内視鏡洗浄消毒装置
【課題】洗浄槽内への内視鏡のセッティングを、個々の内視鏡に対応して適正且つ容易に行うことを可能とする。
【解決手段】内視鏡からRFID送受信部を介して読み取った内視鏡情報に基づいて、内視鏡の洗浄槽5内へのセット位置及びセット順序を、洗浄槽5の底面5aに設置されたインジケータ10によって表示する。作業者は、インジケータ10の示す内視鏡の配置情報を確認しながら内視鏡を洗浄槽5内に収納することで、内視鏡を適正な位置に容易にセットすることができる。
【解決手段】内視鏡からRFID送受信部を介して読み取った内視鏡情報に基づいて、内視鏡の洗浄槽5内へのセット位置及びセット順序を、洗浄槽5の底面5aに設置されたインジケータ10によって表示する。作業者は、インジケータ10の示す内視鏡の配置情報を確認しながら内視鏡を洗浄槽5内に収納することで、内視鏡を適正な位置に容易にセットすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの内視鏡を洗浄槽内に収納して洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療分野において使用される内視鏡は、内視鏡検査を行う毎に内視鏡洗浄消毒装置により洗浄、消毒が行われる。このような洗浄消毒装置を用いて内視鏡の洗浄処理及び消毒処理を行う際には、洗浄消毒装置の洗浄槽内に使用済みの内視鏡を収容し、適切な位置にセッティングする必要がある。
【0003】
洗浄槽に対する内視鏡のセッティング位置が適切でない場合、内視鏡が洗浄槽に収まりきれない等の不具合が生じ、作業者の修正の手間が増加して作業効率の低下を招くばかりでなく、不適切な配置のまま洗浄消毒を実行すると、内視鏡又は洗浄消毒装置に無理な応力がかかって両者に破損が生じたり、洗浄槽の蓋部の内面と内視鏡の外表面とが接触して接触部位の洗浄消毒が困難になるという問題がある。
【0004】
このため、特許文献1には、洗浄槽の底面又は内視鏡保持トレーの底面に、内視鏡の配置位置を告知する位置決め突起、仕切り、着色部等を設けることにより、内視鏡を規定の位置に配置させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−172055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、或る特定の内視鏡を想定しており、形状・寸法の異なる別の種類の内視鏡にまで対応することはできない。このため、個別の内視鏡に対応するためには、保持トレーを交換する等の煩雑な作業を要し、却って作業効率が低下する虞がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、洗浄槽内への内視鏡のセッティングを、個々の内視鏡に対応して適正且つ容易に行うことを可能とする内視鏡洗浄消毒装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による内視鏡洗浄消毒装置は、底面に内視鏡を載置自在な洗浄槽と、前記洗浄槽を覆う蓋部と、前記内視鏡から内視鏡情報を読み取る内視鏡情報読取部と、前記内視鏡情報読取部による前記内視鏡情報の読み取り結果に基づいて、前記洗浄槽の内面又は前記蓋部の内面に、前記内視鏡の配置を示す配置情報を表示する指示部と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、洗浄槽内への内視鏡のセッティングを、個々の内視鏡に対応して適正且つ容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の第1形態に係り、内視鏡洗浄消毒装置の斜視図
【図2】同上、内視鏡のセット位置を示すインジケータの説明図
【図3】同上、発光部及び表示窓を示す説明図
【図4】同上、内視鏡洗浄消毒装置の機能部分の構成の概略説明図
【図5】同上、内視鏡洗浄消毒装置の内部回路の構成の概略を示すブロック図
【図6】同上、内視鏡の洗浄消毒方法を示すフローチャート
【図7】同上、閉状態のトップカバーを示す断面図
【図8】同上、開状態のトップカバーを示す断面図
【図9】同上、フットコントローラを備えた内視鏡用洗浄消毒装置の説明図
【図10】同上、操作パネルの表示例を示す説明図
【図11】本発明の実施の第2形態に係り、トップカバーに設置したインジケータを示す説明図
【図12】本発明の実施の第3形態に係り、洗浄槽側に設置した画像投影装置を示す説明図
【図13】本発明の実施の第4形態に係り、ディスプレイの配置を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1形態)
図1において、符号1は内視鏡洗浄消毒装置を示し、この内視鏡洗浄消毒装置1の主要な構成は、装置本体2と、上部にヒンジ3を介して開閉自在に接続された蓋部であるトップカバー4である。装置本体2の上面(以下、「本体上面」と称する)2aには、その底面5aに洗浄消毒のために内視鏡90を載置して収納自在な槽型の洗浄槽(「洗浄消毒槽」とも云う)5が配設されている。
【0012】
また、本体上面2aには、表示機能付きのタッチパネルで構成された操作パネル9が設けられている。尚、この操作パネル9は、装置本体2の側面や、トップカバー4に設けられているものであっても良い。さらに、本体上面2aには、後述する洗剤ノズル13A、消毒液ノズル13B、給水・循環ノズル13Cが配設されている。
【0013】
また、装置本体2の任意の側面には、後述する側面扉2bが配設されている。更に、装置本体2の下部には、洗浄槽5内の洗浄液、消毒液等を排出する排水ホース14が連設されている。また、装置本体2には、洗浄槽5内に給水を行う後述する給水コネクタ15(図4参照)が設けられている。
【0014】
洗浄槽5は、本体上面2aの開口部分の縁部が略全周に亘って段状の段状部分16が形成されている。そして、トップカバー4の内面の、この段状部分16と対向する部分には、この段状部分16の形状に沿って、トップカバー4を閉じた際にトップカバー4と洗浄槽5とを水密にシールすると共に、トップカバー4を閉じる際のクッション性を保つためのパッキン部材17が設けられている。
【0015】
洗浄槽5は、上述のトップカバー4を開閉することにより開閉される。使用後の内視鏡90を洗浄消毒する際、作業者が内視鏡90を洗浄槽5の所定位置にセットして収納した後、トップカバー4を閉じると、装置本体2に配設されたラッチ6がトップカバー4のハンドル7をロックしてトップカバー4の閉状態が維持される。尚、トップカバー4は、該トップカバー4を閉じた際に洗浄槽5内が見えるように、中央の部位が透明の樹脂、ガラス材等で形成されている。
【0016】
内視鏡90の洗浄槽5内へのセットは、内視鏡90から読み取った内視鏡情報に基づいて、内視鏡90の操作部91,コネクタ部92,挿入部93等の洗浄槽5内へのセット位置が個別の内視鏡毎に指示される。内視鏡90は、例えば、コネクタ部92に内視鏡情報記録部としてのRFID( Radio Frequency IDentification :電波方式認識)タグ94を内蔵しており、このRFIDタグ94から、型名、製造番号等の内視鏡固有の情報を読み込むことで個々の内視鏡の幾何学的な形状寸法を知ることができ、この形状寸法に応じた適切な洗浄槽5内へのセット位置を指示することが可能となる。
【0017】
従って、本実施の形態においては、内視鏡90から内視鏡情報を読み取る内視鏡情報読取部として、装置本体2の所定の部位に、内視鏡90のRFIDタグ94(以下、「スコープIDタグ94」と記載)と無線通信するRFID送受信部8を設けている。具体的には、RFID送受信部8は、例えば本体上面2aの開口部分の縁部左側に内蔵され、使用後の内視鏡90を洗浄消毒する際に、内視鏡90を洗浄槽5に近づけると自動的に内視鏡情報を読み込み可能としている。
【0018】
尚、装置本体2の外装は、無線電波を透過する材質により形成されている。また、スコープIDタグ94は、固有情報が記録保存可能で、この記録した固有情報を読み書き自在な内部メモリ、この内部メモリに対して情報の読み書きを指示制御する演算部、無線通信を行う通信部等を有して構成されており、内部メモリに、型名、製造番号の他にCCD( Charge Coupled Device )の特性や、過去の修理来歴、ビデオプロセッサの使用回数などの内視鏡固有の情報が記録されるようになっている。
【0019】
内視鏡情報に基づく内視鏡90の洗浄槽5内へのセット位置は、内視鏡90の洗浄槽5内への適正な配置を示す配置情報を表示する指示部としての複数のインジケータ10によって示される。作業者は、インジケータ10の示す内視鏡90の配置情報を確認しながら内視鏡90を洗浄槽5内に収納することで、内視鏡90を適正な位置に容易にセットすることができる。
【0020】
本実施の形態においては、インジケータ10による内視鏡の配置情報は、内視鏡90の各部に対応した洗浄槽5内への適正なセット位置とセット順序とを有する情報である。インジケータ10は、洗浄槽5の内視鏡載置面である底面5aに設置され、内視鏡90の各部をセットする位置と順序とを、例えば図2に示すように、”1”,”2”,”3”の数字で発光表示する。
【0021】
”1”の数字表示は、1番目にセットする内視鏡90の操作部91の位置を示し、”2”の数字表示は、2番目にセットする内視鏡90の挿入部93の位置を示している。また、”3”の数字表示は、3番目にセットする内視鏡90のコネクタ部92の位置を示している。
【0022】
各インジケータ10は、例えば、図3に示すように、発光ダイオード等の光を出射する発光素子等を有する発光部11と、発光部11からの光を受けて所定の数字を発光表示する表示窓12とを備えて構成されている。発光部11は、洗浄槽5の底面5aの裏面側に配置されており、多数の発光素子をマトリクス状に配置したり、或いは比較的少数の発光素子を配置して光の出射方向を可変可能な構成とする。
【0023】
また、表示窓12は、洗浄槽5の底面5aに窓状に設けられて発光部11からの光を透過する部材を水密にシールして配置されている。この表示窓12に表示される数字は、作業者が視認し易い表示、例えば、数字形状の部分のみ光を透過させる、数字形状の部分とその周囲とを異なる光の透過率とする、数字形状の周囲のみに光を透過させる、数字形状の部分と周囲とを異なる色とする等の表示とする。
【0024】
尚、本実施の形態においては、インジケータ10によって提示される配置情報は、内視鏡各部のセット位置及びセット順序であるが、内視鏡の配置情報としては、少なくともセット位置を有していれば良い。また、インジケータ10は、発光部11と表示窓12とを一体的に形成し、洗浄槽5の底面5aにユニットとして設置するようにしても良い。
