説明

写真廃液の蒸発固化装置及び再利用方法

【課題】写真廃液を簡易に蒸発乾燥して固化物として回収できて、かつ得られた固化物が湿分含量の変動が少なく、かつ熱分解劣化の少ない写真廃液の固化装置及び固化方法を提供すること。また、得られた固化物を写真処理に再利用することが可能な写真廃液の再利用方法の提供。
【解決手段】少なくとも写真廃液を蒸発固化する加熱蒸発室5と、加熱蒸発室で蒸発固化した固化物を収容する固化物収納庫17と、加熱蒸発室から排出される蒸気から水を回収する水回収部23とから構成されており、該加熱蒸発室が密度と厚みの積が3以上、25(kg/m)以下の材料で作られたハウジングを有していることを特徴とする写真廃液の蒸発固化装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真廃液(写真処理廃液)の環境負荷軽減に関し、具体的には写真廃液の蒸発固化装置、濃縮方法及び固化物の再利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感光材料の処理は、一般に感光材料を露光した後、現像、脱銀、水洗、乾燥という各工程を経て行われる。各工程において使用されるカラー現像液、漂白定着液、及びリンス液は、一定量の感光材料の処理ごとに定量が補充される。
近年、環境負荷軽減の観点から、写真感光材料の処理については、低補充化及び/又は再生することにより廃液量を低減させることが強く要求されている。廃液量低減の手段としては減圧蒸留による濃縮装置がすでに実用化されており、廃液の回収頻度の低減と廃液の保管スペースの縮小に貢献しているが、ミニラボの普及による処理サイトの分散化に伴い、更なる廃液量の低減が望まれており、そのためには廃液の再利用が課題とされている。
【0003】
写真廃液を再利用するためには、蒸発濃縮して濃縮液として写真廃液を回収するよりは、蒸発固化してしまう方が再利用率を高めることができて有利である。蒸発固化による廃液量低減手段としては、特許文献1に開示されている処理廃液を粉末固化して固体処理剤として再利用する手段が挙げられる。
しかしながら、この方法で得られる廃液固化物は、漂白定着液成分の亜硫酸塩が分解して硫化ガスが発生したり、再利用すると硫酸塩の蓄積により漂白定着速度が低下し、現像機の搬送ラックや現像槽の汚れも起こり易いなどのために再利用が困難となる。
【0004】
特許文献2には、ブレードの回転による遠心力により円筒の内周面に被処理液の薄膜を形成する薄膜式蒸発濃縮装置が提案されている。この装置では、円筒の内周面の周方向と回転軸方向に延びて形成され、円筒の外周面に設けられた加熱部により加熱されることにより、その揮発成分が蒸発し、その固形成分がブレードにより円筒の内周面からかき出されて回収される。この薄膜式蒸発濃縮装置においては、一連の蒸発・濃縮・乾燥の各工程を短時間で効率的に行なって固形物として回収することができるが、短時間濃縮の必要性のため被処理液に急激に熱エネルギが与えられるので被処理液成分の分解が起こり勝ちである。特に、被処理液が写真処理廃液の場合、廃液中に定着剤成分のチオ硫酸塩(通称、ハイポ)が多量に含まれており、条件によってはこれが酸化分解して硫酸塩が生成し、固化物中に硫酸塩が蓄積されるため、処理剤としての再利用に支障が生じてしまう。したがって、特許文献1に挙げた問題点は、この点に関しては解決できていない。特許文献3では、特許文献2に示された機構の装置の回転円筒状の加熱部の軸方向の加熱面長さと円筒内径との比を最適化すれば迅速乾燥性を向上させることが可能であるとしている。しかしながら、このディメンジョンの規定のみでは迅速乾燥性には効果があるが、なお上記の問題点の解決には不十分である。
一方、写真廃液の蒸発固化の際に、固化物の湿分含量の日内変動が大きく(具体的には日常の現像処理作業のスタートアップから間もない間は、湿分含量が多くなる)、湿分含量が多いと固化物の硫化が起こり易く、その固化物を用いた再生処理剤で処理した感光材料に画面ステインの増大を招くため、再利用に好ましくない影響を及ぼすという問題が指摘されている。特許文献2及び3に開示された装置では、この問題は解決できていない。
これとは別に、上記装置では急速加熱乾燥を行なうために加熱部の内壁面や回転ブレードの表面に固化物が固着して、固化物同士、固化物と羽根、固化物と内壁が接触して騒音が生じるという問題も発生する。
【0005】
したがって、依然として写真廃液を迅速に蒸発固化できて、しかも写真廃液中の処理剤成分の固化処理中の変質がなく、固化物の湿分含量の変動も少なく、再生利用率が高いレベルに維持される効果的な固化手段が求められている。加えて、固化物などの接触による騒音も起こらないことも望まれる。
【特許文献1】特開昭63−141692号公報
【特許文献2】特公平6−20483号公報
【特許文献3】特開2000−24402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第一の目的は、写真廃液を簡易に蒸発乾燥して固化物として回収できて、かつ得られた固化物が湿分含量の日内変動が少なく、したがって固化物の硫化やそれに伴うステインの生成の少ない写真廃液の固化装置及び固化方法を提供することである。
本発明の第二の目的は、上記固化装置を用いて蒸発固化して廃液中の有効成分を安定に維持して再利用することが可能な写真廃液の再利用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は蒸発固化操作中に過熱することがなく、したがって処理液成分の劣化が抑止されていて、しかも得られる固化物の湿分含量が固化装置の稼動時間を通して安定していて処理負荷や環境条件にも影響されにくい手段を鋭意検討した結果、ハウジング部材の材料や厚み条件を選択することによって湿分含量の変動を顕著に改善できることを見出した。この発見に基いてさらに検討を重ねて本発明に至った。すなわち本発明は、下記の写真廃液の固化装置、蒸発固化方法及び写真廃液の再利用方法からなる。
【0008】
(1)写真廃液を蒸発固化する加熱蒸発室と、加熱蒸発室で蒸発固化した固化物を収容する固化物収納庫と、加熱蒸発室から排出される蒸気から水を回収する水回収部とから少なくとも構成されており、少なくとも該加熱蒸発室が下記条件式(I)を満たす密度と厚みを有する材料で構成されたハウジングを有していることを特徴とする写真廃液の蒸発固化装置。
条件式(I) 3≦ρt≦25
ここに、ρは材料の密度(kg/m)を表し、tは、該材料の厚み(m)を表す。
(2)ハウジングが上記加熱蒸発室と、固化物収納庫と、水回収部とを覆うように設けられていることを特徴とする上記(1)に記載の写真廃液の蒸発固化装置。
(3)上記水回収部が、ハウジングの外側に配置されていることを特徴とする上記(1)に記載の写真廃液の蒸発固化装置。
(4)上記固化物収納庫が、ハウジングの外側に配置されていることを特徴とする上記(1)に記載の写真廃液の蒸発固化装置。
(5)上記加熱蒸発室における写真廃液の加熱が、加熱面に沿って該廃液が薄膜状に流下する流動薄膜加熱方式で行われることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の写真廃液の固化装置。
