説明

函の反転搬出装置

【課題】 主としてびんなどの大きな落ち物のために高速化が損なわれたり、落ち物の監視や処理のための人手が要らない函の反転搬出装置を提供する。
【解決手段】 上向きで受け入れた函1を上下反転させて搬出コンベア13で下向きに受載し搬出するのに、函1が下向きに反転される際、また反転された際に残留物などが函1から落ち、または分離する落ち物14を搬出コンベア13の函1の搬送経路15から除去する落ち物除去手段16を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、函を上向きから下向きに反転させて取り扱うのに適した函の反転搬出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば通い函をリターナブルに取り扱うのに、回収した図9、図10に示すような函1から空びんを取り出し、空になった函を上下反転して付着ゴミ類の除去に供した後、函を再度上下反転してラベル剥がしや内外面の洗浄に供し、乾燥後に充填びんを挿入するといった一連の作業が自動的に遂行される。
【0003】
従来、函を上下に反転させるのに次のようなものが知られている。函を搬送しながらガイドやプッシャにより側方へ転落ないしは自然落下させて上下の反転を図り受け止めるいわば自然反転方法。180°往復弧回動する反転アームによって函を支持し、一方側から他方側へ弧回動して反転させるようにしたもの(例えば、特許文献1を参照。)。コンベアにて搬送している函を、コンベアの両側に位置した反転ターレットが放射状のポケットに受け入れて回転することで、180°反転させた状態でコンベアに戻せるようにしたもの(例えば、特許文献2を参照。)。上向きに折り返した搬送経路によって函を搬送しながら180°反転させるようにしたもの(例えば、特許文献3、4を参照。)。
【0004】
しかし、自然反転方式では函の反転が確実とはいえない。特に、上向きに反転させる下向きの反転対象面の側に重心が偏っているような函を確率よく反転させるのは困難である。例えば、ビールびんを収容する中仕切り付きの樹脂製ケースのように、底面が反転対象面となるときの図9、図10に示すような函1の反転がそれに当る。この種の函1は底部1aが各種形状の穴5を持ったすの子状、格子状になっているものの、充填びんの重量に十分に耐える頑強な重量部となっている上、前記中仕切り1bが底部1a側に形成され、周壁1cの開口1d側には取手2用の窓1eが設けられているので、図3に黒点Gで示すように函1の全体としての重心Gは底部1a側に偏っている。このような函1をその下向きの底面を反転対象面として受載面上へ転落ないしは自然落下させても、その函1が受載面への初期接地点に対して重心Gが反転側に越えるか、慣性によって越えられるまで傾くことの保証がなく、傾きやその勢いの不足のために函1が起き上がって非反転となりやすい。
【0005】
このような反転の不確かさは、非反転の函を処理する労力またはおよび機構が必要になる上、非反転の函の処理が全体の流れを止めたり、遅らせたりし、また、反転函の次への供給不足にもなるので、通い函による空き瓶の回収から充填瓶の再出荷までを一連に繋げたラインで処理する全体に影響し、稼働率、生産性の低下の原因となる。
【0006】
一方、特許文献1〜4が開示しているものは、いずれも、函の反転はほぼ確実に行える。しかし、特許文献1、2が開示しているものは反転が間欠動作になるので、高速化の妨げになる。また、函の反転中心を函の外側に持つため反転の最大スイング径が大きく、装置がかさ張るので近時の省スペース化の要求に応えにくい。特許文献3、4が開示しているものは、函を折り返し経路に沿って搬送するので連続搬送を妨げないが、反転の最大スイング径はさらに大きく、しかもその外側にもコンベアが位置するので、装置がさらに大きく、かつ、複雑なものとなり、省スペース化にさらに不利であるとともにコスト高にもなる。
【0007】
これらに対し、本発明者は省スペース化、省力化、低コスト化、十分な耐久性を満足して、函を連続的に高速で確実に上下に反転させられる函の反転方法および装置の開発を続け、函を拘束し切らない準自然方式にて確度よく反転させられる簡単かつ小型な装置を実現している。
