説明

写真処理装置及びその給電制御方法、給電制御プログラム

【課題】 オペレータの作業負荷を軽減すると共に誤操作を防止する
【解決手段】 給電制御部181aは、期間記憶部182aから給電期間情報を読み出し、クロック184から現在日時情報を読み出して、現在日時が給電期間に含まれているか否かを判定し、現在日時が給電期間に含まれていない場合には、現像ユニットのタンクの上部に配設された蓋体の開閉を検出するセンサ162Sがオン状態であるか否かを更に判定し、オン状態である場合には、リレースイッチSW2をオン状態とする旨の指示情報をドライブ回路183へ出力し、センサ162Sがオフ状態である場合には、リレースイッチSW2をオフ状態とする旨の指示情報をドライブ回路183へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク内に格納された処理液に印画紙を浸漬させて現像する写真処理装置、及びその給電制御方法、給電制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンク内に格納された処理液に印画紙を浸漬させて現像する写真処理装置を用いてプリント処理を行う場合には、処理液を所定の温度(例えば、40℃)に昇温する必要がある。そこで、ラボ店等において、始業時等の、写真処理装置に対する給電を長時間に亘って停止した後に、写真処理装置の電源を投入する場合には、直ぐにプリント処理を開始することができず、オペレータに待ち時間が発生するという問題があった。
【0003】
この問題を解消するために、写真処理装置の計時機能を用いて、処理液を予熱するために、所定の時刻に写真処理装置に対する給電を開始することが提案されている(特許文献1参照)。すなわち、所定の時刻までは、計時機能等の給電開始に必要な最小限の機器(例えば、CPU、メモリ等)にのみ給電(この状態を、便宜上、「スタンバイ状態」という)しており、所定の時刻に到達すると、写真処理装置の全体に対する給電を開始するものである。
【特許文献1】特開2002−365739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の方法によれば、所定の時刻(例えば、始業時刻の1時間前)に写真処理装置の全体に対する給電が開始され、始業時刻には処理液が所定の温度まで昇温されているため、オペレータは始業時刻からプリント処理を開始することができる。
【0005】
しかしながら、緊急の注文等に対応するために、予め設定された始業時刻の前にプリント処理を開始する場合には、スタンバイ状態から強制的に抜ける必要があり、オペレータ等がスイッチ等を介してその操作を行う必要があった。更に、写真処理装置の電源を投入する場合には、オペレータは種々の操作を行う必要があるため、通常の始業時刻より前にプリント処理を開始する場合に限って行う特殊な操作が有るとオペレータの作業負荷が増大すると共に誤操作の原因となる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、オペレータの作業負荷を軽減すると共に誤操作を防止することの可能な画像処理装置及びその給電制御方法、給電制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の写真処理装置は、稼動期間中にタンク内に格納された処理液に印画紙を浸漬させて現像する写真処理装置であって、電力の供給を制御する対象として予め設定された機器である制御対象機器に対して電力を供給する期間である給電期間内であるか否かを判定し、前記給電期間内である場合に前記制御対象機器に対して電力を供給する給電制御手段と、稼動期間と休止期間との間で外力により形態が変化される形態可変部材が、稼動期間の形態であるか否かを検出する検出手段とを備え、前記検出手段によって、前記形態可変部材が前記休止期間の形態から稼動期間の形態へ変化したことを検出した場合に、前記給電制御手段は、前記制御対象機器に対して電力の供給を開始することを特徴としている。
【0008】
請求項7に記載の写真処理プログラムは、コンピュータを備え、稼動期間中にタンク内に格納された処理液に印画紙を浸漬させて現像する写真処理装置の給電制御プログラムであって、前記コンピュータを、電力の供給を制御する対象として予め設定された機器である制御対象機器に対して電力を供給する期間である給電期間内であるか否かを判定し、前記給電期間内である場合に前記制御対象機器に対して電力を供給する給電制御手段と、稼動期間と休止期間との間で外力により形態が変化される形態可変部材が、稼動期間の形態であるか否かを検出する検出手段として機能させ、前記検出手段によって、前記形態可変部材が前記休止期間の形態から稼動期間の形態へ変化したことを検出した場合に、前記給電制御手段は、前記制御対象機器に対して電力の供給を開始することを特徴としている。
【0009】
これらの発明によれば、給電制御手段によって、電力の供給を制御する対象として予め設定された機器である制御対象機器に対して電力を供給する期間である給電期間内であるか否かが判定され、給電期間内である場合に制御対象機器に対して電力が供給される。