(6)蒸発固化装置が、写真廃液を蒸発固化する加熱蒸発室と、該加熱蒸発室で蒸発固化した固化物を収容する固化物収納庫と、該加熱蒸発室と該固化物収納庫とを接続して該加熱蒸発室内の固化物が該固化物収納庫へ移動可能な通路を形成する連接部と、該連接部にあって該加熱蒸発室の固化物排出口と該固化物収納庫の固化物受け入れ口とを着脱可能に連結する結合部とからなり、該連接部に、該蒸発濃縮装置の稼動中は該加熱蒸発室で生じた固化物が該固化物収納庫へ移動できるように通路が開いており、該蒸発濃縮装置が休止中は該加熱蒸発室と該固化物収納庫の少なくとも一方を減圧状態に維持したまま該固化物収納庫を該加熱蒸発室から分離できるように通路が閉じる開閉手段を装備したことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の写真廃液の固化装置。
【0009】
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の写真廃液の固化装置を用いて写真廃液を蒸発固化させ、得られた固化物を用いて固形写真処理組成物を調製することを特徴とする写真廃液の再利用方法。
(8)該固化物を50〜90質量%含有する固形写真処理組成物を調製することを特徴とする上記(7)に記載の写真廃液の再利用方法。
【0010】
上記の本発明の特徴は、少なくとも加熱蒸発室を覆うハウジングにある。このハウジングが前記の比重と厚みの条件式を満たす部材で構成されていれば、意外なことに得られる固化物の湿分含量の日内変動が低くなるので固化物の硫化が抑制される。したがって固化物の品質も維持されて感光材料を処理してもステインを生じなく、発明の目的が達せられる。とりわけ、蒸発固化装置が流動薄膜加熱方式の固化装置の場合には、固化物の湿分含量恒常性と被処理液成分の熱分解の抑止性がともに顕著となる。
【発明の効果】
【0011】
ハウジング構造を具備する本発明の蒸発固化装置は、写真廃液の過熱劣化させることなく、かつ湿分含量の変動が少ない固化物を得ることができる。
また、この装置を使用して写真廃液を固化し、固化物を用いて写真処理剤を再構成することによって、写真廃液を再利用することが可能となり、写真廃液の環境負荷を軽減することができる。再利用される固化物は硫化が抑止されているので処理される固化物にステインを生じさせない。
さらに、本発明の蒸発固化装置は、低騒音でもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[写真廃液の蒸発固化装置]
本発明の写真廃液の蒸発固化装置は、少なくとも写真廃液を蒸発固化する加熱蒸発室と、加熱蒸発室で蒸発固化した固化物を収容する固化物収納庫と、加熱蒸発室から排出される蒸気から水を回収する水回収部を構成要素としており、かつ少なくとも加熱蒸発室はハウジングに覆われていて、そのハウジングは、下記条件式(I)を満たす密度と厚みを有する材料で構成されていることを特徴としている。
【0013】
条件式(I) 3≦ρt≦25

条件式(I)において、ρは材料の密度(kg/m)を表し、tは、該材料の厚み(m)を表す。
本発明の写真廃液用の蒸発固化装置は、上記した要件に適う限り、如何なる方式、形態のものであってもよい。
本発明の蒸発固化装置の特徴は、少なくとも加熱蒸発室を覆うハウジングにあって、それによって前記発明の効果が発現するので、はじめにハウジングについて述べる。
【0014】
<ハウジング>
ハウジングは、以下に述べる材料で構成され、かつ少なくとも加熱蒸発室を覆うものであれば発明の効果が現れる。したがって、加熱蒸発室と固化物収納庫と水回収部のすべてを覆うものであってもよく、固化物収納庫と水回収部のいずれか、又は両方が、ハウジングの外側に設けてあってもよい。
ハウジングを構成する材料は、上記の条件式(I)を満たす材料であり、この式を満たす密度と厚みを有する限り、いずれの材料と厚みであってもよい。
好ましい材料は、ポリエチレン樹脂(中密度ポリエチレン,密度0.918〜0.940、高密度ポリエチレン,密度0.941〜0.969など)、ポリ塩化ビニル樹脂(好ましくは、硬質塩ビ)、ポリエステル成形物(好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(密度1.29〜1.40)、ポリプロピレンテレフタレートのシート)、ポリビニルアルコール・ポリエステル共重合物(ポバール)、塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリロニトリル系樹脂、メタクリル樹脂(密度1.17〜1.20)、フェノール樹脂(密度1.24〜1.32)、ABS樹脂(密度1.01〜1.08)、フッ素樹脂(PTFE密度2.14)、ポリスチレン樹脂(ハイインパクトタイプ、密度1.03〜1.06)、ネオプレンやクロロプレンなどの合成ゴム、石膏ボード、スレートボード、板紙(紙ボード)、セラミック、ステンレス(SUS304、密度7.93やSUS316、密度8.0など)や鋳鉄などの金属板、ゼオライトやパーライトなどの粘土鉱物板、などが挙げられる。より好ましくは、高密度ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ステンレス板が用いられる。好ましい高密度ポリエチレンの例としては、密度が0.941〜0.969でメルトインデックスが0.3〜5.0g/10minの範囲の高密度ポリエチレンが上げられる。(メルトインデックスは、ASTM D1238に規定された方法に従い、温度190℃において荷重2.16kgのもとで測定した値である。)
上記の密度の単位は10kg/mである。
【0015】
これらの材料は、伝熱係数などの熱伝達特性に拘わらず、密度と厚み条件でハウジングとしての適性が定まる。該材料の密度ρ(kg/m)と厚み(m)tとの積ρtが3未満では、本発明の上記効果が発現し難い。また、ρtが25を超えると装置全体の重量が過大となり、発明の効果は有していても好ましくない。好ましい範囲は、ρtが3.5以上、かつ20以下であり、更に好ましい範囲はρtが4以上、かつ10以下である。
ハウジングは、好ましくは加熱蒸発室の外套部から少なくとも0.1cm〜30cm、より好ましくは0.5cm〜20cmcmの間隙が実質的に確保されるように設けられる。
ハウジングは、上記要件を満たす材料で覆われている限り、任意の支柱で補強されていたり、さらなる被覆材料を塗設もしくは積層されていることを妨げない。好ましい被覆材料としては、上記ハウジング材料、耐食ペイント、建材用断熱材などから適宜選択して用いられる。
【0016】
<蒸発固化装置の態様>
本発明の蒸発固化装置について、以下に好ましい典型的な実施の態様について図面を用いて説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1は、本実施の形態による廃液固化装置の主要部と周辺の関連機器を含めた廃液固化システムを概略的に示す断面図である。
【0017】
図1において、廃液固化装置100は、加熱蒸発室5と、水回収部23と、固化物収納庫17から構成され、加熱蒸発室5と固化物収納庫17は、連接部12を介して接続されている。図1では廃液固化装置100の全体が、ハウジング50によって覆われている。図2は、同じく廃液固化装置を示すが、ハウジング51は廃液固化装置100のうち、加熱蒸発室5と固化物収納庫17を覆っていて、水回収部23がハウジング51の外側に配された点で図1の装置と異なる態様を示す。図3も、同じく廃液固化装置を示すが、ハウジング51は廃液固化装置100のうち、加熱蒸発室5のみを覆っていて、固化物収納庫17と水回収部23がハウジング51の外側に配された点で図1の装置と異なる態様を示す。以下に図1〜3に示す本発明の蒸発固化装置の態様について、まとめて説明するが、各図において、共通の部材には同じ部材番号を用いている。