【0008】
さらに、本発明者は函の反転不良による労力や生産性への影響を軽減し、またはおよび函の反転不良のウオッチングに好適な函の反転装置として、図1に示す本発明の実施の形態の函の反転搬出装置が一部に採用している函の反転装置を先に提案している。
【特許文献1】特開平06−007758号公報
【特許文献2】特開平08−133232号公報
【特許文献3】特開平11−079149号公報
【特許文献4】特開平10−167455号公報
【特許文献5】特開平08−258956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
いずれの方式で函を反転させるにしても、上向きで受け入れた函を下向きに反転させて搬出し取り扱うような場合、函が反転される際や反転された際に函から搬出コンベア上に落ち、または分離する落ち物がときとして生じる。リターナブルなびんを収容して取り扱う通い函の場合では、逆さに入れられたりしてびん口が所定位置にないびんや、こじれたり、異種びんなどのようにポケット内に固く嵌まったびんなどが、アンケーサによって抜き取られずに残っていることがときとしてある。これらのびんは函が上向きから下向きに反転される際や、反転された際に自重で函から搬出コンベア上に落ちたりする。このようなびんはかさ高で搬出コンベア上で函と混在すると、反転後の函を搬出したり、次の取り扱いをする際の詰まりの原因や取り扱いの邪魔になったりする。また、通い函は長期に放置されることが多く、びん以外の空き箱、空き缶、紙くず、粗ゴミなど思いもよらない異物が入っていることがあり、これらも落ち物となって函の搬出を阻害する。また、小さなゴミや異物などでも落ち物になると、搬出コンベアの各所に侵入したり、噛み込んだり、付着したり、堆積したりして搬出機能を損なったりすることがあり、高速化の妨げになったり監視や処理などのための人手を必要とする問題がある。
【0010】
本発明の目的は、主としてびんなどの大きな落ち物のために高速化が損なわれたり、落ち物の監視や処理のための人手が要らない函の反転搬出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するために、本発明の函の反転搬出装置は、上向きで受け入れた函を上下反転させて搬出コンベアで下向きに受載し搬出する函の反転搬出装置であって、函が下向きに反転される際、また反転された際に残留物などが函から搬出コンベア上に落ち、または分離する落ち物を搬出コンベアの函の搬送面から除去する落ち物除去手段を備えたことを1つの特徴としている。
【0012】
このような構成では、上向きで受け入れた函を下向きに上下反転させて搬出コンベアで受載し搬出して各種の取り扱いに供するのに、函が下向きに反転される際、また反転された際に残留物などが函から搬出コンベア上に落ち、または分離する落ち物が、反転した函とともに搬出コンベア上に落ちても、落ち物除去手段を有してそのような落ち物を搬出コンベアの搬送面から除去する。
【0013】
本発明の函の反転搬出装置は、また、上向きで受け入れた函を上下反転させて搬出コンベアで下向きに受載し搬出する函の反転搬出装置であって、函が下向きに反転される際、また反転された際に函から残留物などが落ち、または分離する落ち物を搬出コンベアの函の搬送面から除去する落ち物除去手段と、反転される函を搬出コンベアの函の搬送経路に案内するガイド手段と、を設けたことを別の特徴としている。
【0014】
このような構成では、上向きで受け入れた函を下向きに上下反転させて搬出コンベアで受載し搬出して各種の取り扱いに供するのに、函が下向きに反転される際、また反転された際に残留物などが函から搬出コンベア上に落ち、または分離する落ち物が、反転した函とともに搬出コンベア上に落ちても、落ち物除去手段を有してそのような落ち物を搬出コンベアの搬送面から除去する。また、ガイド手段を有して反転される函については、受載位置が不確かな場合を含めて搬出コンベアの函の搬送経路に案内する。
【0015】
