刈払機
【課題】 作業者の身体に排気ガスが吹き掛かったり、排気熱による悪影響を確実に防止できる上、小型エンジンの排気効率を高めて効率的な運転を実現可能とすると共に、消音効果を得ることができ、有害物質の排出量を大幅に削減して自然環境にも優しく、しかもギアケース周辺への雑草の絡みつきを確実に防止でき、安全性や経済性にも秀れた新たな刈払除草技術を提供する。
【解決手段】 操作桿パイプ2後端に固定された小型エンジン4の排気ポートから導いた接続排気管路Eを該操作桿パイプ2後端寄り適所から同操作桿パイプ2内に誘導するよう接続し、該操作桿パイプ2先端寄り適所に排気口Mを設けた上、該操作桿パイプ2内であって伝動軸5の中途適所に軸流型排気翼Pを装着してなる刈払機1である。
【解決手段】 操作桿パイプ2後端に固定された小型エンジン4の排気ポートから導いた接続排気管路Eを該操作桿パイプ2後端寄り適所から同操作桿パイプ2内に誘導するよう接続し、該操作桿パイプ2先端寄り適所に排気口Mを設けた上、該操作桿パイプ2内であって伝動軸5の中途適所に軸流型排気翼Pを装着してなる刈払機1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、刈払作業中に小型エンジンから排出される排気ガスが、作業者に直接吹き掛かるのを防止可能とする技術、特に排気ガスの排出位置を変更するだけでなく、排気ガスを円滑且つ速やかに誘導して排気効率を高めることができる刈払機に関するものであり、それを製造する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
田圃や山林などの除草に欠くことの出来ない刈払機は、図12の使用中の従来型刈払機の斜視図に示すように、直線管状体の後端に25cc前後の小型軽量エンジン4を装備した操作桿パイプ2の先端に、刈刃8を着脱自在に装着可能なギアケース7を設け、該小型エンジン4出力がわとギアケース7入力がわとを、該操作桿パイプ2内に縦貫する伝動軸(図示せず)で接続してなるものであり、除草作業者Wは、該操作桿パイプ2の小型エンジン4がわ寄りの重量バランスの適切な箇所に肩掛けバンド9用の吊り金具90を装着し、同吊り金具90装着位置よりも少しギアケース7(刈刃8)がわ寄りとなる適所に操作ハンドル6を固定して該肩掛けバンド9用の吊り金具90を吊下点(中心)として左右に振り払うよう操作しながら除草作業を行うことになる。
【0003】
この刈払機は、その構造から小型エンジン4が作業者W右脇腹から同右背中に位置して排気煙(排気ガスG)や騒音を発生するだけでなく、特に2ストロークサイクルエンジンを搭載したものの場合には、混合燃料中に含まれるエンジンオイル成分が、長時間の除草作業中に作業者Wの衣服や顔などに吹き掛かり、通常の洗濯では落ちない不燃オイル汚れが衣類にシミを残したり、除草作業中に作業者Wの目や喉を刺激して、作業後にも痛みが残ったりしてしまうという欠点を有しており、こうした弊害を防止するよう、従前より小型エンジン4の排気ポートや消音器を除草作業者Wとは反対がわとなる側面に配するよう配慮されているが、充分な効果が得られていない外、対象となる雑草の種類によっては、除草中の刈払機1ギアケース7と刈刃8との接続部分付近に、刈り払われた草が巻き付いて刈刃8の回転が停止してしまうことがあり、こうしたときには、除草作業を一旦中断して小型エンジン4を停止し、ギアケース7に巻き付いた雑草を除去して安全を確認してから再度、小型エンジン4を始動し、除草作業を再開する必要があり、このような雑草の絡み付きが頻発すると除草作業が繁雑化して作業効率を大幅に悪化させてしまという致命的な欠点があり、こうした課題を解決できる技術は未だ実用化されていないというのが実情である。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を憂慮し、例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、エンジンマフラーのテールパイプに、排気ガスの排出方向に向けて順次、中央壁部の周囲に複数の通孔を穿設した排気ガス攪拌用バッファプレート、排気ガス中の火の粉捕捉用の半球状金網、および、排気ガス誘導用の短筒状ガイド筒を装着するなどして、排気ガスによる局部的な高温化や、作業者ならびに周囲環境への悪影響の発生を防止可能としたものや、同特許文献1(2)に見られるような、小型軽量エンジンから延伸した排気接続管を通じて排気ガスを消音器内蔵の操作桿パイプ内に誘導し、同操作桿パイプ先端がわの排気口から排気可能として消音性能を高めたもの、また、同特許文献1(3)のように、ギアケースと刈刃との間にフランジ型の絡み防止用部品を追加し、絡みつこうとする雑草を跳ね飛ばすと共に、刈刃が回転すると該絡み防止用部品との隙間が負圧になって遠心方向への気流を発生し、雑草を遠心方向に向けて自動的に吹き飛ばすようにしたものなどが散見される。
【0005】
しかし、前者特許文献1(1)に示されているようなエンジンマフラーのテールパイプに排気ガスを攪拌、減衰可能とするバッファ部品などを装着したものは、局部的な温度上昇を阻止することができても、除草作業中の作業者の人体近くに排気ガスを放出することを防止できるものとはなっておらず、特に2ストロークサイクルエンジンを搭載した刈払機の場合には、作業者の顔や衣服に不燃オイルが飛沫、付着したり、目や喉に痛みを与えるなどの問題を残すものであり、また、次に示した特許文献1(2)の小型エンジンの排気ガスを操作桿パイプ内に導き、同操作桿パイプ内蔵の消音器を通じて、同操作桿パイプ先端がわの排気口から排出するようにしたものは、騒音を大幅に低減できると共に、作業者の人体近くに排気ガスが放出されて顔や衣類に吹き掛かるのを確実に防止できるものとなっているが、一般的な小型エンジン用マフラーよりも長尺且つ細径の操作桿パイプを通じて排気するものとなっているから、排気抵抗が大きくなってエンジンの運転効率を低下させてしまう虞があり、しかも作業者の身体が触れる操作桿パイプ自体を排気管として利用するため、操作桿パイプの異常過熱による危険性が懸念される。
【0006】
さらに、後者特許文献1(3)の草の絡みつき防止用部品を追加したものは、フランジ型で刈刃の近傍上がわに僅かな隙間をもって配置されたもので、刈払機先端がわ重量が増加して除草作業者の振り払い動作に大きな負担となってしまう上、刈刃との僅かな隙間に小石や硬質な木片などが挟まってしまうと、該絡みつき防止用部品自体や刈刃などが損傷してしまう虞があり、挟まった小石などを取り除く場合には、小型エンジンを停止して刈刃を一旦ギアケースから取り外して異物を除去してから再度刈刃を付け直し、安全を確認した後に小型エンジンを再始動して除草を開始するという煩雑な手間の掛かるものとなってしまうという新たな欠点を生じる虞があった。
【特許文献1】(1)特開平11−13452号公報 (2)実開平6−52413号公報 (3)特開平11−168939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種小型エンジンおよび刈払機は、排気用マフラーテールパイプ付近の局部的な過熱を阻止できるようにしたものは、作業者の顔や衣類に排気ガスが吹き掛かるのを防止できないという欠点があり、また、操作桿パイプを排気管および消音器として機能させるようにしたものは、通常のマフラーより細く長い作桿パイプと、それに内蔵された消音器などが排気抵抗を生じて小型エンジンの運転効率を大幅に低下させてしまう虞がある上、作桿パイプ自体が排気ガスの通過に伴って過熱してしまい、脇腹付近に抱えるようにして除草作業を行う作業者に過熱による危険が及ぶ虞があり、また、操作桿パイプの先端がわ重量を増大させずに、ギアケースへの雑草の絡みつきを効果的に防止する技術がないなど、従前からの課題が未だに放置されたままになっていて、刈払機を製造するメーカーもこうした現状を把握しながら、適切な改善策を見出すことがでないというのが実情である。
【0008】
(発明の目的)
そこで、この発明は、作業者の身体に排気ガスが吹き掛かったり、排気熱による悪影響を確実に防止できる上、小型エンジンの排気効率を高めて効率的な運転を実現可能とすると共に、消音効果を得ることができ、特に2ストロークサイクルエンジンを搭載したものは、排気ガス中に含まれるエンジンオイル成分を各部の潤滑剤として有効利用し、有害物質の排出量を大幅に削減して自然環境にも優しく、しかもギアケース周辺への雑草の絡みつきを確実に防止でき、安全性や経済性にも秀れた新たな刈払除草技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の刈払機を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の刈払機は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、所定長寸法直線管状体内に、通気可能な振れ止め機構を介して伝動軸を同心状、回転自在に軸支した操作桿パイプの後端に小型エンジンを固定すると共に、同小型エンジンのクラッチ出力がわを該伝動軸後端に接続する一方、当該操作桿パイプの先端に所定傾斜角度をもって刈刃を着脱自在に装着可能なギアケースの基部を、同ギアケース入力ギアに該伝動軸先端が接続した状態に固着し、当該操作桿パイプの小型エンジンがわ寄りとなる中途適所に操作ハンドルを位置決め自在に組み込んだ上、該小型エンジン排気ポートから防熱構造を伴って導いた接続排気管路を当該操作桿パイプ後端寄り適所から同操作桿パイプ内に誘導するよう気密接続し、且つ、当該操作桿パイプ先端寄り適所に排気口を設けた上、当該操作桿パイプ内であって該伝動軸の中途適所に1個または縦列配置で複数個の軸流型排気翼を回転駆動可能に装着してなるものとした構成を要旨とする刈払機である。
【0010】
この基本的な構成からなる刈払機をより具体的に示すと、所定長寸法直線管状体内に、通気可能な振れ止め機構を介して伝動軸を同心状、回転自在に軸支した操作桿パイプの後端に2ストロークサイクル小型エンジンを固定すると共に、同小型エンジンのクラッチ出力がわを該伝動軸後端に接続する一方、当該操作桿パイプの先端に所定傾斜角度をもって刈刃を着脱自在に装着可能なギアケースの基部を、同ギアケース入力ギアに該伝動軸先端が接続した状態に固着し、当該操作桿パイプの小型エンジンがわ寄りとなる中途適所に操作ハンドルを位置決め自在に組み込んだ上、該小型エンジン排気ポートから防熱構造を伴って導いた接続排気管路を当該操作桿パイプ後端寄り適所から同操作桿パイプ内に誘導するよう気密接続し、当該操作桿パイプ内の接続排気管路接続位置よりも小型エンジンがわとなる箇所に、同小型エンジンへの排気逆流を防止可能な密閉隔壁部を設け、且つ、当該操作桿パイプ先端寄り適所に排気口を設けた上、当該操作桿パイプ内であって該伝動軸の中途適所に1個または縦列配置で複数個の軸流型排気翼を回転駆動可能に装着してなるものとした構成からなる刈払機となる。
