説明

内視鏡カバー

【課題】内視鏡に対する着脱動作が容易であるとともに処置具等を安定した状態で挿通でき、さらに一部の部材が再利用可能な内視鏡カバーを実現する。
【解決手段】内視鏡カバー30は、取付具40とチューブ部材50とを含む。チューブ部材50の取付部54は、取付具40の先端部42に取り付けられる。この取付状態においては、取付具40側の内視鏡通路40Aとチューブ部材50側のチューブ側内視鏡通路50Aとが連通する。同様に、処置具通路40Bとチューブ側処置具通路50Bとが連通する。このため鉗子等の処置具を、処置具通路40Bおよびチューブ側処置具通路50Bを介して、先端面50Tから突出させることが可能である。また、取付具40は再利用が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に取り付けられる内視鏡カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の挿入部に取り付けられる内視鏡カバーが知られている。このような内視鏡カバーにおいては、通常、鉗子等の処置具が通るための鉗子チャンネルなどが設けられている。このような内視鏡カバーの例として、処置具挿通用チャンネルが径方向に拡張可能であるもの(特許文献1参照)、少なくとも一部の部材が、リサイクル可能な熱可塑性樹脂により形成されたものなどが知られている(特許文献2参照)。
【0003】
上述の例のうち、処置具挿通用チャンネルが径方向に拡張可能である内視鏡カバーにおいては、径が小さい状態の処置具挿通用チャンネルの端面から処置具の挿入が開始され、内視鏡カバーが変形して処置具挿通用チャンネルが拡張する。また、このような内視鏡カバーにおいては、例えば、内視鏡カバーの外周部分がひだ状に形成されており、ひだ状部分が折り畳まれた状態と拡張した状態との間で処置具挿通用チャンネルの径が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−247290号公報
【特許文献2】実開平6−63002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の内視鏡カバーは、いずれも、長い管状の内視鏡挿入部のほぼ全表面を覆うものであるため、内視鏡カバー単体の内視鏡への取り付け、および内視鏡からの取り外し作業は容易ではなく、比較的長い時間を要する。特に、ひだ状の部分を設けるなど、構造の複雑な内視鏡カバーにおいては、着脱動作が困難になり得る。
【0006】
また、径が小さい状態の処置具挿通用チャンネルの端面に対して処置具を直接挿入する場合、処置具を安定的に挿入することができないおそれがある。十分な径が確保されていない処置具挿通用チャンネルを拡張させるためには、所定の径の管路が予め確保されている場合よりも大きな力が必要とされるためである。すなわち、大きな力で狭い処置具挿通用チャンネルを拡張させながら処置具の挿入を開始する場合、処置具が、予定された方向に挿入されなかったり、あるいは内視鏡カバーの壁面を突いて破損させてしまう可能性がある。
【0007】
また、内視鏡カバーの一部をリサイクル可能な部材で形成した場合においても、他の部材、例えば、内視鏡カバーが取り付けられる部材を再利用することはできない。
【0008】
本発明は、内視鏡に対する着脱動作が容易であるとともに処置具等を安定した状態で挿通でき、さらに一部の部材が再利用可能な内視鏡カバーの実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内視鏡カバーは、内視鏡の挿入部に着脱自在である。そして内視鏡カバーは、挿入部の通る内視鏡通路と、処置具の通る処置具通路とが設けられた取付具と、取付具に着脱自在に取り付けられて挿入部の側面を覆うチューブ部材とを備えており、チューブ部材において、取付具に取り付けられた状態で処置具通路に連通するチューブ側処置具通路が設けられており、処置具が、処置具通路を介してチューブ側処置具通路に挿通可能であることを特徴とする。
【0010】
取付具においては、内視鏡通路の周囲に処置具通路が設けられていることが好ましい。取付具は、チューブ部材が取り付けられる先端部の径が基端部の径よりも小さい先細り形状であることが好ましい。この場合、処置具通路が、取付具の先端部において内視鏡通路の外壁に接するように、内視鏡通路に対して傾斜していることがより好ましい。
【0011】
取付具の基端面における処置具通路の開口に処置具を導入するための導入突起が設けられていることが好ましい。また、取付具の基端部において、処置具通路の開口の近傍に鉗子栓が設けられていることが好ましい。
【0012】
チューブ部材は、挿入部の側面を覆うチューブ本体と、チューブ本体から延びるとともに取付具に取り付けられる取付部とを有することが好ましい。この場合、チューブ部材が取付具に取り付けられると、取付部が、処置具通路の外壁面の一部を形成することがより好ましい。また、チューブ本体においては、チューブ側処置具通路が形成されており、取付部がチューブ側処置具通路の外壁面と一体であることがより好ましい。
【0013】
