説明

処理設備

【課題】処理設備の外部との間において被処理物や処理物の受け渡しを行う工程室を物流通路に沿って配置すると共に、当該工程室に作業者が出入りする作業者用通路をこの工程室における前記物流通路とは反対側の側面側に隣接して設けることのできる処理設備を提供する。
【解決手段】工場の外部から梱包容器Dが搬入されると共にスタッカークレーン12との間において搬送容器Cの受け渡しを行う入れ替え室30を工程室21の並びに配置すると共に、入れ替え室30の床面11に受け渡し口22を形成し、搬送車5により下の階から受け渡し口22を介して入れ替え室30に梱包容器Dを搬入して、入れ替え室30に作業者が出入りする作業者用通路62を当該入れ替え室30に隣接して設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物に対して処理を行って処理物を得る処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば医薬品などの固形製剤を製造する工場では、被処理物である粉体原料やこの粉体原料から得られる中間生成物あるいは製品(固形製剤)である処理物に対して、作業者が例えば秤量、造粒、篩過、錠剤への成形(打錠)、検査及び包装などの処理を行う工程室が各々設けられており、粉体原料は、例えば段ボールやセメント袋、あるいはファイバー(紙製)ドラムなどの梱包容器に収納された状態で工場に搬入され、例えばコンテナなどの搬送容器に詰め替えられて上記の各処理が行われていく。これらの工程室は、内部が清浄雰囲気に保たれている。
【0003】
このような工場では、重量物である搬送容器を速やかに搬送するために、例えば水平に敷設されたレール上を走行可能で且つ搬送容器を昇降自在に保持するスタッカークレーンと呼ばれている容器搬送機構を設置すると共に、このスタッカークレーンの通路の長さ方向に沿って両側に複数階層に亘って工程室を並べて搬送容器を搬送する方法が知られている。また、例えば複数の工程室内にて使用される処理装置やこの処理装置に関連する機材などを洗浄する必要のある場合には、各々の工程室毎に例えば水道や排水の配管を引き回さなくて済むように、例えばこれらの工程室の並びに沿って同じフロア(階層)に共通の洗浄室を配置することによって、また処理装置を各工程室で兼用するために、上記の処理装置や機材などが重量物であっても作業者が例えば台車などを用いて簡便に搬送できるようにする場合が多い。
【0004】
一方、既述のように梱包容器から搬送容器に粉体原料を移し替えるにあたり、例えば梱包容器の外側に付着したゴミなどを工程室内に持ち込まないように、工場の外部と工程室との間に工程室と同レベルあるいは僅かに低い管理レベルに保たれた入れ替え室をいわば緩衝エリアとして設けておき、この入れ替え室にて粉体原料を入れ替える方法が検討されている。この場合には、例えば工程室のいずれかに代えて上記の入れ替え室が設けられ、粉体原料は梱包容器内に収納された状態で例えば工場に隣設された倉庫から入れ替え室に搬入され、搬送容器に移し替えられた後で例えばスタッカークレーンにより続く処理を行う各工程室に順次搬送されていくことになる。
【0005】
また、入れ替え室にて粉体原料の入れ替えを行う場合には、粉体原料の入れ替えと共に粉体原料の解砕や篩過などの前処理を行い、更に秤量を行っておくと、その後の工程の数を減らすことができるというメリットがあるし、また前処理を行う粉体原料が大量の場合、入れ替え室にて粉体原料を秤取ってしまうことにより、スタッカークレーンでそれだけ大量の粉体原料を輸送しなくても良いというメリットが生じる。そのため、入れ替え室は、工程室と管理レベルが同レベルの雰囲気で粉体原料を秤量できるように、梱包容器の外側に付着した粉体原料やゴミなどが落下するおそれのある前処理室と、この前処理室よりも管理レベルが高く(上記の工程室と同程度に)保たれた秤量室と、に気密に区画される場合がある。また、これらの前処理室と秤量室との内部雰囲気が互いに混ざり合わないように粉体原料を運搬するために、粉体原料は例えば空気を用いた空気輸送法により前処理室から秤量室に気密に搬送されることになる。従って、前処理室と秤量室とは、同じ階層のフロアに隣接して配置され、また各々の前処理室及び秤量室の各々にて作業を行う作業者を介したコンタミを抑えるために、前処理室及び秤量室の各々に作業者が出入りする通路が個別に設けられる。
【0006】
上記のように、入れ替え室は、粉体原料の入れ替えと共に行う前処理の種類に応じて、あるいは梱包容器の種類や搬送容器の大きさなどに応じて、更には設備能力的にも複数配置される場合が多く、その場合には作業者が入れ替え室に出入りする通路を共通化するために、一箇所にまとめて同じフロアに配置されることになる。
【0007】
ここで、既述のスタッカークレーンを配置した工場を概略的に図23(a)に示すと、上記の入れ替え室101は、各工程室102と同様にスタッカークレーン103の通路104に沿って複数配置され、また梱包容器105は例えばコンベアなどの自動搬送機構が配置された運搬路106において各入れ替え室101に搬送されることになる。そのため、これらの入れ替え室101は工程室102、通路104及び運搬路106によって側方側を囲まれているので、入れ替え室101にて作業を行う作業者は、入れ替え室101内に側方側から出入りできず、例えば階段などを用いて上方側あるいは下方側から出入りすることになってしまう。その場合には、作業者の負荷が増えてしまうし、また入れ替え室101内で使用される処理装置(処理装置に関連する機材)108を共通の洗浄室109で洗浄するためあるいは移動式処理装置108を複数の工程室102で兼用するために当該入れ替え室101から運び出すことが困難になってしまう。更に、既述の秤量室110を備えた入れ替え室101が設けられている場合には、この工場では管理レベルが高い2つの通路(作業者が秤量室110に出入りする通路及び作業者が工程室102に出入りする作業者用通路107)を個別に配置する必要があるので、スペースの無駄になってしまう。
【0008】
また、図23(b)に示すように、各入れ替え室101に作業者用通路107を隣接させ、作業者が運搬路104から作業者用通路107を介して各入れ替え室101に梱包容器105を運搬する方法も考えられるが、この方法では管理レベルの高い作業者用通路107が梱包容器105により汚染されてしまうおそれがあるし、梱包容器105が重量物であるため運搬が困難になってしまう。
