説明

分散電源の単独運転検出装置

【課題】 単独運転の不検出の可能性を低減させて、単独運転検出の信頼性を高める。
【解決手段】 この単独運転検出装置20は、いずれも商用電力系統6と分散電源14との連系点Pにおける高調波のアドミタンス変化率RYn を算出するアドミタンス変化率演算回路36と、電圧変化率RVn を算出する電圧変化率演算回路38と、電流変化率RIn を算出する電流変化率演算回路40とを備えている。更に、アドミタンス変化率RYn が判定値αよりも小さいときにアドミタンス変化検出信号SYn を出力するアドミタンス変化率判定回路42と、電圧変化率RVn が判定値βよりも小さいときに電圧変化検出信号SVn を出力する電圧変化率判定回路44と、電流変化率RIn が判定値γよりも大きいときに電流変化検出信号SIn を出力する電流変化率判定回路46と、各検出信号の論理和を取って単独運転検出信号DS0 を出力する論理和回路48とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商用電力系統に連系している分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分散電源が単独運転になったことを検出する方式には、大別して、受動的方式および能動的方式がある(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
受動的方式に属する技術の一つとして、特許文献1には、商用電力系統と分散電源との連系点における複数個の次数(但しいずれも3次以上の奇数次)の高調波アドミタンスを測定し、かつ当該各高調波アドミタンスの、所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す変化率をそれぞれ判定して、分散電源の単独運転を検出する単独運転検出装置が記載されている。
【0004】
上記特許文献1に記載の技術は、より具体的には、上記複数個の次数の内の少なくとも一つの次数の高調波アドミタンスの変化率が所定のしきい値(判定値)よりも小さくなったときに、分散電源が単独運転であると判定するものである。
【0005】
高調波アドミタンスの値そのものや、高調波アドミタンスの変化量を判定する場合は、元の高調波アドミタンスの大きさに応じて判定値を変えなければならないのに対して、高調波アドミタンスの変化率を判定する場合は、元の高調波アドミタンスの大小に依らずに、判定値を一定にすることができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4231849号公報(段落0009−0011、0025、図1)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「分散型電源系統連系技術指針(電気技術指針分散型電源系統連系編)」、JEAG 9701−2001、社団法人日本電気協会 分散型電源系統連系専門部会、平成14年4月15日第3版第2刷発行、38−45頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載の技術のように、高調波アドミタンスの変化率の判定だけでは、商用電力系統側、分散電源側および単独運転発生後に残る負荷側の高調波源の大きさ等によっては、単独運転の不検出(即ち、単独運転が発生しているのにそれを検出することができないこと)の可能性が高くなる、という課題のあることが分かった。これを図1〜図8を参照して詳述する。
【0009】
図1に示すように、系統電源6および変電所の遮断器8を含む商用電力系統10に、一般の負荷12および分散電源14が接続されている系統を取り上げる。Pは商用電力系統10と分散電源14との連系点である。
【0010】
図1の系統の、電流源表示を用いて示す等価回路図を図2〜図6に示す。これらの図において、(A)は遮断器8が閉じていて分散電源14の単独運転発生前を示し、(B)は遮断器8が開放されて分散電源14の単独運転発生後を示す。
【0011】
ここで、高調波の次数をnとすると、各符号の意味は次のとおりである。なお、この出願において、各符号に付した添字nは、上記次数nを表している。
Isn :系統電源6側の高調波電流源
Ysn :系統電源6側の高調波アドミタンス
Ln:負荷12側の高調波電流源
Ln:負荷12側の高調波アドミタンス
Idn :分散電源14側の高調波電流源
Ydn :分散電源14側の高調波アドミタンス
【0012】
なお、一般的に系統電源6側の高調波源は電圧源で表示されるが(図7参照)、ここでは電流源表示の方が説明が分かりやすいので電流源表示にしている。
【0013】
(1−1)Idn >Isn ,ILnの場合:図3
(A)単独運転発生前は、高調波アドミタンスは、一般的にYLn、Ydn よりもYsn の方が大きいため、図3(A)に示すように、高調波電流In は分散電源14側から系統電源6側へ流れる。従って、連系点Pから見た高調波アドミタンスはほぼYsn となる。
【0014】
(B)単独運転発生後は、Idn がILnに比べて大きいために、図3(B)に示すように、高調波電流In は分散電源14側から負荷12側へと流れ、連系点Pから見た高調波アドミタンスはほぼYLnへと変化する。
【0015】
高調波アドミタンスが所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を示すアドミタンス変化率RYn は、所定時間(例えば0.3秒〜0.5秒程度)前の高調波アドミタンスをYnp、現在の高調波アドミタンスをYn とすると、例えば、次式で表すことができる。
【0016】
[数1]
RYn =(Yn −Ynp)/Ynp
=(Yn /Ynp)−1
【0017】
従って単独運転発生時は、アドミタンス変化率RYn は次式で表され、一般的にYsn よりもYLnの方が小さいので、単独運転発生時はアドミタンス変化率RYn は小さくなり、それが所定のアドミタンス変化率判定値αより小さくなったことを判定することによって、単独運転を検出することができる。
【0018】
[数2]
RYn =(Yn /Ynp)−1
=(YLn/Ysn )−1<α
【0019】
(1−2)Idn ≒ILn>Isn の場合:図4
(A)単独運転発生前は、高調波アドミタンスは、一般的にYLn、Ydn よりもYsn の方が大きいため、図4(A)に示すように、高調波電流In は分散電源14側から系統電源6側へ流れる。従って、連系点Pから見た高調波アドミタンスはほぼYsn となる。
【0020】
(B)単独運転発生後は、Idn とILnとがほぼ等しいために、図4(B)に示すように、高調波電流In は分散電源14側と負荷12側との間で循環電流として流れる可能性があり、その際は連系点Pに高調波電圧が発生しないので、高調波アドミタンスYn は非常に大きく(∞近くに)なり、次式のようにアドミタンス変化率RYn も増大するため、アドミタンス変化率RYn によっては単独運転を検出することはできない。これは、本来は、アドミタンス変化率RYn が小さくなったことによって単独運転検出を行うからである。
【0021】
[数3]
RYn =(Yn /Ynp)−1
=(∞/Ysn )−1>α
【0022】
(1−3)ILn>Idn >Isn の場合:図5
(A)単独運転発生前は、高調波アドミタンスは、一般的にYLn、Ydn よりもYsn の方が大きいため、図5(A)に示すように、高調波電流In は分散電源14側から系統電源6側へ流れる。従って、連系点Pから見た高調波アドミタンスはほぼYsn となる。
【0023】
(B)単独運転発生後は、Idn よりもILnが大きいために、図5(B)に示すように、高調波電流In は負荷12側から分散電源14側へと流れ、連系点Pから見た高調波アドミタンスはほぼYdn へと変化する。従ってアドミタンス変化率RYn は次式で表される。
【0024】
[数4]
RYn =(Yn /Ynp)−1
=(Ydn /Ysn )−1
【0025】
ここで、Ysn >Ydn であれば、アドミタンス変化率RYn は小さくなるので単独運転検出は可能であるが、実系統においては必ずしもそうではない。Ysn ≦Ydn であれば、アドミタンス変化率RYn は小さくならないために単独運転検出を行うことはできない。
【0026】
(1−4)Isn >ILn>Idn の場合:図6
(A)単独運転発生前は、系統電源6側の高調波電流源Isn が大きいため、図6(A)に示すように、高調波電流In は系統電源6側から分散電源14側へ流れる。従って、連系点Pから見た高調波アドミタンスはほぼYdn となる。
【0027】
(B)単独運転発生後は、図6(B)に示すように、高調波電流In は負荷12側から分散電源14側へと流れ、連系点Pから見た高調波アドミタンスは、単独運転発生前と同じくほぼYdn となる。従って、単独運転発生前後で高調波アドミタンスの変化は殆どないので、高調波アドミタンスの変化率RYn によっては単独運転検出を行うことはできない。
【0028】
単独運転検出を行うことができない場合を数値化して把握するために、単独運転不検出割合を計算した結果の一例を、図7〜図8を参照して説明する。
【0029】
この計算は、図7に示すように、図1の系統を電圧源表示を用いて示した等価回路に基づいて行った。電圧源表示を用いたのは、系統側高調波電圧源Vsn と分散電源側高調波電圧源Vdn とが拮抗すると(即ち両者の比率がほぼ1のとき)、連系点Pに高調波電流In が流れなくなり、高調波アドミタンスYn を測定することが困難になることが直観的に分かりやすくなる等の理由による。
【0030】
なお、電流源+並列アドミタンスと、電圧源+直列インピーダンスとが互いに等価であることは、即ち図2と図7とが互いに等価であることは、交流回路網に関する書籍によく記載されており、周知事項である。
【0031】
図7中の各符号の意味は次のとおりである。
Vsn :系統電源6側の高調波電圧源
Zsn :系統電源6側の高調波インピーダンス=1/Ysn
Ln:負荷12側の高調波電圧源
Ln:負荷12側の高調波インピーダンス=1/YLn
Vdn :分散電源14側の高調波電圧源
Zdn :分散電源14側の高調波インピーダンス=1/Ydn
【0032】
単独運転不検出割合は、図7に示す回路において、Zsn =0.1、ZLn=4、Zdn =1、Vdn =1と条件設定して、かつ上記アドミタンス変化率判定値αを−0.3として、特定のVsn 、VLnの大きさ設定でそれぞれの位相を10度ごとに色々変えた合計1296(=36×36)ケースで、単独運転不検出となるケースを列挙し、その全体ケースに占める割合を計算して求めた。
【0033】
そして、VLn=1.0×Vdn の場合の、Vsn の変化に対する単独運転不検出割合のグラフを図8に示す。この図において、従来例は、上述した高調波アドミタンスの変化率RYn の判定だけで単独運転検出を行った場合であり、不検出割合は最悪で約18%近くにも達する。実施例については後述する。
【0034】
そこでこの発明は、単独運転の不検出の可能性を低減させて、単独運転検出の信頼性を高めることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0035】
