説明

函の検出方法と装置、それらを利用した函の反転搬送装置

【課題】 函の反転不良による労力や生産性への影響を軽減し、またはおよび函の反転不良のウオッチングに好適なようにする。
【解決手段】 函1の反転後の搬送経路100において、窓1eを有した函1の種々な向きに対応して検出し分ける第1〜第3のセンサS1〜S3と、これら第1〜第3のセンサS1〜S3の検出結果から函1の向きなどの異常を判定する異常判定手段と、判定結果に基づき搬送の停止、向き不良の函の排除、警報を始めとする少なくとも1つの措置を行い、またはおよび、判定結果を外部出力できるように蓄積して反転機能の評価、向き異常の分析や対策などに供する制御手段と、を備えたものとして、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、函を反転させて取り扱うのに適した函の検出方法と装置、それらを利用した函の反転搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば通い函をリターナブルに取り扱うのに、回収した図7、図8に示すような函1から空びんを取り出し、空になった函を上下反転して付着ゴミ類の除去に供した後、函を再度上下反転してラベル剥がしや内外面の洗浄に供し、乾燥後に充填びんを挿入するといった一連の作業が自動的に遂行される。
【0003】
従来、函を上下に反転させるのに次のようなものが知られている。函を搬送しながらガイドやプッシャにより側方へ転落ないしは自然落下させて上下の反転を図り受け止めるいわば自然反転方法。180°往復弧回動する反転アームによって函を支持し、一方側から他方側へ弧回動して反転させるようにしたもの(例えば、特許文献1を参照。)。コンベアにて搬送している函を、コンベアの両側に位置した反転ターレットが放射状のポケットに受け入れて回転することで、180°反転させた状態でコンベアに戻せるようにしたもの(例えば、特許文献2を参照。)。上向きに折り返した搬送経路によって函を搬送しながら180°反転させるようにしたもの(例えば、特許文献3、4を参照。)。
【特許文献1】特開平06−007758号公報
【特許文献2】特開平08−133232号公報
【特許文献3】特開平11−079149号公報
【特許文献4】特開平10−167455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、自然反転方式では函の反転が確実とはいえない。特に、上向きに反転させる下向きの反転対象面の側に重心が偏っているような函を確率よく反転させるのは困難である。例えば、ビールびんを収容する中仕切り付きの樹脂製ケースのように、底面が反転対象面となるときの図7、図8に示すような函1の反転がそれに当る。この種の函1は底部1aが各種形状の穴5を持ったすの子状、格子状になっているものの、充填びんの重量に十分に耐える頑強な重量部となっている上、前記中仕切り1bが底部1a側に形成され、周壁1cの開口1d側には取手2用の窓1eが設けられているので、図3に黒点で示すように函1の全体としての重心Gは底部1a側に偏っている。このような函1をその下向きの底面を反転対象面として受載面上へ転落ないしは自然落下させても、その函1が受載面への初期接地点に対して重心Gが反転側に越えるか、慣性によって越えられるまで傾くことの保証がなく、傾きやその勢いの不足のために函1が起き上がって非反転となりやすい。
【0005】
このような反転の不確かさは、非反転の函を処理する労力またはおよび機構が必要になる上、非反転の函の処理が全体の流れを止めたり、遅らせたりし、また、反転函の次への供給不足にもなるので、通い函による空き瓶の回収から充填瓶の再出荷までを一連に繋げたラインで処理する全体に影響し、稼働率、生産性の低下の原因となる。
【0006】
一方、特許文献1〜5が開示しているものは、いずれも、函の反転はほぼ確実に行える。しかし、特許文献1、2が開示しているものは反転が間欠動作になるので、高速化の妨げになる。また、函の反転中心を函の外側に持つため反転の最大スイング径が大きく、装置がかさ張るので近時の省スペース化の要求に応えにくい。特許文献3、4が開示しているものは、函を折り返し経路に沿って搬送するので連続搬送を妨げないが、反転の最大スイング径はさらに大きく、しかもその外側にもコンベアが位置するので、装置がさらに大きく、かつ、複雑なものとなり、省スペース化にさらに不利であるとともにコスト高にもなる。
【0007】
そこで、本発明者は省スペース化、省力化、低コスト化、十分な耐久性を満足して、函を連続的に高速で確実に上下に反転させられる函の反転方法および装置の開発を続け、函を拘束し切らない準自然方式にて確度よく反転させられる簡単かつ小型な装置を実現している。
【0008】
