説明

内燃機関用点火制御装置

【課題】内燃機関の排気温度を目標排気温度附近に安定に保持する制御を行うことができるようにした内燃機関用点火制御装置を提供する。
【解決手段】排気温度が目標排気温度未満である状態で排気温度制御モードが選択されたときに、排気温度が初めて目標排気温度に達するまでの間、内燃機関の点火時期を設定された最大遅角点火時期まで遅角させて排気温度を速やかに目標排気温度まで上昇させ、機関の排気温度が一度目標排気温度を超えた後は、排気温度が目標排気温度未満になったときに、単位時間当たりの遅角量または進角量を排気温度と目標排気温度との偏差に見合った大きさとして、点火時期を遅角または進角させることにより、排気温度を目標排気温度附近に保つ制御を行う排気温制御用点火制御手段9を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を駆動する内燃機関の点火時期を制御する内燃機関用点火制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関においては、排気管内のガス流の慣性効果を利用することにより充填効率を高め、出力の向上を図ることができる。排気管内のガス流の慣性効果は排気温度の影響を受けるため、機関の出力を向上させるためには、慣性効果を効果的に利用することができるように排気温度を制御することが望ましい。機関の排気温度は、機関の点火時期を変えることにより制御することができる。一般の内燃機関では、機関の点火時期を遅角させると排気温度が上昇し、点火時期を進角させると排気温度が低下する。
【0003】
内燃機関においては、その出力の向上を図るために、所定の回転速度領域において点火時期を進角させることが必要とされるが、上記のように、機関の出力を向上させるためには排気温度をも考慮することが必要であるため、機関の出力の向上を図るためには、排気温度をも制御条件に入れて、回転速度と排気温度との双方に対して点火時期を制御することが望ましい。そのため、特許文献1や特許文献2に示されているように、機関の回転速度の上昇に伴って点火時期を進角させる制御において、排気温度が望ましい温度範囲よりも低下したときに、点火時期を遅れ側に補正して排気温度を上昇させる制御が行われている。
【0004】
上記のように、排気温度を、排気管内のガス流の慣性効果を高めるのに適当な範囲に保つと、機関の出力を向上させることができるので、車両を駆動する内燃機関において、車両を発進させる前に排気温度を適正な目標温度(例えば500℃)に保持しておくと、発進直後からエンジンの出力を向上させることができる。
【0005】
特許文献2に示された発明では、車両の発進前に、点火時期を定常運転時の最小進角点火時期(最も進角度が小さい点火時期)よりも更に遅角した最大遅角点火時期まで遅角させることにより排気温度を目標排気温度に向けて上昇させる最大遅角点火制御と、排気温度が目標温度を超えたときに、点火時期を上記最大遅角点火時期よりも進角した最小進角点火時期として排気温度の上昇を止める最小進角点火制御とを繰り返し行わせることにより、排気温度を目標温度附近に保つ制御を行わせている。
【特許文献1】特公平7−37767号公報
【特許文献2】特開2005−16430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に示された発明のように、最大遅角点火制御と、最小進角点火制御とを繰り返し行わせるようにした場合には、排気温度が目標排気温度を下回ったときに点火時期をいきなり最大遅角点火時期まで遅角させるため、排気温度が急激に上昇して目標排気温度を大きく超えてしまうことがあり、排気温度をきめ細かく制御することが難しいという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、排気温度を目標排気温度に保つ制御を行う際に、排気温度をきめ細かく制御して、排気温度の変動範囲が大きくなるのを防ぐことができるようにした内燃機関用点火制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車両を駆動する内燃機関の排気温度を検出する排気温度センサと、各種の制御条件に対して内燃機関の点火時期を制御する点火時期制御部と、内燃機関の点火時期の制御モードを排気温度制御モードとするか定常時制御モードとするかを選択する制御モード選択スイッチとを備えた内燃機関用点火制御装置に係わるものである。
【0009】
本発明が対象とする内燃機関用点火制御装置では、上記点火時期制御部が、排気温度制御モードが選択されているときに排気温度センサにより検出される排気温度を目標排気温度に保つように点火時期を制御する排気温制御用点火制御手段と、定常時制御モードが選択されているときに内燃機関の点火時期を定常運転時に適した点火時期とするように制御する定常時点火制御手段とを備えている。
【0010】
本発明においては、排気温制御用点火制御手段が、排気温度センサにより検出された排気温度と目標排気温度との偏差を演算する排気温度偏差演算手段と、排気温度センサにより検出される排気温度が目標排気温度を超えたことがない状態で排気温度制御モードが選択されたときに該排気温度が目標排気温度に達したことが初めて検出されるまでの間点火時期を許容される範囲で最も遅角した点火時期である最大遅角点火時期とする制御を行う初期排気温上昇用点火制御手段と、検出された排気温度が一度目標排気温度を超えた後に排気温度を目標排気温度附近に保つように点火時期を制御する排気温度保持用点火制御手段とを備えている。