この発明に係る単独運転検出装置の一つは、商用電力系統に連系している分散電源が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号(DS)を出力する単独運転検出装置において、前記商用電力系統と分散電源との連系点における3次以上の奇数次の高調波アドミタンスが所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表すアドミタンス変化率(RYn )を演算して出力するアドミタンス変化率演算回路と、前記連系点における3次以上の奇数次の高調波電圧が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電圧変化率(RVn )を演算して出力する電圧変化率演算回路と、前記連系点における3次以上の奇数次の高調波電流が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電流変化率(RIn )を演算して出力する電流変化率演算回路と、前記アドミタンス変化率(RYn )を所定のアドミタンス変化率判定値(α)と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表すアドミタンス変化検出信号(SYn )を出力するアドミタンス変化率判定回路と、前記電圧変化率(RVn )を所定の電圧変化率判定値(β)と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す電圧変化検出信号(SVn )を出力する電圧変化率判定回路と、前記電流変化率(RIn )を所定の電流変化率判定値(γ)と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す電流変化検出信号(SIn )を出力する電流変化率判定回路と、前記アドミタンス変化検出信号(SYn )、電圧変化検出信号(SVn )および電流変化検出信号(SIn )の論理和を取って、当該三つの検出信号の内の少なくとも一つが出力されているときに前記単独運転検出信号(DS)を出力する論理和回路とを備えていることを特徴としている。
【0036】
この単独運転検出装置によれば、詳細説明は後述するけれども、次の作用を奏する。
【0037】
(1)分散電源側の高調波源が大きい場合は、上記アドミタンス変化検出信号(SYn )によって、分散電源の単独運転を検出することができる。
【0038】
(2)系統電源側の高調波源が大きい場合、および、負荷側と分散電源側の高調波源がほぼ等しい場合は、上記電圧変化検出信号(SVn )によって、分散電源の単独運転を検出することができる。
【0039】
(3)負荷側の高調波源が大きい場合は、上記電流変化検出信号(SIn )によって、分散電源の単独運転を検出することができる。
【0040】
そして、上記アドミタンス変化検出信号(SYn )、電圧変化検出信号(SVn )および電流変化検出信号(SIn )の論理和を取って、当該三つの検出信号の内の少なくとも一つが出力されているときに単独運転検出信号(DS)を出力する構成であるので、各高調波源の大きさの関係が変化しても、殆どの場合は上記(1)〜(3)のいずれかによって単独運転検出が可能である。その結果、単独運転の不検出の可能性を低減させて、単独運転検出の信頼性を高めることができる。
【0041】
アドミタンス変化率、電圧変化率および電流変化率の判定を、それぞれ、第1の次数(例えば5次)および第1の次数とは異なる第2の次数(例えば7次)について行う構成を採用すると共に、第1の次数についてのアドミタンス変化検出信号(SY5 )、電圧変化検出信号(SV5 )および電流変化検出信号(SI5 )の3検出信号と、第2の次数についてのアドミタンス変化検出信号(SY7 )、電圧変化検出信号(SV7 )および電流変化検出信号(SI7 )の3検出信号との全ての組み合わせである9通りの論理積を取る複数の論理積回路と、当該複数の論理積回路からの出力信号の論理和を取って、当該出力信号の内の少なくとも一つが出力されているときに単独運転検出信号(DS)を出力する論理和回路とを備えていても良い。
【0042】
上記第1の次数および第2の次数についてのアドミタンス変化率(RY5 、RY7 )、電圧変化率(RV5 、RV7 )および電流変化率(RI5 、RI7 )の判定を、それぞれ、大小2段階の判定値を用いて行う構成を採用しても良い。
【発明の効果】
【0043】
請求項1に記載の発明によれば、アドミタンス変化率(RYn )による単独運転判定、電圧変化率(RVn )による単独運転判定および電流変化率(RIn )による単独運転判定を併用して単独運転検出を行う構成であるので、分散電源側、系統電源側および負荷側の各高調波源の大きさの関係が変化しても、殆どの場合は単独運転検出が可能である。その結果、単独運転の不検出の可能性を低減させて、単独運転検出の信頼性を高めることができる。
【0044】
請求項2に記載の発明によれば、アドミタンス変化率(RYn )による単独運転判定、電圧変化率(RVn )による単独運転判定および電流変化率(RIn )による単独運転判定を組み合わせて単独運転検出を行う構成であるので、分散電源側、系統電源側および負荷側の各高調波源の大きさの関係が変化しても、殆どの場合は単独運転検出が可能である。その結果、単独運転の不検出の可能性を低減させて、単独運転検出の信頼性を高めることができる。
【0045】
しかも、第1の次数についてのアドミタンス変化率(RY5 )による単独運転判定、電圧変化率(RV5 )による単独運転判定および電流変化率(RI5 )による単独運転判定と、第2の次数についてのアドミタンス変化率(RY7 )による単独運転判定、電圧変化率(RV7 )による単独運転判定および電流変化率(RI7 )による単独運転判定とをそれぞれ組み合わせて、互いに異なる二つの次数のAND条件で単独運転検出を行う構成であるので、単独運転検出を慎重に行って、不要検出(即ち、単独運転でないのに単独運転と誤検出すること)を抑制することができる。その結果、単独運転検出の信頼性をより高めることができる。
【0046】
請求項3、4に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の上記効果と同様の効果を奏することに加えて次の効果を奏する。即ち、上記第1の次数および第2の次数についてのアドミタンス変化率(RY5 、RY7 )、電圧変化率(RV5 、RV7 )および電流変化率(RI5 、RI7 )の判定を、それぞれ、大小2段階の判定値を用いて行う構成を採用しているので、第1の次数と第2の次数の各変化率の内のどちらか一方の次数の変化率が相対的に大きく変化し、かつ他方の次数の変化率が相対的に小さい場合でも単独運転検出が可能になり、それによって不検出の可能性をより低減させることができるので、単独運転検出の信頼性をより高めることができる。
【0047】
請求項5、6に記載の発明によれば、請求項3、4に記載の発明の上記効果と同様の効果を奏すると共に、次の効果を奏する。即ち、シミュレーション等の結果から、上記第1の次数および第2の次数についての電流変化率(RI5 、RI7 )は、単独運転発生時に比較的大きく変化することが確かめられたので、これらの電流変化率の判定は一つの判定値(γ1 )を用いて行う構成を採用しても良いことが分かった。そしてこのような構成を採用することによって、回路構成の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】商用電力系統に分散電源が連系している系統の一例を簡略化して示す単線接続図である。
【図2】図1の系統を電流源表示を用いて示す等価回路図であり、(A)は単独運転発生前、(B)は単独運転発生後を示す。
【図3】図2に示す回路において、Idn >Isn ,ILnの場合に連系点Pを流れる主な高調波電流の様子を示す図であり、(A)は単独運転発生前、(B)は単独運転発生後を示す。
【図4】図2に示す回路において、Idn ≒ILn>Isn の場合に連系点Pを流れる主な高調波電流の様子を示す図であり、(A)は単独運転発生前、(B)は単独運転発生後を示す。
【図5】図2に示す回路において、ILn>Idn >Isn の場合に連系点Pを流れる主な高調波電流の様子を示す図であり、(A)は単独運転発生前、(B)は単独運転発生後を示す。
【図6】図2に示す回路において、Isn >ILn>Idn の場合に連系点Pを流れる主な高調波電流の様子を示す図であり、(A)は単独運転発生前、(B)は単独運転発生後を示す。
【図7】図1の系統を電圧源表示を用いて示す等価回路図であり、(A)は単独運転発生前、(B)は単独運転発生後を示す。
【図8】単独運転不検出割合を計算した結果の一例を示すグラフである。
【図9】この発明に係る単独運転検出装置の一実施形態を商用電力系統の一例と共に示す図である。
【図10】この発明に係る単独運転検出装置の他の実施形態を示すブロック図であり、この図において同じ符号a〜f同士は互いにつながっている。
【図11】この発明に係る単独運転検出装置の更に他の実施形態の主要部を示すブロック図であり、この図において同じ符号a〜l同士は互いにつながっている。
【図12】この発明に係る単独運転検出装置の更に他の実施形態の主要部を示すブロック図であり、この図において同じ符号a〜j同士は互いにつながっている。
【図13】小水力発電所に、この発明に係る単独運転検出装置を設置して単独運転発生試験を実施したときの各種信号の波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図9に、この発明に係る単独運転検出装置の一実施形態を商用電力系統の一例と共に示す。図1中の要素と同一または相当する部分には同一符号を付している。
【0050】
この例の商用電力系統10も、基本的には図1に示した商用電力系統10と同様の構成をしているので、その等価回路は、図2〜図7に示した等価回路と同じである。従ってそれらを参照するものとする。
【0051】
(I)単独運転検出装置20における検出原理の説明
図9中の単独運転検出装置20は、簡単に言えば、前述したアドミタンス変化率RYn による単独運転検出、電圧変化率RVn による単独運転検出、および、電流変化率RIn による単独運転検出をOR条件で併用するものである。
【0052】
まず、この単独運転検出装置20における単独運転検出の原理について、先に説明した図3〜図6を再び参照して、先の説明との相違点(即ち、この単独運転検出装置20における特徴事項)を主体に説明する。
【0053】
(2−1)Idn >Isn ,ILnの場合:図3
この場合は、先に(1−1)項において説明したのと同様に、アドミタンス変化率RYn が所定のアドミタンス変化率判定値αより小さくなったことを判定することによって、分散電源14の単独運転を検出することができる。
【0054】
(2−2)Idn ≒ILn>Isn の場合:図4
この場合は、先に(1−2)項において説明したように、アドミタンス変化率RYn が所定のアドミタンス変化率判定値αより小さくなったことを判定することによっては、分散電源14の単独運転を検出することはできない。
【0055】
これに対して、この単独運転検出装置20では、アドミタンス変化率RYn の判定に加えて、高調波電圧が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を示す電圧変化率RVn の判定を採用している。この電圧変化率RVn は、所定時間(例えば0.3秒〜0.5秒程度)前の高調波電圧をVnp、現在の高調波電圧をVn とすると、例えば、次式で表すことができる。
【0056】
[数5]
RVn =(Vn −Vnp)/Vnp
=(Vn /Vnp)−1
【0057】
単独運転発生後は、図4(B)を参照して先に説明したように、高調波電流In が循環電流として流れて連系点Pに高調波電圧Vn が発生せず高調波電圧Vn はほぼ0になるので、次式のように電圧変化率RVn が小さくなり、それが所定の電圧変化率判定値βより小さくなったことを判定することによって、分散電源14の単独運転を検出することができる。
【0058】
[数6]
RVn =(Vn /Vnp)−1
=(0/Vnp)−1
=−1<β
【0059】
(2−3)ILn>Idn >Isn の場合:図5
この場合は、先に(1−3)項において説明したように、アドミタンス変化率RYn が所定のアドミタンス変化率判定値αより小さくなったことを判定することによっては、分散電源14の単独運転検出を行うことができる場合と行うことができない場合とがある。
【0060】
これに対して、この単独運転検出装置20では、アドミタンス変化率RYn 等の判定に加えて、高調波電流が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を示す電流変化率RIn の判定を採用している。この電流変化率RIn は、所定時間(例えば0.3秒〜0.5秒程度)前の高調波電流をInp、現在の高調波電流をIn とすると、例えば、次式で表すことができる。