内視鏡カバーにおいては、例えば、チューブ部材の長手方向に沿って、挿入部が通るチューブ側内視鏡通路が設けられており、チューブ側内視鏡通路の周囲にチューブ側処置具通路が設けられている。
【0014】
内視鏡カバーにおいては、チューブ部材の弾性変形により、処置具が挿通されたチューブ側処置具通路が拡張されることが好ましい。また、チューブ側処置具通路は、例えば、チューブ部材の長手方向に沿って延びる螺旋状である。内視鏡カバーは、取付具とチューブとを固定する固定部材をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内視鏡に対する着脱動作が容易であるとともに処置具等を安定した状態で挿通でき、さらに一部の部材が再利用可能な内視鏡カバーを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の内視鏡装置を示す側面図である。
【図2】内視鏡カバーが取り付けられる状態の内視鏡装置を示す側面図である。
【図3】取付具を先端部側から見た斜視図である。
【図4】取付具を基端部側から見た斜視図である。
【図5】取付具の基端面に垂直な平面で切断した断面図である。
【図6】取付具の側面図である。
【図7】取付具の正面図である。
【図8】取付具の背面図である。
【図9】チューブ部材の斜視図である。
【図10】チューブ部材の取付部をチューブ本体側から見た正面図である。
【図11】チューブ部材の背面図である。
【図12】固定部材の斜視図である。
【図13】固定部材によりチューブ部材が固定された状態の取付具を示す斜視図である。
【図14】チューブ部材が取付具に取り付けられた状態の内視鏡カバーを長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【図15】図14における取付具とチューブ部材との接続領域を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の内視鏡装置を示す側面図である。図2は、内視鏡カバーが取り付けられる状態の内視鏡装置を示す側面図である。
【0018】
内視鏡装置60は、内視鏡10と内視鏡カバー30とを含む。内視鏡10は、操作部12から側方に延伸するライトガイド可撓管14を介してプロセッサ16に接続される。内視鏡10の挿入部20は、オレドメ部25から延伸しており、体腔内に挿入される。内視鏡カバー30は、内視鏡10の挿入部20に着脱自在に取り付けられる。
【0019】
プロセッサ16の光源(図示せず)からの照明光が、挿入部20の先端面20Tから観察の対象である体内器官に出射される。体内器官からの反射光、および内視鏡10で生成された画像信号等は、プロセッサ16に送られる。画像信号は、プロセッサ16における所定の処理の後に、画像表示装置(図示せず)に送信される。この結果、体内器官が観察、撮影される。
【0020】
体内器官の観察、撮影時には、内視鏡10の操作部12が操作される。例えば、操作部12の操作ノブ13、15を回転させると挿入部20の先端が上下、左右に湾曲される。また、鉗子口18から鉗子等の処置具(図示せず)を挿通し、挿入部20の先端面20Tから突出させて患部を処置することができる。さらに、後述するように、内視鏡カバー30に鉗子等の処置具をオレドメ部25側から挿通させ、先端面20Tの周囲から突出させることも可能である。
【0021】
内視鏡カバー30は、金属製の取付具40と、チューブ部材50とを含む。チューブ部材50は、取付具40に着脱自在に取り付けられる。チューブ部材50は、適度な弾性、伸縮性、および生体適合性を有する高分子材料により形成されている。例えば、樹脂、シリコンゴム、天然ゴム、ポリウレタン等であり、より好ましくは、シリコンゴムである。また、取付具40は、例えばアルミニウム合金、ステンレス鋼などで形成され、より好ましくはステンレス鋼により形成されている。
【0022】
取付具40とチューブ部材50とは、固定部材32によって固定される。このとき固定部材32は、矢印A(図2参照)の示すように、チューブ部材50の先端面50T側から取付具40に装着され、取付具40との間でチューブ部材50の基端部を挟む。
【0023】
こうして取付具40とチューブ部材50とが固定された状態の内視鏡カバー30は、矢印Bの示すように、先端面20T側から挿入部20に取り付けられる。この状態においては、図1に示されたように、挿入部20の側面20Sがチューブ部材50によって覆われている。なお内視鏡カバー30の各部材は、図1および図2においては概略的に示されており、以下の図面においてより詳細に示されている。
【0024】
図3は、取付具40を先端部側から見た斜視図である。図4は、取付具40を基端部側から見た斜視図である。図5は、取付具40の基端面に垂直な平面で切断した断面図であり、図6は、取付具40の側面図である。図7は、取付具40の正面図であり、図8は、取付具40の背面図である。
【0025】
取付具40は、チューブ部材50が取り付けられる先端部42を含む。取付具40は概ね四角錐状の先細り形状を有しており、先端部42の径が基端部44の径よりも小さい。このように取付具40が、先端側ほど径の小さい形状であるため、チューブ部材50は先端部42に容易に取り付けられる。