【0011】
上記排気温度保持用点火制御手段は、検出された排気温度が目標排気温度未満であるときに、単位時間当たりの遅角量を偏差の大きさに見合った大きさとして点火時期を遅角させる制御と、検出された排気温度が目標排気温度以上であるときに、単位時間当たりの進角量を偏差の大きさに見合った大きさとして点火時期を進角させる制御とを行うことにより前記排気温度を目標排気温度附近に保つように構成されている。
【0012】
上記のように、本発明においては、排気温度が目標排気温度を一度も超えたことがない状態で排気温度制御モードが選択されたときに、排気温度が初めて目標排気温度に達するまでの間、内燃機関の点火時期を設定された最大遅角点火時期とする制御を行う。
【0013】
このような制御を行うと、排気温度制御が開始された後、機関の排気温度を速やかに目標排気温度まで上昇させて、内燃機関から高出力を発生させ得る状態にすることができ、車両を発進させる前の準備時間を短くすることができる。
【0014】
また上記のように、本発明においては、機関の排気温度が一度目標排気温度を超えた後は、排気温度が目標排気温度未満になったときに、点火時期をいきなり最大遅角点火時期まで遅角させたり、排気温度が目標排気温度以上になったときに、点火時期を最大遅角点火時期よりも大幅に進角した点火時期までいきなり進角させたりするのではなく、単位時間当たりの遅角量または進角量を排気温度と目標排気温度との偏差に見合った大きさとして、点火時期を遅角または進角させることにより、排気温度を目標排気温度附近に保つ制御を行う。
【0015】
このような制御を行うと、排気温度が目標排気温度を大きく超えたり、目標排気温度を大きく下回ったりする状態を生じさせることなく、排気温度を目標排気温度附近に安定に保持させることができる。
【0016】
本発明の好ましい態様では、上記排気温制御用点火制御手段が、内燃機関のクランク軸が1回転する毎に設定されたクランク角位置で前記排気温度センサにより検出された排気温度をサンプリングする排気温度サンプリング手段と、排気温度サンプリング手段によりサンプリングされた排気温度の今回のサンプル値と目標排気温度との偏差を演算する排気温度偏差演算手段と、排気温度サンプリング手段によりサンプリングされた排気温度の今回のサンプル値が目標排気温度以上であるか否かを判定する第1の排気温度判定手段と、第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が目標排気温度未満であると判定された時に、今までに排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたことがあるか否かを判定する第2の排気温度判定手段と、第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が前記目標排気温度以上であると判定された時に、排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたのは今回が初めてであるか否かを判定する第3の排気温度判定手段と、第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が前記目標排気温度未満であると判定され、第2の排気温度判定手段により、今までに排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたことがないと判定されたときに排気温度が目標排気温度に達したことが初めて検出されるまでの間内燃機関の点火時期を許容される範囲で最も遅角した点火時期である最大遅角量点火時期とするように制御する初期排気温上昇用点火制御手段と、第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が目標排気温度以上であると判定され、第3の排気温度判定手段により、排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたのが初めてであると判定されたときに単位時間当たりの進角量を設定された大きさとして内燃機関の点火時期を進角させる制御を行わせる排気温度制限用点火時期進角制御手段と、第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が目標排気温度未満であると判定され、第2の排気温度判定手段により、今までに排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたことがあると判定されたときに単位時間当たりの遅角量を排気温度偏差演算手段により演算された偏差の大きさに見合った大きさとして点火時期を遅角させる制御を行わせる排気温制御時点火時期遅角制御手段と、第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が目標排気温度以上であると判定され、第3の排気温度判定手段により、排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたのが初めてでないと判定されたときに単位時間当たりの進角量を排気温度偏差演算手段により演算された偏差の大きさに見合った大きさとして点火時期を進角させる排気温制御時点火時期進角制御手段とにより構成される。