【0061】
[数7]
RIn =(In −Inp)/Inp
=(In /Inp)−1
【0062】
単独運転発生後は、図5(B)を参照して先に説明したように、連系点Pを流れる高調波電流In はIdn からILnへと増加するので、次式のように電流変化率RIn が大きくなり、それが所定の電流変化率判定値γより大きくなったことを判定することによって、分散電源14の単独運転を検出することができる。
【0063】
[数8]
RIn =(In /Inp)−1
=(ILn/Idn )−1>γ
【0064】
(2−4)Isn >ILn>Idn の場合:図6
この場合は、先に(1−4)項において説明したように、アドミタンス変化率RYn の判定によっては、分散電源14の単独運転を検出することはできない。
【0065】
これに対してこの単独運転検出装置20では、アドミタンス変化率RYn 等の判定に加えて、上記電圧変化率RVn の判定を採用している。単独運転発生の前後を見ると、図6を参照して先に説明したように、単独運転発生前の高調波電圧Vnpは数9となり、単独運転発生後の高調波電圧Vn は数10となる。
【0066】
[数9]
np=Isn /Ydn
【0067】
[数10]
n =ILn/Ydn
【0068】
ここではIsn >ILnのため、電圧変化率RVn は次式となり、単独運転発生後は小さくなるので、それが所定の電圧変化率判定値βより小さくなったことを判定することによって、分散電源14の単独運転を検出することができる。
【0069】
[数11]
RVn =(Vn /Vnp)−1
=(ILn/Isn )−1<β
【0070】
以上をまとめると、即ちこの単独運転検出装置20における単独運転検出の原理をまとめると、次のとおりである。
【0071】
(1)分散電源14側の高調波源が大きい場合は、アドミタンス変化率RYn の上記判定によって、分散電源14の単独運転を検出することができる。
【0072】
(2)系統電源6側の高調波源が大きい場合、および、負荷12側と分散電源14側の高調波源がほぼ等しい場合は、電圧変化率RVn の上記判定によって、分散電源14の単独運転を検出することができる。
【0073】
(3)負荷12側の高調波源が大きい場合は、電流変化率RIn の上記判定によって、分散電源14の単独運転を検出することができる。
【0074】
そして、この単独運転検出装置20は、上記(1)〜(3)の判定結果のOR条件によって単独運転を検出して単独運転検出信号DSを出力する構成であるので、各高調波源の大きさの関係が変化しても、殆どの場合は上記(1)〜(3)のいずれかによって単独運転検出が可能である。その結果、単独運転の不検出の可能性を低減させて、単独運転検出の信頼性を高めることができる。
【0075】
上記単独運転検出装置20による場合の単独運転不検出割合を計算した結果の一例を、図8中に実施例として示している。計算に用いた等価回路や設定条件等は、図8中の従来例の場合と同じである。この実施例では、上記アドミタンス変化率判定値αは従来例の場合と同じく−0.3、上記電圧変化率判定値βは−0.3、上記電流変化率判定値γは0.3として計算した。
【0076】
実施例では、不検出割合は約10%以下に収まっており、従来例よりも大幅に低減していることが分かる。
【0077】
(II)単独運転検出装置20の構成等の説明
次に、図9に示す商用電力系統10および単独運転検出装置20の構成等について説明する。
【0078】
系統電源6および変電所の遮断器8を含む商用電力系統10に、負荷12および分散電源14が接続されている。負荷12は、幾つかの負荷をまとめて図示したものである。分散電源14が商用電力系統10に連系して運転中に、何らかの事故等によって遮断器8が開放されると、分散電源14は単独運転になる。
【0079】
分散電源14は、より具体的には、引込線16および遮断器18を介して、商用電力系統10に接続されている。分散電源14は、例えば、コージェネレーション発電設備、太陽光発電設備、燃料電池発電設備、風力発電設備等である。
【0080】
引込線16には、商用電力系統10と分散電源14との連系点Pにおける電圧および電流を測定する計器用変圧器22および計器用変流器24が接続されており、これらで連続的に測定して得られる測定電圧Vt および測定電流It が、分散電源14用の単独運転検出装置20に供給される。連系点は引込線16上にあるが、通常は、計器用変圧器22および計器用変流器24の近くの箇所を連系点Pとして扱っている。
【0081】
なお、引込線16には、構内機器として、図示以外の遮断器、変圧器等が接続されている場合があるが、ここではその詳しい説明の必要はないので図示を省略している。
【0082】
単独運転検出装置20は、商用電力系統10に連系している分散電源14が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号DSを出力するものである。
【0083】
単独運転検出装置20は、この実施形態では、高調波抽出回路32、33、アドミタンス変化率演算回路36、電圧変化率演算回路38、電流変化率演算回路40、アドミタンス変化率判定回路42、電圧変化率判定回路44、電流変化率判定回路46、論理和回路48および継続時間判定回路50を備えている。
【0084】
高調波抽出回路32は、上記測定電圧Vt に基づいて、次数nの高調波電圧Vn を抽出して出力する。
【0085】
高調波抽出回路33は、上記測定電流It に基づいて、次数nの高調波電流In を抽出して出力する。
【0086】
なお、この実施形態では、回路を簡素化するために、高調波抽出回路32および33を、各演算回路36、38、40に共通のものとして設けているが、そのようにせずに、高調波抽出回路32、33と同様の手段を、各演算回路36、38および40内にそれぞれ設けても良い。後述する他の実施形態においても同様である。
【0087】
次数nは、3次以上の奇数次である。例えば、3次、5次、7次、9次、11次、13次等である。第1および第2の次数を用いる他の実施形態においても、両次数は上記次数の内から選択する。
【0088】
次数nは、5次または7次が好ましい。これは、電力系統に存在する高調波の内で、5次および7次の高調波が比較的大きくかつ安定しているので(特に高圧の電力系統においてはそうである)、この次数を用いることによって、高調波アドミタンスYn 等の判定が容易かつ正確になるからである。3次の高調波は、3相が互いに同位相になって線間電圧としては殆ど表れないので値が小さい。11次以上の高調波は、基本波から離れ過ぎていて値が小さい。従って、5次または7次を用いることによって、分散電源14の単独運転検出の信頼性をより高めることができる。
【0089】
なお、この出願においては、高調波電圧Vn 、高調波電流In 、高調波アドミタンスYn 等の符号に付した添字のnは、上記次数nを包括的に表している。個々の次数nを具体的に表す場合は、その数字を添字として付している。例えば、5次の高調波電圧はV5 、高調波電流はI5 、高調波アドミタンスはY5 と表している。
【0090】
アドミタンス変化率演算回路36は、上記高調波電圧Vn および高調波電流In を用いて、連系点Pにおける次数nのアドミタンスYn が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表すアドミタンス変化率RYn を演算して出力する。具体的には、上記数1およびその説明に示した演算を行う。
【0091】
なお、高調波アドミタンスYn は、次式で表される。
【0092】
[数12]
n =In /Vn
【0093】
電圧変化率演算回路38は、上記高調波電圧Vn を用いて、連系点Pにおける次数nの高調波電圧Vn が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電圧変化率RVn を演算して出力する。具体的には、上記数5およびその説明に示した演算を行う。
【0094】
電流変化率演算回路40は、上記高調波電流In を用いて、連系点Pにおける次数nの高調波電流In が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電流変化率RIn を演算して出力する。具体的には、上記数7およびその説明に示した演算を行う。
【0095】
アドミタンス変化率判定回路42は、上記アドミタンス変化率RYn を上記アドミタンス変化率判定値αと比較して、前者が後者よりも小さいときに、分散電源14が単独運転になったことを表すアドミタンス変化検出信号SYn を出力する。
【0096】
電圧変化率判定回路44は、上記電圧変化率RVn を上記電圧変化率判定値βと比較して、前者が後者よりも小さいときに、分散電源14が単独運転になったことを表す電圧変化検出信号SVn を出力する。
【0097】
電流変化率判定回路46は、上記電流変化率RIn を上記電流変化率判定値γと比較して、前者が後者よりも大きいときに、分散電源14が単独運転になったことを表す電流変化検出信号SIn を出力する。
【0098】
論理和回路48は、上記アドミタンス変化検出信号SYn 、電圧変化検出信号SVn および電流変化検出信号SIn の論理和(OR)を取って、当該三つの検出信号の内の少なくとも一つが出力されているときに、分散電源14が単独運転になったことを表す単独運転検出信号DS0 を出力する。
【0099】
この単独運転検出信号DS0 を、上記単独運転検出信号DSとして単独運転検出装置20からそのまま出力しても良いけれども、この実施形態のように、継続時間判定回路50によって、単独運転検出信号DS0 が所定の継続確認時間T1 だけ継続したことを判定して、継続したときに上記単独運転検出信号DSを出力するようにする方が好ましい。そのようにすると、単独運転以外の何らかの原因によるアドミタンス変化率RYn 等の瞬時変動による不要検出を防止することができるので、分散電源14の単独運転検出の信頼性をより高めることができる。上記継続時間判定回路50は、例えばオンディレイタイマーと呼ばれるタイマーである。上記継続確認時間T1 は、例えば0.1秒〜0.2秒程度にすれば良い。
【0100】
この単独運転検出装置20によれば、先に検出原理の説明の所で詳述した作用によって、単独運転の不検出の可能性を低減させて、単独運転検出の信頼性を高めることができる。
【0101】
なお、上記単独運転検出から更に進めて、単独運転検出信号DSによって遮断器18を開放して、分散電源14の単独運転を防止するようにしても良い。但し、この発明は単独運転検出が主目的であるので、遮断器18を開放する構成は必須ではない。
【0102】
(III)単独運転検出装置20の他の実施形態の説明
次に、単独運転検出装置20の他の実施形態を、図9に示した実施形態との相違点を主体に説明する。
【0103】
図10に示す単独運転検出装置20は、簡単に言えば、表1に示すように、第1の次数(例えば5次)についてのアドミタンス変化率RY5 による単独運転判定、電圧変化率RV5 による単独運転判定および電流変化率RI5 による単独運転判定と、第1の次数とは異なる第2の次数(例えば7次)についてのアドミタンス変化率RY7 による単独運転判定、電圧変化率RV7 による単独運転判定および電流変化率RI7 による単独運転判定とを組み合わせて単独運転検出を行うものである。
【0104】
【表1】

【0105】
この単独運転検出装置20は、上記測定電圧Vt に基づいて上記第1および第2の次数の高調波電圧V5 、V7 を抽出して出力する高調波抽出回路34と、上記測定電流It に基づいて上記第1および第2の次数の高調波電流I5 、I7 を抽出して出力する高調波抽出回路35とを備えている。
【0106】
この単独運転検出装置20は、更に、第1および第2のアドミタンス変化率演算回路52、54、第1および第2の電圧変化率演算回路56、58、第1および第2の電流変化率演算回路60、62、第1および第2のアドミタンス変化率判定回路72、74、第1および第2の電圧変化率判定回路76、78、第1および第2の電流変化率判定回路80、82、複数の論理積回路91〜99、論理和回路48および上記継続時間判定回路50を備えている。