【0025】
また、インジケータ10に代えて、図2に破線で示すように、洗浄槽5の内視鏡90を載置する載置面である底面5aにディスプレイ10’を設置し、このディスプレイ10’を、内視鏡90の配置情報を表示する指示部としても良い。
【0026】
ディスプレイ10’は、液晶、プラズマ、有機EL等の表示パネルで、且つ内視鏡90の載置面積と同等の表示面積を有する表示パネルで構成し、例えば、機械的強度と耐熱性に優れた透明な樹脂パネル等を介して洗浄槽5の底面5aに開口した開口部に水密に取り付ける。このようなディスプレイ10’を採用する場合には、表示の自由度が大きくなるため、上述の数字表示によるセット位置及びセット順番を表示する他、内視鏡90全体の配置形状を表示する等、多彩な表現による指示が可能となる。
【0027】
次に、内視鏡洗浄消毒装置1の機能部分の構成の概略について説明する。
図4に示すように、装置本体2の内部に、洗浄水を貯留する液体洗剤を貯留する洗剤タンク21、所定濃度に希釈された消毒液を貯留する消毒液タンク22、アルコールを貯留するアルコールタンク23、水道栓から供給される水道水を濾過する水フィルタ24、及びエアフィルタ25が配設されている。消毒液タンク22は装置本体2内に固定されている。尚、符号22aは消毒液ドレーン口であり、通常は閉じられている。
【0028】
また、洗剤タンク21、アルコールタンク23、水フィルタ24、エアフィルタ25は、各々トレー21a、23a〜25aに載置されている。各トレー21a、23a〜25aは、装置本体2の側面扉2b(図1参照)を開放することで、側方へ引き出し自在にされており、所定に液体を補充し、或いは、部品を交換することが自在となっている。
【0029】
本実施の形態では、消毒液タンク22に消毒液を補充するに際しては、例えば、装置本体2の側面扉2bを開放し、装置内部に固設されているボトルコネクタ26に対して、消毒液が充填されている消毒液ボトル27を接続することで行う。
【0030】
また、その際、希釈弁28を介して、水フィルタ24によって濾過された水道水が消毒液タンク22に供給される。従って、消毒液タンク22には所定濃度に希釈された消毒液が貯留される。尚、図4には、各トレー21a、23a〜25aが引き出された状態が示されている。
【0031】
洗浄槽5は、前述の如く内視鏡90を収容自在であり、底面5aに排水口30が設けられている。更に、洗浄槽5の外周壁面の一側面に循環口31が設けられている。また、本体上面2aの給水コネクタ15が配設されている側の角部に洗剤ノズル13A、消毒液ノズル13B、給水・循環ノズル13Cが配設されている。
【0032】
洗剤ノズル13Aは、洗剤タンク21に洗剤ポンプ37を介して連通されており、消毒液ノズル13Bは、薬液ポンプ38を介して消毒液タンク22に連通されている。また、給水・循環ノズル13Cは、三方弁39を介して水フィルタ24と流液ポンプ40とに選択的に接続自在になっている。
【0033】
給水・循環ノズル13Cが、三方弁39を介して水フィルタ24側に接続された状態では、給水・循環ノズル13Cから水フィルタ24によって濾過された水道水が洗浄槽5に吐出される。一方、給水・循環ノズル13Cが、三方弁39を介して流液ポンプ40に接続された状態では、循環口31から取り入れた洗浄槽5に貯留されている洗浄水、或いは、消毒液が、再度、洗浄槽5に吐出されて循環される。
【0034】
尚、図示しないが給水・循環ノズル13Cと三方弁39との間に高圧ノズルが高圧ポンプを介して接続されており、この高圧ノズルからも給水・循環ノズル13Cと同様の液体(水道水、洗浄水)が高圧で洗浄槽5に噴出される。
【0035】
この高圧ノズル、及び、給水・循環ノズル13Cから吐出される液体により洗浄槽5内に水流が発生し、この水流により内視鏡90の外表面が、洗浄工程においては洗浄され、すすぎ工程においては洗浄液、或いは、消毒液が洗い流される。
【0036】
洗浄槽5の外周壁面の他側面に、内視鏡90に設けた図示しない管路コネクタ部に接続するコネクタ受け部41が設けられている。コネクタ受け部41に、1本の洗浄消毒チューブ51aが分岐接続されており、この洗浄消毒チューブ51aが四方弁から成るチャンネルブロック52の吐出口に連通されている。
【0037】
また、チャンネルブロック52の3つに分岐された各流入口には、循環口31とアルコールタンク23とコンプレッサ54とが各々連通されている。また、循環口31とチャンネルブロック52との間に、循環口31から流体(水道水、洗浄水、消毒液)を吸引するチャンネルポンプ53が介装されている。
【0038】
更に、アルコールタンク23とチャンネルブロック52との間に、流路を開閉するアルコール弁55、アルコールタンク23に貯留されているアルコールを吸引するアルコールポンプ45が介装されている。また、コンプレッサ54とチャンネルブロック52との間にエアフィルタ25が介装されている。
【0039】
チャンネルブロック52を切換え動作させて、各流入口を吐出口に対し選択的に連通させることで、内視鏡90に、洗浄槽5に貯留されている液体(水道水、洗浄水、消毒液)、或いは、アルコールタンク23に貯留されているアルコール、或いは、コンプレッサ54からのエアが供給される。
【0040】
また、コネクタ受け部41に、漏水検知チューブ51bを介して漏水検知ポンプ56が接続されており、この漏水検知チューブ51bに締切り弁57が介装されている。内視鏡90の外表面に小さな孔、亀裂等が開いているか否かを検知するに際しては、先ず、締切り弁57を開放し、漏水検知ポンプ56からのエアを内視鏡90の内部に供給し、内圧を所定に高める。
【0041】
その後、締切り弁57を閉弁させて、内視鏡90の内圧を保持させる。そして、その間の内視鏡90の内圧の変化から、内視鏡90の外表面に小さな孔、亀裂等が開いているか否かを調べる。尚、符号58は排気弁であり開弁することで、漏水検知ポンプ56及びコンプレッサ54からのエアを外部に逃がすことができる。
【0042】
また、洗浄槽5に、超音波振動子59、吸水管消毒用コネクタ60、洗浄ケース61等が所定に配設され、更に、排水口30に切換弁62が配設されている。超音波振動子59は、洗浄槽5に貯留される洗浄水、あるいは水道水に振動を与えて、内視鏡90の外表面を超音波洗浄、或いは、濯ぐものである。
【0043】
吸水管消毒用コネクタ60は、これに消毒液ノズル13Bをホース等を介して接続し、水フィルタ24に連通する給水管に消毒液を供給し、この給水管を消毒するものである。また、洗浄ケース61は、これに内視鏡90の各スコープスイッチのボタン等、内視鏡90に併設されている取り外し可能な部品を収容して、内視鏡90と一緒に洗浄、消毒させるものである。
【0044】
更に、排水口30に配設されている切換弁62は、排水時の排水路を切換えるもので、洗浄槽5に水道水あるいは洗浄水が貯留されている場合は、排水口30を排水ホース14側に連通させて、排水ポンプ44を駆動させて、強制的に排水させる。一方、洗浄槽5に消毒液が貯留されている場合は、排水口30を消毒液タンク22側に連通させて、消毒済みの消毒液を消毒液タンク22に回収する。従って、消毒液は繰り返し利用される。
【0045】
各弁39,52,55,62の切換え動作及び各種ポンプ37,38,40,53,56の動作は、装置本体2に内蔵されている制御部63にて制御される。この制御部63は、マイクロコンピュータを中心として構成され、図4,図5に示すように、各センサ類を含むセンサ系110、各アクチュエータ類を含む駆動系120、外部との通信を行う通信系130、操作パネル9、電源部140等が接続されている。電源部140は、ACコンセントと接続されており、外部からの電力を制御部63、及び、その他の回路に供給する。
【0046】
センサ系110に含まれるセンサ類としては、内視鏡90の内圧を検出する圧力センサ、洗浄槽5の水位を検出する水位センサ、洗浄槽5に収納された内視鏡90の位置を検出する位置検知センサ、内視鏡90の水漏れを検知する水漏れセンサ等がある。また、駆動系120に含まれるアクチュエータ類としては、上述のインジケータ10,各種ポンプ37,38,40,53,56、及び、各弁39,52,55,62等がある。尚、センサ系110は、駆動系120を兼ねていても良い。
【0047】
また、通信系130には、内視鏡90のスコープIDタグ94と無線通信を行うための送受信アンテナを有するRFID送受信部8、外部のコンピュータとシリアル通信を行うためのシリアル通信アダプタ100、院内ネットワーク等の管理システムや内視鏡90を含む診断システム等のネットワークに接続するためのネットワークアダプタ101、その他、図示しないプリンタやモニタ等に出力するためのインターフェース部が備えられている。
【0048】
制御部63は、通信系130のRFID送受信部8を介して内視鏡90のスコープIDタグ94から機種番号等のスコープ個体情報、認識情報、修理履歴、洗浄回数等の履歴情報を受信する。制御部63は、受信した内視鏡情報を操作パネル9に表示させると共に、シリアル通信アダプタ100或いはネットワークアダプタ101を介して外部システムと通信し、内視鏡90の機種番号等から外部システムのデータベース等に蓄積されている個別の内視鏡90の形状・寸法データを取得する。
【0049】
そして、制御部63は、取得した内視鏡90の形状・寸法から洗浄槽5内への適正な配置位置を決定し、インジケータ10を発光表示させる。尚、内視鏡洗浄消毒装置1内に予め内視鏡90の機種番号(個体情報)とインジケータ10の発光位置との関係を記録したデータベースを内部に備え、この内部データベースを制御部63で参照することにより、インジケータ10の発光を制御するようにしても良い。
【0050】
尚、制御部63には、その他、内視鏡90に設けた図示しない管路コネクタ部に接続するコネクタ受け部を有する電源送受信ユニット、内視鏡90を洗浄槽5に固定するための電磁石ユニット等が接続されているが、周知であるため、その詳しい説明は省略する。
【0051】
次に、このように構成された内視鏡洗浄消毒装置1の作用、即ち、使用済みの内視鏡90を洗浄、消毒する際の動作について、図6の内視鏡の洗浄消毒方法を示すフローチャートを用いて説明する。
【0052】
内視鏡検査を終了した使用済みの内視鏡90は、先ず、ベットサイドにて予備洗浄される。その後、更に、例えば流し台にて内視鏡90が洗浄される。次いで、内視鏡洗浄消毒装置1を用いた本洗浄が行われる。
【0053】
この本洗浄を行うに際しては、先ず、ステップS1において、内視鏡90のスコープIDタグ94との通信により、RFID送受信部8から内視鏡情報の入力が有るか否かを判断する。RFID送受信部8から内視鏡情報の入力がない場合には、例えば操作パネル9にエラーコードを表示させるか、又は「内視鏡情報が入力されていません」等の表示を行う、若しくは、図示しないスピーカにより音声を発して作業者に警告を発し、ステップS1で内視鏡情報の入力を待つ。