【0017】
上記排気温制御時点火時期遅角制御手段と排気温制御時点火時期進角制御手段により、
排気温度保持用点火制御手段が構成される。
【0018】
上記排気温制御時点火時期遅角制御手段は、偏差が大きい場合ほど点火時期の単位時間当たりの遅角量を大きくするように構成するのが好ましい。
【0019】
また排気温制御時点火時期進角制御手段は、偏差が大きい場合ほど点火時期の単位時間当たりの進角量を大きくするように構成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、排気温度が目標排気温度未満である状態で排気温度制御モードが選択されたときに、排気温度が初めて目標排気温度に達するまでの間、内燃機関の点火時期を設定された最大遅角点火時期とする制御を行うので、排気温度制御が開始された後、機関の排気温度を速やかに目標排気温度まで上昇させて、内燃機関から高出力を発生させ得る状態にすることができ、車両を発進させる前の準備時間を短くすることができる。
【0021】
また本発明によれば、機関の排気温度が一度目標排気温度を超えた後は、排気温度が目標排気温度未満になったときに、点火時期をいきなり最大遅角点火時期まで遅角させたり、排気温度が目標排気温度以上になったときに、点火時期を最大遅角点火時期よりも大幅に進角した点火時期までいきなり進角させたりするのではなく、単位時間当たりの遅角量または進角量を排気温度と目標排気温度との偏差に見合った大きさとして、点火時期を遅角または進角させることにより、排気温度を目標排気温度附近に保つ制御を行うので、排気温度が目標排気温度を大きく超えたり、目標排気温度を大きく下回ったりする状態を生じさせることなく、排気温度を目標排気温度附近に安定に保持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明に係わる点火制御装置のハードウェアの構成例を示したものである。本実施形態では、一例として、内燃機関が2気筒内燃機関であるとしている。本発明は、4サイクル機関にも2サイクル機関にも適用できるが、この例では、内燃機関が2サイクル機関であるとしている。
【0023】
図1において1は同時発火式の点火コイルで、一次コイル1aと二次コイル1bとを有し、二次コイル1bの一端及び他端はそれぞれ機関の第1気筒及び第2気筒に取り付けられた点火プラグ2A及び2Bの非接地側端子に接続されている。
【0024】
3は機関により駆動されるフライホイール磁石発電機で、カップ状のフライホイールの内周に永久磁石を取り付けてなる磁石回転子3Aと、固定子3Bとからなっている。固定子3Bは、磁石回転子の磁極に対向する磁極部を有する電機子鉄心と、該電機子鉄心に巻回されたエキサイタコイルLe及び他の発電コイルLaとからなっている。
【0025】
4は内燃機関の所定のクランク角位置でパルスを発生する信号発生器で、この信号発生器は、フライホイールの外周に機関の第1気筒及び第2気筒にそれぞれ対応させて180°間隔で設けられたリラクタr1及びr2をそれぞれ検出して機関の第1気筒及び第2気筒に対応するパルス信号を発生する。各気筒に対応するパルス信号は、対応するリラクタの回転方向の前端側エッジ及び後端側エッジがそれぞれ検出されたときに発生する極性が異なる1対のパルスVp1及びVp2からなる。各気筒に対応する1対のパルスの内、位相が進んだ方のパルスVp1は、対応する気筒のピストンが上死点に達したときのクランク角位置(上死点位置)よりも十分に進角したクランク角位置に設定された基準クランク角位置で発生し、位相が遅れた方のパルスVp2は対応する気筒のピストンが上死点に達するクランク角位置附近で発生する。
【0026】
5は電子式制御ユニット(ECU)、6は運転者により操作される制御モード選択スイッチ、7は機関の排気管に取り付けられた感温抵抗素子等からなる排気温度センサである。この例では、制御モード選択スイッチ6が閉じられたときに制御モードが排気温度制御モードとされ、制御モード選択スイッチ6が開かれたときに制御モードが定常時制御モードとされるようになっている。
【0027】
ECU5には、点火コイル1とともに点火装置を構成する点火回路5Aと、マイクロプロセッサ(MPU)5Bと、発電コイルLaの出力電圧をマイクロプロセッサ5Bを駆動するのに適した一定の電圧Vccに変換する電源回路5Cと、信号発生器4が出力する負極性パルスVp1及び正極性パルスVp2がダイオードD1及びD2を通して入力された波形整形回路5D及び5Eとが設けられ、MPU5Bから点火回路5Aに点火信号Viが与えられる。
【0028】
点火回路5Aは、エキサイタコイルLeを電源として、点火信号Viが与えられたときに急激な変化を示す一次電流を点火コイル1の一次コイル1aに流す回路である。この点火回路としては、例えば、一端が一次コイル1aの一端に接続されてエキサイタコイルLeの出力電圧で一方の極性に充電される点火用コンデンサと、点火信号Viが与えられたときにオン状態なって点火用コンデンサの電荷を一次コイル1aを通して放電させる放電用スイッチとを備えて、点火用コンデンサの電荷の放電により点火コイルの二次コイル1bに点火用高電圧を誘起させるコンデンサ放電式の回路を用いることができる。点火コイルの二次コイルに誘起する高電圧は点火プラグ2A及び2Bに印加されるため、これらの点火プラグで同時に火花放電が生じ、点火プラグ2A及び2Bが取り付けられた2つの気筒のうち、点火時期にある方の気筒で燃料に着火される。