図1〜3において、廃液貯留槽1に貯留された写真廃液2は、ポンプ3により、送液系4を経て廃液固化装置100の加熱蒸発室5に供給される。加熱蒸発室5は、加熱部である円筒10と、送液系4を経て円筒10の上部に供給された廃液2を円筒内に噴霧するアトマイザー8と、円筒10の中心に鉛直方向に配置された回転軸7と、回転軸7の上端部にあって回転軸7を回転駆動させる回転モーター6と、回転軸7に沿ってかつ回転軸7から円筒10の内周面に向けて延びるように配置された複数の回転ブレード9と、円筒10の外周面に構成された加熱ジャケット部11と、円筒10の上部から写真廃液中の水分等の揮発成分が気体となって排出される揮発物排出口20から構成される。
揮発物排出口20から排出された揮発物は送気配管21によって水回収部23に送られる。水回収部23は、揮発物排出口20から排出された揮発物を実質的に水である液体に液化させる蒸発水トラップ24と、蒸発水トラップ24を冷却する冷却水循環槽25と、蒸発水トラップ24を減圧にする真空ポンプ26から構成されている。水回収部23で凝縮されて得られる回収水は、後述する利用方法、例えば処理液の調製に再利用される。
【0018】
一方、連接部12は、円筒10の下部に設けられ、写真廃液中の固体成分を固形物として取り出す取出口13と、固化物収納庫17の上部に設けられていて固化物を取出口13から固化物収納庫17に受容する受入れ口14と、固化物収納庫17内の圧力及び場合によっては湿度及び温度も調節する緩衝手段15と必要により緩衝手段15内の空気を吸引するポンプ16と、固化物の通路を開閉可能な形で取出口13に設けられた2方コックV1と、同様に受入れ口14に設けられた2方コックV2とからなる。また、緩衝手段15とポンプ16を備えることなく、2方コックV1を設けた取出口13と2方コックV2を設けた受入れ口14とが互いに通路を形成する形で直結している態様であってもよい。
図1〜3の態様において、連接部12の機能の説明のため、2方コックV1を有する取出口13と、2方コックV2を有する受入れ口14は、連接部12の構成要素として説明しているが、部材構成の観点からは2方コックV1を有する取出口13は、加熱蒸発室5と一体化しており、同様に2方コックV2を有する受入れ口14は、固化物収納庫17の上部に一体に設けられている形態も含んでいる。
また、本実施態様の連接部12は、本発明の蒸発固化装置に必須ではなく、加熱蒸発室5と固化物収納庫17が直接結合していて一体化している態様や、加熱蒸発室5と固化物収納庫17が開閉機構を有しない接続導管で結合した態様をとることもできる。
【0019】
以上のような廃液固化装置1を用いた写真廃液処理装置の動作について説明する。モータ6の回転駆動により回転軸7が回転している状態で、廃液貯留槽1の写真廃液2がポンプ3により送液系4を経て廃液固化装置100の加熱蒸発室5内の円筒10の上部に供給される。供給された写真廃液2は、アトマイザー8により円筒10内に液滴となって噴霧される。写真廃液が円筒10の内壁面に当たり、この遠心力により円筒10の内周面21で薄膜状となる。この薄膜状の写真廃液が回転中のブレード9の放射方向に沿って、遠心力により噴霧され、円筒10の内周面に圧着されて薄膜状となり、加熱ジャケット部11によって加熱されながら重力の作用を受けて薄膜状態で鉛直方向下方に流れて円筒10の内壁面及び回転ブレード9への固化廃液の固着は起こらない。流下する間に蒸発した写真廃液中の水分等の揮発成分は揮発物排出口20から送気配管21によって水回収部23に送られる。水回収部23では、蒸発水トラップ24によって揮発物を実質的に水である液体に液化されて凝縮水が回収される。蒸発水トラップ24は冷却水循環槽25と、蒸発水トラップ24を減圧にする真空ポンプ26によって減圧冷却されて凝縮が行われる。
【0020】
連接部12の機能と動作について述べる。
写真廃液中の溶質である固形成分は、水分等が短時間で取り除かれて円筒10の内周面上に薄膜となって流下しながら固化が進行する。攪拌ブレード9がかき出すため、薄膜中の固形成分は、円筒10の内周面から剥離され取り除かれ、固形化され、粉末化して円筒10の下方に落下する。写真廃液中の固形成分はフレーク状、粉末状、塊状等となって円筒10の下方に貯まり、2方コックV1が「開」状態の取出口13から緩衝手段15に導かれ、続いて受入れ口14の「開」状態の2方コックV2を経て固化物収納庫17内の固化物容器18に受け入れられる。
【0021】
廃液固化作業を終了する際は、固化物がすべて2方コックV1が「開」状態の取出口13から緩衝手段15に導かれた後、2方コックV1を「開」状態に切替えて加熱蒸発室5と緩衝手段15との通路を遮断し、次いで緩衝手段15内の空気を吸引するポンプ16とによって連接部12の2方コックV1よりも固化物容器18側(緩衝手段15など)と固化物容器18の圧力を必要に応じて保管に好ましい圧力に調整することができる。同様にこの部分の相対湿度とさらに必要なら温度も図示しない温湿度調整装置によって保管に好ましい圧力に調整することができる。圧力と必要あれば、相対湿度や温度も保管に適した環境条件に調整した後、このようにして固化物容器18に収納された固化物は、受入れ口14の「開」状態の2方コックV2を「閉」状態に切替えて固化物容器18内の環境条件を保管に適した状態に維持可能とする。その後、受入れ口14の「開」状態の2方コックV2と固化物容器18からなる固化物収納庫17は、固化物収納庫19として模式的に示したように加熱蒸発室5から切り離されて保管される。したがって、固化物収納庫17内の固化物は、保管中の経時による分解劣化が回避されて、これを用いて調製された固形処理剤は廃液の固化直後の固化物から得られた固形処理剤と同じ品質が維持されて処理された写真の品質に異常が無く、処理機のフィルター目詰まりなどの故障も起こらない。
【0022】
本発明に係る連接部(図1〜3の12)の別の態様を図4に示す。図4において部材番号が同じであれば同じ部材を意味する。開閉手段である2方コックV1の上部の加熱蒸発室本体とある2方コックV2の下部に接続する固化物収納庫本体は、図1と同じであるので図示しない。図4では、連接部は、加熱蒸発室下端部の2方コックV1と摺り合せ(雌)付き開口部28を有する取出口13と固化物収納庫上端部の2方コックV2と摺り合せ(雌)付き開口部29とを有する受入れ口14とが結合してなり、図1に示したポンプ16を伴った緩衝手段15がなく、加熱蒸発室下端部の摺り合せ(雌)付き開口部29と固化物収納庫上端部の摺り合せ雄)付き開口部29との摺り合せ結合30によって接合部が形成されている。この方式では、固化物容器18内の環境条件は廃液の乾燥固化を終了した時に加熱乾燥室5と共通の圧力状態に設定されており、この条件が2方コックV2を「閉」状態とすることによって固化物容器18内の保管環境条件となる。
【0023】
また、本発明では加熱蒸発は好ましくは減圧状態で行うが、減圧状態で行う場合には、写真廃液の蒸発、濃縮、脱水処理が短時間のうちに行われ、加熱温度が60〜150℃のような比較的高温で蒸発乾燥しても、固形成分の熱分解等が起こり難く、不溶解物や分解ガスの発生が抑制され、また固形物の円筒10の内周面21への固着が起こり難く、好ましい。
【0024】
