説明

分散電源の単独運転検出装置

【課題】 配電系統に大きな過渡変動が発生する場合にも、分散電源の単独運転の高速検出と、不要検出を起こさない確実な検出とを両立させる。
【解決手段】 単独運転検出装置を構成するこの単独運転監視装置は、低次注入次数のサセプタンスBm1が判定値Ju1を超えると信号S1 を出力する判定手段126と、高次注入次数のサセプタンスの変化分ΔBm2が判定値Ju2を超えると信号S2 を出力する判定手段128と、両信号S1 、S2 がそれぞれ所定時間継続すると信号S4 、S5 をそれぞれ出力する判定手段134、136と、両信号S4 、S5 のAND条件で単独運転検出信号DSを出力する論理積手段138とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上位系統に変電所を介して配電線が接続され、この配電線に、分散電源を有する分散電源保有設備が接続された構成の配電系統に適用されるものであって、分散電源の単独運転を検出する単独運転検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の単独運転検出装置の一例として、特許文献1には、上位系統に変電所を介して配電線が接続され、この配電線に、分散電源を有する分散電源保有設備が接続された構成の配電系統に適用される単独運転検出装置であって、前記配電線から前記分散電源保有設備への引込線に、当該配電系統の基本波の1倍よりも大きい非整数倍の注入次数(例えば2.4次、2.5次等)の注入電流を注入する電流注入装置と、前記分散電源保有設備の受電点から眺めた前記配電系統の前記注入次数のアドミタンスまたはサセプタンスを計測して、当該アドミタンスまたはサセプタンスの変化から、前記分散電源が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号を出力する単独運転監視装置とを備えている単独運転検出装置が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の単独運転検出装置を構成する前記電流注入装置は、4次未満の低次注入次数m1(例えば2.5次)の注入電流および4次以上の高次注入次数m2(例えば17.5次)の注入電流を注入するものである。
【0004】
前記単独運転監視装置は、サセプタンスを計測する場合を例に取ると、図1に示すように、(a)前記低次注入次数m1のサセプタンスBm1を計測する低次側計測手段120と、(b)この低次側計測手段120で計測したサセプタンスBm1を低次側判定値Ju1と比較することによって、前記分散電源が単独運転になったことを検出して低次側検出信号S1 を出力する低次側判定手段126と、(c)前記高次注入次数m2のサセプタンスBm2を計測する高次側計測手段122と、(d)この高次側計測手段122で計測したサセプタンスBm2の、所定時間(例えば1秒)前からの変化分ΔBm2を検出する変化分検出手段124と、(e)この変化分検出手段124で検出したサセプタンスの変化分ΔBm2を高次側判定値Ju2と比較することによって、前記分散電源が単独運転になったことを検出して高次側検出信号S2 を出力する高次側判定手段128と、(f)前記低次側判定手段126からの出力および前記高次側判定手段128からの出力の論理積を取り、両検出信号S1 、S2 が共に出力されているときに検出信号S3 を出力する論理積手段130と、(g)この論理積手段130からの検出信号S3 が所定の継続確認時間(例えば30m秒。図2〜4中のTc 参照)継続していることを判定して継続したときに前記単独運転検出信号DSを出力する継続時間判定手段132とを備えている。
【0005】
上記単独運転検出装置によれば、次の効果を奏することが、特許文献1に記載されている。
【0006】
(ア)低次注入次数のサセプタンスBm1の判定と、高次注入次数のサセプタンスの変化分ΔBm2の判定とのAND条件による判定を採用しているので、分散電源の単独運転を例えば50m秒以内という高速で、しかも配電系統の過渡変動の影響による不要検出(即ち、本来検出すべきでないのに検出すること。換言すれば、誤検出。以下同様)を抑制しつつ確実に検出することができる。
【0007】
従って例えば、この単独運転検出装置を、地絡事故の間接検出(換言すれば、単独運転検出装置による地絡過電圧継電器の代替)に用いることが可能になる。それに用いることによって、変電所の地絡事故検出感度の低下を防止することができる。しかも、分散電源保有設備側において、地絡過電圧継電器およびそれ用の接地形計器用変圧器を省略することが可能になり、設備コストを低減することができる。
【0008】
(イ)更に、上記AND条件による判定を採用しているので、一つの上位系統から他の上位系統へ系統を切り替える系統切り替えの際の不要検出を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−65794号公報(段落0024−0029、図5、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の単独運転検出装置は、配電系統の過渡変動が小さいときは不要検出を起こさないけれども、当該過渡変動が大きくなると不要検出を起こす場合がある、という点になお改善の余地があることが分かった。これを以下に詳述する。
