説明

冷却液供給機構を備えたワーク用真空吸着装置

【課題】ワーク用真空吸着装置のロータリージョイントに微少な限定流量の冷却液を供給する冷却液供給機構に、冷却液の流量が適正流量範囲内にあるかどうかを簡単かつ正確に見分けることが可能な視認装置を付設する。
【解決手段】視認装置の透明なケース24に、小径孔部27Aと大径孔部27Bとからなる流路孔27を鉛直に形成すると共に、両孔部のうち少なくとも小径孔部27Aの孔径Daを均一に形成し、上記流路孔27の内部に比重が冷却液より大きい球状のフロート28を昇降自在に収容し、上記小径孔部27Aの内周と上記フロート28の外周との間に形成されるギャップGaを、適正流量の冷却液が流通不能な大きさに形成すると共に、上記大径孔部27Bの内周とフロート28の外周との間に形成されるギャップGbを、適正流量の冷却液が流通可能な大きさに形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハのようなディスク形ワークを加工する際に該ワークを真空吸着して回転させるワーク用真空吸着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体ウエハ等のワークの外周のエッジ部分を研磨加工するエッジポリッシュ装置においては、該ワークを保持して回転させるため、真空吸着装置が使用される。この真空吸着装置は、図1に示すように、ワークWを吸着するための吸着孔3を上面に有する円盤形のチャックテーブル1と、このチャックテーブル1に固定的に連結されて内部に上記吸着孔3に通じる通孔4を有するスピンドル2とを有していて、このスピンドル2が、機枠5に固定されたホルダ6にベアリング7を介して回転自在に支持され、プーリ8に連結された図示しないモータによって駆動回転されるように構成されている。
【0003】
また、上記スピンドル2の下端部には、ロータリージョイント10が連結されると共に、該ロータリージョイント10に、複数(3つ)のポートP1,P2,P3を備えたポートブロック11が連結され、該ポートブロック11の各ポートP1,P2,P3に真空源12とエア源13と純水源14とがそれぞれバルブ等による通断機構15を介して接続されている。そして、上記チャックテーブル1にワークWを研磨加工のために吸着する際には、上記真空源12から負圧が上記ポートブロック11及びロータリージョイント10を介してスピンドル2の通孔4に供給され、加工終了後にワークWをチャックテーブル1から剥離する時は、上記純水源14及びエア源13から純水及びエアが上記ポートブロック11及びロータリージョイント10を介してスピンドル2の通孔4に順次供給されるようになっている。
【0004】
このように、真空吸着装置においては、回転するスピンドル2内の通孔4に対して負圧や流体などを供給するため上記ロータリージョイント10が使用されている。このロータリージョイント10は、上記スピンドル2に対して相対的に回転しながらシール状態で摺接する回転シール部を有していて、この回転シール部を通じて該スピンドル2に負圧や流体を供給するものであるが、半導体製造装置で用いられるロータリージョイント10は、金属イオンその他の不純物溶質を極力低減させる必要があるため、上記回転シール部に、一般産業用のロータリージョイントで使用される安定した寿命の材料を使用することができず、その結果、この回転シール部の摩擦熱によって短期間でシール不良を生じるなどの問題があった。
【0005】
この問題は、例えば特許文献1及び2に開示されているように、上記回転シール部に冷却水やオイル等の冷却液を供給して摩擦熱を取り除くことにより解消することが可能であるが、その場合、冷却液の流量が多過ぎると却って回転シール部のシール性を損なうおそれがあり、逆に、流量が少な過ぎると十分な冷却効果を得られない。このため、冷却液の流量は適正でなければならず、その適正流量は、通常のロータリージョイント10で20〜50cc/min程度と非常に微少である。また、適正流量の冷却液が流れているかどうかを監視することも重要であり、その監視も視認によるものであることが望ましい。
【0006】
一方、流体の流量を測定する場合、一般に流量計が使用される。特許文献3〜7には、流量を外部から視認可能な各種流量計が開示されている。これらの流量計は、透明ケースの内部のテーパー状をした流路孔内にフロートが収容されていて、このフロートが、流路孔内を流れる流体の流量に応じた位置を占めるように構成されたものである。
【0007】