【0107】
アドミタンス変化率演算回路52、54は、それぞれ、上記高調波電圧V5 、V7 、高調波電流I5 、I7 を用いて、第1、第2の次数について上記アドミタンス変化率演算回路36と同様の演算を行って、第1、第2のアドミタンス変化率RY5 、RY7 を出力する。
【0108】
電圧変化率演算回路56、58は、それぞれ、上記高調波電圧V5 、V7 を用いて、第1、第2の次数について上記電圧変化率演算回路38と同様の演算を行って、第1、第2の電圧変化率RV5 、RV7 を出力する。
【0109】
電流変化率演算回路60、62は、それぞれ、上記高調波電流I5 、I7 を用いて、第1、第2の次数について上記電流変化率演算回路40と同様の演算を行って、第1、第2の電流変化率RI5 、RI7 を出力する。
【0110】
アドミタンス変化率判定回路72、74は、それぞれ、上記アドミタンス変化率RY5 、RY7 について上記アドミタンス変化率判定回路42と同様の比較を行って、第1、第2のアドミタンス変化検出信号SY5 、SY7 を出力する。
【0111】
電圧変化率判定回路76、78は、それぞれ、上記電圧変化率RV5 、RV7 について上記電圧変化率判定回路44と同様の比較を行って、第1、第2の電圧変化検出信号SV5 、SV7 を出力する。
【0112】
電流変化率判定回路80、82は、それぞれ、上記電流変化率RI5 、RI7 について上記電流変化率判定回路46と同様の比較を行って、第1、第2の電流変化検出信号SI5 、SI7 を出力する。
【0113】
複数の論理積回路91〜99は、上記第1の次数についての第1のアドミタンス変化検出信号SY5 、第1の電圧変化検出信号SV5 および第1の電流変化検出信号SI5 の3検出信号と、上記第2の次数についての第2のアドミタンス変化検出信号SY7 、第2の電圧変化検出信号SV7 および第2の電流変化検出信号SI7 の3検出信号との全ての組み合わせである9通りの論理積(AND)を取るものである。この場合の論理積回路の数は9個になる。これによって、表1に示した9通りの検出を行うことができる。
【0114】
論理和回路48は、論理積回路91〜99からの出力信号の論理和(OR)を取って、当該出力信号の内の少なくとも一つが出力されているときに上記単独運転検出信号DS0 を出力する。この単独運転検出信号DS0 は、継続時間判定回路50に供給されてそれから上記単独運転検出信号DSが出力される。
【0115】
この単独運転検出装置20によれば、アドミタンス変化率RYn による単独運転判定、電圧変化率RVn による単独運転判定および電流変化率RIn による単独運転判定を組み合わせて単独運転検出を行う構成であるので、分散電源14側、系統電源6側および負荷12側の各高調波源の大きさの関係が変化しても、殆どの場合は単独運転検出が可能である。その結果、単独運転の不検出の可能性を低減させて、単独運転検出の信頼性を高めることができる。
【0116】
しかも、第1の次数についてのアドミタンス変化率RY5 による単独運転判定、電圧変化率RV5 による単独運転判定および電流変化率RI5 による単独運転判定と、第2の次数についてのアドミタンス変化率RY7 による単独運転判定、電圧変化率RV7 による単独運転判定および電流変化率RI7 による単独運転判定とをそれぞれ組み合わせて、互いに異なる二つの次数のAND条件で単独運転検出を行う構成であるので、単独運転検出を慎重に行って、不要検出(即ち、単独運転でないのに単独運転と誤検出すること)を抑制することができる。その結果、単独運転検出の信頼性をより高めることができる。
【0117】
図11に示す単独運転検出装置20は、簡単に言えば、図10に示す単独運転検出装置を更に改良して、表2に示すように、アドミタンス変化率RY5 、RY7 、電圧変化率RV5 、RV7 および電流変化率RI5 、RI7 の判定を、それぞれ、大小2段階の判定値α1 、α2 、β1 、β2 、γ1 、γ2 を用いて行う構成を採用したものである。
【0118】
【表2】

【0119】
第1のアドミタンス変化率α1 よりも第2のアドミタンス変化率α2 の方が絶対値が小さい。例えば前者は−0.4、後者は−0.2である。同様に、第1の電圧変化率β1 よりも第2の電圧変化率β2 の方が絶対値が小さい。例えば前者は−0.4、後者は−0.2である。第1の電流変化率γ1 よりも第2の電流変化率γ2 の方が絶対値が小さい。例えば前者は0.4、後者は0.2である。
【0120】
第1の(即ち大きい)判定値α1 、β1 、γ1 は、アドミタンス変化率等が大きく変化(強変化)した場合に検出できる判定値であり、第2の(即ち小さい)判定値α2 、β2 、γ2 は、アドミタンス変化率等が、強変化には至らないが変化(弱変化)が検出できる判定値である。
【0121】
表2に示すように、二つの次数の判定値が共に第2の(即ち小さい)判定値α2 、β2 、γ2 の場合の組み合わせ項目(−印)の単独運転検出は行わない。これは不要検出の可能性を低減させるためである。
【0122】
表2中の、二つの次数の判定値が共に第1の(即ち大きい)判定値α1 、β1 、γ1 の場合の組み合わせ項目(◎印)は、その検出用の論理積回路を必ずしも設けなくても(但し後述するように、設けても良い)、一方の次数の判定値が第1の(即ち大きい)判定値α1 、β1 、γ1 、かつ、他方の次数の判定値が第2の(即ち小さい)判定値α2 、β2 、γ2 の場合の組み合わせ項目(即ち○印)検出用の論理積回路を設けることによって、実質的に検出することができる。これは、判定値が大きい方の(即ち第1の)場合の条件が成立するときは、当然、それよりも判定値が小さい方の(即ち第2の)場合の条件が必ず成立するので、○印の組み合わせ項目検出用の論理積回路によって検出することができるからである。
【0123】
表2中の○印の組み合わせ項目検出用の論理積回路等を有している単独運転検出装置20の実施形態を図11に示す。
【0124】
この図11に示す単独運転検出装置20は、図面寸法の制約から省略しているけれども、図10に示した高調波抽出回路34、35および継続時間判定回路50を備えており、これらについては図10を参照するものとする。後述する図12の単独運転検出装置20においても同様である。
【0125】
図10の単独運転検出装置20との相違点を主体に説明すると、図10に示すアドミタンス変化率判定回路72、74を、それぞれ、二つのアドミタンス変化率判定回路72aと72b、二つのアドミタンス変化率判定回路74aと74bに分け、電圧変化率判定回路76、78を、それぞれ、二つの電圧変化率判定回路76aと76b、二つの電圧変化率判定回路78aと78bとに分け、電流変化率判定回路80、82を、それぞれ、二つの電流変化率判定回路80aと80b、二つの電流変化率判定回路82aと82bとに分けている。
【0126】
アドミタンス変化率判定回路72a、74aは、上記アドミタンス変化率判定値α1 を用いて上記アドミタンス変化率判定回路72、74とそれぞれ同様の比較を行って、第1、第2のアドミタンス強変化検出信号SY5s、SY7sを出力する。
【0127】
アドミタンス変化率判定回路72b、74bは、上記アドミタンス変化率判定値α2 を用いて上記アドミタンス変化率判定回路72、74とそれぞれ同様の比較を行って、第1、第2のアドミタンス弱変化検出信号SY5w、SY7wを出力する。
【0128】
電圧変化率判定回路76a、78aは、上記電圧変化率判定値β1 を用いて上記電圧変化率判定回路76、78とそれぞれ同様の比較を行って、第1、第2の電圧強変化検出信号SV5s、SV7sを出力する。
【0129】
電圧変化率判定回路76b、78bは、上記電圧変化率判定値β2 を用いて上記電圧変化率判定回路76、78とそれぞれ同様の比較を行って、第1、第2の電圧弱変化検出信号SV5w、SV7wを出力する。
【0130】
電流変化率判定回路80a、82aは、上記電流変化率判定値γ1 を用いて上記電流変化率判定回路80、82とそれぞれ同様の比較を行って、第1、第2の電流強変化検出信号SI5s、SI7sを出力する。
【0131】
電流変化率判定回路80b、82bは、上記電流変化率判定値γ2 を用いて上記電流変化率判定回路80、82とそれぞれ同様の比較を行って、第1、第2の電流弱変化検出信号SI5w、SI7wを出力する。
【0132】
複数の論理積回路101〜118は、(a)上記第1の次数についての第1のアドミタンス強変化検出信号SY5s、第1のアドミタンス弱変化検出信号SY5w、第1の電圧強変化検出信号SV5s、第1の電圧弱変化検出信号SV5w、第1の電流強変化検出信号SI5sおよび第1の電流弱変化検出信号SI5wの6検出信号と、上記第2の次数についての第2のアドミタンス強変化検出信号SY7s、第2のアドミタンス弱変化検出信号SY7w、第2の電圧強変化検出信号SV7s、第2の電圧弱変化検出信号SV7w、第2の電流強変化検出信号SI7sおよび第2の電流弱変化検出信号SI7wの6検出信号との全ての組み合わせである36通り(これは表2中の全ての組み合わせに相当する)の内から、(b)上記第1の次数についての第1のアドミタンス弱変化検出信号SY5w、第1の電圧弱変化検出信号SV5wおよび第1の電流弱変化検出信号SI5wの3検出信号と、上記第2の次数についての第2のアドミタンス弱変化検出信号SY7w、第2の電圧弱変化検出信号SV7wおよび第2の電流弱変化検出信号SI7wの3検出信号との全ての組み合わせである9通り(これは表2中の−印の項目に相当する)と、(c)上記第1の次数についての第1のアドミタンス強変化検出信号SY5s、第1の電圧強変化検出信号SV5sおよび第1の電流強変化検出信号SI5sの3検出信号と、上記第2の次数についての第2のアドミタンス強変化検出信号SY7s、第2の電圧強変化検出信号SV7sおよび第2の電流強変化検出信号SI7sの3検出信号との全ての組み合わせである9通り(これは表2中の◎印の項目に相当する)とを除いた残り18通り(これは表2中の○印の項目に相当する)の論理積(AND)を取るものである。この場合の論理積回路の数は18個になる。これによって、表2中に○印を付した18通りの検出を行うことができる。
【0133】
論理和回路48は、論理積回路101〜118からの出力信号の論理和(OR)を取って、当該出力信号の内の少なくとも一つが出力されているときに上記単独運転検出信号DS0 を出力する。この単独運転検出信号DS0 は、継続時間判定回路50(図10参照)に供給されてそれから上記単独運転検出信号DSが出力される。
【0134】
この単独運転検出装置20によれば、アドミタンス変化率RYn による単独運転判定、電圧変化率RVn による単独運転判定および電流変化率RIn による単独運転判定を組み合わせて単独運転検出を行う構成であるので、分散電源14側、系統電源6側および負荷12側の各高調波源の大きさの関係が変化しても、殆どの場合は単独運転検出が可能である。その結果、単独運転の不検出の可能性を低減させて、単独運転検出の信頼性を高めることができる。
【0135】
しかも、第1の次数についてのアドミタンス変化率RY5 による単独運転判定、電圧変化率RV5 による単独運転判定および電流変化率RI5 による単独運転判定と、第2の次数についてのアドミタンス変化率RY7 による単独運転判定、電圧変化率RV7 による単独運転判定および電流変化率RI7 による単独運転判定とをそれぞれ組み合わせて、互いに異なる二つの次数のAND条件で単独運転検出を行う構成であるので、単独運転検出を慎重に行って、不要検出を抑制することができる。その結果、単独運転検出の信頼性をより高めることができる。
【0136】
更に、上記第1の次数および第2の次数についてのアドミタンス変化率RY5 、RY7 、電圧変化率RV5 、RV7 および電流変化率RI5 、RI7 の判定を、それぞれ、大小2段階の判定値を用いて行う構成を採用しているので、第1の次数と第2の次数の各変化率の内のどちらか一方の次数の変化率が相対的に大きく変化し、かつ他方の次数の変化率が相対的に小さい場合でも単独運転検出が可能になり、それによって不検出の可能性をより低減させることができるので、単独運転検出の信頼性をより高めることができる。