【0011】
特高配電系統のモデルを用いて、分散電源の連系点から見た配電系統の上記低次注入次数のサセプタンスBm1、上記高次注入次数のサセプタンスの変化分ΔBm2および図1に示す単独運転監視装置の動作をシミュレーションした結果の例を、図2〜4に示す。
【0012】
図2は、時刻t1 で分散電源が単独運転になった場合の例である。単独運転の発生によって上記サセプタンスBm1および上記サセプタンスの変化分ΔBm2は上昇し、時刻t2 で上記サセプタンスの変化分ΔBm2が上記高次側判定値Ju2を超えたので上記高次側検出信号S2 が出力され、続いて時刻t3 で上記サセプタンスBm1が上記低次側判定値Ju1を超えたので上記低次側検出信号S1 が出力され、この時点で上記AND条件が成立したので上記検出信号S3 (図1参照)が出力された。そしてこの時刻t3 から上記継続確認時間Tc (この例では30m秒)後の時刻t4 に、上記単独運転検出信号DSが出力された。この場合の時刻t1 〜t4 間の単独運転検出時間Td は50m秒弱であった。
【0013】
図3は、時刻t1 で1MVarの容量の力率改善用コンデンサ(略称SC)を配電系統に投入して比較的小さな過渡変動を発生させた場合の例である。この投入によって上記サセプタンスBm1は振動しながら上昇し、上記サセプタンスの変化分ΔBm2は上昇後に元に戻り、時刻t5 〜t7 間は上記サセプタンスの変化分ΔBm2が上記高次側判定値Ju2を超えているので上記高次側検出信号S2 が出力され、時刻t6 で上記サセプタンスBm1が上記低次側判定値Ju1を超えたので上記低次側検出信号S1 が出力され、この時点で上記AND条件が成立したので上記検出信号S3 (図1参照)が出力された。しかし、この時刻t6 から上記継続確認時間Tc が経過するよりも前に高次側検出信号S2 の出力は停止しているので、単独運転検出信号DSは出力されず、不要検出を防止することができた。
【0014】
図4は、時刻t1 で2MVarの容量の力率改善用コンデンサ(略称SC)を配電系統に投入して比較的大きな過渡変動を発生させた場合の例である。この投入によって上記サセプタンスBm1は振動しながら上昇し、上記サセプタンスの変化分ΔBm2は上昇後に元に戻り、時刻t9 〜t12間は上記サセプタンスの変化分ΔBm2が上記高次側判定値Ju2を超えているので上記高次側検出信号S2 が出力され、時刻t10で上記サセプタンスBm1が上記低次側判定値Ju1を超えたので上記低次側検出信号S1 が出力され、この時点で上記AND条件が成立したので上記検出信号S3 (図1参照)が出力された。この時刻t10から上記継続確認時間Tc が経過した時刻t11よりも後の時刻t12まで高次側検出信号S2 の出力が継続しているので、時刻t11〜t12間は単独運転検出信号DSが出力されている。即ち、分散電源の単独運転でないのに単独運転検出信号DSが出力され、不要検出を起こしている。
【0015】
これに対しては、上記継続確認時間Tc を長くしておけば、図4の場合の不要検出を防止することはできるけれども、そうすると、図2の場合の単独運転検出時間Td も長くなってしまい、単独運転検出が遅くなる。例えば前述した50m秒以下の単独運転検出時間Td を実現することができなくなる。
【0016】
単独運転検出時間Td の目標を50m秒以内にする理由は、上記特許文献1にも記載されているが、それを説明すると次のとおりである。下記非特許文献1にも記載されているように、特高や高圧の配電系統においては、地絡事故発生から1秒以内に、地絡過電圧継電器による分散電源の解列または単独運転検出装置による分散電源の解列が求められている。地絡事故発生から特高配電用変電所の遮断器が開放されて単独運転が発生するまでに、通常は約0.9秒かかる。単独運転検出後に分散電源保有設備内の遮断器を開放して分散電源を解列するまでに、大きめにみると通常は約50m秒かかる。従って、単独運転検出に残された時間は約50m秒であるので、それ以下が検出時間の目標となる。
【0017】
[非特許文献1] 系統連系専門部会編集、「系統連系規程(電気技術規程系統連系編)JEAC 9701−2006」、第4版、社団法人日本電気協会、平成18年8月30日、頁332−333
【0018】
このように、上記従来の単独運転検出装置においては、配電系統に大きな過渡変動が発生する場合に、分散電源の単独運転の高速検出と、不要検出を起こさない確実な検出とを両立させることが難しい、という点になお改善の余地がある。
【0019】
そこでこの発明は、上記従来の単独運転検出装置を更に改良して、配電系統に大きな過渡変動が発生する場合にも、分散電源の単独運転の高速検出と、不要検出を起こさない確実な検出とを両立させることができるようにすることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明に係る単独運転検出装置の要点を説明すると、当該装置を構成する単独運転監視装置を次のように改良したものである。
【0021】
即ち、この発明に係る単独運転検出装置を構成する単独運転監視装置は、サセプタンスを計測する場合を例に取ると、図5に示すように、
(a)前記低次注入次数m1のサセプタンスBm1を計測する低次側計測手段120と、