このように写真廃液中の固形成分を固形化して処理することができ、この固形物はその体積も少ないことから、その運搬等を含めた取扱いが極めて容易である。また、上述のように固化物は、熱分解劣化しないので水に不溶の生成物が少なく、容易に溶解し、これを再利用した処理組成物の品質を維持することができる。また、揮発物排出口20から排出された水蒸気は例えば適当に冷却することにより、蒸留液として処理することができる。
更に、写真廃液処理装置をミニラボ等での使用に適した小型に構成することができる。
【0025】
なお、温度分布の均一性が許容される範囲である限り、加熱ジャケット部11の代わりに、電気抵抗体等の発熱素子を円筒10の外周面に配置するようにしてもよい。また、図
1の装置では、加熱蒸発室は減圧にする態様を説明し、実際に減圧蒸発の方が迅速かつ低温度で固化させる方が固化物の品質維持の上では好ましいが、写真廃液処理は常圧で行ってもよい。その場合には固化操作が終了したのち、2方コックV1を「閉」状態に切替えてから2方コックV1から固化物収納庫17側をポンプ16によって減圧状態にしてその後に2方コックV2を「閉」状態に切替えて保管環境を整える。固化物収納庫17の好ましい保管環境は、真空度10〜500Torr(1.3〜66.6kPa)であり、より好ましくは真空度15〜300Torr(2〜40kPa)とするのがよい。
【0026】
以上で、本発明の固化装置と固化方法を典型的な態様を示す図1〜3及び図4の形態により説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0027】
図1〜3に示した態様では、蒸発濃縮装置の稼動中は固化物が移動可能であるように連接部の通路が開いており、蒸発濃縮装置が休止中は加熱蒸発室と固化物収納庫の少なくとも一方を減圧状態を維持したまま分離可能にできるように通路を閉じることができる開閉手段を有する、且つ必要に応じて固化物収納庫及び/又は加熱蒸発室の状態調節を行なう緩衝部をも有する連接部が設けられて要る点にある。以下連接部について説明する。
連接部は、上記機能を有する限り、如何なる方式の連接部であってもよい。好ましくは、固化物収納庫を減圧状態に維持したまま分離可能にできる連接部であり、より好ましくは加熱蒸発室と固化物収納庫の双方とも減圧状態を維持したまま分離可能にできる連接部である。
固化物収納庫を減圧状態を維持したまま分離可能であれば、固化物の保管中は減圧状態であって外気にも触れないので固体処理剤に再調製するまでの期間、固化物は吸湿や分解を免れて安定に保管される。
また、固化物収納庫と加熱蒸発室との双方を減圧状態を維持したまま分離可能であれば、固化物収納庫では固化物が安定に保管できることに加えて、加熱蒸発室では減圧を維持したまま次の廃液の蒸発固体化作業に続けられるために、作業時間、所要エネルギー、操作及び作業負担を著しく軽減できる。
固化物収納庫は減圧して保存されなくても、加熱蒸発室が減圧状態を維持したまま分離可能であれば、次の廃液の蒸発固体化作業の開始に係る上記の利点が活かせて、かつ固化物の保管時間が短い間に固体処理剤の調製に利用する場合には固化物の経時劣化も起こらない。したがって、この形態も本発明の態様の1つである。
【0028】
連接部に上記機能を付与するには、連接部には加熱蒸発室側と固化物収納庫側の両方又は少なくとも一方に加熱蒸発室と固化物収納庫とを分離したときに外気を遮断できるように開閉装置を有している。
当然のことではあるが、固化物収納庫のみを減圧状態を維持する場合には、加熱蒸発室と固化物収納庫とを連接部において結合させる接続部よりも固化物収納庫側に固化物収納庫の一部である開閉手段が装備されており、加熱蒸発室と固化物収納庫の双方を減圧状態を維持する場合には、接続部を挟んで加熱蒸発室側と固化物収納庫側の双方にそれぞれ開閉手段が装備されており、加熱蒸発室のみを減圧状態を維持する場合には、接続部の加熱蒸発室側に加熱蒸発室の一部である開閉手段が装備されている。
【0029】
加熱蒸発室の下端部すなわち固化物の取り出し口は、固化物収納庫の上端部すなわち固化物の受入れ口と直接接合する態様又は加熱蒸発室の取り出し口と固化物収納庫の受入れ口の両方が緩衝部と接合する態様とがあり、それぞれの望まれる保管環境に応じて適した態様が選択される。緩衝部と接合する態様は、加熱蒸発室と固化物収納庫の一方又は両方を廃液の加熱蒸発時の圧力などの環境条件と異なる保管環境に調整したいときに採用される。
【0030】
開閉手段の開閉方式には、固化物の通路に勘合する栓を使用して開閉する方式、固化物の通路を開閉できる2方コックを通路に設ける方式、通路を遮断できる遮蔽板を通路上に挿入して開閉する方式、回転動作によって開口部と閉塞部とが交互に通路上に位置するように回転円盤を設けたターレット方式などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
開閉部の更なる説明は、本発明の写真廃液固化装置の態様の図示説明に含めて述べる。
【0031】
加熱蒸発室の加熱蒸発方式は、公知の任意の方式を選択できるが、本発明の目的に十分沿うには、減圧蒸発方式が好ましく、また廃液を薄い液膜にして廃液容積当たりの加熱蒸発面積を広くした薄膜蒸発方式も好ましく、とりわけ減圧式の薄膜蒸発方式が好ましい。
【0032】
[写真廃液再利用方法]
以下、本発明の写真廃液の処理方法、とくに廃液を固形処理剤に再生する再利用方法を具体的に詳述する。
本発明の写真廃液処理方法における廃液の再利用について図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の典型的な写真廃液の再利用方法のフローを説明するチャート図である。
図5に示す典型例(カラー印画紙の処理・処理液再利用システム)では、感光材料の処理は、感光材料を露光した後、まずP1処理槽においてカラー現像処理を行い、続いてP2処理槽において漂白定着処理を行い、続いてPS処理槽において水洗処理を行い、最後に感光材料を乾燥させるという工程からなる。上述の通り、感光材料の処理の各工程において使用されるカラー現像液(P1)、漂白定着液(P2)、及びリンス液(PS)は、一定量の感光材料の処理ごとに一定量が補充される。図5では、顆粒状の補充剤を各処理槽に投入し補充水で溶解することによりP1又はP2処理液を補充している。
【0033】
本発明では、各処理槽から廃液を回収し、廃液を固化させる。本実施態様の廃液固化装置には、図1殻の薄膜式蒸発濃縮装置が用いられる。漂白定着液にはアンモニウム塩や亜硫酸塩が含まれているため、従来用いられている蒸留式蒸発濃縮法は、廃液に過剰な熱が加わるため分解ガスが発生するおそれがあり好ましくない。薄膜式蒸発濃縮による場合は蒸留式蒸発濃縮法に比べて過剰な熱がかかりにくいため分解ガスが発生するおそれは少なく、更に、薄膜式蒸発濃縮を用いて再生した固体処理剤を利用すると、感光材料汚れ等が抑止できるという効果も見出された。また、廃液固化時に生成した水蒸気は水回収装置により液化し、漂白定着処理液(P2)の希釈水又はリンス液(PS)に利用することができる。また、P2、PSのクロスオーバーローラーの洗浄にも利用することができる。
【0034】
<写真廃液の乾燥固化と処理剤調製からなる固化物再利用>
固化した廃液は固体処理剤として再生する。固体処理剤は、後述するように粉末状態(粉剤)のままでもよく、錠剤又は顆粒の形態に造粒を行ってもよい。顆粒の場合は、内部構造を有しない粒子の顆粒としてもよく、また保管安定性などの目的からコアシェル型の顆粒としてもよい。内部粒子(核又はコアと呼ぶ)を形成させ、次いで内部核上への被覆層(シェル層)を設けることによって作製される。被覆層としては内部核を安定化させるための保護性材料のコーティングの場合も含まれる。再生した固体処理剤は、図5に示した例は,漂白定着処理剤(P2)として用いる例である。