落ち物除去手段が、搬送面幅を函の搬送幅とほぼ同等かそれ以下とした搬出コンベアの搬送経路を搬送面の側方下部に開放して、落ち物を搬送面の側方下に落下させる落ち物落下部としている、さらなる構成では、
単純な構成で、びんや空き缶などの大きく転がりやすい落ち物は特に、搬出コンベアの搬送機能も手伝って、落ち物落下部を通じ搬送面の側方下へ転がり落としたりバランスを崩させてずれ落したりして除去させやすい。しかも、落ち物除去手段が落ち物を搬出コンベア上に受載した函に影響なく落ち物落下部へ向け吹き落したり掃き落したりするアクティブな除去機能を付帯するとき、除去はより迅速かつ確実に行えるし、落ち物が小さく軽量な場合に有効である。
【0016】
落ち物除去手段が、前記落ち物落下部に、搬出コンベアの搬送面のほぼ側縁部から側方下部に向かって傾斜するガイド面を設けている、さらなる構成では、
落ち物落下部を通じ落ち物を搬出コンベアの搬送面の側方下へ落すのに、ガイド面の案内によって搬出コンベアの搬送面から離れた側方位置に導ける。
【0017】
落ち物除去手段が、第1の搬出コンベアに、函の搬送幅とほぼ同等かそれ以下の搬送面を持って続く第2の搬出コンベアによる、第1の搬出コンベアに対する搬送面省略域をなして落ち物を落下させる、さらなる構成では、
搬送面幅の大きな第1の搬出コンベアに搬送面幅の小さな第2の搬出コンベアを続かせるだけの簡単な構成で、第2の搬出コンベアが第1の搬出コンベアに対して生じる搬送面省略域を通じて、第1の搬出コンベアから送りつけられる落ち物を落下せて除去させられる。
【0018】
落ち物除去手段が、搬出コンベアの搬送面に設けた落ち物を落下させる目または隙間をなしている、さらなる構成では、
これら目または隙間を通る大きさの落ち物を、搬出コンベアのどの搬送位置にても落下させて除去することができ、函が下向きに反転して搬出コンベアに受載されるときに函に覆われる状態で落ちる落ち物にも対応できる。
【0019】
函を、その上向きに反転させる下向きの反転対象面とこれに隣接する1つの隣接面とを左右で支持するように搬送経路に受け入れ、少なくとも左右一方の支持部で函に搬送力を及ぼしてその函を搬送しながら、搬送方向下流側に向けた左右の支持部の位置関係の変化により前記搬送している函に反転対象面が起き上がり、かつ、反転側への慣性を持つか、反転側に傾くひねりを与えて、反転対象面が上向きになるように搬出コンベアの搬送面へ落下させる反転コンベアを備えた、さらなる構成では、
函をその上向きに反転させる下向きの反転対象面とこれに隣接する1つの隣接面とに跨った左右で支持するように搬送経路に受け入れることで、函をその重心の両側にて受載し安定に支持することができる。これら反転対象面と隣接面との少なくとも左右一方の支持部自体で函に搬送力を及ぼすことにより、かさ張りや大型化することなく函を順次連続して受載搬送することができる。この受載搬送の過程における搬送方向下流側に向けた左右の支持部の位置関係の変化で、搬送している函に反転対象面が起き上がり、かつ、反転側への慣性を持つか、反転側に傾く程度のひねりを、搬送力を及ぼしている支持部との摩擦や連続搬送への影響なしに、また、函の重心の反転対象面側への偏りの有無にかかわらず与えられ、これによって、函を反転対象面が上向きになるように搬出コンベア上へ落下させて確実に上下反転させることができ、特に、函が搬出コンベア上に下向きで落下するときの叩き付けや跳び跳ね振動などによりなお残留していた残留物を落下させたり、分離させたりすることができる。
【0020】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、可能な限りそれ単独で、あるいは種々な組合せで複合して採用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の函の反転搬出装置の1つの特徴によれば、函を下向きに上下反転させて搬出し各種の取り扱いに供するのに、函からの落ち物が函とともに搬出コンベア上に落ちてもそれを搬出コンベアの搬送面から除去して函の搬出やその後の函の取り扱いを邪魔することはなく、高速化の妨げにならないし、落ち物の監視や処理のための人でを省略することができる。