【0029】
マイクロプロセッサ5Bは、所定のプログラムを実行することにより、点火回路5Aに点火信号を与える時期(点火時期)を制御するために必要な各種の手段を構成する。
【0030】
図2は、本実施形態において、マイクロプロセッサ5Bにより構成される各種の手段を含む点火制御装置の全体的な構成を示したものである。同図において、ENGは内燃機関、TMは内燃機関のクランク軸と車両の駆動輪Whとの間に設けられて、内燃機関ENGのクランク軸の回転を駆動輪Whに伝達する自動クラッチ付きの変速機、EXは内燃機関の排気管であり、排気管EXに排気温度センサ7が取り付けられている。
【0031】
図2において、IGは点火コイル1と点火回路5Aとからなる点火装置、8は制御モード選択スイッチ6により定常時制御モードが選択されているときに内燃機関の点火時期を定常運転時に適した点火時期とするように制御する定常時点火制御手段、9は、制御モード選択スイッチ6により排気温度制御モードが選択されているときに、排気温度センサ7により検出される排気温度を目標排気温度に保つように点火時期を制御する排気温制御用点火制御手段であり、定常時点火制御手段8と排気温制御用点火制御手段9とにより点火時期制御部が構成されている。
【0032】
定常時点火制御手段8は、内燃機関の回転速度を含む各種の制御条件に対して機関の定常運転時の点火時期を演算して、演算した点火時期が検出されたときに点火回路5Aに点火信号Viを与える。
【0033】
排気温制御用点火制御手段9は、排気温度サンプリング手段9Aと、排気温度偏差演算手段9Bと、第1の排気温度判定手段9Cと、第2の排気温度判定手段9Dと、第3の排気温度判定手段9Eと、初期排気温上昇用点火制御手段9Fと、排気温度制限用点火時期進角制御手段9Gと、排気温度保持用点火制御手段9Hとからなっている。
【0034】
各部を更に詳細に説明すると、排気温度サンプリング手段9Aは、排気温度センサ7により検出された排気温度を、クランク軸が1回転する毎に決まったクランク角位置でサンプリングして、サンプル値を記憶する。排気温度をサンプリングするタイミングは、例えば、制御装置に機関のクランク角情報を与えるために機関に取り付けられている信号発生器4が、機関の特定のクランク角位置で発生する信号により定めることができる。
【0035】
排気温度偏差演算手段9Bは、排気温度サンプリング手段9Aによりサンプリングされた排気温度Txの今回のサンプル値と目標排気温度Taとの偏差ΔTx(=Tx−Ta)を演算する。
【0036】
第1の排気温度判定手段9Cは、排気温度サンプリング手段によりサンプリングされた排気温度の今回のサンプル値Txが目標排気温度Ta以上であるか否かを判定する。
【0037】
第2の排気温度判定手段9Dは、第1の排気温度判定手段9Cにより今回の排気温度のサンプル値Txが目標排気温度Ta未満であると判定された時に、今までに排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたことがあるか否かを判定する。
【0038】
第3の排気温度判定手段9Eは、第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が目標排気温度以上であると判定された時に、排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたのは今回が初めてであるか否かを判定する。
【0039】
初期排気温上昇用点火制御手段9Fは、第1の排気温度判定手段9Cにより排気温度の今回のサンプル値が目標排気温度Ta未満であると判定され、第2の排気温度判定手段9Dにより、今までに排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたことがないと判定されたときに排気温度が目標排気温度に達したことが初めて検出されるまでの間内燃機関の点火時期を許容される範囲で最も遅角した点火時期である最大遅角量点火時期とするように制御する。
【0040】
排気温度制限用点火時期進角制御手段9Gは、第1の排気温度判定手段9Cにより今回の排気温度のサンプル値Txが目標排気温度Ta以上であると判定され、第3の排気温度判定手段9Eにより、排気温度のサンプル値Txが目標排気温度Taを超えたのが初めてであると判定されたときに単位時間当たりの進角量を設定された大きさとして内燃機関の点火時期を進角させる制御を行わせる。
【0041】
排気温度保持用点火制御手段9Hは、検出された排気温度が一度目標排気温度を超えた後に排気温度を目標排気温度附近に保つように点火時期を制御する手段で、検出された排気温度が目標排気温度未満であるときに、単位時間当たりの遅角量を偏差の大きさに見合った大きさとして点火時期を遅角させる制御と、検出された排気温度が目標排気温度以上であるときに、単位時間当たりの進角量を前記偏差の大きさに見合った大きさとして点火時期を進角させる制御とを行うことにより排気温度を目標排気温度附近に保つ。
【0042】
本実施形態では、上記排気温度保持用点火制御手段9Hが、排気温度制御時点火時期遅角制御手段9H1と、排気温度制御時点火時期進角制御手段9H2とからなっている。
【0043】