【0054】
RFID送受信部8から内視鏡情報の入力がある場合、制御部63は入力された内視鏡情報をメモリに記憶して次のステップS2に移り、内視鏡情報に基づいて個別の内視鏡90に対応してインジケータ10の発光を制御し、トップカバー4を装置本体2から開成して洗浄槽5の底面5a(内視鏡90の載置面)に内視鏡90の適正なセット位置及びセット手順を表示する。
【0055】
そして、ステップS3で、作業者がインジケータ10の表示を確認しながら、内視鏡90を洗浄槽5内の適正な位置に収納、セットする。この内視鏡90が洗浄槽5に収納、セットされるに際しては、内視鏡90の各種コネクタ部が、洗浄槽5の外周壁面に設けられているコネクタ受け部41(図4参照)に対設させられる。コネクタ受け部41と、内視鏡90の各種コネクタ部とは、互いに接合可能な構造となっている。尚、コネクタ受け部41と、内視鏡90の各種コネクタ部とは、チューブにより接続されていても良い。
【0056】
その後、ステップS4に移行し、装置本体2にトップカバー4が閉成され、ラッチ6により施錠される。続くステップS5では、装置本体2に配設された操作パネル9の洗浄消毒処理スタートスイッチ(SW)がオンされ、制御部63の動作制御により、給水が開始される。給水が開始されるに際しては、先ず、三方弁39を動作させ、給水・循環ノズル13Cを水フィルタ24(いずれも図4参照)側に接続させる。すると、水フィルタ24にて濾過された水道水が、給水・循環ノズル13Cから洗浄槽5に供給される。
【0057】
洗浄槽5の水位が、図示しない水位センサ等で検出され、給水の終了時期が監視される。そして、洗浄槽5に貯留される水位が設定水位に達したとき、三方弁39が再び動作され、給水・循環ノズル13Cと水フィルタ24側との接続を遮断して給水が終了し、ステップS6に移行する。
【0058】
ステップS6では、異常の有無を判定するための各種チェックが行われる。チェック項目は、基本項目と機種別項目とがある。基本項目は洗浄消毒の対象となる内視鏡90の機種に関係なく一律に実行される項目であり、漏水チェック、管路詰まりチェック、内視鏡90の図示しないCCDに結像された画像チェック等がある。
【0059】
一方、機種別項目は、読込んだ機種番号に基づいて、内視鏡毎に対応する項目が自動的に設定される。例えば、内視鏡90の洗浄槽5内への載置状態をチェックするため、トップカバー4と内視鏡90の接触を検出するセンサを設け、このセンサからの信号に基づいて、個別の内視鏡90毎に洗浄槽5内に適切に載置されているか否かをチェックする。
【0060】
ステップS7では、これらのチェックの結果、1つでも異常と判定された場合は、ステップS8へ分岐し、内視鏡90が異常であることを装置本体2の操作パネル9に表示させる等して、異常の告知を行った後、ステップS9へ進み、洗浄消毒工程を停止させて、ルーチンを終了する。
【0061】
尚、異常を告知する手段は種々のものが考えられ、例えば、モニタにその旨を表示させることで行ったり、或いはブザーを吹鳴したり、スピーカからの疑似音声にて行っても良い。又は、操作パネル9に異常表示ランプを設け、このランプを点灯させることで行うようにしても良い。
【0062】
一方、チェック項目の全てが正常と判定されたときは、ステップS10へ進み、洗浄工程を開始する。尚、洗浄工程以降は自動運転される。洗浄工程が開始されると、先ず、洗剤ポンプ37の駆動により洗剤タンク21に貯留されている液体洗剤が洗剤ノズル13Aから洗浄槽5に適量吐出され、吐出された液体洗剤が洗浄槽5に貯留されている水道水に混入されることにより洗浄水が生成される。
【0063】
洗浄工程では、内視鏡90の外周壁面、及び内周壁面に設けた高圧ノズルから、洗浄槽5に貯留されている洗浄水を噴出して洗浄槽5内に水流を生成し、更に、この水流を超音波振動子59の駆動により振動させる。その結果、内視鏡90の外表面が洗浄水の水流と超音波振動とにより洗浄される。
【0064】
又、三方弁39とチャンネルブロック52とを動作させて、循環口31と給水・循環ノズル13C、及び洗浄消毒チューブ51aとを連通させる。その結果、給水・循環ノズル13Cから流液ポンプ40の駆動により、洗浄水が吐出されて循環される。同時に、洗浄消毒チューブ51aを経て、内視鏡90の各管路にチャンネルポンプ53の吐出圧により洗浄水が供給され、各管路内が洗浄される。
【0065】
次いで、洗浄水が排水される。洗浄水の排水は、洗浄槽5の底面5aに開口されている排水口30に設けた切換弁62が動作され、排水口30と排水ホース14とが連通され、排水ポンプ44が駆動されて、強制的に排水される。
【0066】
排水が所定に終了した場合、切換弁62が動作されて排水口30が閉塞され、更に三方弁39が動作されて循環口31と給水・循環ノズル13Cとが遮断された後、消毒工程が開始される。
【0067】
消毒工程が開始されると、先ず、薬液ポンプ38の駆動により、消毒液タンク22に貯留されている消毒液が消毒液ノズル13Bに送給され、この消毒液ノズル13Bから洗浄槽5に消毒液が供給される。この状態では、循環口31と洗浄消毒チューブ51aとが連通されているため、チャンネルポンプ53の駆動により、洗浄槽5に貯留されている消毒液が、内視鏡90の各管路に注入される。そして、洗浄槽5に供給された消毒液の水位が設定水位に達した後、消毒液は設定時間だけ循環される。
【0068】
次いで、消毒液の回収が行われる。消毒液はある回数繰り返し使用されるため、切換弁62が動作されて、排水口30が消毒液タンク22に連通され、洗浄槽5に貯留されている消毒液が回収される。その後、ステップS11に移行する。
【0069】
ステップS11では、すすぎ工程が開始される。すすぎ工程が開始されると、先ず、三方弁39が駆動されて、給水・循環ノズル13Cが水フィルタ24側に連通され、給水・循環ノズル13Cから水フィルタ24によって濾過された水道水が洗浄槽5に供給される。そして、設定水位に達した後、三方弁39が閉じられ、洗浄工程と同様、洗浄槽5に貯留されている水道水が循環される。そして、設定時間が経過した後、排水される。
【0070】
その後、すすぎの回数Nを計数し、すすぎの回数Nが設定回数に達したとき、すすぎ終了と判定される。そして、最後のすすぎ工程において使用された水道水が所定に排水された後、送気工程が開始される。送気工程が開始されると、チャンネルブロック52が動作されて、コンプレッサ54と洗浄消毒チューブ51aとが連通され、内視鏡90の各管路にエアが送気されて、各管路内が除水、乾燥される。
【0071】
次いで、アルコールフラッシュ工程が開始される。アルコールフラッシュ工程では、先ず、チャンネルブロック52が駆動されて、アルコールタンク23と洗浄消毒チューブ51aとが連通され、アルコールポンプ45の駆動により、アルコールタンク23に貯留されているアルコールが少量だけ、内視鏡90の各管路に送液される。
【0072】
次いで、チャンネルブロック52が再び駆動されて、今度は洗浄消毒チューブ51aがコンプレッサ54に連通され、コンプレッサ54の駆動により、エアが内視鏡90の各管路へ送気される。そして、エアと共にアルコールが内視鏡90の各管路に供給され、該アルコールにより、各管路に残留する僅かな水分の蒸発が促され、早期に乾燥される。その後、最後のステップS12に移行し、装置本体2からトップカバー4が開成されて内視鏡90が洗浄槽5から取り出され、内視鏡90の洗浄消毒工程が終了する。
【0073】
このように、本実施の形態においては、内視鏡90が内視鏡洗浄消毒装置1にて洗浄される際、内視鏡90を装置本体2の洗浄槽5に近づけると、RFID送受信部8を介して自動的に洗浄対象の内視鏡の情報を読み込み、洗浄槽5内へのセット位置を指示するため、個別の内視鏡毎の相違に拘わらず、個別の内視鏡毎に適正な配置で洗浄槽内にセットすることが容易となり、内視鏡の十分な洗浄消毒効果を得ることができる。しかも、本実施の形態においては、洗浄槽5内への内視鏡のセット位置を表示するのみならず、内視鏡各部のセット順番も指示するため、作業性を大幅に向上することが可能となる。
【0074】
更に、内視鏡洗浄消毒装置1を管理システム等に接続して洗浄消毒する内視鏡の情報を予め取得する場合に比較して、内視鏡洗浄消毒装置1で洗浄消毒する実際の内視鏡の情報を実際の作業時に読み取るため、予め取得した内視鏡情報と実際に洗浄消毒する内視鏡との対応を改めて確認することなく、洗浄消毒する内視鏡毎に適正な配置でセットすることができる。
【0075】
ここで、本実施の形態においては、トップカバー4は、装置本体2後方のヒンジ3を支点として装置本体2の上方に開ける構造を有している。しかしながら、このような構造では、装置本体2の上方にトップカバー4を開放するためのスペースが必要である。
【0076】
このため、トップカバー4は、図7,図8に示すように、複数箇所で折れ曲がる折れ戸状の開閉構造を有するトップカバー150としても良い。図7,図8においては、トップカバー150の中央部で2つに折れ曲がる例を示しており、このトップカバー150は、図7に示すように、装置前方側の取っ手151aを有する前カバー半体151と、ヒンジ3に支持される装置後方側の後カバー半体152とが蝶番153によって洗浄槽5を臨む裏面側の中央部で連結されている。
【0077】
図8(a)に示すように、トップカバー150は、取っ手151aを把持して前カバー半体151を若干持ち上げるようにしながら後方(ヒンジ3側)に移動させると、ヒンジ3の力で後方に引き寄せられる。そして、図8(b)に示すように、前カバー半体151と後カバー半体152とが互いに立ち上がって対向し、洗浄槽5を開放状態とする。
【0078】
また、トップカバー150では、トップカバー150と洗浄槽5とを水密にシールするためのパッキン部材も、前カバー半体151側のパッキン部材154aと後カバー半体152側のパッキン部材154bとに分離されている。これらのパッキン部材154a,154bは、それぞれ、前カバー半体151、後カバー半体152の外周に沿って設けられた溝部に装着されて周回されている。
【0079】
詳細には、パッキン部材154a,154bは、洗浄槽5の上部の縁部分5bから所定位置だけ下がった縁部分5cにかけての側壁(例えば本体上面2aの開口部分の縁部に設けた段状部分16の上下方向の側壁)との間に介装されて、トップカバー4を閉じた際にトップカバー4と洗浄槽5とを水密にシールする。
【0080】
