説明

切削加工モニタリング装置、切削加工装置、切削加工モニタリング方法及び切削加工方法

【課題】加工条件が毎回異なり、かつ、旋削加工及びミーリング加工のいずれの加工方法が用いられる場合であっても加工処理に用いられる工具の寿命を判定することができる。
【解決手段】切削加工モニタリング装置20は、ユーザの操作に応じて工具14の加工条件を入力する。切削加工モニタリング装置20は、工具14の駆動に関するセンサ信号を取得するサンプリングタイムを加工条件に基づいて計算する。切削加工モニタリング装置20は、サンプリングタイム毎に、工具14の駆動に関するセンサ信号をサンプリングデータとして取得する。切削加工モニタリング装置20は、サンプリングデータに基づいて工具14の状態を示すばらつき評価データを計算する。切削加工モニタリング装置20は、計算されたばらつき評価データ間の変化量を計算する。切削加工モニタリング装置20は、計算された変化量が閾値以上である場合に、工具14が寿命に達したと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工に用いられる工具の寿命をモニタリングする切削加工モニタリング装置、切削加工装置、切削加工モニタリング方法及び切削加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、加工物に対して切削加工等の加工処理を自動で行う工作機械(以下、NC工作機械と表記)が知られている。
【0003】
また、このNC工作機械における加工物の切削加工時に生じる、例えば刃先チッピングまたは工具摩擦等による当該切削加工に用いられる工具の寿命(工具寿命)をモニタリング(判定)する切削加工モニタリング装置が知られている。
【0004】
この切削加工モニタリング装置は、例えば各種センサによって測定(検知)されたデータ(センサ信号)に基づいて切削加工に用いられる工具の寿命(工具が寿命に達したか否か)を判定する機能及び当該判定時にNC工作機械側に何らかのフィードバックを行う機能を有する。
【0005】
上記した切削加工モニタリング装置に関連する技術として、加工工具の異常や寿命を検知できる技術(以下、第1の先行技術と表記)が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。この第1の先行技術によれば、切削加工などで費やされる加工エネルギーの代用特性として主軸モータの1加工毎の切削開始から完了までの累積消費電流量または累積消費電力値(電力量)を用い、これを基準の消費電流量または消費電力量と比較して判定することにより、加工工具の異常や寿命が検知される。
【0006】
また、例えば4個の歪ゲージを固定測定対象面に貼り付けて機械的挙動と熱的挙動とを同時に検出することにより、工具磨耗を検出する技術(以下、第2の先行技術と表記)が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。この第2の先行技術によれば、測定対象の歪変化(機械的挙動)と温度差または熱流束(熱的挙動)との重畳した信号、即ち、当該機械的挙動と熱的挙動とを同時に出力し得るため、工作の状態を多次元に捉えることができる。
【特許文献1】特開2005−22052号公報
【特許文献2】特開平10−286742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した第1の先行技術においては、初回加工時の累積消費電流または累積消費電力が基準の消費電流量または消費電力量(基準値)として用いられる。つまり、第1の先行技術においては、初回加工時(の累積消費電流または累積消費電力)との比較評価が前提条件となっているため、同一の加工条件で繰り返し加工する場合には有効である。
【0008】
しかしながら、第1の先行技術では、例えばインデント品で加工条件が毎回異なるような場合には、その都度、基準値を測定することが必要であり実用的ではない。更に、第1の先行技術では、同一の加工条件で2回以上加工しない場合には、切削加工のモニタリングを行うことができない。
【0009】
また、上記した第2の先行技術においては、状態を判定する工具が固定測定対象面を有することが前提条件となっている。このため、第2の先行技術は、固定工具により加工する旋削加工には有効であるが、工具側が回転するミーリング加工に適用することは困難である。
【0010】
そこで、本発明の目的は、加工条件が毎回異なり、かつ、旋削加工及びミーリング加工のいずれの加工方法が用いられる場合であっても、加工物に対する加工処理に用いられる工具の寿命を判定することが可能な切削加工モニタリング装置、切削加工装置、切削加工モニタリング方法及び切削加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの態様によれば、工作機械において駆動され、加工物の切削加工に用いられる工具の寿命をモニタリングする切削加工モニタリング装置が提供される。