更に、粉体原料から製造された処理物である製品を工場の外部に搬出する際においても、最終工程である例えば包装を行う工程室102に運搬路106を接続させようとすると、同様に作業者が階段を使って出入りすることになってしまうため、作業者の負荷が増えることになってしまう。
【0009】
特許文献1には、粉体を機器40に投入する粉粒体投入システムについて記載されているが、上記の課題については何ら検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−30914
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、搬送容器内の被処理物や処理物に対して処理を行う工程室が前記搬送容器の搬送を行う物流通路の長さ方向に沿って複数配置された処理設備において、外部との間において被処理物や処理物の受け渡しを行う入れ替え室を物流通路に沿って工程室の並びに配置すると共に、当該入れ替え室に作業者が出入りする作業者用通路を入れ替え室における前記物流通路とは反対側の側面側に隣接して設けることのできる処理設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の処理設備は、
互いに横方向に並び、被処理物に対して処理を行って処理物を得るための複数の工程室と、
これら複数の工程室の並びの一方の側面側に当該並びに沿って水平に伸びる物流通路に設けられ、被処理物または処理物を搬送容器に収納して工程室間を搬送する搬送機構と、
前記工程室の並びの方向に工程室に隣接して設けられ、被処理物を梱包容器から搬送容器に入れ替えて、当該搬送容器を前記搬送機構に受け渡すための入れ替え室と、
前記入れ替え室における前記物流通路とは反対側の側面側に形成され、当該入れ替え室に作業者が出入りするための作業者用通路と、
前記入れ替え室の床面に形成され、前記梱包容器を受け取るための受け渡し口と、
前記工程室の階下に設けられた移載室と、
前記受け渡し口を介して前記入れ替え室に対して梱包容器を受け渡すために前記移載室に設けられ、水平に移動する走行車本体と、外部から受け取った梱包容器を保持して昇降する受け渡し機構と、を有する搬送車と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の処理設備は、
互いに横方向に並び、被処理物に対して処理を行って処理物を得るための複数の工程室と、
これら複数の工程室の並びの一方の側面側に当該並びに沿って水平に伸びる物流通路に設けられ、被処理物または処理物を搬送容器に収納して工程室間を搬送する搬送機構と、
前記工程室の階下に設けられた移載室と、
前記工程室の並びの方向に工程室に隣接して設けられ、前記搬送機構から受け取った搬送容器内の処理物を梱包容器に入れ替えて、当該梱包容器を前記移載室に受け渡すための入れ替え室と、
前記入れ替え室の床面に形成され、前記梱包容器を受け渡すための受け渡し口と、
前記入れ替え室における前記物流通路とは反対側の側面側に形成され、当該入れ替え室に作業者が出入りするための作業者用通路と、
前記受け渡し口を介して前記入れ替え室から梱包容器を受け取って外部に搬送するために前記移載室に設けられ、水平に移動する走行車本体と、前記入れ替え室から受け取った梱包容器を保持して昇降する受け渡し機構と、を有する搬送車と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
前記作業者用通路には、前記入れ替え室内で用いられる処理装置の洗浄を行うための洗浄室または機器保管室が接続されていることが好ましい。
前記作業者用通路は、前記工程室に作業者が出入りするための通路を兼用していても良い。
前記入れ替え室は、複数配置されていても良い。
前記受け渡し口は、前記複数の入れ替え室のうちの少なくとも2つの床面に形成されていても良い。
前記洗浄室は、前記工程室及び前記入れ替え室の複数において共有されていることが好ましい。
前記受け渡し口は、前記入れ替え室の床面に代えて、前記作業者用通路の床面に形成されていても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、被処理物に対して処理を行って処理物を得る工程室が複数設けられ、被処理物または処理物を搬送容器に収納して工程室間を搬送する搬送機構が物流通路内に設置された処理設備において、外部に対して被処理物または処理物が収納された梱包容器の受け渡しを行うにあたり、工程室の階下に移載室を配置し、搬送容器と梱包容器との間で被処理物または処理物を入れ替えると共に前記移載室から受け取った被処理物を前記搬送機構に対して受け渡したり、前記搬送機構から受け取った処理物を前記移載室に対して受け渡したりする入れ替え室を工程室の並びに設けて、この入れ替え室の床面に当該入れ替え室と移載室との間において梱包容器の受け取りあるいは払い出しを行うための受け渡し口を形成している。そのため、入れ替え室に作業者が出入りする作業者用通路を当該入れ替え室における物流通路とは反対側の側面側に隣接して配置することができるので、例えば入れ替え室にて使用される処理装置をこの入れ替え室に対して搬送する場合には、作業者用通路を介して作業者により容易に搬送できるし、作業者の昇降を減らして作業性を良くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の処理設備を示す斜視図である。
【図2】上記の処理設備の一例を示す平面図である。
【図3】上記の処理設備を示す縦断面図である。
【図4】上記の処理設備の一部を拡大して示す平面図である。
【図5】上記の処理設備を示す平面図である。
【図6】上記の処理設備に設けられるスタッカークレーンを示す斜視図である。
【図7】上記のスタッカークレーンによる搬送容器の受け渡しに用いられる受け渡し部材を示す斜視図である。
【図8】上記の処理設備の工程室の一例を示す縦断面図である。
【図9】上記の処理設備の工程室の一例を示す縦断面図である。
【図10】上記の処理設備の工程室の一例を示す縦断面図である。
【図11】上記の処理設備の作用の一例を示す側面図である。
【図12】上記の処理設備の作用の一例を示す側面図である。
【図13】上記の処理設備の作用の一例を示す平面図である。
【図14】上記の処理設備の作用の一例を示す側面図である。
【図15】上記の処理設備の作用の一例を示す側面図である。
【図16】上記の処理設備の作用の一例を示す平面図である。
【図17】上記の処理設備の作用の一例を示す平面図である。