その際、トップカバー150の屈曲部の位置にあたるパッキン部材154a,154bの部位、すなわち、前カバー半体151側のパッキン部材154aと後カバー半体152側のパッキン部材154bとが互いに当接する中央の部位は、互いに当接して圧縮される量を側面側よりも若干大きくすることにより、洗浄槽5に対する水密性を確保する。
【0081】
このような折れ曲がり構造のトップカバーは、開放時の上下方向の高さを低くすることができ、装置上方に必要とされるスペースを大幅に削減することができる。上述のトップカバー150の例では、装置本体2後方のヒンジ3を支点として装置本体2の上方に開ける構造のトップカバー4と比較して、開放時の上下方向の高さが約1/2ほどで済み、更には、折れ曲がり枚数を3枚以上とすることにより、開放時の上下方向の高さを約1/3以下とすることも可能であるが、装置の奥行き方向の寸法が増加するため、妥当な折れ曲がり枚数に設定する。
【0082】
また、本実施の形態においては、内視鏡洗浄消毒装置1にて内視鏡を洗浄消毒する際、作業者が手で操作パネル9の洗浄消毒処理スタートスイッチをオンさせ、装置を動作させている。しかしながら、作業者は、装置を動作させる前に、洗浄消毒前の汚れた内視鏡を装置にセットする必要があるため、操作パネル9に触れる前の手が汚染される可能性がある。従って、作業者が汚れた手で操作パネル9に触れると、操作パネル9も汚れてしまい、内視鏡を洗浄消毒しても、洗浄消毒後の内視鏡の取扱い如何によっては再汚染のリスクが生じる。
【0083】
このため、図9に示すように、内視鏡洗浄消毒装置1の装置本体2に、装置本体2を足で操作可能なフットコントローラ200を接続するようにしても良い。このフットコントローラ200を採用する場合、図10に示すように、装置本体2の操作パネル9には、洗浄消毒,漏水検知,すすぎ等の各工程の選択表示を設け、フットコントローラ200に設けたジョイスティック状の選択ボタン201,決定ボタン202,ストップボタン203等を足で操作することにより、内視鏡洗浄消毒装置1を所望に動作させることができる。
【0084】
このように、フットコントローラ200と操作パネル9の表示とを連動させることにとり、汚れた手で装置に触れることなくハンズフリーでの操作が可能となり、再汚染のリスクを解消することができる。また、操作パネル9のように装置本体2の固定位置に表示する場合、作業者の体格によって操作性に良否が生じるが、本フットコントローラ200では、足元で操作できるため、作業者の体格に左右されることなく良好な操作性を提供することができる。更に、操作パネル9に設けるスイッチを削減することが可能となり、省スペース化を図ることができる。
【0085】
(第2形態)
次に、本発明の実施の第2形態について説明する。第2形態は、トップカバーにインジケータを設置するものである。以下、第1形態との相違点を主として説明する。
【0086】
図11に示すように、第2形態のインジケータ10Aは、トップカバー4Aの開放前端側に複数の発光部11Aを配置して構成されている。トップカバー4Aは、発光部11A及び信号系統や電源系統の関連部材を備えること以外は、基本的に、第1形態のトップカバー4と同様である。
【0087】
また、発光部11Aは、洗浄槽5の底面5aを指向して照射方向を可変可能に構成されており、RFID送受信部8を介して内視鏡90のスコープIDタグ94から読み取った内視鏡情報に基づいて、例えば、内視鏡90の操作部91、コネクタ部92、挿入部93が適正に配置されるべき点を洗浄槽5の底面5aに照射して投影する。
【0088】
この場合、内視鏡洗浄消毒装置1は、リプロセスルーム等の比較的明るい環境下に設置されることが多いため、発光部11Aは、黄緑等の中間色を避けて明るい場所での視認性に優れた色調の照射光、或いは、レーザ光等の外部環境による視認性の影響を受け難い光源を採用し、明るい環境下での視認性を向上させる。この明るい環境下での視認性向上のためには、発光部11Aのみならず、光を照射される側の洗浄槽5を暗い色相とすることも有効である。
【0089】
また、トップカバー4Aは、第1形態のトップカバー4と同じくヒンジ3を支点とする開閉構造であるため、以下の(1)〜(3)に示すような構成を付加し、トップカバー4Aの開放時のブレによって発光部11Aからの照射光がぶれて内視鏡90のセット位置が不明瞭となることを防止する。
【0090】
(1)トップカバー4Aが一定の開放位置で保持されるような保持機構を設ける。このような保持機構としては、例えば、トップカバー4Aの開放時に、一定の位置に一定の力で機械的に保持するクリックストップ機構、ボタン操作等のワンアクションによって電磁的にロックする機構等を採用することができる。
【0091】
(2)トップカバー4Aの傾き状態を加速度センサによって検知し、検知した傾き状態に基づいて適切な照射状態となるよう発光部11Aの照射方向を制御する。照射方向の制御は、発光部11A全体の姿勢制御や発光部11Aに配設されたレンズやリフレクター等の光学系の姿勢制御等によって行うことができる。
【0092】
(3)トップカバー4Aと洗浄槽5との距離を赤外線距離センサにより測定し、その測定値からトップカバー4Aの傾き状態を算出する。そして、算出した傾き状態に基づいて適切な照射状態となるよう発光部11Aの照射方向を制御する。照射方向の制御自体は、前述の(2)と同様である。
【0093】
このように、第2形態においては、前述の第1形態で説明した効果と同様の効果を得ることができるばかりでなく、作業者がインジケータ10Aの指示に従って内視鏡90を配置した後も、内視鏡90の表面に配置ポイントを示す光が照射されるため、内視鏡90を適正位置に確実にセットすることが容易となり、作業効率の向上を図ることができる。
【0094】
(第3形態)
次に、本発明の実施の第3形態について説明する。第3形態は、トップカバーの裏面に内視鏡のセット位置を投影するものである。
【0095】
すなわち、第3形態においては、内視鏡90の洗浄槽5内への適正なセット位置を指示する指示部として、図12に示すように、装置本体2の洗浄槽5の辺縁である前面縁部に、画像投影装置250を設けている。この画像投影装置250は、第1形態のトップカバー4と同様のトップカバー4Bの裏面側(洗浄槽5側の内面)に、内視鏡90の適切な設置例の画像を投影するものである。画像投影装置250から投影する画像は、RFID送受信部8を介して内視鏡90のスコープIDタグ94から読み取った内視鏡情報に基づいて、個別の内視鏡に対応する画像に切換える。
【0096】
この場合においても、第2形態と同様、明るい環境下での視認性を向上するため、画像が投影されるトップカバー4Bを暗い色相とする。但し、トップカバー4Bは、閉じた状態で外部から洗浄槽5内を確認可能な透明性を有することが望ましいため、車両のスモークフィルムや偏光サングラス等のように、透過する方向によって透明度の異なる材質を採用することが望ましい。
【0097】
また、トップカバー4Bの開放時のブレによる画像の不明瞭化を防止するため、第2形態で説明したように、トップカバー4Bを一定位置で機械的又は電磁的に保持する保持機構を採用する、或いは、加速度センサや赤外線距離センサ等によるトップカバー4の傾き状態を検出して、画像の台形補正等の処理を行うことにより、指示のズレや画像の不明瞭化を防止する。
【0098】
第3形態では、前述の第1形態で説明した効果と同様の効果を得ることができるばかりでなく、作業者が内視鏡90を洗浄槽5に収納・セットする際に、容易に目視することのできるトップカバー4Bの裏面に内視鏡90の適切な設置例が画像で表示されるため、作業性を向上することが可能となる。
【0099】
(第4形態)
次に、本発明の実施の第4形態について説明する。第4形態は、トップカバーの裏面にディスプレイを配置するものである。
【0100】
内視鏡90の洗浄槽5内への適正なセット位置を指示する指示部としてディスプレイを採用する場合、第1形態で説明した洗浄槽5内のディスプレイ10’の他、装置本体2の操作パネル9を用いることが可能である。装置本体2の本体上面2aに配置される操作パネル9は、表示面積が小さい場合、図13に破線で示すように、別途、装置本体2の前面部に、大型の表示パネル9’を設けてもよい。
【0101】
第4形態では、図13に示すように、トップカバー4Cの裏面側にディスプレイ300を配設し、このディスプレイ300に、内視鏡90の適切な配置を示す画像を、RFID送受信部8を介して読み取った情報に基づいて表示する。
【0102】
尚、トップカバー4Cは、第1形態のトップカバー4と同様の開閉構造を備えるものであるが、前述したように、閉じた状態で外部から洗浄槽5内を確認可能な透明性を有することが望ましい。このため、トップカバー4Cに配設するディスプレイ300は、透過型ディスプレイとすることが望ましい。
【0103】
第4形態では、第3形態と同様、作業者が目視し易い位置に、内視鏡90の適切な設置例が画像で表示されるため、作業性を向上することが可能となるが、外部環境の明るさの影響を受け難く、また、トップカバー4Cの開放時のブレの影響も比較的少ないという利点を有する。
【符号の説明】
【0104】
1 内視鏡洗浄消毒装置
4,4A,4B,4C トップカバー
5 洗浄槽
8 RFID送受信部
10 インジケータ
10’ ディスプレイ
10A インジケータ
63 制御部
90 内視鏡
91 操作部
92 コネクタ部
93 挿入部
94 スコープIDタグ
250 画像投影装置
300 ディスプレイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの内視鏡を洗浄槽内に収納して洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療分野において使用される内視鏡は、内視鏡検査を行う毎に内視鏡洗浄消毒装置により洗浄、消毒が行われる。このような洗浄消毒装置を用いて内視鏡の洗浄処理及び消毒処理を行う際には、洗浄消毒装置の洗浄槽内に使用済みの内視鏡を収容し、適切な位置にセッティングする必要がある。
【0003】
洗浄槽に対する内視鏡のセッティング位置が適切でない場合、内視鏡が洗浄槽に収まりきれない等の不具合が生じ、作業者の修正の手間が増加して作業効率の低下を招くばかりでなく、不適切な配置のまま洗浄消毒を実行すると、内視鏡又は洗浄消毒装置に無理な応力がかかって両者に破損が生じたり、洗浄槽の蓋部の内面と内視鏡の外表面とが接触して接触部位の洗浄消毒が困難になるという問題がある。
【0004】