【0137】
ちなみに、図10に示す単独運転検出装置20の場合は、判定値α、β、γが第1の次数側と第2の次数側とで同じであるために、どちらかの次数で判定値を超過しない場合は、不検出となる可能性があり、この点になお改善の余地がある。図11に示す単独運転検出装置20は、大小2段階の判定値を採用することによって、この点を更に改善したものである。
【0138】
図11に示す単独運転検出装置20において、前述したように、表2中の◎印の組み合わせ項目検出用の論理積回路を設けても良い。即ち、複数の論理積回路は、(a)上記第1の次数についての第1のアドミタンス強変化検出信号SY5s、第1のアドミタンス弱変化検出信号SY5w、第1の電圧強変化検出信号SV5s、第1の電圧弱変化検出信号SV5w、第1の電流強変化検出信号SI5sおよび第1の電流弱変化検出信号SI5wの6検出信号と、上記第2の次数についての第2のアドミタンス強変化検出信号SY7s、第2のアドミタンス弱変化検出信号SY7w、第2の電圧強変化検出信号SV7s、第2の電圧弱変化検出信号SV7w、第2の電流強変化検出信号SI7sおよび第2の電流弱変化検出信号SI7wの6検出信号との全ての組み合わせである36通り(これは表2中の全ての組み合わせに相当する)の内から、(b)上記第1の次数についての第1のアドミタンス弱変化検出信号SY5w、第1の電圧弱変化検出信号SV5wおよび第1の電流弱変化検出信号SI5wの3検出信号と、上記第2の次数についての第2のアドミタンス弱変化検出信号SY7w、第2の電圧弱変化検出信号SV7wおよび第2の電流弱変化検出信号SI7wの3検出信号との全ての組み合わせである9通り(これは表2中の−印の項目に相当する)を除いた残り27通りの論理積(AND)を取るものとしても良い。この場合の論理積回路の数は27個になる。論理和回路48はそれに応じたものにすれば良い。
【0139】
また、シミュレーション等の結果から、上記第1の次数および第2の次数についての電流変化率RI5 、RI7 は、単独運転発生時に比較的大きく変化することが確かめられたので、これらの電流変化率の判定は一つの判定値、より具体的には絶対値の大きい方の判定値γ1 を用いて行う構成を採用しても良いことが分かった。表2をそのように変更したのが表3である。
【0140】
【表3】

【0141】
表3中の○印の組み合わせ項目検出用の論理積回路を有している単独運転検出装置20の実施形態を図12に示す。
【0142】
図11に示す実施形態との相違点を主体に説明すると、この実施形態では、電流変化率判定値γ2 は用いないので、図11に示した電流変化率判定回路80b、82bは省略している。
【0143】
複数の論理積回路121〜133は、(a)上記第1の次数についての第1のアドミタンス強変化検出信号SY5s、第1のアドミタンス弱変化検出信号SY5w、第1の電圧強変化検出信号SV5s、第1の電圧弱変化検出信号SV5wおよび第1の電流強変化検出信号SI5sの5検出信号と、上記第2の次数についての第2のアドミタンス強変化検出信号SY7s、第2のアドミタンス弱変化検出信号SY7w、第2の電圧強変化検出信号SV7s、第2の電圧弱変化検出信号SV7wおよび第2の電流強変化検出信号SI7sの5検出信号との全ての組み合わせである25通り(これは表3中の全ての組み合わせに相当する)の内から、(b)上記第1の次数についての第1のアドミタンス弱変化検出信号SY5wおよび第1の電圧弱変化検出信号SV5wの2検出信号と、上記第2の次数についての第2のアドミタンス弱変化検出信号SY7wおよび第2の電圧弱変化検出信号SV7wの2検出信号との全ての組み合わせである4通り(これは表3中の−印の項目に相当する)と、(c)上記第1の次数についての第1のアドミタンス強変化検出信号SY5s、第1の電圧強変化検出信号SV5sおよび第1の電流強変化検出信号SI5sの3検出信号と、上記第2の次数についての第2のアドミタンス強変化検出信号SY7s、第2の電圧強変化検出信号SV7sおよび第2の電流強変化検出信号SI7sの3検出信号との全ての組み合わせである9通り(これは表3中の◎印の項目および右下Aの○印の項目に相当する)とを除いた残り12通りに、(d)上記第1の電流強変化検出信号SI5sと第2の電流強変化検出信号SI7sとの組み合わせ(これは表3中の右下Aの○印の項目に相当する)を加えた13通り(これは表3中の○印の項目に相当する)の論理積(AND)を取るものである。この場合の論理積回路の数は13個になる。これによって、表3中に○印を付した13通りの検出を行うことができる。
【0144】
論理和回路48は、論理積回路121〜133からの出力信号の論理和(OR)を取って、当該出力信号の内の少なくとも一つが出力されているときに上記単独運転検出信号DS0 を出力する。それ以降は図11と同様である。
【0145】
この単独運転検出装置20によれば、図11の単独運転検出装置20に比べて、回路構成の簡素化を図ることができる。
【0146】
図12に示す単独運転検出装置20において、図11の場合と同様に、表3中の◎印の組み合わせ項目検出用の論理積回路を設けても良い。即ち、複数の論理積回路は、(a)上記第1の次数についての第1のアドミタンス強変化検出信号SY5s、第1のアドミタンス弱変化検出信号SY5w、第1の電圧強変化検出信号SV5s、第1の電圧弱変化検出信号SV5wおよび第1の電流強変化検出信号SI5sの5検出信号と、上記第2の次数についての第2のアドミタンス強変化検出信号SY7s、第2のアドミタンス弱変化検出信号SY7w、第2の電圧強変化検出信号SV7s、第2の電圧弱変化検出信号SV7wおよび第2の電流強変化検出信号SI7sの5検出信号との全ての組み合わせである25通り(これは表3中の全ての組み合わせに相当する)の内から、(b)上記第1の次数についての第1のアドミタンス弱変化検出信号SY5wおよび第1の電圧弱変化検出信号SV5wの2検出信号と、上記第2の次数についての第2のアドミタンス弱変化検出信号SY7wおよび第2の電圧弱変化検出信号SV7wの2検出信号との全ての組み合わせである4通り(これは表3中の−印の項目に相当する)とを除いた残り21通りの論理積(AND)を取るものとしても良い。この場合の論理積回路の数は21個になる。論理和回路48はそれに応じたものにすれば良い。
【0147】
(IV) 小水力発電所での試験結果の説明
小水力発電所(出力8200kVA)を図9に示す分散電源14として扱い、遮断器8を開放して単独運転を発生させた試験を行った。
【0148】
単独運転検出装置20は図12に示したものを用いた。上記各判定値は、α1 =−0.4、α2 =−0.2、β1 =−0.4、β2 =−0.2、γ1 =0.4とした。上記継続時間判定回路50(図10参照)における継続確認時間T1 は0.1秒とした。
【0149】
上記試験時の各種信号の波形の一例を図13に示す。時刻t1 で単独運転を発生させた。その後、時刻t2 で7次のアドミタンス変化率RY7 がアドミタンス変化率判定値α1 (強条件)よりも小さくなり、かつ時刻t3 で5次の電圧変化率RV5 が電圧変化率判定値β2 (弱条件)よりも小さくなり、この時点で表3中のBの○印の条件が成立して、上記単独運転検出信号DS0 が出力された。この単独運転検出信号DS0 が継続確認時間T1 (0.1秒)だけ継続した時刻t4 に上記単独運転検出信号DSが出力された。これにより、単独運転発生後約0.4秒で単独運転を検出することができた。
【0150】
(V)その他の変形例
上記アドミタンス変化率RYn 、電圧変化率RVn 、電流変化率RIn は、上記数1、数5、数7に示した以外の表現形式でも良い。これをアドミタンス変化率RYn を例に説明すると、アドミタンス変化率RYn は例えば、次の数13〜数15のいずれかでも良い。数13の変化率RYn は、数1の変化率RYn を単に+1だけシフトしたものである。数14の変化率RYn は、数1の分母を高調波アドミタンスYn にしたものである。数15の変化率RYn は、数14の変化率RYn を単に−1だけシフトしたものである。
【0151】
[数13]
RYn =(Yn /Ynp
【0152】
[数14]
RYn =(Yn −Ynp)/Yn
=1−(Ynp−Yn
【0153】
[数15]
RYn =−(Ynp/Yn
【0154】
また、数1、数14の分子を(Ynp−Yn )にしても良い。
【0155】
電圧変化率RVn 、電流変化率RIn についても上記と同様である。
【0156】
表現形式を上記のように変える場合は、それに応じて、上記判定値α、β、γ等の値を選定すれば良い。
【0157】
ところで、電力系統における対称成分は、良く知られているように、高調波の次数nに応じて、正相成分および逆相成分の内のどれかに集中する。これを主要対称成分と呼ぶ。具体的には次のとおりである。なお、n=3、9、15ならば、主要対称成分は零相成分となるが、電力系統に通常存在するΔ結線の変圧器により、これらの成分は現れなくなるために、ここでは考慮しない(指標として使用しない)ことにする。
【0158】
n=7、13・・・ならば正相成分
n=5、11、17・・・ならば逆相成分
【0159】
従って、上記各実施形態の単独運転検出装置20において、各次数nの高調波電圧Vn 、高調波電流In および高調波アドミタンスYn の上記主要対称成分を扱っても良い。例えば、5次は逆相成分、7次は正相成分を扱う。
【0160】
主要対称成分を扱う場合は、高調波抽出回路32〜35において、各次数nの高調波電圧Vn 、高調波電流In の主要対称成分をそれぞれ抽出して、それを用いてアドミタンス変化率演算回路36、電圧変化率演算回路38、電流変化率演算回路40等においてアドミタンス変化率RYn 、電圧変化率RVn 、電流変化率RIn 等を演算し、更にアドミタンス変化率判定回路42、電圧変化率判定回路44、電流変化率判定回路46等において判定すれば良い。
【0161】
高調波抽出回路32〜35において各次数nの高調波電圧Vn 、高調波電流In の主要対称成分を抽出するには、例えば、特開2007−174742号公報、特開2008−29065号公報等に記載の公知の技術を用いれば良い。即ち、3相の相電圧をVa 、Vb 、Vc とすると、3相回路の対称成分である正相成分V1 および逆相成分V2 は、公知の次式で表されるので、これに基づいて抽出すれば良い。電流についても同様である。
【0162】
[数16]
1 =(Va +a・Vb +a2 ・Vc )/3
2 =(Va +a2 ・Vb +a・Vc )/3
a=exp(j2π/3)
【0163】
上記のように主要対称成分を用いると、高調波電圧Vn 、高調波電流In 、高調波アドミタンスYn 、アドミタンス変化率RYn 、電圧変化率RVn 、電流変化率RIn 等の算出のSN比が向上するので、単独運転検出の信頼性がより向上する。
【符号の説明】
【0164】
6 系統電源
8 変電所の遮断器
10 商用電力系統
12 負荷
14 分散電源
20 単独運転検出装置
36 アドミタンス変化率演算回路
38 電圧変化率演算回路
40 電流変化率演算回路
42 アドミタンス変化率判定回路
44 電圧変化率判定回路
46 電流変化率判定回路
48 論理和回路
50 継続時間判定回路
52、54 アドミタンス変化率演算回路
56、58 電圧変化率演算回路
60、62 電流変化率演算回路
72、72a、72b、74、74a、74b アドミタンス変化率判定回路
76、76a、76b、78、78a、78b 電圧変化率判定回路
80、80a、80b、82、82a、82b 電流変化率判定回路
91〜99、101〜118、121〜133 論理積回路
P 連系点
DS、DS0 単独運転検出信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力系統に連系している分散電源が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号(DS)を出力する単独運転検出装置において、