排気温度制御時点火時期遅角制御手段9H1は、第1の排気温度判定手段9Cにより今回の排気温度のサンプル値Txが目標排気温度Ta未満であると判定され、第2の排気温度判定手段9Dにより、今までに排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたことがあると判定されたときに単位時間当たりの遅角量を排気温度偏差演算手段9Bにより演算された偏差ΔTxの大きさに見合った大きさとして点火時期を遅角させる制御を行わせる。
【0044】
排気温制御時点火時期進角制御手段9H2は、第1の排気温度判定手段9Cにより今回の排気温度のサンプル値が目標排気温度以上であると判定され、第3の排気温度判定手段9Eにより、排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたのが初めてでないと判定されたときに単位時間当たりの進角量を排気温度偏差演算手段9Bにより演算された偏差ΔTxの大きさに見合った大きさとして点火時期を進角させる。
【0045】
本実施形態の点火制御装置では、制御モード選択スイッチ6が閉じられたときに制御モードを排気温度制御モードとして、排気温度制御用点火制御手段9による点火時期の制御を開始する。この制御では、内燃機関のクランク角位置が設定されたクランク角位置に一致する毎に、排気温度サンプリング手段9Aが排気温度センサ7の出力をサンプリングし、排気温度のサンプル値が得られる毎に排気温度偏差演算手段9Bが新たにサンプルされた排気温度Txと目標排気温度Taとの偏差ΔTx=Tx−Taを演算する。
【0046】
また排気温度の新たなサンプル値が得られる毎に第1の排気温度判定手段9Cにより、新たな排気温度のサンプル値が目標排気温度Ta以上であるか否かを判定する。その結果新たな排気温度のサンプル値が目標排気温度未満であり、かつ第2の排気温度判定手段9Dにより、今までに排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたことがないと判定されたときには、初期排気温上昇用点火制御手段9Fが、内燃機関の点火時期を設定された最大遅角点火時期まで遅角させ、これにより機関の排気温度を急速に上昇させる。
【0047】
第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が目標排気温度以上であると判定され、第3の排気温度判定手段9Eにより、排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたのが今回が初めてであると判定されたときには、排気温度制限用点火時期進角制御手段9Gが、単位時間当たりの進角量[°/sec]を設定された大きさとして、内燃機関の点火時期を進角させる制御を行わせ、機関の排気温度が目標排気温度を超えて上昇していくのを防ぐ。
【0048】
第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が前記目標排気温度未満であると判定され、前記第2の排気温度判定手段9Dにより、今までに排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたことがあると判定されたときには、排気温度制御時点火時期遅角制御手段9H1が、単位時間当たりの遅角量[°/sec]を排気温度偏差演算手段により演算された偏差の大きさに見合った大きさとして前記点火時期を遅角させるように制御して排気温度を上昇させる。
【0049】
また第1の排気温度判定手段9Cにより今回の排気温度のサンプル値が目標排気温度以上であると判定され、第3の排気温度判定手段9Eにより、排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたのが今回が初めてでないと判定されたときに、排気温制御時点火時期進角制御手段9H2が単位時間当たりの進角量[°/sec]を排気温度偏差演算手段9Bにより演算された偏差の大きさに見合った大きさとして点火時期を進角させるように制御して排気温度を低下させる。上記排気温制御時点火時期遅角制御手段9H1による制御と、排気温制御時点火時期遅角制御手段9H2による制御とが交互に繰り返されることにより、機関の排気温度が目標排気温度附近に保持される。
【0050】
上記のように、本発明においては、排気温度が目標排気温度未満である状態で排気温度制御モードが選択されたときに、排気温度が初めて目標排気温度に達するまでの間、内燃機関の点火時期を設定された最大遅角点火時期とする制御を行うので、排気温度制御が開始された後、機関の排気温度を速やかに目標排気温度まで上昇させて、内燃機関から高出力を発生させ得る状態にすることができ、車両を発進させる前の準備時間を短くすることができる。
【0051】
また機関の排気温度が一度目標排気温度を超えた後は、排気温度が目標排気温度未満になったときに、点火時期をいきなり最大遅角点火時期まで遅角させたり、排気温度が目標排気温度以上になったときに、点火時期を最大遅角点火時期よりも大幅に進角した点火時期までいきなり進角させたりするのではなく、単位時間当たりの遅角量または進角量を排気温度と目標排気温度との偏差に見合った大きさとして、点火時期を遅角または進角させることにより、排気温度を目標排気温度附近に保つ制御を行うので、排気温度が目標排気温度を大きく超えたり、目標排気温度を大きく下回ったりする状態を生じさせることなく、排気温度を目標排気温度附近に安定に保持させることができる。