【0010】
そして、検出手段によって、写真処理装置の稼動期間と休止期間との間で外力により形態が変化される形態可変部材が、写真処理装置の稼動期間の形態であるか否かが検出される。更に、検出手段によって、形態可変部材が休止期間の形態から稼動期間の形態へ変化したことが検出された場合に、給電制御手段によって、制御対象機器に対して電力の供給が開始される。
【0011】
従って、オペレータによる始業時の通常の作業によって、形態可変部材が休止期間の形態から稼動期間の形態へ変化されると、制御対象機器に対して電力の供給が開始されるため、オペレータの作業負荷が軽減されると共に誤操作が防止される。
【0012】
請求項2に記載の写真処理装置は、前記検出手段が、前記タンクの上部に配設され、写真処理装置の稼動期間では閉状態とされる一方、写真処理装置の休止期間では開状態とされる蓋体の形態として、その開閉を検出することを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、検出手段によって、処理液を格納するタンクの上部に配設され、写真処理装置の稼動期間では閉状態とされる一方、写真処理装置の休止期間では開状態とされる蓋体の形態として、その開閉が検出される。
【0014】
一方、処理液を格納するタンクの上部に配設された蓋体は、稼動期間では外光の侵入を防止するために閉状態とされ、休止期間では処理液のコンタミ(混交:コンタミネーション(contamination)の略称)を防止するために開状態とされる。ここで、処理液のコンタミは、処理液の蒸発、凝縮等に起因して発生するものである。従って、検出手段によって、蓋体の開状態と閉状態とが検出されるため、休止期間から稼動期間への変化が容易に且つ正確に検出される。
【0015】
請求項3に記載の写真処理装置は、前記検出手段が、前記タンク内に配設されて印画紙を搬送するローラを有し、写真処理装置の稼動期間では装着状態とされる一方、装置の休止期間では非装着状態とされるラックの形態として、その着脱を検出することを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、検出手段によって、処理液を格納するタンク内に配設されて印画紙を搬送するローラを有し、写真処理装置の稼動期間では装着状態とされる一方、装置の休止期間では非装着状態とされるラックの形態として、その着脱が検出される。
【0017】
一方、処理液を格納するタンク内に配設されて印画紙を搬送するローラを有するラックは、休止期間では、処理液の液面近傍のラックに付着した処理液が結晶化すること(処理液中の水分が蒸発して固体化すること)を防止するために取り外される。従って、検出手段によって、ラックの装着状態と非装着状態とが検出されるため、休止期間から稼動期間への変化が容易に且つ正確に検出される。
【0018】
請求項4に記載の写真処理装置は、前記検出手段が、前記ラックに隣接して配設され、写真処理装置の稼動期間ではロック状態とされる一方、写真処理装置の休止期間では開放状態とされる前記ラックを固定するロック部材の形態として、そのロック状態か否かを検出することを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、検出手段によって、ラックに隣接して配設され、写真処理装置の稼動期間ではロック状態とされる一方、写真処理装置の休止期間では開放状態とされるラックを固定するロック部材の形態として、そのロック状態か否かが検出される。
【0020】
一方、ラックを固定するロック部材は、稼動期間ではラックをロック部材で固定する状態とされ、休止期間ではラックが非装着状態とされるために開放状態とされる。ここで、稼動期間において、ラックは、処理液の浮力等によって浮き上がらないようにロック部材で固定されるものである。従って、ラックを固定するロック部材がロック状態か否かが検出されるため、休止期間から稼動期間への変化が容易に且つ正確に検出される。
【0021】
請求項5に記載の写真処理装置は、前記タンク内の処理液を昇温するヒータと処理液上部を排気するファンとを備え、前記ヒータ及びファンが、前記制御対象機器として設定されていることを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、タンク内の処理液を昇温するヒータ及び処理液上部を排気するファンが、制御対象機器として設定されているため、消費電力の大きいヒータ及びファンの電力が適切に給電制御される。
【0023】
請求項6に記載の写真処理装置は、稼動期間中にタンク内に格納された処理液に印画紙を浸漬させて現像する写真処理装置において、電力の供給を制御する対象として予め設定された機器である制御対象機器に対して電力を供給する期間である給電期間内であるか否かを判定し、前記給電期間内である場合に前記制御対象機器に対して電力を供給する給電制御方法であって、稼動期間と休止期間との間で外力により形態が変化される形態可変部材が、稼動期間の形態であるか否かを検出し、前記形態可変部材が前記休止期間の形態から稼動期間の形態へ変化したことを検出した場合に、前記制御対象機器に対して電力の供給を開始することを特徴としている。