使用済み漂白定着液を銀イオン除去処理を行わずに蒸発固化して固体処理剤として100%再利用してもよいが、この形態の写真処理を行う場合には、処理液中の銀イオン濃度が増加して感光材料の脱銀を抑制してしまう。したがって、廃液の再利用率は50〜90%が好ましく、60〜85%がより好ましい。ここで再利用率とは、写真廃液から得られる固化物の全質量に対し補充剤として再利用する固化物の質量の割合をいい、次式で表される。
再利用率(%)=
{(写真廃液から得られる固化物から補充剤として使用した量(g))÷(写真廃液から得られる固化物の全量(g))}×100
なお、固体処理剤として再利用されなかった分については、嫌気醗酵、好気醗酵等の処理を経て、硫化銀や硫黄を回収したり、芝生用肥料等に利用したりするのが好ましく、また電気分解して環境に影響を与えないレベルで下水に放流してもよい。
【0035】
<固形化の方法>
本発明の再利用固形処理剤組成物は、粉剤、顆粒、錠剤のいずれの形態であってもよい。また、図5に示した例は、漂白定着組成物の再利用の例であるが、発色現像補充剤など、他の処理剤再利用も行なうことができる。再利用固形処理剤組成物の好ましい形態は粉剤及び顆粒である。
粉剤は、各構成成分を必要あればさらに粉砕して粒度を調節するなどにより、粉末状にした上で各粉末原料を規定の処方値の比率で混合する方法、各構成成分を水などの溶媒に溶かし、噴霧乾燥などの適切な乾燥によって粉末化する方法、などによって粉末組成物とする。
【0036】
例えば、粉末処理剤は、処理済み廃液を蒸発固化して得た固化物を直接現像機の処理槽に補充し、時折新処理剤も補充して処理液品質を維持する方法、固化物と新処理剤(又は原料薬品)とを混合して、必要によって粉砕して粉末処理剤として再生する方法、固化物を水に再溶解して銀回収を行なった後、再度乾燥固化してから直接または新原料と混合して再利用する方法、などが用いられる。
【0037】
錠剤は、各構成成分を必要あれば粉砕して粒度を調節するなどにより、粉末状にした上で各粉末原料を規定の処方値の比率で混合して、成形する。また、各構成成分を水などの溶媒に溶かし、噴霧乾燥などの適切な乾燥によって粉末化したものを成形する方法も用いられる。必要があれば錠剤の器械的強度や安定化のために適当なバインダーを添加する。バインダーについては、例えばポリビニルアルコール系、メチルセルロース系などの水溶性バインダーや、そのほか特開平5−333507号公報の段落0066などに記載されている結合剤を用いることができる。
錠剤処理剤の製造方法は、例えば、特開昭51−61837号、同54−155038号、同52−88025号、英国特許1213808号の明細書に記載される一般的な方法を利用することができる。そのほか後述する顆粒処理剤の造粒方法として記載した造粒ハンドブック記載の造粒方法の(2)、(4)、(5)及び(6)、中でも(2)及び(4)の方法によって錠剤化することもできる。
錠剤の形状は、特に問わないが、球状、板状、円板状、不定形などいずれであってもよい。また、錠剤の大きさも、取扱い安い大きさである限り特に問わないが、長径が5〜30mmであることが好ましく、8〜20mmであることが更に好ましい。
【0038】
顆粒処理剤は、例えば、特開平2−109042号、同2−109043号、同3−39735号及び同3−39739号等の明細書に記載される一般的な方法で製造できる。
本発明において、球形顆粒とは粉体を球形に造粒した粒子を指す。球形とは、真球であっても、真球でなくてもよく、いわゆるペレット、丸薬、ビーズなどの名で一般的に呼ばれる粒子形状を含む。本発明において、顆粒の平均粒径が0.1〜10mmであることが好ましく、0.1〜8mmであることが更に好ましく、0.1〜5mmであることが非常に好ましい。
本発明において、顆粒型固形処理剤の好ましい態様としては、コアシェル型の顆粒や多層構造顆粒が挙げられる。この場合は、固結や潮解を起しにくい成分を表面被覆層に配することができる点で好都合である。
【0039】
顆粒の形状は球状、円柱状、角柱状、不定形などの様々な形状に造粒できる。その平均粒径が0.1〜10mmであることが好ましく、0.2〜8mmであることが更に好ましく、0.3〜5mmであることが非常に好ましい。
【0040】
本発明において、顆粒の製造方法は、コアシェル型や多層構造方顆粒の製造方法も含めて公知の各種造粒法によって行うことができる。それら本発明に適用できる各種造粒法は、造粒ハンドブック(日本粉体工業技術協会編)に記載されており、また例えば特開平4−221951号、同2−109043号公報などにも記載されている。その中でも好ましい方法として、特開2003−50447号公報段落0094〜0106、特開2001−183779号公報段落0015〜0027、特開2001−193780号公報段落0016〜0028に記載された固形処理剤の造粒法を好ましく用いることができる。
【0041】
本発明では、内部核としては前記の薄膜式蒸発固化した固化物をそのまま用いることが好ましい。また、内部核上への被覆は転動造粒法、流動層造粒法、コーティング造粒法で行うことが好ましく、遠心流動型コーティング機を用いたコーティング造粒法が上記効果を有効に発揮できて、特に好ましい。コーティング材料は、再生処理剤とするために固化物に新たに添加するべき原得よう薬品、固化物粒子表面の吸湿性を減ずるための平衡相対湿度の高い材料(例えば下記コーティング材料)などがあげられる。
【0042】
薄膜式蒸発固化した固化物を単一組成とする顆粒、及び上記のようにコアシェル構造に造粒された顆粒は、その表面に水溶性ポリマーをコーティングすることが好ましい
本発明では、蒸発固化物を単一組成とする顆粒にコーティング層を施した処理剤粒子もコアシェル構造粒子に含めている。コーティングに用いられる水溶性ポリマーの種類に制限はなく、例えばゼラチン、ベクチン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニールアルコール、変性ポリビニールアルコール、ポリビニールピロリドン、ポリビニールピロリドン・ビニールアセテート共重合体、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸塩、キサンタンガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、カラゲナン、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体等の合成、半合成及び天然水溶性高分子物質から選ばれる1種又は2種以上を用いることができ、中でもポリエチレングリコール、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、アラビアガム、カラゲナンの1種又は2種以上を用いることがより好ましい。
【0043】
水溶性ポリマーのコーティング量は、通常行われるコーティング量である限り格別の制約はないが、顆粒に対して0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%が特に好ましい。水溶性ポリマーのコーティング方法にも任意の方法を格別の制約なく用いることができるが、前記の転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法、コーティング造粒法、溶融造粒法又は噴霧乾燥造粒法を用いることが好ましい。中でも、転動造粒法、流動層造粒法、コーティング造粒法又は噴霧造粒法によって、顆粒表面に1〜50%濃度のポリマー水溶液をスプレーコーティングし、乾燥する方法が特に好ましい。
