説明

分離回収装置及び分離回収方法

【課題】スライドファスナーから金属製ファスナーエレメントとファスナーテープとを分離して別々に回収することが可能な分離回収装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る分離回収装置(1) は、前記ファスナーエレメント(12)を前記ファスナーチェーン(11)から切り離すエレメント切離部(2) と、前記エレメント切離部(2) にて切り離された前記ファスナーエレメント(12)と前記ファスナーテープ(13)とを集め、空気の吸引を利用して、同ファスナーエレメント(12)及びファスナーテープ(13)を一緒に搬送する吸引搬送部(9) と、吸引搬送される前記ファスナーエレメント(12)と前記ファスナーテープ(13)とを分離して別々に回収する分離回収部(10)とを有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右のファスナーテープに金属製のファスナーエレメントが取着されたファスナーチェーンにおいて、ファスナーエレメント及びファスナーテープを再利用するためにファスナーチェーンからファスナーエレメントとファスナーテープと分別して回収する分離回収装置及び回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スライドファスナーのファスナーテープに取着される金属製のファスナーエレメントは、例えば、円形断面を有する長尺の金属線材を複数の圧延ロールを通して横断面を略Y形状に成形しながら、エレメント1個分だけ間欠的に送り出し、カッティングパンチとカッティングダイとによって所定の厚みに順次切断してエレメント素材を作製し、その後に、同エレメント素材の頭部にフォーミングパンチとフォーミングダイにより山出し成形することによって形成される。
【0003】
このような金属製ファスナーエレメントは、その左右脚部を加締パンチによりファスナーテープのエレメント取着部に加締めて植え付けられる。そして、複数の金属製ファスナーエレメントがファスナーテープのエレメント取着部に所定の間隔をもって植え付けられることにより、連続したファスナーストリンガーが作製され、その後、左右一対のファスナーストリンガーを互いに噛合させることにより連続ファスナーチェーンが作製される。
【0004】
更に、得られた連続ファスナーチェーンからスライドファスナーを連続的に形成する場合、同ファスナーチェーンを例えばファスナーエレメント除去装置などに供給して、所定の範囲内の金属製ファスナーエレメントをファスナーチェーンから除去する。これにより、噛合エレメント列間に、エレメント列が欠如したスペース部を間欠的に有する連続ファスナーチェーンが得られる。また、同ファスナーチェーンに例えば上下止具及びスライダーを取り付け、更に、その得られたファスナーチェーンを製品長さの単位に切断することによって、スライドファスナーが製造される。
【0005】
このような金属製ファスナーエレメントを有するスライドファスナーの製造において、ファスナーエレメントを除去する際に使用される除去装置の一例が、例えば特開平8−322612号公報(特許文献1)に開示されている。ここで、前記特許文献1に記載されているファスナーエレメント除去装置について、図11を参照しながら簡単に説明する。
【0006】
このファスナーエレメント除去装置81は、ファスナーチェーン82を長手方向に沿って案内する左右一対の基台83と、同基台83の中央の空隙の上方及び下方に昇降可能に設けられたパンチ84及びダイ85と、前記パンチ84の左右両側に配され、ファスナーエレメント86を切断するための左右一対の切断刃87と、ファスナーチェーン82のファスナーテープ89を前記基台83の上面に押圧することにより同ファスナーテープ89を押圧挟持する押圧体88とを有している。この場合、前記切断刃87は、ファスナーチェーン82のエレメント列に向けて上方から下降することによって、所定個数のファスナーエレメント86の脚部を、それぞれ頭部寄りの位置で切断可能なように設けられている。
【0007】
このようなファスナーエレメント除去装置81を用いてファスナーチェーン82にスペース部を間欠的に形成する場合、先ず、図示しない上下の搬送ローラーで連続ファスナーチェーン82のファスナーテープ89を挟持し、更にファスナーテープ89を挟持した状態で同駆動ローラーを回転させることにより、連続ファスナーチェーン82を基台83の搬送路に沿って所定の位置まで搬送させる。ファスナーチェーン82の搬送が停止した後、図示しない第1及び第2パッドを上方から下降させて同パッドでファスナーチェーン82を上方から押えることにより、ファスナーエレメント86の位置決めがなされる。
【0008】
次に、押圧体88が下降して左右のファスナーテープ89を基台83の上面に押し付けて固定するとともに、パンチ84及びダイ85がファスナーチェーン82のエレメント列まで上方及び下方から移動し、所定長さのエレメント列の噛合頭部を上下方向から挟持する。その後、切断刃87がパンチ84の左右両側から下降して、所定長さのエレメント列の噛合頭部寄り上脚部を一時に切断する。これにより、切断刃87により切断された複数のファスナーエレメント86が飛散し、ファスナーチェーン82から除去される。
【0009】
前記特許文献1のファスナーエレメント除去装置81によれば、ファスナーチェーン82に各スペース部を形成する際に、上述のようなスペース形成操作を各スペース部においてその下流側領域と上流側領域とに行っている。そして、この下流側領域及び上流側領域の2回のスペース形成操作を1サイクルとして、ファスナーチェーン82を間欠的に搬送するタイミングに合わせて、ファスナーチェーン82の長さ方向に沿って繰り返し行うことによって、所定長さのスペース部が所定ピッチで形成されたファスナーチェーン82が得られる。
【特許文献1】特開平8−322612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来、金属製のファスナーエレメントが取着されたファスナーチェーンや同ファスナーチェーンから作製されるスライドファスナーにおいて、例えばその製造工程中に誤ってエレメントやファスナーテープが傷付いたり、破損したりして品質上に問題が生じているものは、その検査工程にて取り除かれ、製品として出荷されることはなく、不良品として廃棄処分されていた。
【0011】
ところで、上述のような金属製ファスナーエレメントが加締めにより取着されるスライドファスナーにおいて、そのファスナーエレメントの材質には、エレメント自体の強度や加締め加工の容易さ等の理由から、銅又は銅合金が用いられることが多い。また近年、環境問題に対する意識が高まっており、循環型社会を実現するために廃棄物をリサイクルして、廃棄物を減少させることや、金属材料等の資源を有効に活用することが望まれている。
【0012】
このため、スライドファスナーの製造においては、従来では不良品として処分されていたスライドファスナーのリサイクルを図るために、金属製ファスナーエレメントと繊維からなるファスナーテープとを別々に回収することにより、それぞれを再利用して有効活用することが求められている。
【0013】
更に従来では、スライドファスナーが取着された衣類や鞄類などのファスナー被着製品についても、不要となったときに、ごみとして廃棄されることが多かった。従って、廃棄物の減少と資源の有効活用のためには、不要となったファスナー被着製品からも、スライドファスナーの金属製ファスナーエレメントやファスナーテープ等を分別して容易に回収することが望まれている。
【0014】
なお、前記特許文献1のファスナーエレメント除去装置81は、連続ファスナーチェーンから金属製ファスナーエレメントを除去することにより、ファスナーチェーンにスペース部を間欠的に形成する装置であって、ファスナーチェーンから間欠的に除去されたファスナーエレメントのみを回収することは可能であっても、ファスナーチェーンからファスナーエレメントとファスナーテープとを分別して回収する手段は備えられていない。このため、同ファスナーエレメント除去装置81が、不良品として処分されるスライドファスナーを再利用する目的で用いられることはなかった。