【0026】
さらに先細り形状の取付具40は、内視鏡カバー30が硬性鏡手術のために比較的短い挿入部20に取り付けられて使用される場合においても有益である。処置具が挿入される際にも、体組織に形成された穴の拡張を防止できるためであり、患者の負荷を軽減可能だからである。
【0027】
取付具40においては、内視鏡10の挿入部20(図1、2参照)が通る内視鏡通路40Aと、鉗子等の処置具(図示せず)が通る処置具通路40Bとが設けられている。内視鏡通路40Aは、取付具40の中心に設けられている。すなわち内視鏡通路40Aは、取付具40の基端面44S(図4参照)の中心と、先端部42の突起部42Pの中心とを結んでおり、基端面44Sに対して垂直な取付具40の中心軸40C(図5参照)に沿って形成されている。
【0028】
一方、処置具通路40Bは、内視鏡通路40Aの周囲に複数、設けられている。より具体的には、処置具通路40Bは、輪郭が緩やかに湾曲した基端面44S(図4参照)の四隅の近傍と、先端部42における内視鏡通路40Aの周辺とを結ぶ4本の管路である。処置具通路40Bは、いずれも、先端部42において内視鏡通路40Aの外壁40W(図5参照)に接するように、内視鏡通路40Aに対して傾斜している。
【0029】
基端面44Sにおいては、処置具通路40Bの開口40M(図4参照)の近傍に、導入突起48が設けられている。導入突起48は、開口40Mから処置具通路40B内への処置具の導入動作を容易にするために形成されている。このため導入突起48は、基端面44Sの四隅から、図5の鎖線Lが示すように、処置具通路40Bと同じ方向に沿って延びている。
【0030】
導入突起48の先端部には、基端面44Sに略平行な平面部48Fが設けられている。平面部48Fの中心には、処置具の通る孔48Hが設けられている。このように、平面部48Fにて孔48Hが設けられていることにより、鉗子等の処置具を、孔48Hから導入突起48に沿って開口40Mに導入する動作は非常に容易である。
【0031】
また、基端部44の内部であって、基端面44Sにおける開口40Mの近傍には、血液、体内汚液等の逆流を防止するための弁(図示せず)が設けられている。このような逆流防止弁を設けることにより、例えば、内視鏡カバー30が硬性鏡手術に用いられた場合において、血液等の体液が体組織から取付具40内に逆流することが防止される。なお、このような逆流防止弁は、内視鏡10の鉗子口18の内側(図2参照)にも設けられている。このように逆流防止弁は、取付具40と内視鏡10とに設けられているため、チューブ部材50に形成することは不要であり、チューブ部材50に逆流防止弁が設けられていない本実施形態においても、効率的な施術が可能である。
【0032】
次に、チューブ部材50について説明する。図9は、チューブ部材50の斜視図である。図10は、チューブ部材50の取付部をチューブ本体側から見た正面図であり、図11は、チューブ部材50の背面図である。
【0033】
チューブ部材50は、チューブ本体52と取付部54とを含む。内視鏡カバー30が挿入部20に取り付けられた状態(図1参照)において、チューブ本体52は、挿入部20の側面20Sを覆う。このためチューブ本体52には、挿入部20が通るためのチューブ側内視鏡通路50Aが、チューブ本体52の長手方向に沿って形成されている。チューブ側内視鏡通路50Aは、チューブ部材50が取付具40に取り付けられた状態(以下、取付状態という)で、内視鏡通路40Aに連通する。
【0034】
取付部54は、チューブ本体52の端部から延びており、取付具40の先端部42(図3〜7等参照)に着脱自在に取り付けられる。このため取付部54の形状は、先端部42の形状に対応しており、チューブ本体52から離れた領域ほど周囲に広がった中空の四角錐台状である。なお、取付部54が先端部42に取り付けられると、取付部54の内面54I(図9、11参照)が先端部42の表面を覆う。
【0035】
チューブ部材50においては、チューブ側内視鏡通路50Aの周囲に複数のチューブ側処置具通路50Bが設けられている(図10参照)。この図10においては、チューブ本体52が省略されている。そして説明の便宜上、取付部54における最もチューブ本体52側の先端面54Sにおいて、チューブ本体52の端面との接合領域54Jが破線で示されている。
【0036】
取付部54が先端部42に取り付けられると、チューブ側処置具通路50Bが、取付具40側の処置具通路40Bと連通する。このため、処置具通路40Bに挿入された処置具は、チューブ側処置具通路50Bに挿通可能であり、チューブ部材50の先端面50Tから突出される。
【0037】
チューブ部材50は、適度な弾性を有する。そしてチューブ側処置具通路50Bよりも径の大きい処置具が挿通されると、チューブ部材50の弾性変形により、チューブ側処置具通路50Bが拡張される。このため、処置具が使用されていないとき、例えば、内視鏡カバー30が装着された状態の挿入部20(図1参照)を体腔内に挿入して内視鏡観察を開始するときには、挿入部20の内視鏡カバー30を含む外径を最小限に抑えることができ、被検者の負担を軽減できる。さらに処置具の使用時においても、処置具の径に応じた分だけチューブ本体52が拡張することから、不必要な外径の増加を防止できる。
