説明

刈取装置及び茎葉誘導器具

【課題】畦から延びる茎葉部を効率良く誘導して刈り取る。
【解決手段】ロータ軸112は、トラクタ501の後部に装着される刈取装置101の刈取装置本体部101aに設けられ、トラクタ501の進行方向に直交し水平に延び、トラクタ501からの動力により軸回り方向に回転する。刈取刃103は、ロータ軸112の両端部に設けられる側板111の間で、ロータ軸112から放射状に複数延びる。側板111に取り付けられる茎葉誘導器具151に備わる茎葉掬上部151aは、トラクタ501の側面から見た刈取刃103の回転軌跡の外周よりも下方で、トラクタ501の進行方向前方側に先端が位置し、トラクタ501の進行方向後方側の部分が上になるよう傾斜する。誘導杆160は、茎葉掬上部151aから延び、側板111よりもトラクタ501の進行方向前方側かつトラクタ501の前方側から見た側板111よりも内側に位置して上方に延びる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畝(うね)から伸びた栽培植物の茎葉部を切断して刈り取る刈取装置及びこの刈取装置に取り付けられる茎葉誘導器具に関する。
【背景技術】
【0002】
アスパラガス、ウド等の多年性の塊根植物は、根部から若芽が伸びる。この若芽は、食用素材として収穫されて販売され、サラダ等の食材に用いられる。塊根植物を栽培するに際して、収穫時期(例えば、春)に十分に若芽が育つよう若芽の収穫後に根部を成長させることが行われる。根部が成長すると、地上には茎葉部が繁茂する。茎葉部は、塊根植物が植えられる畝から上方に放射状に伸びたり、畝の側方に迫り出して畝の下方の地面に倒れこんだりする。ところが、茎葉部は、根部を成長させるための光合成に不可欠である一方、次の収穫時期に若芽を収穫するときには邪魔となる。そこで、収穫時期よりも前(例えば、秋から冬にかけての時期)に、成長した茎葉部を刈り取ることになる。この刈取作業には、畝から伸びた栽培植物の茎葉部を切断して刈り取る刈取装置(例えば、特許文献1に記載の農作業機10)が用いられる。
【0003】
特許文献1に記載の農作業機10は、作業機本体11と茎葉誘導体71(デバイダー)とを備え、トラクタ1の後部に装着され、トラクタ1をバック走行(後退走行)することにより用いられる。茎葉誘導体71は、作業機本体11の後部(トラクタ1の進行方向前部)における左右いずれか片側又は両側にトラクタ1から離反させて進行方向(トラクタ1の後方)に突出するように着脱可能に取り付けられる。茎葉誘導体71は、後端ほど下方に位置するように傾斜状に配設され、後端部である下端部は先細状に形成されている。茎葉誘導体71は、作業機本体11に対して高さ調節自在であり、高さ調節用操作体50の回動操作により水平に対する傾斜角度も調整自在である。特許文献1には、茎葉誘導体71は、圃場Hの畝H1上の茎葉部A1を誘導して作業機本体11の切断回転部30の進行方向前方領域E内に位置付け、切断回転部30の切断刃23が茎葉部A1を細かく切断する、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−013041号公報(段落0021〜0022、0034〜0038、0042〜0045、0051〜0052、図1〜図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の農作業機10では、棒状の茎葉誘導体71の一方の端部が圃場Hの畝H1の裾部近傍に位置付けられている。そして、茎葉誘導体71は、畝H1の長さ方向に延び、作業機本体11の前部(作業方向後方側、トラクタ1の前進方向)に向かうにつれて上昇するよう傾斜している。このため、茎葉誘導体71は、茎葉部A1を掬い上げるようにして茎葉誘導体71の上面に茎葉部A1を誘導する。
【0006】
ところが、茎葉部A1は、畝H1から垂れ下って延びている。このため、茎葉誘導体71の先端が茎葉部A1に接触することは殆どなく、茎葉誘導体71の後部(トラクタ1の進行方向前部)寄りの部分でようやく茎葉部A1に接触する。つまり、茎葉誘導体71においてはじめて茎葉部A1に接触する箇所よりも前方側(トラクタ1の後方側)の部分は、効果的に畝H1から延びる茎葉部A1を誘導しない。