【0015】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、ファスナーテープに金属製ファスナーエレメントが取着されたスライドファスナーから、そのファスナーエレメントとファスナーテープとを分離して別々に回収することが可能な分離回収装置、及び分離回収方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明により提供される分離回収装置は、基本的な構成として、左右のファスナーテープの相対する各テープ側縁部に金属製ファスナーエレメントが取着されたファスナーチェーンから、前記ファスナーエレメントを切り離し、同ファスナーエレメントと前記ファスナーテープとを分離して回収する分離回収装置にあって、前記ファスナーエレメントを前記ファスナーチェーンから切り離すエレメント切離部と、前記エレメント切離部にて切り離された前記ファスナーエレメントと前記ファスナーテープとを集め、空気の吸引を利用して、同ファスナーエレメント及びファスナーテープを一緒に搬送する吸引搬送部と、吸引搬送される前記ファスナーエレメントと前記ファスナーテープとを分離して別々に回収する分離回収部と、を有してなることを最も主要な特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る分離回収装置において、前記エレメント切離部は、前記ファスナーエレメントの大きさに対応して形成された凹状のエレメント導入溝を備え、前記ファスナーチェーンを所定の向きで下流側に案内するチェーンガイド部と、前記チェーンガイド部の下流側に軸支され、その外周面が前記チェーンガイド部に供給された前記ファスナーチェーンの前記ファスナーエレメントの下面に直接接触して回転する搬送ローラーと、前記搬送ローラーの上方に軸支され、左右の前記ファスナーエレメントの脚部を切断することにより、同ファスナーエレメントを前記ファスナーチェーンから切り離す左右のロールカッターとを有していることが好ましい。
【0018】
この場合、左右の前記ロールカッターは互いに離間して配され、左右の前記ロールカッター間に、前記ファスナーエレメントの姿勢を安定させるエレメントガイドが、前記ファスナーエレメントの上面に対向して配されていることが好ましい。また、前記搬送ローラーの前記外周面に、ローレット加工が施されていることが好ましい。
【0019】
本発明に係る前記吸引搬送部は、前記エレメント切離部の下方に配され、同エレメント切離部にて切り離されて落下する前記ファスナーエレメントと前記ファスナーテープとを集めて下流側に導出する導出部と、空気を吸引する空気吸引部と、前記導出部の導出口と前記空気吸引部との間を気密に接続し、前記空気吸引部の空気吸引により、前記導出部から導出される前記ファスナーエレメント及び前記ファスナーテープをまとめて吸引搬送する搬送管路部とを有していることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る前記分離回収部は、前記吸引搬送部の途中に配され、吸引搬送される前記ファスナーエレメントと前記ファスナーテープとを分離する分離手段と、同分離手段で分離された前記ファスナーエレメントのみを回収するエレメント回収手段とを備える気密室のエレメント回収部と、前記吸引搬送部の途中で且つ前記エレメント回収部の下流側に配され、同エレメント回収部から搬出されるファスナーテープを回収するテープ回収手段を備える気密室のテープ回収部とを有していることが好ましい。
【0021】
この場合、前記エレメント回収部は、中空空間を有する第1ハウジング部と、前記第1ハウジング部内に前記ファスナーエレメント及び前記ファスナーテープを流入させる第1流入口と、前記第1ハウジング部内から前記ファスナーテープを流出させる第1流出口とを有し、前記分離手段は、前記第1流入口及び前記第1流出口の高さ位置よりも下方に配され、吸引搬送される前記ファスナーテープを下方から支持し、且つ、前記ファスナーエレメントを通過させることが可能な目を有する格子状又は網状の仕切り部により構成され、前記エレメント回収手段は、前記第1ハウジング部内の底部に配され、前記第1流入口から流入する前記ファスナーエレメントを落下させて収容するエレメント収容空間により構成されていることが好ましい。
【0022】
また、前記エレメント回収部は、前記第1流入口の下流側延長線上の少なくとも一部を遮るように配され、同第1流入口から流入する前記ファスナーエレメントを衝突させて前記エレメント収容空間に落下させるエレメント衝突部を有していることが更に好ましい。
【0023】
前記テープ回収部は、中空空間を有する第2ハウジング部と、前記第2ハウジング部内に前記ファスナーテープを流入させる第2流入口と、前記吸引搬送部の空気吸引側に接続される接続口とを有し、前記テープ回収手段は、前記第2ハウジング部内の底部に配され、前記第2流入口から流入する前記ファスナーテープを落下させて収容するテープ収容空間により構成されていることが好ましい。
【0024】
また、前記テープ回収部は、前記第2流入口の下流側延長線上の少なくとも一部を遮るように配され、同第2流入口から流入する前記ファスナーテープを衝突させて前記テープ収容空間に落下させるテープ衝突部を有していることが更に好ましい。
【0025】
次に、本発明によれば、左右のファスナーテープの相対する各テープ側縁部に金属製ファスナーエレメントが取着されたファスナーチェーンから、前記ファスナーエレメントを切り離すエレメント切離工程と、切り離された前記ファスナーエレメントと前記ファスナーテープとを集めて、空気の吸引を利用することにより、同ファスナーエレメント及びファスナーテープをまとめて吸引搬送する吸引搬送工程と、前記吸引搬送工程にて吸引搬送される前記ファスナーエレメントと前記ファスナーテープとを分離して別々に回収する分離回収工程とを含んでなることを最も主要な特徴とするファスナーエレメントとファスナーテープの分離回収方法が提供される。
【0026】
本発明に係る分離回収方法において、前記エレメント切離工程は、前記ファスナーチェーンをエレメント切離部に供給し、同ファスナーチェーンを前記エレメント切離部の搬送ローラーによって搬送すること、及び、前記搬送ローラーで前記ファスナーチェーンのエレメント下面を支持しながら、前記搬送ローラーの上方に軸支されたロールカッターで前記ファスナーエレメントの脚部を切断することによって、同ファスナーエレメントを前記ファスナーチェーンから切り離すことを含んでいることが好ましい。
【0027】
また、前記吸引搬送工程は、切り離された前記ファスナーエレメントと前記ファスナーテープとを導出部に落下させて集め、同導出部の導出口から導出すること、及び、前記導出部の導出口と搬送管路部を介して気密に接続された空気吸引部が空気を吸引することにより、前記ファスナーエレメント及び前記ファスナーテープを前記導出口から一緒に吸引搬送することを含んでいることが好ましい。
【0028】
更に、前記分離回収工程は、一緒に吸引搬送される前記ファスナーエレメントと前記ファスナーテープとをエレメント回収部に流入させ、同エレメント回収部に配した分離手段により、前記ファスナーエレメントと前記ファスナーテープとを分離すること、分離された前記ファスナーエレメントのみを落下させて回収し、前記ファスナーテープを前記エレメント回収部から流出させること、及び、前記エレメント回収部から流出する前記ファスナーテープをテープ回収部に流入させ、同テープ回収部内で前記ファスナーテープを落下させて回収することを含んでいることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る分離回収装置は、主として、ファスナーエレメントをファスナーチェーンから切り離すエレメント切離部と、同エレメント切離部にて切り離されたファスナーエレメントとファスナーテープとを集め、空気の吸引を利用して一緒に搬送する吸引搬送部と、吸引搬送されるファスナーエレメントとファスナーテープとを分離して別々に回収する分離回収部とを有している。
【0030】
このような本発明の分離回収装置によれば、先ず、ファスナーエレメントの回収を行うファスナーチェーンがエレメント切離部に供給され、同エレメント切離部にて噛合状態にある左右のファスナーエレメントをファスナーチェーンから切り離して取り外し、そのファスナーエレメントとファスナーテープとを自重により落下させる。
【0031】
続いて、エレメント切離部から落下したファスナーエレメントとファスナーテープとは、吸引搬送部にて集められ、更に、吸引搬送部の下流端にて空気の吸引を行うことにより、そのファスナーエレメント及びファスナーテープを分離回収部に向けて吸引搬送する。
【0032】
次に、ファスナーエレメントとファスナーテープとが搬送された分離回収部では、例えばファスナーエレメントの自重を利用することにより、ファスナーエレメントとファスナーテープとを分離して別々に回収することができる。これにより、金属製ファスナーエレメントを有するファスナーチェーンに例えば不良品が発生した場合などには、その不良品からファスナーエレメントとファスナーテープとを容易に分離回収して、それぞれを再利用することが可能となる。
【0033】
また、本発明の分離回収装置では、上述のように、ファスナーエレメントを切り離すエレメント切離部と、切り離したファスナーエレメントとファスナーテープとをまとめて一緒に吸引搬送する吸引搬送部と、ファスナーエレメントとファスナーテープと分離回収する分離回収部とを別々に配している。