この切削加工モニタリング装置は、ユーザの操作に応じて、前記工具の加工条件を入力する入力手段と、前記切削加工に伴う前記工具の駆動に関するセンサ信号を取得するための時間間隔を、前記入力された加工条件に基づいて計算する第1の計算手段と、前記第1の計算手段によって計算された時間間隔毎に、前記切削加工に伴う前記工具の駆動に関するセンサ信号をサンプリングデータとして取得する取得手段と、前記取得されたサンプリングデータに基づいて、前記工具の状態を表す評価データを前記時間間隔毎に計算する第2の計算手段と、前記第2の計算手段によって前記時間間隔毎に計算された評価データ間の変化量を計算する第3の計算手段と、前記第3の計算手段によって計算された変化量が閾値以上である場合に、前記工具が寿命に達したと判定する判定手段とを具備する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、加工条件が毎回異なり、かつ、旋削加工及びミーリング加工のいずれの加工方法が用いられる場合であっても、加工物に対する加工処理に用いられる工具の寿命を判定することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る切削加工装置の構成を示す図である。図1に示すように、切削加工装置は、工作機械(NC工作機械)10及び切削加工モニタリング装置20を備える。
【0014】
工作機械10は、当該工作機械10の制御を行う制御盤11、工作機械主軸12、制御盤11の制御に応じて工作機械主軸12を回転させる主軸モータ13及び工作機械主軸12に装着されている工具14を備える。
【0015】
つまり、工作機械10においては、制御盤11の制御に応じて主軸モータ13が工作機械主軸12を回転させることにより、当該工作機械主軸12に装着されている工具14が駆動される。
【0016】
工具14には、例えば複数の刃を有するフライス工具やドリル等が含まれる。また、工具14における切削の種類には、断続切削及び連続切削が含まれる。例えばフライス工具における切削の種類は断続切削であり、ドリルにおける切削の種類は連続切削である。つまり、切削の種類(断続切削または連続切削)は、工具14の種類に応じて定まる。このような工具14が、上記したように駆動されることによって加工物30に対する切削加工が行われる。
【0017】
工作機械10は、当該工作機械10において駆動される工具14が複数存在する場合に、当該駆動されていた工具14を他の工具14に切り換える機能を有する。
【0018】
なお、制御盤11には、主軸モータ13の消費電流値または消費電圧値を測定するための電流計/電圧計40が接続されている。また、制御盤11には、電流計/電圧計40によって測定された消費電流値及び消費電圧値から主軸モータ13の消費電力値を測定する電力計50が接続されている。
【0019】
また、工作機械主軸12または工具14には、当該工作機械主軸12または当該工具14により切削加工される加工物30の振動を検出するためのセンサ60が取り付けられている。
【0020】
切削加工モニタリング装置20は、工作機械10において駆動される工具14の寿命をモニタリング(判定)する機能を有する。
【0021】
切削加工モニタリング装置20は、ユーザの操作に応じて、工作機械10において駆動(使用)される工具14の加工条件を入力する。工具14が例えばフライス工具である場合、この加工条件には、当該フライス工具の回転数及び刃数等が含まれる。
【0022】
切削加工モニタリング装置20は、工作機械10における切削加工に伴う工具14の駆動に関する各種センサ信号を取得するための時間間隔(以下、サンプリングタイムと表記)を計算する。このとき、切削加工モニタリング装置20は、入力された加工条件に基づいて計算処理を実行する。
【0023】
切削加工モニタリング装置20は、計算されたサンプリングタイム毎に、工作機械10の工具14の駆動に関する各種センサ信号をサンプリングデータとして取得する。このセンサ信号には、上記した電流計/電圧計40によって測定された消費電流値または消費電圧値、電力計50によって測定された消費電力値またはセンサ60によって検出された振動(値)が含まれる。なお、センサ信号には、これら以外に例えば主軸モータ13の温度、工作機械10における駆動音、AE(Acoustic Emission)センサによって検出されるAEまたはCCDカメラによって撮影される切削加工時の画像等が含まれていても構わない。
【0024】
切削加工モニタリング装置20は、取得されたサンプリングデータ(センサ信号)に基づいて、工作機械10において駆動する工具14の状態を表す評価データ(以下、ばらつき評価データと表記)をサンプリングタイム毎に計算する。
【0025】
切削加工モニタリング装置20は、サンプリングタイム毎に計算されたばらつき評価データ間の変化量(以下、ばらつきデータ変化量と表記)を計算する。
【0026】
切削加工モニタリング装置20は、計算されたばらつきデータ変化量に基づいて工作機械10において駆動する工具14の寿命を判定する。この判定処理の詳細については後述する。
【0027】
切削加工モニタリング装置20は、工具14が寿命に達したと判定された場合、工作機械10における工具14の駆動を停止させる。この場合、切削加工モニタリング装置20は、工具14の駆動を停止させるための信号(停止信号)を、I/Oボード70を介して工作機械10に対して出力する。
【0028】