【発明の効果】
【0011】
以上のとおり、この発明の刈払機によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、小型エンジンで発生した排気ガスは、操作桿パイプを通じて、同操作桿パイプ先端がわのギアケース近傍から排出されるものとなり、除草作業者の着衣や顔などに排気ガスが吹き掛かるのを確実に防止できると共に、小型エンジン排気ポートから接続排気管路および操作桿パイプと続く細長い排気管路、ならびに、同管路中に内蔵された伝動軸、振れ止め機構、排気翼などが夫々、排気ガスの減圧や消音効果を発揮する上、排気ガス中に残存する燃料成分を除去して浄化する効果を発揮し、伝動軸の回転力を受けて回転駆動する1個または縦列配置で複数個の軸流型排気翼が、操作桿パイプ中の排気ガスを強制的に排出し、小型エンジンの排気効率を各段に高めて気化燃料のシリンダーおよび燃焼室への吸気、充填効率を大幅に向上して小型エンジンの高出力化を達成し、同じ出力であれば、さらに小排気量の小型エンジンを採用可能として刈払機を一段と小型軽量化、高効率化することができるという秀れた効果を発揮するものである。
【0012】
加えて、小型エンジンを2ストロークサイクルのものに設定したものは、潤滑油成分を含有する混合燃料を用いるから、排気ガス中に含まれる潤滑油成分が、操作桿パイプ内から先端がわギアケースに至る通過経路範囲の各回転駆動箇所夫々に、自動的に潤滑油を吹きかけながら流通するものとなって、各駆動部分の耐摩耗性を高めて長寿命化できるという新たな効果を発揮するものとなり、また、操作桿パイプ内の接続排気管路接続位置よりも小型エンジンがわに設けた密閉隔壁部は、排気ガスが小型エンジンがわに逆流してしまうのを確実に阻止し、小型エンジンの正常運転を実現化すると共に、操作桿パイプと小型エンジンとの接続箇所から排気ガスが漏出するのを確実に防止できるという秀れた特徴が得られるものである。
【0013】
振れ止め機構が、ドーナツ状円板体であって、伝動軸の軸心長方向に連通する1個または複数個の通気孔を穿設してなる振れ止め金具としたものは、各通気孔を通じて排気ガスが低抵抗で流通可能となり、しかもドーナツ状円板体部分が緩衝機能を発揮して排気ガス圧を減圧し、騒音の低減と排気ガス中に残存する燃料成分などの浄化機能を発揮するものとなり、より高い消音、浄化性能を達成して一段と除草作業者の健康を守り、自然環境に優しい刈払機を提供できる。
【0014】
排気口が、排気ガスを操作桿パイプ先端寄りパイプ内がわから、ギアケース近傍外がわまで誘導可能な排気パイプからなるものは、排気ガスをギアケースで回転駆動する刈刃付近に排出して、同刈刃の空気との摩擦力および遠心力が、同排気ガスを地上付近に拡散してしまい、上方への舞い上がりや除草作業者の顔付近まで上昇するのを一層確実に防止できるものとすることができ、さらに、該排気パイプの排気端を、ギアケースに装着した場合の刈刃上面に沿う遠心方向に向けた姿勢に開口されてなるものは、排気ガスの噴射圧でギアケース周辺に絡み付こうとする雑草類を悉く遠心方向に吹き飛ばすものとなり、雑草の絡みつきによる除草作業の中断を大幅に減少して除草作業の効率を大幅に改善し得るものとなる。
【0015】
操作桿パイプの接続排気管路接続箇所から先端がわ適宜長寸法範囲に渡り、同操作桿パイプ外周壁との間に小隙間を隔てて包囲可能な防熱カバーを装着してなるものは、排気ガスの流通によって加熱する操作桿パイプが、除草作業者や周辺物に直接接触するのを防止可能である上、該小隙間を通じて放熱、冷却して操作桿パイプおよびその内部を流れる排気ガスを一段と効果的に冷却することができるものとなり、より安全で排気効率に秀れた刈払機とすることができる。
【0016】
防熱カバーが、操作桿パイプ軸心長方向前後複数個に分割された単位カバー部を操作ハンドル取り付け位置の調節に応じて、組み合わせ変更自在に配置、形成されてなるものとした刈払機は、各単位カバー部の組み合わせや配置を適宜変更することが可能で、各除草作業者の体格や除草場所の傾斜角度などの各種条件に応じて操作ハンドルの取付け位置を変更した場合であっても、隙間なく単位カバー部を組み合わせ装着でき、除草作業の安全性と作業性とを各段に高めたものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
操作桿パイプは、作業者の刈払い動作に適した所定長寸法を保ち、後端がわに小型エンジンを支持し、中途適所に操作ハンドルを装着可能なものであって、先端がわに刈刃装着用のギアケースを支持すると共に、該小型エンジン出力がわとギアケース入力がわとを接続する伝動軸を内蔵可能な上、小型エンジンから誘導された接続排気管路を通じて流入する排気ガスをギアケース付近の先端がわから排気可能とするものであり、刈り払い動作によっても撓ったり、変形しない程度に充分な強度と、高温の排気ガスの通過に耐える耐熱性とを有する所定長寸法直線管状体からなるものとしなければならず、アルミニウム合金より融点が高いステンレス鋼やチタン合金製などとするのが望ましく、後端がわから流入した排気ガスが途中で漏出することなく、先端がわまで誘導されるよう、中途周壁に不要な貫通孔やスリットなどを設けてはならず、後述する実施例に示すように、外周壁に適切な形状の防熱カバーを装着したものとするのが望ましく、また、後述する実施例には示さないが、内部中途適所に伝動軸の正常回転の障害とならないようドーナツ型や筒型などとした、排気ガス中の有害成分を浄化可能な触媒や、消音用のバッファープレートなどを内蔵したものとすることができる。
【0018】
密閉隔壁部は、操作桿パイプ内の排気管路形成範囲と、同操作桿パイプ後端がわの小型エンジン装着部分とを互いに隔離し、排気ガスが小型エンジン出力がわに逆流するのを防止可能とし、且つ、伝動軸を貫通して先端がわのギアケースまで回転出力を伝達可能とする機能を果たすものであり、充分な強度、耐熱性および密閉性を有するものとしなければならず、メンテナンス性を考慮すると脱着可能なものとするのが望ましい。
【0019】
振れ止め機構は、操作桿パイプ内で回転する伝動軸の軸振れを防止する機能を果たすものであり、充分な耐摩耗性、耐熱性、耐油性などを有する素材からなり、操作桿パイプの長さ寸法方向の複数適所に配し、それら外径がわが操作桿パイプ内周壁に装着し、各内径がわが伝動軸の外周壁を回転自在に支持可能なものとし、夫々が、肉厚方向(操作桿パイプの長さ寸法方向)に貫通し排気ガスを通過可能なものとしなければならず、後述する実施例に示すように、ドーナツ状円板体からなり、周回り方向に沿って複数個の通気孔を穿設してなる振れ止め金具からなるものとすることができる。
【0020】
小型エンジンは、操作桿パイプ後端がわに一体化し、クラッチ出力がわから伝動軸を介してギアケースおよび刈刃を回転駆動可能とするものであり、除草作業者が刈払機を軽快に取り扱えるよう、充分に小型・軽量化されたものとしなければならず、構造が簡素で軽量、高出力であるという特徴をもつ2ストロークサイクルエンジンとすることができる外、構造が複雑であるが燃費が良く、一段と静粛な4ストロークサイクルエンジンとすることが可能であり、何れの場合にも軽量化や経済性を考慮すると単気筒エンジンとするのが良く、後述する実施例に示すように、排気ポートに消音器を設けず、直接接続排気管路を接続したものとすることができる。
【0021】
伝動軸は、小型エンジンからの回転出力を受けてギアケースおよび刈刃がわに回転駆動力を伝達可能とする上、中途適所に装着した1個または縦列配置で複数個の軸流型排気翼を回転駆動可能とするものであり、小型エンジンの回転出力を充分な捩れ剛性をもって伝達可能なものであって、しかも高温の排気ガスにも耐える耐熱性、および耐油性を有するものとしなければならない。
【0022】
操作ハンドルは、除草作業者が刈払機を振り払い操作可能とするよう適切な位置に把持部分を形成する機能を果たし、基本的に従来型の刈払機と同等のものとすることができ、例えばU字ハンドルやループハンドルとするのが望ましく、適所にスロットルレバーや、エンジンスイッチなどを設けたものとすることができ、操作桿パイプとの結合部分付近に、耐熱素材製部品を組み込んだり、適切な断熱板や耐熱カバーなどを装着したりしたものとすることができる。
【0023】
ギアケースは、操作桿パイプ先端に刈刃を所定傾斜角度で着脱自在に支持可能とするよう一体化し、伝動軸からの回転駆動力を刈刃に伝達可能とするものであり、基本的に従来型の刈払機と同等のものとすることができ、また、肩掛けバンドおよび、それ用の吊り金具は、刈払機の適切な重量バランスとなる操作桿パイプ中途適所を除草作業者の肩に吊り下げ可能とするものであり、充分な吊下げ強度と耐久性とを兼ね備えたものとすべきであり、サルカンやフック金具などを有して、刈払機を揺動自在、着脱自在に吊下可能なものとすることができる。
【0024】
接続排気管路は、小型エンジン排気ポートと操作桿パイプ後端がわ適所とを接続し、小型エンジンから排出される排気ガスを操作桿パイプ内に誘導可能とする機能を果たし、充分な耐熱性と気密接続性能とを有し、除草作業者が触れても安全な程度に充分な断熱層や断熱壁、防護カバーなどを設けたものとしなければならず、必要に応じて消音器や触媒を内蔵したものや、膨張室(チャンバー)を形成したものなどとすることが可能である。
【0025】
防熱カバーは、操作桿パイプが排気ガス通過で加熱状態となったときに、除草作業者などが触れても安全な状態に維持可能とするものであり、少なくとも操作桿パイプの高温となる範囲の外壁に沿って包囲可能なものとしなければならず、後述する実施例に示すように、操作桿パイプの接続排気管路接続箇所から先端がわ適宜長寸法範囲に渡り、同操作桿パイプ外周壁との間に小隙間を隔てて包囲可能な状態に装着したものとすることができる外、操作桿パイプが、その接続排気管路接続箇所から先端がわ適宜長寸法範囲に渡り、同操作桿パイプ外周壁との間に小隙間を隔てて包囲可能であって、同操作桿パイプ軸心長方向前後複数個に分割された単位カバー部を操作ハンドル取り付け位置の調節に応じて、組み合わせ変更自在に配置して形成したものとすることができ、また、望遠鏡型の伸縮(スライド)調節構造を有するものとすることが可能であり、さらにまた、肩掛けバンド用吊り金具を兼ねたものとすることができる。