【0007】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、畝から延びる茎葉部を効率良く誘導して刈り取ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の刈取装置は、トラクタの後部に装着するための装着部と、前記トラクタの進行方向に直交し水平に延び軸回り方向に回転自在である回転軸と、前記回転軸の両端部から前記トラクタの進行方向に平行に延びる側板と、前記側板の間で前記回転軸から放射状に延びる複数の刈取刃と、前記トラクタから入力された動力を伝達し前記回転軸をその軸回り方向に回転させる動力伝達部と、前記トラクタの側面から見た前記刈取刃の回転軌跡の外周よりも下方かつ前記トラクタの進行方向前方側に先端が位置し、この先端よりも前記トラクタの進行方向後方側の部分が上になるよう傾斜する茎葉掬上部と、前記茎葉掬上部から延び、前記側板よりも前記トラクタの進行方向前方側かつ前記トラクタの前方側から見て前記側板よりも内側に位置して上方に延びる誘導杆と、を備える。
【0009】
本発明の茎葉誘導器具は、トラクタの後部に装着されて用いられ、前記トラクタの進行方向に直交し水平に延び軸回り方向に回転自在である回転軸と、前記回転軸の両端部から前記トラクタの進行方向に平行に延びる側板と、前記側板の間で前記回転軸から放射状に延びる複数の刈取刃とを備えて前記トラクタから入力された動力を伝達し前記回転軸をその軸回り方向に回転させる刈取装置に取り付けられる茎葉誘導器具であって、前記トラクタの側面から見た前記刈取刃の回転軌跡の外周よりも下方かつ前記トラクタの進行方向前方側に先端が位置し、この先端よりも前記トラクタの進行方向後方側の部分が上になるよう傾斜する茎葉掬上部と、前記茎葉掬上部から延び、前記側板よりも前記トラクタの進行方向前方側かつ前記トラクタの前方側から見て前記側板よりも内側に位置して上方に延びる誘導杆と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、誘導杆は上方に延びていて、地面を這う茎葉部にも畝から垂れ下がって延びる茎葉部にも接触するので、畝から延びる茎葉部を効率良く誘導して刈り取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】刈取装置の正面断面図である。
【図2】刈取装置の正面図である。
【図3】刈取装置の左側面図である。
【図4】刈取装置の左断面図である。
【図5】動力伝達部の斜視図である。
【図6】刈取装置の平面断面図である。
【図7】畝に対し進行方向の左側に位置する茎葉誘導器具の正面図である。
【図8】茎葉誘導器具の平面図である。
【図9】茎葉誘導器具の左側面図である。
【図10】スタンドに保持された状態の刈取装置本体部の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の一形態を、図1ないし図10に基づいて説明する。図1は、刈取装置101の正面断面図である。図2は、刈取装置101の正面図である。図3は、刈取装置101の左側面図である。図4は、刈取装置101の左断面図である。刈取装置101は、刈取装置本体部101aと茎葉誘導器具151とを含む。
【0013】
刈取装置101は、刈取装置本体部101aを備える。そして、刈取装置101は、この刈取装置本体部101aに備わる装着部としての装着フレーム102によりトラクタ501の後方に連結された状態で用いられる。刈取装置101がトラクタ501の後方に連結されると、刈取装置101の正面は、トラクタ501の進行方向前方側に向く。以下、トラクタ501の進行方向前方側を、単に「進行方向前方側」と呼ぶことがある。また、トラクタ501の進行方向後方側を、単に「進行方向後方側」と呼ぶことがある。図1及び図2では、紙面手前側が進行方向前方側となる。図3及び図4では、紙面左側が進行方向前方側となる。