しかし、準自然な反転方式は函を拘束し切らないものであるため、残存びんがあって函の重心位置が変位しているなどの特異な条件変化にて極く稀に反転不良が発生することがある。また、そのような反転不良は函の向きのバラツキとしても現れ、これを解消し切るのは困難で、この数%の反転不良による生産性や労力への影響を軽減または解消することが望まれる。また、現状の装置や生産に関する評価のために、反転不良の実態が労力なくウオッチングできれば好適である。
【0009】
本発明の目的は、函の反転不良による労力や生産性への影響を軽減し、またはおよび函の反転不良の自動ウオッチングに好適な函の検出方法と装置、それらを利用した函の反転搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような目的を達成するために、本発明の函の検出方法は、角型の容器形状をなし四周の周壁それぞれの天面寄りの共通した高さ範囲に窓を有した函を搬送しながら、上向きである表函の函底部、下向きである裏函の函天面と前記窓との間、縦向きである縦函の下側周壁下面と窓との間、のそれぞれが通過する高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第1のセンサと、前記裏函の前記窓、前記縦函の前記窓、のそれぞれが通過する高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第2のセンサと、表函、裏函の通過高さを超え横函の通過高さ未満となる高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第3のセンサと、の検出結果の違いから、少なくとも函の向きを検出することを特徴としている。
【0011】
このような構成では、第1のセンサは搬送される函が表、裏、横、縦のどの向きであっても函が通過している間検出光が遮光される。第2のセンサは裏函、縦函が通過する間の窓のある部分を除いて検出光が遮光され、裏函と縦函とで函による検出光の遮光と窓による検出光の透過との関係に違いがある。第3のセンサは横函、縦函通過の間検出光が遮光される。これら第1〜第3のセンサの検出状態の組み合わせから、少なくとも表函、裏函、横函、縦函の違いを検出することができる。
【0012】
第1〜第3のセンサの函による遮光時間の違いを利用し、または組み合わせることにより、函の搬送向きにつき短辺方向、長辺方向、底面方向、底面に直角な方向の違いをも検出することもできる。
【0013】
本発明の函の検出装置は、角型の容器形状をなし四周の周壁それぞれの天面寄りの共通した高さ範囲に窓を有した函を搬送して次へ供する搬送手段と、この搬送手段による函の搬送経路において、上向きである表函の函底部、下向きである裏函の函天面と前記窓との間、縦向きである縦函の下側周壁下面と窓との間、のそれぞれが通過する高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第1のセンサと、前記裏函の前記窓、前記縦函の前記窓、のそれぞれが通過する高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第2のセンサと、表函、裏函の通過高さを超え横函の通過高さ未満となる高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第3のセンサと、第1〜第3のセンサの検出結果から函の向きなどの異常を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
このような構成では、第1のセンサは搬送される函が表、裏、横、縦のどの向きであっても函が通過している間検出光が遮光される。第2のセンサは裏函、縦函が通過する間の窓のある部分を除いて検出光が遮光され、裏函と縦函とで函による検出光の遮光と窓による検出光の透過との関係に違いがある。第3のセンサは横函、縦函通過の間検出光が遮光される。異常判定手段はこれら第1〜第3のセンサの検出状態の組み合わせから、少なくとも表函、裏函、横函、縦函の違いを検出し、定められた向き情報によって異常を判定することができる。この場合も、第1〜第3のセンサの函による遮光時間の違いを利用し、または組み合わせることにより、函の搬送向きにつき短辺方向、長辺方向、底面方向、底面に直角な方向の違いによる異常をも判定することができる。
【0015】
第1のセンサの検出光は搬送経路を上下方向に傾斜した光路で横切っている、さらなる構成では、
裏函の下向きな天面とその上の窓との間の第1のセンサの検出光を遮光する高さ範囲が小さく、搬送される函が上下に変動するような場合、遮光されない可能性があるのを、検出光が上下方向に傾斜していることにより、検出光の照射径を増大させることなく遮光される高さ範囲を増大させて函の上下変動に対応することができる。
【0016】
