説明

分割露光方法および分割露光装置

【課題】フォトマスクに描かれたパターンを基板に分割露光する際に、フォトマスクと基板との密着および離反を1回で済むようにする。
【解決手段】フォトマスク4の全体領域と基板1の全体領域とをXYθ方向に相対移動させて位置合わせした後、両者を均一に接触させる。フォトマスク4および基板1を湾曲させることにより、フォトマスク4と基板1とを一つの分割領域について位置合わせする。Xシャッター34a,34b,34fおよびYシャッター36を用いて、位置合わせされた分割領域以外を覆い、位置合わせされた分割領域のみを露光する。フォトマスク4と基板1とを接触させたまま、すべての分割領域について、フォトマスク4および基板1を湾曲させることによる位置合わせと露光とを繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光層が形成された基板の露光面を複数の基板分割領域に区分し、パターンが描かれたフォトマスクのパターン面を前記基板分割領域のそれぞれに対応するようにして複数のフォトマスク分割領域に区分し、前記フォトマスク分割領域を通して光を照射することによって、前記基板分割領域ごとに前記フォトマスク分割領域に描かれたパターンを転写する分割露光方法と、かかる分割露光方法を実施するための分割露光装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来プリント回路基板等の表面に導電パターン等を成形するために、表面に感光層が形成された基板とパターンが描かれたフォトマスクとを重ねて配置し、フォトマスクを通して基板に光を照射することにより、パターンを基板表面の感光層に転写する露光方法が広く行なわれてきた。
【0003】
この露光方法において、フォトマスクに描かれたパターンを基板に転写するには、基板の略全面に設けられた多数の導電孔等と、フォトマスクに描かれたパターンとの位置合わせが必要である。
【0004】
そのため、フォトマスクと基板との対応する位置に、それぞれ複数の位置合わせマークが付されている。
【0005】
この複数の位置合わせマークを利用して、基板とフォトマスクとの位置合わせを行った後、フォトマスクを通して基板に光を照射して、感光層が形成された露光面にパターンを転写して露光処理が完了する。
【0006】
しかしながら、フォトマスクおよび基板は、製作誤差や温度、湿度の変化などによって、寸法が変化する。
【0007】
そのため、フォトマスクおよび基板のそれぞれに付された複数の位置合わせマーク間の距離、すなわち位置合わせマークピッチに差が生じ、フォトマスクと基板との位置合わせマークを完全に合わせることは困難である。
【0008】
そこで、寸法誤差が平均に配分されるように、フォトマスクと基板との対応する位置に付された複数の位置合わせマーク間のずれ量を按分するように、基板とフォトマスクとの位置合わせを行っていた。
【0009】
しかし、プリント回路基板の表面に形成される導電パターンは、年々高密度化、高精度化が望まれており、そのために、フォトマスクと基板との位置合わせマークのピッチ差をできるだけ小さくして、フォトマスクに描かれたパターンを基板に精度良く転写することが求められるようになった。
【0010】
その方法として、感光層が形成された基板の露光面を複数の分割領域に区分し、露光領域を小さくして、分割領域毎にフォトマスクに描かれたパターンを基板に転写する分割露光方法が提案されている。
【0011】
分割露光の手法を用いない場合、通常、位置合わせマークは基板およびフォトマスクのそれぞれの四隅に設けられる。したがって、位置合わせマークのピッチは基板の一辺の長さにほぼ等しい。基板とフォトマスクとの位置合わせおよび露光は、基板の全体領域にわたってそれぞれ一度に行われる。
【0012】
一方、分割露光の手法を用いる場合には、例えば基板およびフォトマスクを縦方向中心線および横方向中心線によって4つの分割領域に区分したとすると、位置合わせマークはそれぞれの分割領域の四隅に設けられる。したがって、位置合わせマークのピッチは基板の一辺の長さのほぼ半分に等しくなる。基板とフォトマスクとの位置合わせおよび露光は、それぞれの分割領域ごとに行われる。分割露光の手法を用いない場合に比べ、位置合わせマークのピッチが半分になるので、それぞれの位置における位置合わせマーク間のずれ量を、より小さな範囲内に抑えることができる。その結果、基板の全体領域にわたって、より精度の良い転写を行うことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし従来の分割露光方法では、分割領域ごとに位置合わせ、基板とフォトマスクの密着、露光、離反という過程が必要であるため、全体領域を一度で位置合わせする露光方法と比べて、精度は良くなるものの、生産性が著しく悪くなると共に、露光面にゴミが入り込んで露光品質を低下させる可能性が大きく、また、フォトマスクの寿命も短くするといった問題点があった。
【0014】
そこで本発明は、基板とフォトマスクとを密着、離反という過程を繰り返す必要がない分割露光方法および分割露光装置を提供し、従来の問題点を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明によれば、
感光層が形成された基板の露光面を複数の基板分割領域に区分し、パターンが描かれたフォトマスクのパターン面を前記基板分割領域のそれぞれに対応するようにして複数のフォトマスク分割領域に区分し、前記フォトマスク分割領域を通して光を照射することによって、前記基板分割領域ごとに前記フォトマスク分割領域に描かれたパターンを転写する分割露光方法において、