このため、特許文献1には、洗浄槽の底面又は内視鏡保持トレーの底面に、内視鏡の配置位置を告知する位置決め突起、仕切り、着色部等を設けることにより、内視鏡を規定の位置に配置させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−172055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、或る特定の内視鏡を想定しており、形状・寸法の異なる別の種類の内視鏡にまで対応することはできない。このため、個別の内視鏡に対応するためには、保持トレーを交換する等の煩雑な作業を要し、却って作業効率が低下する虞がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、洗浄槽内への内視鏡のセッティングを、個々の内視鏡に対応して適正且つ容易に行うことを可能とする内視鏡洗浄消毒装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による内視鏡洗浄消毒装置は、底面に内視鏡を載置自在な洗浄槽と、前記洗浄槽を覆う蓋部と、前記内視鏡から内視鏡情報を読み取る内視鏡情報読取部と、前記内視鏡情報読取部による前記内視鏡情報の読み取り結果に基づいて、前記洗浄槽の内面又は前記蓋部の内面に、前記内視鏡の配置を示す配置情報を表示する指示部と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、洗浄槽内への内視鏡のセッティングを、個々の内視鏡に対応して適正且つ容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の第1形態に係り、内視鏡洗浄消毒装置の斜視図
【図2】同上、内視鏡のセット位置を示すインジケータの説明図
【図3】同上、発光部及び表示窓を示す説明図
【図4】同上、内視鏡洗浄消毒装置の機能部分の構成の概略説明図
【図5】同上、内視鏡洗浄消毒装置の内部回路の構成の概略を示すブロック図
【図6】同上、内視鏡の洗浄消毒方法を示すフローチャート
【図7】同上、閉状態のトップカバーを示す断面図
【図8】同上、開状態のトップカバーを示す断面図
【図9】同上、フットコントローラを備えた内視鏡用洗浄消毒装置の説明図
【図10】同上、操作パネルの表示例を示す説明図
【図11】本発明の実施の第2形態に係り、トップカバーに設置したインジケータを示す説明図
【図12】本発明の実施の第3形態に係り、洗浄槽側に設置した画像投影装置を示す説明図
【図13】本発明の実施の第4形態に係り、ディスプレイの配置を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1形態)
図1において、符号1は内視鏡洗浄消毒装置を示し、この内視鏡洗浄消毒装置1の主要な構成は、装置本体2と、上部にヒンジ3を介して開閉自在に接続された蓋部であるトップカバー4である。装置本体2の上面(以下、「本体上面」と称する)2aには、その底面5aに洗浄消毒のために内視鏡90を載置して収納自在な槽型の洗浄槽(「洗浄消毒槽」とも云う)5が配設されている。
【0012】
また、本体上面2aには、表示機能付きのタッチパネルで構成された操作パネル9が設けられている。尚、この操作パネル9は、装置本体2の側面や、トップカバー4に設けられているものであっても良い。さらに、本体上面2aには、後述する洗剤ノズル13A、消毒液ノズル13B、給水・循環ノズル13Cが配設されている。
【0013】
また、装置本体2の任意の側面には、後述する側面扉2bが配設されている。更に、装置本体2の下部には、洗浄槽5内の洗浄液、消毒液等を排出する排水ホース14が連設されている。また、装置本体2には、洗浄槽5内に給水を行う後述する給水コネクタ15(図4参照)が設けられている。
【0014】
洗浄槽5は、本体上面2aの開口部分の縁部が略全周に亘って段状の段状部分16が形成されている。そして、トップカバー4の内面の、この段状部分16と対向する部分には、この段状部分16の形状に沿って、トップカバー4を閉じた際にトップカバー4と洗浄槽5とを水密にシールすると共に、トップカバー4を閉じる際のクッション性を保つためのパッキン部材17が設けられている。
【0015】
洗浄槽5は、上述のトップカバー4を開閉することにより開閉される。使用後の内視鏡90を洗浄消毒する際、作業者が内視鏡90を洗浄槽5の所定位置にセットして収納した後、トップカバー4を閉じると、装置本体2に配設されたラッチ6がトップカバー4のハンドル7をロックしてトップカバー4の閉状態が維持される。尚、トップカバー4は、該トップカバー4を閉じた際に洗浄槽5内が見えるように、中央の部位が透明の樹脂、ガラス材等で形成されている。
【0016】
内視鏡90の洗浄槽5内へのセットは、内視鏡90から読み取った内視鏡情報に基づいて、内視鏡90の操作部91,コネクタ部92,挿入部93等の洗浄槽5内へのセット位置が個別の内視鏡毎に指示される。内視鏡90は、例えば、コネクタ部92に内視鏡情報記録部としてのRFID( Radio Frequency IDentification :電波方式認識)タグ94を内蔵しており、このRFIDタグ94から、型名、製造番号等の内視鏡固有の情報を読み込むことで個々の内視鏡の幾何学的な形状寸法を知ることができ、この形状寸法に応じた適切な洗浄槽5内へのセット位置を指示することが可能となる。
【0017】
従って、本実施の形態においては、内視鏡90から内視鏡情報を読み取る内視鏡情報読取部として、装置本体2の所定の部位に、内視鏡90のRFIDタグ94(以下、「スコープIDタグ94」と記載)と無線通信するRFID送受信部8を設けている。具体的には、RFID送受信部8は、例えば本体上面2aの開口部分の縁部左側に内蔵され、使用後の内視鏡90を洗浄消毒する際に、内視鏡90を洗浄槽5に近づけると自動的に内視鏡情報を読み込み可能としている。
【0018】
尚、装置本体2の外装は、無線電波を透過する材質により形成されている。また、スコープIDタグ94は、固有情報が記録保存可能で、この記録した固有情報を読み書き自在な内部メモリ、この内部メモリに対して情報の読み書きを指示制御する演算部、無線通信を行う通信部等を有して構成されており、内部メモリに、型名、製造番号の他にCCD( Charge Coupled Device )の特性や、過去の修理来歴、ビデオプロセッサの使用回数などの内視鏡固有の情報が記録されるようになっている。
【0019】
内視鏡情報に基づく内視鏡90の洗浄槽5内へのセット位置は、内視鏡90の洗浄槽5内への適正な配置を示す配置情報を表示する指示部としての複数のインジケータ10によって示される。作業者は、インジケータ10の示す内視鏡90の配置情報を確認しながら内視鏡90を洗浄槽5内に収納することで、内視鏡90を適正な位置に容易にセットすることができる。
【0020】
本実施の形態においては、インジケータ10による内視鏡の配置情報は、内視鏡90の各部に対応した洗浄槽5内への適正なセット位置とセット順序とを有する情報である。インジケータ10は、洗浄槽5の内視鏡載置面である底面5aに設置され、内視鏡90の各部をセットする位置と順序とを、例えば図2に示すように、”1”,”2”,”3”の数字で発光表示する。
【0021】
”1”の数字表示は、1番目にセットする内視鏡90の操作部91の位置を示し、”2”の数字表示は、2番目にセットする内視鏡90の挿入部93の位置を示している。また、”3”の数字表示は、3番目にセットする内視鏡90のコネクタ部92の位置を示している。
【0022】
各インジケータ10は、例えば、図3に示すように、発光ダイオード等の光を出射する発光素子等を有する発光部11と、発光部11からの光を受けて所定の数字を発光表示する表示窓12とを備えて構成されている。発光部11は、洗浄槽5の底面5aの裏面側に配置されており、多数の発光素子をマトリクス状に配置したり、或いは比較的少数の発光素子を配置して光の出射方向を可変可能な構成とする。
【0023】
また、表示窓12は、洗浄槽5の底面5aに窓状に設けられて発光部11からの光を透過する部材を水密にシールして配置されている。この表示窓12に表示される数字は、作業者が視認し易い表示、例えば、数字形状の部分のみ光を透過させる、数字形状の部分とその周囲とを異なる光の透過率とする、数字形状の周囲のみに光を透過させる、数字形状の部分と周囲とを異なる色とする等の表示とする。
【0024】
尚、本実施の形態においては、インジケータ10によって提示される配置情報は、内視鏡各部のセット位置及びセット順序であるが、内視鏡の配置情報としては、少なくともセット位置を有していれば良い。また、インジケータ10は、発光部11と表示窓12とを一体的に形成し、洗浄槽5の底面5aにユニットとして設置するようにしても良い。
【0025】
また、インジケータ10に代えて、図2に破線で示すように、洗浄槽5の内視鏡90を載置する載置面である底面5aにディスプレイ10’を設置し、このディスプレイ10’を、内視鏡90の配置情報を表示する指示部としても良い。
【0026】
ディスプレイ10’は、液晶、プラズマ、有機EL等の表示パネルで、且つ内視鏡90の載置面積と同等の表示面積を有する表示パネルで構成し、例えば、機械的強度と耐熱性に優れた透明な樹脂パネル等を介して洗浄槽5の底面5aに開口した開口部に水密に取り付ける。このようなディスプレイ10’を採用する場合には、表示の自由度が大きくなるため、上述の数字表示によるセット位置及びセット順番を表示する他、内視鏡90全体の配置形状を表示する等、多彩な表現による指示が可能となる。
【0027】
次に、内視鏡洗浄消毒装置1の機能部分の構成の概略について説明する。
図4に示すように、装置本体2の内部に、洗浄水を貯留する液体洗剤を貯留する洗剤タンク21、所定濃度に希釈された消毒液を貯留する消毒液タンク22、アルコールを貯留するアルコールタンク23、水道栓から供給される水道水を濾過する水フィルタ24、及びエアフィルタ25が配設されている。消毒液タンク22は装置本体2内に固定されている。尚、符号22aは消毒液ドレーン口であり、通常は閉じられている。
【0028】
また、洗剤タンク21、アルコールタンク23、水フィルタ24、エアフィルタ25は、各々トレー21a、23a〜25aに載置されている。各トレー21a、23a〜25aは、装置本体2の側面扉2b(図1参照)を開放することで、側方へ引き出し自在にされており、所定に液体を補充し、或いは、部品を交換することが自在となっている。
【0029】
本実施の形態では、消毒液タンク22に消毒液を補充するに際しては、例えば、装置本体2の側面扉2bを開放し、装置内部に固設されているボトルコネクタ26に対して、消毒液が充填されている消毒液ボトル27を接続することで行う。
【0030】
また、その際、希釈弁28を介して、水フィルタ24によって濾過された水道水が消毒液タンク22に供給される。従って、消毒液タンク22には所定濃度に希釈された消毒液が貯留される。尚、図4には、各トレー21a、23a〜25aが引き出された状態が示されている。
【0031】
