を行い、
前記アイドル運転状態では、前記測定温度が予め前記第1判定温度より高く設定された第2判定温度以下の場合には前記可変冷却水ポンプを前記第1運転状態とすると共に、前記測定温度が前記第2判定温度を超えた場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加するアイドル運転時制御を行い、
前記減速運転状態では、燃料噴射がある場合には前記可変冷却水ポンプを前記第1運転状態とすると共に、燃料噴射が無くなった場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加する減速運転時制御を行い、
前記加速運転状態では、前記測定温度が予め設定された第3判定温度以下の場合には前記可変冷却水ポンプを前記第1運転状態とすると共に、前記測定温度が前記第3判定温度を超えた場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加する加速運転時制御を行うように構成したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の冷却装置。
【請求項3】
前記可変冷却水ポンプの吐出量の増減を前記可変冷却水ポンプのON−OFFで行い、かつ、前記第1運転状態を前記可変冷却水ポンプの運転がOFFの状態とすることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の冷却装置。
【請求項4】
内燃機関の冷却装置に備えた可変冷却水ポンプの吐出量を、同一のエンジン回転数であっても内燃機関の運転状態によって変化できる内燃機関の冷却方法において、アイドル運転状態と減速運転状態と加速運転状態とそれ以外の通常運転状態に分けて前記可変冷却水ポンプの運転の制御を行うことを特徴とする内燃機関の冷却方法。
【請求項5】
前記可変冷却水ポンプの吐出量を増減して制御し、
前記通常運転状態では、内燃機関の過熱状態を検出する温度センサの測定温度が予め設定された第1判定温度以下の場合には前記可変冷却水ポンプを第1運転状態とすると共に、
前記測定温度が前記第1判定温度を超えた場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加する通常運転時制御を行い、
前記アイドル運転状態では、前記測定温度が予め前記第1判定温度より高く設定された第2判定温度以下の場合には前記可変冷却水ポンプを前記第1運転状態とすると共に、前記測定温度が前記第2判定温度を超えた場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加し、
前記減速運転状態では、燃料噴射がある場合には前記可変冷却水ポンプを前記第1運転状態とすると共に、燃料噴射が無くなった場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加し、
前記加速運転状態では、前記測定温度が予め設定された第3判定温度以下の場合には前記可変冷却水ポンプを前記第1運転状態とすると共に、前記測定温度が前記第3判定温度を超えた場合には前記可変冷却水ポンプの吐出量を前記第1運転状態よりも増加することを特徴とする請求項4記載の内燃機関の冷却方法。
【請求項6】
前記可変冷却水ポンプの吐出量の増減を前記可変冷却水ポンプのON−OFFで行い、かつ、前記第1運転状態を前記可変冷却水ポンプの運転がOFFの状態とすることを特徴とする請求項5記載の内燃機関の冷却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−100724(P2013−100724A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243522(P2011−243522)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)