【0034】
このため、本発明の分離回収装置は、例えばファスナーチェーンからファスナーエレメントを切り離すと同時にそのファスナーエレメントとファスナーテープとを分離するように構成された装置に比べて、装置の構造をより簡単にすることができる。また、同分離回収装置は、例えばサイズの異なるファスナーチェーンを処理する場合に、装置の調整等も容易であるため、簡単に対応することができる。
【0035】
このような本発明の分離回収装置において、前記エレメント切離部は、凹状のエレメント導入溝を備えたチェーンガイド部と、同チェーンガイド部の下流側に軸支された搬送ローラーと、同搬送ローラーの上方に軸支された左右のロールカッターとを有している。このような構成を有するエレメント切離部によれば、チェーンガイド部でファスナーチェーンを下流側に所定の向きで確実に案内しながら、搬送ローラーによって同ファスナーチェーンを機械的に搬送することができる。
【0036】
また、同エレメント切離部は、ファスナーチェーンを搬送するとともに、搬送ローラーで金属製ファスナーエレメントを下面側から支持しながら、左右のロールカッターによって噛合状態にある左右のファスナーエレメントの脚部を安定して切断し、ファスナーチェーンからファスナーエレメントを容易に切り離すことができ、また、その切り離したファスナーエレメントとファスナーテープとを落下させることができる。
【0037】
特に、このエレメント切離部によれば、ファスナーチェーンに列設した複数の金属製ファスナーエレメントを左右のロールカッターにより連続的に切断することができるため、例えば前記特許文献1に記載されているような左右の切断刃を昇降させることによってファスナーエレメントを切断する場合に比べて、ファスナーエレメントの切断を効率的に行うことができる。
【0038】
この場合、左右の前記ロールカッターは互いに離間して配されており、且つ、同ロールカッター間にエレメントガイドが、ファスナーエレメントの上面に対向して配されている。これにより、同エレメントガイドが、搬送されるファスナーエレメントの上面側に、同ファスナーエレメントと当接するように又は僅かに離間するように位置して、ファスナーエレメントが搬送される空間を制限することができる。従って、左右のファスナーエレメントの脚部をロールカッターで切断する際に、ファスナーエレメントの下面を搬送ローラーで支持するとともに、前記エレメントガイドによって、ロールカッターにより切断されるファスナーエレメントが傾くことを防止して、同ファスナーエレメントの姿勢を上下方向に変動させずに安定させることができる。このため、ロールカッターによってファスナーエレメントの脚部をより安定して切断でき、ファスナーチェーンからファスナーエレメントを確実に切り離すことができる。
【0039】
また、エレメント切離部における搬送ローラーの外周面には、ローレット加工が施されている。これにより、ファスナーチェーンを搬送する際におけるファスナーエレメントと搬送ローラーの外周面との摩擦を大きくすることができるため、搬送ローラーでファスナーチェーンをより安定して搬送することができる。
【0040】
なお、本発明において、金属製ファスナーエレメントをファスナーチェーンから切り離す手段は、上述のように金属製ファスナーエレメントを切断することに限定されるものではなく、例えば、金属製ファスナーエレメントに機械的な力を与えて塑性変形や破断させることによって、ファスナーエレメントを切り離すようにしても良い。
【0041】
本発明の分離回収装置において、前記吸引搬送部は、エレメント切離部の下方に配された導出部と、空気を吸引する空気吸引部と、導出部の導出口と空気吸引部との間を気密に接続した搬送管路部とを有している。
【0042】
このような吸引搬送部によれば、エレメント切離部から落下するファスナーエレメントとファスナーテープとを導出部で集めることができる。また、導出部の下流側に配した空気吸引部で空気を吸引することによって、その集めたファスナーエレメント及びファスナーテープを一緒に導出部の導出口から空気吸引部に向けて容易に吸引搬送することができる。
【0043】
本発明の分離回収装置において、前記分離回収部は、吸引搬送部の途中に配され、ファスナーエレメントとファスナーテープとを分離する分離手段、及び分離手段で分離されたファスナーエレメントを回収するエレメント回収手段を備える気密室のエレメント回収部と、吸引搬送部の途中で且つエレメント回収部の下流側に配され、ファスナーテープを回収するテープ回収手段を備える気密室のテープ回収部とを有している。
【0044】
このような分離回収部によれば、エレメント回収部において、吸引搬送部により吸引搬送されるファスナーエレメントとファスナーテープとを分離して、その分離したファスナーエレメントのみを容易に回収し、また、ファスナーテープを吸引搬送部の吸引力によりエレメント回収部から流出させて下流側のテープ回収部に搬送することができる。更に、テープ回収部では、エレメント回収部から流出したファスナーテープを流入させて、容易に回収することができる。
【0045】
この場合、前記エレメント回収部は、中空空間を有する第1ハウジング部と、第1ハウジング部に配された第1流入口及び第1流出口とを有する。また、同エレメント回収部の分離手段は、第1ハウジング部内の第1流入口及び第1流出口の高さ位置よりも下方に配され、ファスナーエレメントを通過させることが可能な目を有する格子状又は網状の仕切り部により構成されている。更に、エレメント回収手段は、第1ハウジング部内の底部に配されるエレメント収容空間により構成されている。
【0046】
これにより、エレメント回収部は、吸引搬送部により吸引搬送されるファスナーエレメントとファスナーテープとを第1流入口から第1ハウジング部内に流入させ、更に、同第1ハウジング部内に配した仕切り部によって、ファスナーテープを下方から支持し、またその一方で、ファスナーエレメントをその自重により仕切り部の目を介して落下させる。これにより、ファスナーエレメントとファスナーテープとを容易に分離することができる。
【0047】
また、同エレメント回収部は、仕切り部によって分離されたファスナーエレメントを、第1ハウジング部内の底部に配されたエレメント収容空間に落下させることにより容易に回収することができる。一方、仕切り部で支持されるファスナーテープは、吸引搬送部の吸引力を受けて、仕切り部上で吸引搬送され、エレメント回収部から容易に搬出される。
【0048】
特にこの場合、前記エレメント回収部は、第1流入口の下流側延長線上の少なくとも一部を遮るように配されたエレメント衝突部を有していることにより、第1流入口から第1ハウジング部内に流入したファスナーエレメントの一部をエレメント衝突部に衝突させることができる。これにより、そのファスナーエレメントの一部をエレメント回収部に向けて確実に落下させることができ、ファスナーエレメントの回収をより安定して行うことができる。
【0049】
一方、同分離回収部のテープ回収部は、中空空間を有する第2ハウジング部と、第2ハウジング部に配された第2流入口と、吸引搬送部の空気吸引側に接続される接続口を有する。また、同テ−プ回収部のテープ回収手段は、第2ハウジング部内の底部に配されるテープ収容空間により構成されている。これにより、テープ回収部は、エレメント回収部から搬出されたファスナーテープを、第2流入口から第2ハウジング部内に流入させ、更に、同第2ハウジング部内の底部に配されたテープ収容空間に落下させることにより容易に回収することができる。
【0050】
特にこの場合、前記テープ回収部は、第2流入口の下流側延長線上の少なくとも一部を遮るように配されたテープ衝突部を有していることにより、第2流入口から第2ハウジング部内に流入したファスナーテープをテープ衝突部に衝突させることができる。これにより、そのファスナーテープをテープ回収部に向けて確実に落下させることができ、ファスナーテープの回収をより安定して行うことができる。
【0051】
次に、本発明に係る分離回収方法は、ファスナーチェーンから金属製ファスナーエレメントを切り離すエレメント切離工程と、切り離されたファスナーエレメントとファスナーテープとを集めて一緒に吸引搬送する吸引搬送工程と、その吸引搬送されるファスナーエレメントとファスナーテープとを分離して別々に回収する分離回収工程とを含んでいる。
【0052】
これにより、ファスナーチェーンは、エレメント切離工程においてファスナーエレメントがファスナーチェーンから切り離されて、同ファスナーエレメントとファスナーテープとが自重により落下する。続いて、吸引搬送工程において、落下するファスナーエレメント及びファスナーテープを集めて、空気の吸引を利用することによって一緒に吸引搬送する。
【0053】