前記基板を該基板の互いに対向する第一の対の辺と同じ方向に延びる第一の軸線回りに湾曲させたときに、その湾曲量に関わらずに位置が不変である前記露光面上の第一の線分、および/または、前記基板を該基板の互いに対向する第二の対の辺と同じ方向に延びる第二の軸線回りに湾曲させたときに、その湾曲量に関わらずに位置が不変である前記露光面上の第二の線分によって、前記基板分割領域は画定されており、
前記露光面上の前記第一の線分および/もしくは前記第二の線分上の位置、ならびに、該位置に対応する前記パターン面上の位置には、複数の第一の基板位置合わせマークならびに複数の第一のフォトマスク位置合わせマークがそれぞれ設けられており、
前記基板分割領域の各々における複数位置、ならびに、該複数位置に対応する前記フォトマスク分割領域の各々における複数位置には、第二の基板位置合わせマークならびに第二のフォトマスク位置合わせマークがそれぞれ設けられており、
前記露光方法は、
(1)前記フォトマスクの前記パターン面が前記基板の前記露光面を覆うようにして、該フォトマスクを前記基板に対向させて配置する段階と、
(2)前記第一の基板位置合わせマークと前記第一のフォトマスク位置合わせマークを利用して、前記フォトマスクおよび/または前記基板をXYθ方向に相対移動させることにより、前記フォトマスクの全体領域と前記基板の全体領域とを位置合わせする段階と、
(3)前記フォトマスクと前記基板とを均一に接触させる段階と、
(4)前記フォトマスクと前記基板とを接触させたまま、前記第二の基板位置合わせマークと前記第二のフォトマスク位置合わせマークとを利用して、前記基板分割領域ごとに前記フォトマスクと前記基板とを位置合わせし且つ露光する段階と、
を含み、
前記基板分割領域ごとに位置合わせし且つ露光する前記段階が、
i)前記基板および前記フォトマスクを、前記第一の軸線回りおよび/または前記第二の軸線回りに湾曲させることにより、前記フォトマスクに描かれたパターン寸法を実質的に変化させ、前記第二の基板位置合わせマークと前記第二のフォトマスク位置合わせマークを利用して、一つの前記基板分割領域とこれに対応する一つの前記フォトマスク分割領域とを位置合わせする段階と、
ii)前記一つのフォトマスク分割領域を通して前記一つの基板分割領域に光を照射することにより、前記一つのフォトマスク分割領域に描かれたパターンを前記一つの基板分割領域上に転写する段階と、
iii)前記フォトマスクと前記基板とを接触させたまま、前記段階i)および前記段階ii)を他の前記基板分割領域のそれぞれについて行う段階と、
を含んでいる、
分割露光方法が提供される。
【0016】
前記第一の基板位置合わせマークのそれぞれは、前記第一の線分または前記第二の線分を挟むようにして配置された2つのマーク要素によって構成してもよい。
【0017】
この場合、前記マーク要素は前記第二の基板位置合わせマークの一部を兼ねることができる。
【0018】
前記フォトマスクの全体領域と前記基板の全体領域とを前記第一の基板位置合わせマークおよび前記第一のフォトマスク位置合わせマークを利用して位置合わせする前記段階は、前記第一の基板位置合わせマークおよび前記第一のフォトマスク位置合わせマークをマーク検出手段によって検出し、検出したデータを基に、前記第一の基板位置合わせマークおよび前記第一のフォトマスク位置合わせマーク間のずれ量を演算し、この演算結果に従って、前記基板および前記フォトマスクの少なくとも一方を他方に対して移動させることによって行うことができ、
前記第二の基板位置合わせマークと前記第二のフォトマスク位置合わせマークとを利用して、前記基板分割領域ごとに前記フォトマスクと前記基板とを位置合わせする前記段階は、
前記基板と前記フォトマスクとを均一に接触させた状態で、それぞれの基板分割領域ごとに、前記第二の基板位置合わせマークおよび前記第二のフォトマスク位置合わせマークを前記マーク検出手段によって検出し、検出したデータを基に、前記第二の基板位置合わせマークおよび前記第二のフォトマスク位置合わせマーク間のずれ量を演算し、この演算結果に従って前記第一の軸線回りの湾曲量および/または前記第二の軸線回りの湾曲量を決定し、該決定された湾曲量だけ前記基板および前記フォトマスクを湾曲させることによって行うことができる。
【0019】
前記マーク検出手段はCCDカメラとすることができる。
【0020】
本発明によればまた、
感光層が形成された基板の露光面を複数の基板分割領域に区分し、パターンが描かれたフォトマスクのパターン面を前記基板分割領域のそれぞれに対応するようにして複数のフォトマスク分割領域に区分し、前記フォトマスク分割領域を通して光を照射することによって、前記基板分割領域ごとに前記フォトマスク分割領域に描かれたパターンを転写する分割露光方法に用いられる分割露光装置であって、
前記露光面と反対側の前記基板の面全体にわたって前記基板を固定支持するための基板支持部材にして、自身が湾曲することによって前記基板を湾曲させることができる基板支持部材と、
前記パターン面が前記露光面に対向するように前記フォトマスクを支持するためのフォトマスク支持部材と、
前記フォトマスクと前記基板とを位置合わせするために前記基板支持部材および前記フォトマスク支持部材の少なくとも一方を移動させる第一の移動手段と、
前記フォトマスクと前記基板とを互いに接触および離反させるために前記基板支持部材および前記フォトマスク支持部材の少なくとも一方を移動させる第二の移動手段と、
前記基板が、該基板の互いに対向する第一の対の辺と同じ方向に延びる第一の軸線回りに所望量湾曲するよう、前記基板支持部材の、互いに対向する第一の対の側縁部に作用して該基板支持部材を湾曲させるための第一の変形機構と、
前記基板が、該基板の互いに対向する第二の対の辺と同じ方向に延びる第二の軸線回りに所望量湾曲するよう、前記基板支持部材の、互いに対向する第二の対の側縁部に作用して該基板支持部材を湾曲させるための第二の変形機構と、
を備え、
前記第一の変形機構は、前記第一の軸線回りの前記基板の湾曲量に関わらずに位置が不変である第一の線分を前記露光面上に画定するように前記基板支持部材を湾曲するようになされており、