【0026】
排気翼は、伝動軸の回転駆動力を利用して操作桿パイプ内の後端がわから先端がわに向かう気流を強制的に発生し、操作桿パイプ内に流入した排気ガスを同先端がわから淀みなく強制排出可能とするものであり、伝動軸に沿って圧送可能な軸流型の、耐熱性を有する翼からなり、伝動軸の中途適所に1個または縦列配置で複数個設けたものとしなければならず、小型エンジンのシリンダーおよび燃焼室内から強制排気ならびに強制吸気を可能とする負圧を発生するものとすることができ、さらに、各翼の枚数や形状、および、排気翼の個数や配置など様々な条件を設計段階で厳密に調整し、各翼に小型エンジンが生じる各音波や排気ガス振動、脈動などを反射して小型エンジン燃焼室やクランク室などの振動に同調または相殺させるなどして各部の振動を調整し、小型エンジンを一段と円滑、静粛且つ効率的に運転可能なものに設定してなるものとすることができる。
【0027】
排気口は、操作桿パイプ内に流入した排気ガスを同操作桿パイプ先端がわ適所から排出可能とする機能を果たすものであり、後述する実施例に示すように、排気ガスを操作桿パイプ先端寄りパイプ内がわから、ギアケース近傍外がわまで誘導可能な排気パイプからなるものとすることが可能であり、さらに、排気パイプの向きを自在に変更出来るよう、フレキシブルパイプ製とすることができる外、複数個の排気口または複数本の排気パイプを有するものとすることが可能であり、後述する実施例に示すように、該排気パイプの排気端を、ギアケースに装着した場合の刈刃上面に沿う遠心方向に向けた姿勢に開口し、ギアケース周辺に絡み付こうとする雑草類に排気ガスを吹き付けて、遠心方向に吹き飛ばすのに利用可能なものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0028】
図1の刈払機の斜視図、図2の防熱カバーを外した刈払機の斜視図、図3の操作桿パイプの断面図、図4の操作桿パイプ排気翼内蔵箇所の断面図、図5の図4中鎖線円C部分の拡大図、図6の図5中A−A部分の断面図、図7の図5中B−B部分の断面図、図8の改良を加えた排気パイプの断面図、図9の分割型防熱カバーを装着した刈払機の斜視図、図10の防熱カバー単位カバー部の斜視図、および、図11の除草作業中の刈払機の斜視図に示す事例は、伝動軸5を同心状、回転自在に軸支した操作桿パイプ2の後端に小型エンジン4を固定すると共に、同小型エンジン4出力がわを該伝動軸5後端に接続するようにする一方、当該操作桿パイプ2の先端に刈刃8を装着可能なギアケース7の基部を、同ギアケース7入力ギアに該伝動軸5先端が接続した状態に固着し、当該操作桿パイプ2の小型エンジン4がわ寄り中途適所に操作ハンドル6を組み込んだ上、該小型エンジン4排気ポートから導いた接続排気管路Eを当該操作桿パイプ2後端寄り適所から同操作桿パイプ2内に誘導するよう接続し、当該操作桿パイプ2先端寄り適所に排気口Mを設けた上、当該操作桿パイプ2内であって該伝動軸5の中途適所に軸流型排気翼Pを装着してなるものとした、この発明の刈払機における代表的な一実施例を示すものである。
【0029】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の刈払機1は、1m50cm前後の長さ、外径25mmに設定したステンレス鋼管製の直線棒状とした操作桿パイプ2の内部に、同心状配置となるよう直径7mmの伝動軸5を縦貫状に内蔵し、当該操作桿パイプ2の後端に、2ストロークサイクル小型エンジン4の遠心クラッチ(図示せず)を内蔵したクラッチケース部40を同遠心クラッチの出力軸(図示せず)に同心状となるよう配置結合し、該遠心クラッチ出力軸の端部が、伝動軸5後端に連結されたものとしてある。
【0030】
図2および図3中に示すように、操作桿パイプ2の基端寄りとなる適所に穿設した貫通孔には、同操作桿パイプ2の内径から小型エンジン4排気ポート(図示せず)の内径まで次第に、その内径を変化するよう設定したステンレス鋼製またはチタン合金製の曲パイプであって、外層に700〜800℃以上の高温に耐える例えばガラス繊維、炭素繊維、セラミックスなどを利用した防熱構造である軽量断熱材層E0を装着した接続排気管路Eの下流端を熔接一体化し、同接続排気管路Eの上流端に一体化したフランジ部(図示せず)を介して、小型エンジン4排気ポートにボルト接続されたものとしてある。
即ち、当該小型エンジン4排気ポート(図示せず)から延伸した接続排気管路Eの下流端を操作桿パイプ2の基端寄り適所に連通状に接続し、該小型エンジン4排気ポートから排出された排気ガスGが接続排気管路Eを通じて操作桿パイプ2内に流入するものとしてある。
【0031】
図3中に示すように、当該操作桿パイプ2内の接続排気管路E下流端接続箇所よりも後端がわであって、しかも小型エンジン4クラッチケース部40接続部分よりも前端寄りとなる箇所に、伝動軸5のみ貫通し、該操作桿パイプ2内周壁と伝動軸5外周壁との間を気密状に隔離可能とするドーナツ板状の密閉隔壁部20を内蔵し、該操作桿パイプ2内を排気ガスG流通範囲と、小型エンジン4クラッチケース部40接続部分とに分離されたものとし、また、図3ないし図5および図7中に示すように、当該操作桿パイプ2内の軸長寸法方向の適宜間隔を隔てた複数箇所の夫々には、当該操作桿パイプ2内周壁に嵌合状に装着可能であると共に、該伝動軸5外周壁を回転自在に支持可能なドーナツ板状であって、図7に示すように、伝動軸5の周囲に、例えば合計4個の通気孔30,30,……が90°置き毎に穿設された振れ止め金具3,3,……を同心状装着し、伝動軸5用の振れ止め機構3が形成されたものとする。
【0032】
図1、図2および図4中に示すように、当該操作桿パイプ2の先端には、刈刃8を所定傾斜角度をもって装着可能なギアケース7を接続すると共に、該伝動軸5の先端をギアケース7の入力ギア(図示せず)に接続し、また、当該操作桿パイプ2のギアケース7接続部分近傍から排気口となるステンレス鋼製の排気パイプMをギアケース7側部に達するよう延伸し、その排気端M0を同ギアケース7に装着した刈刃8直上付近に配置させ、しかも遠心方向に向けて開口させたものとしてある。
【0033】
図8に示すように、当該排気パイプMは、その排気端M0周壁がギアケース7の側部周壁に接するよう配置して、ギアケース7、操作桿パイプ2と排気パイプMとの隙間を無くすと共に、ギアケース7周壁直近から刈刃8上面沿って遠心方向に排気ガスGを噴出可能な位置に排気端M0を開口したものとすることができる。
【0034】
図4ないし図6に示すように、当該操作桿パイプ2内の中途適所であって、該伝動軸5の振れ止め金具3,3間に位置する軸長寸法方向所定範囲間には、縦列配置で複数個の軸流型(タービン型)排気翼P,P,……を同心状に一体化し、各排気翼P,P,……は該伝動軸5が回転すると、それに一体となって回転し、接続排気管路E(図3に示す)を通じて操作桿パイプ2内に流入した排気ガスGを排気パイプMがわに向けて強制的に圧送可能なものとしている。
【0035】
図2に示すように、当該操作桿パイプ2の小型エンジン4がわ寄りとなる中途適所であって、当該刈払機1の重心位置よりも前方となる適所に、U字ハンドル(またはループハンドル)からなる操作ハンドル6を位置決め自在に組み込み、また、当該操作桿パイプ2のギアケース7がわ寄りとなる先端がわ中途適所であって、該ギアケース7に装着した刈刃8半径よりも後端寄りとなる適所に、飛散防護カバー80を装着したものとし、さらに、図1、図3および図4中に示すように、当該操作桿パイプ2の小型エンジン4クラッチケース部40接続部分から操作ハンドル6を超えた位置周辺までの範囲に渡り、ステンレス鋼板製または耐熱合成樹脂製などの複数の通気、放熱用パンチング孔を穿孔してなり、当該操作桿パイプ2外周壁との間に3mmの隙間を確保して包囲可能な防熱カバーDを装着したものとしている。
【0036】
図9および図10中に示すように、防熱カバーDは、当該操作桿パイプ2軸心長方向の前後複数個に分割された単位カバー部D0,D0,……を操作ハンドル6取り付け位置の調節に応じて加減、組み合わせ変更自在に配置して形成したものとすることが可能であり、各単位カバー部D0は、パンチング孔加工された矩形ステンレス鋼板製であって、前後端縁に沿って夫々複数の台形状支持舌片D1,D1,……を形成すると共に、周回り方向端縁には、合掌結合用のフランジ部D2,D2を形成してあり、図10中の実線矢印に示すように、丸めて操作桿パイプ2(図10中に示していない)周囲に捲き付けた上、ボルト・ナットD3,D3で緊締、装着するものとしてある。
【0037】
図11中に示すように、肩掛けバンド9の吊り金具90は、防熱カバーDの周囲に捲き付けるように装着するものや、防熱カバーDに一体化してあるもの、または、防熱カバーDが複数個に分割された単位カバー部D0,D0,……(図9および図10に示す)からなるものの場合には、何れか1個の単位カバー部D0が吊り金具90を形成するもの、あるいは、防熱カバーD適所を貫通するか、複数個の単位カバー部D0,D0,……間の何れか適所を通じるかして、直接的に操作桿パイプ2に連結可能なものとすることなどが可能である。
【0038】
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の刈払機1は、図1および図2中に示すように、小型エンジン4のリコイルスターター(図示しない)を引いて、同小型エンジン4を始動すると、図3ないし図7中に示すように、同小型エンジン4の排気ポート(図示せず)から接続排気管路Eを通じて当該操作桿パイプ2内に流入した排気ガスGは、密閉隔壁部20が堰き止めて、小型エンジン4クラッチケース部40がわに逆流するのを阻止するものとなり、同小型エンジン4の排気圧力が、各振れ止め金具3,3,……の通気孔30,30,……を通じて当該操作桿パイプ2先端がわに向けて排気ガスGを送り出し、アイドリング中で伝動軸5およびそれに一体化した各排気翼P,P,……が停止しているときには、各排気翼P,P,……のタービン型翼間の隙間を通じて排気パイプMまで排気ガスGが流動し、その過程中に次第に冷却し、排気音が低減されたものとなり、2ストロークサイクルエンジン用燃料中に含まれる潤滑油成分が、排出過程中に操作桿パイプ2内の各振れ止め金具3,3,……と伝動軸5との間やギアケース7内のギアなどに吹き付けて潤滑作用をもたらすものとなる。