次に、図2のフローチャートを参照して、図1に示す切削加工モニタリング装置20の処理手順について説明する。なお、工作機械10においては、複数の工具14がそれぞれ切り換えられて駆動するものとして説明する。
【0029】
まず、切削加工モニタリング装置20は、ユーザの操作に応じて、工作機械10において駆動(使用)する全ての工具14の加工条件を入力する(ステップS1)。このとき、切削加工モニタリング装置20は、加工条件を工具14の駆動順(加工順)に入力する。なお、切削加工モニタリング装置20によって入力される加工条件には、例えばフライス工具の回転数及び刃数等が含まれる。
【0030】
次に、切削加工モニタリング装置20は、入力された加工条件に基づいて、工具14の駆動に関するセンサ信号を取得するための時間間隔であるサンプリングタイムを計算する(ステップS2)。ここでは、切削加工モニタリング装置20は、入力された工具14毎の加工条件のうち、これから工作機械10において駆動される工具(使用工具)14のサンプリングタイムを計算する。以下、工作機械10において駆動される工具14を対象工具14と称する。
【0031】
なお、上記した切削加工モニタリング装置20によって入力された加工条件及び計算されたサンプリングタイムは、例えば工具14の寿命をモニタリングするための初期データとして切削加工モニタリング装置20において保持される。
【0032】
ここで、切削加工モニタリング装置20において保持される初期データについて説明する。図3は、切削加工モニタリング装置20において保持される初期データのデータ構造の一例を示す。
【0033】
図3に示すように、切削加工モニタリング装置20においては、例えば工具番号、回転数(rpm)、刃数(枚)、データ数及びサンプリングタイム(msec)が対応付けて保持される。
【0034】
工具番号は、例えばフライス工具のような工具14を識別するための番号を示す。回転数及び刃数は、工具番号によって識別される工具14の加工条件(切削加工モニタリング装置20によって入力された工具14の加工条件)を示す。データ数は、後述するばらつき評価データの計算に用いられるデータ(サンプリングデータ)の数である。サンプリングタイムは、工具番号によって識別される工具14の加工条件に基づいて計算された時間間隔を示す。
【0035】
なお、工具番号は、切削加工モニタリング装置20によって加工条件が入力された際に、当該加工条件の入力順に付与される。また、データ数は、工具14の種類に関係なく予め定められていてもよいし、加工条件が入力される際に工具14毎に個別に入力(設定)されても構わない。
【0036】
また、図3においては図示されていないが、上記した工具14の種類に応じて定められる切削の種類が初期データとして保持される構成であっても構わない。
【0037】
図3に示す例では、工具番号「T01」、回転数「120(rpm)」、刃数「10(枚)」、データ数「10」及びサンプリングタイム「5(msec)」が対応付けて保持されている。
【0038】
また、例えば工具番号「T02」、回転数「240(rpm)」、刃数「4(枚)」、データ数「20」及びサンプリングタイム「3(msec)」が対応付けて保持されている。
【0039】
再び図2に戻ると、切削加工モニタリング装置20は、上記ステップS2において計算されたサンプリングタイム(初期データとして保持されているサンプリングタイム)の間隔毎に、工作機械10における切削加工に伴う対象工具14の駆動に関するセンサ信号をサンプリングデータとして取得する(ステップS3)。つまり、切削加工モニタリング装置20は、サンプリングタイムが「5(msec)」である場合には、当該「5(msec)」周期でサンプリングデータを取得する。
【0040】
なお、ここで切削加工モニタリング装置20において取得されるサンプリングデータ(対象工具14の駆動に関するセンサ信号)には、上記したように電流計/電圧計40によって測定された主導モータ13の消費電流値/消費電圧値、電力計50によって測定された消費電力値またはセンサ60によって検出された工作機械主軸12(または加工物30)の振動等が含まれる。
【0041】
本実施形態においては、上記したサンプリングデータのうち、少なくとも消費電流値及び振動値が取得されるものとする。
【0042】
次に、切削加工モニタリング装置20は、取得されたサンプリングデータに基づいて、対象工具14の状態を表すばらつき評価データを逐次計算する(ステップS4)。サンプリングデータとして消費電流値及び振動(値)が取得されている場合には、これらの各々についてばらつき評価データが計算される。
【0043】
上記したように切削加工モニタリング装置20はサンプリングタイム毎にサンプリングデータを取得するが、切削加工モニタリング装置20は、初期データとして保持されているデータ数によって示される数のサンプリングデータに基づいて、ばらつき評価データを計算する。ここで用いられるデータ数は、初期データとして対象工具14を識別するための工具番号に対応付けられているデータ数である。
【0044】
つまり、対象工具14を識別するための工具番号に対応付けられているデータ数が「10」である場合には、切削加工モニタリング装置20は、10個のサンプリングデータに基づいてばらつき評価データを計算する。
【0045】
ここで、対象工具14の状態を表すばらつき評価データとしては、例えばS/N比(信号対雑音比)が用いられる。