【0014】
トラクタ501は、地面301に形成され上方に突出する畝302を跨いで、この畝302に沿って走行する。トラクタ501が走行すると、刈取装置本体部101aに備わる刈取刃103が回転し、刈取刃103が畝302から延びる栽培植物の茎葉部303を破砕して刈り取る。ここで、栽培植物は、一例として、アスパラガスやウド等の塊根植物である。このような塊根植物では、収穫が行われた後に畝302に残る根部304から茎葉部303が成長し、次の収穫時期までに茎葉部303が畝302を覆って地面301に倒れこんだり地面301まで這い出したりしている。そして、刈取装置101は、このような塊根植物を栽培するに際して次の収穫時期までに収穫部分の成長を促すために行われる、茎葉部303を刈り取る作業に用いられる。また、刈取装置101によって茎葉部を刈り取ることができる植物は、塊根植物以外にも、例えば、サツマイモのように地面に蔓状の茎葉部を伸ばす蔓性の植物を刈り取る際にも適用できる。
【0015】
装着フレーム102は、トップリンクピン104、ロアリンクピン105,106及びパイプフレーム107を含む。トップリンクピン104及びロアリンクピン105,106は、刈取装置本体部101aにおける進行方向前方側の端部に設けられ、トラクタ501の後方側の端部に備わる三点リンク機構502に連結される。パイプフレーム107は、トップリンクピン104やロアリンクピン105,106とベルトケース108(後述)とを連結する。
【0016】
刈取装置本体部101aは、ロータカバー110と、側板111と、回転軸としてのロータ軸112とを備える。ロータカバー110は、トラクタ501の車幅方向(以下、単に「車幅方向」と呼ぶ)に長い部材で、装着フレーム102よりも下方かつ進行方向後方側に位置し、刈取刃103やロータ軸112の上方を覆う。ロータカバー110は、後方フレーム126(後述)及びブラケット133を介してパイプフレーム107に連結される。ロータカバー110における進行方向前方側の端部からは、ゴム製のカーテン110aが垂下している。側板111は、ロータカバー110の車幅方向の両端部に連結し、トラクタ501の進行方向に平行に延びている。ロータ軸112は、トラクタ501の進行方向に直交し水平に延びる円筒状の部材である。ロータ軸112は、その両端部を側板111に支持され、軸回り方向に回転自在となっている。前述の刈取刃103は、側板111の間でロータ軸112の外周面に取り付けられるブラケット113の先端部に取り付けられ、ロータ軸112から放射状に延びている。各刈取刃103は、いずれも、ブラケット113に対して揺動自在に連結している。ここで、ブラケット113は、ロータ軸112の外周面に設けられたブラケット取付孔114に対し着脱自在となっている。このため、刈取装置101の使用者は、ロータ軸112における所望の箇所にのみブラケット113を取り付けることができる。
【0017】
図5は、動力伝達部115の斜視図である。刈取装置本体部101aは、動力伝達部115を備える。動力伝達部115は、入力軸116と、第1のベベルギア117と、第2のベベルギア118と、第1のプーリ119と、動力伝達シャフト120と、第2のプーリ121と、ベルト122とを含む。第1のベベルギア117は、入力軸116に連結する。第2のベベルギア118は、第1のベベルギア117に噛み合った状態で、第1のベベルギア117とともにギアボックス123に収納される。動力伝達シャフト120は、第2のベベルギア118と第1のプーリ119とを連結する。また、動力伝達シャフト120は、パイプフレーム107に収納される。第2のプーリ121は、側板111よりも車幅方向外側でロータ軸112の端部に取り付けられている。ベルト122は、第1のプーリ119と第2のプーリ121とに掛け渡される。そして、第1のプーリ119と第2のプーリ121とベルト122とは、ベルトケース108(図1、図2及び図3参照)に収納されている。