本発明の函の反転搬送装置は、函の上下反転を伴って搬送し、次工程に供給する函の搬送手段と、反転後の函の搬送経路において、上向きである表函の函底部、下向きである裏函の函天面と前記窓との間、縦向きである縦函の下側周壁下面と窓との間、のそれぞれが通過する高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第1のセンサと、前記裏函の前記窓、前記縦函の前記窓、のそれぞれが通過する高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第2のセンサと、表函、裏函の通過高さを超え横函の通過高さ未満となる高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第3のセンサと、第1〜第3のセンサの検出結果から函の向きなどの異常を判定する異常判定手段と、判定結果に基づき搬送の停止、向き不良の函の排除、警報を始めとする少なくとも1つの措置を行い、またはおよび、判定結果を外部出力できるように蓄積して反転機能の評価、向き異常の分析や対策などに供する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0017】
このような構成では、搬送手段によって函を上下反転を伴い搬送して次の工程に供することを自動的に連続して行うことができ、函の上下反転後の搬送経路において、第1のセンサは搬送される函が表、裏、横、縦のどの向きであっても函が通過している間検出光が遮光される。第2のセンサは裏函、縦函が通過する間の窓のある部分を除いて検出光が遮光され、裏函と縦函とで函による検出光の遮光と窓による検出光の透過との関係に違いがある。第3のセンサは横函、縦函通過の間検出光が遮光される。異常判定手段はこれら第1〜第3のセンサの検出状態の組み合わせから、少なくとも表函、裏函、横函、縦函の違いを検出し、定められた向き情報によって反転後の函の異常を判定することができる。この場合も、第1〜第3のセンサの函による遮光時間の違いを利用し、または組み合わせることにより、函の搬送向きにつき短辺方向、長辺方向、底面方向、底面に直角な方向の違いによる異常をも判定することができる。制御手段はこれらの判定結果に基づき搬送の停止、向き不良の函の排除、警報を始めとする少なくとも1つの措置を行い、またはおよび、判定結果を外部出力できるように蓄積して反転機能の評価、向き異常の分析や対策などに供することができる。
【0018】
函に付着して、または函内に残って検出光を遮る遮光異物を除去する異物除去手段を有している、さらなる構成では、
前記函の検出が、函に付着し、または函内に残って検出光を遮る紙くずやびん、空き箱、空き缶などの遮光異常物を除去した後に行われるので、遮光異物を除去した度合に応じて検出精度が向上する。
【0019】
函の上下反転部は、函に対する処理部を挟む前後2箇所にあって、上流側の上下反転部は表函を裏函に上下反転させ、下流側の上下反転部は裏函を表函に上下反転させ、第1〜第3のセンサは上、下流両側の上下反転部のうち少なくとも下流側の反転部を経た函の搬送経路に設けてある、さらなる構成では、
函を上下反転させて搬送し処理部の処理に供した後、再度上下反転させて元に戻して搬送し次の工程に供給することができ、元に戻した函の検出に基づき異常の判定と措置、またはおよび、判定データの蓄積とその外部出力が行える。
【0020】
上流側の上下反転部を経て処理部に至る函の搬送経路に、表函、裏函の通過高さを超え処理部での制限高さ未満の高さ位置で函の搬送経路を検出光が横切る第4のセンサを設けてある、さらなる構成では、
第4のセンサの検出光を遮光した検出に基づき、函が所定の取り扱い向きである表函、裏函に対応する通過高さを超えて、次の処理部での制限高さを超える函かどうかの検出および判定ができ、異常の判定に基づく措置、またはおよび判定結果の蓄積および外部出力ができる。
【0021】
処理部またはおよび上下反転部は、少なくとも異物除去手段をなす、さらなる構成では、
処理部は表函を裏函に反転させることで、付着ゴミや残り異物を落下させる処理を行うものであると、それ自体が遮光異物を除去する異物除去手段になるし、上下反転部は表 函から裏函への反転によっても函内の異物を落下させることができるので、それ自体が異物除去手段になり、函の検出、判定の精度を上げられる。
【0022】
処理部と下流側の上下反転部との間の函の搬送経路に、表函、裏函の通過高さを超え横函の通過高さ未満の高さ位置で函の搬送経路を検出光が横切る第5のセンサを設けてある、さらなる構成では、
第5のセンサは横函、縦函が通過するとき検出光を遮光されて遮光されない表函、裏函と区別して検出し、設定に従いいずれかを異常と判定することができる。
【0023】
函の上下反転部に、全ての函が検出光を遮光する高さ範囲で函の進行経路を横切って函の詰まりを検出する第6のセンサを設けてある、さらなる構成では、