(b)前記低次側計測手段120で計測したサセプタンスBm1を低次側判定値Ju1と比較することによって、前記分散電源が単独運転になったことを検出して低次側検出信号S1 を出力する低次側判定手段126と、
(c)前記高次注入次数m2のサセプタンスBm2を計測する高次側計測手段122と、
(d)前記高次側計測手段122で計測したサセプタンスの、所定時間前からの変化分ΔBm2を検出する変化分検出手段124と、
(e)前記変化分検出手段124で検出したサセプタンスの変化分ΔBm2を高次側判定値Ju2と比較することによって、前記分散電源が単独運転になったことを検出して高次側検出信号S2 を出力する高次側判定手段128と、
(f)前記低次側判定手段126からの前記低次側検出信号S1 が低次側継続確認時間(図10〜12中のTc1参照)のあいだ継続していることを判定して継続したときに低次側判定信号S4 を出力する低次側継続時間判定手段134と、
(g)前記高次側判定手段128からの前記高次側検出信号S2 が高次側継続確認時間(図10〜12中のTc2参照)のあいだ継続していることを判定して継続したときに高次側判定信号S5 を出力する高次側継続時間判定手段136と、
(h)前記低次側継続時間判定手段134からの出力および前記高次側継続時間判定手段136からの出力の論理積を取り、前記低次側判定信号S4 および前記高次側判定信号S5 が共に出力されているときに前記単独運転検出信号DSを出力する論理積手段138とを備えている。
【0022】
上記従来の単独運転検出装置は、前述したように、低次側検出信号S1 の出力と高次側検出信号S2 の出力のAND条件が成立してから継続確認時間Tc の判定を開始していたのであるが、詳しく検討したところ、図2に示すように、高次側検出信号S2 の出力と低次側検出信号S1 の出力との間には待ち時間T3 があり、これが単独運転検出時間Td を長くする一因になっていたことが分かった。上記待ち時間T3 があるのは、注入次数信号を計測するのに用いるフィルタの応答速度の違い等によるものと考えられる。
【0023】
これに対して、この発明の単独運転検出装置では、低次側検出信号S1 が出力されるとすぐに低次側継続確認時間の判定を開始し、かつ高次側検出信号S2 が出力されるとすぐに高次側継続確認時間の判定を開始し、両判定結果のAND条件が成立するとすぐに単独運転検出信号DSを出力するので、従来技術の上記待ち時間T3 に相当するものを無くすることができる。
【0024】
その結果、上記低次側継続確認時間および高次側継続確認時間を、互いに独立して、配電系統に大きな過渡変動が発生しても不要検出を起こさない時間にすることができ、しかもそのようにしても単独運転検出時間が長くなるのを抑えることができる。従って、配電系統に大きな過渡変動が発生する場合にも、分散電源の単独運転の高速検出と、不要検出を起こさない確実な検出とを両立させることができる。
【0025】
前記サセプタンスの代わりにアドミタンスを計測してそれで判定するようにしても良い。
【0026】
前記低次側継続確認時間よりも前記高次側継続確認時間を長くしておいても良い。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、低次側検出信号が出力されるとすぐに低次側継続確認時間の判定を開始し、かつ高次側検出信号が出力されるとすぐに高次側継続確認時間の判定を開始し、両判定結果のAND条件が成立するとすぐに単独運転検出信号を出力するので、従来技術の上記待ち時間に相当するものを無くすることができる。
【0028】
その結果、上記低次側継続確認時間および高次側継続確認時間を、互いに独立して、配電系統に大きな過渡変動が発生しても不要検出を起こさない時間にすることができ、しかもそのようにしても単独運転検出時間が長くなるのを抑えることができる。従って、配電系統に大きな過渡変動が発生する場合にも、分散電源の単独運転の高速検出と、不要検出を起こさない確実な検出とを両立させることができる。
【0029】
請求項2に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、注入次数信号を計測するのに用いるフィルタの応答速度の違い等によって、単独運転発生時および過渡変動発生時に、高次注入次数のサセプタンスの変化分は、低次注入次数のサセプタンスよりも早く変化を始め、かつ当該変化が過渡変動発生時は早く収まるので、低次側継続確認時間よりも高次側継続確認時間を長くしても、単独運転検出時間が長くなるのを抑えることができる。しかも、高次側継続確認時間を長くしておくと、より大きな過渡変動発生時にも不要検出を起こしにくくなる。従って、配電系統に大きな過渡変動が発生する場合にも、分散電源の単独運転の高速検出と、不要検出を起こさない確実な検出とをより確実に両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の単独運転検出装置を構成する単独運転監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】単独運転発生時の低次注入次数のサセプタンス、高次注入次数のサセプタンスの変化分および図1に示す単独運転監視装置の動作をシミュレーションした結果の一例を示す図である。