【0052】
図2に示した点火制御装置を構成するためにマイクロプロセッサに実行させるプログラムのアルゴリズムの一例を図3に示した。本実施形態では、前述のように、点火時期を遅角または進角させて、排気温度を目標排気温度(例えば500℃)附近に保持する制御を行う。この制御を行う際の点火時期変化割合(単位時間当たりの点火時期の変化量)[°/sec]は、排気温度の偏差に応じて、予め設定された変化割合D,F,H及びJ(D<F<H<J)の中から選択する。
【0053】
点火時期変化割合[°/sec]は、今回サンプリングした排気温度Txが目標排気温度Taを超えているとき(進角制御を行うとき)にマイナス(−)の符号をとり、今回サンプリングした排気温度Txが目標排気温度Ta以下のとき(遅角制御を行うとき)にプラス(+)の符号をとる。
【0054】
点火時期変化割合の選択の仕方は例えば下記の通りである。
ΔTx≦2[℃]のとき:D=1[°/sec]を選択
2[℃]<ΔTx≦5[℃]のとき:F=2[°/sec]を選択
5[℃]<ΔTx≦10[℃]のとき:H=3[°/sec]を選択
10[℃]<ΔTx≦50[℃]のとき:J=4[°/sec]を選択
【0055】
また本発明では、排気温度制御モードでの点火時期の制御を開始した後、排気温度が初めて目標排気温度を超えたときに、進角割合(単位時間当たりの進角量)を設定された値として点火時期を進角させる制御を行うが、このときの点火時期の進角割合を与える一つの数値K[°/sec]を設定しておく。このKの値は例えば、5[°/sec]とする。
【0056】
図3は、マイクロプロセッサが排気温度をサンプリングする毎に実行するタスクである。本実施形態では、クランク軸が1回転する毎に決まったクランク角位置で排気温度がサンプリングされ、図3のタスクが実行される。このタスクでは先ずステップS01において制御モード選択スイッチ6がオン状態にあるか否か(排気温度制御モードが選択されているか否か)が判定される。その結果、制御モード選択スイッチ6がオン状態にない(排気温度制御モードが選択されていない)と判定されたときには、ステップS02に進んで制御モードを定常時点火制御モードとしてこのタスクを終了する。
【0057】
ステップS01で制御モード選択スイッチがオン状態にある(排気温度制御モードが選択されている)と判定されたときには、ステップS03に進んで今回サンプリングされた排気温度Txと目標排気温度Taとの偏差ΔTx=Tx−Taを演算し、その演算結果をメモリに記憶させる。次いでステップS04で今回の排気温度のサンプル値Txが目標排気温度Taを超えているか否かを判定する。ここで今回の排気温度のサンプル値Txが目標排気温度Ta以下であると判定されたときには、ステップS05に進んで、これまでに排気温度が目標排気温度Taを超えたことがあるか否かを判定する。その結果、これまでに排気温度が目標排気温度を超えたことがないと判定されたときには、ステップS06に進んで、点火時期θig(機関のピストンが上死点に達したときのクランク角位置である上死点位置から進角側に測った点火時期までの角度で表す。)を許容される範囲で最も遅角した点火時期である最大遅角点火時期とする。
【0058】
次いでステップS07で機関の回転速度N[rpm]が設定回転速度Ns以上であるか否かを判定する。設定回転速度Nsは変速機TMの自動クラッチがつながる回転速度よりも僅かに低い回転速度(例えば4000rpm)に設定されている。ステップS07で回転速度が設定回転速度Ns以上でないと判定されたときには、ステップS08に進んで、点火時期θigを計測するために点火タイマにセットする計時データTsetを演算して、演算した計時データTsetを直ちに点火タイマにセットしてその開始させ、このタスクを終了する。
【0059】
排気温度をサンプリングするクランク角位置(図3のタスクを開始するクランク角位置)を上死点位置から進角側に測った角度θaで表し、機関の回転速度をNとすると、点火時期θigを計測するために点火タイマに計測させる計時データTsetは下記の式により演算される。
Tset=(θigーθa)・(N/360) (1)
【0060】
ステップS07で回転速度Nが設定回転速度Ns以上であると判定されたときには、ステップS09に進んで点火動作が行われるのを禁止して機関を失火させ、排気温度を上昇させる制御を行っている間に自動クラッチがつながって車両が発進するのを防ぐ。
【0061】
ステップS04で排気温度の今回のサンプル値Txが目標排気温度Ta以下であると判定され、ステップS05で排気温度が目標排気温度Taを超えたことがあると判定されたときには、ステップS10に進んで、偏差ΔTxに応じて、用意された点火時期変化割合D、F、H、J(D<F<H<J)の中の1つを点火時期遅角割合[°/sec](+符号をとる)として選択し、ステップS11で、下記の(2)式により点火時期θigを演算して、ステップS07〜S09を実行する。
θig=θig-1 +(選択された点火時期変化割合)×Tn (2)
ここで、θig-1は前回の点火時期である。Tnは回転速度対応値で、クランク軸が360°回転するのに要した時間である。
【0062】