【図18】上記の処理設備の作用の一例を示す側面図である。
【図19】上記の処理設備の作用の一例を示す平面図である。
【図20】上記の処理設備の作用の一例を示す側面図である。
【図21】上記の処理設備の他の例を示す平面図である。
【図22】上記の処理設備の工程室の他の例を示す縦断面図である。
【図23】従来の処理設備を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の処理設備について、例えば被処理物である粉体原料から処理物である医薬品の固形製剤(製品)を製造する医薬品製造工場を例に挙げて図1〜図10を参照して説明する。先ず、この工場の要部について図1〜図3を参照して概略的に説明すると、この工場には、被処理物である原料粉末やこの原料粉末から得られた中間生成物及び製品である処理物に対して例えばコンテナなどの搬送容器Cへの充填、保管、秤量、造粒、篩過、錠剤への成形(打錠)、コーティング、検査及び包装などの処理を行うための工程室21が平面的に複数配置された処理フロア1が複数階層例えば4層に亘って積層された処理ステーション7と、処理ステーション7に隣接して設けられ、処理前の粉体原料や処理を終えた後の製品(固形製剤)などの保管対象物が収納された梱包容器Dを貯蔵する保管倉庫2と、これらの処理ステーション7と保管倉庫2との間において梱包容器Dの受け渡しを行う移載室3と、が設けられており、移載室3では処理ステーション7に対して後述の搬送車5により梱包容器Dを下方側から受け渡しできるように構成されている。そして、工程室21の側方側には、作業者が工程室21内に出入りする作業者用通路62が隣接して設けられている。図2及び図3中22は、処理ステーション7と移載室3との間において梱包容器Dの受け渡しを行うための受け渡し口であり、受け渡し口22はこの例では複数箇所例えば3箇所に設けられている。これらの処理ステーション7、保管倉庫2及び移載室3の外側には、図示しない外壁が形成されており、工場の各階層は、例えば床面11により区画されている。また、図2及び図3において、保管倉庫2や移載室3が見えるように、処理ステーション7の一部を切り欠いて描画しており、また工程室21などについては簡略化して描画している。
【0018】
保管倉庫2は、工場内の所定の階層例えば2階に設けられており、上記の梱包容器Dを横並びに且つ上下に亘って棚状に保管するための複数の保管棚4を備えている。これらの保管棚4は、後述の搬送車5が保管棚4、4間を走行して各々の保管棚4にアクセスできるように、例えば互いに離間するように平行に配置されている。この保管倉庫2の階下(1階)には、例えば工場の外部から粉体原料を受け入れたり工場の外部に製品を払い出したりするための入出荷エリア2aが設けられており、保管倉庫2に近接する位置には、例えば1階と2階との間において昇降して粉体原料や製品を受け渡すための図示しないトラバーサーなどの垂直搬送機構が設けられている。粉体原料は、例えば段ボールやセメント袋、あるいはファイバー(紙製)ドラムなどの梱包容器D内に収納された状態で工場の外部から入出荷エリア2aに搬入され、検品などが行われた後、例えばパレットなどの搬送台16上に複数積載されて上記の垂直搬送機構により2階へと持ち上げられ、搬送車5を介して梱包容器Dのまま搬送台16上において保管倉庫2で保管されることになる。また、製品は、梱包容器D内に収納された状態で搬送台16上において保管倉庫2に保管され、上記の垂直搬送機構により1階へと降ろされて出荷されることになる。
【0019】
既述の移載室3は、保管倉庫2と同じ階層例えば2階に設けられており、その一端側が保管倉庫2に接続され、他端側が処理ステーション7の内部領域に入り込むように、2階において既述の受け渡し口22の下方位置までに亘って形成されている。この移載室3の内部雰囲気は、各工程室21内の雰囲気よりも管理レベルが低く、後述の入れ替え室30と同レベルに設定されている。
【0020】
保管棚4、4の間の床面11には、図2に示すように、例えば磁気テープなどの搬送路6が保管棚4と平行に各々敷設されており、これらの搬送路6は、処理ステーション7に向かって水平に伸び出して、例えば保管倉庫2に近接する位置にて1本に合流し、移載室3にて複数本に分岐すると共に、図4に示すように、既述の受け渡し口22の各々の下方位置まで形成されている。また、搬送路6上には、当該搬送路6に沿って水平方向に移動自在に構成された例えばAGF(Auto Guided Forklift)などである搬送車5が複数台設けられており、この搬送車5は、走行車本体5aと、梱包容器Dを積載した搬送台16を昇降自在に保持する受け渡し機構であるフォーク5bと、を備えている。
【0021】
フォーク5bは、後述するように、搬送車5が水平移動する時には下方に縮退し、入れ替え室30及び保管倉庫2に対して梱包容器D(搬送台16)の受け渡しを行う時には上方に伸び出すように構成されている。搬送車5の下面には、搬送路6に沿って移動できるように当該搬送路6を検知する図示しない検知部が設けられている。図4中9は、床面11における搬送車5の停止位置例えば受け渡し口22の下方位置に付設されたマグネットなどのマーカーであり、搬送車5は下面に設けられた図示しないセンサーなどによりマーカー9の位置を読みとり、後述の制御部10の指示によりこのマーカー9の上方において停止して所定の受け渡し動作を行うこととなる。既述の図2では描画を省略しているが、保管倉庫2においても保管棚4に対向する各位置の床面11には、このマーカー9が各々設けられている。この例では、搬送車5が走行する搬送路6は、移載室3にて前記受け渡し口22に向かう本線6aから分岐して後述のスタッカークレーン12の物流通路17に近接する位置まで伸び出しており、スタッカークレーン12との間において搬送容器Cを受け渡しできるように構成されている。尚、搬送車5としては、例えば作業者がマニュアルで運転(操縦)するフォークリフトなどであっても良い。
【0022】
処理ステーション7には、各工程室21間において搬送容器Cを搬送するための搬送路である物流通路17が図2中左右方向(Y方向)に亘って工場の一端側から他端側に向かって直線的に伸びており、この物流通路17は、処理フロア1の下層(1階)から上層(4階)まで上下に亘って床面11を貫通して垂直に形成されている。この物流通路17の長さ方向に沿って両側には、既述の各処理を行うための工程室21が配置されており、これらの工程室21は、複数階層例えば4階に亘って積層されている。これらの工程室21の内部領域については、後で詳述する。