【0018】
入力軸116は、進行方向前方側に突出し、トラクタ501に備わるPTO軸(図示せず)に連結される。これにより、入力軸116には、トラクタ501からの駆動力が入力される。この駆動力は、第1のベベルギア117、第2のベベルギア118等を介して第2のプーリ121に伝わり、ロータ軸112をその軸回り方向に回転させる。
【0019】
図1から図4に基づく説明に戻る。パイプフレーム107からは、上方フレーム125が上方に突出する。また、パイプフレーム107からは、後方フレーム126が進行方向後方側に突出する。上方フレーム125の先端部と後方フレーム126の先端部とは、伸縮自在の調整ロッド127によって連結されている。調整ロッド127は、ハンドル128が回されることにより伸縮する。また、後方フレーム126は、途中にリンク部129が設けられていて、屈曲自在となっている。この後方フレーム126の先端には、車幅方向に延びるゲージ輪第1アーム130が取り付けられる。ゲージ輪第1アーム130の両端部のそれぞれには、車幅方向に対称となる箇所に、上下方向に延びるゲージ輪第2アーム131が取り付けられる。ゲージ輪第2アーム131の下端部には、ゲージ輪132が取り付けられる。ゲージ輪132は、刈取装置101がトラクタ501に牽引されて動くときに地面301に接する。そして、ハンドル128を操作して調整ロッド127を伸縮することによってゲージ輪132の上下高さが変わり、刈取装置101の刈り高さが調整される。
【0020】
図6は、刈取装置101の平面断面図である。図6では、紙面左側が進行方向前方側となる。図4及び図6を参照する。刈取装置本体部101aには、茎葉誘導器具151が取り付けられる。茎葉誘導器具151は、刈取装置101に取り付けられることでこの刈取装置101の前方側に位置し、車幅方向の両端部で側板111の近傍に左右対称に配置され、側板111に着脱自在に取り付けられる。
【0021】
茎葉誘導器具151は、略三角形形状の茎葉掬上部151aを有する。茎葉掬上部151aのうち進行方向後方側を向き鋭角を形成する部分を、先端部152と呼ぶ。茎葉掬上部151aのうち進行方向後方側を向き鋭角を形成する部分を、後端部153と呼ぶ。茎葉掬上部151aのうち、先端部152及び後端部153のいずれでもなく残りの一角を形成する部分を、外側端部154と呼ぶ。先端部152及び後端部153は、いずれも、側板111よりも車幅方向の内側に位置する。外側端部154は、側板111よりも車幅方向の外側に位置する。
【0022】
茎葉掬上部151aは、先端部152よりも後端部153が上になるよう傾斜している。そして、先端部152は、トラクタ501(図3参照)の側面から見た刈取刃103の回転軌跡103aの外周よりも下方で、トラクタ501の進行方向前方側に位置する。また、後端部153は、トラクタ501の側面から見た刈取刃103の回転軌跡103aの内側に入り込んでいる。
【0023】
図7は、畝302に対し進行方向の左側に位置する茎葉誘導器具151の正面図である。図8は、畝302に対し進行方向の左側に位置する茎葉誘導器具151の平面図である。図9は、畝302に対し進行方向の左側に位置する茎葉誘導器具151の左側面図である。図7ないし図9を参照し、茎葉誘導器具151の詳細について述べる。なお、畝302に対し進行方向の右側に位置する茎葉誘導器具151は、図7ないし図9に示す茎葉誘導器具151と左右対称である。茎葉誘導器具151を構成する茎葉掬上部151aは、第1のフレーム156と、第2のフレーム157と、誘導部材158と、第3のフレーム159とを含む。
【0024】
第1のフレーム156は、第2のフレーム157よりも車幅方向の内側に位置し、トラクタ501(図3参照)の進行方向に平行に延びる。第1のフレーム156は、トラクタ501の進行方向後方側が上になるよう傾斜する。第1のフレーム156における進行方向前方側の端部は、先細りしている。
【0025】