【0039】
図11中に示すように、作業者Wが刈払機1肩掛けバンド9を肩に掛けてスロットルレバー(図示せず)を開操作して除草作業を開始すると、小型エンジン4の回転数が高まり、クラッチケース部40内の遠心クラッチ(図示せず)が接続状態に移行し、図4中に示すように、伝動軸5からギアケース7のギア機構(図示せず)、および、刈刃8を回転駆動するものとなり、しかも伝動軸5に一体化した各排気翼P,P,……が回転駆動して当該操作桿パイプ2内の排気ガスGを強制的に排出し、小型エンジン4排気ポート(図示せず)および接続排気管路Eから、操作桿パイプ2内の後端がわ密閉隔壁部20から各排気翼P,P,……よりも上流がわを負圧状態にして排気効率を高めるものとなり、小型エンジン4にスーパーチャージャーやターボチャージャーなどの過給装置を装着した場合のように燃料の充填効率を高める作用を得るものとなる。
【0040】
図3および図4中に示すように、小型エンジン4排気ポート(図示せず)から送出した排気ガスGは、接続排気管路Eから操作桿パイプ2内および排気パイプMを通じて外部に排出される過程で、従来型の刈払機の消音器よりも遙かに長い排気管路を通じて減衰、排気されるものとなって煤や潤滑油成分など有害成分も大幅に削減し、しかも、図4および図11に示すように、排気パイプM排気端M0からギアケース7側部付近の刈刃8直上に、遠心方向に向けて排出される排気ガスGは、回転する刈刃8上面との摩擦力および遠心力を受けて遠心方向に誘導され、ギアケース7に巻き付こうとする雑草(図示せず)などを刈刃8遠心方向に吹き飛ばす作用を発揮するものとなり、しかも除草作業者Wから充分に(約1.5m)離れた刈刃8付近に排出されるから、風向きが悪く作業者Wがわに排気ガスGが向かった場合であっても、排気ガスG中に含まれる煤や潤滑油成分などが除草作業者Wの着衣や顔などに吹き付けてしまうことが無く、また、同図11に示すように、接続排気管路Eの軽量断熱材層E0、および、防熱カバーDが排気ガスGの熱を断熱し、穏やかに放熱するものとなり、除草作業者Wの脇腹や腕などを加熱してしまうのを阻止するものとなる。
【0041】
さらにまた、図9および図10に示すように、複数個の単位カバー部D0,D0,……を組み合わせて防熱カバーDを形成した刈払機1は、図9中の二点鎖線矢印に示すように、操作ハンドル6の操作桿パイプ2の軸長寸法方向の取り付け位置を単位カバー部D01個分ずつ移動調節することが可能となり、除草作業者Wの好みに応じた操作ハンドル6位置調節の自由度を確保可能なものとなる。
【0042】
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1の刈払機1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図4ないし図6中に示すように、操作桿パイプ2内伝動軸5の軸方向に沿って縦列配置で複数個設けた軸流型排気翼P,P,……の夫々をタービン型翼形のものとしてあるから、スクリュー型やプロペラ型の翼形のものに比較して軸流方向の排気ガスGの流れを低抵抗で円滑なものにし、除草作業中に小型エンジン4が高回転数に達した場合にも、淀みなく効率的で速やかな排気を実現化できるもという秀れた効果を発揮するものとなる。
【0043】
加えて、図8中に示すように、排気口を形成する排気パイプMの排気端M0をギアケース7の周壁に隙間無く配置し、刈刃8上面に沿う遠心方向に向けて開口してなるものは、ギアケース7、操作桿パイプ2と排気パイプMとの間に雑草や小石などの異物が挟まり込むのを確実に防止できる上、ギアケース7の周壁および刈刃8上面に沿って双方の遠心方向に向けて排気ガスGを噴出するから、前記排気翼P,P,……による強制排気の相乗効果を受けて、除草中にギアケース7に絡み付こうとする雑草やビニール袋などの芥類などを一段と確実に遠心方向に吹き飛ばすことができるものとなり、一層除草作業を効率化できるという利点が得られる。
【0044】
(結 び)
叙述の如く、この発明の刈払機は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの刈払機に比較して小型エンジンの排気ガスや騒音による除草作業者の健康や自然環境への悪影響を大幅に低減し、且つ強制排気による高出力化を達成して同一出力であれば、さらに小排気量のエンジンを搭載して総重量を各段に削減し、除草作業者の労働負担を大幅に軽減できる上、排気ガスの刈刃上面に沿った遠心方向への強制排出で、ギアケースへの雑草類の絡み付きを確実に防止できるものとすることができるから、従来型の刈払機に欠点を感じながらも、より安全で効率的な除草作業を希望する農家や園芸業界は勿論のこと、その課題を解決できないままに製造、販売を続けていた農機具業界やホームセンターおよびアウトドア用品業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図面は、この発明の刈払機の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】刈払機を示す斜視図である。
【図2】防熱カバーを外した刈払機を示す斜視図である。
【図3】操作桿パイプ後端がわを示す断面図である。
【図4】操作桿パイプ先端がわを示す断面図である。
【図5】図4中の鎖線円C部分を示す拡大図である。
【図6】図5中のA−A部分を示す断面図である。
【図7】図5中のB−B部分を示す断面図である。
【図8】改良型排気パイプを示す断面図である。
【図9】分割型防熱カバー装着の刈払機を示す斜視図である。
【図10】防熱カバーの単位カバー部を示す斜視図である。
【図11】除草作業中の刈払機を示す斜視図である。
【図12】除草作業中の従来型刈払機を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 刈払機
2 操作桿パイプ
20 同 密閉隔壁部
21 同 通気孔
3 振れ止め金具(振れ止め機構)
30 同 通気孔
4 小型エンジン
40 同 クラッチケース部
5 伝動軸
6 操作ハンドル
7 ギアケース
8 刈刃
80 同 飛散防護カバー
9 肩掛けバンド
90 同 吊り金具
E 接続排気管路
E0 同 軽量断熱材層(防熱構造)
D 防熱カバー
D0 同 単位カバー部
D1 同 支持舌片
D2 同 フランジ部
D3 同 ボルト・ナット
P 排気翼
M 排気パイプ(排気口)
M0 同 排気端
G 排気ガス
W 除草作業者
【技術分野】
【0001】
この発明は、刈払作業中に小型エンジンから排出される排気ガスが、作業者に直接吹き掛かるのを防止可能とする技術、特に排気ガスの排出位置を変更するだけでなく、排気ガスを円滑且つ速やかに誘導して排気効率を高めることができる刈払機に関するものであり、それを製造する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
田圃や山林などの除草に欠くことの出来ない刈払機は、図12の使用中の従来型刈払機の斜視図に示すように、直線管状体の後端に25cc前後の小型軽量エンジン4を装備した操作桿パイプ2の先端に、刈刃8を着脱自在に装着可能なギアケース7を設け、該小型エンジン4出力がわとギアケース7入力がわとを、該操作桿パイプ2内に縦貫する伝動軸(図示せず)で接続してなるものであり、除草作業者Wは、該操作桿パイプ2の小型エンジン4がわ寄りの重量バランスの適切な箇所に肩掛けバンド9用の吊り金具90を装着し、同吊り金具90装着位置よりも少しギアケース7(刈刃8)がわ寄りとなる適所に操作ハンドル6を固定して該肩掛けバンド9用の吊り金具90を吊下点(中心)として左右に振り払うよう操作しながら除草作業を行うことになる。
【0003】
この刈払機は、その構造から小型エンジン4が作業者W右脇腹から同右背中に位置して排気煙(排気ガスG)や騒音を発生するだけでなく、特に2ストロークサイクルエンジンを搭載したものの場合には、混合燃料中に含まれるエンジンオイル成分が、長時間の除草作業中に作業者Wの衣服や顔などに吹き掛かり、通常の洗濯では落ちない不燃オイル汚れが衣類にシミを残したり、除草作業中に作業者Wの目や喉を刺激して、作業後にも痛みが残ったりしてしまうという欠点を有しており、こうした弊害を防止するよう、従前より小型エンジン4の排気ポートや消音器を除草作業者Wとは反対がわとなる側面に配するよう配慮されているが、充分な効果が得られていない外、対象となる雑草の種類によっては、除草中の刈払機1ギアケース7と刈刃8との接続部分付近に、刈り払われた草が巻き付いて刈刃8の回転が停止してしまうことがあり、こうしたときには、除草作業を一旦中断して小型エンジン4を停止し、ギアケース7に巻き付いた雑草を除去して安全を確認してから再度、小型エンジン4を始動し、除草作業を再開する必要があり、このような雑草の絡み付きが頻発すると除草作業が繁雑化して作業効率を大幅に悪化させてしまという致命的な欠点があり、こうした課題を解決できる技術は未だ実用化されていないというのが実情である。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を憂慮し、例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、エンジンマフラーのテールパイプに、排気ガスの排出方向に向けて順次、中央壁部の周囲に複数の通孔を穿設した排気ガス攪拌用バッファプレート、排気ガス中の火の粉捕捉用の半球状金網、および、排気ガス誘導用の短筒状ガイド筒を装着するなどして、排気ガスによる局部的な高温化や、作業者ならびに周囲環境への悪影響の発生を防止可能としたものや、同特許文献1(2)に見られるような、小型軽量エンジンから延伸した排気接続管を通じて排気ガスを消音器内蔵の操作桿パイプ内に誘導し、同操作桿パイプ先端がわの排気口から排気可能として消音性能を高めたもの、また、同特許文献1(3)のように、ギアケースと刈刃との間にフランジ型の絡み防止用部品を追加し、絡みつこうとする雑草を跳ね飛ばすと共に、刈刃が回転すると該絡み防止用部品との隙間が負圧になって遠心方向への気流を発生し、雑草を遠心方向に向けて自動的に吹き飛ばすようにしたものなどが散見される。