洗浄槽5は、前述の如く内視鏡90を収容自在であり、底面5aに排水口30が設けられている。更に、洗浄槽5の外周壁面の一側面に循環口31が設けられている。また、本体上面2aの給水コネクタ15が配設されている側の角部に洗剤ノズル13A、消毒液ノズル13B、給水・循環ノズル13Cが配設されている。
【0032】
洗剤ノズル13Aは、洗剤タンク21に洗剤ポンプ37を介して連通されており、消毒液ノズル13Bは、薬液ポンプ38を介して消毒液タンク22に連通されている。また、給水・循環ノズル13Cは、三方弁39を介して水フィルタ24と流液ポンプ40とに選択的に接続自在になっている。
【0033】
給水・循環ノズル13Cが、三方弁39を介して水フィルタ24側に接続された状態では、給水・循環ノズル13Cから水フィルタ24によって濾過された水道水が洗浄槽5に吐出される。一方、給水・循環ノズル13Cが、三方弁39を介して流液ポンプ40に接続された状態では、循環口31から取り入れた洗浄槽5に貯留されている洗浄水、或いは、消毒液が、再度、洗浄槽5に吐出されて循環される。
【0034】
尚、図示しないが給水・循環ノズル13Cと三方弁39との間に高圧ノズルが高圧ポンプを介して接続されており、この高圧ノズルからも給水・循環ノズル13Cと同様の液体(水道水、洗浄水)が高圧で洗浄槽5に噴出される。
【0035】
この高圧ノズル、及び、給水・循環ノズル13Cから吐出される液体により洗浄槽5内に水流が発生し、この水流により内視鏡90の外表面が、洗浄工程においては洗浄され、すすぎ工程においては洗浄液、或いは、消毒液が洗い流される。
【0036】
洗浄槽5の外周壁面の他側面に、内視鏡90に設けた図示しない管路コネクタ部に接続するコネクタ受け部41が設けられている。コネクタ受け部41に、1本の洗浄消毒チューブ51aが分岐接続されており、この洗浄消毒チューブ51aが四方弁から成るチャンネルブロック52の吐出口に連通されている。
【0037】
また、チャンネルブロック52の3つに分岐された各流入口には、循環口31とアルコールタンク23とコンプレッサ54とが各々連通されている。また、循環口31とチャンネルブロック52との間に、循環口31から流体(水道水、洗浄水、消毒液)を吸引するチャンネルポンプ53が介装されている。
【0038】
更に、アルコールタンク23とチャンネルブロック52との間に、流路を開閉するアルコール弁55、アルコールタンク23に貯留されているアルコールを吸引するアルコールポンプ45が介装されている。また、コンプレッサ54とチャンネルブロック52との間にエアフィルタ25が介装されている。
【0039】
チャンネルブロック52を切換え動作させて、各流入口を吐出口に対し選択的に連通させることで、内視鏡90に、洗浄槽5に貯留されている液体(水道水、洗浄水、消毒液)、或いは、アルコールタンク23に貯留されているアルコール、或いは、コンプレッサ54からのエアが供給される。
【0040】
また、コネクタ受け部41に、漏水検知チューブ51bを介して漏水検知ポンプ56が接続されており、この漏水検知チューブ51bに締切り弁57が介装されている。内視鏡90の外表面に小さな孔、亀裂等が開いているか否かを検知するに際しては、先ず、締切り弁57を開放し、漏水検知ポンプ56からのエアを内視鏡90の内部に供給し、内圧を所定に高める。
【0041】
その後、締切り弁57を閉弁させて、内視鏡90の内圧を保持させる。そして、その間の内視鏡90の内圧の変化から、内視鏡90の外表面に小さな孔、亀裂等が開いているか否かを調べる。尚、符号58は排気弁であり開弁することで、漏水検知ポンプ56及びコンプレッサ54からのエアを外部に逃がすことができる。
【0042】
また、洗浄槽5に、超音波振動子59、吸水管消毒用コネクタ60、洗浄ケース61等が所定に配設され、更に、排水口30に切換弁62が配設されている。超音波振動子59は、洗浄槽5に貯留される洗浄水、あるいは水道水に振動を与えて、内視鏡90の外表面を超音波洗浄、或いは、濯ぐものである。
【0043】
吸水管消毒用コネクタ60は、これに消毒液ノズル13Bをホース等を介して接続し、水フィルタ24に連通する給水管に消毒液を供給し、この給水管を消毒するものである。また、洗浄ケース61は、これに内視鏡90の各スコープスイッチのボタン等、内視鏡90に併設されている取り外し可能な部品を収容して、内視鏡90と一緒に洗浄、消毒させるものである。
【0044】
更に、排水口30に配設されている切換弁62は、排水時の排水路を切換えるもので、洗浄槽5に水道水あるいは洗浄水が貯留されている場合は、排水口30を排水ホース14側に連通させて、排水ポンプ44を駆動させて、強制的に排水させる。一方、洗浄槽5に消毒液が貯留されている場合は、排水口30を消毒液タンク22側に連通させて、消毒済みの消毒液を消毒液タンク22に回収する。従って、消毒液は繰り返し利用される。
【0045】
各弁39,52,55,62の切換え動作及び各種ポンプ37,38,40,53,56の動作は、装置本体2に内蔵されている制御部63にて制御される。この制御部63は、マイクロコンピュータを中心として構成され、図4,図5に示すように、各センサ類を含むセンサ系110、各アクチュエータ類を含む駆動系120、外部との通信を行う通信系130、操作パネル9、電源部140等が接続されている。電源部140は、ACコンセントと接続されており、外部からの電力を制御部63、及び、その他の回路に供給する。
【0046】
センサ系110に含まれるセンサ類としては、内視鏡90の内圧を検出する圧力センサ、洗浄槽5の水位を検出する水位センサ、洗浄槽5に収納された内視鏡90の位置を検出する位置検知センサ、内視鏡90の水漏れを検知する水漏れセンサ等がある。また、駆動系120に含まれるアクチュエータ類としては、上述のインジケータ10,各種ポンプ37,38,40,53,56、及び、各弁39,52,55,62等がある。尚、センサ系110は、駆動系120を兼ねていても良い。
【0047】
また、通信系130には、内視鏡90のスコープIDタグ94と無線通信を行うための送受信アンテナを有するRFID送受信部8、外部のコンピュータとシリアル通信を行うためのシリアル通信アダプタ100、院内ネットワーク等の管理システムや内視鏡90を含む診断システム等のネットワークに接続するためのネットワークアダプタ101、その他、図示しないプリンタやモニタ等に出力するためのインターフェース部が備えられている。
【0048】
制御部63は、通信系130のRFID送受信部8を介して内視鏡90のスコープIDタグ94から機種番号等のスコープ個体情報、認識情報、修理履歴、洗浄回数等の履歴情報を受信する。制御部63は、受信した内視鏡情報を操作パネル9に表示させると共に、シリアル通信アダプタ100或いはネットワークアダプタ101を介して外部システムと通信し、内視鏡90の機種番号等から外部システムのデータベース等に蓄積されている個別の内視鏡90の形状・寸法データを取得する。
【0049】
そして、制御部63は、取得した内視鏡90の形状・寸法から洗浄槽5内への適正な配置位置を決定し、インジケータ10を発光表示させる。尚、内視鏡洗浄消毒装置1内に予め内視鏡90の機種番号(個体情報)とインジケータ10の発光位置との関係を記録したデータベースを内部に備え、この内部データベースを制御部63で参照することにより、インジケータ10の発光を制御するようにしても良い。
【0050】
尚、制御部63には、その他、内視鏡90に設けた図示しない管路コネクタ部に接続するコネクタ受け部を有する電源送受信ユニット、内視鏡90を洗浄槽5に固定するための電磁石ユニット等が接続されているが、周知であるため、その詳しい説明は省略する。
【0051】
次に、このように構成された内視鏡洗浄消毒装置1の作用、即ち、使用済みの内視鏡90を洗浄、消毒する際の動作について、図6の内視鏡の洗浄消毒方法を示すフローチャートを用いて説明する。
【0052】
内視鏡検査を終了した使用済みの内視鏡90は、先ず、ベットサイドにて予備洗浄される。その後、更に、例えば流し台にて内視鏡90が洗浄される。次いで、内視鏡洗浄消毒装置1を用いた本洗浄が行われる。
【0053】
この本洗浄を行うに際しては、先ず、ステップS1において、内視鏡90のスコープIDタグ94との通信により、RFID送受信部8から内視鏡情報の入力が有るか否かを判断する。RFID送受信部8から内視鏡情報の入力がない場合には、例えば操作パネル9にエラーコードを表示させるか、又は「内視鏡情報が入力されていません」等の表示を行う、若しくは、図示しないスピーカにより音声を発して作業者に警告を発し、ステップS1で内視鏡情報の入力を待つ。
【0054】
RFID送受信部8から内視鏡情報の入力がある場合、制御部63は入力された内視鏡情報をメモリに記憶して次のステップS2に移り、内視鏡情報に基づいて個別の内視鏡90に対応してインジケータ10の発光を制御し、トップカバー4を装置本体2から開成して洗浄槽5の底面5a(内視鏡90の載置面)に内視鏡90の適正なセット位置及びセット手順を表示する。
【0055】
そして、ステップS3で、作業者がインジケータ10の表示を確認しながら、内視鏡90を洗浄槽5内の適正な位置に収納、セットする。この内視鏡90が洗浄槽5に収納、セットされるに際しては、内視鏡90の各種コネクタ部が、洗浄槽5の外周壁面に設けられているコネクタ受け部41(図4参照)に対設させられる。コネクタ受け部41と、内視鏡90の各種コネクタ部とは、互いに接合可能な構造となっている。尚、コネクタ受け部41と、内視鏡90の各種コネクタ部とは、チューブにより接続されていても良い。
【0056】
その後、ステップS4に移行し、装置本体2にトップカバー4が閉成され、ラッチ6により施錠される。続くステップS5では、装置本体2に配設された操作パネル9の洗浄消毒処理スタートスイッチ(SW)がオンされ、制御部63の動作制御により、給水が開始される。給水が開始されるに際しては、先ず、三方弁39を動作させ、給水・循環ノズル13Cを水フィルタ24(いずれも図4参照)側に接続させる。すると、水フィルタ24にて濾過された水道水が、給水・循環ノズル13Cから洗浄槽5に供給される。
【0057】
洗浄槽5の水位が、図示しない水位センサ等で検出され、給水の終了時期が監視される。そして、洗浄槽5に貯留される水位が設定水位に達したとき、三方弁39が再び動作され、給水・循環ノズル13Cと水フィルタ24側との接続を遮断して給水が終了し、ステップS6に移行する。
【0058】
ステップS6では、異常の有無を判定するための各種チェックが行われる。チェック項目は、基本項目と機種別項目とがある。基本項目は洗浄消毒の対象となる内視鏡90の機種に関係なく一律に実行される項目であり、漏水チェック、管路詰まりチェック、内視鏡90の図示しないCCDに結像された画像チェック等がある。