【0024】
上記の方法によれば、電力の供給を制御する対象として予め設定された機器である制御対象機器に対して電力を供給する期間である給電期間内であるか否かが判定され、給電期間内である場合に制御対象機器に対して電力が供給される。
【0025】
そして、写真処理装置の稼動期間と休止期間との間で外力により形態が変化される形態可変部材が、写真処理装置の稼動期間の形態であるか否かが検出される。更に、形態可変部材が休止期間の形態から稼動期間の形態へ変化したことが検出された場合に、制御対象機器に対して電力の供給が開始される。
【0026】
従って、オペレータによる始業時の通常の作業によって、形態可変部材が休止期間の形態から稼動期間の形態へ変化されると、制御対象機器に対して電力の供給が開始されるため、オペレータの作業負荷が軽減されると共に誤操作が防止される。
【発明の効果】
【0027】
請求項1、6、7に記載の発明によれば、オペレータによる始業時の通常の作業によって、形態可変部材が休止期間の形態から稼動期間の形態へ変化されると、制御対象機器に対して電力の供給が開始されるため、オペレータの作業負荷を軽減できると共に誤操作を防止できる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、蓋体の開状態と閉状態とが検出されるため、休止期間から稼動期間への変化を容易に且つ正確に検出できる。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、ラックの装着状態と非装着状態とが検出されるため、休止期間から稼動期間への変化を容易に且つ正確に検出できる。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、ラックを固定するロック部材がロック状態か否かが検出されるため、休止期間から稼動期間への変化を容易に且つ正確に検出できる。
【0031】
請求項5に記載の発明によれば、消費電力の大きいヒータ及びファンの電力を適切に給電制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図1〜図9を用いて本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明が適用される写真処理装置の一例を示す概略構成図である。写真処理装置は、写真のプリント処理を行う出力装置1と、出力装置1と通信可能に接続され、オペレータからの入力を受け付けて出力装置1に対して種々の指示情報等を送信する端末装置2とを備えている。ここで、図1を用いて出力装置1の構成について説明する。
【0033】
出力装置1のハウジング10の内部10Bには、レーザ光を用いて感光材11の露光処理を行う(プリントする対象の画像データに応じて感光材11の露光を行う)レーザ露光装置14が、感光材11を搬送するコンベア15上の露光位置15Xに対向するように設けられている。
【0034】
コンベア15は、複数組の従動ローラ15A及び駆動ローラ15Bとガイドレール15Cなどで構成されている。ハウジング10の上面10Aには、ロール状に巻回された感光材11(印画紙に相当する)をそれぞれ収納する複数、例えば2つのマガジン12A及び12Bが装着されている。マガジン12A及び12Bに収納されている感光材11の種類を検出するために、センサ12A1及び12B1が、それぞれマガジン12A及び12Bに設けられている。
【0035】
ハウジング10、マガジン12A及び12Bはそれぞれ暗箱であり、感光材11の先端はそれぞれマガジン12A及び12Bからハウジング10の内部10Bに引き出されている。感光材11は、ハウジング10の内部10Bに設けられたカッタ14Cにより所定の大きさに切断される。以下、所定の大きさに切断された感光材11を感光材片11Aという。感光材片11Aは、ハウジング10の内部10Bにおいて、コンベア15により露光位置15Xから感光材片11Aの現像処理を行う現像ユニット16に搬送される。
【0036】
現像ユニット16は、それぞれ現像液、定着液、漂白液及び安定化液等の処理液を収容する複数の(ここでは6個の)タンク16A〜16Fを有している。レーザ露光装置14により画像データに応じて露光された感光材片11Aが現像ユニット16中を搬送されると、潜像が現像され、感光材片11Aの感光面上に画像データに対応する画像が形成される。現像された感光材片11Aは、乾燥ユニット13により乾燥され、ハウジング10の内部10Bから排出される。現像された感光材片11Aは、ハウジング10の上面10Aに設けられたソータ17上に積み重ねられる。
【0037】
ソータ17は複数(ここでは5枚)のビンを備え、所定の条件に従って(例えば、注文毎に)、現像された感光材片11Aを積み上げるビンを選択して出力される。
【0038】
出力装置1は、ハウジング10に設けられた出力装置1全体の動作を制御する制御ユニット18を備えており、制御ユニット18は端末装置2と通信可能に接続されている。
【0039】