【0005】
しかし、前者特許文献1(1)に示されているようなエンジンマフラーのテールパイプに排気ガスを攪拌、減衰可能とするバッファ部品などを装着したものは、局部的な温度上昇を阻止することができても、除草作業中の作業者の人体近くに排気ガスを放出することを防止できるものとはなっておらず、特に2ストロークサイクルエンジンを搭載した刈払機の場合には、作業者の顔や衣服に不燃オイルが飛沫、付着したり、目や喉に痛みを与えるなどの問題を残すものであり、また、次に示した特許文献1(2)の小型エンジンの排気ガスを操作桿パイプ内に導き、同操作桿パイプ内蔵の消音器を通じて、同操作桿パイプ先端がわの排気口から排出するようにしたものは、騒音を大幅に低減できると共に、作業者の人体近くに排気ガスが放出されて顔や衣類に吹き掛かるのを確実に防止できるものとなっているが、一般的な小型エンジン用マフラーよりも長尺且つ細径の操作桿パイプを通じて排気するものとなっているから、排気抵抗が大きくなってエンジンの運転効率を低下させてしまう虞があり、しかも作業者の身体が触れる操作桿パイプ自体を排気管として利用するため、操作桿パイプの異常過熱による危険性が懸念される。
【0006】
さらに、後者特許文献1(3)の草の絡みつき防止用部品を追加したものは、フランジ型で刈刃の近傍上がわに僅かな隙間をもって配置されたもので、刈払機先端がわ重量が増加して除草作業者の振り払い動作に大きな負担となってしまう上、刈刃との僅かな隙間に小石や硬質な木片などが挟まってしまうと、該絡みつき防止用部品自体や刈刃などが損傷してしまう虞があり、挟まった小石などを取り除く場合には、小型エンジンを停止して刈刃を一旦ギアケースから取り外して異物を除去してから再度刈刃を付け直し、安全を確認した後に小型エンジンを再始動して除草を開始するという煩雑な手間の掛かるものとなってしまうという新たな欠点を生じる虞があった。
【特許文献1】(1)特開平11−13452号公報 (2)実開平6−52413号公報 (3)特開平11−168939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種小型エンジンおよび刈払機は、排気用マフラーテールパイプ付近の局部的な過熱を阻止できるようにしたものは、作業者の顔や衣類に排気ガスが吹き掛かるのを防止できないという欠点があり、また、操作桿パイプを排気管および消音器として機能させるようにしたものは、通常のマフラーより細く長い作桿パイプと、それに内蔵された消音器などが排気抵抗を生じて小型エンジンの運転効率を大幅に低下させてしまう虞がある上、作桿パイプ自体が排気ガスの通過に伴って過熱してしまい、脇腹付近に抱えるようにして除草作業を行う作業者に過熱による危険が及ぶ虞があり、また、操作桿パイプの先端がわ重量を増大させずに、ギアケースへの雑草の絡みつきを効果的に防止する技術がないなど、従前からの課題が未だに放置されたままになっていて、刈払機を製造するメーカーもこうした現状を把握しながら、適切な改善策を見出すことがでないというのが実情である。
【0008】
(発明の目的)
そこで、この発明は、作業者の身体に排気ガスが吹き掛かったり、排気熱による悪影響を確実に防止できる上、小型エンジンの排気効率を高めて効率的な運転を実現可能とすると共に、消音効果を得ることができ、特に2ストロークサイクルエンジンを搭載したものは、排気ガス中に含まれるエンジンオイル成分を各部の潤滑剤として有効利用し、有害物質の排出量を大幅に削減して自然環境にも優しく、しかもギアケース周辺への雑草の絡みつきを確実に防止でき、安全性や経済性にも秀れた新たな刈払除草技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の刈払機を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の刈払機は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、所定長寸法直線管状体内に、通気可能な振れ止め機構を介して伝動軸を同心状、回転自在に軸支した操作桿パイプの後端に小型エンジンを固定すると共に、同小型エンジンのクラッチ出力がわを該伝動軸後端に接続する一方、当該操作桿パイプの先端に所定傾斜角度をもって刈刃を着脱自在に装着可能なギアケースの基部を、同ギアケース入力ギアに該伝動軸先端が接続した状態に固着し、当該操作桿パイプの小型エンジンがわ寄りとなる中途適所に操作ハンドルを位置決め自在に組み込んだ上、該小型エンジン排気ポートから防熱構造を伴って導いた接続排気管路を当該操作桿パイプ後端寄り適所から同操作桿パイプ内に誘導するよう気密接続し、且つ、当該操作桿パイプ先端寄り適所に排気口を設けた上、当該操作桿パイプ内であって該伝動軸の中途適所に1個または縦列配置で複数個の軸流型排気翼を回転駆動可能に装着してなるものとした構成を要旨とする刈払機である。
【0010】
この基本的な構成からなる刈払機をより具体的に示すと、所定長寸法直線管状体内に、通気可能な振れ止め機構を介して伝動軸を同心状、回転自在に軸支した操作桿パイプの後端に2ストロークサイクル小型エンジンを固定すると共に、同小型エンジンのクラッチ出力がわを該伝動軸後端に接続する一方、当該操作桿パイプの先端に所定傾斜角度をもって刈刃を着脱自在に装着可能なギアケースの基部を、同ギアケース入力ギアに該伝動軸先端が接続した状態に固着し、当該操作桿パイプの小型エンジンがわ寄りとなる中途適所に操作ハンドルを位置決め自在に組み込んだ上、該小型エンジン排気ポートから防熱構造を伴って導いた接続排気管路を当該操作桿パイプ後端寄り適所から同操作桿パイプ内に誘導するよう気密接続し、当該操作桿パイプ内の接続排気管路接続位置よりも小型エンジンがわとなる箇所に、同小型エンジンへの排気逆流を防止可能な密閉隔壁部を設け、且つ、当該操作桿パイプ先端寄り適所に排気口を設けた上、当該操作桿パイプ内であって該伝動軸の中途適所に1個または縦列配置で複数個の軸流型排気翼を回転駆動可能に装着してなるものとした構成からなる刈払機となる。
【発明の効果】
【0011】
以上のとおり、この発明の刈払機によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、小型エンジンで発生した排気ガスは、操作桿パイプを通じて、同操作桿パイプ先端がわのギアケース近傍から排出されるものとなり、除草作業者の着衣や顔などに排気ガスが吹き掛かるのを確実に防止できると共に、小型エンジン排気ポートから接続排気管路および操作桿パイプと続く細長い排気管路、ならびに、同管路中に内蔵された伝動軸、振れ止め機構、排気翼などが夫々、排気ガスの減圧や消音効果を発揮する上、排気ガス中に残存する燃料成分を除去して浄化する効果を発揮し、伝動軸の回転力を受けて回転駆動する1個または縦列配置で複数個の軸流型排気翼が、操作桿パイプ中の排気ガスを強制的に排出し、小型エンジンの排気効率を各段に高めて気化燃料のシリンダーおよび燃焼室への吸気、充填効率を大幅に向上して小型エンジンの高出力化を達成し、同じ出力であれば、さらに小排気量の小型エンジンを採用可能として刈払機を一段と小型軽量化、高効率化することができるという秀れた効果を発揮するものである。
【0012】
加えて、小型エンジンを2ストロークサイクルのものに設定したものは、潤滑油成分を含有する混合燃料を用いるから、排気ガス中に含まれる潤滑油成分が、操作桿パイプ内から先端がわギアケースに至る通過経路範囲の各回転駆動箇所夫々に、自動的に潤滑油を吹きかけながら流通するものとなって、各駆動部分の耐摩耗性を高めて長寿命化できるという新たな効果を発揮するものとなり、また、操作桿パイプ内の接続排気管路接続位置よりも小型エンジンがわに設けた密閉隔壁部は、排気ガスが小型エンジンがわに逆流してしまうのを確実に阻止し、小型エンジンの正常運転を実現化すると共に、操作桿パイプと小型エンジンとの接続箇所から排気ガスが漏出するのを確実に防止できるという秀れた特徴が得られるものである。
【0013】
振れ止め機構が、ドーナツ状円板体であって、伝動軸の軸心長方向に連通する1個または複数個の通気孔を穿設してなる振れ止め金具としたものは、各通気孔を通じて排気ガスが低抵抗で流通可能となり、しかもドーナツ状円板体部分が緩衝機能を発揮して排気ガス圧を減圧し、騒音の低減と排気ガス中に残存する燃料成分などの浄化機能を発揮するものとなり、より高い消音、浄化性能を達成して一段と除草作業者の健康を守り、自然環境に優しい刈払機を提供できる。
【0014】
排気口が、排気ガスを操作桿パイプ先端寄りパイプ内がわから、ギアケース近傍外がわまで誘導可能な排気パイプからなるものは、排気ガスをギアケースで回転駆動する刈刃付近に排出して、同刈刃の空気との摩擦力および遠心力が、同排気ガスを地上付近に拡散してしまい、上方への舞い上がりや除草作業者の顔付近まで上昇するのを一層確実に防止できるものとすることができ、さらに、該排気パイプの排気端を、ギアケースに装着した場合の刈刃上面に沿う遠心方向に向けた姿勢に開口されてなるものは、排気ガスの噴射圧でギアケース周辺に絡み付こうとする雑草類を悉く遠心方向に吹き飛ばすものとなり、雑草の絡みつきによる除草作業の中断を大幅に減少して除草作業の効率を大幅に改善し得るものとなる。
【0015】
操作桿パイプの接続排気管路接続箇所から先端がわ適宜長寸法範囲に渡り、同操作桿パイプ外周壁との間に小隙間を隔てて包囲可能な防熱カバーを装着してなるものは、排気ガスの流通によって加熱する操作桿パイプが、除草作業者や周辺物に直接接触するのを防止可能である上、該小隙間を通じて放熱、冷却して操作桿パイプおよびその内部を流れる排気ガスを一段と効果的に冷却することができるものとなり、より安全で排気効率に秀れた刈払機とすることができる。
【0016】
防熱カバーが、操作桿パイプ軸心長方向前後複数個に分割された単位カバー部を操作ハンドル取り付け位置の調節に応じて、組み合わせ変更自在に配置、形成されてなるものとした刈払機は、各単位カバー部の組み合わせや配置を適宜変更することが可能で、各除草作業者の体格や除草場所の傾斜角度などの各種条件に応じて操作ハンドルの取付け位置を変更した場合であっても、隙間なく単位カバー部を組み合わせ装着でき、除草作業の安全性と作業性とを各段に高めたものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