【図3】小さな過渡変動発生時の低次注入次数のサセプタンス、高次注入次数のサセプタンスの変化分および図1に示す単独運転監視装置の動作をシミュレーションした結果の一例を示す図である。
【図4】大きな過渡変動発生時の低次注入次数のサセプタンス、高次注入次数のサセプタンスの変化分および図1に示す単独運転監視装置の動作をシミュレーションした結果の一例を示す図である。
【図5】この発明に係る単独運転検出装置を構成する単独運転監視装置の構成を示すブロック図である。
【図6】この発明に係る分散電源の単独運転検出装置を備える配電系統の一例を示す単線接続図である。
【図7】図6中の電流注入装置の一例を示す回路図である。
【図8】図6中の単独運転監視装置の一例を示すブロック図である。
【図9】サセプタンスの変化分検出回路の他の例を示すブロック図である。
【図10】単独運転発生時の低次注入次数のサセプタンス、高次注入次数のサセプタンスの変化分および図8に示す単独運転監視装置の動作をシミュレーションした結果の一例を示す図である。
【図11】小さな過渡変動発生時の低次注入次数のサセプタンス、高次注入次数のサセプタンスの変化分および図8に示す単独運転監視装置の動作をシミュレーションした結果の一例を示す図である。
【図12】大きな過渡変動発生時の低次注入次数のサセプタンス、高次注入次数のサセプタンスの変化分および図8に示す単独運転監視装置の動作をシミュレーションした結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図6に、この発明に係る分散電源の単独運転検出装置を備える配電系統の一例を示す。この配電系統は、配電線10が特高の配電線の場合の例であるが、それに限られるものではなく、配電線10は高圧の配電線でも良い。
【0032】
この配電系統は、上位系統2に特高配電用変電所4を介して特高配電線10が接続された構成をしている。変電所4は、変圧器6と、その2次側と配電線10とを接続する遮断器8とを備えている。なお、電圧が7kVを超える特高の場合の配電線は、特高電線路と呼ばれるが、この明細書では、この場合も統一して配電線と呼ぶことにしている。
【0033】
配電線10は、この例では、特高(即ち電圧が7kV超)の配電線であり、その電圧は、例えば11kV、22kV、33kV、66kV、77kVである。但し配電線10は、高圧(即ち電圧が7kV以下)の配電線でも良く、その場合の電圧は、例えば3.3kV、6.6kVである。
【0034】
配電線10には、この例では特高需要家負荷12、分散電源28を有する分散電源保有設備14および高圧配電用変電所42が接続されている。
【0035】
高圧配電用変電所42は、変圧器44および遮断器45を有している。この高圧配電用変電所42には、高圧需要家負荷46および力率改善用コンデンサ(略称SC)48が接続されている。
【0036】
この例では、配電線10に受電点Pで接続された分散電源保有設備14内に、以下に説明するような単独運転検出装置30を設けている。
【0037】
分散電源保有設備14においては、その受電点Pに引込線18および変圧器19を介して構内母線22が接続されている。この構内母線22に、遮断器20および変圧器26を介して分散電源28が接続されており、分散電源28から当該配電系統の基本波に同期した電力を構内母線22に供給するようにしている。これを連系運転と呼ぶ。
【0038】
分散電源28は、例えば、太陽光発電設備、燃料電池発電設備、コージェネレーション発電設備、風力発電設備等である。
【0039】
系統事故等の際には、特高配電用変電所4の遮断器8が開放される。その際、分散電源28が運転(即ち単独運転)していると、感電事故等が発生する恐れがあるので、分散電源28の単独運転を確実に検出し、更には遮断器20を開放して分散電源28を配電系統から切り離す(解列する)必要がある。
【0040】
そのために、この実施形態ではこの分散電源保有設備14内に、分散電源28の単独運転を検出する単独運転検出装置30を設けている。この単独運転検出装置30は、電流注入装置32と、単独運転監視装置34とを備えている。
【0041】
引込線18には、当該引込線18に流れる電流を計測する計器用変流器40が接続されており、構内母線22にはその電圧を計測する計器用変圧器38が接続されており、これら38、40で計測して得られる計測電圧Vt および計測電流It が単独運転監視装置34に供給される。なお、計器用変流器40は変圧器19の二次側(低圧側)に設けても良い。計器用変圧器38は、この例のように変圧器19の二次側に設ける方が、絶縁が簡単になるので好ましい。
【0042】
電流注入装置32は、この例では電圧整合用の変圧器36等を介して、引込線18ひいては受電点Pおよび配電線10に、当該配電系統の基本波の1倍よりも大きい非整数倍(即ち帯小数倍)の注入次数の注入電流を注入するものである。より具体的には、電流注入装置32は、4次未満の低次注入次数m1の注入電流Jm1および4次以上の高次注入次数m2の注入電流Jm2の両方を同時に注入するものである。この注入電流Jm1、Jm2、後述する電圧V、電流I等に付した添字のm1、m2は、上記注入次数を表している。
【0043】