端末装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ等からなり、オペレータからの入力を受け付けて、図2を用いて後述するようにフィルムスキャナ24及びスマートメディア等に格納された画像データを読み出すリーダ25を備え、写真の画像データを生成し(又は読み出し)て、出力装置1(制御ユニット18)に伝送するものである。
【0040】
図2は、端末装置2の一例を示すハード構成図である。端末装置2は、端末装置2の全体の動作を制御する制御部21と、外部からの操作を受け付ける操作部22と、外部に画像を出力するモニタ23と、フィルムからフィルム1コマ毎の写真の画像を読み取り、画像データを生成するフィルムスキャナ24と、メモリカード、メモリスティック等のスマートメディア、またはCD、DVD等の記録媒体から画像データを読み出すメモリリーダ25と、種々の情報を格納するHDD26と、出力装置1の制御ユニット18と通信を行う通信制御部27とがデータ伝送路であるバスBA2を介して接続されている。
【0041】
制御部21は、端末装置2の全体の動作を制御するもので、情報処理部(CPU)211と、処理途中の情報等を一時的に格納するRAM212と、OS(operating system)、所定の画像情報及び処理プログラム等が予め記憶されたROM213とを備えている。RAM212またはROM213に記憶された各種データのうち装着脱可能な記録媒体に記憶され得るデータは、例えばハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、シリコンディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等のドライバで読み取り可能にしてもよく、この場合、記録媒体は、例えばハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、CD、DVD、半導体メモリ等である。
【0042】
インターフェイス部221は、操作部22との間のデータの授受を行うためのものである。描画処理部231は、制御部21からの画像表示指示に従って所要の画像をモニタ23に表示させるもので、ビデオRAM等を備えている。インターフェイス部241、251、261は、それぞれ、フィルムスキャナ24、メモリリーダ25及びHDD26との間のデータの授受を行うためのものである。
【0043】
図3は、現像ユニット16の一例を示す側面断面図である。現像ユニット16は、垂直に延びた隔壁161によって、現像液、定着液、漂白液及び安定化液等の処理液163を収容する6個のタンク16A〜16Fに仕切られており、タンク16A〜16F内には、感光材片11Aを各タンク16A〜16F内の処理液163に浸漬させつつ搬送するローラが複数対だけ隔壁161に沿って設けられたラック162A〜162Fがそれぞれ配設されている。また、ラック162A〜162Fは、それぞれ、タンク16A〜16Fに上側から上下方向に着脱自在に収納されている。
【0044】
図4は、ラック162の一例を示す外観斜視図である。ラック162は、後述する係合部材162xの近傍を除きほぼ全体がタンク16A〜16F内の処理液163中に浸漬される下部ラック162qと、下部ラック162qの上側に着脱自在に係合されて感光材片11Aのタンク間の受け渡しを行う上部ラック162pとで構成されている。上部ラック162pの上面のセンサ162S(図3参照)と対向する位置には、センサ162Sからの光線を反射する反射板162rが貼付され、下部ラック162qの上部には、下部ラック162qをタンク16A〜16F内に固定する略円柱状の係合部材162xが突出して形成されている。
【0045】
再び図3に戻って、タンク16A〜16Fの上側のハウジング10の上面10A(図1参照)には開口が形成されており、現像ユニット16には、一方端側で軸支され軸回りに前記開口を開閉自在とする蓋板164(蓋体に相当する:形態可変部材の一部に相当する)が設けられている(図5参照)。蓋板164の下面であって、ラック162A〜162Fの真上の位置には、それぞれ、ラック162A〜162F(正確には、上部ラック162p:形態可変部材の一部に相当する)の有無(上部ラック162pが装着状態にあるか、非装着状態にあるか)を検出する6個のセンサ162S(検出手段の一部に相当する)が配設されている。更に、現像ユニット16の適所(ここでは、ラック162Eと162Fとの間の奥側:図5参照)に、処理液からの蒸気を排出する排気口165が配設されている。
【0046】
図5は、図3に示す現像ユニット16のA−A断面を示す断面図である。上述の蓋板164は、図に示すように、奥側(図の左側)を支点として開閉自在に、ハウジング10の上面10A(図1参照)に取り付けられている。ハウジング10の上面10Aの手前側(図の右側)の蓋板164と対向する位置には、蓋板164の開閉を検出するセンサ164S(検出手段の一部に相当する)が配設されている。センサ164Sは、例えば、リミットスイッチ等の接触式のセンサであって、蓋板164の開閉に応じて蓋板164からの押圧の有無が検出されるものである。また、休止期間中において、蓋板164の開状態を保持するための固定部材(図示省略)が適所に配設されている。