【0059】
一方、機種別項目は、読込んだ機種番号に基づいて、内視鏡毎に対応する項目が自動的に設定される。例えば、内視鏡90の洗浄槽5内への載置状態をチェックするため、トップカバー4と内視鏡90の接触を検出するセンサを設け、このセンサからの信号に基づいて、個別の内視鏡90毎に洗浄槽5内に適切に載置されているか否かをチェックする。
【0060】
ステップS7では、これらのチェックの結果、1つでも異常と判定された場合は、ステップS8へ分岐し、内視鏡90が異常であることを装置本体2の操作パネル9に表示させる等して、異常の告知を行った後、ステップS9へ進み、洗浄消毒工程を停止させて、ルーチンを終了する。
【0061】
尚、異常を告知する手段は種々のものが考えられ、例えば、モニタにその旨を表示させることで行ったり、或いはブザーを吹鳴したり、スピーカからの疑似音声にて行っても良い。又は、操作パネル9に異常表示ランプを設け、このランプを点灯させることで行うようにしても良い。
【0062】
一方、チェック項目の全てが正常と判定されたときは、ステップS10へ進み、洗浄工程を開始する。尚、洗浄工程以降は自動運転される。洗浄工程が開始されると、先ず、洗剤ポンプ37の駆動により洗剤タンク21に貯留されている液体洗剤が洗剤ノズル13Aから洗浄槽5に適量吐出され、吐出された液体洗剤が洗浄槽5に貯留されている水道水に混入されることにより洗浄水が生成される。
【0063】
洗浄工程では、内視鏡90の外周壁面、及び内周壁面に設けた高圧ノズルから、洗浄槽5に貯留されている洗浄水を噴出して洗浄槽5内に水流を生成し、更に、この水流を超音波振動子59の駆動により振動させる。その結果、内視鏡90の外表面が洗浄水の水流と超音波振動とにより洗浄される。
【0064】
又、三方弁39とチャンネルブロック52とを動作させて、循環口31と給水・循環ノズル13C、及び洗浄消毒チューブ51aとを連通させる。その結果、給水・循環ノズル13Cから流液ポンプ40の駆動により、洗浄水が吐出されて循環される。同時に、洗浄消毒チューブ51aを経て、内視鏡90の各管路にチャンネルポンプ53の吐出圧により洗浄水が供給され、各管路内が洗浄される。
【0065】
次いで、洗浄水が排水される。洗浄水の排水は、洗浄槽5の底面5aに開口されている排水口30に設けた切換弁62が動作され、排水口30と排水ホース14とが連通され、排水ポンプ44が駆動されて、強制的に排水される。
【0066】
排水が所定に終了した場合、切換弁62が動作されて排水口30が閉塞され、更に三方弁39が動作されて循環口31と給水・循環ノズル13Cとが遮断された後、消毒工程が開始される。
【0067】
消毒工程が開始されると、先ず、薬液ポンプ38の駆動により、消毒液タンク22に貯留されている消毒液が消毒液ノズル13Bに送給され、この消毒液ノズル13Bから洗浄槽5に消毒液が供給される。この状態では、循環口31と洗浄消毒チューブ51aとが連通されているため、チャンネルポンプ53の駆動により、洗浄槽5に貯留されている消毒液が、内視鏡90の各管路に注入される。そして、洗浄槽5に供給された消毒液の水位が設定水位に達した後、消毒液は設定時間だけ循環される。
【0068】
次いで、消毒液の回収が行われる。消毒液はある回数繰り返し使用されるため、切換弁62が動作されて、排水口30が消毒液タンク22に連通され、洗浄槽5に貯留されている消毒液が回収される。その後、ステップS11に移行する。
【0069】
ステップS11では、すすぎ工程が開始される。すすぎ工程が開始されると、先ず、三方弁39が駆動されて、給水・循環ノズル13Cが水フィルタ24側に連通され、給水・循環ノズル13Cから水フィルタ24によって濾過された水道水が洗浄槽5に供給される。そして、設定水位に達した後、三方弁39が閉じられ、洗浄工程と同様、洗浄槽5に貯留されている水道水が循環される。そして、設定時間が経過した後、排水される。
【0070】
その後、すすぎの回数Nを計数し、すすぎの回数Nが設定回数に達したとき、すすぎ終了と判定される。そして、最後のすすぎ工程において使用された水道水が所定に排水された後、送気工程が開始される。送気工程が開始されると、チャンネルブロック52が動作されて、コンプレッサ54と洗浄消毒チューブ51aとが連通され、内視鏡90の各管路にエアが送気されて、各管路内が除水、乾燥される。
【0071】
次いで、アルコールフラッシュ工程が開始される。アルコールフラッシュ工程では、先ず、チャンネルブロック52が駆動されて、アルコールタンク23と洗浄消毒チューブ51aとが連通され、アルコールポンプ45の駆動により、アルコールタンク23に貯留されているアルコールが少量だけ、内視鏡90の各管路に送液される。
【0072】
次いで、チャンネルブロック52が再び駆動されて、今度は洗浄消毒チューブ51aがコンプレッサ54に連通され、コンプレッサ54の駆動により、エアが内視鏡90の各管路へ送気される。そして、エアと共にアルコールが内視鏡90の各管路に供給され、該アルコールにより、各管路に残留する僅かな水分の蒸発が促され、早期に乾燥される。その後、最後のステップS12に移行し、装置本体2からトップカバー4が開成されて内視鏡90が洗浄槽5から取り出され、内視鏡90の洗浄消毒工程が終了する。
【0073】
このように、本実施の形態においては、内視鏡90が内視鏡洗浄消毒装置1にて洗浄される際、内視鏡90を装置本体2の洗浄槽5に近づけると、RFID送受信部8を介して自動的に洗浄対象の内視鏡の情報を読み込み、洗浄槽5内へのセット位置を指示するため、個別の内視鏡毎の相違に拘わらず、個別の内視鏡毎に適正な配置で洗浄槽内にセットすることが容易となり、内視鏡の十分な洗浄消毒効果を得ることができる。しかも、本実施の形態においては、洗浄槽5内への内視鏡のセット位置を表示するのみならず、内視鏡各部のセット順番も指示するため、作業性を大幅に向上することが可能となる。
【0074】
更に、内視鏡洗浄消毒装置1を管理システム等に接続して洗浄消毒する内視鏡の情報を予め取得する場合に比較して、内視鏡洗浄消毒装置1で洗浄消毒する実際の内視鏡の情報を実際の作業時に読み取るため、予め取得した内視鏡情報と実際に洗浄消毒する内視鏡との対応を改めて確認することなく、洗浄消毒する内視鏡毎に適正な配置でセットすることができる。
【0075】
ここで、本実施の形態においては、トップカバー4は、装置本体2後方のヒンジ3を支点として装置本体2の上方に開ける構造を有している。しかしながら、このような構造では、装置本体2の上方にトップカバー4を開放するためのスペースが必要である。
【0076】
このため、トップカバー4は、図7,図8に示すように、複数箇所で折れ曲がる折れ戸状の開閉構造を有するトップカバー150としても良い。図7,図8においては、トップカバー150の中央部で2つに折れ曲がる例を示しており、このトップカバー150は、図7に示すように、装置前方側の取っ手151aを有する前カバー半体151と、ヒンジ3に支持される装置後方側の後カバー半体152とが蝶番153によって洗浄槽5を臨む裏面側の中央部で連結されている。
【0077】
図8(a)に示すように、トップカバー150は、取っ手151aを把持して前カバー半体151を若干持ち上げるようにしながら後方(ヒンジ3側)に移動させると、ヒンジ3の力で後方に引き寄せられる。そして、図8(b)に示すように、前カバー半体151と後カバー半体152とが互いに立ち上がって対向し、洗浄槽5を開放状態とする。
【0078】
また、トップカバー150では、トップカバー150と洗浄槽5とを水密にシールするためのパッキン部材も、前カバー半体151側のパッキン部材154aと後カバー半体152側のパッキン部材154bとに分離されている。これらのパッキン部材154a,154bは、それぞれ、前カバー半体151、後カバー半体152の外周に沿って設けられた溝部に装着されて周回されている。
【0079】
詳細には、パッキン部材154a,154bは、洗浄槽5の上部の縁部分5bから所定位置だけ下がった縁部分5cにかけての側壁(例えば本体上面2aの開口部分の縁部に設けた段状部分16の上下方向の側壁)との間に介装されて、トップカバー4を閉じた際にトップカバー4と洗浄槽5とを水密にシールする。
【0080】
その際、トップカバー150の屈曲部の位置にあたるパッキン部材154a,154bの部位、すなわち、前カバー半体151側のパッキン部材154aと後カバー半体152側のパッキン部材154bとが互いに当接する中央の部位は、互いに当接して圧縮される量を側面側よりも若干大きくすることにより、洗浄槽5に対する水密性を確保する。
【0081】
このような折れ曲がり構造のトップカバーは、開放時の上下方向の高さを低くすることができ、装置上方に必要とされるスペースを大幅に削減することができる。上述のトップカバー150の例では、装置本体2後方のヒンジ3を支点として装置本体2の上方に開ける構造のトップカバー4と比較して、開放時の上下方向の高さが約1/2ほどで済み、更には、折れ曲がり枚数を3枚以上とすることにより、開放時の上下方向の高さを約1/3以下とすることも可能であるが、装置の奥行き方向の寸法が増加するため、妥当な折れ曲がり枚数に設定する。
【0082】
また、本実施の形態においては、内視鏡洗浄消毒装置1にて内視鏡を洗浄消毒する際、作業者が手で操作パネル9の洗浄消毒処理スタートスイッチをオンさせ、装置を動作させている。しかしながら、作業者は、装置を動作させる前に、洗浄消毒前の汚れた内視鏡を装置にセットする必要があるため、操作パネル9に触れる前の手が汚染される可能性がある。従って、作業者が汚れた手で操作パネル9に触れると、操作パネル9も汚れてしまい、内視鏡を洗浄消毒しても、洗浄消毒後の内視鏡の取扱い如何によっては再汚染のリスクが生じる。
【0083】
このため、図9に示すように、内視鏡洗浄消毒装置1の装置本体2に、装置本体2を足で操作可能なフットコントローラ200を接続するようにしても良い。このフットコントローラ200を採用する場合、図10に示すように、装置本体2の操作パネル9には、洗浄消毒,漏水検知,すすぎ等の各工程の選択表示を設け、フットコントローラ200に設けたジョイスティック状の選択ボタン201,決定ボタン202,ストップボタン203等を足で操作することにより、内視鏡洗浄消毒装置1を所望に動作させることができる。
【0084】
このように、フットコントローラ200と操作パネル9の表示とを連動させることにとり、汚れた手で装置に触れることなくハンズフリーでの操作が可能となり、再汚染のリスクを解消することができる。また、操作パネル9のように装置本体2の固定位置に表示する場合、作業者の体格によって操作性に良否が生じるが、本フットコントローラ200では、足元で操作できるため、作業者の体格に左右されることなく良好な操作性を提供することができる。更に、操作パネル9に設けるスイッチを削減することが可能となり、省スペース化を図ることができる。