電流注入装置32のより具体例を図7に示す。この電流注入装置32は、上記注入次数m1(例えば2.3次、2.5次等)の方形波電圧RVm1を発生する方形波電源50と、その出力ラインに直列に挿入された二つの直列共振回路(直列LC共振回路)52、54とを備えている。方形波電源50は例えばインバータである。直列共振回路52は上記低次注入次数m1の共振周波数を有しており、直列共振回路54は上記高次注入次数m2の共振周波数を有している。高次注入次数m2は、例えば、低次注入次数m1の3以上の奇数(即ち、3、5、7、・・・)倍の次数である。より具体例を挙げると、低次注入次数m1は2.5次、高次注入次数m2は17.5次である。但しこれらに限られるものではない。
【0044】
このような1台の電流注入装置32によって、上記二つの注入次数m1およびm2の正弦波状の注入電流Jm1およびJm2を同時に注入することができる。換言すれば、これら二つの注入電流Jm1およびJm2を含む注入電流を注入することができる。従って、電流注入装置32の構成の簡素化および小型化が可能になる。
【0045】
単独運転監視装置34のより具体例を図8に示す。一点鎖線110から上側が上記低次注入次数m1用の回路であり、下側が上記高次注入次数m2用の回路である。この単独運転監視装置34は、上記計測電圧Vt 、計測電流It を受けて、それらをディジタルの電圧、電流にそれぞれ変換するAD変換器60〜63と、それらからの電圧、電流から配電系統の基本波およびその整数倍次数の高調波を除去するディジタルのフィルタ66〜69とを備えている。
【0046】
配電系統の基本波に近接していて、過渡変動の影響を受けやすい低次注入次数m1用のフィルタ66、67には、過渡変動の影響を受けにくいFIR(有限インパルス応答)型フィルタを用いるのが好ましく、この例ではそれを用いている。配電系統の基本波から離れていて、過渡変動の影響を受けにくい高次注入次数m2用のフィルタ68、69には、より応答速度の早いIIR(無限インパルス応答)型フィルタを用いるのが好ましく、この例ではそれを用いている。
【0047】
離散フーリエ変換器70は、上記フィルタ66からの電圧を離散フーリエ変換して、上記低次注入次数m1の電圧Vm1を抽出して出力する。
【0048】
離散フーリエ変換器71は、上記フィルタ67からの電流を離散フーリエ変換して、上記低次注入次数m1の電流Im1を抽出して出力する。
【0049】
離散フーリエ変換器72は、上記フィルタ68からの電圧を離散フーリエ変換して、上記高次注入次数m2の電圧Vm2を抽出して出力する。
【0050】
離散フーリエ変換器73は、上記フィルタ69からの電流を離散フーリエ変換して、上記高次注入次数m2の電流Im2を抽出して出力する。
【0051】
上記電圧Vm1および電流Im1は演算器76に供給される。演算器76は、供給された電圧Vm1、電流Im1を用いて、低次注入次数m1のアドミタンスYm1を次式に従って演算し、更に当該アドミタンスYm1の虚部であるサセプタンスBm1を取り出して出力する。
【0052】
[数1]
m1=Im1/Vm1
【0053】
なお、上記電圧Vm1、Vm2、電流Im1、Im2、後述するサセプタンスBm1、Bm2、アドミタンスYm1、Ym2は、いずれも複素数の形で表される。
【0054】
上記電圧Vm2および電流Im2は演算器78に供給される。演算器78は、供給された電圧Vm2、電流Im2を用いて、高次注入次数m2のアドミタンスYm2を次式に従って演算し、更に当該アドミタンスYm2の虚部であるサセプタンスBm2を取り出して出力する。
【0055】
[数2]
m2=Im2/Vm2
【0056】
上記AD変換器60、61、フィルタ66、67、離散フーリエ変換器70、71および演算器76が前記低次側計測手段120(図5参照。以下同様)を構成しており、上記AD変換器62、63、フィルタ68、69、離散フーリエ変換器72、73および演算器78が前記高次側計測手段122を構成している。
【0057】
上記サセプタンスBm1は判定器80に供給される。判定器80は、当該サセプタンスBm1を所定の低次側判定値Ju1と比較することによって、分散電源28(図6参照)が単独運転になったことを検出して低次側検出信号S1 を出力する。この判定器80が前記低次側判定手段126を構成している。
【0058】
判定器80は、この例ではより具体的には、図10〜12に示す例のように、サセプタンスBm1が容量性方向(即ち正方向)に低次側判定値Ju1を超えて変化したときに、低次側検出信号S1 を出力する。低次側判定値Ju1は、例えば、連系運転時のサセプタンスBm1の50%程度に設定しておけば良く、図10〜12の例ではそのようにしている。
【0059】
再び図8を参照して、上記サセプタンスBm2は変化分検出回路90に供給される。変化分検出回路90は、当該サセプタンスBm2の、所定時間前からの変化分ΔBm2を検出する。この変化分検出回路90が、前記変化分検出手段124を構成している。
【0060】
変化分検出回路90は、この例では、演算器78からのサセプタンスBm2を所定時間T遅延させて出力する遅延回路92と、演算器78からのサセプタンスBm2から遅延回路92からのサセプタンスBm2を減算してサセプタンスBm2の変化分ΔBm2を出力する減算器94とを有している。所定時間Tは、例えば1秒であるが、それに限られるものではない。