更に、分離回収工程において、例えばファスナーエレメントの自重を利用することにより、ファスナーエレメントとファスナーテープとを分離して別々に回収することができる。これにより、金属製ファスナーエレメントを有するファスナーチェーンからファスナーエレメントとファスナーテープとを容易に分離回収でき、それぞれを再利用することが可能となる。
【0054】
本発明の分離回収方法において、前記エレメント切離工程は、ファスナーチェーンをエレメント切離部に供給し、同ファスナーチェーンをエレメント切離部の搬送ローラーによって搬送すること、及び、搬送ローラーでファスナーチェーンのエレメント下面を支持しながらロールカッターでファスナーエレメントの脚部を切断して、同ファスナーエレメントを切り離すことを含んでいる。
【0055】
これにより、ファスナーチェーンから複数のファスナーエレメントを連続的に安定して切断し、ファスナーチェーンからファスナーエレメントを容易に且つ効率的に切り離すことができる。また、その切り離したファスナーエレメントとファスナーテープとを落下させることができる。
【0056】
また、前記吸引搬送工程は、切り離されたファスナーエレメントとファスナーテープとを導出部で集めて同導出部から導出すること、及び、導出部の導出口と搬送管路部を介して気密に接続された空気吸引部が空気を吸引することを含んでいる。これにより、導出部で集めたファスナーエレメント及びファスナーテープを一緒に容易に吸引搬送することができる。
【0057】
更に、前記分離回収工程は、吸引搬送されるファスナーエレメントとファスナーテープとをエレメント回収部に流入させて分離すること、分離されたファスナーエレメントを回収するとともにファスナーテープをエレメント回収部から流出させること、及び、そのファスナーテープをテープ回収部に流入させて回収することを含んでいる。これにより、ファスナーエレメントとファスナーテープとを、エレメント回収部及びテープ回収部でそれぞれ容易に分離回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
ここで、図1は、本実施形態に係る分離回収装置を示す斜視図である。また、図2は、同分離回収装置におけるエレメント切離部の内部を模式的に示す斜視図であり、図3は、同エレメント切離部の要部を模式的に示す斜視図である。
【0059】
図4は、同エレメント切離部を横方向から見たときの断面図であり、図5は、同エレメント切離部の一部を正面から見たときの断面図であり、図6は、ロールカッターによるファスナーエレメントの切断について説明する説明図である。また、図7は、同分離回収装置におけるエレメント回収部を横方向から見たときの断面図であり、図8は、同エレメント回収部を上方から見たときの断面図である。更に、図9は、同分離回収装置におけるテープ回収部を横方向から見たときの断面図である。
【0060】
本実施形態に係る分離回収装置1は、ファスナーチェーン11からファスナーエレメント12を切り離すエレメント切離部2と、エレメント切離部2で切り離されたファスナーエレメント12とファスナーテープ13とを集めて一緒に吸引搬送する吸引搬送部9と、吸引搬送されるファスナーエレメントとファスナーテープとを分離して別々に回収する分離回収部10とを有している。
【0061】
この分離回収装置1では、図1に示すように、互いに異なるサイズのファスナーエレメント12を切断することが可能な3台のエレメント切離部2が、テーブル8上に平行に並べて設置されている。このため、回収を行うファスナーエレメント12のサイズに応じて、3つのエレメント切離部2の中から適切なエレメント切離部2を選択し、そのエレメント切離部2でファスナーエレメント12を切断するように構成されている。
【0062】
なおこの場合、同テーブル8の天板部8aの一部に貫通孔が形成されており、この貫通孔に被さるように各エレメント切離部2が固定されている。また、これらの3つのエレメント切離部2は、単一のモーター部28から駆動力を得て、後述する搬送ローラー22とロールカッター23A,23Bとがそれぞれ所定の方向に回転するように構成されている。
【0063】
ここで、本発明におけるエレメント切離部2の設置台数は特に限定されず、任意に変更することができる。また、本実施形態のように複数台のエレメント切離部2を設置する場合において、各エレメント切離部2を、上述のように互いに異なるサイズのファスナーエレメント12を切断するように設定でき、或いは、同じサイズのファスナーエレメント12を切断するように設定しても良い。
【0064】
本実施形態における各エレメント切離部2は、ファスナーチェーン11の搬送を案内するチェーンガイド部21と、同チェーンガイド部21に載置されたファスナーチェーン11を搬送する搬送ローラー22と、搬送ローラー22により搬送されるファスナーチェーン11の左右ファスナーエレメント12を切断する左右のロールカッター23A,23Bと、ファスナーエレメント12の切断時にエレメント上面に当接してファスナーエレメント12の姿勢を整えるエレメントガイド24と、搬送ローラー22の回転をロールカッター23A,23Bに伝達する回転伝達機構25と、これらを保護するために被せられる矩形状のカバー体26とを有している。
【0065】
各エレメント切離部2における前記チェーンガイド部21では、下側に配される第1ガイド部21aと、上側に配される第2ガイド部21bとが平行に配されており、第1ガイド部21aと第2ガイド部21bとの間には、ファスナーチェーン11を挿入可能な間隙が設けられている。
【0066】
なお、本発明において、第1ガイド部21a及び第2ガイド部21bの長さ、幅、高さの各寸法は特に限定されないが、例えば図2に示したように、第1ガイド部21aを第2ガイド部21bよりも長く形成して、同第1ガイド部21aを第2ガイド部21bよりもファスナーチェーン供給側に引き出すことにより、チェーンガイド部21にファスナーチェーン11を容易に且つ安定して供給することができる。
【0067】
また、第1ガイド部21aの上面には、ファスナーチェーン11を下流に向けて所定の向きで円滑に案内するために、同ファスナーチェーン11の噛合状態にあるファスナーエレメント12を導入するための凹状のエレメント導入溝21cが、第1ガイド部21aの長さ方向に沿って形成されている。なお、このエレメント導入溝21cの下流端部は、搬送ローラー22が挿入されるために、第1ガイド部21aの上面から下面に貫通して形成されている(図3及び図6を参照)。
【0068】
前記第2ガイド部21bは、第1ガイド部21a上で搬送されるファスナーチェーン11を上面側から覆うように、第1ガイド部21aの上面に対向して配されている。更に、第2ガイド部21bの上面には、図3に示すように、エレメントガイド24を挿入して固定するためのエレメントガイド挿入溝21dが、第2ガイド部21bの長さ方向に沿って形成されている。
【0069】
このようなチェーンガイド部21において、ファスナーチェーン11は、作業者の手作業によって第1ガイド部21aと第2ガイド部21bとの間に挿し込まれることにより供給され、その供給されたファスナーチェーン11は、ファスナーテープ13の下面(裏面)を第1ガイド部21aの上面に摺接させるとともに、ファスナーエレメント12の下面と左右側面の一部とをエレメント導入溝21cの内面に摺接させることにより、その搬送方向が案内される。
【0070】
また、同チェーンガイド部21には第2ガイド部21bが配されているため、例えば作業者がファスナーチェーン11をチェーンガイド部21に押し込むように強く挿し込んだ場合でも、ファスナーチェーン11が第1ガイド部21a上で撓むことや翻ることを防止できる。このため、チェーンガイド部21によれば、ファスナーチェーン11を、チェーンガイド部21に沿って所定の向きで、且つ、適正な姿勢で安定して搬送することができる。
【0071】
本実施形態の各エレメント切離部2における前記搬送ローラー22は、チェーンガイド部21の下流側の下方位置にて、カバー体26に軸支されており、同ローラー22の外周面22aがチェーンガイド部21に供給されたファスナーチェーン11のファスナーエレメント下面に直接接触するように配されている。この搬送ローラー22の回転軸22bは、モーター部28に接続されており、また、同搬送ローラー22の外周面22aにはローレット加工が施されている。
【0072】
ここで、例えば前記特許文献1のファスナーエレメント除去装置81などにおいては、同除去装置で処理するファスナーチェーンは、その後製品として出荷されるため、同除去装置による加工中にファスナーエレメント自体が傷付くことを防止しなければならない。従って、前記特許文献1の除去装置81では、ファスナーチェーンを搬送させる搬送ローラーは、ファスナーエレメント自体を傷付けないように、ファスナーテープのみに接触してファスナーチェーンを搬送するように設けられている。
【0073】