【0046】
次に、切削加工モニタリング装置20は、ばらつき評価データが当該切削加工モニタリング装置20において既に保持されているか否かを判定する(ステップS5)。
【0047】
ばらつき評価データが切削加工モニタリング装置20において保持されていないと判定された場合(ステップS5のNO)、ステップS4において計算されたばらつき評価データは、後述するばらつきデータ変化量を計算するために切削モニタリング装置20において保持されて、上記したステップS3に戻って処理が繰り返される。
【0048】
一方、ばらつき評価データが切削加工モニタリング装置20において既に保持されていると判定された場合(ステップS5のYES)、切削加工モニタリング装置20は、ステップS4において算出されたばらつき評価データ及び既に保持されているばらつき評価データ間の変化量(ばらつきデータ変化量)を計算する(ステップS6)。
【0049】
ここで、図4及び図5を参照して、ばらつきデータ変化量の計算処理について説明する。なお、ばらつきデータ変化量の計算処理は、上記した工作機械10において駆動する対象工具14における切削の種類(例えば、連続切削及び断続切削等)において異なる。
【0050】
図4は、例えば対象工具14における切削の種類が連続切削である場合のばらつきデータ変化量の計算処理について説明するための図である。切削の種類が連続切削である対象工具14には、例えばドリル等が挙げられる。
【0051】
図4に示すように、切削加工モニタリング装置20がサンプリングデータ「1〜n」を取得した場合を想定する。ここで、nは、上記した初期データとして保持されているデータ数である。つまり、切削加工モニタリング装置20は、初期データとして保持されているデータ数によって示される数(n個)のサンプリングデータを取得する。
【0052】
切削加工モニタリング装置20は、取得されたサンプリングデータ「1〜n」に基づいて、対象工具14の状態を表すばらつき評価データを計算する。ここでは、図4に示すように、計算によってばらつき評価データ「1」が取得されるものとする。
【0053】
また、切削加工モニタリング装置20は、初期データとして保持されているサンプリングタイム毎に逐次サンプリングデータを取得するため、サンプリングデータ「1〜n」とは別にサンプリングデータ「n+1〜2n」(つまり、n個のサンプリングデータ)を取得する。
【0054】
切削加工モニタリング装置20は、取得されたサンプリングデータ「n+1〜2n」に基づいて、対象工具14の状態を表すばらつき評価データを計算する。ここでは、図4に示すように、計算によってばらつき評価データ「2」が取得されるものとする。
【0055】
この場合、切削加工モニタリング装置20において計算されたばらつき評価データ「1」及びばらつき評価データ「2」に基づいて、ばらつきデータ変化量(ばらつき評価データ間の変化量)が計算される。図4に示すように、ばらつきデータ変化量は、例えば「1−2」(つまり、ばらつき評価データ「1」−ばらつき評価データ「2」)によって計算される。
【0056】
以下、同様にして、サンプリングデータが取得される都度、ばらつき評価データが計算され、当該計算されたばらつき評価データに基づいてばらつきデータ変化量が計算される。
【0057】
図5は、例えば対象工具14における切削の種類が断続切削である場合のばらつきデータ変化量の計算処理について説明するための図である。切削の種類が断続切削である対象工具14には、例えば複数の刃を有するフライス工具等が挙げられる。
【0058】
図5に示すように、切削加工モニタリング装置20は、対象工具(ここでは、フライス工具)14が有する刃毎にサンプリングデータを取得する。つまり、フライス工具のような対象工具14においては、当該対象工具14の加工条件(回転数及び刃数)に基づいて刃毎のサンプリングデータを取得可能なようなサンプリングタイムが計算されている。
【0059】
ここでは、対象工具14が3枚の刃を有する場合について説明する。以下、例えば刃番号1によって識別される刃を第1の刃、刃番号2によって識別される刃を第2の刃、刃番号3によって識別される刃を第3の刃と称する。
【0060】
図5に示すように、切削加工モニタリング装置20が第1の刃のサンプリングデータ「1〜n」を取得した場合を想定する。ここで、nは、上記した初期データとして保持されているデータ数である。つまり、切削加工モニタリング装置20は、初期データとして保持されているデータ数によって示される数(n個)のサンプリングデータを取得する。
【0061】
切削加工モニタリング装置20は、取得されたサンプリングデータ「1〜n」に基づいて、対象工具14が有する第1の刃の状態を表すばらつき評価データを計算する。ここでは、図5に示すように、計算によってばらつき評価データ「刃1_1」が取得されるものとする。
【0062】
また、切削加工モニタリング装置20は、初期データとして保持されているサンプリングタイム毎に逐次サンプリングデータを取得するため、上記したサンプリングデータ「1〜n」とは別に第1の刃のサンプリングデータ「3n+1〜4n」(つまり、n個のサンプリングデータ)を取得する。
【0063】
