説明

分離式買い物用バッグ

【課題】 買い物時において購入商品の分別収納が可能であるとともに、持ち運びが容易で、しかも、構造も簡素な分離式買い物用バッグを提供すること。
【解決手段】 販売店舗で使用される買い物かごB内に袋口を開いて、購入商品を収納可能な状態に装着される買物用バッグであって、
夫々のバッグが手提げ部11を備えた一対のバッグ本体1・1が前記買い物かごB内に隣接状態で装着可能である一方、当該装着時において両方のバッグ本体1・1で形成する開口部12a・12bの口径及び収納部13a・13bの大きさは買い物かごBのそれと略一致し、さらに、バッグ本体1・1の隣向面には互いを着脱自在に連結する連結部材2を配設して構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、買い物用バッグの改良、詳しくは、買い物時における購入商品の購入収納及びその持ち運びに便利で、しかも、構造も簡素な分離式買い物用バッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、最近では、販売店舗に置いてあるビニール製の買い物袋を使用せずに、自前の買い物バッグを持参して購入商品を容れて持ち帰るのが一般的である。
【0003】
そして、従来においては、このような買い物バッグに関して、販売店舗の買い物かごと略同じ大きさの手提げバッグを全開状態で買い物かごに装着して、精算時にレジ員がかごを入れ変える際に、自分の買い物バッグ内に容れて貰うようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、スーパーマーケット等で購入した商品を収容する際には、購入商品の形状は勿論、商品の特性も考慮して収容の仕方を工夫する必要がある。というのも、例えば、焼きたてパン等の温かい商品と冷凍食品等の冷たい商品とを重ねて収容すると、相互に熱が浸透して商品が台無しになってしまう。また他にも、生卵等の脆質な商品と缶詰等の硬質な商品とが混ざった状態で収容されると、運搬中に生じる震動によって商品同士がぶつかり合って、生卵が割れてしまう等、脆い商品が傷付いてしまうことが多い。
【0005】
ところが、上記の従来技術では、これらを分別して収容するには、わざわざバッグ内部を隔壁で仕切らねばならず、その際設ける隔壁には、熱が浸透しにくく、運搬中に商品の衝撃が伝わらないような比較的分厚いものを採用する必要があったため、非常に面倒であるとともに、バッグの収容量を存分に活かしきることができなかった。
【0006】
さらに、上記の従来技術においては、買い物かご一杯の商品を収容した場合、バッグがかなり重たくなってしまい、片手での持ち運びに大変な労力を必要としただけでなく、特に腕力の乏しい女性や老人に関しては持ち運ぶこと自体が厳しかった。加えて、バッグを片手だけで持って歩くと、歩行姿勢が崩れてしまうため、非常に持ち運び難かった。
【0007】
一方で、片手で持ち運び易い収容量に抑えた小型または細型の形態に買い物バッグを作製すると、バッグの開口部分が買い物かごの上部に比べて狭くなってしまい、レジ員が商品を入れ難くなってしまうことから、<特許文献2>のようにバッグの開口部分を拡開して買い物かごの上部と大きさを合わせる必要があった。
【0008】
しかしながら、このような開口部分の拡開手段を買い物バッグに設けるとバッグの構造が複雑になって製造コストが嵩むだけでなく、開口部分を拡開して買い物かごに装着したときにバッグの収容量が正確に把握できなくなってしまい、過剰に商品を入れ過ぎてファスナーがしまらなくなってしまう等、機能的に難点があった。
【特許文献1】特開2001−87022公報(第2−7頁、第1−7図)
【特許文献2】特開11−157554公報(第2−4頁、第1−7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、買い物時において購入商品の分別収納が可能であるとともに、持ち運びが容易で、しかも、構造も簡素な分離式買い物用バッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が、上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0011】
即ち、本発明は、販売店舗で使用される買い物かごB内に袋口を開いて、購入商品を収納可能な状態に装着される買物用バッグであって、
夫々のバッグが手提げ部11を備えた一対のバッグ本体1・1が前記買い物かごB内に隣接状態で装着可能である一方、当該装着時において両方のバッグ本体1・1で形成する開口部12a・12bの口径及び収納部13a・13bの大きさは買い物かごBのそれと略一致し、さらに、バッグ本体1・1の隣向面には互いを着脱自在に連結する連結部材2を配設して構成した点に特徴がある。
【0012】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、一対のバッグ本体1・1を同一の形態で作製するという技術的手段を採用することができる。
【0013】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、バッグ本体1の口縁の少なくとも一方には、装着時に買い物かごBの両端外側に垂らすことで開口部12の全開状態を保持する掛布蓋3を口縁に沿って付設するという技術的手段を採用することができる。
【0014】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、バッグ本体1における襠側の口縁近傍に掛布蓋3を付設し、さらに、この掛布蓋2には折り畳んだ、または、丸めた状態のバッグ本体1を収納可能な袋部31を設けるという技術的手段を採用することができる。