ところが、このような構成を有する公知の流量計を上記冷却液の視認に用いた場合、該冷却液の流量が微少であるためフロートが殆ど反応せず、その流量が適正流量範囲内にある場合と適正流量より少ない場合又は多い場合とで上記フロートの占める位置が殆ど変わらないため、そのときの流量が適正流量範囲内にあるのかどうかを正確に見分けることは困難である。また、流路孔の孔径を微少流量用に小さく調整したとしても、流れの有無は検知できるが、過敏に反応してしまい、流れが適正流量範囲内にあるのかどうかを正確に見分けることは困難である。従って、上記真空吸着装置のロータリージョイントに微少な限定流量の冷却液を供給する場合に、視認装置として用いることはできない。
【0008】
【特許文献1】特開平5−133491号公報
【特許文献2】特開2001−130665号公報
【特許文献3】特開昭47−15171号公報
【特許文献4】特開昭62−103520号公報
【特許文献5】特開2007−327818号公報
【特許文献6】実開平5−90327号公報
【特許文献7】実開平7−18216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明の目的は、ロータリージョイントに微少な限定流量の冷却液を供給する冷却液供給機構を備えたワーク用真空吸着装置において、上記冷却液供給機構に、適正流量の冷却液が流れているかどうかを簡単かつ正確に見分けることが可能な視認装置を付設することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明は、ワークを吸着するための吸着孔を有するチャックテーブルと、このチャックテーブルに固定的に連結されて内部に上記吸着孔に通じる通孔を有する回転自在のスピンドルと、上記通孔を真空源とワーク剥離用の流体源とに接続するためこのスピンドルに相対的に回転自在に連結されたロータリージョイントと、該ロータリージョイントの回転シール部に対して微少な限定流量の冷却液を供給する冷却液供給機構とを有するワーク用真空吸着装置において、上記冷却液供給機構が、冷却液の流れを視認するための視認装置を有し、該視認装置は、冷却液導入口及び冷却液導出口を有する透明なケースと、該ケースの内部に鉛直方向に形成されて上記冷却液導入口及び冷却液導出口に連通し、内部を冷却液が上向きに流れる円形断面の流路孔と、該流路孔の内部に冷却液の流量に応じて昇降自在なるように収容された球状のフロートとを有し、上記フロートの比重は冷却液の比重より大きく、上記流路孔は、上記冷却液導入口に通じる小径孔部と、該小径孔部の上方に位置して上記冷却液導出口に通じる大径孔部とからなっていて、小径孔部の孔径は大径孔部の孔径より小さく、かつ、両孔部のうち少なくとも小径孔部は孔径が均一であり、上記小径孔部の内周と上記フロートの外周との間に形成されるギャップは、適正流量の冷却液が流通不能な幅に設定され、また、上記大径孔部の内周とフロートの外周との間に形成されるギャップは、適正流量の冷却液が流通可能な幅に設定されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明において好ましくは、上記小径孔部の上端部と大径孔部の下端部とが、両孔部相互間の径差により形成される水平な段部を介して相互に連なっていることである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、視認装置の流路孔内を流れる冷却液の流量が適正流量より少ない場合には、フロートが小径孔部の下端の過少流量指示位置に止まり、冷却液の流量が適正流量範囲内にある場合には、フロートが上記小径孔部内を上昇して大径孔部内に進入すると共に、該大径孔部内において冷却液の流量に応じた適正流量指示位置を占め、冷却液の流量が適正流量より多い場合には、フロートが上記大径孔部内を過剰流量指示位置まで上昇する。このように、冷却液の流量が適正流量範囲内にある場合とない場合とで上記フロートが全く異なる指示位置を占めるため、このフロートを見ることによって適正流量の冷却液が供給されているか否かを簡単かつ確実に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図は本発明に係るワーク用真空吸着装置の一実施形態を示すものである。この真空吸着装置は、半導体ウエハ等のディスク形ワークWを吸着するための吸着孔3を上面に有するチャックテーブル1と、このチャックテーブル1に固定的に連結されて内部に上記吸着孔3に通じる通孔4を有する回転自在のスピンドル2と、上記通孔4を真空源12とワーク剥離用の流体源(エア源13及び純水源14)とに接続するためこのスピンドル2に相対的に回転自在なるように連結されたロータリージョイント10と、該ロータリージョイント10に接続されたポートブロック11と、上記ロータリージョイント10の回転シール部に対して微少な限定流量の冷却液を供給する冷却液供給機構18とを有している。