【0022】
本発明の函の反転搬出装置の別の特徴にれば、1つの特徴の場合に加え、さらに、反転される函は受載位置が不確かな場合を含めて搬送経路に案内して、安全かつ確実に搬出されるようにし、また、これによって、落ち物除去手段の設計自由度を高められる。
【0023】
函を搬送しながら、搬送方向下流側に向けた左右の支持部の位置関係の変化により前記搬送している函に反転対象面が起き上がり、かつ、反転側への慣性を持つか、反転側に傾くひねりを与えて、反転対象面が上向きになるように搬出コンベアの搬送面へ落下させる反転コンベアを備えた、さらなる構成によれば、
かさ張りや大型化することなく函を順次連続して受載搬送しながら、函の重心の反転対象面側への偏りの有無にかかわらず反転側への慣性を持つか、反転側に傾く程度のひねりを与えて搬出コンベア上へ落下させ確実に上下反転させられ、特に、函が搬出コンベア上に下向きで落下するときの叩き付けや跳び跳ね振動などによりなお残留していた残留物を落下させたり、分離させたりすることができ、落ち物除去手段の形態によってはそれを除去でき、また、それ以降もなお残存して充填機などでの次の取り扱いの邪魔になったり、取り扱いを損ねたりするようなことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係る函の反転搬出装置の実施の形態につき、図1〜図8を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載内容を限定するものではない。
【0025】
本実施の形態では既述したビールびんの樹脂ケースである図9、図10に示すような函1を取り扱い、アンケーサ処理された上向きの函1を図1に示すように上下反転部11に受け入れて下向きに反転させ、次の処理部12へ搬出して付着などしている異物落しに供し、異物落し後の下向きの函1を再度反転させて上向きに戻し、充填びんのインケーサ処理に供して出荷されるようにする場合の一例で、上下反転部11にて図4(a)に示すように上向きで受け入れた函1を図4(b)(c)、図5(a)(b)に示すように上下反転させて、図5(b)に示すように搬出コンベア13で下向きに受載し図1に示すように処理部12に向け搬出するのに、函1が上下反転部11で反転される際、また反転された際に搬出コンベア13上へ落ち、または分離するびんなどの落ち物14を、搬出コンベア13の函1の搬送面13aから除去する落ち物除去手段16を設けている。搬出コンベア13は例えばベルトコンベアである。しかし、これに限られることはない。
【0026】
これにより、上向きで受け入れた函1を下向きに上下反転させて搬出コンベア13で受載し搬出して処理部12などでの各種の取り扱いに供するのに、函1が下向きに反転される際、また反転された際に残留物などが函1から落ち、または分離する落ち物14が、反転した函1とともに搬出コンベア13上に落ちても、落ち物除去手段16を有してそのような落ち物14を搬出コンベア13の搬送面13aから除去することができる。従って、函1を下向きに上下反転させて搬出し各種の取り扱いに供するのに、函1からの落ち物14が函1とともに搬出コンベア13上に落ちてもそれを搬出コンベア13の搬送面13aから除去して函1の搬出やその後の函1の取り扱いを邪魔することはない。
【0027】
これに併せ、本実施の形態の反転搬出装置は、前記のように上下反転部11で反転される函1を搬出コンベア13の函1の搬送経路15に案内するガイド手段17をも設けている。これにより、反転される函1については、搬出コンベア13への受載位置が不確かな場合を含めて搬出コンベア13の函1の搬送経路15に案内することができる。従って、下向きに上下反転させた函1を安全かつ確実に搬出されるようにし、また、これによって、函1の搬出に不安なく落ち物14を除去効率を高められるなど落ち物除去手段16の設計自由度を高められる。
【0028】