前記商用電力系統と分散電源との連系点における3次以上の奇数次の高調波アドミタンスが所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表すアドミタンス変化率(RYn )を演算して出力するアドミタンス変化率演算回路と、
前記連系点における3次以上の奇数次の高調波電圧が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電圧変化率(RVn )を演算して出力する電圧変化率演算回路と、
前記連系点における3次以上の奇数次の高調波電流が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電流変化率(RIn )を演算して出力する電流変化率演算回路と、
前記アドミタンス変化率(RYn )を所定のアドミタンス変化率判定値(α)と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表すアドミタンス変化検出信号(SYn )を出力するアドミタンス変化率判定回路と、
前記電圧変化率(RVn )を所定の電圧変化率判定値(β)と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す電圧変化検出信号(SVn )を出力する電圧変化率判定回路と、
前記電流変化率(RIn )を所定の電流変化率判定値(γ)と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す電流変化検出信号(SIn )を出力する電流変化率判定回路と、
前記アドミタンス変化検出信号(SYn )、電圧変化検出信号(SVn )および電流変化検出信号(SIn )の論理和を取って、当該三つの検出信号の内の少なくとも一つが出力されているときに前記単独運転検出信号(DS)を出力する論理和回路とを備えていることを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
【請求項2】
商用電力系統に連系している分散電源が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号(DS)を出力する単独運転検出装置において、
前記商用電力系統と分散電源との連系点における第1の次数(但し3次以上の奇数次)の高調波アドミタンスが所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1のアドミタンス変化率(RY5 )を演算して出力する第1のアドミタンス変化率演算回路と、
前記連系点における、前記第1の次数とは異なる第2の次数(但し3次以上の奇数次)の高調波アドミタンスが所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2のアドミタンス変化率(RY7 )を演算して出力する第2のアドミタンス変化率演算回路と、
前記連系点における前記第1の次数の高調波電圧が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1の電圧変化率(RV5 )を演算して出力する第1の電圧変化率演算回路と、
前記連系点における前記第2の次数の高調波電圧が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2の電圧変化率(RV7 )を演算して出力する第2の電圧変化率演算回路と、
前記連系点における前記第1の次数の高調波電流が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1の電流変化率(RI5 )を演算して出力する第1の電流変化率演算回路と、
前記連系点における前記第2の次数の高調波電流が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2の電流変化率(RI7 )を演算して出力する第2の電流変化率演算回路と、
前記第1のアドミタンス変化率(RY5 )を所定のアドミタンス変化率判定値(α)と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1のアドミタンス変化検出信号(SY5 )を出力する第1のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第2のアドミタンス変化率(RY7 )を前記アドミタンス変化率判定値(α)と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2のアドミタンス変化検出信号(SY7 )を出力する第2のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第1の電圧変化率(RV5 )を所定の電圧変化率判定値(β)と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電圧変化検出信号(SV5 )を出力する第1の電圧変化率判定回路と、
前記第2の電圧変化率(RV7 )を前記電圧変化率判定値(β)と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電圧変化検出信号(SV7 )を出力する第2の電圧変化率判定回路と、
前記第1の電流変化率(RI5 )を所定の電流変化率判定値(γ)と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電流変化検出信号(SI5 )を出力する第1の電流変化率判定回路と、
前記第2の電流変化率(RI7 )を前記電流変化率判定値(γ)と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電流変化検出信号(SI7 )を出力する第2の電流変化率判定回路と、
前記第1の次数についての前記第1のアドミタンス変化検出信号(SY5 )、前記第1の電圧変化検出信号(SV5 )および前記第1の電流変化検出信号(SI5 )の3検出信号と、前記第2の次数についての前記第2のアドミタンス変化検出信号(SY7 )、前記第2の電圧変化検出信号(SV7 )および前記第2の電流変化検出信号(SI7 )の3検出信号との全ての組み合わせである9通りの論理積を取る複数の論理積回路と、
前記複数の論理積回路からの出力信号の論理和を取って、当該出力信号の内の少なくとも一つが出力されているときに前記単独運転検出信号(DS)を出力する論理和回路とを備えていることを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
【請求項3】
商用電力系統に連系している分散電源が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号(DS)を出力する単独運転検出装置において、
前記商用電力系統と分散電源との連系点における第1の次数(但し3次以上の奇数次)の高調波アドミタンスが所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1のアドミタンス変化率(RY5 )を演算して出力する第1のアドミタンス変化率演算回路と、
前記連系点における、前記第1の次数とは異なる第2の次数(但し3次以上の奇数次)の高調波アドミタンスが所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2のアドミタンス変化率(RY7 )を演算して出力する第2のアドミタンス変化率演算回路と、
前記連系点における前記第1の次数の高調波電圧が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1の電圧変化率(RV5 )を演算して出力する第1の電圧変化率演算回路と、
前記連系点における前記第2の次数の高調波電圧が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2の電圧変化率(RV7 )を演算して出力する第2の電圧変化率演算回路と、
前記連系点における前記第1の次数の高調波電流が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1の電流変化率(RI5 )を演算して出力する第1の電流変化率演算回路と、
前記連系点における前記第2の次数の高調波電流が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2の電流変化率(RI7 )を演算して出力する第2の電流変化率演算回路と、
前記第1のアドミタンス変化率(RY5 )を第1のアドミタンス変化率判定値(α1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1のアドミタンス強変化検出信号(SY5s)を出力する第1のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第1のアドミタンス変化率(RY5 )を前記第1のアドミタンス変化率判定値(α1 )よりも絶対値の小さい第2のアドミタンス変化率判定値(α2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1のアドミタンス弱変化検出信号(SY5w)を出力する第2のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第2のアドミタンス変化率(RY7 )を前記第1のアドミタンス変化率判定値(α1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2のアドミタンス強変化検出信号(SY7s)を出力する第3のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第2のアドミタンス変化率(RY7 )を前記第2のアドミタンス変化率判定値(α2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2のアドミタンス弱変化検出信号(SY7w)を出力する第4のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第1の電圧変化率(RV5 )を第1の電圧変化率判定値(β1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電圧強変化検出信号(SV5s)を出力する第1の電圧変化率判定回路と、
前記第1の電圧変化率(RV5 )を前記第1の電圧変化率判定値(β1 )よりも絶対値の小さい第2の電圧変化率判定値(β2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電圧弱変化検出信号(SV5w)を出力する第2の電圧変化率判定回路と、
前記第2の電圧変化率(RV7 )を前記第1の電圧変化率判定値(β1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電圧強変化検出信号(SV7s)を出力する第3の電圧変化率判定回路と、
前記第2の電圧変化率(RV7 )を前記第2の電圧変化率判定値(β2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電圧弱変化検出信号(SV7w)を出力する第4の電圧変化率判定回路と、
前記第1の電流変化率(RI5 )を第1の電流変化率判定値(γ1 )と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電流強変化検出信号(SI5s)を出力する第1の電流変化率判定回路と、
前記第1の電流変化率(RI5 )を前記第1の電流変化率判定値(γ1 )よりも絶対値の小さい第2の電流変化率判定値(γ2 )と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電流弱変化検出信号(SI5w)を出力する第2の電流変化率判定回路と、