【0015】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、連結部材2として、面着ファスナーを用いるという技術的手段を採用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の買い物用バッグでは、買い物かごに隣接して装着可能な一対のバッグ本体で全体を構成したことによって、買い物かごに装着した際に二つの収容部を形成することができるため、夫々の収納部に対して購入した商品をその特性に合わせて分別して収容することが可能となる。
【0017】
加えて、バッグ本体同士を連結部材により着脱自在に形成したことによって、商品収容後は、連結したバッグ本体を引き離して別個に持ち運ぶことができるため、分別収納した商品が運搬途中で影響し合うようなことはなく、購入商品を傷つけずに持ち帰ることができる。
【0018】
さらに、バッグ本体が二つに分離することで、荷物の重量も分割されるため、買い物かご一杯の商品を収容したとしても、夫々のバッグ本体が片手で持てる程度の重さに調整でき、しかも、夫々のバッグ本体を両手でバランス良く持ち運ぶことができる。
【0019】
また、一対のバッグ本体とこれらを連結する連結部材とで構成したことにより、構造を簡素化でき、製造コストを低減化することができる。
【0020】
したがって、本発明により、購入商品の品質を保護したまま持ち帰ることができ、持ち帰りでかかる労力も少ない理想的な買い物用バッグを提供することができるため、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
『第1実施形態』
まず、本発明の第1実施形態について、図1から図4に基いて説明する。まず、符号1で指示するものは安価な合成樹脂シートで作製されたバッグ本体である。そして、符号2で指示するものは、連結部材であり、符号3で指示するものは、掛布蓋である。なお、念のためにここに「掛布蓋」というのは、必ずしも布を意味せずシート状の面状体を意味する。
【0022】
しかして、本実施形態の構成を以下に説明する。まず、本実施形態では、夫々が手提げ部11を備えた一対のバッグ本体1・1を作製した(図1参照)。そして、このバッグ本体1・1は、買い物かごB内に隣向状態で装着でき、さらに、装着時において両方のバッグ本体1・1が形成する開口部12a・12bの口径及び収納部13a・13bの大きさが買い物かごBのそれと略一致するように形成した(図2参照)。なお、バッグ本体1・1は、装着時に、買い物かごBを縦に二分割して細長い商品を収容し易い形状にしている。
【0023】
さらに、バッグ本体1・1の隣向面には互いを着脱自在に連結する連結部材2を配設した。なお、連結部材2には面着ファスナーを採用して、バッグ本体1・1の着脱作業を簡単に行えるようにした。
【0024】
また、本実施形態においては、一対のバッグ本体1・1を同一の形態にしており、これによって、両バッグ本体1・1を同一の製造方法で作製することができるため、製造費を軽減できる。
【0025】
上記のように、一対のバッグ本体1・1を買い物かごBに隣接状態で装着できるように作製したことによって、装着時に二つに隔てられた収容部13a・13bを形成することができるため、夫々の収納部13a・13bに対して購入した商品をその特性に合わせて分別収容することが可能となる。
【0026】
加えて、購入商品を分別して収容した後は、図3の(a)及び(b)で示すように、バッグ本体1・1を引き離して別個に持ち運ぶことができることから、分別収容した商品が運搬途中で影響し合うようなことはなく、商品を傷つけずに持ち帰ることができる。
【0027】
さらに、バッグ本体が二つに分離することで、荷物の重量を二分割できるため、買い物かご一杯の商品を収容したとしても、夫々のバッグ本体1・1を片手で持てる程度の重さに調整でき、しかも、夫々のバッグ本体を両手でバランス良く持ち運ぶことができる。
【0028】
また、一対のバッグ本体1・1とこれらを連結する連結部材2とによって全体を構成したことにより、構造を簡素化できるため、製造に係るコストを低減化することができる。
【0029】
そして、本実施形態においては、バッグ本体1・1の口縁の少なくとも一方に、装着時において買い物かごBの両端外側に垂らすことで開口部12の全開状態を保持する掛布蓋3を口縁に沿って付設した。
【0030】
これにより、レジ員が商品を移し変えているときに、バッグ本体1の口縁が内側に傾いて開口部12が狭まることはないため、狭まった開口部12を全開状態へと戻す煩わしい作業が不要となる。
【0031】
また、それだけでなく、この掛布蓋3が、買い物かごB外側に垂れ下がっていることによって、装着したバッグ本体1と買い物かごBとの隙間をなくすことができるため、この隙間に商品が誤って入ってしまうような面倒な事態が起ることはない。
【0032】
しかも、商品収容後において、掛布蓋3を商品が覆われた状態でバッグ本体1内に戻せば、購入商品が外観上に露出することはないため、使用者のプライバシーを護ることができる。
【0033】
なお、掛布蓋3はバッグ本体1と同じ材料でバッグ本体1の巾側口縁に一体的に形成することで、構造の簡素さを保っている。
【0034】
そしてまた、本実施形態では、バッグ本体1における襠側の口縁近傍に掛布蓋3を付設し、さらに、この掛布蓋2には、折り畳んだ、または、丸めた状態のバッグ本体1を収納可能な袋部31を形成した。
【0035】
これにより、図4に示すように、不使用時はバッグ本体1・1の大きさをコンパクト化することができるため、収納上、非常に都合が良い。
【0036】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態について図5及び図6に基いて説明する。まず、本実施形態においては、バッグ本体1・1を買い物かごBに装着した際に、買い物かごを横に二分割する形状に作製し、横幅があって、なおかつ縦置きができない食品トレイ等の商品でもバッグ本体1内に収容できるように構成した(図5参照)。そして、連結部材2には、スナップを採用してバッグ本体1・1同士における連結強度の持続性を向上させた。