しかし、本実施形態の分離回収装置1では、ファスナーエレメント12を回収して再利用するため、回収処理の際にファスナーエレメント12自体を傷付けても問題はなく、むしろ、ファスナーエレメント12を確実に搬送するとともに、同ファスナーエレメント12をロールカッター23A,23Bで安定して切断するためには、ファスナーエレメント12自体を搬送ローラー22で直接支持することが好ましい。このため、本実施形態では、上述のように搬送ローラー22の外周面22aがファスナーチェーン11のエレメント下面に直接接触するように搬送ローラー22の位置が設定されている。
【0074】
なお、本実施形態における3つの前記エレメント切離部2において、各搬送ローラー22の回転軸22bは同軸上に設置されている。また、図2及び図5に示すように、それぞれの搬送ローラー22の回転軸22bの両端には凸部22cが形成されており、各搬送ローラー22の回転軸22bは、前記凸部22cを嵌着可能な凹部が両端に形成された連結ロッド29を介して連結されている。
【0075】
更にこの場合、モーター部28の出力軸28aの先端にも、前記凸部22cを嵌着可能な凹部が形成されており、同凹部に搬送ローラー22の回転軸22bの凸部22cが嵌着することにより、搬送ローラー22の回転軸22bがモーター部28に接続されている。
【0076】
これにより、各搬送ローラー22は、モーター部28から駆動力を得ることによって、互いに連動してファスナーチェーン11を引き込む方向に回転する。従って、チェーンガイド部21に供給されたファスナーチェーン11は、そのファスナーエレメント12が搬送ローラー22の外周面22aに接触して引き込まれることにより、チェーンガイド部21に沿って搬送される。
【0077】
更に本実施形態では、同搬送ローラー22の外周面22aには、前述のようにローレット加工が施されているため、ファスナーチェーン11の搬送時におけるファスナーエレメント12と搬送ローラー22外周面22aとの摩擦が大きくなる。このため、同搬送ローラー22によってファスナーエレメント12を確実に引き込んで、ファスナーチェーン11を安定して搬送することができる。
【0078】
本実施形態の各エレメント切離部2における前記ロールカッター23A,23Bは、先端に向けて鋭く形成された刃部23a,23bを円周上に有する円板により形成されており、左右一組として設けられている。この左右のロールカッター23A,23Bは、図6に示したように、チェーンガイド部21に供給されたファスナーチェーン11の左右ファスナーエレメント12の各上脚部(特に、エレメント上脚部の噛合頭部側の位置)を切断可能なように、互いに離間した状態で搬送ローラー22の上方位置に軸支されている。
【0079】
また、同ロールカッター23A,23Bは、搬送ローラー22の回転駆動力が回転伝達機構25を介して伝達されることにより、搬送ローラー22と連動して、同搬送ローラー22の回転方向とは逆方向に回転するように配されている。
【0080】
本実施形態の各エレメント切離部2における前記エレメントガイド24は、図3に示したように、第2ガイド部21bに挿入して係着させる係着部24aと、ファスナーチェーン11の左右ファスナーエレメント12の上面に当接して同ファスナーエレメント12を押える当接部24bとを有している。このエレメントガイド24は、第2ガイド部21bに係着させることにより所定の位置で固定され、その当接部24bが左右のロールカッター23A,23B間に配される。
【0081】
このようなエレメントガイド24を有していることにより、ロールカッター23A,23Bによるファスナーエレメント12の切断時に、エレメントガイド24の当接部24bが同ファスナーエレメント12を上面から押えて、そのエレメント12の姿勢を整えて安定させることができる。このため、左右ファスナーエレメント12の上脚部を、ロールカッター23A,23Bによって確実に切断することができる。
【0082】
なお、本発明において、同エレメントガイド24は、搬送されるファスナーチェーン11の左右ファスナーエレメント12の上面にその当接部24bを当接させずに、当接部24bとファスナーエレメント12の上面との間に僅かな隙間(例えば、ロールカッター23A,23Bがファスナーエレメント12に食い込む深さよりも小さい隙間)を設けて、同ファスナーエレメント12の上面に対向して配されていても良い。これによっても、ファスナーエレメント12の切断時に同ファスナーエレメント12が傾くことを防いで、その姿勢を安定させることができる。
【0083】
本実施形態の各エレメント切離部2における前記回転伝達機構25は、第1及び第2プーリー25a,25bと、これらのプーリー25a,25b間に掛け渡されるタイミングベルト25cと、第2プーリー25bと同軸に連結された第1歯車25dと、同第1歯車25dに噛み合わされた第2歯車25eとを有している。この場合、第1プーリー25aが搬送ローラー22の回転軸22bと同軸に連結され、第2歯車25eがロールカッター23A,23Bの回転軸と同軸に連結されている。
【0084】
このような回転伝達機構25を有することにより、モーター部28から駆動力を得て搬送ローラー22を回転させたときに、左右のロールカッター23A,23Bを搬送ローラー22とは逆方向に同期回転させることができる。なお、本実施形態では、例えば第1歯車25dと第2歯車25eの歯数を変更することによって、ロールカッター23A,23Bの回転速度を搬送ローラー22よりも速く設定することが可能である。
【0085】
上述のような構成を有するエレメント切離部2によれば、搬送ローラー22によって、チェーンガイド部21の第1及び第2ガイド部21a,21b間に供給されたファスナーチェーン11の噛合状態にある左右ファスナーエレメント12をその下面側から直接支持しながら、同ファスナーチェーン11をエレメント導入溝21cに沿って所定の向きで搬送し、それとともに、回転する左右のロールカッター23A,23Bによって、左右ファスナーエレメント12の上脚部を安定して連続的に切断することができる。これにより、それぞれのファスナーエレメント12は、2つの切断片12a,12bに切断される(図6を参照)。
【0086】
次に、本実施形態における前記吸引搬送部9は、エレメント切離部2の下方に配された導出部3と、空気を吸引する空気吸引部7と、導出部3の導出口3bと空気吸引部7との間を気密に接続する搬送管路部5とを有している。
この吸引搬送部9における前記導出部3は、上部が開口した漏斗状の錐体部3aと、錐体部3aの頂点側に形成された導出口3bとを有している。また、この導出部3は、3台のエレメント切離部2を載置したテーブル8の天板部8aの裏面側に、同天板部8aに形成された各貫通孔が導出部3の上部開口(錐体底面側開口)内に収まるように配されている。
【0087】
また、吸引搬送部9における前記空気吸引部7は、導出部3、搬送管路部5、及び、分離回収部10における後述のエレメント回収部4とテープ回収部6の内部の空気を吸引することにより、ファスナーエレメント12及びファスナーテープ13を吸引搬送することが可能な送風機により構成されている。このような空気吸引部7としては、例えば富士電機モーター株式会社製のリングブロー(登録商標)や、その他の従来から一般的に用いられている高真空ブロワーなどを使用することができる。
【0088】
更に、吸引搬送部9における前記搬送管路部5は、導出部3の導出口3bとエレメント回収部4との間を気密に接続する第1管路部5aと、エレメント回収部4とテープ回収部6との間を気密に接続する第2管路部5bと、テープ回収部6と空気吸引部7との間を気密に接続する第3管路部5cとを上流側から有している。これらの各管路部5a,5b,5cは、可撓性を有する合成樹脂製のチューブで形成されている。
【0089】
なお、これらの各管路部5a,5b,5cの上流端及び下流端における内径は、導出部3の導出口3bやエレメント回収部4の後述する第1流出口43等の対応する接続部の外径よりも僅かに小さく形成されている。従って、各管路部5a,5b,5cは、その端部の開口を広げるように弾性変形させながら接続部に嵌め込むことにより、同接続部に気密状態で接続される。
【0090】
本実施形態における前記分離回収部10は、吸引搬送部9の第1管路部5aと第2管路部5bとの間に配された気密室からなるエレメント回収部4と、吸引搬送部9の第2管路部5bと第3管路部5cとの間に配された気密室からなるテープ回収部6とを有している。
【0091】
前記エレメント回収部4は、図7及び図8に示すように、中空空間を有する第1ハウジング部41と、第1ハウジング部41内の底部にエレメント回収手段として配されるエレメント収容空間42と、第1ハウジング部41の上部に形成される第1流入口43及び第1流出口44と、第1流入口43の下流側延長線上の少なくとも一部を遮るように配されるエレメント衝突部45と、第1流入口43及び第1流出口44よりも下方の高さ位置に分離手段として配される格子状の仕切り部46とを有している。