第6のセンサは函が連続供給されていることを条件に、函の詰まりが生じると所定時間以上検出光が遮光されなかったり、遮光されたりすることで、詰まりを検出し、異常と判断することができる。
【0024】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、可能な限りそれ単独で、あるいは種々な組合せで複合して採用することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の函の検出方法によれば、第1〜第3のセンサの検出状態の組み合わせから、少なくとも表函、裏函、横函、縦函の違いを検出することが、第1〜第3のセンサの函による遮光時間の違いを利用し、または組み合わせることにより、函の搬送向きにつき短辺方向、長辺方向、底面方向、底面に直角な方向の違いをも自動検出して対応することができ、高速化、省力化に対応できる。
【0026】
本発明の函の検出装置によれば、第1〜第3のセンサの検出結果から設定に基づき函の向きなどの異常を判定することができる。
【0027】
本発明の函の反転搬送装置によれば、函を上下反転を伴い搬送して次の工程に供することを自動的に連続して行い、リターナブルな函を回収して収容びんを抜き出し上下反転によりゴミ落しなどした後、再度上下反転させて元に戻し充填びんを収容して出荷するといった取り扱いに便利としながら、第1〜第3のセンサの検出状態の組み合わせから、少なくとも表函、裏函、横函、縦函の違いを検出し、定められた向き情報によって反転後の函の異常を判定し、搬送の停止、向き不良の函の排除、警報を始めとする少なくとも1つの措置を行い、極く僅かな反転異常への対策を容易にするし、またはおよび、判定結果を外部出力できるように蓄積して反転機能の評価、向き異常の分析や対策などに供して、異常の予測や100%反転への技術開発を推進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の函の検出方法と装置、それらを利用した函の反転搬送装置に係る実施の形態につき、図1〜図8を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載を限定するものではない。本実施の形態では既述したビールびんの樹脂ケースである図7、図8に示すような函1を取り扱い、アンケーサ処理された上向きの函1を図1に示すように第1上下反転部11にて下向きに反転させて次の処理部12に送って異物落しに供し、異物落し後の下向きの函1を第2上下反転部13にて再度反転させて上向きに戻し、充填びん処理に供して出荷されるようにするような函1の取り扱いにおいて、函1の向きや詰まりを検出する場合の一例を示している。
【0029】
第1上下反転部11は、供給される函1を受載して搬入する第1反転搬入コンベア21、第1反転搬入コンベア21からの上向きの函1を左右の無端搬送帯対22a、22bで受取り搬送しながら下向きに上下反転させる第1反転コンベア22、第1反転コンベア22で上下反転されて落下する下向きの函1を受け止めて処理部12へ向け搬出する第1反転搬出コンベア23を有し、第2上下反転部13は、処理部12から渡りコンベア24を介して供給される函1を受載して搬入する第2反転搬入コンベア25、第2反転搬入コンベア25からの下向きの函1を左右の無端搬送帯対26a、26bで受取り搬送しながら上向きに上下反転させる第2反転コンベア26、第2反転コンベア26で上下反転されて落下する上向きの函1を受け止めて次の工程へ供給する第2反転搬出コンベア27を有している。
【0030】
第1、第2上下反転部11、13の第1、第2反転コンベア22、26は、それぞれの無端搬送帯対22a、22bどうし、無端搬送帯対26a、26bどうしが、図1に示す函1の搬送方向Aに向けて、互いの高さ関係と平面視した相互間隔とに、図3(a)〜(i)に示し、図4(a)〜(c)、図5に示すような変化を持っている。これらの変化によって、それぞれが受け入れる函1を矢印Aの方向に搬送しながら図3(a)〜(i)に示し、図4(a)〜(c)、図5に示すように順次に傾かせていき、最終には重心Gが無端搬送帯対22a、22bどうし、無端搬送帯対26a、26bどうしによる函1に対する支持位置から第1、第2反転搬出コンベア23、27側に外れることによって、図1、図3、図4、図5に示す矢印Bの方向に反転して落下し、上下反転した状態で第1、第2反転搬出コンベア23、27上に受けられ、次へ搬出される。このような反転を行うために、無端搬送帯22a、26aは水平で、無端搬送帯22b、26bは始端高さがそれらと対をなす無端搬送帯22a、26aと同じで、終端に向かい低く、かつ無端搬送帯22a、26aの側に近づく配置とし、無端搬送帯対22a、22bどうし、および無端搬送帯対26a、26bどうしは、それぞれ、水平な向きで送り込まれる函1を、その上向きへの反転対象面である下向き面(図1では底面1f)とこれに隣接する1つの隣接側面(図1では側面1g)とに跨った左右2点で支持するように搬送経路2に受け入れるようにしている。なお、第1、第2上下反転部11、13の第1、第2反転コンベア22、26は、函1を安定に反転させやすくする反転ガイド81、82を併用している。
