説明

刈払機

【課題】刈刃により刈り取られた草等が本体部ケ−シング部に巻き付きを無くし、刈り取られた草を刈刃の回転軌跡外周より外側に瞬時に排出する。
【解決手段】柄の先端部に固定状に設けられた本体部ケ−シングの回転軸に回転受け具と締め付け具で固定され、回転受け具と締め付け具の間に刈刃が挟み止められている刈払機において、刈刃の上面に位置させて、刈草を刈り刃の回転方向前方側に押し出して刈り刃の刈り取り軌跡外周の外側に排出促進させる排出促進面を有する巻き付き防止体を配設構成し、該巻き付き防止体を、刈刃と同体で高速回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機で刈り取った草や蔓などが刈払機の回転部に巻き付くことを防止した刈払機の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
この種刈払機は、刈払機の先端に位置して刈り刃の駆動軸を内装する本体部ケ−シングの外周部に、刈り取った刈り草や蔓等が巻き付き易いという問題があり、このため刈刃の回転を円滑にするために巻き付き防止することが提唱されている。
【0003】
巻き付きの防止例として、刈刃の上面に積み重なる刃板と、その刃板の周縁部から回転対称となる配列分布状態として上向きに曲げ起こされた複数の羽根片を設けた構造もみられる。(例えば、特許文献1参照)
また、回転軸の周りに草の巻き付けを防止するために回転可動刃の基部に巻き込み防止リングを設けた構造も見られる。(例えば、特許文献2参照)
【0004】
青々と繁茂した草を刈払機が許容する刈り取り容量以上に刈り取った時に、刈払機の柄と刈り刃との間に形成される刈り取り空間に1度に刈り草が入ることがあり、そのために大量の刈り草の持ち回りに伴う抵抗が大となり刈刃の回転が停止することがある。刈払機の使用に不慣れな経験未熟な作業者の時に多く見られるが、作業者は慌てて困窮する場面も見られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平7−17019号公報
【特許文献2】実開昭48−69740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の様な従来の刈払機で雑草の刈り払いを行う場合、刈り取った草につる草等が混じっていると、つる草が刈り刃と本体部ケ−シング廻りに巻き付き、その巻き付き抵抗によって刈払機の刈り刃の回転が停止してしまうことがある。この様に刈り刃の回転が停止した場合は、刈り刃および本体部ケ−シング廻りに巻き付いた草を手で取り除くことになるが、巻き付いた草等を取り除くと抵抗が小さくなり、刈り刃が回転を再開した時に、気をつけていないと作業者が手などを負傷することもあり、巻き付いた草の排除には注意が必要であった。
【0007】
刈払機で草を刈り取する時、草の長さは短い、長い、茎桿の大小、柔らかい、堅い草等様々な条件の草がある。刈り取りに条件の良いのは、比較的短く、桿のしっかりした立ち姿勢の草は、刈刃の回転力だけで刈り取った切断草を刈刃の回転方向前方の回転半径の外側(刈刃が反時計回りに回転するときは刈刃の右側位置)に放出し排出することが出来る。
連続的な刈り取り作業をするためには、刈り取った切断草を刈刃の回転半径の外側に放出し排出しなければ、刈刃での連続的な刈り取りは不可能となる。
上記に説明したように、刈り刃と本体部ケ−シング廻りに刈草が巻き付きその抵抗によって刈払機の刈り刃の回転が停止してしまうことがある。刈草の条件が多少悪くなってもこの様な状態が起きるのを防ぐ必要がある、特に長い草を刈り取りする時に巻き付き現象が発生し易いが、この巻き付き現象は刈り取った瞬間の刈草の放出力の不足から起こることが主原因であり、この主原因を如何に解決して刈り取った瞬間の刈草の放出力を上げるかが課題である。
【0008】
一般的に、刈払機作業は長時間使用されることが多く、例えば特許文献1のように巻き付き防止体を採用したとしても、刈り取り作業の進行につれて巻き付き防止体の排出面の摩耗や変形(凹凸)が出来ることとなり、この摩耗や変形(凹凸)の発生現象が起きると刈り取られた草の放出が悪くなり、その結果巻き付き現象が発生し易くなって連続作業が困難となる傾向が誘因される。このように、刈り取られた草の放出が悪くなると本体部ケ−シング廻りに巻き付きが起こることもある。このような事情から、巻き付き防止体の排出面は摩耗しない材質を備えることも必要であり、茲に本発明が解決しようとする課題がある。