第2のフレーム157は、第1のフレーム156よりも車幅方向の外側に位置する。第2のフレーム157の一方の端部は、第1のフレーム156の側面に取り付けられ、第1のフレーム156から枝分かれするように、進行方向後方側に向かうにつれて車幅方向外側に向かうように延びる。第1のフレーム156と第2のフレーム157との連結部分は、先端部152を形成している。第2のフレーム157は、トラクタ501の進行方向後方側が上になるよう、第1のフレーム156よりも急な傾斜度で傾斜する。
【0026】
誘導部材158は、扁平な板状の部材である。誘導部材158は、第1のフレーム156と第2のフレーム157との間を連結する。これにより、誘導部材158は、トラクタ501の進行方向後方側が上になるよう、かつ、車幅方向外側が上になるよう傾斜する。
【0027】
第3のフレーム159は、誘導部材158における進行方向後方側の一辺に沿って設けられ、水平に延びる。第3のフレーム159の両端は、第1のフレーム156の側面と第2のフレーム157の側面とにそれぞれ連結する。第3のフレーム159と第1のフレーム156との連結部分は、後端部153を形成している。また、第3のフレーム159と第2のフレーム157との連結部分は、外側端部154を形成している。
【0028】
茎葉掬上部151aからは、誘導杆160が延びる。誘導杆160は、円柱形状の金属製のパイプである。誘導杆160の下方部分は略直角方向に湾曲し、ブラケット191を介して第2のフレーム157の下面に取り付けられる。誘導杆160の上方部分は、直線状をなして略鉛直方向に延び、第2のフレーム157の外側側面に接し、先端部152と外側端部154との間に位置する。
【0029】
茎葉掬上部151aの外側端部154からは、取付アーム161が延びる。取付アーム161は、角柱形状の金属製のパイプであり、側板111よりも車幅方向外側に位置して誘導部材158と交差する方向に延びる。取付アーム161には、刈取装置101の進行方向に貫通するピン装着孔162が複数設けられる。ピン装着孔162は、取付アーム161の長さ方向に並ぶ。そして、所望のピン装着孔162を選択してそこに第1のピン166及び第2のピン167(いずれも、図2及び図3に基づいて後述)を取り付けることで茎葉誘導器具151の高さを調節することができる。
【0030】
再び、図2及び図3を参照する。ところで、側板111のそれぞれにおいて、車幅方向外側の面には、ホルダ163が設けられる。ホルダ163は、断面視コ字形の長尺部材である。ホルダ163は、略鉛直方向に延びこのコ字形状開口側を車幅方向外側に向けた状態で側板111に取り付けられる。ホルダ163の上方には、車幅方向外側から切り込まれたように延びるピン受部164が形成される。ホルダ163においてピン受部164よりも下方には、トラクタ501の進行方向に貫通する貫通孔165が設けられる。
【0031】
茎葉誘導器具151は、ホルダ163に対して以下のように取り付けられる。まず、複数のピン装着孔162のうち上方の一のピン装着孔162に第1のピン166を挿通し、この第1のピン166をピン受部164に引っ掛ける。続いて、茎葉誘導器具151に備わる取付アーム161を、ホルダ163のコ字形状開口側に嵌め込む。続いて、貫通孔165と、第1のピン166が挿通されたピン装着孔162よりも下方の一のピン装着孔162とを位置合わせし、これらに対して第2のピン167を挿通する。第1のピン166と第2のピン167とによって、ホルダ163に入り込んだ取付アーム161はロックされる。このとき、誘導杆160は、トラクタ501の前方側から見て側板111よりも内側に位置付けられる。また、第1のピン166及び第2のピン167を取り外すことによって、取付アーム161とホルダ163とのロックは解除される。ここに、取付アーム161のピン装着孔162、ホルダ163のピン受部164及び貫通孔165、第1のピン166並びに第2のピン167は、ロック機構168を構成する。
【0032】