【0023】
物流通路17の床面には、図2、図4及び図5に示すように、物流通路17に沿って水平に敷設されたレール41が設けられており、物流通路17内には、このレール41上を水平に移動自在、搬送容器Cを昇降自在及び物流通路17の両側の工程室21に対して搬送容器Cを進退自在に保持する搬送機構であるスタッカークレーン12が配置されている。このスタッカークレーン12は、図6に示すように、互いに間隔を開けて鉛直方向に伸びる2本の柱部42、42及びこの柱部42、42を上下から支持する基部43、43を備えている。この図5中44及び46は夫々リフト及び車輪であり、スタッカークレーン12がレール41上を走行すると共に、柱部42、42に沿って搬送容器Cを昇降できるように構成されている。このリフト44上には、搬送容器Cを載置するための搬送板45が設置されており、工程室21の並びに対して水平方向に進退自在に構成されている。この図5中28は、スタッカークレーン12と各工程室21との間において搬送容器Cの受け渡しを行うために形成された搬送口であり、例えば開閉扉28aにより開閉自在に構成されている。尚、物流通路17内においてスタッカークレーン12の動作や搬送容器Cの受け渡しに干渉しない位置例えば物流通路17の長さ方向の両側の内壁面には、搬送容器Cを一時的に保管しておくための図示しない中間保管棚が各々設けられており、処理途中の搬送容器Cがスタッカークレーン12によりこの中間保管棚に対して受け渡される。
【0024】
各工程室21内において搬送口28に近接する位置には、工程室21とスタッカークレーン12との間において搬送容器Cの受け渡しを行うための受け渡し機構15が設けられている。この受け渡し機構15は、図7に示すように、例えば搬送容器Cの搬送方向(既述の搬送板45の進退方向)に対して互いに離間して並ぶ2つのコンベア15a、15aから構成されている。これらのコンベア15a、15aの離間距離は、搬送板45の幅寸法よりも大きく且つ搬送容器Cの幅寸法よりも小さく設定されており、搬送容器Cを載置した搬送板45を受け渡し機構15の上方位置に伸張させ、次いで搬送台16を下降させることにより受け渡し機構15に搬送容器Cが引き渡されるように構成されている。受け渡し機構15からスタッカークレーン12が搬送容器Cを受け取る時には、この順番と逆の順序でスタッカークレーン12が動作することとなる。この受け渡し機構15は、搬送板45の進退方向に例えば2つ並んで配置されており、スタッカークレーン12との間において搬送容器Cの受け渡しを行う位置と、工程室21の内部に近接する位置と、の間において搬送容器Cを搬送できるように構成されている。尚、これらの受け渡し機構15は、図示しない支持部材によって床面11よりも高い位置にて支持されている。また、既述の移載室3においてスタッカークレーン12と搬送車5との間において搬送容器Cの受け渡しを行う位置には、上記の受け渡し機構15が設けられている。
【0025】
次に、処理フロア1について3階を例に挙げて既述の図5を参照して説明する。物流通路17に沿って配置された工程室21の列の側面における物流通路17の反対側の面には、工程室21内に作業者が出入りするための作業者用通路62が各々設けられている。この作業者用通路62は、工程室21と同様に内部領域が高い管理レベルに設定されている。図5中29は、各工程室21内に作業者が出入りするためのドアである。尚、作業者用通路62には、当該作業者用通路62を通る作業者が衣服の着替えを行うための図示しない更衣室が接続されている。
【0026】
また、作業者用通路62の側面における工程室21の列とは反対側の面には、工程室21内に設けられた処理装置27に関連する機材例えば集塵機や空調機あるいは配電盤などの機械設備(いずれも図示せず)を設置するための機械室61が各々配置されている。また、例えば図5中手前側の工程室21の列の右端には、工程室21に代えて、各工程室21で使用される上記の処理装置27を洗浄するための共通の洗浄室(あるいは機械室61や工程室21にて用いられる機器を保管するための機器保管室)37が配置されており、処理装置27は、例えば作業者用通路62を介して各工程室21からこの洗浄室37に作業者により搬入され、洗浄された後工程室21に戻されることになる。ここで、洗浄室37にて洗浄する上記の処理装置27としては、処理装置27以外にも、処理の種類に応じて、例えば装置本体や周辺機器あるいは関連設備などの場合もあるが、説明を簡略化するため処理装置27として記載しておく。また、例えば検査を行う工程室21の場合には、洗浄室37にて洗浄される処理装置27としては、検査装置やこの検査装置に関連する周辺機器などとなる。
【0027】
次に、既述の工程室21について図5を参照して詳述する。この工程室21は、内部にて行われる既述の各処理に応じて所定の管理レベルとなるように設定されている。また、各工程室21内には、内部において行われる処理に応じた装置本体や周辺機器などの処理装置27を備えている場合が多く、これらの処理装置27は、例えば下面にキャスターが設けられていたり、あるいは台車上に設置されることにより、各工程室21と洗浄室37との間において作業者が搬送できるように、あるいは複数の工程室21間で搬送して兼用できるように構成されている。
【0028】
また、工程室21の並びの方向(Y方向)に沿うように、梱包容器Dから搬送容器Cに粉体原料を移し替えるための入れ替え室30が設けられており、この入れ替え室30は、例えば工程室21の並びの中央側において互いに隣接するように複数例えば3箇所に設けられている。この入れ替え室30は、粉体原料の移し替えと共に解砕や篩過などの前処理を行う場合もあるし、この前処理を行った後で更に秤量を行う場合もある。この例では、入れ替え室30として、粉体原料の移し替えだけを行う第1の入れ替え室31と、粉体原料の移し替え、篩過及び秤量を行う第2の入れ替え室32と、粉体原料の移し替え、解砕及び秤量を行う第3の入れ替え室33と、が図5中右側からこの順番で配置されている。
【0029】
これらの入れ替え室31〜33について、第2の入れ替え室32を代表して説明すると、第2の入れ替え室32は、スタッカークレーン12の走行方向(図5中Y方向)において、例えば区画壁25によって秤量室34及び前処理室35の2つの部屋に気密に区画されており、これらの秤量室34及び前処理室35の内部雰囲気の管理レベルが後述のように各々個別に設定されている。前処理室35は、移載室3から梱包容器Dを受け取って開梱し、粉体原料に対して篩過処理を行う領域であり、内部雰囲気の管理レベルが工程室21よりも低く設定されている。この前処理室35の床面11には、階下の移載室3に臨むように、既述の受け渡し口22が開口しており、梱包容器Dは、この受け渡し口22を介して搬送車5により下方側(移載室3)から前処理室35に搬入されることになる。