【0061】
変化分検出回路90は、図8に示す例のものに限られるものではなく、例えば図9に示す例のように、上記遅延回路92の代わりに移動平均算出回路96を有するものでも良い。移動平均算出回路96は、上記サセプタンスBm2を第1の所定時間T1 (例えば1秒間)遅延して出力する遅延回路98と、上記サセプタンスBm2を第2の所定時間T2 (例えば2秒間)遅延して出力する遅延回路100と、両遅延回路98、100からの出力を加算する加算器102と、加算器102からの出力を1/2にする増幅器104とを有している。また、上記遅延回路92や移動平均算出回路96の代わりに、時定数の非常に長い(例えば10秒程度の)ローパスフィルタを設けても良い。
【0062】
再び図8を参照して、変化分検出回路90から出力されるサセプタンスの変化分ΔBm2は判定器82に供給される。
【0063】
判定器82は、当該サセプタンスの変化分ΔBm2を所定の高次側判定値Ju2と比較することによって、分散電源28(図6参照)が単独運転になったことを検出して高次側検出信号S2 を出力する。この判定器82が前記高次側判定手段128を構成している。
【0064】
判定器82は、この例ではより具体的には、図10〜12に示す例のように、サセプタンスの変化分ΔBm2が容量性方向(即ち正方向)に高次側判定値Ju2を超えて変化したときに、高次側検出信号S2 を出力する。高次側判定値Ju2は、例えば、連系運転から単独運転に移行したときのサセプタンスの変化分ΔBm2の50%程度に設定しておけば良く、図10〜12の例ではそのようにしている。
【0065】
なお、上記判定値Ju1、Ju2は、例えば、適用対象の配電系統のシミュレーションや実測試験を行うこと等によって、適切な値を予め比較的簡単に求めることができるので、その値を上記判定器80、82に設定しておけば良い。
【0066】
上記低次側検出信号S1 は継続時間判定器84に供給される。この継続時間判定器84は、低次側検出信号S1 が所定の低次側継続確認時間Tc1(図10〜12参照)のあいだ継続していることを判定して継続したときに低次側判定信号S4 を出力する。この継続時間判定器84が前記低次側継続時間判定手段134を構成している。低次側継続確認時間Tc1は、図10〜12の例では15m秒に設定しているが、これに限られるものではない。
【0067】
上記高次側検出信号S2 は継続時間判定器86に供給される。この継続時間判定器86は、高次側検出信号S2 が所定の高次側継続確認時間Tc2(図10〜12参照)のあいだ継続していることを判定して継続したときに高次側判定信号S5 を出力する。この継続時間判定器86が前記高次側継続時間判定手段136を構成している。高次側継続確認時間Tc2は、図10〜12の例では42m秒に設定して、Tc1<Tc2にしているが、これに限られるものではない。
【0068】
上記低次側判定信号S4 および高次側判定信号S5 はAND回路88に供給される。このAND回路88は、両判定信号S4 、S5 の論理積(AND)を取り、両判定信号S4 、S5 が共に出力されているときに単独運転検出信号DSを出力する。このAND回路88が前記論理積手段138を構成している。この単独運転検出信号DSの出力によって、単独運転監視装置34は、最終的に、それが設けられている分散電源保有設備14内の分散電源28が単独運転になったことを検出したことになる。
【0069】
単独運転監視装置34による単独運転検出後に分散電源28の解列を行うには、例えば、図6に示す例のように、上記単独運転検出信号DSによって遮断器20を開放すれば良い。
【0070】
図8に示す単独運転監視装置34の全体的な動作の例を、シミュレーションの結果と共に説明する。
【0071】
図6に示す配電系統を模擬した特高配電系統のモデルを用いて、分散電源28の連系点Pから見た配電系統の上記低次注入次数m1のサセプタンスBm1、上記高次注入次数m2のサセプタンスの変化分ΔBm2および図8に示す単独運転監視装置34の動作をシミュレーションした結果の例を、図10〜12に示す。これらは、前述した図2〜4にそれぞれ対応している。
【0072】
図10は、時刻t1 で分散電源が単独運転になった場合の例である。単独運転の発生によって上記サセプタンスBm1および上記サセプタンスの変化分ΔBm2は上昇する。時刻t14で上記サセプタンスBm1が上記低次側判定値Ju1を超えたので上記低次側検出信号S1 が出力され、この時点から上記低次側継続確認時間Tc1(この例では15m秒。以下同様)経過後に低次側判定信号S4 が出力された。一方、上記時刻t14よりも前の時刻t13で上記サセプタンスの変化分ΔBm2が上記高次側判定値Ju2を超えたので上記高次側検出信号S2 が出力され、この時点から上記高次側継続確認時間Tc2(この例では42m秒。以下同様)経過後の時刻t15に上記高次側判定信号S5 が出力された。この時点で両判定信号S4 、S5 が共に出力されたことになり上記AND条件が成立したので、上記単独運転検出信号DSが出力された。この場合の時刻t1 〜t15間の単独運転検出時間Td は50m秒弱であり、前述した目標時間(50m秒以内)を達成できている。
【0073】