切削加工モニタリング装置20は、取得されたサンプリングデータ「3n+1〜4n」に基づいて、対象工具14が有する第1の刃の状態を表すばらつき評価データを計算する。ここでは、図5に示すように、計算によってばらつき評価データ「刃1_2」が取得されるものとする。
【0064】
この場合、切削加工モニタリング装置20において計算されたばらつき評価データ「刃1_1」及びばらつき評価データ「刃1_2」に基づいて、第1の刃のばらつきデータ変化量(ばらつき評価データ間の変化量)が計算される。図5に示すように、ばらつきデータ変化量は、例えば「刃1_1−刃1_2」(つまり、ばらつき評価データ「刃1_1」−ばらつき評価データ「刃1_2」)によって計算される。以下、第1の刃についてサンプリングデータが取得される都度、ばらつき評価データが計算され、当該計算されたばらつき評価データに基づいてばらつきデータ変化量が計算される。
【0065】
なお、第2の刃及び第3の刃についても同様にしてばらつきデータ変化量が計算される。
【0066】
図5に示す例では、第2の刃のばらつき評価データとして「刃2_1」及び「刃2_2」が取得された場合には、ばらつきデータ変化量として「刃2_1−刃2_2」が計算される。同様に、第3の刃のばらつき評価データとして「刃3_1」及び「刃3_2」が取得された場合には、ばらつきデータ変化量として「刃3_1−刃3_2」が計算される。
【0067】
上記したように、対象工具14がフライス工具のような断続切削である場合には、当該対象工具14が有する刃毎に、サンプリングデータが取得され、ばらつき評価データが計算される。つまり、対象工具14の刃毎に、ばらつきデータ変化量が計算される。
【0068】
再び図2に戻ると、切削加工モニタリング装置20は、上記したステップS6において計算されたばらつきデータ変化量から例えば工作機械10における対象工具14の駆動(主軸モータ13の動作)時及び停止時の瞬間的なばらつきデータ変化量を除外する。
【0069】
このとき、切削加工モニタリング装置20は、例えば対象工具14の駆動時及び停止時のばらつきデータ変化量の持続時間を閾値として除外する。つまり、対象工具14の駆動時及び停止時のばらつきデータ変化量の持続時間を超えた場合には、ばらつきデータ変化量は除外されない。
【0070】
次に、切削加工モニタリング装置20は、計算されたばらつきデータ変化量が工具寿命判定値(閾値)以上であるか否かを判定する(ステップS7)。このステップS7の処理により、対象工具14の寿命が判定される。
【0071】
ここで、工具寿命判定値は、例えば上記したステップS4において算出されたばらつき評価データに基づいて決定される。具体的には、切削加工モニタリング装置20は、計算されたばらつき評価データに対する予め定められた割合の値を工具寿命判定値として決定する。この工具寿命判定値の決定処理においては、例えば対象工具14の駆動開始後、最初に計算されたばらつき評価データが用いられる。なお、工具寿命判定値は、複数のばらつき評価データの平均を用いて決定される構成であっても構わない。
【0072】
ばらつきデータ変化量が工具寿命判定値以上でないと判定された場合(ステップS7のNO)、切削加工モニタリング装置20は、対象工具14が寿命に達していないと判定する。
【0073】
この場合、切削加工モニタリング装置20は、上記したステップS6において計算されたばらつきデータ変化量に基づいて対象工具14を用いた切削加工が終了したか否かを判定する(ステップS8)。切削加工モニタリング装置20は、計算されたばらつきデータ変化量が例えば一定であるような場合には、対象工具14を用いた切削加工が終了したと判定する。
【0074】
ここで、対象工具14を用いた切削加工が終了していないと判定された場合(ステップS8のYES)、上記したステップS3に戻って処理が繰り返される。
【0075】
一方、対象工具14を用いた切削加工が終了したと判定された場合(ステップS8のNO)、切削加工モニタリング装置20は、上記したようにステップS7の判定処理において用いられる工具寿命判定値を例えばICチップ(工具ICチップ)等に保存する(ステップS9)。この保存された工具寿命判定値は、例えば対象工具14が後に駆動される場合に、上記したステップS7の判定処理において用いられる。
【0076】
なお、ICチップには、例えば対象工具14を用いた切削加工終了時におけるばらつきデータ変化量が保存される構成であっても構わない。
【0077】
切削加工モニタリング装置20は、対象工具14以外に工作機械10において駆動する工具14があるか否かを判定する(ステップS10)。
【0078】
対象工具14以外に工具14があると判定された場合(ステップS10のYES)、ステップS2に戻って処理が繰り返される。この場合、工作機械10においては、対象工具14以外の工具14に切り換えられ、当該工具14を対象工具14として切削加工処理が行われる。ステップS2においては、切り換えられた工具14のサンプリングタイムが、当該工具14の加工条件に基づいて計算される。
【0079】
一方、対象工具14以外に工具14がないと判定された場合(ステップS10のNO)、処理は終了される。
【0080】
また、ステップS7においてばらつきデータ変化量が工具寿命判定値以上であると判定された場合、切削加工モニタリング装置20は、対象工具14が寿命に達したと判定する。