前記第二の変形機構は、前記第二の軸線回りの前記基板の湾曲量に関わらずに位置が不変である第二の線分を前記露光面上に画定するように前記基板支持部材を湾曲するようになされており、
前記第一および第二の変形機構の作動を制御する制御手段にして、前記第一の線分及び前記第二の線分によって区分される複数の前記基板分割領域に対応する複数のフォトマスク分割領域ごとに、前記パターンを所望の寸法に実質変化させるよう前記基板支持部材の湾曲を制御、ひいては前記基板の湾曲を制御する制御手段と、
それぞれの前記基板分割領域毎に、前記フォトマスク分割領域を通して前記露光面に光を照射するための光照射手段と、
をさらに備えている、分割露光装置も提供される。
【0021】
前記光照射手段は、露光する前記基板分割領域以外の部分を遮光する遮光手段を有するものとすることができる。
【0022】
あるいはまた、前記光照射手段は複数の半導体発光素子を有し、前記光照射手段は、前記複数の半導体発光素子のうち、露光すべき前記基板分割領域に対応した半導体発光素子のみを選択発光できる機能を有するものとすることもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の分割露光方法によれば、最初にフォトマスクの全体領域と基板の全体領域とを位置合わせする際に双方が互いに離間した状態にあり、全体の位置合わせが終了した後、各基板分割領域における位置合わせおよび露光がすべて終了するまでは、基板とフォトマスクとは互いに接触した状態を維持しているので、露光面にゴミが入り込んで付着する可能性は低い。また、基板とフォトマスクとを密着、離反という過程を繰り返す必要がないため、生産性も向上し、フォトマスクの寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の露光方法に用いられる基板1の平面図である。基板1の露光面2は、4つの基板分割領域2aないし2dに区分されている。これらの基板分割領域を画定する線分7a、7bは、次のように定められる。すなわち、線分7aは、基板1の互いに対向する第一の対の辺1aおよび1bと同じ方向に延びる第一の軸線の回りに基板1を湾曲させたときに、その湾曲量に関わらずに位置が不変である露光面2上の線分(第一の線分)である。同様にして、線分7bは、基板1の互いに対向する第二の対の辺1cおよび1dと同じ方向に延びる第二の軸線の回りに基板1を湾曲させたときに、その湾曲量に関わらずに位置が不変である露光面2上の線分(第二の線分)である。
【0025】
露光面2は、線分7aまたは線分7bのみによって2つの基板分割領域に分割されるようにしてもよい。
【0026】
露光面2上の第一および第二の線分7a、7b上には、4つの第一の基板位置合わせマーク8aないし8dが設けられている。
【0027】
基板分割領域2aないし2dのそれぞれには、四隅に第二の基板位置合わせマーク3aないし3dが設けられている。
【0028】
図2は、本発明の分割露光方法に用いられるフォトマスク4の平面図である。フォトマスク4のパターンが描かれた(図示せず)パターン面40もまた、基板1の基板分割領域のそれぞれに対応するようにして4つのフォトマスク分割領域9aないし9dに区分されている。
【0029】
フォトマスク4のパターン面40の、露光面2の第一および第二の線分7a、7b上の第一の基板位置合わせマーク8aないし8dに対応する位置には、第一のフォトマスク位置合わせマーク10aないし10dが設けられている。
【0030】
また、フォトマスク4のパターン面40の、基板分割領域2aないし2dの各々における第二の基板位置合わせマーク3aないし3dに対応する位置には、第二のフォトマスク位置合わせマーク4aないし4dが設けられている。
【0031】
露光面2上の第一の基板位置合わせマーク8aないし8dのそれぞれは、第一の線分7aまたは第二の線分7bを挟むようにして配置された2つのマーク要素(図示せず)によって構成してもよい。この場合、これらのマーク要素が第二の基板位置合わせマーク3aないし3dの一部を兼ねることができる。また、露光面2上の第一の基板位置合わせマーク8aないし8dのそれぞれを2つのマーク要素によって構成した場合、フォトマスク4における対応する第一のフォトマスク位置合わせマーク10aないし10dのそれぞれも2つのマーク要素から構成することができる。これらのマーク要素は第二のフォトマスク位置合わせマーク4aないし4dの一部を兼ねることができる。
【0032】
図3ないし図8に基づいて、本発明の分割露光方法により基板を露光する流れを説明する。最初に、図3に示すように、パターンや位置合わせマークが描かれたフォトマスク4のパターン面40が基板1の露光面2を覆うようにして、フォトマスク4を基板1に対向させて配置する。基板1とフォトマスク4とは互いに離間して配置される。マーク検出手段であるCCDカメラ(図示せず)の視野5は、基板1の第一の基板位置合わせマーク8aないし8dとフォトマスク4の第一のフォトマスク位置合わせマーク10aないし10dとを同時に捉える。CCDカメラはこれら第一の基板位置合わせマークおよび第一のフォトマスク位置合わせマークを検出する。検出されたデータを基に、4カ所それぞれの位置における基板1の第一の基板位置合わせマーク8aないし8dとフォトマスク4の第一のフォトマスク位置合わせマーク10aないし10dとの間のずれ量が演算される。
【0033】
次に、この演算結果に従って、基板1およびフォトマスク4の少なくとも一方を他方に対してXYθ方向に移動させ、図4に示すように、4カ所それぞれにおける第一の基板位置合わせマークと第一のフォトマスク位置合わせマーク間のずれ量が平均化されるようにする。これにより、基板1の全体領域とフォトマスク4の全体領域との位置合わせが完了する。