【0009】
又、刈払機の刈り作業場所は石が多い中でも使用されることが多く、刈り草による巻き付き防止対策が必要であると共に、この巻き付き防止対策を構成するものは構成簡単で軽量なものが望まれ、しかも石等との衝突強度にも耐える対策が必要であり、巻き付き防止対策によって刈払機の刈り刃の回転が常に円滑であれば消費馬力が軽減され、更に効果が倍増される。茲に本発明が解決しようとする課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述の課題解決のために、第一に、基端部にエンジンを配設した柄の先端部に本体部ケ−シングを固設し、該本体部ケ−シングに内装された回転軸に刈り刃を受け止め支持して回転する回転受け具と刈り刃を押圧挟持する締め付け具で固定され、回転受け具と締め付け具の間に刈刃が挟み止められている刈払機において、該刈り刃の上面側に位置させて、刈草を刈り刃の回転方向前方側に押し出して刈り刃の刈り取り軌跡外周の外側に排出促進させる排出面を有する巻き付き防止体を配設構成し、該巻き付き防止体を、刈刃と同体で高速回転させて刈払機への刈草の巻付きを防止していることを特徴とする刈払機にしたものである。
【0011】
第二に、基端部にエンジンを配設した柄の先端部に本体部ケ−シングを固設し、該本体部ケ−シングに内装された回転軸に刈り刃を受け止め支持して回転する回転受け具と刈り刃を押圧挟持する締め付け具で固定され、回転受け具と締め付け具の間に刈刃が挟み止められている刈払機において、該回転受け具と刈り刃の間に位置させて、刈草を刈り刃の回転方向前方側に押し出して刈り刃の刈り取り軌跡外周の外側に排出促進させる排出面を有する巻き付き防止体が挟み止め構成され、該巻き付き防止体を、刈刃と同軸で高速回転させて刈払機への刈草の巻付きを防止していることを特徴とする刈払機にしたものである。
【0012】
第三に、巻き付き防止体は、平面視で円盤部より外方に放射方向に突出する羽根状の排出羽根体を設け、該排出羽根体の排出面の角度を回転方向の後方にやや後退させる後退角を有する形態にして、排出面の厚さは8〜15mmに構成する共に、刈刃先端の刈り取り軌跡円周とほぼ同外径の排出軌跡を有するようにして円盤部に等間隔に設けられる排出面は4個で構成されることを特徴とする刈払機にしたものである。
【0013】
第四に、巻き付き防止体の排出面は、排出羽根体の外周側と回転方向前進側を覆う形態で装着されて排出羽根体を保護する耐摩耗性部材からなる排出補強体の回転方向前面に形成され、排出補強体は排出羽根体に一体固定されることを特徴とする刈払機にしたものである。
【0014】
第五に、巻き付き防止体は、平面視で円盤部より外方に放射方向に突出する羽根状の排出羽根体を設け、該排出羽根体の排出面の角度を回転方向の後方にやや後退させる後退角を有する形態にして、排出面の厚さは8〜15mmに構成する共に、刈刃先端の刈り取り軌跡円周より5〜20mm同外径より小さめにし、円盤部外周から排出面に至る排出誘導面を有するようにして円盤部に等間隔に設けられる排出面は4個で構成され、排出羽根体に孔をそれぞれに設け、刈り刃と巻き付き防止体をボルトとナットで締め付けられることを特徴としたものである。
【0015】
第六に、巻き付き防止体は、平面視で円盤部より外方に放射方向に突出する羽根状の排出羽根体を設け、該排出羽根体の排出面の角度を回転方向の後方にやや後退させる後退角を有する形態にして、排出面の厚さは8〜15mmに構成する共に、刈刃先端の刈り取り軌跡円周より5〜20mm同外径より小さめにし、円盤部外周から排出面に至る排出誘導面を有するようにして円盤部に等間隔に設けられる排出面は4個で構成され、それぞれの排出羽根体の裏側に取付板を溶接し、排出羽根体と取付板で刈り刃を挟む構造にしたことを特徴とする。
【0016】
第七に、巻き付き防止体は、平面視で円盤部より外方に放射方向に突出する羽根状の排出羽根体を設け、該排出羽根体の排出面の角度を回転方向の後方にやや後退させる後退角を有する形態にして、排出面の厚さは8〜15mmに構成する共に、刈刃先端の刈り取り軌跡円周より5〜20mm同外径より小さめにし、円盤部外周から排出面に至る排出誘導面を有するようにして円盤部に等間隔に設けられる排出面は4個で構成され、巻き付き防止体と刈り刃が一体成形で構成されることを特徴とする。