【0092】
このエレメント回収部4における第1ハウジング部41は、矩形状の底面部と4枚の周壁部とにより形成された本体部41aと、同本体部41aに被せられる蓋部41bとを有しており、同蓋部41bの上面には把手41cが設けられている。また、同第1ハウジング部41の1つの周壁部の上部には、第1管路部5aの下流端を接続する筒状の第1流入口43が外側に突出して設けられており、また、その周壁部に相対する他の周壁部の上部には、第2管路部5bの上流端を接続する筒状の第1流出口44が外側に突出して設けられている。
【0093】
更に、同第1ハウジング部41を上面側から見たときに、第1ハウジング部41の4つの内壁面側角部には、ブラケット47が仕切り部46を支持する高さ位置にそれぞれ設けられており、これらの4つのブラケット47によって、仕切り部46が所定の高さ位置で保持されている。また、この第1ハウジング部41では、底部側の内部空間が、ファスナーエレメント12の切断片12a,12bを回収して収容するエレメント収容空間42として用いられている。
【0094】
同エレメント回収部4における前記エレメント衝突部45は、第1ハウジング部41に溶着された固定部45aと、同固定部45aの上端から第1ハウジング部41の内側に向けて延設されたエレメント衝突部本体45bとを有している。本実施形態において、エレメント衝突部本体45bは、固定部45aの上端から第1流入口43の中心線と平行に所定の長さで延設され、更に、そこから下方に屈曲して延設されている。
【0095】
同エレメント回収部4における前記仕切り部46は、第1ハウジング部41に設けたブラケット47に載置することにより、第1流入口43及び第1流出口44よりも下方の高さ位置に保持されている。この仕切り部46は格子状に形成されており、複数の目(隙間)46aを有している。
【0096】
この場合、仕切り部46の目46aの大きさは、切断されたファスナーエレメント12が通過可能なようにファスナーエレメント12よりも大きく設定され、且つ、ファスナーテープ13が容易に通過できないような寸法に設定されている。なお、この仕切り部46は、目46aが矩形状に形成される格子状のものではなく、略菱形状に形成される網状のものを使用しても良い。
【0097】
このようなエレメント回収部4によれば、第1管路部5aを介して搬送されたファスナーエレメント12の切断片12a,12bとファスナーテープ13とが、第1流入口43から第1ハウジング部41内に流入したときに、その切断片12a,12bを自重により落下させることによって、同切断片12a,12bを仕切り部46に形成された目46aを通過させてエレメント収容空間42に落とすことができる。
【0098】
特に、本実施形態のエレメント回収部4は、第1流入口43の下流側にエレメント衝突部45が設けられているため、第1流入口43から第1ハウジング部41内に流入した切断片12a,12bを同エレメント衝突部45に衝突させることにより、その切断片12a,12bをより確実にエレメント収容空間42に落とすことができる。
【0099】
一方、ファスナーエレメント12の切断片12a,12bとともに搬送されたファスナーテープ13は、第1流入口43から第1ハウジング部41内に流入すると、仕切り部46の目46aを介してエレメント収容空間42に落下することはなく、仕切り部46上を吸引搬送されて第1流出口44から搬出される。これにより、エレメント回収部4では、エレメント回収部4に搬送されたエレメント切断片12a,12b及びファスナーテープ13から、エレメント切断片12a,12bのみをエレメント収容空間42に落として容易に分離回収することができる。
【0100】
同分離回収部10におけるテープ回収部6は、図9に示すように、中空空間を有する第2ハウジング部61と、第2ハウジング部61内の底部にテープ回収手段として配されるテープ収容空間62と、第2ハウジング部61の上部に形成される第2流入口63及び接続口64と、第2流入口63の下流側延長線上の少なくとも一部を遮るように配されるテープ衝突部65とを有している。
【0101】
このテープ回収部6における第2ハウジング部61は、矩形状の底面部と4枚の周壁部とにより形成された本体部61aと、同本体部61aに被せられる蓋部61bとを有しており、同蓋部61bの上面には把手61cが設けられている。また、同第2ハウジング部61の1つの周壁部の上部には、第2管路部5bの下流端を接続する筒状の第2流入口63が外側に突出して設けられており、その周壁部に相対する他の周壁部の上部には、第3管路部5cの上流端を接続する筒状の接続口64が外側に突出して設けられている。更に、この第2ハウジング部61では、底部側の内部空間が、テープ回収部6に搬送されたファスナーテープ13を回収して収容するテープ収容空間62として用いられている。
【0102】
テープ回収部6における前記テープ衝突部65は、第2ハウジング部61に溶着された固定部65aと、同固定部65aの上端から第2ハウジング部61の内側に向けて延設されたテープ衝突部本体65bとを有している。このテープ衝突部本体65bは、前述のエレメント衝突部45と同様に、固定部65aの上端から第2流入口63の中心線と平行に所定の長さで延設され、更に、そこから下方に屈曲して延設されている。
【0103】
このようなテープ回収部6によれば、エレメント回収部4から第2管路部5bを介して搬送されたファスナーテープ13が第2流入口63から流入したときに、そのファスナーテープ13を自重によりテープ収容空間62に落下させて回収することができる。特に、本実施形態のテープ回収部6は、テープ衝突部65が設けられているため、第2流入口63から流入したファスナーテープ13が例えば軽いために落下し難いときでも、同ファスナーテープ13をテープ衝突部65に衝突させることによって、テープ収容空間62に強制的に落下させて確実に回収することができる。
【0104】
次に、本実施形態の分離回収装置1を用いて、ファスナーチェーン11からファスナーエレメント12とファスナーテープ13とを分離して回収する方法について説明する。
なお、本実施形態の分離回収装置1においては、左右のファスナーテープ13の相対する各テープ側縁部に、金属製ファスナーエレメント12が加締めにより取着されたファスナーチェーン11を回収の対象としている。この場合、金属製ファスナーエレメント12の材質については特に限定されるものではないが、本実施形態の分離回収装置1では、特に従来から一般的に用いられている銅又は銅合金製のファスナーエレメント12を有するファスナーチェーン11に対して好適に用いられる。
【0105】
また、同分離回収装置1は、回収の対象となるファスナーチェーン11のチェーン長さについても特に限定されるものではなく、例えば衣類や鞄類に取り付けられるような短い長さ(製品長さ)のファスナーチェーン11であっても、或いは、その製品長さの複数のファスナーチェーン11に切断される前の長い1本の連続ファスナーチェーン11であっても、同様に使用することができる。更に、同分離回収装置1は、エレメント列の端部に上止や下止が取着されているファスナーチェーン11に対しても同様に使用することができる。
【0106】
本実施形態においては、先ず、分離回収装置1のモーター部28と空気吸引部7とを駆動させて、エレメント切離部2の搬送ローラー22と左右のロールカッター23A,23Bとを互いに逆方向に回転させるとともに、空気吸引部7によって、第1管路部5a〜第3管路部5c、エレメント回収部4、及びテープ回収部6内の空気を吸引する。このとき、第1管路部5aとエレメント回収部4との接続、エレメント回収部4と第2管路部5bとの接続、第2管路部5bとテープ回収部6との接続、及びテープ回収部6と第3管路部5cとの接続は、それぞれ密閉状態でなされているため、空気の吸引を効率的に行うことができる。
【0107】
続いて、回収の対象となるファスナーチェーン11を、エレメント切離部2におけるチェーンガイド部21の第1ガイド部21aと第2ガイド部21bとの間に、同ファスナーチェーン11のファスナーエレメント12をエレメント導入溝21cの位置に合わせて供給する。供給されたファスナーチェーン11は、回転中の搬送ローラー22の外周面22aにそのファスナーエレメント12の下面が接触することにより、同搬送ローラー22によって引き込まれるようにして、第1及び第2ガイド部21a,21b間に挟持された状態で所定の向きで搬送される。
【0108】
それとともに、同ファスナーチェーン11のファスナーエレメント12が、エレメント導入溝21cに沿って左右のロールカッター23A,23Bまで搬送されると、図6に示したように、同ロールカッター23A,23Bが左右のファスナーエレメント12の上脚部に食い込んで、同ファスナーエレメント12が上脚部の噛合頭部側の位置で切断される。