前記第2の電流変化率(RI7 )を前記第1の電流変化率判定値(γ1 )と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電流強変化検出信号(SI7s)を出力する第3の電流変化率判定回路と、
前記第2の電流変化率(RI7 )を前記第2の電流変化率判定値(γ2 )と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電流弱変化検出信号(SI7w)を出力する第4の電流変化率判定回路と、
(a)前記第1の次数についての前記第1のアドミタンス強変化検出信号(SY5s)、第1のアドミタンス弱変化検出信号(SY5w)、第1の電圧強変化検出信号(SV5s)、第1の電圧弱変化検出信号(SV5w)、第1の電流強変化検出信号(SI5s)および第1の電流弱変化検出信号(SI5w)の6検出信号と、前記第2の次数についての前記第2のアドミタンス強変化検出信号(SY7s)、第2のアドミタンス弱変化検出信号(SY7w)、第2の電圧強変化検出信号(SV7s)、第2の電圧弱変化検出信号(SV7w)、第2の電流強変化検出信号(SI7s)および第2の電流弱変化検出信号(SI7w)の6検出信号との全ての組み合わせである36通りの内から、(b)前記第1の次数についての前記第1のアドミタンス弱変化検出信号(SY5w)、第1の電圧弱変化検出信号(SV5w)および第1の電流弱変化検出信号(SI5w)の3検出信号と、前記第2の次数についての前記第2のアドミタンス弱変化検出信号(SY7w)、第2の電圧弱変化検出信号(SV7w)および第2の電流弱変化検出信号(SI7w)の3検出信号との全ての組み合わせである9通りを除いた残り27通りの論理積を取る複数の論理積回路と、
前記複数の論理積回路からの出力信号の論理和を取って、当該出力信号の内の少なくとも一つが出力されているときに前記単独運転検出信号(DS)を出力する論理和回路とを備えていることを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
【請求項4】
商用電力系統に連系している分散電源が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号(DS)を出力する単独運転検出装置において、
前記商用電力系統と分散電源との連系点における第1の次数(但し3次以上の奇数次)の高調波アドミタンスが所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1のアドミタンス変化率(RY5 )を演算して出力する第1のアドミタンス変化率演算回路と、
前記連系点における、前記第1の次数とは異なる第2の次数(但し3次以上の奇数次)の高調波アドミタンスが所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2のアドミタンス変化率(RY7 )を演算して出力する第2のアドミタンス変化率演算回路と、
前記連系点における前記第1の次数の高調波電圧が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1の電圧変化率(RV5 )を演算して出力する第1の電圧変化率演算回路と、
前記連系点における前記第2の次数の高調波電圧が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2の電圧変化率(RV7 )を演算して出力する第2の電圧変化率演算回路と、
前記連系点における前記第1の次数の高調波電流が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1の電流変化率(RI5 )を演算して出力する第1の電流変化率演算回路と、
前記連系点における前記第2の次数の高調波電流が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2の電流変化率(RI7 )を演算して出力する第2の電流変化率演算回路と、
前記第1のアドミタンス変化率(RY5 )を第1のアドミタンス変化率判定値(α1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1のアドミタンス強変化検出信号(SY5s)を出力する第1のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第1のアドミタンス変化率(RY5 )を前記第1のアドミタンス変化率判定値(α1 )よりも絶対値の小さい第2のアドミタンス変化率判定値(α2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1のアドミタンス弱変化検出信号(SY5w)を出力する第2のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第2のアドミタンス変化率(RY7 )を前記第1のアドミタンス変化率判定値(α1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2のアドミタンス強変化検出信号(SY7s)を出力する第3のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第2のアドミタンス変化率(RY7 )を前記第2のアドミタンス変化率判定値(α2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2のアドミタンス弱変化検出信号(SY7w)を出力する第4のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第1の電圧変化率(RV5 )を第1の電圧変化率判定値(β1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電圧強変化検出信号(SV5s)を出力する第1の電圧変化率判定回路と、
前記第1の電圧変化率(RV5 )を前記第1の電圧変化率判定値(β1 )よりも絶対値の小さい第2の電圧変化率判定値(β2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電圧弱変化検出信号(SV5w)を出力する第2の電圧変化率判定回路と、
前記第2の電圧変化率(RV7 )を前記第1の電圧変化率判定値(β1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電圧強変化検出信号(SV7s)を出力する第3の電圧変化率判定回路と、
前記第2の電圧変化率(RV7 )を前記第2の電圧変化率判定値(β2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電圧弱変化検出信号(SV7w)を出力する第4の電圧変化率判定回路と、
前記第1の電流変化率(RI5 )を第1の電流変化率判定値(γ1 )と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電流強変化検出信号(SI5s)を出力する第1の電流変化率判定回路と、
前記第1の電流変化率(RI5 )を前記第1の電流変化率判定値(γ1 )よりも絶対値の小さい第2の電流変化率判定値(γ2 )と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電流弱変化検出信号(SI5w)を出力する第2の電流変化率判定回路と、
前記第2の電流変化率(RI7 )を前記第1の電流変化率判定値(γ1 )と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電流強変化検出信号(SI7s)を出力する第3の電流変化率判定回路と、
前記第2の電流変化率(RI7 )を前記第2の電流変化率判定値(γ2 )と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電流弱変化検出信号(SI7w)を出力する第4の電流変化率判定回路と、
(a)前記第1の次数についての前記第1のアドミタンス強変化検出信号(SY5s)、第1のアドミタンス弱変化検出信号(SY5w)、第1の電圧強変化検出信号(SV5s)、第1の電圧弱変化検出信号(SV5w)、第1の電流強変化検出信号(SI5s)および第1の電流弱変化検出信号(SI5w)の6検出信号と、前記第2の次数についての前記第2のアドミタンス強変化検出信号(SY7s)、第2のアドミタンス弱変化検出信号(SY7w)、第2の電圧強変化検出信号(SV7s)、第2の電圧弱変化検出信号(SV7w)、第2の電流強変化検出信号(SI7s)および第2の電流弱変化検出信号(SI7w)の6検出信号との全ての組み合わせである36通りの内から、(b)前記第1の次数についての前記第1のアドミタンス弱変化検出信号(SY5w)、第1の電圧弱変化検出信号(SV5w)および第1の電流弱変化検出信号(SI5w)の3検出信号と、前記第2の次数についての前記第2のアドミタンス弱変化検出信号(SY7w)、第2の電圧弱変化検出信号(SV7w)および第2の電流弱変化検出信号(SI7w)の3検出信号との全ての組み合わせである9通りと、(c)前記第1の次数についての前記第1のアドミタンス強変化検出信号(SY5s)、第1の電圧強変化検出信号(SV5s)および第1の電流強変化検出信号(SI5s)の3検出信号と、前記第2の次数についての前記第2のアドミタンス強変化検出信号(SY7s)、第2の電圧強変化検出信号(SV7s)および第2の電流強変化検出信号(SI7s)の3検出信号との全ての組み合わせである9通りとを除いた残り18通りの論理積を取る複数の論理積回路と、
前記複数の論理積回路からの出力信号の論理和を取って、当該出力信号の内の少なくとも一つが出力されているときに前記単独運転検出信号(DS)を出力する論理和回路とを備えていることを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
【請求項5】
商用電力系統に連系している分散電源が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号(DS)を出力する単独運転検出装置において、
前記商用電力系統と分散電源との連系点における第1の次数(但し3次以上の奇数次)の高調波アドミタンスが所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1のアドミタンス変化率(RY5 )を演算して出力する第1のアドミタンス変化率演算回路と、
前記連系点における、前記第1の次数とは異なる第2の次数(但し3次以上の奇数次)の高調波アドミタンスが所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2のアドミタンス変化率(RY7 )を演算して出力する第2のアドミタンス変化率演算回路と、
前記連系点における前記第1の次数の高調波電圧が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1の電圧変化率(RV5 )を演算して出力する第1の電圧変化率演算回路と、
前記連系点における前記第2の次数の高調波電圧が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2の電圧変化率(RV7 )を演算して出力する第2の電圧変化率演算回路と、
前記連系点における前記第1の次数の高調波電流が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1の電流変化率(RI5 )を演算して出力する第1の電流変化率演算回路と、
前記連系点における前記第2の次数の高調波電流が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2の電流変化率(RI7 )を演算して出力する第2の電流変化率演算回路と、