【0037】
そして、掛布蓋3は、連結部材2と同様のスナップを固定部材32として用いてバッグ本体1に対して着脱自在に付設した。これにより、掛布蓋3が不必要なときは、容易に取り外してバッグをシンプルな形状へと変更することができる。
【0038】
さらに、本実施形態では、バッグ本体1口縁の長手部分に設けた掛布蓋3に袋部31を形成することによって、不使用時においてバッグ本体1を図6に示すような棒状の形態でコンパクトに収納することができる。
【0039】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、バッグ本体1の材料には、合成樹脂シートだけでなく、収容物によって破れない程度の強靱性を有していれば、動物繊維や植物繊維から成る布地、若しくは皮革、ゴム材等を採用してもよい。
【0040】
また、バッグ本体1の外面にカラフルな装飾を施してファッション性を高めることにより、オシャレなトートバッグとして買い物以外の用途でも使用できるようにしてもよい。
【0041】
そしてまた、連結部材2も、面着ファスナーやスナップに限らず、フック材等の着脱自在に係止できるものならば何れを選択してもよく、何れも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0042】
最近では、石油資源の枯渇が大きな問題となっており、これに起因して石油製品であるビニール製買い物袋の使用を控える運動が活発化してきている。そのため、買い物袋と異なり繰り返して使用でき、なおかつ、買い物という用途に適したバッグが市場において強く求められている。ところが、未だに、需要者が納得できる収容性及び運搬性を兼ね備えた買い物用バッグは見受けることができない。
【0043】
そのような中で、本発明の分離式買い物用バッグは、商品の特性を重視した分別収納及び運搬を行うことができ、しかも、商品を収容して重くなったバッグを苦なく持ち運べるという使用者の立場に立って為された画期的な技術であることから、市場における需要は非常に大きく、本発明の産業上の利用価値は非常に高いと云える。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態における買い物用バッグを表わす全体斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態における買い物用バッグの買い物かごへの装着状態を表わす説明斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態における買い物用バッグの使用状態を表わす説明斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態における買い物用バッグの不使用時の状態を表わす全体斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態における買い物用バッグを表わす全体斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態における買い物用バッグの不使用時の状態を表わす全体斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 バッグ本体
11 手提げ部
12 開口部
13 収納部
2 連結部材
3 掛布蓋
31 袋部
32 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売店舗で使用される買い物かごB内に袋口を開いて、購入商品を収納可能な状態に装着される買物用バッグであって、
夫々のバッグが手提げ部11を備えた一対のバッグ本体1・1が前記買い物かごB内に隣接状態で装着可能である一方、当該装着時において両方のバッグ本体1・1で形成する開口部12a・12bの口径及び収納部13a・13bの大きさは買い物かごBのそれと略一致し、さらに、バッグ本体1・1の隣向面には互いを着脱自在に連結する連結部材2を配設して構成されていることを特徴とする分離式買い物用バッグ。
【請求項2】
一対のバッグ本体1・1が同一の形態で作製されていることを特徴とする請求項1記載の分離式買い物用バッグ。
【請求項3】
バッグ本体1の口縁の少なくとも一方には、装着時に買い物かごBの両端外側に垂らすことで開口部12の全開状態を保持する掛布蓋3が口縁に沿って付設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の分離式買い物用バッグ。
【請求項4】
バッグ本体1における襠側の口縁近傍に掛布蓋3が付設され、さらに、この掛布蓋2には、折り畳んだ、または、丸めた状態のバッグ本体1を収納可能な袋部31が設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の分離式買い物用バッグ。
【請求項5】
連結部材2として、面着ファスナーが用いられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の分離式買い物用バッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−252430(P2007−252430A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77412(P2006−77412)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(598018937)株式会社ミヤゲン (3)