【0109】
本実施形態では、左右のロールカッター23A,23Bを用いているため、複数のファスナーエレメント12の上脚部を連続的に切断でき、例えばチェーン長さの長いファスナーチェーン11であっても、ファスナーエレメント12を効率的に切断することができる。
【0110】
またこのとき、同ファスナーエレメント12の下面は搬送ローラー22の外周面22aにより支持されており、且つ、同ファスナーエレメント12の噛合頭部上面は、左右のロールカッター23A,23B間に配されたエレメントガイド24により押えられている。このため、ファスナーエレメント12の切断時にエレメントの姿勢が傾くことを防止でき、エレメント上脚部をその噛合頭部側の位置で安定して確実に切断することができる。
【0111】
ファスナーエレメント12がロールカッター23A,23Bによって切断されると、ファスナーエレメント12がファスナーテープ13から取り外されて、エレメント上脚部側の切断片12aが飛散して落下する。また、エレメント噛合頭部側の切断片12bとファスナーテープ13とは、搬送ローラー22の回転に伴って移動し、その後、自重によって落下する(図4を参照)。
【0112】
そして、落下したファスナーエレメント12の切断片12a,12b及びファスナーテープ13は、吸引搬送部9の導出部3によって集められる。更に、同切断片12a,12b及びファスナーテープ13は混合された状態で、空気吸引部7の吸引を利用して導出部3の導出口3bから第1管路部5a内を通ってエレメント回収部4に向けて一緒に吸引搬送される。
【0113】
次に、エレメント回収部4に搬送されたファスナーエレメント12の切断片12a,12bとファスナーテープ13は、同エレメント回収部4の第1流入口43から第1ハウジング部41内に流入する。第1ハウジング部41内に流入したエレメント切断片12a,12bはその自重により落下し、又は、エレメント衝突部45に衝突して落下する。これにより、ファスナーエレメント12の切断片12a,12bは、図7に示すように、仕切り部46に形成された目46aを通過してエレメント収容空間42に落ちて、同エレメント収容空間42内に回収される。
【0114】
一方、エレメント切断片12a,12bとともに第1ハウジング部41内に流入したファスナーテープ13は、仕切り部46の目46aが所定の寸法に設定されているため、その目46aから落下せずに仕切り部46上を吸引搬送され、更に、第1ハウジング部41内から第1流出口44を介して搬出される。これにより、エレメント回収部4では、エレメント回収部4に搬送されたエレメント切断片12a,12bとファスナーテープ13とを分離して、エレメント切断片12a,12bのみをエレメント収容空間42に容易に回収することができる。
【0115】
また、エレメント回収部4から搬出されたファスナーテープ13は、更に第2管路部5bを介してテープ回収部6に吸引搬送され、同テープ回収部6の第2流入口63から第2ハウジング部61内に流入する。そして、第2ハウジング部61内に流入したファスナーテープ13は、その自重により、又は、テープ衝突部65に衝突して落下する。これにより、同ファスナーテープ13は、テープ回収部6の接続口64から排出されることなく、第2ハウジング部61の底部に配したテープ収容空間62内に回収される。
【0116】
以上のように、本実施形態の分離回収装置1を用いることによって、例えば金属製ファスナーエレメント12を有するファスナーチェーン11が不良品であった場合等でも、そのファスナーチェーン11から金属製のファスナーエレメント12を切り離して、ファスナーエレメント12とファスナーテープ13とをそれぞれエレメント回収部4とテープ回収部6とに別々に効率的に回収することができる。
【0117】
これにより、回収された金属製ファスナーエレメント12を、例えば再溶解して新たに製造するスライドファスナーのエレメント材料として再利用することが可能となり、また、回収されたファスナーテープ13は、例えば擬木の材料として再利用することが可能となるため、廃棄物の減少や資源の有効活用に資する。
【0118】
なお、上記実施形態では、エレメント回収部4の第1流出口44とテープ回収部6の第2流入口63とが第2管路部5bを介して間接的に気密状態で接続されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、例えばエレメント回収部4の第1流出口44とテープ回収部6の第2流入口63の形状及び寸法を変更すること等によって、エレメント回収部4の第1流出口44とテープ回収部6の第2流入口63とを直接接続することも可能である。
【0119】
更に、本発明では、分離回収部を上記実施形態のようにエレメント回収部4とテープ回収部6とに別体に構成するのではなく、一体に構成することも可能である。
例えば、図10に示したように、中空空間を有するハウジング部71と、同ハウジング部71の上部に形成される流入口72及び空気吸引部7との接続口73と、ハウジング部71内の上流側底部にエレメント回収手段として配されるエレメント収容空間74と、ハウジング部71内の下流側底部にテープ回収手段として配されるテープ収容空間75と、ハウジング部71内の上流側で流入口72よりも下方の高さ位置に分離手段としてブラケット77に載置される格子状の仕切り部76と、流入口72の下流側延長線上の少なくとも一部を遮るように配されるエレメント衝突部78とによって、エレメント回収部とテープ回収部とを一体に有する分離回収部10’を構成することが可能である。
【0120】
このような分離回収部を用いることによっても、流入口72からハウジング部71内に流入したファスナーエレメント12とファスナーテープ13とを、それぞれエレメント収容空間74とテープ収容空間75とに分離して回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】実施形態に係る分離回収装置を示す斜視図である。
【図2】同分離回収装置におけるエレメント切離部の内部を模式的に示す斜視図である。
【図3】同エレメント切離部の要部を模式的に示す斜視図である。
【図4】同エレメント切離部を横方向から見たときの断面図である。
【図5】同エレメント切離部の一部を正面から見たときの断面図である。
【図6】ロールカッターによるファスナーエレメントの切断について説明する説明図である。
【図7】同分離回収装置におけるエレメント回収部を横方向から見たときの断面図である。
【図8】同エレメント回収部を上方から見たときの断面図である。
【図9】同分離回収装置におけるテープ回収部を横方向から見たときの断面図である。
【図10】分離回収部の変形例を示す断面図である。
【図11】従来のファスナーエレメント除去装置の要部を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0122】
1 分離回収装置
2 エレメント切離部
3 導出部
3a 錐体部
3b 導出口
4 エレメント回収部
5 搬送管路部
5a 第1管路部
5b 第2管路部
5c 第3管路部
6 テープ回収部
7 空気吸引部
8 テーブル
8a 天板部
9 吸引搬送部
10,10’ 分離回収部
11 ファスナーチェーン
12 ファスナーエレメント
12a,12b ファスナーエレメントの切断片
13 ファスナーテープ
21 チェーンガイド部
21a 第1ガイド部
21b 第2ガイド部
21c エレメント導入溝
21d エレメントガイド挿入溝
22 搬送ローラー
22a 外周面
22b 回転軸
22c 凸部
23A,23B ロールカッター
23a,23b 刃部
24 エレメントガイド
24a 係着部
24b 当接部
25 回転伝達機構
25a 第1プーリー
25b 第2プーリー
25c タイミングベルト
25d 第1歯車
25e 第2歯車
26 カバー体
28 モーター部
28a 出力軸
29 連結ロッド
41 第1ハウジング部
41a 本体部
41b 蓋部
41c 把手
42 エレメント収容空間
43 第1流入口
44 第1流出口
45 エレメント衝突部
45a 固定部
45b エレメント衝突部本体
46 仕切り部
46a 目
47 ブラケット
61 第2ハウジング部
61a 本体部
61b 蓋部
61c 把手
62 テープ収容空間
63 第2流入口
64 接続口
65 テープ衝突部
65a 固定部
65b テープ衝突部本体
71 ハウジング部
72 流入口
73 接続口
74 エレメント収容空間
75 テープ収容空間
76 仕切り部
77 ブラケット
78 エレメント衝突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のファスナーテープ(13)の相対する各テープ側縁部に金属製ファスナーエレメント(12)が取着されたファスナーチェーン(11)から、前記ファスナーエレメント(12)を切り離し、同ファスナーエレメント(12)と前記ファスナーテープ(13)とを分離して回収する分離回収装置(1) にあって、