【0034】
全体の位置合わせが終わると、フォトマスク4と基板1とは互いに均一に接触せしめられる。以降の基板分割領域ごとの位置合わせおよび露光は、フォトマスク4と基板1とが接触したままで行われる。
【0035】
基板分割領域2aとフォトマスク分割領域9aとの位置合わせおよび露光から始める(図5)。マーク検出手段であるCCDカメラ(図示せず)は、その視野5に、基板分割領域2aにおける第二の基板位置合わせマーク3aとこれに対応するフォトマスク4のフォトマスク分割領域9aにおける第二のフォトマスク位置合わせマーク4aとを同時に捉え、検出する。検出されたデータを基に、それぞれの位置において第二の基板位置合わせマーク3aと第二のフォトマスク位置合わせマーク4a間のずれ量が演算される。演算結果に従い、そのずれ量を最小にするには基板1およびフォトマスク4を第一の軸線回りおよび/または第二の軸線回りにどの程度湾曲させたらよいかが決定される。第一の軸線および/または第二の軸線に沿ったそれぞれの位置で異なる湾曲量を与えることも可能である。
【0036】
フォトマスク4を湾曲させることにより、フォトマスクに描かれたパターンや位置合わせマーク間ピッチがスケーリングされることは知られている。フォトマスク4は基板1に比べて大きな厚さを有しているので、湾曲したとき、中立軸から離れた距離にあるパターン面40上に描かれたパターンや位置合わせマーク間ピッチは、湾曲方向および湾曲量に応じて拡大または縮小される。基板1は比較的薄いので、湾曲しても、露光面2の位置合わせマーク間ピッチはほとんど変わらない。したがって、重なり合った基板1およびフォトマスク4を一緒に湾曲させることにより、双方における位置合わせマーク間のずれ量を調整することができる。
【0037】
図5は、基板1およびフォトマスク4が第一の軸線および第二の軸線回りに所定量だけ湾曲されて、基板分割領域2aにおける第二の基板位置合わせマーク3aとフォトマスク分割領域9aにおける第二のフォトマスク位置合わせマーク4aとの間のずれ量が4カ所それぞれの位置で最小となった状態を示す。湾曲によって得られた最終的な第二の基板位置合わせマーク3aと第二のフォトマスク位置合わせマーク4a間のずれ量X1ないしX4およびY1ないしY4は、XYθ方向移動によって得られた最終的な位置合わせマーク間のずれ量よりもそれぞれ小さくすることができる。前述したように、第一の軸線および/または第二の軸線に沿ったそれぞれの位置で異なる湾曲量を与えることが可能だからである。
【0038】
基板分割領域2aとフォトマスク分割領域9aとを位置合わせしているとき、他の基板分割領域2b、2c、2dおよびフォトマスク分割領域9b、9c、9dにおける第二の基板位置合わせマークと第二のフォトマスク位置合わせマーク間のずれ量は考慮しなくてよい。
【0039】
基板分割領域2aとフォトマスク分割領域9aとの位置合わせが終了したら、光照射手段によって基板分割領域2aのみを露光する。このとき、基板分割領域2a以外の領域を覆う遮光手段11として一対の矩形の遮光板11a、1bを利用してもよい。遮光板11a、11bは互いに部分的に重なり合うように移動し、選択された基板分割領域以外の領域を遮蔽する。遮光手段11は、より多くの遮光板を組み合わせて構成することもできる。あるいはまた、光照射手段が複数の半導体発光素子を有するものとし、これら複数の半導体発光素子のうち、露光すべき基板分割領域に対応した半導体発光素子のみを選択して発光させるようにしてもよい。
【0040】
露光により、フォトマスク分割領域9aに描かれたパターンのみが基板分割領域2aに転写される。
【0041】
基板分割領域2aの露光が終了したら、基板分割領域2bとフォトマスク分割領域9bとの位置合わせに移行する(図6)。基板1とフォトマスク4とは接触したままである。今度は、基板分割領域2bにおける第二の基板位置合わせマーク3bとフォトマスク分割領域9bにおける第二のフォトマスク位置合わせマーク4bとの間のずれ量が4ヶ所それぞれで最小になるよう、第一の軸線回りの基板1およびフォトマスク4の湾曲量および第二の軸回りの基板1およびフォトマスク4の湾曲量が決定される。位置合わせが完了したら、基板分割領域2bの露光を行う。
【0042】
このようにして、基板分割領域2cの位置合わせおよび露光(図7)ならびに基板分割領域2dの位置合わせおよび露光(図8)を順次行う。基板分割領域2dの露光が終了すると、フォトマスク4のパターン面40に描かれたパターンの全体が基板1に転写されたことになる。それぞれの基板分割領域には、適正にスケーリングされたパターンが転写される。
【0043】
一方、各基板分割領域を画定する線分7aおよび7bは湾曲量に関わらずその位置が不変なので、それぞれの基板分割領域に転写されたパターンの連続性は維持される。
【0044】
次に、本発明による分割露光方法を実施するための分割露光装置について説明する。
【0045】
図9は本発明による分割露光装置の一実施態様の概略側断面図、図10は図9におけるA−A矢視図である。分割露光装置は、基板1を支持するための基板支持部材12と、フォトマスク4を支持するためのフォトマスク支持部材13とを備える。
【0046】
基板支持部材12は、感光層が形成された露光面2と反対側の基板1の面全体にわたって基板1を固定支持可能であり、また、自身が湾曲することによって基板1を湾曲させることができる。基板支持部材12の上面には、負圧源(図示せず)に接続された複数の真空吸引孔12aが設けられている。真空吸引孔12aからの真空吸引により、基板1は基板支持部材12の上面に吸着保持される。したがって、基板支持部材12を湾曲させるとき、基板1は基板支持部材12との間に相対的な位置ずれを生ずることなく、ともに湾曲することができる。
【0047】
