説明

制御ユニット、並びに、熱源装置

【課題】本発明は、リモコン線と制御基板を電気的に接続する作業の効率化を図りつつ、製造コストの減縮を図ることができる制御ユニット、並びに、熱源装置を提供することを目的とした。
【解決手段】制御ユニット8は、ケース12と給湯制御基板13と固定端子7を有する。ケース12は、仕切壁24が設けられ、端子配置領域23と基板配置領域21に分割されている。端子配置領域23には、端子設置部6がケース12に一体的に設けられており、導電性の板部材5が、端子設置部6と給湯制御基板13に跨って配置されている。板部材5は、基板配置領域21において、給湯制御基板13と電気的に接続されると共に、端子配置領域23において、固定端子7と電気的に接続される。これにより、給湯制御基板13と端子設置部6とが電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器本体を遠隔操作するリモコン装置と接続される制御ユニットに関するものである。また、本発明は、その制御ユニットを備えた熱源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、給湯器等の熱源装置には、利便性の観点から、遠隔の場所からでも操作可能なリモコン装置が備えられている。
この種の熱源装置は、熱源機本体に加熱動作を制御する制御基板が備えられ、その制御基板に導通する端子台に設けられた固定側端子(ネジ等)に、リモコン装置から延びた電装線(リモコン線)を接続する構成とされている。即ち、施工現場において、リモコン線を熱源機本体に引き込み、端子台にネジ止めする配線作業を行うことで、リモコン装置が熱源機本体と電気的に接続される。
【0003】
この配線作業について、より具体的に説明すると、熱源機本体のケーシング内部を露出させた状態(ケーシングの前面側に位置する蓋部を取り外した状態)で、リモコン装置から延ばしたリモコン線を、当該ケーシングの底部に設けられた電装線用の孔に挿通し、当該リモコン線の接続端子をケーシングの内部に引き込む。そして、蓋部を取り外したケーシングの前面側から、ケーシングの内部に引き込んだリモコン線の接続端子を、ドライバ等の工具によって、ネジ等を介して端子台に接続する。このとき、作業者は、端子台において、熱源機本体に配された制御基板と電気的に接続された電装線(リード線)の接続端子と、リモコン線の接続端子とを共締めする。
例えば、特許文献1には、端子台において、リモコン線とリード線の接続端子を共締めして、リモコン装置と熱源機本体とを電気的に接続する給湯器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−292005号公報
【特許文献2】特開2001−153455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記したような熱源装置においては、リモコン線とリード線との接続端子を共締めする作業に手間が掛かり、作業者の作業効率を低下させていた。
その理由を以下に説明する。
【0006】
即ち、従来の熱源装置における配線作業の共締め工程は、まず、端子台において、ネジを緩めた状態にし、そのネジの頭部と端子台との間に、それぞれの接続端子を配する。このとき、作業者は、それぞれの接続端子が端子台から逸脱しないように、リモコン線とリード線を保持しなければならない。そして、作業者は、その状態を維持して、ネジを締め、双方の接続端子をネジの頭部と端子台とによって挟持させる。
【0007】
このように、従来技術においては、接続端子を共締めする際には、作業者が、リモコン線とリード線の接続端子を端子台に配してその状態を保持する作業と、ネジを締める作業を同時に行う必要があるため、作業に必要以上の時間が掛かり、作業効率を悪くする不満があった。
【0008】
また、この種の端子台は、一般的に、制御基板を収容する樹脂製のケースと一体成形されているため、ネジの螺合動作に対する耐久性が低い。即ち、端子台において、接続端子の接続のため、ネジを何度か緩めたり締め付けたりしていると、樹脂が削れて、ネジが端子台に螺合されなくなる。そのため、通常、端子台には、ネジの螺合動作に対する耐久性が高い金属製のナット(インサートナット)が設けられ、そのインサートナットにネジを螺合する構成とされている。
例えば、特許文献2にその技術が開示されている。
【0009】
しかしながら、このインサートナットは、製造コストを押し上げるため、できるならば使用を避けたいという要望があった。
【0010】