操作桿パイプは、作業者の刈払い動作に適した所定長寸法を保ち、後端がわに小型エンジンを支持し、中途適所に操作ハンドルを装着可能なものであって、先端がわに刈刃装着用のギアケースを支持すると共に、該小型エンジン出力がわとギアケース入力がわとを接続する伝動軸を内蔵可能な上、小型エンジンから誘導された接続排気管路を通じて流入する排気ガスをギアケース付近の先端がわから排気可能とするものであり、刈り払い動作によっても撓ったり、変形しない程度に充分な強度と、高温の排気ガスの通過に耐える耐熱性とを有する所定長寸法直線管状体からなるものとしなければならず、アルミニウム合金より融点が高いステンレス鋼やチタン合金製などとするのが望ましく、後端がわから流入した排気ガスが途中で漏出することなく、先端がわまで誘導されるよう、中途周壁に不要な貫通孔やスリットなどを設けてはならず、後述する実施例に示すように、外周壁に適切な形状の防熱カバーを装着したものとするのが望ましく、また、後述する実施例には示さないが、内部中途適所に伝動軸の正常回転の障害とならないようドーナツ型や筒型などとした、排気ガス中の有害成分を浄化可能な触媒や、消音用のバッファープレートなどを内蔵したものとすることができる。
【0018】
密閉隔壁部は、操作桿パイプ内の排気管路形成範囲と、同操作桿パイプ後端がわの小型エンジン装着部分とを互いに隔離し、排気ガスが小型エンジン出力がわに逆流するのを防止可能とし、且つ、伝動軸を貫通して先端がわのギアケースまで回転出力を伝達可能とする機能を果たすものであり、充分な強度、耐熱性および密閉性を有するものとしなければならず、メンテナンス性を考慮すると脱着可能なものとするのが望ましい。
【0019】
振れ止め機構は、操作桿パイプ内で回転する伝動軸の軸振れを防止する機能を果たすものであり、充分な耐摩耗性、耐熱性、耐油性などを有する素材からなり、操作桿パイプの長さ寸法方向の複数適所に配し、それら外径がわが操作桿パイプ内周壁に装着し、各内径がわが伝動軸の外周壁を回転自在に支持可能なものとし、夫々が、肉厚方向(操作桿パイプの長さ寸法方向)に貫通し排気ガスを通過可能なものとしなければならず、後述する実施例に示すように、ドーナツ状円板体からなり、周回り方向に沿って複数個の通気孔を穿設してなる振れ止め金具からなるものとすることができる。
【0020】
小型エンジンは、操作桿パイプ後端がわに一体化し、クラッチ出力がわから伝動軸を介してギアケースおよび刈刃を回転駆動可能とするものであり、除草作業者が刈払機を軽快に取り扱えるよう、充分に小型・軽量化されたものとしなければならず、構造が簡素で軽量、高出力であるという特徴をもつ2ストロークサイクルエンジンとすることができる外、構造が複雑であるが燃費が良く、一段と静粛な4ストロークサイクルエンジンとすることが可能であり、何れの場合にも軽量化や経済性を考慮すると単気筒エンジンとするのが良く、後述する実施例に示すように、排気ポートに消音器を設けず、直接接続排気管路を接続したものとすることができる。
【0021】
伝動軸は、小型エンジンからの回転出力を受けてギアケースおよび刈刃がわに回転駆動力を伝達可能とする上、中途適所に装着した1個または縦列配置で複数個の軸流型排気翼を回転駆動可能とするものであり、小型エンジンの回転出力を充分な捩れ剛性をもって伝達可能なものであって、しかも高温の排気ガスにも耐える耐熱性、および耐油性を有するものとしなければならない。
【0022】
操作ハンドルは、除草作業者が刈払機を振り払い操作可能とするよう適切な位置に把持部分を形成する機能を果たし、基本的に従来型の刈払機と同等のものとすることができ、例えばU字ハンドルやループハンドルとするのが望ましく、適所にスロットルレバーや、エンジンスイッチなどを設けたものとすることができ、操作桿パイプとの結合部分付近に、耐熱素材製部品を組み込んだり、適切な断熱板や耐熱カバーなどを装着したりしたものとすることができる。
【0023】
ギアケースは、操作桿パイプ先端に刈刃を所定傾斜角度で着脱自在に支持可能とするよう一体化し、伝動軸からの回転駆動力を刈刃に伝達可能とするものであり、基本的に従来型の刈払機と同等のものとすることができ、また、肩掛けバンドおよび、それ用の吊り金具は、刈払機の適切な重量バランスとなる操作桿パイプ中途適所を除草作業者の肩に吊り下げ可能とするものであり、充分な吊下げ強度と耐久性とを兼ね備えたものとすべきであり、サルカンやフック金具などを有して、刈払機を揺動自在、着脱自在に吊下可能なものとすることができる。
【0024】
接続排気管路は、小型エンジン排気ポートと操作桿パイプ後端がわ適所とを接続し、小型エンジンから排出される排気ガスを操作桿パイプ内に誘導可能とする機能を果たし、充分な耐熱性と気密接続性能とを有し、除草作業者が触れても安全な程度に充分な断熱層や断熱壁、防護カバーなどを設けたものとしなければならず、必要に応じて消音器や触媒を内蔵したものや、膨張室(チャンバー)を形成したものなどとすることが可能である。
【0025】
防熱カバーは、操作桿パイプが排気ガス通過で加熱状態となったときに、除草作業者などが触れても安全な状態に維持可能とするものであり、少なくとも操作桿パイプの高温となる範囲の外壁に沿って包囲可能なものとしなければならず、後述する実施例に示すように、操作桿パイプの接続排気管路接続箇所から先端がわ適宜長寸法範囲に渡り、同操作桿パイプ外周壁との間に小隙間を隔てて包囲可能な状態に装着したものとすることができる外、操作桿パイプが、その接続排気管路接続箇所から先端がわ適宜長寸法範囲に渡り、同操作桿パイプ外周壁との間に小隙間を隔てて包囲可能であって、同操作桿パイプ軸心長方向前後複数個に分割された単位カバー部を操作ハンドル取り付け位置の調節に応じて、組み合わせ変更自在に配置して形成したものとすることができ、また、望遠鏡型の伸縮(スライド)調節構造を有するものとすることが可能であり、さらにまた、肩掛けバンド用吊り金具を兼ねたものとすることができる。
【0026】
排気翼は、伝動軸の回転駆動力を利用して操作桿パイプ内の後端がわから先端がわに向かう気流を強制的に発生し、操作桿パイプ内に流入した排気ガスを同先端がわから淀みなく強制排出可能とするものであり、伝動軸に沿って圧送可能な軸流型の、耐熱性を有する翼からなり、伝動軸の中途適所に1個または縦列配置で複数個設けたものとしなければならず、小型エンジンのシリンダーおよび燃焼室内から強制排気ならびに強制吸気を可能とする負圧を発生するものとすることができ、さらに、各翼の枚数や形状、および、排気翼の個数や配置など様々な条件を設計段階で厳密に調整し、各翼に小型エンジンが生じる各音波や排気ガス振動、脈動などを反射して小型エンジン燃焼室やクランク室などの振動に同調または相殺させるなどして各部の振動を調整し、小型エンジンを一段と円滑、静粛且つ効率的に運転可能なものに設定してなるものとすることができる。
【0027】
排気口は、操作桿パイプ内に流入した排気ガスを同操作桿パイプ先端がわ適所から排出可能とする機能を果たすものであり、後述する実施例に示すように、排気ガスを操作桿パイプ先端寄りパイプ内がわから、ギアケース近傍外がわまで誘導可能な排気パイプからなるものとすることが可能であり、さらに、排気パイプの向きを自在に変更出来るよう、フレキシブルパイプ製とすることができる外、複数個の排気口または複数本の排気パイプを有するものとすることが可能であり、後述する実施例に示すように、該排気パイプの排気端を、ギアケースに装着した場合の刈刃上面に沿う遠心方向に向けた姿勢に開口し、ギアケース周辺に絡み付こうとする雑草類に排気ガスを吹き付けて、遠心方向に吹き飛ばすのに利用可能なものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0028】
図1の刈払機の斜視図、図2の防熱カバーを外した刈払機の斜視図、図3の操作桿パイプの断面図、図4の操作桿パイプ排気翼内蔵箇所の断面図、図5の図4中鎖線円C部分の拡大図、図6の図5中A−A部分の断面図、図7の図5中B−B部分の断面図、図8の改良を加えた排気パイプの断面図、図9の分割型防熱カバーを装着した刈払機の斜視図、図10の防熱カバー単位カバー部の斜視図、および、図11の除草作業中の刈払機の斜視図に示す事例は、伝動軸5を同心状、回転自在に軸支した操作桿パイプ2の後端に小型エンジン4を固定すると共に、同小型エンジン4出力がわを該伝動軸5後端に接続するようにする一方、当該操作桿パイプ2の先端に刈刃8を装着可能なギアケース7の基部を、同ギアケース7入力ギアに該伝動軸5先端が接続した状態に固着し、当該操作桿パイプ2の小型エンジン4がわ寄り中途適所に操作ハンドル6を組み込んだ上、該小型エンジン4排気ポートから導いた接続排気管路Eを当該操作桿パイプ2後端寄り適所から同操作桿パイプ2内に誘導するよう接続し、当該操作桿パイプ2先端寄り適所に排気口Mを設けた上、当該操作桿パイプ2内であって該伝動軸5の中途適所に軸流型排気翼Pを装着してなるものとした、この発明の刈払機における代表的な一実施例を示すものである。
【0029】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の刈払機1は、1m50cm前後の長さ、外径25mmに設定したステンレス鋼管製の直線棒状とした操作桿パイプ2の内部に、同心状配置となるよう直径7mmの伝動軸5を縦貫状に内蔵し、当該操作桿パイプ2の後端に、2ストロークサイクル小型エンジン4の遠心クラッチ(図示せず)を内蔵したクラッチケース部40を同遠心クラッチの出力軸(図示せず)に同心状となるよう配置結合し、該遠心クラッチ出力軸の端部が、伝動軸5後端に連結されたものとしてある。
【0030】
図2および図3中に示すように、操作桿パイプ2の基端寄りとなる適所に穿設した貫通孔には、同操作桿パイプ2の内径から小型エンジン4排気ポート(図示せず)の内径まで次第に、その内径を変化するよう設定したステンレス鋼製またはチタン合金製の曲パイプであって、外層に700〜800℃以上の高温に耐える例えばガラス繊維、炭素繊維、セラミックスなどを利用した防熱構造である軽量断熱材層E0を装着した接続排気管路Eの下流端を熔接一体化し、同接続排気管路Eの上流端に一体化したフランジ部(図示せず)を介して、小型エンジン4排気ポートにボルト接続されたものとしてある。