基板支持部材12は、支柱14を介してベース部材15に支持されている。支柱14は、板ばね(図示せず)等を介して基板支持部材12の中央下面と接続しており、基板支持部材12が湾曲することを妨げない。
【0048】
フォトマスク支持部材13は、フレーム16と、押さえ板ばね17と、フレーム16と押さえ板ばね17との間を接続するスペーサ18と、コイルばね19と、位置規制ピン20とを備える。押さえ板ばね17は、フォトマスク4の周縁部をフレーム16に押しつけるようにして保持する一方で、フォトマスク4が湾曲するときにフォトマスク4の周縁部が押さえ板ばね17の偏倚力に抗して所定量移動することを許容する。コイルばね19および位置規制ピン20は、フォトマスク支持部材13の支持面内でのフォトマスク4の位置を規制する。
【0049】
分割露光装置はまた、フォトマスク4の全体領域と基板1の全体領域とを位置合わせするために基板支持部材12およびフォトマスク支持部材13の少なくとも一方をXYθ方向に移動させるための第一の移動手段(図示せず)と、フォトマスク4と基板1とを互いに接触および離反させるために基板支持部材12およびフォトマスク支持部材13の少なくとも一方を移動させるための第二の移動手段(図示せず)とを備える。これら第一および第二の移動手段は周知の構成を有しているので、詳細な説明は省略する。
【0050】
分割露光装置はさらに、基板1ならびにフォトマスク4にそれぞれ設けられた位置合わせマークを読み取るためのCCDカメラ30と、このCCDカメラ30をX方向(図9において左右方向)に移動させるためにベース部材に設けられたカメラX方向移動装置32およびCCDカメラ30をY方向(図9において紙面に垂直方向)に移動させるためにカメラX方向移動装置32に設けられたカメラY方向移動装置33とを備える。カメラX方向移動装置32およびカメラY方向移動装置33により、CCDカメラ30はフォトマスク4の上方においてX−Y平面内を自在に移動可能となっている。
【0051】
分割露光装置にはさらに、一方端をカメラY方向移動装置33に固定され、他方端をベース部材31に固定されたXシャッター34が設けられている。
【0052】
Xシャッター34は、X方向に沿って並べられた2枚の平板部材34a、34bを含む。2枚の平板部材34a、34bは、蝶番34cで相互に回動可能に連結され、折り畳み可能な構造とされている。平板部材34aとカメラY方向移動装置32との間、および、平板部材34bとベース部材31との間も、蝶番34dで相互に回動可能に連結されている。また、平板部材34aに隣接する平板部材34bの連結部分側の端部は、平板部材34aと平板部材34bとの間を通過する光を遮蔽するため、平板部材34a側に曲げられた遮光部34eを有している。
【0053】
また、カメラY方向移動装置33には、可能な限りフォトマスクに接近する領域まで延びるように設けられた鈎型シャッター部材34fが配置されている。鈎型シャッター34fは、Xシャッター34の一部を構成する。鈎型シャッター部材34fの先端部分は、CCDカメラ30側に向かって折り曲げられている。これにより、フォトマスク4の近傍領域において、平板部材34a、34bにより覆われた遮光領域へ光が回り込むのを防ぐことができる。さらに、平板部材34bには遮光部34eが設けられていることから、平板部材34aと平板部材34bとの間に隙間が生じた場合にも、この間の光を遮蔽することができ、確実に光の漏れを防止することができる。
【0054】
分割露光装置にはさらに、Y方向に移動可能な平板部材の形をしたYシャッター36が備えられている。Yシャッター36は、フォトマスク4と鈎型シャッター部材34fとの間に位置し、ベース部材31に設けられた移動装置36aによってY方向に移動することにより、Y方向に沿った領域を選択的に遮蔽する。
【0055】
Xシャッター34およびYシャッター36は、互いに協働して、露光すべき分割領域以外の部分を遮光する遮光手段を構成する。
【0056】
分割露光装置はさらに、基板支持部材12を基板1とともに第一の軸線方向回りに湾曲させるための第一の変形機構と、第二の軸線回りに湾曲させるための第二の変形機構とを備える。これら第一および第二の変形機構については以下に詳細に説明する。
【0057】
基板支持部材12は、基板1と同様、全体として四角形状をしており、前述した基板1の第一の対の辺1aおよび1bと同じ方向に延びる第一の対の側縁部21aおよび21bと、基板1の第二の対の辺1cおよび1dと同じ方向に延びる第二の対の側縁部21cおよび21dとを有している。
【0058】
第一の対の側縁部21a、21bのそれぞれに沿って、下方に延びる複数のロッド22が設けられている。同様にして、第二の対の側縁部21c、21dのそれぞれに沿って、下方に延びる複数のロッド23が設けられている。
【0059】
第一の変形機構は、第一の対の側縁部21a、21bのそれぞれの側においてベース部材15に載置された複数のアクチュエータ24と、これら複数のアクチュエータ24のロッド先端に取り付けられた力伝達バー25と、この力伝達バーに沿って複数設けられた力伝達ローラ26と、ローラ26から押圧力を下端に受ける上記ロッド22とを備えて構成される。
【0060】
同様にして第二の変形機構は、第二の対の側縁部21cおよび21dのそれぞれの側において設けられたアクチュエータ27と、力伝達バー28と、力伝達ローラ29と、ロッド23とを備えて構成される。
【0061】
第一の変形機構のアクチュエータ24を作動させ、力伝達バー25および力伝達ローラ26を介してロッド22の下端に押圧力を付与すると、基板支持部材12の第一の対の側縁部21a、21bに曲げモーメントが加えられ、基板支持部材12は基板1とともに湾曲する。このときの湾曲は、基板1の第一の対の辺1a、1bおよび基板支持部材12の第一の対の側縁部21a、21bと同じ方向に延びる第一の軸線(図示せず)の回りに生じる。このとき、基板1は、露光面2上の第一の線分7a(図1参照)の位置が第一の軸線回りの湾曲量に関わらずに変わらないように位置付けられている。