【0038】
次に、固定部材32について説明する。図12は、固定部材32の斜視図である。図13は、固定部材32によりチューブ部材50が固定された状態の取付具40を示す斜視図である。
【0039】
固定部材32は、取付具40に対してチューブ部材50を固定するために用いられる。このため固定部材32は、取付具40の先端部42(図3〜7参照)、およびチューブ部材50の取付部54(図9〜11参照)に対応した形状を有する。すなわち固定部材32は、先端開口32Aが基端開口32Bよりも狭い傾斜した形状である。
【0040】
固定部材32は、例えば、熱収縮性の部材で形成されている。そして、先端部42に取付部54が重ねられ、取付部54の上にさらに固定部材32が重ねられた状態(図13参照)で固定部材32を加熱、熱収縮させることにより、取付具40とチューブ部材50とが強固に固定される。
【0041】
次に、チューブ部材50の取付具40に対する取り付けについて説明する。図14は、チューブ部材50が取付具40に取り付けられた状態の内視鏡カバー30を長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。図15は、図14における取付具40とチューブ部材50との接続領域を拡大して示す断面図である。なお、これらの図面においては、固定部材32は省略されている。
【0042】
チューブ部材50は、チューブ本体52の中心軸52Cが取付具40の中心軸40C(図5参照)と一致するように、先端部42に取り付けられる。この取付状態においては、図15に示されるように、取付部54が、取付具40側の処置具通路40Bの外壁面の一部を形成する。
【0043】
すなわち取付部54は、取付状態において処置具通路40Bの出口側開口40Nを覆う。この取付部54により、矢印Cの示す方向に挿入される処置具が、出口側開口40Nから突出してしまうことが防止される。
【0044】
また、取付状態においては、チューブ側内視鏡通路50Aとチューブ側処置具通路50Bとの間にあって、チューブ側処置具通路50Bの内壁面を形成するチューブ本体52の内層52Aが、先端部42の突起部42Pの周囲を覆う。このため、内視鏡通路40A側からチューブ側内視鏡通路50Aに挿入される挿入部20(図1参照)の先端が、内層52Aの端部に当たることによるチューブ部材50の位置ずれは確実に防止される。
【0045】
取付部54は、チューブ側処置具通路50Bの外壁面を形成するチューブ本体52の外層52Bと一体的に形成されている。このため、チューブ側処置具通路50Bの端部から導入される処置具が、取付部54と外層52Bとの接合部に接触しても、接合部の強度は良好に保たれる。
【0046】
チューブ本体52においては、直線状のチューブ側処置具通路50Bの代わりに、チューブ本体52の長手方向に沿って延びる螺旋状のチューブ側処置具通路50Bを形成しても良い。この場合、体腔内での挿入部20の湾曲に伴うチューブ側処置具通路50Bの座屈を確実に防止できる。
【0047】
以上のように本実施形態によれば、内視鏡10の挿入部20に対する内視鏡カバー30の着脱動作を容易にすることができる。これは主に、チューブ部材50が取り付けられた状態の取付具40を保持したユーザが、挿入部20に沿って取付具40を移動させる動作により内視鏡カバー30の着脱が可能であるためであり、このとき、挿入部20の側面20Sを広い範囲で覆うチューブ部材50と挿入部20との間で摩擦が生じても、小さな力で着脱自在だからである。
【0048】
さらに処置具が、例えば金属製である硬質の取付具40に最初に挿入され、処置具通路40B等を通過するときにその挿入方向が定められていることにより、チューブ部材50への導入が容易になる。仮に、処置具を直接チューブ部材50に導入する場合、十分な径が確保されていない状態のチューブ側処置具通路50Bを比較的大きな力で拡張させながら挿入することが必要であるため、処置具が、予定された方向に挿入されなかったり、あるいはチューブ本体52の内層52A(図15参照)を突いて破損させてしまうおそれがある。
【0049】
また、チューブ側処置具通路50Bが複数設けられていることにより、処置具の位置選択における自由度が増すとともに、複数の処置具を同時に併用することも容易に可能である。
【0050】
さらに、例えば金属製の取付具40、および固定部材32は、消毒、滅菌後に再利用が可能である。このため、チューブ部材50に着脱される部材であって、複雑な構造を有するために製造コストが比較的大きい取付具40等を含む内視鏡カバー30であっても、ランニングコストを低く抑えることができる。さらに、再利用可能な取付具40等は、使用の度に廃棄されることがないため、環境負荷も低減できる。
【0051】
内視鏡カバー30に含まれる部材の形状、材質等は、いずれの実施形態にも限定されない。例えば、チューブ部材50を単体で取付具40に強固に固定できる場合、固定部材32を用いなくても良い。また、チューブ部材50を樹脂、ゴム以外の適度な弾性体で形成しても良い。