【0031】
以上により、送り込む函1の反転の確実性、安定性を、労力によるような場合に比し格段に高めることができる。現時点の実績では高速なリターナブル処理ラインにて反転ミスは極く少なく収まっている。しかし、1回でも反転ミがあると次での詰まり、所定の処理不能、インケーサなど処理機のヘッドやその移動機構の破損といった問題にもつながり、リターナブル処理ライン全体に大きく影響する。
【0032】
処理部12としては、ゴミ落しを目的としたゴミ落しコンベア31を設けている。ゴミ落しコンベア31は第1上下反転部11で底面1fが上向きとなるように上下反転した函1を受け入れ、それがうつ伏せで下向きに開放した状態であるのを利用してゴミ落しを図りながら搬送し、第2反転部13へ供給する。
【0033】
ゴミ落しコンベア31は、特に、角型で同期回転する搬送ローラ71によって、函1を搬送しながら持ち上げたり落下させたりすることを、搬送ローラ71の最小回転半径および最大回転半径の差に対応した最大ストロークを得て繰り返すので、収容状態にあったゴミ類はもとより、付着しているゴミ類を強力に分離し、効率よく振り落とすことができる。従って、ゴミの除去率が高まる上、搬送ローラ71は左右に分かれて位置し函1が落下しないだけの幅があればよいので、落ちたゴミが溜まることはなく、付着もしにくいので、清潔に保ちやすい。
【0034】
搬送ローラ71は函1の搬送が確実で最大ストロークを大きくとれる意味で、四角形程度として好適であるが、これに限られることはない。また、一辺の長さを異ならせることにより函1の上下の動きを不均等にしてゴミ落し機能を高めることもできる。搬送ローラ71の許容幅は、函1を搬送するときの遊びを小さくすることにより小さくできる。そこで、搬送ローラ71を左右のフレーム72の内側に配置して軸受し、左右の搬送ローラ71の列上に載る函1の左右の遊びを左右のフレーム72によって規制するようにしている。このように搬送ローラ71が左右に分かれていると函1から落下する付着ゴミや残りびんなどの残存異物が落下しやすい。しかも、ある種、ある向きの函1を落下させることもでき、反転不良で取り扱い外となるうちの特定の函1をここで排除することができる。落下させた函1は目の粗い傾斜ガイド73で受けて、落下するゴミや残存異物と区別して矢印Cで示すように側方へ排出するようにしている。
【0035】
また、左右のフレーム72には搬送ローラ71上で上下動する函1が搬送ローラ71から浮いていたずらに飛び跳ねるのを防止するガイド78を設け、これをシャワー管に共用して函1を水79や洗浄水で洗浄してゴミを落としやすくしている。もっとも、シャワー管はガイド78と別にもうけることもできる。水79の噴射によっては函1が長期に積み置かれたりする間にくもの巣が張っているような場合でもそれを除去することができる。
【0036】
本実施の形態では、特に、取り扱う函1の反転ミスやそれによって生じる詰まりに対応するために、その函1が前記のように角型の容器形状をなし四周の周壁1cそれぞれの天面寄りの共通した高さ範囲に窓1eを有した特異な形態を有していることに着目して、函1を搬送しながら、図6(b)に示す上向きである表函1Aの函底面1f、図6(c)に示す下向きである裏函1Bの函天面1hと前記窓との間、図6(e)に示す縦向きである縦函1Dの下側周壁1c下面と窓1eとの間、のそれぞれが通過する高さ位置にて函の搬送経路100を検出光101が横切る第1のセンサS1と、前記裏函1Bの前記窓1e、前記縦函1の前記窓1e、のそれぞれが通過する高さ位置にて函1の搬送経路100を検出光102が横切る第2のセンサS2と、表函1A、裏函1Bの通過高さを超え図6(d)に示す横向きである横函1Cの通過高さ未満となる高さ位置にて函1の搬送経路100を検出光103が横切る第3のセンサS3と、の検出結果の違いから、少なくとも函の向きを検出する函の検出方法を採用している。
【0037】
これにより、第1のセンサS1は図6(g)に示すように、搬送される函1が表、裏、横、縦のどの向きであっても、函1が通過している間検出光101が遮光されてオフする。第2のセンサS2は図6(h)に示すように、裏函1B、縦函1Eが通過する間の窓1eのある部分を除いて検出光102が遮光されオフし、裏函1Bと縦函1Dとで函1による検出光101、102の遮光と窓1eによる検出光101、102の透過との関係に違いがある。第3のセンサS3は図6(i)に示すように、横函1C、縦函1D通過の間検出光103が遮光される。これら第1〜第3のセンサS1〜S3の検出状態の組み合わせから、少なくとも表函1A、裏函1B、横函1C、縦函1Dの違いを検出することができる。