【0047】
現像ユニット16には、タンク16Fの奥側(図の左側)に、処理液163からの蒸気を排出する排気口165が配設され、タンク16A〜16Fに収納された処理液163上面からの蒸気を排気口165に導くダクト167と、ダクト167を介して処理液163上面からの蒸気を排気口165へ吸引する排気ファン166と、排気ファン166を駆動するファンモータ166Mとが配設されている。
【0048】
センサ162Sは、例えば、投光部と受光部とを備えた光学式のセンサであって、投光部から出射された光が、上部ラック166の上面のセンサ162Sと対向する位置に貼付された反射板162r(図4参照)で反射され、その反射光が受光部に入射されているか否かに応じて、上部ラック166pの有無を検出するものである。
【0049】
図6は、ラック162の固定方法の一例を示す説明図(平面図)である。図7は、ラック162を固定するロック機構19の構成の一例を示す説明図であり、(a)は斜視図であり、(b)はロック機構19の一端(ここでは、右端)に対向して配設されるロック状態を検出するセンサ196Sの配設位置を示す側面図である。図6及び図7(a)に示すように、下部ラック162qが挿入されるタンク16A〜16Fの上部に固定部材191が配設され、この固定部材191の上縁部で、タンク16A〜16Fの配列方向(図の左右方向)にスライド自在に支持されるスライド部材192(形態可変部材の一部及びロック部材に相当する)が配設されている。
【0050】
ロック機構19は、図7(a)に示すように、スライド部材192の長手方向に延びて略長円形に形成された複数(ここでは、2個)のガイド孔194と、フレーム190(ハウジング10の側面の一部)の内側面に突設され、ガイド孔194に挿通されたガイドピン195とを有し、ガイドピン195にガイド孔194の両端が当接する範囲内においてスライド部材192がスライド可能に構成されている。また、スライド部材192には、ラック162A〜162Fの各係合部材162xが挿通可能な切欠部193が形成されている。
【0051】
次に、上述のように構成されたロック機構19の使用方法を説明する。現像処理を開始する場合には、オペレータは、ラック162A〜162Fを下記の手順でセットする。まず、タンク16A〜16Fの処理液163中にラック162A〜162Fを挿入して押し下げる。次に、スライド部材192を係合部材162xの直径に略等しい距離をスライド量として図の右向きに移動させる。このようにすることによって、スライド部材192によって係合部材162xの上向きの移動が規制されるため、ラック162A〜162Fが固定される。
【0052】
逆に、現像処理を終了する場合には、オペレータは、ラック162A〜162F(又は、ラック162A〜162Fの内、上部ラック162p)を下記の手順で取り外す。まず、スライド部材192を係合部材162xの直径に略等しい距離をスライド量として図の左向きに移動させる。このようにすることによって、スライド部材192による係合部材162xの上向きの移動の規制が解除されるため、ラック162A〜162Fが上向きに移動可能となる。次に、タンク16A〜16Fからラック162A〜162F(又は、ラック162A〜162Fの内、上部ラック162p)を上向きに引き抜いて取り外す。ただし、ラック162A〜162Fの内、上部ラック162pのみを取り外す場合には、スライド部材192による係合部材162xの上向きの移動の規制を解除する必要はない。すなわちラック162A〜162Fのロックを解除する必要はないため、スライド部材192を移動させる操作は不要である。
【0053】
次に、図7の(b)を用いてセンサ196Sについて説明する。スライド部材192の一端(ここでは、右端)の側壁196には、板状部材196Aが立設されている。そして、スライド部材192がラック162A〜162Fをセットする位置にあるか否かを検出するセンサ196Sが、図略のハウジング10の側面に突設された略コの字型の支持部材101に配設されている。センサ196Sは、例えば、透過型の光学式センサであって、投光部196S1と、受光部196S2とを備えており、投光部196S1から投射された光線が板状部材196Aによって遮光されているか否か(=受光部196S2が投光部196S1から投射された光線を検出しているか否か)に対応して、スライド部材192がラック162A〜162Fをセットする位置にあるか否かを検出するものである。
【0054】
図8は、本発明が適用される写真処理装置の電源系統の一例を示す系統図である。商用電源3には、外部から操作可能に出力装置1の適所に配設されたメインスイッチSW1が接続され、メインスイッチSW1には、制御ユニット18によってオンオフ制御されるリレースイッチSW2(給電制御手段の一部に相当する)が接続されると共に、出力装置1全体の動作を制御する制御ユニット18が、インターフェイス回路185を介して接続されている。すなわち、メインスイッチSW1がONされると、インターフェイス回路185を介して制御ユニット18に商用電源3から電力が供給される。なお、図3に示すセンサ162S、図4に示すセンサ164S及び図7に示すセンサ196Sには、インターフェイス回路185を介して商用電源3から電力が供給されている(図示省略)。