【0052】
取付具40については、適度な硬質であることが好ましいものの、金属以外の部材で形成しても良い。また、上述のように先細り形状の取付具40が好ましいものの、円筒形等の太さが略一定の取付具40を用いても良い。
【0053】
また、内視鏡カバー30の使用方法についても、上述の実施形態に示されたものには限定されない。例えば、処置具による比較的簡易な患部の処置のみならず、軟性内視鏡を用いた手術に内視鏡カバー30を用いることもできる。そしてこの場合においても、血液等の体液が体組織から取付具40内に逆流することは、逆流防止弁(段落[0031]参照)によって防止される。
【符号の説明】
【0054】
10 内視鏡
20 挿入部
20S 側面
30 内視鏡カバー
32 固定部材
40 取付具
40A 内視鏡通路
40B 処置具通路
40M 開口
40W 外壁
42 先端部
44 基端部
44S 基端面
48 導入突起
50 チューブ部材
50A チューブ側内視鏡通路
50B チューブ側処置具通路
52 チューブ本体
54 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部に着脱自在な内視鏡カバーであって、
前記挿入部の通る内視鏡通路と、処置具の通る処置具通路とが設けられた取付具と、
前記取付具に着脱自在に取り付けられて前記挿入部の側面を覆うチューブ部材とを備え、
前記チューブ部材において、前記取付具に取り付けられた状態で前記処置具通路に連通するチューブ側処置具通路が設けられており、前記処置具が、前記処置具通路を介して前記チューブ側処置具通路に挿通可能であることを特徴とする内視鏡カバー。
【請求項2】
前記取付具において、前記内視鏡通路の周囲に前記処置具通路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡カバー。
【請求項3】
前記取付具が、前記チューブ部材が取り付けられる先端部の径が基端部の径よりも小さい先細り形状であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡カバー。
【請求項4】
前記処置具通路が、前記先端部において前記内視鏡通路の外壁に接するように、前記内視鏡通路に対して傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡カバー。
【請求項5】
前記取付具の基端面における前記処置具通路の開口に前記処置具を導入するための導入突起が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡カバー。
【請求項6】
前記取付具の基端部において、前記処置具通路の開口の近傍に鉗子栓が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡カバー。
【請求項7】
前記チューブ部材が、前記挿入部の側面を覆うチューブ本体と、前記チューブ本体から延びるとともに前記取付具に取り付けられる取付部とを有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡カバー。
【請求項8】
前記チューブ部材が前記取付具に取り付けられると、前記取付部が、前記処置具通路の外壁面の一部を形成することを特徴とする請求項7に記載の内視鏡カバー。
【請求項9】
前記チューブ本体において前記チューブ側処置具通路が形成されており、前記取付部が前記チューブ側処置具通路の外壁面と一体であることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡カバー。
【請求項10】
前記チューブ部材の長手方向に沿って、前記挿入部が通るチューブ側内視鏡通路が設けられており、前記チューブ側内視鏡通路の周囲に前記チューブ側処置具通路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡カバー。
【請求項11】
前記チューブ部材の弾性変形により、前記処置具が挿通された前記チューブ側処置具通路が拡張されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡カバー。
【請求項12】
前記チューブ側処置具通路が、前記チューブ部材の長手方向に沿って延びる螺旋状であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡カバー。
【請求項13】
前記取付具と前記チューブとを固定する固定部材をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−67399(P2011−67399A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221031(P2009−221031)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】