図11は、時刻t1 で1MVarの容量の力率改善用コンデンサ(略称SC)を配電系統に投入して比較的小さな過渡変動を発生させた場合の例である。この投入によって上記サセプタンスBm1は振動しながらゆっくり上昇し、上記サセプタンスの変化分ΔBm2はサセプタンスBm1よりも早く上昇を開始しかつ早く元に戻っている。時刻t17で上記サセプタンスBm1が上記低次側判定値Ju1を超えたので上記低次側検出信号S1 が出力され、この時点から上記低次側継続確認時間Tc1経過後に上記低次側判定信号S4 が出力された。一方、上記時刻t17よりも前の時刻t16から時刻t18の間は上記サセプタンスの変化分ΔBm2が上記高次側判定値Ju2を超えているので上記高次側検出信号S2 が出力されており、時刻t16から上記高次側継続確認時間Tc2の判定が開始されたが、高次側継続確認時間Tc2が経過する前の時刻t18に高次側検出信号S2 の出力は停止しているので、上記高次側判定信号S5 は出力されていない。従って両判定信号S4 、S5 のAND条件が成立しないので、単独運転検出信号DSは出力されず、不要検出を防止することができた。
【0074】
図12は、時刻t1 で2MVarの容量の力率改善用コンデンサ(略称SC)を配電系統に投入して比較的大きな過渡変動を発生させた場合の例である。この投入によって上記サセプタンスBm1は振動しながらゆっくり上昇し、上記サセプタンスの変化分ΔBm2はサセプタンスBm1よりも早く上昇を開始しかつ早く元に戻っている。しかしこの場合、過渡変動が大きいので、図11の場合よりも元に戻るのに時間がかかっている。時刻t21で上記サセプタンスBm1が上記低次側判定値Ju1を超えたので上記低次側検出信号S1 が出力され、この時点から上記低次側継続確認時間Tc1経過後に上記低次側判定信号S4 が出力された。一方、上記時刻t21よりも前の時刻t20から時刻t22の間は上記サセプタンスの変化分ΔBm2が上記高次側判定値Ju2を超えているので上記高次側検出信号S2 が出力されており、時刻t20から上記高次側継続確認時間Tc2の判定が開始されたが、高次側継続確認時間Tc2が経過する前の時刻t22に高次側検出信号S2 の出力は停止しているので、上記高次側判定信号S5 は出力されていない。従って両判定信号S4 、S5 のAND条件が成立しないので、単独運転検出信号DSは出力されず、不要検出を防止することができた。前記従来技術では不要検出を起こしていたのであるが、この実施例ではそれを防止することができた。
【0075】
このように上記単独運転監視装置34を備えている単独運転検出装置30では、低次側検出信号S1 が出力されるとすぐに低次側継続確認時間Tc1の判定を開始し、かつ高次側検出信号S2 が出力されるとすぐに高次側継続確認時間Tc2の判定を開始し、両判定結果のAND条件が成立するとすぐに単独運転検出信号DSを出力するので、従来技術の上記待ち時間T3 (図2参照)に相当するものを無くすることができる。
【0076】
その結果、上記低次側継続確認時間Tc1および高次側継続確認時間Tc2を、互いに独立して、配電系統に大きな過渡変動が発生しても不要検出を起こさない時間にすることができ、しかもそのようにしても単独運転検出時間Td が長くなるのを抑えることができる。換言すれば、低次側継続確認時間Tc1および高次側継続確認時間Tc2を、それぞれに適した値に互いに独立して設定することができるので、柔軟性が高い。従って、配電系統に大きな過渡変動が発生する場合にも、分散電源28の単独運転の高速検出と、不要検出を起こさない確実な検出とを両立させることができる。
【0077】
例えば上記例のように、低次側継続確認時間Tc1を15m秒、高次側継続確認時間Tc2を42m秒に設定しておくと、単独運転検出時間Td は前述した目標時間(50m秒以内)を達成することができ(図10参照)、しかも、2MVarという大きな過渡変動が発生した場合にも不要検出を防止することができる(図12参照)。
【0078】
図12に示すように、上記時刻t22とt23との間には時間T4 だけまだ余裕があるので、2MVarよりも大きな過渡変動の場合でも、不要検出を防止することができることが分かる。従って例えば、上記高次側継続確認時間Tc2を、想定される最大の過渡変動に応じて42m秒よりも短くしても良く、そのようにすれば、単独運転検出時間Td を50m秒よりも短くすることもできる。
【0079】
上記低次側継続確認時間Tc1と高次側継続確認時間Tc2との長短の関係は、上記例のものに限らないけれども、上記例のように低次側継続確認時間Tc1よりも高次側継続確認時間Tc2を長く、即ちTc1<Tc2にしておくのが好ましい。これは、注入次数信号を計測するのに用いる上記フィルタ66〜69の応答速度の違い等によって、上記シミュレーションの結果からも分かるように、単独運転発生時および過渡変動発生時に、高次注入次数のサセプタンスの変化分ΔBm2は、低次注入次数のサセプタンスBm1よりも早く変化を始め、かつ当該変化が過渡変動発生時は早く収まるので、低次側継続確認時間Tc1よりも高次側継続確認時間Tc2を長くしても、単独運転検出時間Td が長くなるのを抑えることができるからである。しかも、高次側継続確認時間Tc2を長くしておくと、より大きな過渡変動発生時にも不要検出を起こしにくくなる。従って、配電系統に大きな過渡変動が発生する場合にも、分散電源28の単独運転の高速検出と、不要検出を起こさない確実な検出とをより確実に両立させることができる。