【0062】
同様にして第二の変形機構のアクチュエータ27を作動させ、基板支持部材12の第二の対の側縁部21c、21dに曲げモーメントを加えると、基板支持部材12および基板1は、基板1の第二の対の辺1c、1dおよび基板支持部材12の第二の対の側縁部21c、21dと同じ方向に延びる第二の軸線(図示せず)の回りに湾曲する。基板1は、露光面2上の第二の線分7b(図1参照)の位置が第二の軸線回りの湾曲量に関わらずに変わらないように位置付けられている。
【0063】
互いに対向するアクチュエータが作用する力は同等とされる。しかし、互いに隣接するアクチュエータが作用する力は異なるようにしてもよい。互いに隣接するアクチュエータが作用する力を異なるものとすると、力伝達バー25または28が傾斜し、第一の軸線または第二の軸線に沿った、基板支持部材12の側縁部の異なる位置で異なる値の曲げモーメントが生じる。その結果、第一の軸線または第二の軸線に沿って基板支持部材12および基板1の湾曲量を変えることができる。
【0064】
基板1とフォトマスク4とを均一に接触させた状態で、基板支持部材12を湾曲させると、相当の厚みを有するフォトマスク4のパターン面40(基板1に接している面)は中立軸から離れているため、このパターン面40に描かれたパターンおよび第二のフォトマスク位置合わせマーク4aないし4d間の寸法は、当初の寸法に対してスケーリングすなわち拡大または縮小される。一方、薄い基板1の露光面2に描かれた第二の基板位置合わせマーク3aないし3d間の寸法は変化しない。また、露光面2上の第一の線分7aおよび第二の線分7bの位置は、湾曲量がどの程度であっても、変わることはない。したがって、湾曲量を変えることによって、基板1とフォトマスク4との位置合わせが可能であり、位置合わせを基板分割領域ごとに行っても、隣接する基板分割領域どうしの連続性は維持される。
【0065】
次に、図11ないし図13を参照しながら、本発明の分割露光方法を、分割露光装置の動きとともに説明する。
【0066】
まず、図11に示すように、フォトマスク4の下方にある基板支持部材12上に基板1が投入され、吸着保持される。その後、CCDカメラ30が移動して基板1上の第一の基板位置合わせマーク8a〜8dおよびフォトマスク4上の第一のフォトマスク位置合わせマーク10a〜10dをその視野5に捉える(図3参照)。基板1とフォトマスク4とにおける第一の基板位置合わせマークと第一のフォトマスク位置合わせマーク間のずれ量が4ヶ所で平均化されるよう、基板支持部材12およびフォトマスク支持部材13の少なくとも一方が、第一の移動手段(図示せず)によって互いに相対的にXYθ方向に移動される。ずれ量が平均化された時点で、基板1とフォトマスク4との全体的な位置合わせが終了する。
【0067】
次に、第二の移動装置(図示せず)によって、基板支持部材12およびフォトマスク支持部材13の少なくとも一方が互いに相対的に垂直方向(Z方向)に移動され、基板1とフォトマスク4とが互いに均一に接触せしめられる。基板1とフォトマスク4とが密着した後、双方の間の全体的な位置合わせがCCDカメラ30によって再度確認される。十分な精度で位置合わせができていなければ、位置合わせ作業をやり直す。
【0068】
全体的な位置合わせが良好であることが確認されたら、CCDカメラ30は、最初に露光すべき基板分割領域へと移動する。CCDカメラ30は、ベース31に設けられたカメラX方向移動装置32に沿って、カメラY方向移動装置33とともにX方向(図12において左右方向)に移動する。また、CCDカメラ30は、カメラY方向移動装置33に沿ってY方向(図12において紙面に垂直な方向)に移動する。
【0069】
CCDカメラ30がX方向に移動するとき、Xシャッター34(折り畳み可能な一対の平板部材34a、34bおよび鈎型シャッター部材34f)がCCDカメラ30とともにX方向に移動する。一方、Yシャッター36はCCDカメラ30とは独立してY方向に移動することができる。
【0070】
最初に露光すべき基板分割領域2aへと移動したCCDカメラ30は、基板1の第二の位置合わせマーク3aとフォトマスク4の第二の位置合わせマーク4aとを4ヶ所で検出する。検出されたデータを基に、それぞれの位置にて第二の位置合わせマーク間のずれ量が演算される。各位置でのずれ量を最小にするためには基板支持部材12(ならびに基板1およびフォトマスク4)を第一の軸線の回りにどれだけ湾曲させたらいいか、また、第二の軸線の回りにどれだけ湾曲させたらいいかが計算され、決定される。決定された湾曲量に基づき、制御装置(図示せず)が第一の変形機構のアクチュエータ24および/または第二の変形機構のアクチュエータ27を作動させ、基板支持部材12を所望の程度だけ湾曲させる(図12)。
【0071】
このようにして基板分割領域2aとフォトマスク分割領域9aとの位置合わせが完了したら、基板分割領域2aのみを紫外線37等で露光する段階に移行する。CCDカメラ30とともにX方向に移動するXシャッター34は、この時点で、鈎型シャッター部材34fの先端縁がY方向に沿った分割領域の境界と整合するよう、カメラX方向移動装置32によって、位置を調整される。CCDカメラ30は、露光時に邪魔にならないように単独でカメラY方向移動装置33によってY方向に移動し、基板分割領域2aの外側の位置で待機する。Yシャッター部材36は、Y方向に移動し、その縁がX方向に沿った分割領域の境界と整合するように位置決めされる。光源(図示せず)と遮光手段(Xシャッター34およびYシャッター36)とは光照射手段を構成する。基板分割領域2a以外の領域が遮蔽されたら、紫外線37等で基板分割領域2aを照射し、露光を完了する。
【0072】