【0014】
上記チャックテーブル1、スピンドル2、ロータリージョイント10及びポートブロック11の構成については、「背景技術」の項で既に説明した通りであるため、重複を避ける意味で同じ構成部分についての再度の説明は省略することとする。
【0015】
上記冷却液供給機構18は、上記ロータリージョイント10の冷却液入口19に接続された冷却液供給部18aと、冷却液出口20に接続された冷却液排出部18bとで構成されている。上記冷却液供給部18aには、純水やオイル等の冷却液を供給する冷却液源21と、該冷却液源21から供給される冷却液の流量をロータリージョイント10の冷却に適した微少な限定流量に設定するレギュレータ22と、このレギュレータ22で流量設定された冷却液の流れを視認するための視認装置23とが接続され、冷却液排出部18bは、図示しない排水処理ラインに接続されている。上記冷却液の適正な流量範囲は、例えば20〜50cc/minである。
【0016】
上記視認装置23は、図2に示すように、下端部に冷却液導入口25を有しかつ上端部に冷却液導出口26を有する円柱形又は角柱形をした透明なケース24と、該ケース24の内部に鉛直方向に形成されて上記冷却液導入口25と冷却液導出口26とに連通し、内部を冷却液がこの冷却液導入口25から冷却液導出口26に向けて上向きに流れる円形断面の流路孔27と、該流路孔27の内部に冷却液の流量に応じて昇降自在に収容された球状のフロート28とを有している。
【0017】
上記流路孔27は、上記冷却液導入口25に上記フロート28の直径より小さい孔径の導入孔29を介して通じる下側の小径孔部27Aと、上記冷却液導出口26に通じる上側の大径孔部27Bとからなっていて、これらの小径孔部27Aと大径孔部27Bとが、流路孔27の全長のほぼ1/2ずつを占めている。しかし、これら両孔部27A,27Bの長さは互いに等しくある必要はなく、一方が他方より長くても短くても構わない。また、これらの小径孔部27A及び大径孔部27Bの長さは、後述するフロート28が指示位置を変えたことを確実に視認できるように、該フロート28の直径の2倍以上、好ましくは2〜6倍程度とすることが望ましく、図示した例では約3〜4倍程に形成されている。
【0018】
図2及び図3から明らかなように、上記小径孔部27Aの孔径Daは、該小径孔部27Aの全長にわたって均一であると共に、該小径孔部27Aとフロート28との径差に基づく微小な幅のギャップGaが、該小径孔部27Aの内周とフロート28の外周との間に介在するような大きさに形成され、このギャップGaの幅(従ってギャップGaの面積)と冷却液の流量との関係が、次のように設定されている。即ち、流路孔27内を流れる冷却液の流量がロータリージョイント冷却のための適正流量より少ない場合には、その流量の冷却液が上記ギャップGaを流通できるが、上記冷却液の流量が適正流量範囲内にあるか又は適正流量より多い場合には、その流量の冷却液が上記ギャップGaを流通できないように設定されている。従って、上記フロート28は、冷却液の流量が適正流量より少ない場合には、冷却液の流れに押し上げられることなく上記小径孔部27Aの下端の過少流量指示位置Aに止まり、冷却液の流量が適正流量範囲内にあるか又は適正流量より多い場合には、冷却液の流れに押し上げられて該小径孔部27A内を上昇し、上記大径孔部27B内に進入することになる。
【0019】
また、上記大径孔部27Bの孔径Dbは、該大径孔部27Bの全長にわたって均一であると共に、上記小径孔部27Aの孔径Daより大きく形成されており、従って、該大径孔部27Bの内周とフロート28の外周との間に形成されるギャップGbの幅は、上記小径孔部27AにおけるギャップGaの幅より大きい。そして、この大径孔部27BにおけるギャップGbの幅(従ってギャップGbの面積)と冷却液の流量との関係が、次のように設定されている。即ち、冷却液の流量が適正流量範囲内にある場合には、その流量の冷却液が上記ギャップGbを流通できるが、冷却液の流量が適正流量より多い場合には、その流量の冷却液が上記ギャップGbを流通できないように設定されている。従って、上記フロート28は、冷却液の流量が適正流量範囲内にある場合には、該大径孔部27Bの下端部近傍において冷却液の流量に応じた適正流量指示位置Bを占め、冷却液の流量が適正流量より多い場合には、冷却液の流れに押し上げられて該大径孔部27B内を上端部まで上昇し、過剰流量指示位置Cを占めることになる。
【0020】
上記大径孔部27Bの上端部には、孔の開いたストッパ30が設けられていて、このストッパ30に当接する位置が上記フロート28の過剰流量指示位置Cとされている。