ステップS04で排気温度の今回のサンプル値Txが目標排気温度Taを超えていると判定されたときには、ステップS12で排気温度が目標排気温度Taを超えたのが今回が初めてであるか否かを判定する。その結果、排気温度が目標排気温度を超えたのは今回が初めてであると判定されたときには、ステップS13に進んで、点火時期変化割合[°/sec]として、予め用意された点火時期変化割合D、F、H、J、K(D<F<H<J<K)の中から最大のものKを点火時期進角割合として選択する。次いでステップS11で点火時期θigを(2)式により演算する。
【0063】
次いで、ステップS07で回転速度Nが設定回転速度Ns以上であるか否かを判定し、回転速度が設定回転速度Ns以上でないと判定されたときにステップS08に進む。ステップS08では、点火時期θigを計測するために点火タイマにセットする計時データTsetを演算して、演算した計時データTsetを直ちに点火タイマにセットしてその開始させ、このタスクを終了する。ステップS07で回転速度Nが設定回転速度Ns以上であると判定されたときには、ステップS09に進んで点火動作が行われるのを禁止して機関を失火させる。
【0064】
ステップS12で排気温度が目標排気温度Taを超えたのが今回が初めてでないと判定されたときには、ステップS14に進んで、偏差ΔTxの大きさに応じて、予め用意された点火時期変化割合D、F、H、J(D<F<H<J)の中の1つを点火時期進角割合[°/sec](−符号をとる)として選択して、ステップS11で、(2)式により点火時期θigを演算し、ステップS07〜S09を実行する。
【0065】
上記のように、排気温度が目標排気温度よりも低い状態で排気温度制御が開始された場合に、先ず機関の点火時期を大きく遅角させる制御を行わせると、排気温度を目標排気温度に向けて急速に上昇させることができる。その結果排気温度が目標排気温度を超えた場合には、直ちに点火時期を進角させる制御を行わせて排気温度を下げることにより、排気温度が目標排気温度を大きく超えるのを防ぐことができる。
【0066】
図3のアルゴリズムによる場合には、ステップS03により、排気温度偏差演算手段9Bが構成され、ステップS04により第1の排気温度判定手段9Cが構成される。またステップS05により第2の排気温度判定手段9Dが構成され、ステップS12により、第3の排気温度判定手段9Eが構成される。更に、ステップS06により、初期排気温上昇用点火制御手段9Fが構成され、ステップS13により、排気温度制限用点火時期進角制御手段9Gが構成される。またステップS10,S11及びS08により排気温制御時点火時期遅角制御手段9H1が構成され、ステップS14,S11及びS08により排気温制御時点火時期進角制御手段9H2が構成される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態のハードウェアの構成例を示した回路図である。
【図2】本発明の実施形態に係わる点火制御装置の全体的な構成を示したブロック図である。
【図3】図2の制御装置を構成するためにマイクロプロセッサに実行させるタスクのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 点火コイル
3 フライホイール磁石発電機
4 信号発生器
5 電子式制御ユニット(ECU)
5A 点火回路
5B MPU
9 排気温制御用点火制御手段
9A 排気温度サンプリング手段
9B 排気温度偏差演算手段
9C 第1の排気温度判定手段
9D 第2の排気温度判定手段
9E 第3の排気温度判定手段
9F 初期排気温上昇用点火制御手段
9G 排気温度制限用点火時期進角制御手段
9H 排気温度保持用点火制御手段
9H1 排気温制御時点火時期遅角制御手段
9H2 排気温制御時点火時期進角制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駆動する内燃機関の排気温度を検出する排気温度センサと、各種の制御条件に対して前記内燃機関の点火時期を制御する点火時期制御部と、前記内燃機関の点火時期の制御モードを排気温度制御モードとするか定常時制御モードとするかを選択する制御モード選択スイッチとを備え、前記点火時期制御部は、前記排気温度制御モードが選択されているときに前記排気温度センサにより検出される排気温度を目標排気温度に保つように前記点火時期を制御する排気温制御用点火制御手段と、前記定常時制御モードが選択されているときに前記内燃機関の点火時期を定常運転時に適した点火時期とするように制御する定常時点火制御手段とを備えている内燃機関用点火制御装置において、
前記排気温制御用点火制御手段は、前記排気温度センサにより検出された排気温度と前記目標排気温度との偏差を演算する排気温度偏差演算手段と、前記排気温度センサにより検出される排気温度が目標排気温度を超えたことがない状態で前記排気温度制御モードが選択されたときに該排気温度が目標排気温度に達したことが初めて検出されるまでの間前記点火時期を許容される範囲で最も遅角した点火時期である最大遅角点火時期とする制御を行う初期排気温上昇用点火制御手段と、検出された排気温度が一度目標排気温度を超えた後に前記排気温度を目標排気温度附近に保つように前記点火時期を制御する排気温度保持用点火制御手段とを備え、