即ち、当該小型エンジン4排気ポート(図示せず)から延伸した接続排気管路Eの下流端を操作桿パイプ2の基端寄り適所に連通状に接続し、該小型エンジン4排気ポートから排出された排気ガスGが接続排気管路Eを通じて操作桿パイプ2内に流入するものとしてある。
【0031】
図3中に示すように、当該操作桿パイプ2内の接続排気管路E下流端接続箇所よりも後端がわであって、しかも小型エンジン4クラッチケース部40接続部分よりも前端寄りとなる箇所に、伝動軸5のみ貫通し、該操作桿パイプ2内周壁と伝動軸5外周壁との間を気密状に隔離可能とするドーナツ板状の密閉隔壁部20を内蔵し、該操作桿パイプ2内を排気ガスG流通範囲と、小型エンジン4クラッチケース部40接続部分とに分離されたものとし、また、図3ないし図5および図7中に示すように、当該操作桿パイプ2内の軸長寸法方向の適宜間隔を隔てた複数箇所の夫々には、当該操作桿パイプ2内周壁に嵌合状に装着可能であると共に、該伝動軸5外周壁を回転自在に支持可能なドーナツ板状であって、図7に示すように、伝動軸5の周囲に、例えば合計4個の通気孔30,30,……が90°置き毎に穿設された振れ止め金具3,3,……を同心状装着し、伝動軸5用の振れ止め機構3が形成されたものとする。
【0032】
図1、図2および図4中に示すように、当該操作桿パイプ2の先端には、刈刃8を所定傾斜角度をもって装着可能なギアケース7を接続すると共に、該伝動軸5の先端をギアケース7の入力ギア(図示せず)に接続し、また、当該操作桿パイプ2のギアケース7接続部分近傍から排気口となるステンレス鋼製の排気パイプMをギアケース7側部に達するよう延伸し、その排気端M0を同ギアケース7に装着した刈刃8直上付近に配置させ、しかも遠心方向に向けて開口させたものとしてある。
【0033】
図8に示すように、当該排気パイプMは、その排気端M0周壁がギアケース7の側部周壁に接するよう配置して、ギアケース7、操作桿パイプ2と排気パイプMとの隙間を無くすと共に、ギアケース7周壁直近から刈刃8上面沿って遠心方向に排気ガスGを噴出可能な位置に排気端M0を開口したものとすることができる。
【0034】
図4ないし図6に示すように、当該操作桿パイプ2内の中途適所であって、該伝動軸5の振れ止め金具3,3間に位置する軸長寸法方向所定範囲間には、縦列配置で複数個の軸流型(タービン型)排気翼P,P,……を同心状に一体化し、各排気翼P,P,……は該伝動軸5が回転すると、それに一体となって回転し、接続排気管路E(図3に示す)を通じて操作桿パイプ2内に流入した排気ガスGを排気パイプMがわに向けて強制的に圧送可能なものとしている。
【0035】
図2に示すように、当該操作桿パイプ2の小型エンジン4がわ寄りとなる中途適所であって、当該刈払機1の重心位置よりも前方となる適所に、U字ハンドル(またはループハンドル)からなる操作ハンドル6を位置決め自在に組み込み、また、当該操作桿パイプ2のギアケース7がわ寄りとなる先端がわ中途適所であって、該ギアケース7に装着した刈刃8半径よりも後端寄りとなる適所に、飛散防護カバー80を装着したものとし、さらに、図1、図3および図4中に示すように、当該操作桿パイプ2の小型エンジン4クラッチケース部40接続部分から操作ハンドル6を超えた位置周辺までの範囲に渡り、ステンレス鋼板製または耐熱合成樹脂製などの複数の通気、放熱用パンチング孔を穿孔してなり、当該操作桿パイプ2外周壁との間に3mmの隙間を確保して包囲可能な防熱カバーDを装着したものとしている。
【0036】
図9および図10中に示すように、防熱カバーDは、当該操作桿パイプ2軸心長方向の前後複数個に分割された単位カバー部D0,D0,……を操作ハンドル6取り付け位置の調節に応じて加減、組み合わせ変更自在に配置して形成したものとすることが可能であり、各単位カバー部D0は、パンチング孔加工された矩形ステンレス鋼板製であって、前後端縁に沿って夫々複数の台形状支持舌片D1,D1,……を形成すると共に、周回り方向端縁には、合掌結合用のフランジ部D2,D2を形成してあり、図10中の実線矢印に示すように、丸めて操作桿パイプ2(図10中に示していない)周囲に捲き付けた上、ボルト・ナットD3,D3で緊締、装着するものとしてある。
【0037】
図11中に示すように、肩掛けバンド9の吊り金具90は、防熱カバーDの周囲に捲き付けるように装着するものや、防熱カバーDに一体化してあるもの、または、防熱カバーDが複数個に分割された単位カバー部D0,D0,……(図9および図10に示す)からなるものの場合には、何れか1個の単位カバー部D0が吊り金具90を形成するもの、あるいは、防熱カバーD適所を貫通するか、複数個の単位カバー部D0,D0,……間の何れか適所を通じるかして、直接的に操作桿パイプ2に連結可能なものとすることなどが可能である。
【0038】
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の刈払機1は、図1および図2中に示すように、小型エンジン4のリコイルスターター(図示しない)を引いて、同小型エンジン4を始動すると、図3ないし図7中に示すように、同小型エンジン4の排気ポート(図示せず)から接続排気管路Eを通じて当該操作桿パイプ2内に流入した排気ガスGは、密閉隔壁部20が堰き止めて、小型エンジン4クラッチケース部40がわに逆流するのを阻止するものとなり、同小型エンジン4の排気圧力が、各振れ止め金具3,3,……の通気孔30,30,……を通じて当該操作桿パイプ2先端がわに向けて排気ガスGを送り出し、アイドリング中で伝動軸5およびそれに一体化した各排気翼P,P,……が停止しているときには、各排気翼P,P,……のタービン型翼間の隙間を通じて排気パイプMまで排気ガスGが流動し、その過程中に次第に冷却し、排気音が低減されたものとなり、2ストロークサイクルエンジン用燃料中に含まれる潤滑油成分が、排出過程中に操作桿パイプ2内の各振れ止め金具3,3,……と伝動軸5との間やギアケース7内のギアなどに吹き付けて潤滑作用をもたらすものとなる。
【0039】
図11中に示すように、作業者Wが刈払機1肩掛けバンド9を肩に掛けてスロットルレバー(図示せず)を開操作して除草作業を開始すると、小型エンジン4の回転数が高まり、クラッチケース部40内の遠心クラッチ(図示せず)が接続状態に移行し、図4中に示すように、伝動軸5からギアケース7のギア機構(図示せず)、および、刈刃8を回転駆動するものとなり、しかも伝動軸5に一体化した各排気翼P,P,……が回転駆動して当該操作桿パイプ2内の排気ガスGを強制的に排出し、小型エンジン4排気ポート(図示せず)および接続排気管路Eから、操作桿パイプ2内の後端がわ密閉隔壁部20から各排気翼P,P,……よりも上流がわを負圧状態にして排気効率を高めるものとなり、小型エンジン4にスーパーチャージャーやターボチャージャーなどの過給装置を装着した場合のように燃料の充填効率を高める作用を得るものとなる。
【0040】
図3および図4中に示すように、小型エンジン4排気ポート(図示せず)から送出した排気ガスGは、接続排気管路Eから操作桿パイプ2内および排気パイプMを通じて外部に排出される過程で、従来型の刈払機の消音器よりも遙かに長い排気管路を通じて減衰、排気されるものとなって煤や潤滑油成分など有害成分も大幅に削減し、しかも、図4および図11に示すように、排気パイプM排気端M0からギアケース7側部付近の刈刃8直上に、遠心方向に向けて排出される排気ガスGは、回転する刈刃8上面との摩擦力および遠心力を受けて遠心方向に誘導され、ギアケース7に巻き付こうとする雑草(図示せず)などを刈刃8遠心方向に吹き飛ばす作用を発揮するものとなり、しかも除草作業者Wから充分に(約1.5m)離れた刈刃8付近に排出されるから、風向きが悪く作業者Wがわに排気ガスGが向かった場合であっても、排気ガスG中に含まれる煤や潤滑油成分などが除草作業者Wの着衣や顔などに吹き付けてしまうことが無く、また、同図11に示すように、接続排気管路Eの軽量断熱材層E0、および、防熱カバーDが排気ガスGの熱を断熱し、穏やかに放熱するものとなり、除草作業者Wの脇腹や腕などを加熱してしまうのを阻止するものとなる。
【0041】
さらにまた、図9および図10に示すように、複数個の単位カバー部D0,D0,……を組み合わせて防熱カバーDを形成した刈払機1は、図9中の二点鎖線矢印に示すように、操作ハンドル6の操作桿パイプ2の軸長寸法方向の取り付け位置を単位カバー部D01個分ずつ移動調節することが可能となり、除草作業者Wの好みに応じた操作ハンドル6位置調節の自由度を確保可能なものとなる。
【0042】
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1の刈払機1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図4ないし図6中に示すように、操作桿パイプ2内伝動軸5の軸方向に沿って縦列配置で複数個設けた軸流型排気翼P,P,……の夫々をタービン型翼形のものとしてあるから、スクリュー型やプロペラ型の翼形のものに比較して軸流方向の排気ガスGの流れを低抵抗で円滑なものにし、除草作業中に小型エンジン4が高回転数に達した場合にも、淀みなく効率的で速やかな排気を実現化できるもという秀れた効果を発揮するものとなる。
【0043】
加えて、図8中に示すように、排気口を形成する排気パイプMの排気端M0をギアケース7の周壁に隙間無く配置し、刈刃8上面に沿う遠心方向に向けて開口してなるものは、ギアケース7、操作桿パイプ2と排気パイプMとの間に雑草や小石などの異物が挟まり込むのを確実に防止できる上、ギアケース7の周壁および刈刃8上面に沿って双方の遠心方向に向けて排気ガスGを噴出するから、前記排気翼P,P,……による強制排気の相乗効果を受けて、除草中にギアケース7に絡み付こうとする雑草やビニール袋などの芥類などを一段と確実に遠心方向に吹き飛ばすことができるものとなり、一層除草作業を効率化できるという利点が得られる。
【0044】
(結 び)