【0030】
秤量室34は、前処理室35にて前処理を行った粉体原料を受け取り、秤量した後で搬送容器C内に収納してスタッカークレーン12に引き渡すための領域であり、内部雰囲気の管理レベルが前処理室35より高く、作業者用通路62や工程室21と同レベルに設定されている。そのため、第2の入れ替え室32には、秤量室34及び前処理室35の内部雰囲気が互いに混じり合わないように上記の区画壁25を介して前処理室35から秤量室34に粉体原料を輸送するために、輸送装置51例えば空気輸送装置が設けられており、前処理室35から秤量室34に粉体原料を輸送するための輸送管52が気密に区画壁25を貫通している。前処理室35及び秤量室34には、この輸送管52の一端側及び他端側と夫々気密に接続されると共に粉体原料を収納するための粉体原料送り出し部53及び粉体原料受け入れ部54が夫々設けられており、粉体原料送り出し部53には当該粉体原料送り出し部53の内部領域を介して輸送管52に向けて清浄な気体例えば空気を送り出すための図示しないブロアなどの送風装置が設けられ、粉体原料受け入れ部54には輸送管52から輸送される粉体原料を空気から分離して回収するための図示しないフィルタなどの粉末回収部が設けられている。粉体原料受け入れ部54にて粉体原料から分離された空気は、例えば秤量室34内の内部雰囲気に接触しないように例えば工場の外部に排出されることになる。
【0031】
次に、前処理室35について詳述すると、図5では描画を省略しているが、図8に示すように、受け渡し口22を介して搬送車5により梱包容器D(搬送台16)が載置される領域には、既述のコンベア15a、15aからなる受け渡し機構15が設けられており、この受け渡し機構15は、例えばスタッカークレーン12の走行方向に直交する方向に2つ配置されている。これらのコンベア15a、15aは、既述の搬送車5のフォーク5bと干渉しないように離間寸法が設定されており、受け渡し機構15における梱包容器D(搬送台16)の載置面に対してフォーク5bを昇降させることにより、この受け渡し機構15との間において梱包容器Dの受け渡しが行われる。図8に示すように、搬送車5との間において梱包容器Dの受け渡しを行うための受け渡し機構15、15間及びこの受け渡し機構15と受け渡し口22との間には、例えば図示しない扉によって開閉される隔壁26が設けられていても良く、この場合には搬送車5が走行する移載室3の雰囲気と、前処理室35内の雰囲気と、が気密に区画されることになる。従って、隔壁26、26及び前処理室35の内壁によって囲まれる領域は、エアロック室をなす。
【0032】
この前処理室35内には、上記の粉体原料送り出し部53と、粉体原料を篩過するための篩過装置(処理装置27)と、が設けられている。また、前処理室35は、既述のように工場の外部の雰囲気に接触した梱包容器Dが搬入されることから、内部雰囲気が作業者用通路62や他の工程室21から区画されると共に、作業者用通路62や他の工程室21よりも低い管理レベルに設定されている。従って、この前処理室35には、作業者用通路62のドア29が設けられておらず、当該前処理室35内に作業者が例えば階下(2階)から出入りするための階段55が設けられている。図4に示すように、前処理室35の階下の2階には、この階段55を介して作業者が前処理室35に出入りするための補助通路56が配置されており、この補助通路56は、内部雰囲気が作業者用通路62よりも低く、前処理室35と同程度の管理レベルに設定されている。また、補助通路56には、作業者用通路62のための更衣室とは別の更衣室(図示せず)が独立して接続されており、作業者が例えば別の工程室21と前処理室35との間において行き来する時には、工程室21と前処理室35との間の雰囲気が互いに混じり合わないように、着替えや手洗いなどが行われることになる。尚、図8については、図を見やすくするために階段55の位置をずらして描画している。後述の図10についても同様である。
【0033】
次に、秤量室34について、図9を参照して説明する。この秤量室34は、内部雰囲気が作業者用通路62や他の工程室21と同程度の管理レベルに設定されており、そのため作業者用通路62には作業者が当該秤量室34に出入りするためのドア29が設けられている。また、秤量室34には、既述の粉体原料受け入れ部54と、例えば作業者がこの粉体原料受け入れ部54から取り出した粉体原料を秤量するための秤量計(処理装置27)と、が設けられている。この処理装置27には、例えば粉体原料を秤量する時に一時的に収納する図示しない秤量容器(関連機器)などが設けられており、この秤量容器や処理装置27は、例えば秤量を終えた後、作業者により例えば台車を用いて作業者用通路62を介して、既述の共通の洗浄室37にあるいは別の秤量室34にて兼用されるために搬送されることになる。
【0034】
秤量室34には、図5に示すように、スタッカークレーン12の物流通路17に開口する搬送口28が2箇所に形成されており、受け渡し機構15についても各々の搬送口28に臨む位置に設けられている。これらの受け渡し機構15、15は、各々例えばスタッカークレーン12によって図示しない保管場所から空の搬送容器Cを搬入する領域及び秤量室34において秤量した粉体原料が充填された搬送容器Cをスタッカークレーン12により秤量室34から運び出すための領域であり、この例では例えば前処理室35に近接する受け渡し機構15上の搬送容器Cに粉体原料が充填されて搬出され、前処理室35から離れた受け渡し機構15に空の搬送容器Cが搬入されるように構成されている。これらの受け渡し機構15、15は、図9に示すようにスタッカークレーン12の走行方向に直交する方向に各々2つ配置されている。尚、図9に示したように、粉体原料受け入れ部54及び処理装置27が設けられた領域と作業者用通路62に近接する領域との間に隔壁26を設けておき、これらの領域同士を区画するようにしても良い。また、第2の入れ替え室32の下層側には、所定の処理を行う工程室21が配置されているが、図8及び図9では描画を省略している。
【0035】