【0055】
また、リレースイッチSW2には、端末装置2と、出力装置1内の搬送ローラ及びファン等を動作させるモータ1M(図4に示すファンモータ166Mを含む)、タンク16A〜16F内の処理液163を加熱するヒータ1H等の制御対象機器1Aが接続されている。すなわち、端末装置2及び制御対象機器1Aは、メインスイッチSW1とリレースイッチSW2とが共にオン状態である場合に、商用電源3から電力が供給されるものである。
【0056】
更に、制御ユニット18には、情報処理部(CPU)181と、処理途中の情報等を一時的に格納するRAM182と、OS(operating system)、リレースイッチSW2をオンオフ動作させるドライブ回路183(給電制御手段の一部に相当する)と、計時機能を有するクロック184(給電制御手段の一部に相当する)とを備えている。RAM182に記憶された各種データのうち装着脱可能な記録媒体に記憶され得るデータは、例えばハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、シリコンディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等のドライバで読み取り可能にしてもよく、この場合、記録媒体は、例えばハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、CD、DVD、半導体メモリ等である。
【0057】
RAM182は、制御対象機器1Aに対して電力を供給する期間である給電期間情報を予め格納する期間記憶部182a(給電制御手段の一部に相当する)を備え、CPU181は、ドライブ回路183を介してリレースイッチSW2をオンオフ動作させる給電制御部181aを備えている。なお、給電制御部181aは、本発明に係る給電制御プログラムがRAM182上に記録されており、CPU181によりRAM182上の給電制御プログラムが順次実行されることによってその機能が実現されるものである。
【0058】
期間記憶部182aは、電力を供給する期間である給電期間情報を予め格納するものであり、例えば、曜日毎の就業時間情報を格納するものである。より具体的には、注文が集中する土曜日及び日曜日は、8時〜20時、その他の曜日(=月曜日〜金曜日)は、10時〜18時という給電期間STが予め設定されている。また、給電期間STは外部から(例えば、端末装置2を介して)変更可能に構成されている形態でもよい。なお、期間記憶部182aは、電力を供給する期間である給電期間情報に替えて、給電を開始する時刻である給電開始時刻情報を予め格納する形態でもよい。
【0059】
給電制御部181aは、期間記憶部182aから給電期間情報を読み出し、クロック184から現在日時情報を読み出して、現在日時が給電期間に含まれているか否かを判定し、給電期間に含まれている場合には、リレースイッチSW2をオン状態とする旨の指示情報をドライブ回路183へ出力するものである。また、給電期間に含まれていない場合には、給電制御部181aは、センサ162S、164S、196Sが全てオン状態であるか否かを更に判定し、全てオン状態である場合には、リレースイッチSW2をオン状態とする旨の指示情報をドライブ回路183へ出力し、センサ162S、164S、196Sの少なくとも1つがオフ状態である場合には、リレースイッチSW2をオフ状態とする旨の指示情報をドライブ回路183へ出力するものである。ここでは、センサ162S、164S、196Sが全てオン状態である場合に、リレースイッチSW2をオン状態とする形態について説明するが、センサ162S、164S、196Sの少なくとも1つがオン状態である場合に、リレースイッチSW2をオン状態とする形態でもよい。この場合には、更に、センサ162S、164S、196Sが全てオン状態であるか否かを判定して、少なくとも1つがオン状態ではない(オフ状態である)場合に、外部に対して音声等による警報を出力することが好ましい。
【0060】
図9は、制御ユニット18の動作の一例を示すフローチャートである。なお、以下の動作は全て給電制御部181aによって実行されるものである。まず、期間記憶部182aから給電期間STが読み出される(ステップS101)。次いで、クロック184から現在日時情報が読み出される(ステップS103)。そして、現在日時が給電期間ST内に含まれるか否かの判定が行われる(ステップS105)。
【0061】
現在日時が給電期間ST内に含まれると判定された場合(ステップS105でYES)には、処理がステップS115へ進められる。現在日時が給電期間ST内に含まれないと判定された場合(ステップS105でNO)には、センサ196SがONであるか否かの判定が行われる(ステップS107)。センサ196SがONではない(OFFである)と判定された場合には(ステップS107でNO)には、リレースイッチSW2をOFFとする旨の指示情報がドライブ回路183へ出力され(ステップS111)、処理がステップS103に戻され、ステップS103以降の処理が繰り返し実行される。