【0081】
この場合、切削加工モニタリング装置20は、工作機械10における工具14の駆動を停止(工作機械10を停止)させる停止信号を工作機械10に対して出力する(ステップS11)。
【0082】
ステップS11の処理が実行されると、ステップS10の処理が実行され、対象工具14以外の工具14がある場合には、当該対象工具14が当該工具14に切り換えられてステップS2の処理が行われる。
【0083】
なお、切削加工モニタリング装置20は、ハイパスフィルターを備え、当該ハイパスフィルターにより広域成分のみが抽出されたばらつきデータ変化量に基づいて、上記したステップS7の処理が実行されても構わない。
【0084】
この場合、切削加工モニタリング装置20は、計算されたばらつきデータ変化量の1周期間隔を対象工具14の加工条件(回転数及び刃数)に基づいて求める。切削加工モニタリング装置20は、1周期間隔のばらつきデータ変化量にハイパスフィルターをかける。切削加工モニタリング装置20は、このハイパスフィルター後のばらつきデータ変化量に基づいて上記ステップS7の判定処理を実行する。これにより、例えば素材余肉量が異なるような場合であっても、対象工具14の寿命をより正確に判定することが可能となる。
【0085】
ここで、図6〜図8を用いて、ハイパスフィルターにより広域成分のみが抽出されたばらつきデータ変化量について具体的に説明する。例えば工作機械10における切削加工により図6に示すような切削加工部分100に対する切削加工に応じて取得されたサンプリングデータに基づいてばらつき評価データが計算され、当該ばらつき評価データに基づいて図7に示すようなばらつきデータ変化量(生データ)200が取得された場合を想定する。この場合には、例えば図7に示すばらつきデータ変化量200に対してハイパスフィルターをかけることによって、図8に示すような広域成分のみが抽出されたばらつきデータ変化量(ハイパスフィルター後)300が得られる。切削加工モニタリング装置20においては、図8に示すデータ変化量300を用いて対象工具14の寿命が判定される。
【0086】
次に、図9のフローチャートを参照して、前述した切削加工モニタリング装置20において対象工具14が寿命に達したと判定された場合における切削加工装置の動作について説明する。
【0087】
上記したように切削加工モニタリング装置20において対象工具14が寿命に達したと判定された場合、切削加工モニタリング装置20は、工作機械10に対して、工作機械10の送りを停止させるための信号(以下、送り停止信号と表記)を出力する(ステップS21)。このとき、切削加工モニタリング装置20は、I/Oボード70を介して例えば工作機械フィールドホールド端子に無電圧信号を出力する。
【0088】
切削加工モニタリング装置20によって送り停止信号が出力されると、工作機械10においては、工作機械10の送りが停止される(ステップS22)。
【0089】
次に、切削加工モニタリング装置20は、工作機械10の切り込み方向サーボモータに対して対象工具14を逆方向に逃がすための信号を工作機械10に対して出力する(ステップS23)。この信号が切削加工モニタリング装置20から出力されると、工作機械10においては、対象工具14を切り込み方向から逃がす(ステップS24)。
【0090】
切削加工のモニタリング装置20は、工作機械10に備えられている工作機械主軸12の主軸回転を中止(停止)させるための信号(以下、主軸回転中止信号と表記)を工作機械10に対して出力する(ステップS25)。
【0091】
切削加工モニタリング装置20によって主軸回転中止信号が出力されると、工作機械10に備えられている工作機械主軸12の主軸回転が中止(停止)される(ステップS26)。
【0092】
上記したように切削加工モニタリング装置20において対象工具14が寿命に達したと判定された場合には、上記したような動作により対象工具14の駆動が停止される。
【0093】
上記したように本実施形態においては、ユーザの操作に応じて工具14の加工条件を入力し、当該加工条件に基づいてサンプリングタイムが計算される。本実施形態においては、計算されたサンプリングタイム毎に切削加工に伴う工具14の駆動に関するサンプリングデータを取得し、当該サンプリングデータに基づいて工具14の状態を表すばらつき評価データ(S/N比)が計算される。本実施形態においては、計算されたばらつき評価データ間の変化量(ばらつきデータ変化量)が計算され、当該ばらつきデータ変化量が工具寿命判定値以上である場合に、工具14が寿命に達したと判定される。
【0094】
これにより、本実施形態においては、例えば加工条件が毎回異なり、かつ、旋削加工及びミーリング加工のいずれの加工方法が用いられる場合であっても、加工物30に対する加工処理に用いられる工具14の寿命を判定することができる。
【0095】
また、本実施形態においては、計算されたばらつき評価データに対する予め定められた割合の値を工具寿命判定値として決定し、工具14を用いた切削加工の終了が検知された場合、当該工具寿命判定値を例えばICチップ等に保存する。これにより、同一の工具14を後に使用する場合には、ICチップに保存された工具寿命判定値を利用することが可能となる。