また、上記小径孔部27Aの上端部と大径孔部27Bの下端部とは、両者の径差により形成される水平な段部31を介して相互に連なっている。
上記フロート28は、冷却液より比重の大きい材料で形成されている。
【0021】
上記構成を有する真空吸着装置において、加工のためワークWを上記チャックテーブル1に吸着させる際には、上記真空源12から負圧が上記ポートブロック11及びロータリージョイント10を介してスピンドル2の通孔4に供給され、この通孔4から上記チャックテーブル1の吸着孔3に供給されて該ワークWが吸着される。そして、その状態で上記スピンドル2がモータにより駆動回転されることにより、上記チャックテーブル1が回転し、上記ワークWに対する研磨等の加工が施される。
加工が終了すると、上記スピンドル2及びチャックテーブル1の回転は停止され、負圧が遮断されて代わりに純水源14及びエア源13から純水及びエアが上記ポートブロック11及びロータリージョイント10を介してスピンドル2の通孔4に順次供給され、上記ワークWがチャックテーブル1から剥離される。
【0022】
上記スピンドル2の回転時に上記ロータリージョイント10には、上記冷却液供給機構18の冷却液供給部18aを通じて微少な限定流量の冷却液が供給される。この冷却液は、冷却液入口19からロータリージョイント10の内部の回転シール部の回りに流入し、この回転シール部を冷却して冷却液出口20から流出する。
上記冷却液出口20から流出した冷却液は、上記冷却液供給機構18の冷却液排出部18bを通じて図示しない排水処理ラインに送られる。
【0023】
上記ロータリージョイント10に供給される冷却液は、上記冷却液供給機構18の冷却液供給部18aに接続された視認装置23により、適正流量の冷却液が流れているかどうかを視認することができる。
即ち、上記ロータリージョイント10に冷却液が全く供給されていない場合、図2において、上記フロート28は、上記導入孔29の孔縁29aに当接して該導入孔29を塞ぐ初期位置を占めているが、この状態から冷却液が供給されると、該フロート28は、冷却液に押し上げられて上記孔縁29aから離れ、以下に詳述するように、冷却液の流量に応じて過少流量指示位置Aと適正流量指示位置Bと過剰流量指示位置Cとの何れかの指示位置を占める。
【0024】
先ず、上記冷却液の流量が適正流量より少ない場合には、全流量の冷却液が上記フロート28の外周と小径孔部27Aの内周との間のギャップGaを流通できるため、該フロート28は、冷却液に押し上げられることなく、上記孔縁29aから僅かに離れた上記過少流量指示位置Aに止まり、冷却液の流量が適正流量より少ないことを指示する。
【0025】
次に、上記ロータリージョイント10に適正流量の冷却液が供給されている場合には、一部の冷却液しか上記ギャップGaを流通できないため、上記フロート28は、該冷却液により小径孔部27A内を押し上げられて大径孔部27B内に進入し、該大径孔部27Bの下端部近傍における上記適正流量指示位置Bを占める。この適正流量指示位置Bにおいては、上記フロート28の外周と大径孔部27Bの内周との間のギャップGbを全流量の冷却液が流通できるため、該フロート28は、それ以上大径孔部27B内を冷却液に押し上げられることなく、上記適正流量指示位置Bに止まって冷却液の流量が適正流量であることを指示する。
【0026】
上記適正流量指示位置Bは、冷却液の流量に応じて若干の上下幅を有していて、該冷却液の流量が適正流量範囲の下限即ち最少適正流量である場合には、図3に実線で示す適正流量指示位置Baとなり、冷却液の流量が適正流量範囲の上限即ち最大適正流量である場合には、図3に鎖線で示す適正流量指示位置Bbとなり、冷却液の流量が最少適正流量と最大適正流量との間にある場合には、フロート28の指示位置は、上記適正流量指示位置BaとBbとの間における冷却液の流量に応じた指示位置となる。
上記適正流量指示位置Baは、上記最少適正流量の冷却液が、上記小径孔部27Aの上端の孔縁27aとフロート28との間のギャップGcを丁度流通できるが、上記大径孔部27Bの内周とフロート28の外周との間の上記ギャップGbは余裕を持って流通し得るような位置であり、従って、このときの上記ギャップGcの面積は、ギャップGbの面積より小さい。
一方、上記適正流量指示位置Bbは、上記最大適正流量の冷却液が、上記ギャップGcとGbの両方を丁度流通し得るような位置であり、従って、このときの上記ギャップGcの面積は、上記適正流量指示位置BaにおけるギャップGcの面積より大きく、かつ上記ギャップGbの面積と等しいことになる。
なお、上記ギャップGcは、上記小径孔部27Aの上端の孔縁27aとフロート28の中心とを結ぶ線上に形成されるギャップである。
【0027】