図2、図3、図4及び図6を参照する。刈取装置101を用いて畝302から伸びる茎葉部303を刈り取る場合、作業者は、まず、トップリンクピン104、ロアリンクピン105,106を介してトラクタ501の後部に刈取装置本体部101aを取り付ける。続いて、作業者は、上記のようにして茎葉誘導器具151を刈取装置本体部101aに取り付けてロックする。続いて、作業者はトラクタ501を操作して、ゲージ輪132が畝302を跨ぐ位置にトラクタ501を位置づける。これにより、茎葉誘導器具151の第1のフレーム156は、畝302の斜面近傍に位置付けられる。
【0033】
この状態でトラクタ501が畝302に沿ってトラクタ501を走行すると、茎葉誘導器具151の先端部152が、地面301の近くに這うように延びている茎葉部303を掬い上げる。このとき、誘導杆160は、畝302から垂れ下がって延び地面301から離れている茎葉部303に接触する。ここで、茎葉部303は畝302に固定されているため、進行方向前方側に誘導杆160が進むことにより茎葉部303は誘導杆160に引っ張られつつ摺動して内側に移動し、側板111よりも車幅方向内側で茎葉掬上部151aの上方に導かれる。そして、トラクタ501がさらに走行すると、茎葉掬上部151aの傾きによって、茎葉部303は車幅方向のさらに内側に動く。
【0034】
トラクタ501が走行すると、トラクタ501の駆動力の一部が、入力軸116から入力され動力伝達部115を介してロータ軸112に伝わり、ロータ軸112をその軸回り方向に回転させる。これにより、刈取刃103が回転し、茎葉誘導器具151によって誘導された茎葉部303を刈り取る。茎葉部303は、地面301から刈り取られ、回転軌跡103a内に巻き込まれ、図4に示す誘導経路169に沿って移動する。茎葉部303は、誘導経路169に沿って移動する間に粉砕され、ロータ軸112よりも進行方向後方側で刈取刃103とロータカバー110との間から地面301に落下する。
【0035】
このように、刈取装置101によれば、誘導杆160が、地面301を這う茎葉部303にも畝302から垂れ下がって延びる茎葉部303にも接触し、畝302から延びる茎葉部303が効率良く刈り取られる。そして、刈取装置101では、茎葉誘導器具151が誘導部材158を有していて面的に広がっており、この誘導部材158が車幅方向内側に傾いているので、より多くの茎葉部303が刈取刃103に確実に導かれる。さらに、ロック機構168によって、刈取装置本体部101aに対する茎葉誘導器具151の着脱は容易になっている。
【0036】
図10は、スタンド201に保持された状態の刈取装置本体部101aの左側面図である。本実施の形態では、スタンド201が刈取装置本体部101aを保持できる。ここで、スタンド201は、載置面401に載置された状態で使用されるものであり、載置面401に沿う基部202と、基部202に取り付けられるキャスタ203と、基部202から上方に延び、鉛直方向に対して傾斜するスタンドアーム204とを有する。なお、載置面401の一例は、地面301である。また、載置面401の別の一例は、倉庫の床面(図示せず)である。
【0037】
茎葉誘導器具151に備わる取付アーム161の断面形状は、スタンドアーム204の断面形状と同じである。そして、スタンドアーム204はピン装着孔205を有している。このため、一のピン装着孔205に第1のピン166を挿通してこの第1のピン166をピン受部164に引掛け、スタンドアーム204を茎葉誘導器具151のホルダ163に嵌め込んで別のピン装着孔205とホルダ163の貫通孔165とを位置合わせし第2のピン167を挿通することで、刈取装置本体部101aは、スタンド201に載置面401から離反した状態で保持される。このように、本実施の刈取装置101では、ホルダ163は、刈取装置本体部101aに茎葉誘導器具151を取り付けるためにも、スタンド201に保持させるためにも用いられる。
【符号の説明】
【0038】
101 刈取装置
101a 刈取装置本体部
102 装着フレーム
103 刈取刃
103a 刈取刃の回転軌跡
111 側板
112 ロータ軸(回転軸)
115 動力伝達部