【0017】
第八に、巻き付き防止体は、平面視で円盤部より外方に放射方向に突出する羽根状の排出羽根体を設け、該排出羽根体の排出面の角度を回転方向の後方にやや後退させる後退角を有する形態にして、排出面の厚さは8〜15mmに構成する共に、刈刃先端の刈り取り軌跡円周より5〜20mm同外径より小さめにし、円盤部外周から排出面に至る排出誘導面を有するようにして円盤部に等間隔に設けられる排出面は4個で構成され、且つ、巻き付き防止体と刈り刃は別体で構成され、巻き付き防止体の中央部下面は巻き付き防止体の外周下端より2〜5mm浅く構成され、刈り刃と巻き付き防止体をナットで締め付けた時、押圧部があるので刈り刃が反る程度に締め付けられる、巻き付き防止体の外周下端と刈り刃の接点には隙間が生じないように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
刈り刃と本体部ケ−シング廻りに草の巻き付きが発生すれば、エンジンが作動していてもトルクリミッターの作用で刈り刃の回転が停止する、巻き付きを取る作業が発生、その結果取り除きの為の手間が掛かり刈り取り作業の能率が損なわれることになる。刈払機の巻き付きを取ったりする作業が不要となれば作業効率が向上することとなり、作業者の負担も少なくなる。本体部ケ−シング部への巻き付き防止対策は刈り取られた草が刈刃の回転半径の外側に刈り取り瞬時に放出し排出されることである。
【0019】
上記に説明した本発明の課題を解決するための手段による、巻き付き防止体の働きで本体部ケ−シング部に草の巻き付きがなくなる、刈払機の刈り刃の回転を停止したり、刈り草の巻き付きを解消するために、巻き付いた刈草を取ったりすることが不要となり、作業者の負担軽減と刈り取り作業効率が向上する。
巻き付いた草を手で取り除く時、巻き付きが多い時には、刈払機の柄に装着されている肩掛け用の携帯用バンドを取り外してから回転刃の所に行って取り除く必要がある。取り除きの時間も、更に取り除き作業は非常に煩わしく、その上に草刈り時期は夏の炎天下での作業、取り除きは想像以上に苦痛である。この作業がなくなることの実用的効果は非常に大きい。
従来機では刈り取り条件の悪い時には度々本体部ケ−シング部に草の巻き付きが発生し、危険な思いをし、取り除きの為に煩わしい作業をしていたが、このことがなくなることで非常に喜ばれる。
【0020】
また、本体部ケ−シング廻りに刈払機作業で巻き付きのない構造は、刈り取られた草が刈刃の回転半径の外に刈り取り瞬時に放出し排出されることが基本であり、その解決手段は巻き付き防止体を設けることで排出力がアップする。巻き付き防止体は刈刃と同軸で高速回転させ、巻き付き防止体の構造は排出羽根体の外周側と回転方向前進側を覆う形態で装着される排出補強体を設け、排出補強体に排出面を設ける。排出面の角度をやや後退角に構成し、更に刈刃とほぼ同外径で厚さは8〜15mm程度、排出面は4個で構成される。
刈払機作業は長時間使用され、稲作における畦草刈りは草の生長が早いので年間同じ所を6回も刈り取りをすることになる。草の根本は非常に堅く、巻き付き防止体には、耐摩耗性が必要で巻き付き防止体の先端部に設けられる排出羽根体は樹脂に耐摩耗性に強い金属素材S45Cを一体的に樹脂成形されて特殊な構造で形成される。
【0021】
巻き付き防止体の作用原理は刈り取られた草が刈り刃の回転半径の外に刈り取り瞬時に放出し排出される、即ち刈り刃の上に切断草がない、だから大幅な放出力アップが出来る。
この働きで刈り取り作業中にエンジンの回転ダウンが半減、更に青々と繁茂した草を刈払機の能力以上に刈り取った時、刈り取り空間に1度に刈り草が入りこみ、抵抗が大となり刈刃の回転が低下することがある、その様な状態でも巻き付き防止体の働きで巻き付きもなく、巻き付かないから抵抗もなく、エンジンの回転ダウンも非常に少なく能率もダウンしない。
【0022】
刈払機の作業は長時間使用される、畦草刈りは草の生長が早いので稲作には年間同じ所を6回も刈り取りをする、草の根本は非常に堅く、耐摩耗性が必要で巻き付き防止体の先端部は特殊な構造で形成され、刈払機の寿命一杯耐久出来る部品にして交換なし構造にしたので、作業者も安心出来る。
【0023】