基板分割領域2aにおける位置合わせおよび露光が完了したら、続いて基板分割領域2b、2cおよび2dにおける位置合わせおよび露光を順次行う。
【0073】
すべての基板分割領域について露光が終了した時点で、基板1には適正にスケーリングされたパターンが転写されることになる。
【0074】
本実施態様で示した遮光手段は例示に過ぎず、他の構成のものを利用することもできる。例えば遮光板はカメラとは独立して移動可能とすることができる。また、複数の遮光板を、本実施態様とは異なる態様で組み合わせて使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の露光方法に用いられる基板の平面図。
【図2】本発明の露光方法に用いられるフォトマスクの平面図。
【図3】基板とフォトマスクとを互いに対向して配置した平面図。
【図4】基板とフォトマスクとが全体的に位置合わせされた状態を示す平面図。
【図5】最初の基板分割領域を位置合わせした状態を示す平面図。
【図6】2番目の基板分割領域を位置合わせした状態を示す平面図。
【図7】3番目の基板分割領域を位置合わせした状態を示す平面図。
【図8】最後の基板分割領域を位置合わせした状態を示す平面図。
【図9】本発明における露光装置の概略側断面図。
【図10】図9におけるA−A矢視図。
【図11】本発明の露光装置により基板とフォトマスクとを全体的に位置合わせする状態を示す概略側断面図。
【図12】本発明の露光装置により基板とフォトマスクとを互いに密着させ、基板支持部材を湾曲している状態を示す概略側断面図。
【図13】本発明の露光装置により分割領域を露光する状態を示す概略側断面図。
【符号の説明】
【0076】
1 基板、1aおよび1b 基板の第一の対の辺、1cおよび1d 基板の第二の対の辺、2 露光面、2a〜2d 分割領域、3a〜3d 基板の第二の位置合わせマーク、4 フォトマスク、4a〜4d フォトマスクの第二の位置合わせマーク、5 カメラの視野、6 遮蔽板、7a 第一の線分、7b 第二の線分、8a〜8d 基板の第一の位置合わせマーク、9a〜9d フォトマスク分割領域、10a〜10d フォトマスクの第一の位置合わせマーク、11 遮光手段、11a 遮光板、11b 遮光板、12 基板支持部材、12a 真空吸引孔、13 フォトマスク支持部材、14 支柱、15 ベース部材、16 フレーム、17 押さえ板ばね、18 スペーサ、19 コイルばね、20 位置規制ピン、21aおよび21b 基板支持部材の第一の対の側縁部、21cおよび21d 基板支持部材の第二の対の側縁部、22 ロッド、23 ロッド、24 アクチュエータ、25 力伝達バー、26 力伝達ローラ、27 アクチュエータ、28 力伝達バー、29 力伝達ローラ、30 CCDカメラ、31 ベース、32 カメラX方向移動装置、33 カメラY方向移動装置、34 Xシャッター、34a 平板部材、34b 平板部材、34c 蝶番、34d 蝶番、34e 遮光部、34f 鈎型シャッター部材、36 Yシャッター部材、37 紫外線、40 パターン面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光層が形成された基板の露光面を複数の基板分割領域に区分し、パターンが描かれたフォトマスクのパターン面を前記基板分割領域のそれぞれに対応するようにして複数のフォトマスク分割領域に区分し、前記フォトマスク分割領域を通して光を照射することによって、前記基板分割領域ごとに前記フォトマスク分割領域に描かれたパターンを転写する分割露光方法において、
前記基板を該基板の互いに対向する第一の対の辺と同じ方向に延びる第一の軸線回りに湾曲させたときに、その湾曲量に関わらずに位置が不変である前記露光面上の第一の線分、および/または、前記基板を該基板の互いに対向する第二の対の辺と同じ方向に延びる第二の軸線回りに湾曲させたときに、その湾曲量に関わらずに位置が不変である前記露光面上の第二の線分によって、前記基板分割領域は画定されており、
前記露光面上の前記第一の線分および/もしくは前記第二の線分上の位置、ならびに、該位置に対応する前記パターン面上の位置には、複数の第一の基板位置合わせマークならびに複数の第一のフォトマスク位置合わせマークがそれぞれ設けられており、
前記基板分割領域の各々における複数位置、ならびに、該複数位置に対応する前記フォトマスク分割領域の各々における複数位置には、第二の基板位置合わせマークならびに第二のフォトマスク位置合わせマークがそれぞれ設けられており、
前記露光方法は、
(1)前記フォトマスクの前記パターン面が前記基板の前記露光面を覆うようにして、該フォトマスクを前記基板に対向させて配置する段階と、
(2)前記第一の基板位置合わせマークと前記第一のフォトマスク位置合わせマークを利用して、前記フォトマスクおよび/または前記基板をXYθ方向に相対移動させることにより、前記フォトマスクの全体領域と前記基板の全体領域とを位置合わせする段階と、
(3)前記フォトマスクと前記基板とを均一に接触させる段階と、
(4)前記フォトマスクと前記基板とを接触させたまま、前記第二の基板位置合わせマークと前記第二のフォトマスク位置合わせマークとを利用して、前記基板分割領域ごとに前記フォトマスクと前記基板とを位置合わせし且つ露光する段階と、
を含み、
前記基板分割領域ごとに位置合わせし且つ露光する前記段階が、
i)前記基板および前記フォトマスクを、前記第一の軸線回りおよび/または前記第二の軸線回りに湾曲させることにより、前記フォトマスクに描かれたパターン寸法を実質的に変化させ、前記第二の基板位置合わせマークと前記第二のフォトマスク位置合わせマークを利用して、一つの前記基板分割領域とこれに対応する一つの前記フォトマスク分割領域とを位置合わせする段階と、
ii)前記一つのフォトマスク分割領域を通して前記一つの基板分割領域に光を照射することにより、前記一つのフォトマスク分割領域に描かれたパターンを前記一つの基板分割領域上に転写する段階と、