前記ファスナーエレメント(12)を前記ファスナーチェーン(11)から切り離すエレメント切離部(2) と、
前記エレメント切離部(2) にて切り離された前記ファスナーエレメント(12)と前記ファスナーテープ(13)とを集め、空気の吸引を利用して、同ファスナーエレメント(12)及びファスナーテープ(13)を一緒に搬送する吸引搬送部(9) と、
吸引搬送される前記ファスナーエレメント(12)と前記ファスナーテープ(13)とを分離して別々に回収する分離回収部(10)と、
を有してなることを特徴とする分離回収装置。
【請求項2】
前記エレメント切離部(2) は、
前記ファスナーエレメント(12)の大きさに対応して形成された凹状のエレメント導入溝(21c) を備え、前記ファスナーチェーン(11)を所定の向きで下流側に案内するチェーンガイド部(21)と、
前記チェーンガイド部(21)の下流側に軸支され、その外周面(22a) が前記チェーンガイド部(21)に供給された前記ファスナーチェーン(11)の前記ファスナーエレメント(12)の下面に直接接触して回転する搬送ローラー(22)と、
前記搬送ローラー(22)の上方に軸支され、左右の前記ファスナーエレメント(12)の脚部を切断することにより、同ファスナーエレメント(12)を前記ファスナーチェーン(11)から切り離す左右のロールカッター(23A,23B) と、
を有してなる請求項1記載の分離回収装置。
【請求項3】
左右の前記ロールカッター(23A,23B) は互いに離間して配され、
左右の前記ロールカッター(23A,23B) 間に、前記ファスナーエレメント(12)の姿勢を安定させるエレメントガイド(24)が、前記ファスナーエレメント(12)の上面に対向して配されてなる、
請求項2記載の分離回収装置。
【請求項4】
前記搬送ローラー(22)の前記外周面(22a) に、ローレット加工が施されてなる請求項2又は3記載の分離回収装置。
【請求項5】
前記吸引搬送部(9) は、
前記エレメント切離部(2) の下方に配され、同エレメント切離部(2) にて切り離されて落下する前記ファスナーエレメント(12)と前記ファスナーテープ(13)とを集めて下流側に導出する導出部(3) と、
空気を吸引する空気吸引部(7) と、
前記導出部(3) の導出口(3b)と前記空気吸引部(7) との間を気密に接続し、前記空気吸引部(7) の空気吸引により、前記導出部(3) から導出される前記ファスナーエレメント(12)及び前記ファスナーテープ(13)を一緒に吸引搬送する搬送管路部(5) と、
を有してなる請求項1〜4のいずれかに記載の分離回収装置。
【請求項6】
前記分離回収部(10)は、
前記吸引搬送部(9) の途中に配され、吸引搬送される前記ファスナーエレメント(12)と前記ファスナーテープ(13)とを分離する分離手段と、同分離手段で分離された前記ファスナーエレメント(12)を回収するエレメント回収手段とを備える気密室のエレメント回収部(4) と、
前記吸引搬送部(9) の途中で且つ前記エレメント回収部(4) の下流側に配され、同エレメント回収部(4) から搬出されるファスナーテープ(13)を回収するテープ回収手段を備える気密室のテープ回収部(6) と、
を有してなる請求項1〜5のいずれかに記載の分離回収装置。
【請求項7】
前記エレメント回収部(4) は、
中空空間を有する第1ハウジング部(41)と、
前記第1ハウジング部(41)内に前記ファスナーエレメント(12)及び前記ファスナーテープ(13)を流入させる第1流入口(43)と、
前記第1ハウジング部(41)内から前記ファスナーテープ(13)を流出させる第1流出口(44)と、
を有し、
前記分離手段は、前記第1流入口(43)及び前記第1流出口(44)の高さ位置よりも下方に配され、吸引搬送される前記ファスナーテープ(13)を下方から支持し、且つ、前記ファスナーエレメント(12)を通過させることが可能な目を有する格子状又は網状の仕切り部(46)により構成され、
前記エレメント回収手段は、前記第1ハウジング部(41)内の底部に配され、前記第1流入口(43)から流入する前記ファスナーエレメント(12)を落下させて収容するエレメント収容空間(42)により構成されてなる、
請求項6記載の分離回収装置。
【請求項8】
前記エレメント回収部(4) は、前記第1流入口(43)の下流側延長線上の少なくとも一部を遮るように配され、同第1流入口(43)から流入する前記ファスナーエレメント(12)を衝突させて前記エレメント収容空間(42)に落下させるエレメント衝突部(45)を有してなる請求項7記載の分離回収装置。
【請求項9】
前記テープ回収部(6) は、
中空空間を有する第2ハウジング部(61)と、
前記第2ハウジング部(61)内に前記ファスナーテープ(13)を流入させる第2流入口(63)と、
前記吸引搬送部(9) の空気吸引側に接続される接続口(64)と、
を有し、
前記テープ回収手段は、前記第2ハウジング部(61)内の底部に配され、前記第2流入口(63)から流入する前記ファスナーテープ(13)を落下させて収容するテープ収容空間(62)により構成されてなる、
請求項6〜8のいずれかに記載の分離回収装置。
【請求項10】
前記テープ回収部(6) は、前記第2流入口(63)の下流側延長線上の少なくとも一部を遮るように配され、同第2流入口(63)から流入する前記ファスナーテープ(13)を衝突させて前記テープ収容空間(62)に落下させるテープ衝突部(65)を有してなる請求項9記載の分離回収装置。
【請求項11】
左右のファスナーテープ(13)の相対する各テープ側縁部に金属製ファスナーエレメント(12)が取着されたファスナーチェーン(11)から、前記ファスナーエレメント(12)を切り離すエレメント切離工程と、
切り離された前記ファスナーエレメント(12)と前記ファスナーテープ(13)とを集めて、空気の吸引を利用することにより、同ファスナーエレメント(12)及びファスナーテープ(13)を一緒に吸引搬送する吸引搬送工程と、
前記吸引搬送工程にて吸引搬送される前記ファスナーエレメント(12)と前記ファスナーテープ(13)とを分離して別々に回収する分離回収工程と、
を含んでなることを特徴とするファスナーエレメント(12)とファスナーテープ(13)の分離回収方法。
【請求項12】
前記エレメント切離工程は、
前記ファスナーチェーン(11)をエレメント切離部(2) に供給し、同ファスナーチェーン(11)を前記エレメント切離部(2) の搬送ローラー(22)によって搬送すること、及び、
前記搬送ローラー(22)で前記ファスナーチェーン(11)のエレメント下面を支持しながら、前記搬送ローラー(22)の上方に軸支されたロールカッター(23A,23B) で前記ファスナーエレメント(12)の脚部を切断することによって、同ファスナーエレメント(12)を前記ファスナーチェーン(11)から切り離すこと、
を含んでなる請求項11記載の分離回収方法。
【請求項13】
前記吸引搬送工程は、
切り離された前記ファスナーエレメント(12)と前記ファスナーテープ(13)とを導出部(3) に落下させて集め、同導出部(3) の導出口(3b)から導出すること、及び、
前記導出部(3) の導出口(3b)と搬送管路部(5) を介して気密に接続された真空吸引部が空気を吸引することにより、前記ファスナーエレメント(12)及び前記ファスナーテープ(13)を前記導出口(3b)から一緒に吸引搬送すること、
を含んでなる請求項11又は12記載の分離回収方法。
【請求項14】
前記分離回収工程は、
吸引搬送される前記ファスナーエレメント(12)と前記ファスナーテープ(13)とをエレメント回収部(4) に流入させ、同エレメント回収部(4) に配した分離手段により、前記ファスナーエレメント(12)と前記ファスナーテープ(13)とを分離すること、
分離された前記ファスナーエレメント(12)を落下させて回収し、前記ファスナーテープ(13)を前記エレメント回収部(4) から流出させること、及び、
前記エレメント回収部(4) から流出する前記ファスナーテープ(13)をテープ回収部(6) に流入させ、同テープ回収部(6) 内で前記ファスナーテープ(13)を落下させて回収すること、
を含んでなる請求項11〜13のいずれかに記載の分離回収方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−22750(P2010−22750A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190623(P2008−190623)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】