草刈りは長時間作業で刈り払い機が重いと疲労が多い、巻き付き防止体2B、2C型は薄い鉄板製で軽く、更に刈り刃の半径より8〜15mm小さい、刈り取り田面は石が多い、半径が小さいと石に当たる確立が少ないことがテストの結果判明した。
巻き付き防止体2B、2C型の円盤部は刈り刃から見て凸状で形成しているために、円盤部にゴミが溜まらない。
【0024】
図21の構造では巻き付き防止体と刈り刃が1体成形で構成されるので、より1層軽くなる為に、作業者の疲労が少なくなり、巻き付き防止体と刈り刃が1体であり取り付けも容易、更に別体構造よりコストも安価になる。
【0025】
図23,24,25の構造で巻き付き防止体と刈り刃は別体で、巻き付き防止体はステンレス製で耐久性に優れ、刈り刃は刈り取り時に草と泥、石等を同時に刈り取るので耐久性が短い、部品交換は巻き付き防止体は3倍位耐久性があるので経済的である。
巻き付き防止体の構造で中央部は刈り刃上面より2〜5mm浅く構成され、刈り刃と巻き付き防止体をナットで締め付けた時、刈り刃が反る程度に締め付けられる、巻き付き防止体と刈り刃の接点は強力な力で締め付けられるので、隙間はない、円盤部外周と刈り刃との間に草等の巻き込みがなくなり、消費馬力の軽減化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】刈払機を使用している状態を示す概略の正面斜面図である。
【図2】本発明第一実施形態の要部を示す平面図である。
【図3】本発明第一実施形態の要部を示す側断面図である。
【図4】本発明第一実施形態の巻き付き防止体を示す平面図である。
【図5】本発明第一実施形態の刈り刃と巻き付き防止体の斜面図である。
【図6】本発明第一実施形態の巻き付き防止体の正面図である。
【図7】同上巻き付き防止体の要部を示す拡大斜視図である。
【図8】図7の樹脂成形前の状態を想像して示す分解斜視図である。
【図9】本発明第一実施形態の排出補強体の平面図である。
【図10】本発明第一実施形態の排出補強体の背面図である。
【図11】本発明第二実施形態の巻き付き防止体の側面図である。
【図12】同上巻き付き防止体の平面図である。
【図13】同上巻き付き防止体の取り付け要部を示す側断面図である。
【図14】同上巻き付き防止体の取り付け平面図である。
【図15】本発明第三実施形態の巻き付き防止体の側面図である。
【図16】同上巻き付き防止体の平面図である。
【図17】同上巻き付き防止体の取り付けを示す側面図である。
【図18】同上巻き付き防止体の取り付けを示す平面図である。
【図19】同上巻き付き防止体の取り付け課程を示す参考平面図である。
【図20】同上取付板の斜面図である。
【図21】本発明第四実施形態の巻き付き防止体と刈り刃1体構造の側断面図である。
【図22】本発明第四実施形態の巻き付き防止体と刈り刃1体構造の平面図である。
【図23】本発明第五実施形態の巻き付き防止体の押圧部と刈り刃の締め付け構造の平面図である。
【図24】図23のY―Y断面図である。
【図25】図23のZ−Z断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施形態に関する図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1〜図10に本発明の第一実施形態を示す。説明する図1は、基端部にエンジン12を取り付けた刈り払い機11の主棹から構成される柄4の先端に設けられている回転型の十字羽根型の刈り刃であり、該刈り刃1は、柄4の先端部に本体部ケ−シング3を固設し、該本体部ケ−シング3に内装された回転軸5の動力を受けて回転する。刈り刃1への動力の伝達は、エンジン12からトルクリミッター(図示せず)を介して伝導軸20に伝達され、伝導軸20先端のベベルギヤ−A21と回転軸5の上端に設けたベベルギヤ−A22が噛み合いし、回転軸5を駆動する。
【0028】
そして、回転軸5にスプライン23で結合して刈り刃1を受け止め支持して回転する回転受け具6の軸首部24に、刈り刃1の孔部を嵌装してナット19の締め付け力で回転受け具6側に押圧して挟持する円盤状の締め付け具7で固定されている。このように、回転受け具6と締め付け具7との間に刈刃1が挟み止められている形態を前提に構成した刈払機において、本発明は、前記回転受け具6と刈り刃1の間に位置させて、切断した刈草14を刈り刃1の回転方向前方側に押し出して刈り刃1の刈り取り軌跡外周の外側に排出促進させる排出面10Aを有する巻き付き防止体2Aが回転受け具6の軸首部24に嵌装されて挟み止め構成され、該巻き付き防止体2Aを、刈刃1と同軸で一体的に高速回転させて刈払機への刈草の巻付きを防止している。