図1〜図6に示す例での落ち物除去手段16は、搬送コンベア13の搬送面13aの幅Wを函1の搬送幅W1とほぼ同等かそれ以下として、その搬出コンベア13の搬送経路15の側方を搬送面13aの側方下部に開放し、落ち物14を搬送面13aの側方下に落下させる落ち物落下部21としている。このように単純な構成でも、びんや空き缶などの大きく転がりやすい落ち物14は特に、搬出コンベア13の搬送機能も手伝って、落ち物落下部21を通じ搬送経路15の側方へ跳ね落したり、転がり落としたり、バランスを崩させてずれ落したりして除去させやすい。しかも、落ち物除去手段16が落ち物14を落ち物落下部21へ向け函1の搬出に影響ない程度に吹き落したり、掃き落したりするアクティブな除去機能を付帯するとき、除去はより迅速かつ確実に行えるし、落ち物14が小さく軽量な場合に特に有効である。なお、ほぼ同等とは少し大きくても、小さくてもよいことを意味し、小さい側は搬送する函1が落下しないことを条件に、小さくした範囲で落ち物の落下効果が高められ、搬送する函のサイドをガイドすればかなり小さくすることができる。
【0029】
ここで、ガイド手段17は図6に示すように搬出コンベア13に受載した函1が側方へ脱落させず、処理部12に向け確実に搬出できるようにすればよく、図1、図6(a)に示すような板状の左右ガイド17a、17bと、函1の反転落下部に限ったサイドガイド17cで十分である上、図1、図6に示すように函1の高さの違いに対応する高さ範囲に設けるにしても、落ち物除去手段16としての落ち物落下部21の側方への開放高さHを図6に示すように大きく取る自由度が得られ、びんなどの大きな落ち物14を引っ掛かり無く十分に落下させ除去させられる。仮にびんが立っていてガイド手段17に引っ掛かるにしても搬出コンベア13の搬送動作も手伝って立っているびんをほとんどの場合転倒させることになるので除去できる。ガイド手段17は板状のガイドに代えて、図1、図6(a)に仮想線で示すような複数のバー状ガイド17dを採用すると、ガイド手段17と反転され落下する函1との間で万一にも落ち物14が引っ掛かって不具合を生じるようなことを防止しやすい。
【0030】
もっとも、左右ガイド17aと17bまたは17cとは函1の搬出コンベア13への反転しながらの着地を邪魔しないことへの配慮から、図1、図4(c)、図6(a)(b)に示すように函1の受載位置側となる上流側の間隔Bを搬送面13aの幅Wよりも大きくして、反転して落下してくる函1を搬送経路15から脱落しない程度に受け入れて搬出コンベア13上に上下反転した下向きの姿勢で一旦落ち着かせて下流側に確実に搬送できるようにしている。また、左右ガイド17a、17bの下流側は搬出コンベア13が下流に向け搬送する函1を搬送面13a上の偏りない位置へ案内するように間隔Bが図1に示すように、図6(c)に示す函1の搬送幅W1にほぼ近い程度まで徐々に小さくなるようにしている。これにより、受載した下向きに反転した函1を正しい位置で次の処理部12へ向け搬出しそこでの処理に供することができる。
【0031】
さらに、落ち物落下部21には、搬出コンベア13の搬送面13aのほぼ側縁部から側方下部に向かって傾斜するガイド面22aを設けている。これにより、落ち物落下部21を通じ落ち物14を搬出コンベア13の側方へ落すのに、ガイド面22aの案内によって搬出コンベア13の搬送面13aから離れた側方位置に導ける。従って、除去した落ち物14が搬出コンベア13に干渉したり、噛み込んだり、堆積するといったことで不具合をもたらすことはなく、高速化の妨げにならなし、不具合を処理する人手もいらない。ガイド面22aは図4、図5、図6に示すように搬出コンベア13の左右の支持フレーム18に一体成形するかそれに支持させたカバー部22によって形成している。
【0032】