【0044】
[写真処理液]
本発明に適用される写真処理廃液は、写真処理液成分を主成分としているが、写真処理廃液には、写真処理液に添加されている素材のほか写真処理過程で生成した現像主薬の酸化体、硫酸塩、ハライドなどの反応生成物や、感光材料から溶け出した微量のゼラチン、感光色素、界面活性剤などの成分が含まれている。
【0045】
写真処理液は、カラー感光材料と黒白感光材料の処理に用いられるが、処理されるカラー感光材料としてはカラーペーパー、カラー反転ペーパー、撮影用カラーネガフィルム、カラー反転フィルム、映画用ネガもしくはポジフィルム、直接ポジカラー感光材料などを挙げることができ、黒白感光材料としては、Xレイフィルム、印刷用感光材料、マイクロフィルム、撮影用黒白フィルムなどを挙げることができる。
【0046】
写真処理液にはカラー処理液、黒白処理液、製版作業に伴う減力液、現像処理タンク洗浄液などがあり、黒白現像液、カラー現像液、定着液、漂白液、漂白定着液、画像安定化液などが挙げられる。
【0047】
カラー現像液は、通常、芳香族第一級アミンカラー現像主薬を主成分として含有する。それは主にp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例はN,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ〕アニリン、N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−アミノアニリンである。また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩である。該芳香族第一級アミン現像主薬の含有量は現像液1リットル当り約0.5g〜約10gの範囲である。
【0048】
また黒白現像液中には、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−ヒドロキシメチル−4−メチル−3−ピラゾリドン、N−メチル−p−アミノフェノール及びその硫酸塩、ヒドロキノン及びそのスルホン酸塩などが含まれている。
【0049】
カラー及び黒白現像液には保恒剤として、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩や、カルボニル亜硫酸付加物を含有するのが普通で、これらの含有量は現像液1リットル当たり0g(無添加レベル)〜5gである。
【0050】
カラー及び黒白現像液中には、保恒剤として種々のヒドロキシルアミン類を含んでいる。ヒドロキシルアミン類は置換又は無置換いずれも用いられる。置換体としてはヒドロキシアルミン類の窒素原子が低級アルキル基によって置換されているもの、とくに2個のアルキル基(例えば炭素数1〜3)によって置換されたN,N−ジアルキル置換ヒドロキシルアミン類が挙げられる。またN,N−ジアルキル置換ヒドロキシルアミンとトリエタノールアミンなどのアルカノールアミンの組合せも用いられる。ヒドロキシルアミン類の含有量は現像液1リットル当り0(無添加レベル)〜5gである。
【0051】
カラー及び黒白現像液は、pH9〜12である。上記pHを保持するためには、各種緩衝剤が用いられる。緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシン塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロシアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、溶解性やpH9.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった利点を有し、これらの緩衝剤が多く用いられる。該緩衝剤の現像液への添加量は通常現像液1リットル当たり0.1モル〜1モルである。
【0052】
その他、現像液中にはカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤として、或いは現像液の安定性向上のために各種キレート剤が添加される。その代表例としてニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ−N,N,N−トリメリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンホスホン酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等を挙げることができる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用されることもある。
【0053】
現像液は、各種の現像促進剤を含有する。現像促進剤としては、チオエーテル系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、4級アンモニウム塩類、p−アミノフェノール類、アミン系化合物、ポリアルキレンオキサイド、1−フェニル−3−ピラゾリドン類、ヒドラジン類、メソイオン型化合物、チオン型化合物、イミダゾール類等である。
【0054】
多くのカラーペーパー用カラー現像液は、上記のカラー現像主薬、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン塩、炭酸塩、硬水軟化剤などと共にシルキレングリコール類やベンジルアルコール類を含んでいる。一方カラーネガ用現像液、カラーポジ用現像液、一部のカラーペーパー用現像液は、これらのアルコール類を含んでいない。
【0055】
また、現像液中には、カブリ防止の目的で、臭素イオンを含有することが多いが、塩化銀を主体とする感光材料に対しては臭素イオンを含まない現像液を用いることもある。その他、無機カブリ防止剤としてNaClやKClなどの塩素イオンを与える化合物を含有していることがある。また各種有機カブリ防止剤を含有していていることも多い。有機カブリ防止剤としては、例えば、アデニン類、ベンズイミダゾール類、ベンズトリアゾール類及びテトラゾール類を含有していてよい。これらのカブリ防止剤の含有量は現像液1リットル当り0.010g〜2gである。これらのカブリ防止剤は処理中に感光材料中から溶出し、現像液中に蓄積するものも含まれる。特に本発明において上記したような臭素イオンや塩素イオン等の総ハロゲンイオン濃度が混合液1リットル当たり1ミリモル以上であるような廃液においても有効に処理することができる。特に臭素イオン濃度が混合液1リットル当たり1ミリモル以上の場合に有効である。
【0056】
また、現像液中には、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、脂肪酸カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を含有している。
【0057】