【0029】
図2は本発明の要部を示す平面図である、刈刃1が十字羽根型の4枚刃の場合は巻き付き防止体2Aと刈刃1との関係位置は図2の様に巻き付き防止体2Aの十字羽根の中間に刈刃1が固定される。刈刃1が4枚刃の場合は巻き付き防止体2Aも十字羽根型に構成して図2、図5に示される様にピン状の位置ガイド25を設ける、刈刃1には位置ガイド孔26を設けて、位置ガイド25を位置ガイド孔26に合わせて固定する。
刈刃1が丸鋸刃構造の場合には、巻き付き防止体の位置固定は特定しない。
【0030】
巻き付き防止体2Aは、刈刃1と回転軸5で同軸高速回転をさせる、通常の刈り取り作業ではエンジン12の回転数は5000rpm以上で作業をする、理由は高速回転にしたほうが刈り取り時に負荷馬力が低いからである。
巻き付き防止体2Aは、平面視で円盤部8Aより外方に放射方向に突出する羽根状の排出羽根体9Aを設け、該排出羽根体9Aの排出面10Aの角度を回転方向の後方にやや後退させる約8度位の後退角αを有する形態にして、排出面10Aの厚さtは8〜15mmに構成する共に、刈刃1先端の刈り取り軌跡円周とほぼ同外径の排出軌跡を有するようにして円盤部8より外方に十字形に突出して等間隔に設けられる排出面は4個で構成される。
【0031】
排出面10Aの厚さtは8〜15mmに構成するもので、実験例では厚さ9mmで確認した。厚さを9mmにする根拠は刈刃1で切断された切断草14は、切断瞬時に排出しないと刈り取りが継続出来ないものであり、厚さが9mm以上になると瞬時に排出される。この寸法は実験により出た寸法である。
排出面10Aは4個で構成される、排出面10Aが4個で構成されるのは、刈刃1で刈り取られた切断草14の切断瞬時量の適切量があることが判明、適切量は実験の結果で4枚が最適であった。
厚さが9mm以上になると瞬時に排出されるもので、8mm以下では厚さが薄いと排出力が弱くなり、刈り取り瞬時量を排出することが出来ないことが実験の結果判明し、9mm基準で許容を見て最低8mm位とした。又15mm以上になると抵抗が大きくなりすぎて排出効果が低下するものであり、8〜15mm程度が最適である。
【0032】
巻き付き防止体2Aの排出面10Aは、排出羽根体9Aの外周側と回転方向前進側を覆う形態で装着されて排出羽根体9Aを保護する耐摩耗性部材からなる排出補強体10の回転方向前面に形成され、排出補強体10は排出羽根体9Aに一体成形される。そして、排出補強体10は先部抜け止め突起10Bと基部抜け止め突起10Cを持ち、排出体補強体10は耐摩耗性部材である金属素材S45Cの鍛造品で成形、先部抜け止め突起10Bと基部抜け止め突起10Cは巻き付き防止体2Aの素材が樹脂成型であり、樹脂成形時に先部抜け止め突起10Bと基部抜け止め突起10Cを同時に内蔵して成形するので、排出体補強体10の結合力は強く脱落する恐れがない。
【0033】
図21と図22の構造では巻き付き防止体8Dと刈り刃1が1体構造で構成される。すなわち、プレス成形等で平面巴型に成型されている巻き付き防止体8Dを、摩擦溶接やスポット溶接などで刈り刃1に1体的に溶着して形成される。
【実施例】
【0034】
本発明の刈払機による作業の方法と、刈草の放出作用を具体的に説明する。
刈払機の使用場所は平面、傾斜面、草の長短等様々な条件下で使用される、そこであらゆる条件下でも使用に耐える必要がある、刈払機はとても便利な機械である為に、経験未熟もしくは未経験の人が使用することも多い。経験未熟もしくは未経験者が使用する時に1番困るのが、本体部ケ−シング部3に切断草14の巻き付きが発生することである。
巻き付きが時々発生するので取り除く必要がある、経験未熟もしくは未経験の人が使用するとその頻度が高くなる、そうなるとエンジンを完全に止めないで取り除こうとする為に怪我をする恐れがあり、巻き付きのない機械が求められる。
【0035】
つる草などが少なく刈り草が短くて直立しているなどの条件の良い時の刈り取りは刈刃1の回転力で切断草14が放出され巻き付きは殆どない、反面柔らかくて長い草やつる草が多いところなどの条件が悪い場所では巻き付きが発生しやすい。