図示する上下反転部11は図3〜図5に示すように、函1の上向きに反転させる下向きの反転対象面である底面1fとこれに隣接する1つの隣接面である側面1gとを左右で支持するように搬送経路31に受け入れ、それら左右の支持部32、33の少なくとも一方で函1に搬送力を及ぼしてその函1を搬送しながら、搬送方向下流側に向けた左右の支持部32、33の図3〜図5に示すような位置関係の変化により前記搬送している函1に反転対象面が起き上がり、かつ、反転側への慣性を持つか、反転側に傾くひねりを与えて、反転対象面が図5に示すように上向きになって搬出コンベア13の搬送面13a上へ落下させる反転コンベアを構成している。このような上下反転部11では図3(a)に示し、図4(a)〜(b)に示すように、函1をその上向きに反転させる下向きの反転対象面とこれに隣接する1つの隣接面とに跨った左右で支持部32、33が支持するように搬送経路31に受け入れることで、函1をその重心Gの両側にて受載し安定に支持することができる。これら反転対象面と隣接面とを支持する支持部32、33の少なくとも左右一方で函1に搬送力を及ぼすことにより、かさ張りや大型化することなく函1を順次連続して受載搬送することができる。この受載搬送の過程における搬送方向下流側に向けた左右の支持部32、33の図3(a)〜(i)に示すような位置関係の変化で、搬送している函1に反転対象面が起き上がり、かつ、反転側への慣性を持つか、反転側に傾く程度のひねりを、搬送力を及ぼしている支持部32、33との摩擦や連続搬送への影響なしに、また、函1の重心Gの反転対象面側への偏りの有無にかかわらず与えられ、これによって、函1を図5に示すように反転対象面が上向きになるように搬出コンベア13上へ落下させて確実に上下反転させることができる。特にこのような反転方式によれば、函1が搬出コンベア13上に下向きで落下するときの叩き付けや跳び跳ね振動などによりなお残留していた残留物を落下させたり、分離させたりすることができる。従って、それ以降もなお残存物が存在して充填びんのインケーサ処理などの次の取り扱いの邪魔になったり、取り扱いを損ねたりするようなことを防止できる。
【0033】
ここで、搬出コンベア13の搬送面13aに落ち物14を落下させる目または隙間を持ったものとすれば、これら目または隙間を通る大きさの落ち物14を、搬出コンベア13のどの搬送位置にても落下させて除去する落ち物除去手段16を構成することができ、函1が下向きに反転して搬出コンベア13に受載されるときに函1に覆われる状態て落ちる落ち物14にも対応できる。このような搬出コンベア13は大きな網目や開口を持った搬送帯を採用したり、数条の搬送帯を平行に配したものとしたり、数条のガイドで函1を受けてチェンやアタッチメントにて搬送したりして実現することができる。しかし、図5に示すように反転しながら落下してくる函1を引っ掛かりなく適正な姿勢に受載できることが必要である。しかし、函1を搬出コンベア13上へ正しく反転させ、また案内させられる反転方式やガイドの採用によってはそのような制約はなくなる。これらの場合、搬出コンベア13の搬送面13aの下に落下する落ち物14を受けて、搬出コンベア13に干渉したり、噛み込んだり、堆積するといったことを防止する手段を設けるのが好適であり、それには、例えば、受けた落ち物14は側方や後方、前方へ排出するといった手法を採用することができる。もっとも、搬送経路15から除去した落ち物14は所定の収納部に受け入れておき、定期的に処理するようにもでき、そのための収納部は1つでもそれ以上であってもよい。
【0034】
さらに詳述すると、上下反転部11は、供給される函1を受載して搬入し上下反転させる前記左右の支持部32、33のそれぞれを無端搬送帯対32a、33aを有して構成し、受取った函1を滑り無く安定に搬送しながら確実に上下反転させるように、例えば、ゴムベルトを採用している。具体的には断面六角形のVベルトを採用している。しかし、左右で支持して搬送しながら上下反転させられれば、支持部32、33およびそれを構成する無端搬送帯32a、33aはどのようなものでもよい。また、上下反転部11は一方の支持部32につき搬送機能のないガイド32bを併用して搬送および反転を安定させ、しかも、函1を所定位置に安定に受け入れるために、アンケーサなどから供給される上向きの函1を搬入コンベア41によって左右位置を一部省略して示す左右のガイド42で規制して、図4(a)に示すような所定位置、所定の姿勢を保って搬入され、函1の反転対象面およびその隣接面を図4(b)に示すように確実に支持し、搬送および上下反転を確率よく遂行できるようにしている。
【0035】