【0085】
(第2形態)
次に、本発明の実施の第2形態について説明する。第2形態は、トップカバーにインジケータを設置するものである。以下、第1形態との相違点を主として説明する。
【0086】
図11に示すように、第2形態のインジケータ10Aは、トップカバー4Aの開放前端側に複数の発光部11Aを配置して構成されている。トップカバー4Aは、発光部11A及び信号系統や電源系統の関連部材を備えること以外は、基本的に、第1形態のトップカバー4と同様である。
【0087】
また、発光部11Aは、洗浄槽5の底面5aを指向して照射方向を可変可能に構成されており、RFID送受信部8を介して内視鏡90のスコープIDタグ94から読み取った内視鏡情報に基づいて、例えば、内視鏡90の操作部91、コネクタ部92、挿入部93が適正に配置されるべき点を洗浄槽5の底面5aに照射して投影する。
【0088】
この場合、内視鏡洗浄消毒装置1は、リプロセスルーム等の比較的明るい環境下に設置されることが多いため、発光部11Aは、黄緑等の中間色を避けて明るい場所での視認性に優れた色調の照射光、或いは、レーザ光等の外部環境による視認性の影響を受け難い光源を採用し、明るい環境下での視認性を向上させる。この明るい環境下での視認性向上のためには、発光部11Aのみならず、光を照射される側の洗浄槽5を暗い色相とすることも有効である。
【0089】
また、トップカバー4Aは、第1形態のトップカバー4と同じくヒンジ3を支点とする開閉構造であるため、以下の(1)〜(3)に示すような構成を付加し、トップカバー4Aの開放時のブレによって発光部11Aからの照射光がぶれて内視鏡90のセット位置が不明瞭となることを防止する。
【0090】
(1)トップカバー4Aが一定の開放位置で保持されるような保持機構を設ける。このような保持機構としては、例えば、トップカバー4Aの開放時に、一定の位置に一定の力で機械的に保持するクリックストップ機構、ボタン操作等のワンアクションによって電磁的にロックする機構等を採用することができる。
【0091】
(2)トップカバー4Aの傾き状態を加速度センサによって検知し、検知した傾き状態に基づいて適切な照射状態となるよう発光部11Aの照射方向を制御する。照射方向の制御は、発光部11A全体の姿勢制御や発光部11Aに配設されたレンズやリフレクター等の光学系の姿勢制御等によって行うことができる。
【0092】
(3)トップカバー4Aと洗浄槽5との距離を赤外線距離センサにより測定し、その測定値からトップカバー4Aの傾き状態を算出する。そして、算出した傾き状態に基づいて適切な照射状態となるよう発光部11Aの照射方向を制御する。照射方向の制御自体は、前述の(2)と同様である。
【0093】
このように、第2形態においては、前述の第1形態で説明した効果と同様の効果を得ることができるばかりでなく、作業者がインジケータ10Aの指示に従って内視鏡90を配置した後も、内視鏡90の表面に配置ポイントを示す光が照射されるため、内視鏡90を適正位置に確実にセットすることが容易となり、作業効率の向上を図ることができる。
【0094】
(第3形態)
次に、本発明の実施の第3形態について説明する。第3形態は、トップカバーの裏面に内視鏡のセット位置を投影するものである。
【0095】
すなわち、第3形態においては、内視鏡90の洗浄槽5内への適正なセット位置を指示する指示部として、図12に示すように、装置本体2の洗浄槽5の辺縁である前面縁部に、画像投影装置250を設けている。この画像投影装置250は、第1形態のトップカバー4と同様のトップカバー4Bの裏面側(洗浄槽5側の内面)に、内視鏡90の適切な設置例の画像を投影するものである。画像投影装置250から投影する画像は、RFID送受信部8を介して内視鏡90のスコープIDタグ94から読み取った内視鏡情報に基づいて、個別の内視鏡に対応する画像に切換える。
【0096】
この場合においても、第2形態と同様、明るい環境下での視認性を向上するため、画像が投影されるトップカバー4Bを暗い色相とする。但し、トップカバー4Bは、閉じた状態で外部から洗浄槽5内を確認可能な透明性を有することが望ましいため、車両のスモークフィルムや偏光サングラス等のように、透過する方向によって透明度の異なる材質を採用することが望ましい。
【0097】
また、トップカバー4Bの開放時のブレによる画像の不明瞭化を防止するため、第2形態で説明したように、トップカバー4Bを一定位置で機械的又は電磁的に保持する保持機構を採用する、或いは、加速度センサや赤外線距離センサ等によるトップカバー4の傾き状態を検出して、画像の台形補正等の処理を行うことにより、指示のズレや画像の不明瞭化を防止する。
【0098】
第3形態では、前述の第1形態で説明した効果と同様の効果を得ることができるばかりでなく、作業者が内視鏡90を洗浄槽5に収納・セットする際に、容易に目視することのできるトップカバー4Bの裏面に内視鏡90の適切な設置例が画像で表示されるため、作業性を向上することが可能となる。
【0099】
(第4形態)
次に、本発明の実施の第4形態について説明する。第4形態は、トップカバーの裏面にディスプレイを配置するものである。
【0100】
内視鏡90の洗浄槽5内への適正なセット位置を指示する指示部としてディスプレイを採用する場合、第1形態で説明した洗浄槽5内のディスプレイ10’の他、装置本体2の操作パネル9を用いることが可能である。装置本体2の本体上面2aに配置される操作パネル9は、表示面積が小さい場合、図13に破線で示すように、別途、装置本体2の前面部に、大型の表示パネル9’を設けてもよい。
【0101】
第4形態では、図13に示すように、トップカバー4Cの裏面側にディスプレイ300を配設し、このディスプレイ300に、内視鏡90の適切な配置を示す画像を、RFID送受信部8を介して読み取った情報に基づいて表示する。
【0102】
尚、トップカバー4Cは、第1形態のトップカバー4と同様の開閉構造を備えるものであるが、前述したように、閉じた状態で外部から洗浄槽5内を確認可能な透明性を有することが望ましい。このため、トップカバー4Cに配設するディスプレイ300は、透過型ディスプレイとすることが望ましい。
【0103】
第4形態では、第3形態と同様、作業者が目視し易い位置に、内視鏡90の適切な設置例が画像で表示されるため、作業性を向上することが可能となるが、外部環境の明るさの影響を受け難く、また、トップカバー4Cの開放時のブレの影響も比較的少ないという利点を有する。
【符号の説明】
【0104】
1 内視鏡洗浄消毒装置
4,4A,4B,4C トップカバー
5 洗浄槽
8 RFID送受信部
10 インジケータ
10’ ディスプレイ
10A インジケータ
63 制御部
90 内視鏡
91 操作部
92 コネクタ部
93 挿入部
94 スコープIDタグ
250 画像投影装置
300 ディスプレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に内視鏡を載置自在な洗浄槽と、
前記洗浄槽を覆う蓋部と、
前記内視鏡から内視鏡情報を読み取る内視鏡情報読取部と、
前記内視鏡情報読取部による前記内視鏡情報の読み取り結果に基づいて、前記洗浄槽の内面又は前記蓋部の内面に、前記内視鏡の配置を示す配置情報を表示する指示部と、
を備えることを特徴とする内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項2】
前記指示部は前記蓋部に設置され、
前記洗浄槽の内面に前記配置情報を投影して表示することを特徴とする請求項1記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項3】
前記指示部は前記洗浄槽の辺縁である縁部に設置され、
前記蓋部の内面に前記配置情報を投影して表示することを特徴とする請求項1記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項4】
前記指示部は前記蓋部の内面に設置されたディスプレイであって、
前記ディスプレイに前記配置情報を表示することを特徴とする請求項1記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項5】
前記指示部は前記洗浄槽の前記内視鏡を載置する載置面に設置されたディスプレイであって、
前記ディスプレイに前記配置情報を表示することを特徴とする請求項1記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項1】
底面に内視鏡を載置自在な洗浄槽と、
前記洗浄槽を覆う蓋部と、
前記内視鏡から内視鏡情報を読み取る内視鏡情報読取部と、
前記内視鏡情報読取部による前記内視鏡情報の読み取り結果に基づいて、前記洗浄槽の内面又は前記蓋部の内面に、前記内視鏡の配置を示す配置情報を表示する指示部と、
を備えることを特徴とする内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項2】
前記指示部は前記蓋部に設置され、
前記洗浄槽の内面に前記配置情報を投影して表示することを特徴とする請求項1記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項3】
前記指示部は前記洗浄槽の辺縁である縁部に設置され、
前記蓋部の内面に前記配置情報を投影して表示することを特徴とする請求項1記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項4】
前記指示部は前記蓋部の内面に設置されたディスプレイであって、
前記ディスプレイに前記配置情報を表示することを特徴とする請求項1記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【請求項5】
前記指示部は前記洗浄槽の前記内視鏡を載置する載置面に設置されたディスプレイであって、
前記ディスプレイに前記配置情報を表示することを特徴とする請求項1記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−106790(P2013−106790A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254119(P2011−254119)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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