条件が悪い時は消費馬力が多くなるためにエンジン回転が低下する、そうすると放出力(回転力)が弱くなり切断草14が刈り刃1と柄4、飛散防止体18で形成される刈り取り空間16に溜まり、飛散防止体18があるので排出されない、その結果本体部ケ−シング部3に巻き付きが発生する。刈刃1の厚さは1.6mm程度であり放出力が弱い。
草丈が10cm以上の場合の刈刃1の切断メカニカルを説明すると、刈刃1は刈り取り時に切断と放出、排出を同時に3つの作用をすることになる、切断瞬時に切断草14は刈刃1から上の方に浮き離れ運動軌跡をする、切断草14は下部に切断による未刈草が残っているので下部には運動出来ない、従って上の方に浮き離れ運動軌跡をした切断草14の放出、排出は次の工程時に刈り取られた切断草14で排出されることになり、放出力はない、放出力がないので押し出し放出となる。
そのためにエンジン12の回転が低下すると刈り取り空間16に溜まりやすくなり、切断草14の逃げ場がなくなり本体部ケ−シング部3に巻き付きが発生する。巻き付きが起こるので取り除かねばならない。
草丈が10cm以下の場合の刈刃1の切断メカニカルを説明すると、切断瞬時に切断草14は刈刃1から上の方に浮き離れ運動軌跡をする、切断草14が短いので刈り取り空間16を占める容積が少ないので、溜まり現象は発生しない、もう1つは草丈が短いのでエンジン12の回転低下が殆どない、この2つから。草丈が10cm以下では刈り取り空間16に溜まりがなく、巻き付きはない。
【0036】
そこで放出力をUPし排出力も上げて巻き付きをなくす、巻き付き防止体2Aは厚さが9mmに設定、実験の結果巻き付きがなくなった、刈り刃1の厚さが1.6mmの約6倍、放出力即ち排出力のUPが出来たので常時放出されるので刈り取り空間16に溜まりがなく刈り取り量より放出力、排出力が上廻った為に詰まりがない、エンジン低下した時も巻き付きがない、実験の結果この様な論理が証明された。
【0037】
図11〜図14に本発明第二実施形態の巻き付き防止体を例示して説明する。巻き付き防止体2Bは軽量化のためにプレスで絞り成形した薄い鉄板製で、断面形状は図11に示されるようにカニ甲羅形態の皿殻状に円盤部8Bが形成され、十字形の排出羽根体9Bは刈り刃上面から凸形状、中央部33は刈り刃に密着した凹陥没形状、図13の回転受け具6の軸首部24へのセットは基本的には第一実施形態の図3と同様であるが、巻き付き防止体2Bを上部に刈り刃1を下部に重ねてセットして、締め付け具7とナット19で締め付ける、セット時に巻き付き防止体2Bは薄い鉄板製で軽くセットがやり易い。また、軽いために刈り払い作業も労力軽減して円滑にできる。
排出羽根体9Bは円盤部外周35と排出面10Aで形成される円盤部外周から排出面に至る排出誘導面(X)を有する部分の排出面厚さtを8〜15mmで構成されているから、切断草14の排出が完全に行われる。
上記第二実施形態の巻き付き防止体2Bの外周径は、刈刃1先端の刈り取り軌跡円周より5〜20mm小さいので、刈り取り地面は石が多いことがあっても巻き付き防止体2Bへの石の衝突回数が非常に少ない。
市場販売されている丸鋸刃構造の刈り刃1には重量軽減のために円周部に多数の孔34が穿けられているものがある。この場合には、巻き付き防止体2Bの排出羽根体9Bに長孔30を設け、この長孔30を刈り刃の孔34に合わせて、ボルト31を通して、ボルト31とナット32で刈り刃1に巻き付き防止体2Bを一体的に先端部締め付けすると排出羽根体9Bの強度が強い。
【0038】
図15〜図19に本発明第三実施形態の巻き付き防止体を例示して説明する。前記第二実施形態の巻き付き防止体2Bに比較して、第三実施形態の巻き付き防止体2Cとの相違点は刈り刃が第二実施形態は丸鋸刃構造のものに対して、第三実施形態のものは十字羽根型の4枚刃であるという形態で刈り刃1が違う為に、刈り刃1の固定方法が巻き付き防止体2Bではボルト固定、巻き付き防止体2Cでは取付板40で固定する。その他は同一である。
巻き付き防止体2Cは軽量化のために薄い鉄板製で、断面形状は図17で円盤部8C、排出羽根体9Cは刈り刃から凸形状、中央部33は刈り刃に密着した形状、図13の回転受け具6の軸首部24へのセットは巻き付き防止体2Cを上部に刈り刃1を下部に重ねてセット、締め付け具7とナット19で締め付ける、セット時に巻き付き防止体2Cは薄い鉄板製で軽くセットがやり易い。