そこで、本発明では、従来技術の問題点に鑑み、リモコン線と制御基板を電気的に接続する作業の効率化を図りつつ、製造コストの減縮を図ることができる制御ユニット、並びに、熱源装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、リモコン線を接続する端子と、制御基板と、ケースとを有し、前記ケースは、前記端子が設けられる端子配置領域と、制御基板が配置される基板配置領域とに分割されている制御ユニットにおいて、導電性の板部材を有し、前記板部材は、前記端子配置領域と基板配置領域に跨って配置され、基板配置領域において、制御基板と電気的に接続されると共に、端子配置領域において、端子と電気的に接続されることを特徴とする制御ユニットである。
【0012】
本発明の制御ユニットは、制御基板が配置される基板配置領域と、端子が配置される端子配置領域とに分割されたケースにおいて、導電性の板部材をその双方の領域に跨って配し、その板部材が配された端子にリモコン線を接続して、当該リモコン線を制御基板に電気的に接続する構成である。即ち、本発明では、従来技術で要した制御基板と電気的に接続されたリード線は存在しないため、リモコン線とリード線の双方を保持した状態で、双方の接続端子を共締めする必要がない。より詳細に説明すると、本発明では、従来技術におけるリード線の導電機能を、板部材が果たしているため、例えば、その板部材を基板配置領域で固定しておけば、端子配置領域側の端子にリモコン線を接続する際に、リモコン線のみを保持した状態で端子への接続作業を行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0013】
また、導電性を有する部材は、一般的には金属が多く、鋼材等の剛性が高いものであれば、例えば端子としてネジ等の締結部材を採用した場合であっても、ネジ等の螺合動作に対する耐久性が期待できる。これにより、ケースがネジ等の螺合動作によって削れてしまったとしても、端子と板部材の間にリモコン線を接続しておけば、電気的な接続が維持される。したがって、本発明によれば、ネジ等の螺合動作を幾度となく行っても、ネジ等の締結力が期待できないというおそれが発生しない。結果的に、本発明では、ネジ等を端子として用いる場合であっても、従来技術で採用していたインサートナット等の被締結部材を要さないため、従来よりも製造コストを減縮することができる。
以上により、本発明によれば、リモコン線と制御基板を電気的に接続する作業の効率化を図りつつ、製造コストの減縮を図ることができる制御ユニットを提供することが可能である。
【0014】
請求項2に記載の発明は、端子配置領域と基板配置領域とを仕切る仕切壁を有し、前記板部材は、前記仕切壁を貫通して、あるいは、乗り越えて前記端子配置領域と基板配置領域に跨っていることを特徴とする請求項1に記載の制御ユニットである。
【0015】
ここで、制御基板が配置されるケースは、通常、防滴や防湿の観点から、箱形状とされている。一方、端子配置領域は、施工現場における作業の効率化の観点から、基板配置領域と分割することが望ましい。そこで、本発明では、端子配置領域と基板配置領域とを仕切る仕切壁を備えた構成を前提としている。
即ち、本発明の制御ユニットでは、端子と制御基板とを電気的に接続する板部材を、仕切壁を貫通するように設けたり、仕切壁の形状に沿って乗り越えるように設ける構成とされている。即ち、本発明は、従来よりある既存のケースの機能を確保した状態で、板部材の取り付けを可能とする。具体的には、基板配置領域においては、基板が確実に固定されてケースと相対的に移動してしまうことがなく、そのような機能を維持した状態で、板部材による制御基板との電気的接続を可能とするため、従来のケースよりも機能性が高い。換言すれば、ケースの構造を大幅に変更することなく板部材を採用できる構成に変更できるため、製造コストの増加をさせることなく、機能性の高い制御ユニットを提供することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、板部材は、端子配置領域と基板配置領域に跨って配置された状態を基準に、それぞれの領域にかかる部分に締結部が設けられ、当該締結部によって、板部材がケースに対して相対的に移動しないように固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の制御ユニットである。
【0017】
かかる構成によると、各領域にかかる部分に設けられた締結部によって、板部材をケースに対して相対的に移動しないように固定可能であるため、効率的な配線作業を実施可能である。即ち、本発明では、基板配置領域における締結部を締結状態にして、端子配置領域における締結部の締結状態を解除しても、板部材が所定の位置から逸脱することがないため、リモコン線の接続作業が容易である。
【0018】
請求項4に記載の発明は、板部材は、端子配置領域と基板配置領域に跨って配置された状態において、ケースに対して係合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の制御ユニットである。