既述の第3の入れ替え室33は、上記の第2の入れ替え室32と概略同じ構成であり、前処理室35には処理装置27として篩過装置に代えて、解砕装置例えばミルやホッパーなどが設けられている。また、第1の入れ替え室31は、図10にも示すように、前処理や秤量を行わずに梱包容器Dから搬送容器Cに粉体原料を入れ替えるための領域であり、3階の床面11には受け渡し口22が形成され、またスタッカークレーン12の物流通路17に開口する搬送口28が2箇所に形成されている。この第1の入れ替え室31には、作業者は補助通路56から伸びる階段55を介して出入りすることになる。この第1の入れ替え室31は、階下(2階)にも配置されており、当該2階の第1の入れ替え室31には搬送車5により側方側から梱包容器Dが搬入されることになる。この2階の第1の入れ替え室31の側面には、作業者が既述の補助通路56から第1の入れ替え室31に出入りするためのドア29が形成されている。この図10中27は処理装置である。
【0036】
上記の工程室21、作業者用通路62及び機械室61が配置された処理フロア1は、移載室3が配置された領域以外では各々の階層において同様にレイアウトされており、所定の処理が行われるように各工程室21が配置されている。床面11に既述の受け渡し口22が形成された入れ替え室30については、移載室3の階上(3階)にだけ配置されている。
【0037】
この工場は、図5に示すように、スタッカークレーン12及び搬送車5の搬送動作を制御する制御部10を備えている。この制御部10は、CPU、メモリ及びプログラム格納部を備えており、被処理物に対して処理を行って処理物が得られるように、工場の各部(搬送車5やスタッカークレーン12)に対して制御信号を出力するように構成されている。このプログラム格納部内に格納されるプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスクあるいはメモリーカードなどの図示しない記憶媒体から制御部10にインストールされる。
【0038】
次に、この工場の作用について図11〜図20を参照して説明する。既述のように、粉体原料は梱包容器D内に充填された状態で入出荷エリア2aから工場内に搬入され、検品などが行われた後、図示しない垂直搬送機構により2階に持ち上げられて搬送台16上において保管倉庫2に保管されている。そして、例えば制御部10の指示により、搬送車5が所定の粉体原料が保管された保管棚4に臨む位置まで搬送路6に沿って移動し、床面11に形成されたマーカー9を検出すると、搬送車5は所定の受け渡し動作を行う。具体的には、先ずフォーク5bが保管棚4に相対向するように搬送車5がその向きを変え、例えばフォーク5bを搬送台16よりも僅かに下方位置に位置させて搬送台16に向かって前進し、次いで搬送台16を下方側からフォーク5bにより持ち上げる。続いて搬送車5は後退して処理ステーション7側にその向きを変えて、搬送路6に沿って受け渡し口22に向かって走行していく。
【0039】
一方、既述の入れ替え室30例えば第2の入れ替え室32においては、図11に示すように作業者が作業者用通路62を介して秤量室34内に入室すると共に、図12に示すように、別の作業者が補助通路56及び階段55を介して前処理室35内に入室する。また、この図12に示すように、搬送車5が受け渡し口22の下方位置においてマーカー9を検出すると停止して、以下の搬送動作を行う。先ず、搬送車5は、図13に示すように、受け渡し口22を介してフォーク5bを上方に伸張させ、図14に示すように、例えば隔壁26の開口部を介して前処理室35内に梱包容器Dを搬送台16と共に搬入し、受け渡し機構15上に載置する。この梱包容器Dは、図15に示すように、受け渡し機構15、15により作業者が梱包容器Dを取り出せる位置まで移動する。また、搬送車5はフォーク5bを2階に縮退させて、続く搬送を行うために搬送路6に沿って移動していく。作業者は、この梱包容器Dから粉体原料を取り出して、処理装置27(篩過装置)を用いて篩過処理を行い、処理済みの粉体原料を粉体原料送り出し部53に収納する。粉体原料が取り出された後の梱包容器Dは、例えば搬送車5により受け渡し口22を介して前処理室35から搬出され、図示しない廃棄部に搬送される。
【0040】
秤量室34では、図16に示すように、スタッカークレーン12により例えば図示しない保管場所から空の搬送容器Cが搬入が搬入され、例えば前処理室35から離れた受け渡し機構15上に載置される。作業者は、この搬送容器Cを前処理室35に近接する受け渡し機構15に移動させる。そして、図17に示すように、粉体原料送り出し部53から輸送管52を介して粉体原料受け入れ部54に粉体原料を輸送する。次いで、図18に示すように、作業者は秤量室34において粉体原料受け入れ部54から粉体原料を取り出して処理装置27(秤量計)を用いてその重量を量り、受け渡し機構15上の搬送容器C内に収納する。所定の重量の粉体原料の収納が完了すると、図19に示すように、スタッカークレーン12により搬送容器Cが物流通路17に搬出され、次の処理を行う工程室21に搬送されていく。
【0041】
秤量室34では、例えば処理を行うことにより処理装置27などが汚れた場合には、あるいは別の秤量室34で処理装置27を兼用する場合には、図20に示すように、例えば台車60にこの処理装置27などを移載し、作業者用通路62を介して作業者により共通の洗浄室37や別の秤量室34に搬送する。
【0042】
一方、例えば粉体原料や処理の種別によっては、梱包容器Dは例えば第3の入れ替え室33に搬入されて篩過処理に代えて解砕処理が行われ、あるいは第1の入れ替え室31に搬入されてこれらの前処理や秤量が行われずに粉体原料の入れ替えだけが行われることになる。そして、粉体原料は搬送容器C内に収納された状態で搬送されて各処理が行われることにより、製品となるまで処理が行われていく。
【0043】
上述の実施の形態によれば、被処理物や処理物を搬送容器C内に収納してスタッカークレーン12により搬送し、物流通路17に沿って複数配置された工程室21で処理を行う工場において、工場の外部から梱包容器Dが搬入される入れ替え室30を工程室21の並びに配置すると共に、入れ替え室30の床面11に受け渡し口22を形成し、搬送車5により下の階から受け渡し口22を介して入れ替え室30に梱包容器Dを搬入しているので、入れ替え室30に作業者が出入りする作業者用通路62を当該入れ替え室30に隣接して側方側に設けることができる。そのため、例えば処理装置27などを入れ替え室30に対して搬送する場合には、この処理装置27が重量物であっても台車60を用いて作業者により作業者用通路62を介して簡便に搬送できるので、共通の洗浄室37に搬送するためあるいは複数の入れ替え室30にて処理装置27を兼用するために作業者により容易に搬送できる。また、秤量室34に隣接して作業者用通路62を配置することにより、当該秤量室34に作業者が出入りする際の昇降をなくすことができるので、作業性を高めることができる。