叙述の如く、この発明の刈払機は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの刈払機に比較して小型エンジンの排気ガスや騒音による除草作業者の健康や自然環境への悪影響を大幅に低減し、且つ強制排気による高出力化を達成して同一出力であれば、さらに小排気量のエンジンを搭載して総重量を各段に削減し、除草作業者の労働負担を大幅に軽減できる上、排気ガスの刈刃上面に沿った遠心方向への強制排出で、ギアケースへの雑草類の絡み付きを確実に防止できるものとすることができるから、従来型の刈払機に欠点を感じながらも、より安全で効率的な除草作業を希望する農家や園芸業界は勿論のこと、その課題を解決できないままに製造、販売を続けていた農機具業界やホームセンターおよびアウトドア用品業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図面は、この発明の刈払機の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】刈払機を示す斜視図である。
【図2】防熱カバーを外した刈払機を示す斜視図である。
【図3】操作桿パイプ後端がわを示す断面図である。
【図4】操作桿パイプ先端がわを示す断面図である。
【図5】図4中の鎖線円C部分を示す拡大図である。
【図6】図5中のA−A部分を示す断面図である。
【図7】図5中のB−B部分を示す断面図である。
【図8】改良型排気パイプを示す断面図である。
【図9】分割型防熱カバー装着の刈払機を示す斜視図である。
【図10】防熱カバーの単位カバー部を示す斜視図である。
【図11】除草作業中の刈払機を示す斜視図である。
【図12】除草作業中の従来型刈払機を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 刈払機
2 操作桿パイプ
20 同 密閉隔壁部
21 同 通気孔
3 振れ止め金具(振れ止め機構)
30 同 通気孔
4 小型エンジン
40 同 クラッチケース部
5 伝動軸
6 操作ハンドル
7 ギアケース
8 刈刃
80 同 飛散防護カバー
9 肩掛けバンド
90 同 吊り金具
E 接続排気管路
E0 同 軽量断熱材層(防熱構造)
D 防熱カバー
D0 同 単位カバー部
D1 同 支持舌片
D2 同 フランジ部
D3 同 ボルト・ナット
P 排気翼
M 排気パイプ(排気口)
M0 同 排気端
G 排気ガス
W 除草作業者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長寸法直線管状体内に、通気可能な振れ止め機構を介して伝動軸を同心状、回転自在に軸支した操作桿パイプの後端に小型エンジンを固定すると共に、同小型エンジンのクラッチ出力がわを該伝動軸後端に接続する一方、当該操作桿パイプの先端に所定傾斜角度をもって刈刃を着脱自在に装着可能なギアケースの基部を、同ギアケース入力ギアに該伝動軸先端が接続した状態に固着し、当該操作桿パイプの小型エンジンがわ寄りとなる中途適所に操作ハンドルを位置決め自在に組み込んだ上、該小型エンジン排気ポートから防熱構造を伴って導いた接続排気管路を当該操作桿パイプ後端寄り適所から同操作桿パイプ内に誘導するよう気密接続し、且つ、当該操作桿パイプ先端寄り適所に排気口を設けた上、当該操作桿パイプ内であって該伝動軸の中途適所に1個または縦列配置で複数個の軸流型排気翼を回転駆動可能に装着してなるものとしたことを特徴とする刈払機。
【請求項2】
所定長寸法直線管状体内に、通気可能な振れ止め機構を介して伝動軸を同心状、回転自在に軸支した操作桿パイプの後端に2ストロークサイクル小型エンジンを固定すると共に、同小型エンジンのクラッチ出力がわを該伝動軸後端に接続する一方、当該操作桿パイプの先端に所定傾斜角度をもって刈刃を着脱自在に装着可能なギアケースの基部を、同ギアケース入力ギアに該伝動軸先端が接続した状態に固着し、当該操作桿パイプの小型エンジンがわ寄りとなる中途適所に操作ハンドルを位置決め自在に組み込んだ上、該小型エンジン排気ポートから防熱構造を伴って導いた接続排気管路を当該操作桿パイプ後端寄り適所から同操作桿パイプ内に誘導するよう気密接続し、当該操作桿パイプ内の接続排気管路接続位置よりも小型エンジンがわとなる箇所に、同小型エンジンへの排気逆流を防止可能な密閉隔壁部を設け、且つ、当該操作桿パイプ先端寄り適所に排気口を設けた上、当該操作桿パイプ内であって該伝動軸の中途適所に1個または縦列配置で複数個の軸流型排気翼を回転駆動可能に装着してなるものとしたことを特徴とする刈払機。
【請求項3】
振れ止め機構が、小型エンジンおよびギアケース間を繋ぐ伝動軸の、排気翼装着範囲を除く範囲の伝動軸軸心長方向に適宜間隔を隔てた複数箇所夫々に配し、外周壁が操作桿パイプ内壁に固着し、内周壁が伝動軸外周壁に摺動自在に接触、支持可能に組み込まれたドーナツ状円板体であって、伝動軸軸心長方向に連通する1個または複数個の通気孔を穿設してなる振れ止め金具からなるものとした、請求項1または2何れか一方記載の刈払機。
【請求項4】
操作桿パイプ先端寄り適所の排気口が、排気ガスを操作桿パイプ先端寄りパイプ内がわから、ギアケース近傍外がわまで誘導可能な排気パイプであって、同排気パイプの排気端が、ギアケースに装着した場合の刈刃上面に沿う遠心方向に向けた姿勢に開口されてなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の刈払機。
【請求項5】
操作桿パイプが、その接続排気管路接続箇所から先端がわ適宜長寸法範囲に渡り、同操作桿パイプ外周壁との間に小隙間を隔てて包囲可能な防熱カバーを装着してなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載の刈払機。
【請求項6】
操作桿パイプが、その接続排気管路接続箇所から先端がわ適宜長寸法範囲に渡り、同操作桿パイプ外周壁との間に小隙間を隔てて包囲可能であって、同操作桿パイプ軸心長方向前後複数個に分割された単位カバー部を操作ハンドル取り付け位置の調節に応じて、組み合わせ変更自在に配置して形成した防熱カバーを装着してなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の刈払機。
【請求項1】
所定長寸法直線管状体内に、通気可能な振れ止め機構を介して伝動軸を同心状、回転自在に軸支した操作桿パイプの後端に小型エンジンを固定すると共に、同小型エンジンのクラッチ出力がわを該伝動軸後端に接続する一方、当該操作桿パイプの先端に所定傾斜角度をもって刈刃を着脱自在に装着可能なギアケースの基部を、同ギアケース入力ギアに該伝動軸先端が接続した状態に固着し、当該操作桿パイプの小型エンジンがわ寄りとなる中途適所に操作ハンドルを位置決め自在に組み込んだ上、該小型エンジン排気ポートから防熱構造を伴って導いた接続排気管路を当該操作桿パイプ後端寄り適所から同操作桿パイプ内に誘導するよう気密接続し、且つ、当該操作桿パイプ先端寄り適所に排気口を設けた上、当該操作桿パイプ内であって該伝動軸の中途適所に1個または縦列配置で複数個の軸流型排気翼を回転駆動可能に装着してなるものとしたことを特徴とする刈払機。
【請求項2】
所定長寸法直線管状体内に、通気可能な振れ止め機構を介して伝動軸を同心状、回転自在に軸支した操作桿パイプの後端に2ストロークサイクル小型エンジンを固定すると共に、同小型エンジンのクラッチ出力がわを該伝動軸後端に接続する一方、当該操作桿パイプの先端に所定傾斜角度をもって刈刃を着脱自在に装着可能なギアケースの基部を、同ギアケース入力ギアに該伝動軸先端が接続した状態に固着し、当該操作桿パイプの小型エンジンがわ寄りとなる中途適所に操作ハンドルを位置決め自在に組み込んだ上、該小型エンジン排気ポートから防熱構造を伴って導いた接続排気管路を当該操作桿パイプ後端寄り適所から同操作桿パイプ内に誘導するよう気密接続し、当該操作桿パイプ内の接続排気管路接続位置よりも小型エンジンがわとなる箇所に、同小型エンジンへの排気逆流を防止可能な密閉隔壁部を設け、且つ、当該操作桿パイプ先端寄り適所に排気口を設けた上、当該操作桿パイプ内であって該伝動軸の中途適所に1個または縦列配置で複数個の軸流型排気翼を回転駆動可能に装着してなるものとしたことを特徴とする刈払機。
【請求項3】
振れ止め機構が、小型エンジンおよびギアケース間を繋ぐ伝動軸の、排気翼装着範囲を除く範囲の伝動軸軸心長方向に適宜間隔を隔てた複数箇所夫々に配し、外周壁が操作桿パイプ内壁に固着し、内周壁が伝動軸外周壁に摺動自在に接触、支持可能に組み込まれたドーナツ状円板体であって、伝動軸軸心長方向に連通する1個または複数個の通気孔を穿設してなる振れ止め金具からなるものとした、請求項1または2何れか一方記載の刈払機。
【請求項4】
操作桿パイプ先端寄り適所の排気口が、排気ガスを操作桿パイプ先端寄りパイプ内がわから、ギアケース近傍外がわまで誘導可能な排気パイプであって、同排気パイプの排気端が、ギアケースに装着した場合の刈刃上面に沿う遠心方向に向けた姿勢に開口されてなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の刈払機。
【請求項5】
操作桿パイプが、その接続排気管路接続箇所から先端がわ適宜長寸法範囲に渡り、同操作桿パイプ外周壁との間に小隙間を隔てて包囲可能な防熱カバーを装着してなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載の刈払機。
【請求項6】
操作桿パイプが、その接続排気管路接続箇所から先端がわ適宜長寸法範囲に渡り、同操作桿パイプ外周壁との間に小隙間を隔てて包囲可能であって、同操作桿パイプ軸心長方向前後複数個に分割された単位カバー部を操作ハンドル取り付け位置の調節に応じて、組み合わせ変更自在に配置して形成した防熱カバーを装着してなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の刈払機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−87549(P2011−87549A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245873(P2009−245873)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【出願人】(509273352)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【出願人】(509273352)
【Fターム(参考)】
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