【0038】
また、各センサS1〜S3の函1が遮光し始めて遮光し終わるまでの時間の違いは、函1がセンサS1〜S3の検出光101〜103を通過する方向のサイズ、つまり、搬送方向のサイズに対応するので、表函1Aや裏函1Bである場合に、搬送方向に向くのが実線の長辺か仮想線の短辺かを検出することができるし、横函1Cである場合に、搬送方向に向くのが実線の長辺方向か仮想線の深さ方向かを検出することができる。また、縦函1Dである場合に、搬送方向に向くのが図6(e)の縦函1Dのような深さ方向か図6(f)の縦 函1D′のような短辺方向かを検出することができる。このように、第1〜第3のセンサS1〜S3の函1による遮光時間の違いを利用し、または組み合わせることにより、函1の搬送向きにつき短辺方向、長辺方向、底面方向、底面に直角な深さ方向の違いなどをも検出することができる。さらに、遮光状態や透過状態の異常に長い継続による詰まりなどそれ以上の検出もでき、必要なら斜め搬送の状態も検出することができる。
【0039】
このような検出方法により、前記のようなリターナブル処理ラインで取り扱う函1につき、詰まりや処理不良などの問題となる向きや状態の異常として検出する函の検出装置としては、図1、図2に示すように、前記のようなセンサS1〜S3と、第1〜第3のセンサS1〜S3の検出結果から函1の向きなどの異常を判定する異常判定手段111とを備えたものとしている。これにより、異常判定手段111は、第1〜第3のセンサS1〜S3の検出状態の組み合わせから、少なくとも表函、裏函、横函、縦函の違いを検出し、定められた向き情報によって異常を判定することができる。必要なら、既述したように他の向き異常をも判定することができる。ここで、第1のセンサS1の検出光101は図6(a)に示すように、搬送経路100を上下方向に傾斜した光路で横切っている。このような構成では、裏函1Bの下向きな天面1hとその上の窓1eとの間の第1のセンサS1の検出光101を遮光する高さ範囲が小さく、搬送される函1が上下に変動するような場合、遮光されない可能性があるのを、検出光101が上下方向に傾斜していることにより、検出光101の照射径を増大させることなく遮光される高さ範囲を増大させて函1の上下変動に対応することができる。なお、各センサS1〜S3のそれぞれは投光器と受光器の組み合わせからなるが、これに限られることはない。
【0040】
特に、本実施の形態では、既述した例のように函1を反転を伴い搬送して取り扱う函の反転搬送装置としては、既述した函の検出装置における第1〜第3のセンサS1〜S3と、それらの検出結果から函1の向きなどの異常を判定する異常判定手段111とに加え、図2に示すように、異常判定手段111による判定結果に基づき搬送の停止、向き不良の函の排除、警報を始めとする少なくとも1つの措置を行い、またはおよび、判定結果を外部出力できるように蓄積して反転機能の評価、向き異常の分析や対策などに供する制御手段112を備えたものとし、1つの例として第1〜第3センサS1〜S3は図1に示すように第2上下反転部13の下流である第2反転搬出コンベア27の搬送経路に設けて、2回の上下反転後の函1の向きを検出するようにしている。ここで、制御手段112は反転搬送装置、さらに具体的には図1に示す2つの上下反転部11、13の間に処理部12を持った図1に示す反転搬送処理装置600の動作制御用のマイクロコンピュータの内部機能を利用しており、制御手段112は液晶表示パネル113を持った操作盤114からの入力とプログラム115に従って、反転搬送処理装置600を動作制御する。そのために制御手段112は入力側に操作盤114、前記センサS1〜S3、その他の入力が接続され、出力側に第1、第2反転搬入コンベア21、25、第1、第2反転コンベア22、26、第1、第2反転搬出コンベア23、27、ゴミ落しコンベア31、渡りコンベア24のそれぞれをドライバを介し接続し、異常警告用のブザー116およびその他の出力を接続している。また、制御手段112は前記異常判定手段111および判定結果を蓄積し外部出力できるようにする記憶手段117を内部機能として有している。
【0041】
これにより、各搬送手段によって函1を上下反転を伴い搬送して処理し取り扱うことを自動的に連続して行うことができ、第2上下反転部13での上下反転後の搬送経路において、搬送されてくる函1に対する第1〜第3のセンサS1〜S3の検出状態の組み合わせから検出した検出情報と、定められた向き情報とによって、異常判定手段111が2回反転後の函1の各種異常を判定することができる。制御手段112はこれらの判定結果に基づき搬送の停止、向き不良の函の排除、警報を始めとする少なくとも1つの措置を行えるし、判定結果を外部出力できるように記憶手段117に蓄積して反転機能の評価、向き異常の分析や対策などに供することができる。もっとも、このような函1の検出は搬送系のどの位置で行ってもよいのは勿論であり、検出箇所が多いほどきめ細かな対応をすることができる。