【0062】
センサ196SがONであると判定された場合には(ステップS107でYES)には、センサ162SがONであるか否かの判定が行われる(ステップS109)。センサ162SがONではない(OFFである)と判定された場合には(ステップS109でNO)には、リレースイッチSW2をOFFとする旨の指示情報がドライブ回路183へ出力され(ステップS111)、処理がステップS103に戻され、ステップS103以降の処理が繰り返し実行される。
【0063】
センサ162SがONであると判定された場合には(ステップS109でYES)には、センサ164SがONであるか否かの判定が行われる(ステップS113)。センサ164SがONではない(OFFである)と判定された場合には(ステップS113でNO)には、リレースイッチSW2をOFFとする旨の指示情報がドライブ回路183へ出力され(ステップS111)、処理がステップS103に戻されステップS103以降の処理が繰り返し実行される。
【0064】
ステップS105でYESの場合、又は、ステップS113でYESの場合には、リレースイッチSW2をONとする旨の指示情報がドライブ回路183へ出力され(ステップS115)、処理がステップS101に戻され、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。
【0065】
このように、オペレータによる始業時の通常の作業によって、蓋板164(又は、上部ラック162p、スライド部材192)が休止期間の形態から稼動期間の形態へ変化されると、制御対象機器1Aに対して電力の供給が開始されるため、オペレータの作業負荷が軽減されると共に誤操作が防止される。
【0066】
また、センサ164Sによって、蓋板164の開状態と閉状態とが検出されるため、休止期間から稼動期間への変化が容易に且つ正確に検出される。
【0067】
更に、センサ162Sによって、上部ラック162pの装着状態と非装着状態とが検出されるため、休止期間から稼動期間への変化が容易に且つ正確に検出される。
【0068】
加えて、センサ196Sによって、ラック162A〜162Fを固定するスライド部材192がロック状態か否かが検出されるため、休止期間から稼動期間への変化が容易に且つ正確に検出される。
【0069】
また、タンク16A〜16F内の処理液163を昇温するヒータ1H及び処理液163上部を排気するファンモータ166Mが、制御対象機器1Aに含まれるため、消費電力の大きい機器の電力が適切に給電制御される。
【0070】
なお、本発明は以下の形態をとることができる。
【0071】
(A)本実施形態においては、端末装置2がパーソナルコンピュータからなる場合について説明したが、専用のハードウェアを備える形態でもよい。また、本実施形態においては、端末装置2が出力装置1と通信可能に接続されている場合について説明したが、端末装置2が出力装置1の一部に組み込まれている形態でもよい。
【0072】
(B)本実施形態においては、出力装置1が蓋板164の開閉を検出するセンサ162S、上部ラック162pの装着有無を検出するセンサ164S及びラック162のロック状態を検出するセンサ196Sを備える場合について説明したが、センサ162S、164S、196Sの少なくとも1のセンサを備える形態でもよい。例えば、センサ162Sのみを備える場合には、装置の構成が簡略化され、製造コストが安価化される。更に、センサ162Sとして1の上部ラック162p(例えば、ラック16Aの上部ラック162p)に対応するセンサ162Sのみを備える場合には、装置の構成が更に簡略化され、製造コストが更に安価化される。
【0073】
また、センサ162S、164S、196Sに換えて(又は加えて)、その他の稼動期間と休止期間との間で外力により形態が変化される部材(例えば、図1に示すソータ17の内、蓋板164の開閉時に蓋板164との干渉を防止するために取り外される部材等)の形態を検出する検出器を有する態様でもよい。
【0074】
(C)本実施形態においては、蓋体の開閉を検出するセンサ162Sが機械式センサからなり、上部ラック162pの装着有無を検出するセンサ164Sが反射型の光学式センサからなり、ラック162のロック状態を検出するセンサ196Sが透過型の光学式センサからなる場合について説明したが、その他のセンサである形態(例えば、センサ162S、164S、196Sが全て透過型の光学式センサである形態)でもよい。また、各センサを複数個だけ備える形態でもよい。この場合には、検出がより正確に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明が適用される写真処理装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図2は、端末装置の一例を示すハード構成図である。
【図3】現像ユニットの一例を示す側面断面図である。
【図4】ラックの一例を示す外観斜視図である。
【図5】図3に示す現像ユニットのA−A断面を示す断面図である。
【図6】ラックの固定方法の一例を示す説明図(平面図)である。
【図7】ラックを固定するロック機構の構成の一例を示す説明図である。