排出羽根体9Cの円盤部外周35と排出面10Aで形成される円盤部外周から排出面に至る排出誘導面(X)を有する部分の排出面厚さtを8〜15mmで構成されているから、切断草14の排出が円滑に行われる。
刈刃先端の刈り取り軌跡円周より5〜20mm小さいので、刈り取り田面は石が多いが石の接触回数が非常に少ない。
市場販売の刈り刃1は図18の様な十字型形状で、巻き付き防止体2Cの裏側に補強板40を溶着し、刈り刃内径面42に挟み込む、この形態で巻き付き防止体2C型の排出羽根体9C部の強度が強くなる。
すなわち、上記取付板40は、その裏面41を巻き付き防止体2Cに突設されるそれぞれの排出羽根体9Cの裏側にスポット溶接で溶着されている。
この取付板40は、取付板の段差部43と刈り刃1の刈刃内径面42との間に融通部Sが形成されており、段差部43を刈り刃内径面42に接当させた時に、反対側に位置する取付板40の遊端部44が刈り刃内径面42から外れる関係に設定されており、これにより刈刃1に対して巻き付き防止体2Cを適宜に人為的にスライドさせながら、取付板40を利用して差し込み固定するものである。取付板40の遊端部44は刈刃1の裏面側に密着して圧着する構成とされており、取り付けた後の作業状態では不測にずれる恐れがないものである。
【0039】
図21と図22の構造では巻き付き防止体8Dと刈り刃1がプレス加工等により1体成形で構成される。この場合には一体であるが故に軽い構成になること、がたつきの生じる恐れがないことなどで刈り刃の回転が常に円滑にできて、刈り払い作業がさらにスムースに効率よく遂行できる利点がある。
【0040】
図23〜25の構造では巻き付き防止体2Eと刈り刃1は別体で構成され、巻き付き防止体2Eの中央部下面46は巻き付き防止体2Eの外周部下端の接点47(刈り刃上面48より)2〜5mm浅く押圧部45に構成され、刈り刃1と巻き付き防止体2Eをナット19で締め付けた時、押圧部45があるので刈り刃がその弾力に抗して反る程度に締め付けられる、巻き付き防止体2Eと刈り刃1の接点47は強力な力で締め付けられるので、接点47には隙間はない、円盤部外周35と刈り刃1との間に草等の巻き込みがなくなり、消費馬力の軽減化が図られる。
平面視で円盤部8Eより外方に放射方向に突出する羽根状の排出羽根体9Eを設け、該排出羽根体9Eの排出面10Eの角度を回転方向の後方にやや後退させる後退角を有する形態にして、排出面10Eの厚さは8〜15mmに構成する共に、刈刃1先端の刈り取り軌跡円周より5〜20mm同外径より小さめにし、円盤部8E外周から排出面10Eに至る排出誘導面Xを有するようにして円盤部8Eに等間隔に設けられる排出面は4個で構成される。
図24は図23の断面Y−Yで、図25は図23の断面Z−Zである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明は、雑草の刈り取り等に使用される刈払機に利用される。
【符号の説明】
【0042】
1 刈り刃
2A 巻き付き防止体
2B 〃
2C 〃
2D 〃
3 本体部ケ−シング
4 柄
5 回転軸
6 回転受け具
7 締め付け具
8A 円盤部
8B 〃
8C 〃
8D 〃
9A 排出羽根体
9B 〃
9C 〃
9D 〃
10 排出補強体
10A 排出面
10B 〃
10C 〃
10D 〃
11 刈り払い機
13 草
14 切断草
15 携帯用バンド
16 刈り取り空間
17 放出羽根角度
18 飛散防止体
30 孔
31 ボルト
35 円盤部外周
40 取付板
45 押圧部
46 中央部下面
47 接点
X 排出誘導面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部にエンジンを配設した柄の先端部に本体部ケ−シングを固設し、該本体部ケ−シングに内装された回転軸に刈り刃を受け止め支持して回転する回転受け具と刈り刃を押圧挟持する締め付け具で固定され、回転受け具と締め付け具の間に刈刃が挟み止められている刈払機において、該刈り刃の上面側に位置させて、刈草を刈り刃の回転方向前方側に押し出して刈り刃の刈り取り軌跡外周の外側に排出促進させる排出面を有する巻き付き防止体を配設構成し、該巻き付き防止体を、刈刃と同体で高速回転させて刈払機への刈草の巻付きを防止していることを特徴とする刈払機。
【請求項2】