【0080】
更にこの単独運転検出装置30によれば、上記効果に加えて、特許文献1に記載の単独運転検出装置が奏する上記(ア)に示した、単独運転検出装置によって地絡過電圧継電器の代替が可能になるという効果、および、上記(イ)に示した、系統切り替えの際の不要検出を防止することができるという効果、と同様の効果を奏することができる。
【0081】
以上は、サセプタンスで判定する場合を例に説明したが、配電系統のアドミタンスは殆どがサセプタンスであり両者は似ているので、サセプタンスの代わりにアドミタンスで判定するようにしても良い。
【0082】
例えば、図8に示す演算器76において低次注入次数m1のアドミタンスYm1を求め、演算器78において高次注入次数m2のアドミタンスYm2を求め、変化分検出回路90においてアドミタンスYm2の変化分ΔYm2を求め、判定器80においてアドミタンスYm1用の低次側判定値Ju1と比較し、判定器82においてアドミタンスの変化分ΔYm2用の高次側判定値Ju2と比較するようにしても良い。
【0083】
あるいは、低次注入次数m1側および高次注入次数m2側の内の一方はサセプタンスで判定し、他方はアドミタンスで判定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0084】
2 上位系統
4 特高配電用変電所
10 配電線
14 分散電源保有設備
18 引込線
28 分散電源
30 単独運転検出装置
32 電流注入装置
34 単独運転監視装置
120 低次側計測手段
122 高次側計測手段
124 変化分検出手段
126 低次側判定手段
128 高次側判定手段
134 低次側継続時間判定手段
136 高次側継続時間判定手段
138 論理積手段
m1 低次注入次数
m2 高次注入次数
m1、Jm2 注入電流
m1 サセプタンス
ΔBm2 サセプタンスの変化分
DS 単独運転検出信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位系統に変電所を介して配電線が接続され、この配電線に、分散電源を有する分散電源保有設備が接続された構成の配電系統に適用されるものであって、
前記配電線から前記分散電源保有設備への引込線に、当該配電系統の基本波の1倍よりも大きい非整数倍の注入次数の注入電流を注入する電流注入装置と、
前記分散電源保有設備の受電点から眺めた前記配電系統の前記注入次数のアドミタンスまたはサセプタンスを計測して、当該アドミタンスまたはサセプタンスの変化から、前記分散電源が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号を出力する単独運転監視装置とを備えている単独運転検出装置において、
(1)前記電流注入装置は、4次未満の低次注入次数の注入電流および4次以上の高次注入次数の注入電流を注入するものであり、
(2)前記単独運転監視装置は、
(a)前記低次注入次数の前記アドミタンスまたはサセプタンスを計測する低次側計測手段と、
(b)前記低次側計測手段で計測したアドミタンスまたはサセプタンスを低次側判定値と比較することによって、前記分散電源が単独運転になったことを検出して低次側検出信号を出力する低次側判定手段と、
(c)前記高次注入次数の前記アドミタンスまたはサセプタンスを計測する高次側計測手段と、
(d)前記高次側計測手段で計測したアドミタンスまたはサセプタンスの、所定時間前からの変化分を検出する変化分検出手段と、
(e)前記変化分検出手段で検出したアドミタンスまたはサセプタンスの変化分を高次側判定値と比較することによって、前記分散電源が単独運転になったことを検出して高次側検出信号を出力する高次側判定手段と、
(f)前記低次側判定手段からの前記低次側検出信号が低次側継続確認時間のあいだ継続していることを判定して継続したときに低次側判定信号を出力する低次側継続時間判定手段と、
(g)前記高次側判定手段からの前記高次側検出信号が高次側継続確認時間のあいだ継続していることを判定して継続したときに高次側判定信号を出力する高次側継続時間判定手段と、
(h)前記低次側継続時間判定手段からの出力および前記高次側継続時間判定手段からの出力の論理積を取り、前記低次側判定信号および前記高次側判定信号が共に出力されているときに前記単独運転検出信号を出力する論理積手段とを備えている、ことを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
【請求項2】
前記低次側継続確認時間よりも前記高次側継続確認時間を長くしている請求項1記載の分散電源の単独運転検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−23859(P2012−23859A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159779(P2010−159779)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000003942)日新電機株式会社 (328)
【Fターム(参考)】