【0042】
なお、函1に付着して、または函1内に残って検出光101〜103を遮る遮光異物があると函1の検出を誤ることがある。そのような遮光異物にはくもの巣や残りびんなどがある。そこで、これら遮光異物を除去する異物除去手段を有していると、遮光異常物を除去した後に検出が行われるので、遮光異物を除去した度合に応じて検出精度が向上する。しかし、既述したようにゴミ落し搬送コンベア31や噴射する水79がそのような役目をするので、特別に設ける必要はない。しかし、除去しにくい場合はエアーなどの噴射によれば弊害がすくなく実施しやすい。また、第1上下反転部11でも函1の上向きから下向きへの反転時に遮光異物を落下させて除去しやすく、遮光異常物除去手段を兼用することができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、上流側の第1上下反転部11を経て処理部12に至る函1の搬送経路200に、表函1A、裏函1Bの通過高さを超え処理部12でのガイド78などによる制限高さ未満の高さ位置で函1の搬送経路200を検出光104が横切る第4のセンサS4を設けてある。これにより、第4のセンサS4の検出光104を遮光した検出に基づき、函1が所定の取り扱い向きである裏函1Bに対応する通過高さを超えて、次の処理部12での制限高さを超える函1かどうかの検出および判定ができ、異常の判定に基づく措置、またはおよび判定結果の蓄積および外部出力ができる。
【0044】
また、処理部12と下流側の第2上下反転部13との間の渡りコンベア24の搬送経路300に、表函1A、裏函1Bの通過高さを超え横函1Cの通過高さ未満の高さ位置で函1の搬送経路300を検出光105が横切る第5のセンサS5をさらに設けてある。これにより、第5のセンサS5は横函1C、縦函1Dが通過するとき検出光105を遮光されて遮光されない表函1A、裏函1Bと区別して検出し、設定に従いいずれかを異常と判定することができる。
【0045】
また、函1の第1、第2上下反転部11、13に、全ての函1が検出光106、107を遮光する高さ範囲で函の搬送経路400、500を横切って函1の詰まりを検出する第6のセンサS6、S7をも設けてある。これにより、第6のセンサS6、S7は函1が連続供給されていることを条件に、函1の詰まりが生じると所定時間以上検出光106、107が遮光されなかったり、遮光されたりすることで、詰まりを検出し、異常と判断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、リターナブルのために函を反転を伴い搬送して自動的に取り扱うのに実用でき、向きの異常に対応するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態に係る函の反転搬送処理装置を示す斜視図。
【図2】図1の装置の制御系を示す概略ブロック図。
【図3】図1の装置の第1、第2上下反転部における左右の支持部とそれに支持され搬送される函の反転挙動を(a)〜(i)に分解して模式的に示す説明図。
【図4】図1の装置における第1、第2上下反転部の左右の支持部とそれに支持され搬送される函の最終反転前までの具体的な反転挙動を(a)〜(c)に分解して示す横断面図。
【図5】図1の装置における第1、第2上下反転部の左右の支持部とそれに支持され搬送される函の最終反転時の具体的な反転挙動を示す横断面図。
【図6】図1に示す装置における第1〜第3のセンサと各種向きの函との関係と検出例とを示す説明図。
【図7】図1の装置が取り扱う函の例を示す斜視図。
【図8】図7の函の底部を示す斜視図。
【符号の説明】
【0048】
1 函
1a 底部
1b 開口
1e 窓
1f 底面
1g 側面
1h 天面
11 第1上下反転部
12 処理部
13 第2上下反転部
21 第1反転搬入コンベア
22 第1反転コンベア
23 第1反転搬出コンベア
24 渡りコンベア
25 第2反転搬入コンベア
26 第2反転コンベア
27 第2反転搬出コンベア
31 ゴミ落しコンベア
100、200、300、400、500 搬送経路
111 異常判定手段
112 制御手段
114 操作盤
115 プログラム
116 ブザー
117 記憶手段
S1〜S7 第1〜第7のセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角型の容器形状をなし四周の周壁それぞれの天面寄りの共通した高さ範囲に窓を有した函を搬送しながら、上向きである表函の函底部、下向きである裏函の函天面と前記窓との間、縦向きである縦函の下側周壁下面と窓との間、のそれぞれが通過する高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第1のセンサと、前記裏函の前記窓、前記縦函の前記窓、のそれぞれが通過する高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第2のセンサと、表函、裏函の通過高さを超え横函の通過高さ未満となる高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第3のセンサと、の検出結果の違いから、少なくとも函の向きを検出することを特徴とする函の検出方法。