前記排気温度保持用点火制御手段は、検出された排気温度が目標排気温度未満であるときに、単位時間当たりの遅角量を前記偏差の大きさに見合った大きさとして前記点火時期を遅角させる制御と、検出された排気温度が目標排気温度以上であるときに、単位時間当たりの進角量を前記偏差の大きさに見合った大きさとして前記点火時期を進角させる制御とを行うことにより前記排気温度を目標排気温度附近に保つように構成されていること、 を特徴とする内燃機関用点火制御装置。
【請求項2】
車両を駆動する内燃機関の排気温度を検出する排気温度センサと、各種の制御条件に対して前記内燃機関の点火時期を制御する点火時期制御部と、前記内燃機関の点火時期の制御モードを排気温度制御モードとするか定常時制御モードとするかを選択する制御モード選択スイッチとを備え、前記点火時期制御部は、前記排気温度制御モードが選択されているときに前記排気温度センサにより検出される排気温度を目標排気温度に保つように前記点火時期を制御する排気温制御用点火制御手段と、前記定常時制御モードが選択されているときに前記内燃機関の点火時期を定常運転時に適した点火時期とするように制御する定常時点火制御手段とを備えている内燃機関用点火制御装置において、
前記排気温制御用点火制御手段は、
前記内燃機関のクランク軸が1回転する毎に設定されたクランク角位置で前記排気温度センサにより検出された排気温度をサンプリングする排気温度サンプリング手段と、
前記排気温度サンプリング手段によりサンプリングされた排気温度の今回のサンプル値と目標排気温度との偏差を演算する排気温度偏差演算手段と、
前記排気温度サンプリング手段によりサンプリングされた排気温度の今回のサンプル値が目標排気温度以上であるか否かを判定する第1の排気温度判定手段と、
前記第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が前記目標排気温度未満であると判定された時に、今までに排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたことがあるか否かを判定する第2の排気温度判定手段と、
前記第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が前記目標排気温度以上であると判定された時に、排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたのは今回が初めてであるか否かを判定する第3の排気温度判定手段と、
前記第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が前記目標排気温度未満であると判定され、前記第2の排気温度判定手段により、今までに排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたことがないと判定されたときに排気温度が目標排気温度に達したことが初めて検出されるまでの間前記内燃機関の点火時期を許容される範囲で最も遅角した点火時期である最大遅角量点火時期とするように制御する初期排気温上昇用点火制御手段と、
前記第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が前記目標排気温度以上であると判定され、前記第3の排気温度判定手段により、排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたのが初めてであると判定されたときに単位時間当たりの進角量を設定された大きさとして前記内燃機関の点火時期を進角させる制御を行わせる排気温度制限用点火時期進角制御手段と、
前記第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が前記目標排気温度未満であると判定され、前記第2の排気温度判定手段により、今までに排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたことがあると判定されたときに単位時間当たりの遅角量を前記排気温度偏差演算手段により演算された偏差の大きさに見合った大きさとして前記点火時期を遅角させる制御を行わせる排気温制御時点火時期遅角制御手段と、
前記第1の排気温度判定手段により今回の排気温度のサンプル値が前記目標排気温度以上であると判定され、前記第3の排気温度判定手段により、排気温度のサンプル値が目標排気温度を超えたのが初めてでないと判定されたときに単位時間当たりの進角量を前記排気温度偏差演算手段により演算された偏差の大きさに見合った大きさとして前記点火時期を進角させる排気温制御時点火時期進角制御手段と、
を備えていることを特徴とする内燃機関用点火制御装置。
【請求項3】
前記排気温制御時点火時期遅角制御手段は、前記偏差が大きい場合ほど前記点火時期の単位時間当たりの遅角量を大きくするように構成されている請求項2に記載の内燃機関用点火制御装置。
【請求項4】
前記排気温制御時点火時期進角制御手段は、前記偏差が大きい場合ほど前記点火時期の単位時間当たりの進角量を大きくするように構成されている請求項2または3に記載の内燃機関用点火制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−332899(P2007−332899A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167019(P2006−167019)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】