【図8】本発明が適用される写真処理装置の電源系統の一例を示す系統図である。
【図9】制御ユニットの動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 出力装置
16 現像ユニット
162 ラック
162p 上部ラック(形態可変部材の一部)
162q 下部ラック
162r 反射板
162S センサ(検出手段の一部)
164 蓋板(形態可変部材の一部)
164S センサ(検出手段の一部)
18 制御ユニット
181 CPU
181a 給電制御部(給電制御手段の一部)
182 RAM
182a 期間記憶部(給電制御手段の一部)
183 ドライブ回路(給電制御手段の一部)
184 クロック(給電制御手段の一部)
185 インターフェイス回路
19 ロック機構
192 スライド部材(形態可変部材の一部)
196S センサ(検出手段の一部)
SW1 メインスイッチ
SW2 リレースイッチ(給電制御手段の一部)
2 端末装置
3 商用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
稼動期間中にタンク内に格納された処理液に印画紙を浸漬させて現像する写真処理装置であって、
電力の供給を制御する対象として予め設定された機器である制御対象機器に対して電力を供給する期間である給電期間内であるか否かを判定し、前記給電期間内である場合に前記制御対象機器に対して電力を供給する給電制御手段と、
稼動期間と休止期間との間で外力により形態が変化される形態可変部材が、稼動期間の形態であるか否かを検出する検出手段とを備え、
前記検出手段によって、前記形態可変部材が前記休止期間の形態から稼動期間の形態へ変化したことを検出した場合に、前記給電制御手段は、前記制御対象機器に対して電力の供給を開始することを特徴とする写真処理装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記タンクの上部に配設され、写真処理装置の稼動期間では閉状態とされる一方、写真処理装置の休止期間では開状態とされる蓋体の形態として、その開閉を検出することを特徴とする請求項1に記載の写真処理装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記タンク内に配設されて印画紙を搬送するローラを有し、写真処理装置の稼動期間では装着状態とされる一方、装置の休止期間では非装着状態とされるラックの形態として、その着脱を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の写真処理装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記ラックに隣接して配設され、写真処理装置の稼動期間ではロック状態とされる一方、写真処理装置の休止期間では開放状態とされる前記ラックを固定するロック部材の形態として、そのロック状態か否かを検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の写真処理装置。
【請求項5】
前記タンク内の処理液を昇温するヒータと処理液上部を排気するファンとを備え、
前記ヒータ及びファンは、前記制御対象機器として設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の写真処理装置。
【請求項6】
稼動期間中にタンク内に格納された処理液に印画紙を浸漬させて現像する写真処理装置において、電力の供給を制御する対象として予め設定された機器である制御対象機器に対して電力を供給する期間である給電期間内であるか否かを判定し、前記給電期間内である場合に前記制御対象機器に対して電力を供給する給電制御方法であって、
稼動期間と休止期間との間で外力により形態が変化される形態可変部材が、稼動期間の形態であるか否かを検出し、
前記形態可変部材が前記休止期間の形態から稼動期間の形態へ変化したことを検出した場合に、前記制御対象機器に対して電力の供給を開始することを特徴とする給電制御方法。
【請求項7】
コンピュータを備え、稼動期間中にタンク内に格納された処理液に印画紙を浸漬させて現像する写真処理装置の給電制御プログラムであって、前記コンピュータを、
電力の供給を制御する対象として予め設定された機器である制御対象機器に対して電力を供給する期間である給電期間内であるか否かを判定し、前記給電期間内である場合に前記制御対象機器に対して電力を供給する給電制御手段と、
稼動期間と休止期間との間で外力により形態が変化される形態可変部材が、稼動期間の形態であるか否かを検出する検出手段として機能させ、
前記検出手段によって、前記形態可変部材が前記休止期間の形態から稼動期間の形態へ変化したことを検出した場合に、前記給電制御手段は、前記制御対象機器に対して電力の供給を開始することを特徴とする給電制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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