【請求項2】
函の検出は、少なくとも表函、裏函、横函、縦函の違いを検出する請求項1に記載の函の検出方法。
【請求項3】
函の検出は、さらに、函の搬送向きにつき短辺方向、長辺方向、底面方向、底面に直角な方向の違いをも検出する請求項2に記載の函の検出方法。
【請求項4】
角型の容器形状をなし四周の周壁それぞれの天面寄りの共通した高さ範囲に窓を有した函を搬送して次へ供する搬送手段と、この搬送手段による函の搬送経路において、上向きである表函の函底部、下向きである裏函の函天面と前記窓との間、縦向きである縦函の下側周壁下面と窓との間、のそれぞれが通過する高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第1のセンサと、前記裏函の前記窓、前記縦函の前記窓、のそれぞれが通過する高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第2のセンサと、表函、裏函の通過高さを超え横函の通過高さ未満となる高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第3のセンサと、第1〜第3のセンサの検出結果から函の向きなどの異常を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴とする函の検出装置。
【請求項5】
第1のセンサの検出光は搬送経路を上下方向に傾斜した光路で横切っている請求項4に記載の函の検出装置。
【請求項6】
函の上下反転を伴って搬送し、次工程に供給する函の搬送手段と、反転後の函の搬送経路において、上向きである表函の函底部、下向きである裏函の函天面と前記窓との間、縦向きである縦函の下側周壁下面と窓との間、のそれぞれが通過する高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第1のセンサと、前記裏函の前記窓、前記縦函の前記窓、のそれぞれが通過する高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第2のセンサと、表函、裏函の通過高さを超え横函の通過高さ未満となる高さ位置にて函の搬送経路を検出光が横切る第3のセンサと、第1〜第3のセンサの検出結果から函の向きなどの異常を判定する異常判定手段と、判定結果に基づき搬送の停止、向き不良の函の排除、警報を始めとする少なくとも1つの措置を行い、またはおよび、判定結果を外部出力できるように蓄積して反転機能の評価、向き異常の分析や対策などに供する制御手段と、を備えたことを特徴とする函の反転搬送装置。
【請求項7】
函に付着して、または函内に残って検出光を遮る遮光異物を除去する異物除去手段を有している請求項6に記載の函の反転搬送装置。
【請求項8】
函の上下反転部は、函に対する処理部を挟む前後2箇所にあって、上流側の上下反転部は表函を裏函に上下反転させ、下流側の上下反転部は裏函を表函に上下反転させ、第1〜第3のセンサは上、下流両側の上下反転部のうち少なくとも下流側の反転部を経た函の搬送経路に設けてある請求項6、7のいずれか1項に記載の函の反転搬送装置。
【請求項9】
上流側の上下反転部を経て処理部に至る函の搬送経路に、表函、裏函の通過高さを超え処理部での制限高さ未満の高さ位置で函の搬送経路を検出光が横切る第4のセンサを設けてある請求項8に記載の函の反転搬送装置。
【請求項10】
処理部またはおよび上下反転部は、少なくとも異物除去手段をなす請求項8、9のいずれか1項に記載の函の反転搬送装置。
【請求項11】
処理部と下流側の上下反転部との間の函の搬送経路に、表函、裏函の通過高さを超え横函の通過高さ未満の高さ位置で函の搬送経路を検出光が横切る第5のセンサを設けてある請求項8、9のいずれか1項に記載の函の反転搬送装置。
【請求項12】
函の上下反転部に、全ての函が検出光を遮光する高さ範囲で函の進行経路を横切って函の詰まりを検出する第6のセンサを設けてある請求項6〜11のいずれか1項に記載の函の反転搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−117402(P2006−117402A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307857(P2004−307857)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】