前記第1のアドミタンス変化率(RY5 )を第1のアドミタンス変化率判定値(α1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1のアドミタンス強変化検出信号(SY5s)を出力する第1のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第1のアドミタンス変化率(RY5 )を前記第1のアドミタンス変化率判定値(α1 )よりも絶対値の小さい第2のアドミタンス変化率判定値(α2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1のアドミタンス弱変化検出信号(SY5w)を出力する第2のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第2のアドミタンス変化率(RY7 )を前記第1のアドミタンス変化率判定値(α1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2のアドミタンス強変化検出信号(SY7s)を出力する第3のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第2のアドミタンス変化率(RY7 )を前記第2のアドミタンス変化率判定値(α2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2のアドミタンス弱変化検出信号(SY7w)を出力する第4のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第1の電圧変化率(RV5 )を第1の電圧変化率判定値(β1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電圧強変化検出信号(SV5s)を出力する第1の電圧変化率判定回路と、
前記第1の電圧変化率(RV5 )を前記第1の電圧変化率判定値(β1 )よりも絶対値の小さい第2の電圧変化率判定値(β2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電圧弱変化検出信号(SV5w)を出力する第2の電圧変化率判定回路と、
前記第2の電圧変化率(RV7 )を前記第1の電圧変化率判定値(β1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電圧強変化検出信号(SV7s)を出力する第3の電圧変化率判定回路と、
前記第2の電圧変化率(RV7 )を前記第2の電圧変化率判定値(β2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電圧弱変化検出信号(SV7w)を出力する第4の電圧変化率判定回路と、
前記第1の電流変化率(RI5 )を所定の電流変化率判定値(γ1 )と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電流強変化検出信号(SI5s)を出力する第1の電流変化率判定回路と、
前記第2の電流変化率(RI7 )を前記電流変化率判定値(γ1 )と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電流強変化検出信号(SI7s)を出力する第2の電流変化率判定回路と、
(a)前記第1の次数についての前記第1のアドミタンス強変化検出信号(SY5s)、第1のアドミタンス弱変化検出信号(SY5w)、第1の電圧強変化検出信号(SV5s)、第1の電圧弱変化検出信号(SV5w)および第1の電流強変化検出信号(SI5s)の5検出信号と、前記第2の次数についての前記第2のアドミタンス強変化検出信号(SY7s)、第2のアドミタンス弱変化検出信号(SY7w)、第2の電圧強変化検出信号(SV7s)、第2の電圧弱変化検出信号(SV7w)および第2の電流強変化検出信号(SI7s)の5検出信号との全ての組み合わせである25通りの内から、(b)前記第1の次数についての前記第1のアドミタンス弱変化検出信号(SY5w)および第1の電圧弱変化検出信号(SV5w)の2検出信号と、前記第2の次数についての前記第2のアドミタンス弱変化検出信号(SY7w)および第2の電圧弱変化検出信号(SV7w)の2検出信号との全ての組み合わせである4通りを除いた残り21通りの論理積を取る複数の論理積回路と、
前記複数の論理積回路からの出力信号の論理和を取って、当該出力信号の内の少なくとも一つが出力されているときに前記単独運転検出信号(DS)を出力する論理和回路とを備えていることを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
【請求項6】
商用電力系統に連系している分散電源が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号(DS)を出力する単独運転検出装置において、
前記商用電力系統と分散電源との連系点における第1の次数(但し3次以上の奇数次)の高調波アドミタンスが所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1のアドミタンス変化率(RY5 )を演算して出力する第1のアドミタンス変化率演算回路と、
前記連系点における、前記第1の次数とは異なる第2の次数(但し3次以上の奇数次)の高調波アドミタンスが所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2のアドミタンス変化率(RY7 )を演算して出力する第2のアドミタンス変化率演算回路と、
前記連系点における前記第1の次数の高調波電圧が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1の電圧変化率(RV5 )を演算して出力する第1の電圧変化率演算回路と、
前記連系点における前記第2の次数の高調波電圧が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2の電圧変化率(RV7 )を演算して出力する第2の電圧変化率演算回路と、
前記連系点における前記第1の次数の高調波電流が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第1の電流変化率(RI5 )を演算して出力する第1の電流変化率演算回路と、
前記連系点における前記第2の次数の高調波電流が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す第2の電流変化率(RI7 )を演算して出力する第2の電流変化率演算回路と、
前記第1のアドミタンス変化率(RY5 )を第1のアドミタンス変化率判定値(α1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1のアドミタンス強変化検出信号(SY5s)を出力する第1のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第1のアドミタンス変化率(RY5 )を前記第1のアドミタンス変化率判定値(α1 )よりも絶対値の小さい第2のアドミタンス変化率判定値(α2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1のアドミタンス弱変化検出信号(SY5w)を出力する第2のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第2のアドミタンス変化率(RY7 )を前記第1のアドミタンス変化率判定値(α1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2のアドミタンス強変化検出信号(SY7s)を出力する第3のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第2のアドミタンス変化率(RY7 )を前記第2のアドミタンス変化率判定値(α2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2のアドミタンス弱変化検出信号(SY7w)を出力する第4のアドミタンス変化率判定回路と、
前記第1の電圧変化率(RV5 )を第1の電圧変化率判定値(β1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電圧強変化検出信号(SV5s)を出力する第1の電圧変化率判定回路と、
前記第1の電圧変化率(RV5 )を前記第1の電圧変化率判定値(β1 )よりも絶対値の小さい第2の電圧変化率判定値(β2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電圧弱変化検出信号(SV5w)を出力する第2の電圧変化率判定回路と、
前記第2の電圧変化率(RV7 )を前記第1の電圧変化率判定値(β1 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電圧強変化検出信号(SV7s)を出力する第3の電圧変化率判定回路と、
前記第2の電圧変化率(RV7 )を前記第2の電圧変化率判定値(β2 )と比較して、前者が後者よりも小さいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電圧弱変化検出信号(SV7w)を出力する第4の電圧変化率判定回路と、
前記第1の電流変化率(RI5 )を所定の電流変化率判定値(γ1 )と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第1の電流強変化検出信号(SI5s)を出力する第1の電流変化率判定回路と、
前記第2の電流変化率(RI7 )を前記電流変化率判定値(γ1 )と比較して、前者が後者よりも大きいときに、前記分散電源が単独運転になったことを表す第2の電流強変化検出信号(SI7s)を出力する第2の電流変化率判定回路と、
(a)前記第1の次数についての前記第1のアドミタンス強変化検出信号(SY5s)、第1のアドミタンス弱変化検出信号(SY5w)、第1の電圧強変化検出信号(SV5s)、第1の電圧弱変化検出信号(SV5w)および第1の電流強変化検出信号(SI5s)の5検出信号と、前記第2の次数についての前記第2のアドミタンス強変化検出信号(SY7s)、第2のアドミタンス弱変化検出信号(SY7w)、第2の電圧強変化検出信号(SV7s)、第2の電圧弱変化検出信号(SV7w)および第2の電流強変化検出信号(SI7s)の5検出信号との全ての組み合わせである25通りの内から、(b)前記第1の次数についての前記第1のアドミタンス弱変化検出信号(SY5w)および第1の電圧弱変化検出信号(SV5w)の2検出信号と、前記第2の次数についての前記第2のアドミタンス弱変化検出信号(SY7w)および第2の電圧弱変化検出信号(SV7w)の2検出信号との全ての組み合わせである4通りと、(c)前記第1の次数についての前記第1のアドミタンス強変化検出信号(SY5s)、第1の電圧強変化検出信号(SV5s)および第1の電流強変化検出信号(SI5s)の3検出信号と、前記第2の次数についての前記第2のアドミタンス強変化検出信号(SY7s)、第2の電圧強変化検出信号(SV7s)および第2の電流強変化検出信号(SI7s)の3検出信号との全ての組み合わせである9通りとを除いた残り12通りに、(d)前記第1の電流強変化検出信号(SI5s)と第2の電流強変化検出信号(SI7s)との組み合わせを加えた13通りの論理積を取る複数の論理積回路と、
前記複数の論理積回路からの出力信号の論理和を取って、当該出力信号の内の少なくとも一つが出力されているときに前記単独運転検出信号(DS)を出力する論理和回路とを備えていることを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−10479(P2012−10479A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143728(P2010−143728)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000003942)日新電機株式会社 (328)
【Fターム(参考)】