【0019】
かかる構成によると、板部材が、端子配置領域と基板配置領域に跨って配置した状態において、ケースに対して係合されているため、板部材のケースからの脱落の可能性を低くできる。即ち、板部材がネジ等の端子を介して、ケースに固定される構成であった場合、ネジ等とケースとの締結力の低下により、板部材がケースから脱落する可能性があるが、板部材がケースに対して係合可能な構成とすることで、ネジ等とケースとの締結力の有無に関わらず、板部材がケースに対して係合している限り、板部材をケースに対して固定された状態を維持することができる。
また、従来技術であれば、ネジ等とケースとの締結力の低下を阻止する観点から、インサートナット等の被締結部材を採用するが、本発明においては、そのような被締結部材を用意する必要がないため、実質的に部品点数を減らせ、製造コストの低下に繋げることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、板部材は、屈曲して高低差を形成した段部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の制御ユニットである。
【0021】
2以上のリモコン装置を取り付ける場合、つまり2芯で1組のリモコン線を2組以上、端子に接続する場合、作業の効率化の観点から、端子が位置する部分を段状に形成した構成を備えたものがある。例えば、2芯1組のリモコン線を2組接続できる端子を用意する場合、高位置に異なる極性のA端子、B端子を配し、低位置にもA端子、B端子を配するといった具合のレイアウトにする場合がある。即ち、従来より、高位置のA、B端子に1組のリモコン線を接続し、低位置のA、B端子に別の1組のリモコン線を接続する構成を備えたものがある。なお、ここで言う「異なる極性」とは、極性がプラスの信号線と、極性がマイナスのGND線(グランド線)のことを意味している。
そこで、本発明では、そのような段状の形状に合わせて、制御基板側から同一の極性端子を振り分ける構造を備えたケースであっても、適応できる構成とした。
即ち、本発明の制御ユニットでは、板部材に段部が設けられ、その段部によって、同一極性の端子が位置する部分の段状に沿わせることができるため、既存のケースを有効利用しつつ、板部材を採用可能な構成とすることができる。即ち、本発明によれば、ケースの構造を殆ど変更する必要がないため、製造コストを押し上げることがない。
【0022】
請求項6に記載の発明は、板部材は、端子配置領域と基板配置領域に跨って配置された状態を基準に、基板配置領域から端子配置領域に向かって少なくとも1つの分岐片が分岐した分岐部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の制御ユニットである。
【0023】
2以上のリモコン装置を取り付ける場合、つまり2芯で1組のリモコン線を2組以上、端子に接続する場合、ケースのサイズやレイアウト等の観点から、端子が1列に並べられた構成を備えたものがある。例えば、2芯1組のリモコン線を2組接続できる端子を用意する場合、異なる極性のA端子、B端子が交互に配列されるといった具合のレイアウトにする場合がある。即ち、従来より、隣接するA、B端子に1組のリモコン線を接続し、残りのA、B端子に別の1組のリモコン線を接続する構成を備えたものがある。なお、ここで言う「異なる極性」とは、極性がプラスの信号線と、極性がマイナスのGND線(グランド線)のことを意味している。
そこで、本発明では、そのような条件に合わせて、制御基板側から同一の極性端子を振り分ける構造を備えたケースであっても、適応できる構成とした。
即ち、本発明の制御ユニットでは、板部材に分岐部から分岐する分岐片が設けられ、その分岐片によって、同一極性の端子が位置する部分に合わせることができるため、既存のケースを有効利用しつつ、板部材を採用可能な構成とすることができる。即ち、本発明によれば、ケースの構造の変更を要することが殆どないため、製造コストを押し上げることがない。
【0024】
請求項7に記載の発明は、板部材は、屈曲して高低差を形成した段部に分岐部を有するもので、2つの板部材を、互いに段部の高低が逆転する姿勢で、且つ、分岐部から分岐した分岐片同士が重なるように並べた場合、当該2つの板部材の分岐片同士が立体交差することを特徴とする請求項6に記載の制御ユニットである。
【0025】
かかる構成によると、1列に並べられた端子に、2以上の板部材を並設する場合であっても、隣接する板部材の段部同士を互いに高低が逆転する姿勢とし、分岐片同士を重なるように並べることで、隣接する板部材を接触させることなく、それぞれの端子に対して電気的に接続することができる。即ち、本発明によれば、形状が異なる板部材を要することなく、複数の組数のリモコン線を同時に繋ぐことができるため、板部材の導入コストを安価にすることができる。