また、処理部12として、ゴミ落しを目的としたゴミ落しコンベア51を設けている。ゴミ落しコンベア51は上下反転部11で底面1fが上向きとなるように上下反転した函1を受け入れ、それがうつ伏せで下向きに開放した状態であるのを利用してゴミ落しを図りながら搬送し次へ供給する。
【0036】
ゴミ落しコンベア51は、特に、図1、図2に示すように角型で同期回転する搬送ローラ71によって、函1を搬送しながら持ち上げたり落下させたりすることを、搬送ローラ71の最小回転半径および最大回転半径の差に対応した最大ストロークを得て繰り返すので、収容状態にあったゴミ類はもとより、付着しているゴミ類を強力に分離し、効率よく振り落とすことができる。従って、ゴミの除去率が高まる上、搬送ローラ71は左右に分かれて位置し函1が落下しないだけの幅があればよいので、落ちたゴミが溜まることはなく、付着もしにくいので、清潔に保ちやすい。
【0037】
搬送ローラ71は函1の搬送が確実で最大ストロークを大きくとれる意味で、四角形程度として好適であるが、これに限られることはない。また、一辺の長さを異ならせることにより函1の上下の動きを不均等にしてゴミ落し機能を高めることもできる。搬送ローラ71の許容幅は、函1を搬送するときの遊びを小さくすることにより小さくできる。そこで、搬送ローラ71を左右のフレーム72の内側に配置して軸受し、左右の搬送ローラ71の列上に載る函1の左右の遊びを左右のフレーム72によって規制するようにしている。このように搬送ローラ71が左右に分かれていると函1から落下する付着ゴミや残りびんなどの残存異物が落下しやすい。また、左右のフレーム72には搬送ローラ71上で上下動する函1が搬送ローラ71から浮いて徒に飛び跳ねるのを防止するガイド78を設けてあり、これをシャワー管に共用して函1を水や洗浄水で洗浄してゴミを落としやすくすることもできる。
【0038】
さらに、各部の駆動は図1、図2に示すように、上下反転部11の左右の無端搬送帯32a、33aは個別のモータ101、101で駆動し、搬出コンベア13は1つのモータ103で駆動し、ゴミ落しコンベア51の左右のローラ71は個別のモータ104、105によって駆動し、搬入コンベア41はチエンやVベルトなどよりなる左右の無端搬送帯41a、41b個別のモータ106、107によって駆動するようにしている。しかし、これに限られることはなく、各種の搬送形態、駆動形態を採用することができる。
【0039】
なお、落ち物除去手段16としては上記以外の構成を採ることもできる。例えば、図7の例や図8の例に示すように、上流側の第1の搬出コンベア61の搬送面61aの幅W2に対し、函1の搬送幅W1とほぼ同等かそれ以下の幅W3の搬送面62aを、搬送幅方向に複数に分割して、あるいは1箇所に持って続く第2の搬出コンベア62を設けることにより、第2の搬出コンベア62の搬送面62aの、第1の搬出コンベア61の搬送面61aに対する搬送面省略域63をなすものとすることもでき、搬送面幅の大きな第1の搬出コンベアに搬送面幅の小さな第2の搬出コンベアを続かせるだけの簡単な構成で、第2の搬出コンベアが第1の搬出コンベアに対して生じる搬送面の欠損域が落ち物除去手段となって、落ち物14を第2の搬出コンベアに渡らせずに落下せて除去させられる。図7に示す搬送面62aはガイド面にて形成し、函1に対する搬送は左右の無端搬送帯64、65間にて挟持搬送するようにしており、無端搬送帯64、65は落ち物14を搬送面省略域63へ振り分ける役目をもなし得る。しかし、これに限られることはなく第2の搬出コンベア62はどのような搬送形態としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、リターナブルのために上向きの函を下向きに上下反転させて自動的に取り扱うのに実用でき、反転時の函からの落ち物に対処するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態に係る函の反転搬出装置を示す斜視図。
【図2】図1の装置の平面図。
【図3】図1の装置の下反転部における左右の支持部とそれに支持され搬送される函の反転挙動を(a)〜(i)に分解して模式的に示す説明図。