【0096】
また、本実施形態においては、工具14がフライス工具のような切削の種類が断続切削である場合には、当該工具14の刃毎にばらつき評価データを計算し、ばらつきデータ変化量を計算することで、当該工具14の刃毎に寿命を判定することが可能となる。
【0097】
また、本実施形態においては、工作機械10における対象工具14の駆動時及び停止時の瞬間的なばらつきデータ変化量を当該変化量の持続時間を閾値として除外することで、より正確に工具14の寿命を判定することができる。
【0098】
また、本実施形態においては、ハイパスフィルターを備え、当該ハイパスフィルターにより広域成分のみが抽出されたばらつきデータ変化量を計算することにより、例えば加工物30の素材余肉量の違いによる工具寿命の誤判定を防ぎ、工具14の寿命をより正確に判定することができる。
【0099】
また、本実施形態においては、工具14が寿命に達したと判定された場合には、工作機械10に対して停止信号が出力されることにより、当該工作機械10における当該工具14の駆動を停止させることが可能となる。
【0100】
また、本実施形態においては、ばらつきデータ変化量に基づいて工具14を用いた切削加工の終了を検知することにより、当該切削加工の終了が検知された場合には当該工具14を工作機械10において駆動される他の工具14に自動で切り換えることができる。
【0101】
なお、本願発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係る切削加工装置の構成を示す図。
【図2】図1に示す切削加工モニタリング装置20の処理手順を示すフローチャート。
【図3】切削加工モニタリング装置20において保持される初期データのデータ構造の一例を示す図。
【図4】対象工具14における切削の種類が連続切削である場合のばらつきデータ変化量の計算処理について説明するための図。
【図5】対象工具14における切削の種類が断続切削である場合のばらつきデータ変化量の計算処理について説明するための図。
【図6】ハイパスフィルターにより広域成分のみが抽出されたばらつきデータ変化量について説明するための図。
【図7】ハイパスフィルターにより広域成分のみが抽出されたばらつきデータ変化量について説明するための図。
【図8】ハイパスフィルターにより広域成分のみが抽出されたばらつきデータ変化量について説明するための図。
【図9】切削加工モニタリング装置20において対象工具14が寿命に達したと判定された場合における切削加工装置の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0103】
10…工作機械、11…制御盤、12…工作機械主軸、13…主軸モータ、14…工具、20…切削加工モニタリング装置、30…加工物、40…電流計/電圧計、50…電力計、60…センサ、70…I/Oボード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械において駆動され、加工物の切削加工に用いられる工具の寿命をモニタリングする切削加工モニタリング装置において、
ユーザの操作に応じて、前記工具の加工条件を入力する入力手段と、
前記切削加工に伴う前記工具の駆動に関するセンサ信号を取得するための時間間隔を、前記入力された加工条件に基づいて計算する第1の計算手段と、
前記第1の計算手段によって計算された時間間隔毎に、前記切削加工に伴う前記工具の駆動に関するセンサ信号をサンプリングデータとして取得する取得手段と、
前記取得されたサンプリングデータに基づいて、前記工具の状態を表す評価データを前記時間間隔毎に計算する第2の計算手段と、
前記第2の計算手段によって前記時間間隔毎に計算された評価データ間の変化量を計算する第3の計算手段と、
前記第3の計算手段によって計算された変化量が閾値以上である場合に、前記工具が寿命に達したと判定する判定手段と
を具備することを特徴とする切削加工モニタリング装置。
【請求項2】
前記第2の計算手段によって計算された評価データに対する予め定められた割合の値を前記閾値として決定する決定手段を更に具備し、
前記判定手段は、前記第3の計算手段によって計算された変化量が前記決定された閾値以上であるか場合に、前記工具が寿命に達したと判定する
ことを特徴とする請求項1記載の切削加工モニタリング装置。
【請求項3】
前記第3の計算手段によって計算された変化量に基づいて、前記工具を用いた前記加工物に対する切削加工の終了を検知する検知手段と、
前記切削加工の終了が検知された場合、前記決定された閾値を保存する保存手段と
を更に具備することを特徴とする請求項2記載の切削加工モニタリング装置。
【請求項4】
前記工具は、複数の刃を有するフライス工具を含み、
前記入力された加工条件は、前記フライス工具の回転数及び当該フライス工具の刃数を含み、
前記第1の計算手段は、前記加工条件に含まれる回転数及び刃数に基づいて前記時間間隔を計算し、
前記第2の計算手段は、前記取得されたサンプリングデータに基づいて、前記フライス工具が有する刃毎の評価データを前記時間間隔毎に計算し、
前記第3の計算手段は、前記第2の計算手段によって前記時間間隔毎に計算された評価データ間の変化量を、前記フライス工具が有する刃毎に計算し、