【0026】
請求項8に記載の発明は、リモコン装置と、湯水又は熱媒体を加熱する加熱部と、加熱部の動作を制御する請求項1〜7のいずれかに記載の制御ユニットを有し、加熱部で加熱して昇温した湯水そのもの又は熱媒体の熱エネルギーを、外部に供給する機能を備えていることを特徴とする熱源装置である。
【0027】
本発明の熱源装置は、リモコン装置から延びたリモコン線を制御ユニットに効率的に接続する構成である。即ち、本発明では、制御ユニットが板部材を有し、その板部材をケースにおいて2分割された端子配置領域と基板配置領域とに跨って配し、端子と制御基板とを電気的に接続した構成とされている。これにより、リモコン線を端子に接続する際に、リモコン線のみを保持して接続作業を行うことができるため、作業効率が高い。
また、本発明では、板部材にネジ等の端子を螺合させることができるため、ネジ等の螺合動作により、端子と板部材との締結力が弱まる可能性が低い。即ち、本発明では、ネジ等を端子として用いる場合であっても、従来技術で採用していたインサートナット等の被締結部材を要さないため、従来よりも製造コストを減縮することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の制御ユニット、並びに、熱源装置では、制御ユニットのケースにおいて2分割された端子配置領域と基板配置領域とに跨って板部材を配置し、当該板部材によって制御基板と端子とを電気的に接続した構成とした。さらに、ネジ等の端子を、板部材に締結する構成とし、インサートナット等の被締結部材を不要とした。これにより、リモコン線の配線作業の効率化が図れ、さらに製造コストの減縮を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態を示す給湯装置の説明図である。
【図2】図1の給湯器本体に内蔵された制御ユニットの内部を概念的に示した平面図である。(第一実施形態)
【図3】図2の要部を拡大した分解斜視図である。
【図4】図3の板部材をC方向から示した斜視図である。
【図5】図2の要部を拡大した斜視図である。
【図6】図5に示す端子設置部と補助接続部と板部材を示すD−D断面図である。
【図7】制御ユニットの変形例を概念的に示した平面図である。(第二実施形態)
【図8】図7の要部を拡大した分解斜視図である。
【図9】図8の端子設置部をE方向から示した説明図である。(破線はネジ穴)
【図10】図7の要部を拡大した斜視図である。
【図11】図10に示す端子設置部と補助接続部と板部材を示すF−F断面図である。
【図12】制御ユニットのさらに別の変形例を概念的に示した平面図である。(第三実施形態)
【図13】図12の要部を拡大した分解斜視図である。
【図14】図12の要部を拡大した斜視図である。
【図15】図14に示す端子設置部と補助接続部と板部材を示すG−G断面図である。
【図16】補助接続部を省略した要部の構成を示す断面図である。(直接接続)
【図17】第二実施形態の仕切壁の変形例を示す分解斜視図である。(スライド孔)
【図18】第二実施形態の端子設置部の変形例を示す分解斜視図である。(独立挿通孔)
【図19】第二実施形態の端子設置部の別の変形例を示す断面図である。(独立部材)
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の第一実施形態に係る給湯装置(熱源装置)1について説明する。
本実施形態の給湯装置1は、図1に示すように、給湯器本体2と、その給湯器本体2を遠隔操作可能なリモコン装置3を備えた構成である。
【0031】
まず、給湯装置1の基本構成について説明するが、この基本構成については、公知のそれと同様であるため、簡単に説明する。
即ち、給湯器本体2は、燃料を燃焼する図示しない燃焼部(加熱部)と、図示しない給湯系統及び追いだき系統の湯水の流路とを有し、さらに図2に示す給湯制御基板13が内蔵された制御ユニット8とを有するもので、給湯系統を流れる湯水を燃焼部で生成された燃焼ガスで加熱する給湯運転(風呂への落とし込み運転含む)と、追いだき系統を流れる湯水を燃焼部で生成された燃焼ガスで加熱する追いだき運転とが、給湯制御基板13において制御される構成とされている。
【0032】
リモコン装置3は、図1に示すように、給湯器本体2に動作等の指令を発信可能な操作部30と、給湯器本体2の運転状況や各種設定情報等を表示する表示部31と、リモコン制御基板(図示しない)とを有するもので、操作部30における操作情報を、給湯器本体2に入力して所望の動作を制御したり、リモコン制御基板によって、操作部30で設定された設定情報や給湯器本体2から入力された運転状況の情報等を表示部31に表示する構成とされている。