基端部にエンジンを配設した柄の先端部に本体部ケ−シングを固設し、該本体部ケ−シングに内装された回転軸に刈り刃を受け止め支持して回転する回転受け具と刈り刃を押圧挟持する締め付け具で固定され、回転受け具と締め付け具の間に刈刃が挟み止められている刈払機において、該回転受け具と刈り刃の間に位置させて、刈草を刈刃の回転方向前方側に押し出して刈り刃の刈り取り軌跡外周の外側に排出促進させる排出面を有する巻き付き防止体が挟み止め構成され、該巻き付き防止体を、刈り刃と一体的にして同軸で高速回転させて刈り刃への刈草の巻付きを防止していることを特徴とする刈払機。
【請求項3】
巻き付き防止体は、平面視で円盤部より外方に放射方向に突出する羽根状の排出羽根体を設け、該排出羽根体の排出面の角度を回転方向の後方にやや後退させる後退角を有する形態にして、排出面の厚さは8〜15mmに構成する共に、刈刃先端の刈り取り軌跡円周とほぼ同外径の排出軌跡を有するようにして円盤部に等間隔に設けられる排出面は4個で構成されることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の刈払機。
【請求項4】
巻き付き防止体の排出面は、排出羽根体の外周側と回転方向前進側を覆う形態で装着されて排出羽根体を保護する耐摩耗性部材からなる排出補強体の回転方向前面に形成され、排出補強体は排出羽根体に一体固定されることを特徴とする請求項1ないしは請求項3記載の刈払機。
【請求項5】
巻き付き防止体は、平面視で円盤部より外方に放射方向に突出する羽根状の排出羽根体を設け、該排出羽根体の排出面の角度を回転方向の後方にやや後退させる後退角を有する形態にして、排出面の厚さは8〜15mmに構成する共に、刈刃先端の刈り取り軌跡円周より5〜20mm同外径より小さめにし、円盤部外周から排出面に至る排出誘導面を有するようにして円盤部に等間隔に設けられる排出面は4個で構成され、排出羽根体に孔をそれぞれに設け、刈り刃と巻き付き防止体をボルトとナットで締め付けられることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の刈払機。
【請求項6】
巻き付き防止体は、平面視で円盤部より外方に放射方向に突出する羽根状の排出羽根体を設け、該排出羽根体の排出面の角度を回転方向の後方にやや後退させる後退角を有する形態にして、排出面の厚さは8〜15mmに構成する共に、刈刃先端の刈り取り軌跡円周より5〜20mm同外径より小さめにし、円盤部外周から排出面に至る排出誘導面を有するようにして円盤部に等間隔に設けられる排出面は4個で構成され、それぞれの排出羽根体の裏側に取付板を溶接し、排出羽根体と取付板で刈り刃を挟む構造にした請求項1若しくは請求項2に記載の刈払機。
【請求項7】
巻き付き防止体は、平面視で円盤部より外方に放射方向に突出する羽根状の排出羽根体を設け、該排出羽根体の排出面の角度を回転方向の後方にやや後退させる後退角を有する形態にして、排出面の厚さは8〜15mmに構成する共に、刈刃先端の刈り取り軌跡円周より5〜20mm同外径より小さめにし、円盤部外周から排出面に至る排出誘導面を有するようにして円盤部に等間隔に設けられる排出面は4個で構成され巻き付き防止体と刈り刃が一体成形で構成される事を特徴とする請求項1に記載の刈払機。
【請求項8】
巻き付き防止体は、平面視で円盤部より外方に放射方向に突出する羽根状の排出羽根体を設け、該排出羽根体の排出面の角度を回転方向の後方にやや後退させる後退角を有する形態にして、排出面の厚さは8〜15mmに構成する共に、刈刃先端の刈り取り軌跡円周より5〜20mm同外径より小さめにし、円盤部外周から排出面に至る排出誘導面を有するようにして円盤部に等間隔に設けられる排出面は4個で構成され、且つ、巻き付き防止体と刈り刃は別体で構成され、巻き付き防止体の中央部下面は巻き付き防止体の外周下端より2〜5mm浅く構成され、刈り刃と巻き付き防止体をナットで締め付けた時、押圧部があるので刈り刃が反る程度に締め付けられ、巻き付き防止体の外周下端と刈り刃の接点には隙間が生じないように構成したことを特徴とする請求項2に記載の刈払機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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