【図4】図1の装置における上下反転部の左右の支持部とそれに支持され搬送される函の最終反転前までの具体的な反転挙動を(a)〜(c)に分解して示す横断面図。
【図5】図1の装置における上下反転部の左右の支持部とそれに支持され搬送される函の最終反転時の具体的な反転挙動を(a)(b)にて示す横断面図。
【図6】図1に示す装置における第1〜第3のセンサと各種向きの函との関係と検出例とを示す説明図。
【図7】搬出コンベアの別の落ち物除去手段を示す平面図。
【図8】搬出コンベアの他の落ち物除去手段を示す平面図。
【図9】図1の装置で取り扱う函の斜視図。
【図10】図9の函の底部を示す斜視図。
【符号の説明】
【0042】
1 函
1f 底面
1g 側面
11 上下反転部
13 搬出コンベア
61 第1の搬出コンベア
62 第2の搬出コンベア
13a、61a、62a 搬送面
14 落ち物
15 搬送経路
16 落ち物除去手段
17 ガイド手段
21 落ち物落下部
22a ガイド面
32、33 支持部
32a、33a 無端搬送帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向きで受け入れた函を上下反転させて搬出コンベアで下向きに受載し搬出する函の反転搬出装置であって、
函が下向きに反転される際、また反転された際に残留物などが函から搬出コンベア上に落ち、または分離する落ち物を搬出コンベアの函の搬送面から除去する落ち物除去手段を設けたことを特徴とする函の反転搬出装置。
【請求項2】
上向きで受け入れた函を上下反転させて搬出コンベアで下向きに受載し搬出する函の反転搬出装置であって、
函が下向きに反転される際、また反転された際に函から残留物などが落ち、または分離する落ち物を搬出コンベアの函の搬送面から除去する落ち物除去手段と、反転される函を搬出コンベアの函の搬送経路に案内するガイド手段と、を設けたことを特徴とする函の反転搬出装置。
【請求項3】
落ち物除去手段は、搬送面幅を函の搬送幅とほぼ同等かそれ以下とした搬出コンベアの搬送経路を搬送面の側方および下方に開放して、落ち物搬送面側方下に落下させる落ち物落下部としている請求項1、2のいずれか1項に記載の函の反転搬出装置。
【請求項4】
落ち物除去手段は、前記落ち物落下部に、搬出コンベアの搬送面のほぼ側縁部から側方下部に向かって傾斜するガイド面を設けている請求項3に記載の函の反転搬出装置。
【請求項5】
落ち物除去手段は、第1の搬出コンベアに、函の搬送幅とほぼ同等かそれ以下の搬送面を持って続く第2の搬出コンベアによる、第1の搬出コンベアに対する搬送面省略域をなして落ち物を落下させる請求項1、2のいずれか1項に記載の函の反転搬出装置。
【請求項6】
落ち物除去手段は、搬出コンベアの搬送面に有した落ち物を落下させる目または隙間をなしている請求項1、2のいずれか1項に記載の函の反転搬出装置。
【請求項7】
函を、その上向きに反転させる下向きの反転対象面とこれに隣接する1つの隣接面とを左右で支持するように搬送経路に受け入れ、少なくとも左右一方の支持部で函に搬送力を及ぼしてその函を搬送しながら、搬送方向下流側に向けた左右の支持部の位置関係の変化により前記搬送している函に反転対象面が起き上がり、かつ、反転側への慣性を持つか、反転側に傾くひねりを与えて、反転対象面が上向きになるように搬出コンベアの搬送面へ落下させる反転コンベアを備えた請求構1〜6のいずれか1項に記載の函の反転搬出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−117403(P2006−117403A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307862(P2004−307862)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【出願人】(594166487)東洋機器工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】