黒白写真処理においては、現像処理の後に定着処理が行なわれる。カラー写真処理においては、現像処理と定着処理の間に通常漂白処理が行なわれ、漂白処理は定着処理と同時に漂白定着(ブリックス)で行なわれることもある。漂白液には、酸化剤として鉄(III) 又はCo(III) のEDTA、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,3−ジアミノ−プロパン四酢酸塩、ホスホノカルボン酸塩そのほか過硫酸塩、キノン類などが含まれている。そのほか、臭化アルカリ、臭化アンモニウムなどの再ハロゲン化剤、硼酸塩類、炭酸塩類、硝酸塩類を適宜含有する場合もある。定着液や漂白定着液には通常チオ硫酸塩(ナトリウム塩、アンモニウム塩)、酢酸塩、ホウ酸塩、アンモニウム又はカリ明ばん亜硫酸塩などを含有していている。
【0058】
ハロゲン化銀写真感光材料の処理においては、定着処理あるいは漂白定着処理行なった後、水洗及び/又は安定処理を行なうことが一般的である。水洗処理においては、その処理槽にバクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じることがある。このような問題の解決策として、水洗水に特開昭61−131632号に記載のカルシウムイオン、マグネシウムイオンを低減させる方法を用いることができる。また、特開昭57−8542号に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、その他ベンゾトリアゾール等、堀口博著「防菌防黴剤の化学」、衛生技術会編「微生物の滅菌、殺菌、防黴技術」、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」に記載の殺菌剤を用いることもある。
【実施例】
【0059】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明の範囲をなんら限定するものではない。
〔実施例−1〕
1.カラーペーパーの作製方法
紙の両面をポリエチレン樹脂で被覆してなる支持体の表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設け、さらに第一層〜第七層の写真構成層を順次塗設して、以下に示す層構成のハロゲン化銀カラー写真感光材料の試料(101)を作製した。各写真構成用の塗布液の調製及び塗布方法は、特開2004−53921号公報の実施例3の試料と同じ調製方法と塗布方法に従った。
【0060】
2.カラーペーパーへの露光及び処理条件
市販のカラーネガフィルムであるフジカラー Venus 800(富士写真フイルム(株)製)で、屋外晴天の中景に人物を撮影し、処理機として富士写真フイルム(株)製自動現像機FP−363SC、カラーネガフイルム処理処方CN−16Sとその処理剤(いずれも富士写真フイルム(株)製)を用いて現像処理を行った。
富士写真フイルム(株)製ミニラボプリンタープロセッサー フロンティア340Eを用いて、現像処理されたカラーネガフイルムの画像情報を読み取り、レーザー露光ユニットで試料(101)に露光を施し、以下に示す処理工程及び処理液でランニング処理を3R(現像液の累積補充量が、そのタンク容量の3倍になるまで)行った。
なお、フロンティア340Eは、下記処理工程で処理できるようタンクとラックを改造し、顆粒補充剤を直接処理タンクに添加するロータリーフィーダー方式の補充装置を増設し、水を処理タンクに添加する補充装置を増設する改造を行った。
なお、カラー現像の補充剤は特開2001−183780号公報の実施例−1の造粒物6と造粒物7の混合物(質量で4:1)を、漂白定着の補充剤は特開2001−183780号の実施例−2の造粒物6を後述の方法で調製したものを用いた。
【0061】
処理工程 温 度 時 間 補充量*
(顆粒剤) 水
カラー現像 45℃ 20秒 4g 40mL
漂白定着 40℃ 20秒 7g 28mL
リンス1** 40℃ 5秒 −
リンス2** 40℃ 5秒 −
リンス3** 40℃ 5秒 −
リンス4** 40℃ 8秒 − 150mL
乾 燥 80℃ 10秒
* 補充量は感光材料1m2当たりの量で表わす。
** 水洗過程はリンス4から1への4タンク向流方式とした。
*** 廃液は、各工程からのオーバーフロー液を一つのタンクにまとめて貯留した。
また、リンス系には富士写真フイルム(株)製のリンスクリーニングシステムRC50(商品名)を採用し、リンス3からリンス液を取り出してポンプによって逆浸透モジュール(RC50D)に送り、このモジュールで得られた透過水はリンス4に供給され、濃縮水はリンス3に戻される方式を採った。逆浸透膜への透過水量は200〜300mL/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。
【0062】
各処理液の組成は以下の通りである。
〔カラー現像液〕
陽イオン交換水 800mL
ジメチルポリシロキサン系界面活性剤 0.1g
(シリコーンKF351A、信越化学工業(株)製、商品名)
トリイソパノールアミン 0.2モル
エチレンジアミン四酢酸塩 4.0g
塩化カリウム 10.0g
臭化カリウム 0.04g
亜硫酸ナトリウム 0.1g
蛍光増白剤 Hakkol FWA-SF(昭和化学(株)製、商品名) 4.0g
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 20.0g
炭酸カリウム 27.0g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナートエチル)ヒドロ
キシルアミン 10.0g
N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−
3−メチル−4−アミノアニリン・3/2硫酸・1水塩 10.0g
水を加えて 1000mL
pH(25℃/水酸化カリウム及び硫酸にて調整) 10.30
【0063】
〔漂白定着液〕
水 600mL
チオ硫酸アンモニウム(750g/リットル) 110mL
亜硫酸アンモニウム 40.0g
エチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム 46.0g
エチレンジアミン四酢酸 5.0g
コハク酸 20.0g
水を加えて 1000mL
pH(25℃/硝酸及びアンモニア水にて調整) 5.5
【0064】
〔リンス液〕
塩素化イソシアヌール酸ナトリウム 0.02g
脱イオン水(導電率5μS/cm以下) 1000mL
pH 6.5
【0065】
3.漂白定着液の補充剤の調製方法
廃液が0.4L溜まった時点(感光材料2.2m2の処理分に相当)で、図1に記載の蒸発固化装置(薄膜式フラッシュエバポレーター装置)を用い、回転数1500rpm、液供速度0.4L/h、加熱温度 120℃,回転羽根と壁面のクリアランス0.8mm、真空度20Torrの条件にて、廃液を固形化した。ハウジングは、表1に記載の高密度ポリエチレン(HDPE)で厚みを変更したもの及びステンレススチール(SUS304)を使用した。また、比較用として同じ構造であるが、ハウジングを有しない装置を使用した(表1では、ハウジングを外装と記述)。この装置の加熱壁面(図1の加熱ジャケット11の内壁)は、PFA(四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)をコーティング加工して実施した。採取された固形物と特開2001−183780号公報の実施例−2の造粒物6との混合物(質量比4:1)を、漂白定着液の補充剤として用い、ランニングテストを行った。
【0066】
4.日内変動ステインの評価方法