【0044】
また、保管倉庫2から工程室21に粉体原料を搬送するにあたり、保管倉庫2と工程室21との間にいわば緩衝エリアとして入れ替え室30を設けることによって、梱包容器Dを介したコンタミを抑えることができる。更に、入れ替え室30として管理レベルが高い領域(秤量室34)と秤量室34よりも管理レベルが低い領域(前処理室35)とが配置されている場合には、前処理室35に作業者が出入りする補助通路56を入れ替え室30の階下に配置し、秤量室34に作業者が出入りする通路を秤量室34と同じフロアに設けることにより、秤量室34に作業者が出入りする通路として作業者用通路62を利用することができるので、つまり秤量室34と他の工程室21との通路を共通化できるので、工場の建設面積を抑えることができる。
【0045】
また、搬送車5により受け渡し口22を介して梱包容器Dを受け渡すことにより、人の動線(作業者用通路62)と物の動線(物流通路17や移載室3)とを分けることができるので、作業者と搬送車5やスタッカークレーン12との衝突を防ぐことができるし、また作業者による梱包容器Dや搬送容器Cあるいはこれらの容器C、D内の被処理物や処理物への干渉を抑えることができる。更に、搬送車5により入れ替え室30内に梱包容器Dを直接搬入することにより、作業者が手作業で重量物である梱包容器Dを搬送しなくて済むし、コンタミの発生を抑えることができる。
【0046】
更に、梱包容器Dを垂直に昇降可能に保持すると共に水平移動可能な搬送車5により梱包容器Dを搬送することによって、昇降装置と水平搬送装置とを別々に設けなくて済むし、また受け渡し口22が複数形成されている場合には、各々の受け渡し口22毎に個別に昇降装置を設けなくて済むので、即ち複数の受け渡し口22で搬送車5を共有できるので、工場の建設費用を抑えることができる。
【0047】
上記の例では、入れ替え室30に作業者が出入りする通路(作業者用通路62及び補助通路56)のうち作業者用通路62を入れ替え室30と同じ3階のフロアに配置し、補助通路56を階下の2階のフロアに配置したが、補助通路56を3階に配置して秤量室34に出入りする作業者用通路62を階下に配置しても良い。この場合には、補助通路56は他の工程室21に接続される3階の作業者用通路62とは区画され、補助通路56から出入りできる共通の洗浄室37が配置されることになる。更に、入れ替え室30として前処理や粉体原料の秤量を行う第2の入れ替え室32や第3の入れ替え室33を設けたが、第1の入れ替え室31だけを複数配置しても良く、この場合には補助通路56は第1の入れ替え室31と同じフロアに配置されると共に作業者用通路62とは区画され、共通の洗浄室37が別途配置されることになる。補助通路56を3階に配置する場合には、受け渡し口22を入れ替え室30に形成せずに、例えば図21に示すように、当該補助通路56に形成して、受け渡し口22から搬入された梱包容器Dを作業者により入れ替え室30内に搬送しても良い。
【0048】
つまり、受け渡し口22を管理レベルの高い雰囲気(前処理室35や第1の入れ替え室31以外の工程室21や作業者用通路62)とは区画された領域(前処理室35、第1の入れ替え室31または補助通路56)に形成すれば良いが、受け渡し口22が作業者の通行の妨げとなったり、作業者によって重量物である梱包容器Dの搬送を行うことが困難であったりする場合には、既述のように受け渡し口22を入れ替え室30内に形成することが好ましい。更に、入れ替え室30としては、複数配置された工程室21の並びに1つ以上配置し、入れ替え室30の少なくとも1つについて床面11に受け渡し口22を形成すると共に、側方側に当該入れ替え室30に作業者が出入りする通路を形成すれば良い。尚、図21については入れ替え室30などを簡略化して描画している。
【0049】
また、上記の例では、粉体原料を工場内に搬入する場合について説明したが、この工場には、例えば各処理が終了した製品を搬送容器Cから取り出して出荷用の梱包容器D内に梱包する最終工程を行う管理レベルが高い入れ替え室30が設けられており、この入れ替え室30についても、両側面がスタッカークレーン12の物流通路17及び作業者用通路62の各々に接するように、また移載室3の階上の3階に位置するように配置し、更に床面11には移載室3に向かって開口する受け渡し口22を形成しても良い。その場合には、スタッカークレーン12により製品が収納された搬送容器Cが当該入れ替え室30に搬入され、この入れ替え室30の側方側に設けられた作業者用通路62から入室した作業者により製品が梱包容器Dに移し替えられる。そして、製品が収納された梱包容器Dは、作業者により搬送台16上に積載されて、搬送車5により下方側から受け渡し口22を介して取り出されて保管棚4に保管されることになる。この入れ替え室30においても、同様に梱包に用いる処理装置27が汚れた場合には、あるいは別の入れ替え室30で処理装置27を共用する場合には、例えば台車を用いて作業者により共通の洗浄室37に搬送されて洗浄されることになる。
【0050】
更に、処理の途中で処理物である中間生成物を例えば梱包容器Dに一時的に貯蔵することによって例えば化学反応、養生あるいは熟成などを行う場合には、この中間生成物を搬送容器Cから梱包容器Dに入れ替える入れ替え室30についても、同様に工程室21の並びに沿って移載室3の階上の3階に配置し、また作業者用通路62を側方側に配置すると共に床面11に受け渡し口22を形成しても良い。
【0051】
また、各入れ替え室30を1つのフロアに設けるようにしたが、例えば搬送容器Cが大型の場合には、上下2つの階層に亘って一つの入れ替え室30を配置しても良い。このような例について、既述の第1の入れ替え室31を例に挙げて図22を参照して説明すると、第1の入れ替え室31は、床面11により上層区域70と下層区域71とに区画されており、各々の領域70、71にはスタッカークレーン12の物流通路17に開口する搬送口28が形成されている。上層区域70には既述の処理装置27や受け渡し機構15が設けられており、上層区域70と下層区域71との間の床面11には大型の搬送容器Cが昇降する開口部72が形成されている。また、下層区域71には、上層区域70において作業者が搬送容器C内に上方側から粉体原料を投入できる投入位置と、スタッカークレーン12に搬送容器Cを受け渡す搬送位置と、の間において開口部72を介して搬送容器Cを昇降させるためのバーチカルリフターなどの垂直搬送機構73が設けられており、下層区域71における垂直搬送機構73と搬送口28との間には受け渡し機構15が設けられている。