151 茎葉誘導器具
151a 茎葉掬上部
156 第1のフレーム
157 第2のフレーム
158 誘導部材
160 誘導杆
161 取付アーム
163 ホルダ
168 ロック機構
201 スタンド
204 スタンドアーム
303 茎葉部
501 トラクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタの後部に装着するための装着部と、
前記トラクタの進行方向に直交し水平に延び軸回り方向に回転自在である回転軸と、
前記回転軸の両端部から前記トラクタの進行方向に平行に延びる側板と、
前記側板の間で前記回転軸から放射状に延びる複数の刈取刃と、
前記トラクタから入力された動力を伝達し前記回転軸をその軸回り方向に回転させる動力伝達部と、
前記トラクタの側面から見た前記刈取刃の回転軌跡の外周よりも下方かつ前記トラクタの進行方向前方側に先端が位置し、この先端よりも前記トラクタの進行方向後方側の部分が上になるよう傾斜する茎葉掬上部と、
前記茎葉掬上部から延び、前記側板よりも前記トラクタの進行方向前方側かつ前記トラクタの前方側から見て前記側板よりも内側に位置して上方に延びる誘導杆と、
を備える刈取装置。
【請求項2】
前記茎葉掬上部は、
車幅方向の内側に位置して前記トラクタの進行方向に平行で前記トラクタの進行方向後方側が上になるよう傾斜する第1のフレームと、
車幅方向の外側に位置して進行方向後方側に向かうにつれて前記トラクタの車幅方向外側に向かうように前記第1のフレームから延びる第2のフレームと、
前記第1のフレームと前記第2のフレームとの間を連結する扁平な誘導部材と、
を含む、請求項1記載の刈取装置。
【請求項3】
前記側板よりも前記トラクタの車幅方向外側で前記茎葉掬上部から延びる取付アームと、
前記側板の前記トラクタの車幅方向外側の面に設けられ前記取付アームが入り込むホルダと、
前記ホルダに入り込んだ前記取付アームを着脱自在にロックするロック機構と、
を更に備える、
請求項1又は2記載の刈取装置。
【請求項4】
前記取付アームの断面形状は、載置面に載置され前記刈取装置を前記載置面から離反させて保持するスタンドに備わり上方に延びて前記ホルダに入り込むスタンドアームの断面形状と同じである、請求項3記載の刈取装置。
【請求項5】
トラクタの後部に装着されて用いられ、前記トラクタの進行方向に直交し水平に延び軸回り方向に回転自在である回転軸と、前記回転軸の両端部から前記トラクタの進行方向に平行に延びる側板と、前記側板の間で前記回転軸から放射状に延びる複数の刈取刃とを備えて前記トラクタから入力された動力を伝達し前記回転軸をその軸回り方向に回転させる刈取装置に取り付けられる茎葉誘導器具であって、
前記トラクタの側面から見た前記刈取刃の回転軌跡の外周よりも下方かつ前記トラクタの進行方向前方側に先端が位置し、この先端よりも前記トラクタの進行方向後方側の部分が上になるよう傾斜する茎葉掬上部と、
前記茎葉掬上部から延び、前記側板よりも前記トラクタの進行方向前方側かつ前記トラクタの前方側から見て前記側板よりも内側に位置して上方に延びる誘導杆と、
を備える茎葉誘導器具。
【請求項6】
前記茎葉掬上部は、
車幅方向の内側に位置して前記トラクタの進行方向に平行で前記トラクタの進行方向後方側が上になるよう傾斜する第1のフレームと、
車幅方向の外側に位置して進行方向後方側に向かうにつれて前記トラクタの車幅方向外側に向かうように前記第1のフレームから延びる第2のフレームと、
前記第1のフレームと前記第2のフレームとの間を連結する扁平な誘導部材と、
を含む、請求項5記載の茎葉誘導器具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−223958(P2011−223958A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99042(P2010−99042)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】