iii)前記フォトマスクと前記基板とを接触させたまま、前記段階i)および前記段階ii)を他の前記基板分割領域のそれぞれについて行う段階と、
を含んでいる、
分割露光方法。
【請求項2】
請求項1に記載の分割露光方法において、
前記第一の基板位置合わせマークのそれぞれは、前記第一の線分または前記第二の線分を挟むようにして配置された2つのマーク要素によって構成されていることを特徴とする、
分割露光方法。
【請求項3】
請求項2に記載の分割露光方法において、
前記マーク要素が前記第二の基板位置合わせマークの一部を兼ねていることを特徴とする、
分割露光方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の分割露光方法において、
前記フォトマスクの全体領域と前記基板の全体領域とを前記第一の基板位置合わせマークおよび前記第一のフォトマスク位置合わせマークを利用して位置合わせする前記段階は、前記第一の基板位置合わせマークおよび前記第一のフォトマスク位置合わせマークをマーク検出手段によって検出し、検出したデータを基に、前記第一の基板位置合わせマークおよび前記第一のフォトマスク位置合わせマーク間のずれ量を演算し、この演算結果に従って、前記基板および前記フォトマスクの少なくとも一方を他方に対して移動させることによって行われ、
前記第二の基板位置合わせマークと前記第二のフォトマスク位置合わせマークとを利用して、前記基板分割領域ごとに前記フォトマスクと前記基板とを位置合わせする前記段階は、
前記基板と前記フォトマスクとを均一に接触させた状態で、それぞれの基板分割領域ごとに、前記第二の基板位置合わせマークおよび前記第二のフォトマスク位置合わせマークを前記マーク検出手段によって検出し、検出したデータを基に、前記第二の基板位置合わせマークおよび前記第二のフォトマスク位置合わせマーク間のずれ量を演算し、この演算結果に従って前記第一の軸線回りの湾曲量および/または前記第二の軸線回りの湾曲量を決定し、該決定された湾曲量だけ前記基板および前記フォトマスクを湾曲させることによって行われることを特徴とする、
露光方法。
【請求項5】
請求項4に記載の分割露光方法において、
前記マーク検出手段がCCDカメラであることを特徴とする、
露光方法。
【請求項6】
感光層が形成された基板の露光面を複数の基板分割領域に区分し、パターンが描かれたフォトマスクのパターン面を前記基板分割領域のそれぞれに対応するようにして複数のフォトマスク分割領域に区分し、前記フォトマスク分割領域を通して光を照射することによって、前記基板分割領域ごとに前記フォトマスク分割領域に描かれたパターンを転写する分割露光方法に用いられる分割露光装置であって、
前記露光面と反対側の前記基板の面全体にわたって前記基板を固定支持するための基板支持部材にして、自身が湾曲することによって前記基板を湾曲させることができる基板支持部材と、
前記パターン面が前記露光面に対向するように前記フォトマスクを支持するためのフォトマスク支持部材と、
前記フォトマスクと前記基板とを位置合わせするために前記基板支持部材および前記フォトマスク支持部材の少なくとも一方を移動させる第一の移動手段と、
前記フォトマスクと前記基板とを互いに接触および離反させるために前記基板支持部材および前記フォトマスク支持部材の少なくとも一方を移動させる第二の移動手段と、
前記基板が、該基板の互いに対向する第一の対の辺と同じ方向に延びる第一の軸線回りに所望量湾曲するよう、前記基板支持部材の、互いに対向する第一の対の側縁部に作用して該基板支持部材を湾曲させるための第一の変形機構と、
前記基板が、該基板の互いに対向する第二の対の辺と同じ方向に延びる第二の軸線回りに所望量湾曲するよう、前記基板支持部材の、互いに対向する第二の対の側縁部に作用して該基板支持部材を湾曲させるための第二の変形機構と、
を備え、
前記第一の変形機構は、前記第一の軸線回りの前記基板の湾曲量に関わらずに位置が不変である第一の線分を前記露光面上に画定するように前記基板支持部材を湾曲するようになされており、
前記第二の変形機構は、前記第二の軸線回りの前記基板の湾曲量に関わらずに位置が不変である第二の線分を前記露光面上に画定するように前記基板支持部材を湾曲するようになされており、
前記第一および第二の変形機構の作動を制御する制御手段にして、前記第一の線分及び前記第二の線分によって区分される複数の前記基板分割領域に対応する複数のフォトマスク分割領域ごとに、前記パターンを所望の寸法に実質変化させるよう前記基板支持部材の湾曲を制御、ひいては前記基板の湾曲を制御する制御手段と、
それぞれの前記基板分割領域毎に、前記フォトマスク分割領域を通して前記露光面に光を照射するための光照射手段と、
をさらに備えている、分割露光装置。
【請求項7】
請求項6に記載の分割露光装置において、
前記光照射手段が、露光する前記基板分割領域以外の部分を遮光する遮光手段を有する、
分割露光装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の分割露光装置において、
前記光照射手段は複数の半導体発光素子を有し、前記光照射手段は、前記複数の半導体発光素子のうち、露光すべき前記基板分割領域に対応した半導体発光素子のみを選択発光できる機能を有する、
分割露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−283857(P2009−283857A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136994(P2008−136994)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000106162)サンエー技研株式会社 (19)
【Fターム(参考)】