前記判定手段は、前記第3の計算手段によって計算された前記刃毎の変化量が閾値以上である場合に、前記フライス工具が有する当該刃が寿命に達したと判定する
ことを特徴とする請求項1記載の切削加工モニタリング装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記工具が寿命に達したと判定する際に、前記第3の計算手段によって計算された変化量から、前記工作機械における前記工具の駆動時及び停止時の変化量を除外することを特徴とする請求項1記載の切削加工モニタリング装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記工作機械における前記工具の駆動時及び停止時の変化量を、当該変化量の持続時間を閾値として除外することを特徴とする請求項5記載の切削加工モニタリング装置。
【請求項7】
前記第3の計算手段は、ハイパスフィルターを備え、当該ハイパスフィルターにより広域成分のみが抽出された前記評価データ間の変化量を計算することを特徴とする請求項1記載の切削加工モニタリング装置。
【請求項8】
前記判定手段によって前記工具が寿命に達したと判定された場合、前記工作機械における当該工具の駆動を停止させる停止手段を更に具備することを特徴とする請求項1記載の切削加工モニタリング装置。
【請求項9】
前記停止手段は、前記工作機械の送りを停止し、前記工具を切り込み方向から逃がし、当該工作機械の主軸回転を停止させることを特徴とする請求項8記載の切削加工モニタリング装置。
【請求項10】
前記第3の計算手段によって計算された変化量に基づいて、前記工具を用いた前記加工物に対する切削加工の終了を検知する検知手段と、
前記切削加工の終了が検知された場合、前記工具を前記工作機械において駆動される他の工具に切り換える切り換え手段と
を更に具備することを特徴とする請求項1記載の切削加工モニタリング装置。
【請求項11】
加工物の切削加工に用いられる工具を駆動することにより、当該加工物を切削加工する工作機械と、
前記工作機械に取り付けられ、前記工具の駆動に関するセンサ信号を検知するセンサと、
ユーザの操作に応じて、前記工具の加工条件を入力する入力手段と、
前記センサによって検知されるセンサ信号を取得するための時間間隔を、前記入力された加工条件に基づいて計算する第1の計算手段と、
前記第1の計算手段によって計算された時間間隔毎に、前記センサによって検知されたセンサ信号をサンプリングデータとして取得する取得手段と、
前記取得されたサンプリングデータに基づいて、前記工具の状態を表す評価データを前記時間間隔毎に計算する第2の計算手段と、
前記第2の計算手段によって前記時間間隔毎に計算された評価データ間の変化量を計算する第3の計算手段と、
前記第3の計算手段によって計算された変化量が閾値以上である場合に、前記工具が寿命に達したと判定する判定手段と
を具備することを特徴とする切削加工装置。
【請求項12】
工作機械において駆動され、加工物の切削加工に用いられる工具の寿命をモニタリングする切削加工モニタリング装置が実行する切削加工モニタリング方法であって、
ユーザの操作に応じて、前記工具の加工条件を入力するステップと、
前記切削加工に伴う前記工具の駆動に関するセンサ信号を取得するための時間間隔を、前記入力された加工条件に基づいて計算するステップと、
前記計算された時間間隔毎に、前記切削加工に伴う前記工具の駆動に関するセンサ信号をサンプリングデータとして取得するステップと、
前記取得されたサンプリングデータに基づいて、前記工具の状態を表す評価データを前記時間間隔毎に計算するステップと、
前記時間間隔毎に計算された評価データ間の変化量を計算するステップと、
前記計算された変化量が閾値以上である場合に、前記工具が寿命に達したと判定するステップと
を具備することを特徴とする切削加工モニタリング方法。
【請求項13】
加工物の切削加工に用いられる工具を駆動することにより当該加工物を切削加工する工作機械と、前記工作機械に取り付けられ、前記工具の駆動に関するセンサ信号検知するセンサとを備える切削加工装置が実行する切削加工方法であって、
ユーザの操作に応じて、前記工具の加工条件を入力するステップと、
前記センサによって検知されるセンサ信号を取得するための時間間隔を、前記入力された加工条件に基づいて計算するステップと、
前記計算された時間間隔毎に、前記センサによって検知されたセンサ信号をサンプリングデータとして取得するステップと、
前記取得されたサンプリングデータに基づいて、前記工具の状態を表す評価データを前記時間間隔毎に計算するステップと、
前記時間間隔毎に計算された評価データ間の変化量を計算するステップと、
前記計算された変化量が閾値以上である場合に、前記工具が寿命に達したと判定するステップと
を具備することを特徴とする切削加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−149206(P2010−149206A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328075(P2008−328075)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】