【0052】
そして、例えば上層区域70にスタッカークレーン12により搬入された空の搬送容器Cは、受け渡し機構15を介して垂直搬送機構73に受け渡され、投入位置まで下降し、粉体原料が投入される。次いで、受け渡し口22を介して上層区域70に搬入された梱包容器Dから取り出された粉体原料の投入が終了すると、搬送容器Cは搬送位置まで下降し、受け渡し機構15を介してスタッカークレーン12により搬出されていくことになる。この場合においても、同様に作業者は側方側の補助通路56を介して当該入れ替え室30に出入りし、また処理装置27は補助通路56を介して共通の洗浄室37に搬送されて洗浄されることになる。
【0053】
また、物流通路17において搬送容器Cを搬送する搬送機構としては、スタッカークレーン12に限られず、例えば工程室21が1つのフロアだけに配置されている場合には、あるいは床面11により物流通路17を各階に区画して各々のフロアに個別に搬送機構を設ける場合には、例えばコンベアなどの水平搬送機構でも良い。更に、物流通路17の両側に工程室21を配置したが、一方側の側面だけに工程室21を配置しても良い。更にまた、保管棚4に搬送車5が直接アクセスできるように搬送路6を引き回したが、保管倉庫2にスタッカークレーン12を配置して、このスタッカークレーン12と搬送車5との間において梱包容器Dを受け渡し、スタッカークレーン12により保管棚4に対して梱包容器Dの受け渡しを行っても良い。
【0054】
上記の例では固形製剤を製造する医薬品工場を例に本発明について説明したが、例えばこのような固形製剤以外にも、被処理物に対して処理を行う工程室21が複数設けられた処理設備例えば食品、化学品を製造する工場などに本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0055】
C 搬送容器
D 梱包容器
1 処理フロア
2 保管倉庫
3 移載室
5 搬送車
12 スタッカークレーン
17 物流通路
21 工程室
22 受け渡し口
30 入れ替え室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに横方向に並び、被処理物に対して処理を行って処理物を得るための複数の工程室と、
これら複数の工程室の並びの一方の側面側に当該並びに沿って水平に伸びる物流通路に設けられ、被処理物または処理物を搬送容器に収納して工程室間を搬送する搬送機構と、
前記工程室の並びの方向に工程室に隣接して設けられ、被処理物を梱包容器から搬送容器に入れ替えて、当該搬送容器を前記搬送機構に受け渡すための入れ替え室と、
前記入れ替え室における前記物流通路とは反対側の側面側に形成され、当該入れ替え室に作業者が出入りするための作業者用通路と、
前記入れ替え室の床面に形成され、前記梱包容器を受け取るための受け渡し口と、
前記工程室の階下に設けられた移載室と、
前記受け渡し口を介して前記入れ替え室に対して梱包容器を受け渡すために前記移載室に設けられ、水平に移動する走行車本体と、外部から受け取った梱包容器を保持して昇降する受け渡し機構と、を有する搬送車と、を備えたことを特徴とする処理設備。
【請求項2】
互いに横方向に並び、被処理物に対して処理を行って処理物を得るための複数の工程室と、
これら複数の工程室の並びの一方の側面側に当該並びに沿って水平に伸びる物流通路に設けられ、被処理物または処理物を搬送容器に収納して工程室間を搬送する搬送機構と、
前記工程室の階下に設けられた移載室と、
前記工程室の並びの方向に工程室に隣接して設けられ、前記搬送機構から受け取った搬送容器内の処理物を梱包容器に入れ替えて、当該梱包容器を前記移載室に受け渡すための入れ替え室と、
前記入れ替え室の床面に形成され、前記梱包容器を受け渡すための受け渡し口と、
前記入れ替え室における前記物流通路とは反対側の側面側に形成され、当該入れ替え室に作業者が出入りするための作業者用通路と、
前記受け渡し口を介して前記入れ替え室から梱包容器を受け取って外部に搬送するために前記移載室に設けられ、水平に移動する走行車本体と、前記入れ替え室から受け取った梱包容器を保持して昇降する受け渡し機構と、を有する搬送車と、を備えたことを特徴とする処理設備。
【請求項3】
前記作業者用通路には、前記入れ替え室内で用いられる処理装置の洗浄を行うための洗浄室が接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の処理設備。
【請求項4】
前記作業者用通路は、前記工程室に作業者が出入りするための通路を兼用していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の処理設備。
【請求項5】
前記入れ替え室は、複数配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の処理設備。
【請求項6】
前記受け渡し口は、前記複数の入れ替え室のうちの少なくとも2つの床面に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の処理設備。
【請求項7】
前記洗浄室は、前記工程室及び前記入れ替え室の複数において共有されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の処理設備。
【請求項8】
前記受け渡し口は、前記入れ替え室の床面に代えて、前記作業者用通路の床面に形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の処理設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2010−256996(P2010−256996A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103312(P2009−103312)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000004411)日揮株式会社 (94)
【Fターム(参考)】