更に、上記ロータリージョイント10に適正流量より多い流量(過剰流量)の冷却液が供給されている場合には、一部の冷却液しか上記ギャップGbを流通できないため、上記フロート28は、図2に鎖線で示すように、この冷却液により大径孔部27B内をその上端部まで押し上げられ、ストッパ30に当接する上記過剰流量指示位置Cを占めることになる。
【0028】
ここで、上記過少流量指示位置Aは流路孔27の下端部であり、また、上記適正流量指示位置Bは流路孔27のほぼ中央か又は中央に近い位置であり、更に、上記過剰流量指示位置Cは流路孔27の上端部であって、互いの指示位置は離れている。このため、何れの指示位置にフロート28があるのかを目視により正確に識別することができ、この結果、適正流量の冷却液が流れているか否かを確実かつ正確に視認することができる。
【0029】
この場合、上記小径孔部27A及び大径孔部27Bの長さをフロート28の直径の2倍以上に形成しておくことにより、上記適正流量指示位置Bと過少流量指示位置Aとの間、及び適正流量指示位置Bと過剰流量指示位置Cとの間が、上記フロート28の直径の2倍以上離れることになるため、該フロート28が小さいものであっても、それによる上記各指示位置を混同することなく正確に視認することができる。
【0030】
上記視認装置23は、上記冷却液供給機構18の冷却液排出部18bに設けても良く、あるいは冷却液供給部18aと冷却液排出部18bの両方に設けても良い。
また、上記視認装置23の流路孔27における大径孔部27Bは、上端の冷却液出口20に向けて次第に孔径が拡大するように僅かなテーパーが付されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る真空吸着装置の一実施形態を概略的に断面図ある。
【図2】視認装置の拡大断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0032】
1 チャックテーブル
2 スピンドル
3 吸着孔
4 通孔
10 ロータリージョイント
12 真空源
13 エア源
14 純水源
18 冷却液供給機構
23 視認装置
24 ケース
25 冷却液導入口
26 冷却液導出口
27 流路孔
27A 小径孔部
27B 大径孔部
28 フロート
31 段部
Da,Db 孔径
Ga,Gb ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを吸着するための吸着孔を有するチャックテーブルと、このチャックテーブルに固定的に連結されて内部に上記吸着孔に通じる通孔を有する回転自在のスピンドルと、上記通孔を真空源とワーク剥離用の流体源とに接続するためこのスピンドルに相対的に回転自在に連結されたロータリージョイントと、該ロータリージョイントの回転シール部に対して微少な限定流量の冷却液を供給する冷却液供給機構とを有するワーク用真空吸着装置において、
上記冷却液供給機構が、冷却液の流れを視認するための視認装置を有し、該視認装置は、冷却液導入口及び冷却液導出口を有する透明なケースと、該ケースの内部に鉛直方向に形成されて上記冷却液導入口及び冷却液導出口に連通し、内部を冷却液が上向きに流れる円形断面の流路孔と、該流路孔の内部に冷却液の流量に応じて昇降自在なるように収容された球状のフロートとを有し、
上記フロートの比重は冷却液の比重より大きく、
上記流路孔は、上記冷却液導入口に通じる小径孔部と、該小径孔部の上方に位置して上記冷却液導出口に通じる大径孔部とからなっていて、小径孔部の孔径は大径孔部の孔径より小さく、かつ、両孔部のうち少なくとも小径孔部は孔径が均一であり、
上記小径孔部の内周と上記フロートの外周との間に形成されるギャップは、適正流量の冷却液が流通不能な幅に設定され、また、上記大径孔部の内周とフロートの外周との間に形成されるギャップは、適正流量の冷却液が流通可能な幅に設定されている、
ことを特徴とする冷却液供給機構を備えたワーク用真空吸着装置。
【請求項2】
上記小径孔部の上端部と大径孔部の下端部とが、両孔部相互間の径差により形成される水平な段部を介して相互に連なっていることを特徴とする請求項1に記載の真空吸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−272370(P2009−272370A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119609(P2008−119609)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(000107745)スピードファム株式会社 (62)
【Fターム(参考)】