湿分含量が多いと硫化が進行して、蒸発固化物から得られる再生処理剤が感光材料にステインを生じるので、湿分含量の日内変動の尺度として、固化物を再生して処理した感光材料のステインを用いた。表1記載の各ランニング処理3R後の5日間にて、未露光の試料(101)を1日の最初と最後の各1枚、現像処理した。この間には、上述カラーネガフイルムの画像情報を露光したLサイズ1000枚を処理した。
1日の最初と最後のサンプルを濃度測定し、特性曲線から青色光(ステータスA相当フィルター光)で測定した最小濃度部(Dmin)をそれぞれ読み取り、ステインを下記式にて絶対値を算出し、5日間の平均値を表1に示した。下記算出値は、ゼロが最も好ましく、値が小さいほどステインを生じていないということである。
(ステイン)= |(一日の最初のDmin)−(一日の最後のDmin)|
結果を下記表1に示す。
【0067】
5.廃液固化時に発生する騒音の評価方法
本発明の蒸発固化装置は、副次的効果として騒音も低減するので、騒音低減効果も評価の対象に加えた。
表1記載の各ランニング処理において、薄膜式フラッシュエバポレーター装置で廃液固化時に発生する騒音を、リオン(株)製 普通騒音計 NL−21を用いて測定した。該装置で廃液固化時に発生していた騒音の平均値を表1に示す。尚、該装置を稼動していない時の騒音の平均値は、49.2dBであった。また、表1において、騒音の基準としては、音圧20μPaが採用されている。
【0068】
6.臭気の評価方法
ハウジングを備えた本発明の蒸発固化装置は、加熱蒸発部の過熱がなく、安定の固化物が得られるので、臭気の発生も少ない。この点も評価の対象に加えた。すなわち、10人の試験者に、廃液固化しない自動現像機周りの臭気を基準「3」に、下記基準でハウジング外周部の空気の臭気を官能評価し、その平均値を算出した。
5……基準より臭気が明らかに少ない。
4……基準より臭気がやや少ない。
3……基準とほぼ同等である。
2……基準より臭気がやや悪化している。
1……基準より臭気が明らかに悪化している。
結果を下記表1に示す。いずれも比較例(ハウジングなし)及びρtが規定値の下限以下の比較例よりも処理済み感光材料のステインが少なく、騒音も低く、さらに過熱分解に伴う臭気も改善されていることが示された。
【0069】
【表1】

【0070】
実施例2
実施例1の本発明例(試料3)において、廃液を固形化する際、水回収部(図1の23)で蒸発気から水を回収し、それを漂白定着及びリンスの補充水に再利用したこと以外は同様にして試験したところ、実施例1の本発明例(試料3)と同様の性能が得られた。これによって、補充量を更に低減できることがわかった。
【0071】
実施例3
実施例1に用いた蒸発固化装置のハウジングを図1の態様から、図2及び図3に示した態様(図2の部材番号51及び図3の部材番号52)に変更して、本発明例(試料3)の条件で蒸発固化を行ったところ、実施例1表1に示した本発明例(試料3)と同様の性能が得られた。これによって、ハウジングが少なくとも加熱蒸発室(図1〜3の5)を覆うように設けられていれば発明の効果が発揮されることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態の廃液の蒸発固化装置の主要部及び周辺機器の概略断面図である。
【図2】本発明の別の実施形態の蒸発固化装置の主要部及び周辺機器の概略断面図である。
【図3】本発明のさらに別の実施形態の蒸発固化装置の主要部及び周辺機器の概略断面図である。
【図4】図1の蒸発固化装置の連接部の断面図である。
【図5】本発明の写真廃液再利用方法の工程概念を示す説明図である。
【符号の説明】
【0073】
1 廃液貯留槽
2 写真廃液
3 ポンプ
4 送液系
5 加熱蒸発室
6 回転モーター
7 回転軸
8 アトマイザー
9 回転ブレード
10 円筒
11 加熱ジャケット部
12 連接部
13 取出口
14 受入れ口
15 緩衝手段
16 ポンプ
17 固化物収納庫
18 固化物容器
19 固化物容器
20 揮発物排出口
21 送気配管
23 水回収部
24 蒸発水トラップ
25 冷却水循環槽
26 真空ポンプ
28 掏り合せ(雌)付き開口部
29 掏り合せ(雄)付き開口部
30 結合部
50,51,52 ハウジング
100 廃液固化装置
V1,V2 2方コック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真廃液を蒸発固化する加熱蒸発室と、加熱蒸発室で蒸発固化した固化物を収容する固化物収納庫と、加熱蒸発室から排出される蒸気から水を回収する水回収部とから少なくとも構成されており、少なくとも該加熱蒸発室が下記条件式(I)を満たす密度と厚みを有する材料で構成されたハウジングを有していることを特徴とする写真廃液の蒸発固化装置。
条件式(I) 3≦ρt≦25
ここに、ρは材料の密度(kg/m)を表し、tは、該材料の厚み(m)を表す。
【請求項2】
ハウジングが上記加熱蒸発室と、固化物収納庫と、水回収部とを覆うように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の写真廃液の蒸発固化装置。
【請求項3】
上記水回収部が、ハウジングの外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の写真廃液の蒸発固化装置。
【請求項4】
上記固化物収納庫が、ハウジングの外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の写真廃液の蒸発固化装置。
【請求項5】
上記加熱蒸発室における写真廃液の加熱が、該廃液が加熱面に沿って薄膜状に流下する流動薄膜加熱方式で行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の写真廃液の固化装置。
【請求項6】
蒸発固化装置が、写真廃液を蒸発固化する加熱蒸発室と、該加熱蒸発室で蒸発固化した固化物を収容する固化物収納庫と、該加熱蒸発室と該固化物収納庫とを接続して該加熱蒸発室内の固化物が該固化物収納庫へ移動可能な通路を形成する連接部と、該連接部にあって該加熱蒸発室の固化物排出口と該固化物収納庫の固化物受け入れ口とを着脱可能に連結する結合部とからなり、該連接部に、該蒸発濃縮装置の稼動中は該加熱蒸発室で生じた固化物が該固化物収納庫へ移動できるように通路が開いており、該蒸発濃縮装置が休止中は該加熱蒸発室と該固化物収納庫の少なくとも一方を減圧状態に維持したまま該固化物収納庫を該加熱蒸発室から分離できるように通路を閉じる開閉手段を装備したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の写真廃液の固化装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の写真廃液の固化装置を用いて写真廃液を蒸発固化させ、得られた固化物を用いて固形写真処理組成物を調製することを特徴とする写真廃液の再利用方法。
【請求項8】
該固化物を50〜90質量%含有する固形写真処理組成物を調製することを特徴とする請求項7に記載の写真廃液の再利用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−187700(P2006−187700A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185(P2005−185)
【出願日】平成17年1月4日(2005.1.4)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】