なお、本実施形態では、台所用と浴室用の2台のリモコン装置3が用意されており、その2台のうち、一方のリモコン装置3aを親機リモコンとし、他方のリモコン装置3bを子機リモコンとしている。
【0033】
続いて、本実施形態の特徴的構成を備えた制御ユニット8について説明する。
本実施形態の制御ユニット8は、図2に示すように、外郭を形成するケース12と、給湯制御基板13及び電力供給手段15と、導通性を備えた板部材5と、固定端子7とで構成されている。
【0034】
給湯制御基板13は、公知のそれと同様の機能を有するもので、主に給湯器本体2の動作を司る制御部であり、リモコン装置3と電気的に接続されるものである。即ち、給湯制御基板13は、外部の機器等との電気的な接続を補助する2つの補助接続部16、17を有する。
補助接続部16、17は、図3に示すように、給湯制御基板13の上部表面であって縁端側に設けられた導通性を有した直方体の部材であり、補助接続部16、17のそれぞれが互いに異なる極性となるように設定されている。即ち、補助接続部16、17のそれぞれに、1つずつの板部材5が載置されると、それぞれの板部材5が異なる極性で給湯制御基板13と電気的に接続される。結果的に、本実施形態における補助接続部16、17は、端子が配される端子台とも言える。なお、ここで言う「異なる極性」とは、極性がプラスの信号線と、極性がマイナスのGND線(グランド線)のことを意味している。
【0035】
また、各補助接続部16、17には、上部から内部に向かって形成された有底状のネジ穴27、28が設けられており、このネジ穴27、28は、補助接続部16、17に載置された板部材5の位置を固定するための固定手段の一部としての機能を果たす。
なお、補助接続部16、17は、給湯制御基板13と一体でも別体でもよい。本実施形態では、補助接続部16、17は、給湯制御基板13と一体的となったものとして説明する。
【0036】
電力供給手段15は、公知のそれと同様の機能を有するもので、商用電源から供給される電力を給湯装置1を構成する各機器に供給するための電源機能を果たす部分である。
【0037】
ケース12は、2部材を合わせて形成される筐体であり、内部側には内部空間を複数に仕切る仕切壁24が設けられた構成とされている。そして、ケース12の内部空間は、その仕切壁24によって、大別して3つの領域に分割されている。
具体的には、前記2部材のうちの一方(以下、本体12aという)側に注目して説明すると、図2に示すように、仕切壁24は、本体12a側の上部側(図2の紙面手前側)の開放面と対向する底面(図2の紙面奥側)に立設した壁部である。そして、その壁部たる仕切壁24によって、給湯制御基板13が配される基板配置領域21と、電力供給手段15が配される電源配置領域22と、固定端子7が配される端子配置領域23とに分割されている。さらに、各領域の位置関係は、図2を基準に、基板配置領域21は左側に位置し、電源配置領域22はその基板配置領域21の右側に位置し、端子配置領域23は基板配置領域21の直下に位置した配置である。
なお、基板配置領域21及び電源配置領域22についての具体的な説明は、公知のそれと同様であるため省略する。
【0038】
本体12a側の端子配置領域23には、ケース12と一体的に成形された端子設置部6が設けられている。端子設置部6は、図3に示すように、階段状に形成された部分であり、基板配置領域21と端子配置領域23との間の仕切壁24(以下、基板・端子仕切壁24sという)側から、離反方向に段部が低くなる構成とされている。具体的には、本実施形態では、端子設置部6は、基板・端子仕切壁24sに隣接するように設けられ、基板・端子仕切壁24sに近い位置に配された高段部6aと、その高段部6aに隣接し高段部6aより基板・端子仕切壁24sから離反した位置に配された低段部6bを有する2段構造とされている。
【0039】
また、端子設置部6の上面46には、上部から内部に向かって形成された複数(本実施形態では4つ)の有底状のネジ穴40〜43が設けられている。ネジ穴40〜43は、高段部6aと低段部6bにそれぞれ設けられており、高段部6aの上面46aにおいては、基板・端子仕切壁24sに対して平行に並ぶように2つのネジ穴40、42が設けられ、低段部6bの上面46bにおいては、残りの2つのネジ穴41、43が、基板・端子仕切壁24sに対して平行に並ぶように設けられている。さらに、本実施形態では、高段部6aのネジ穴40と低段部6bのネジ穴41を結ぶ直線と、高段部6aのネジ穴42と低段部6bのネジ穴43を結ぶ直線が、ほぼ平行となる関係に設定されている。
【0040】
また、この端子設置部6の基板・端子仕切壁24sに対して平行な側面45には、上部から下方に向かって当該側面45に対して離反する形状、つまりテーパ形状を有した複数(本実施形態では6つ)の係合突部32〜37が設けられている。係合突部32〜37は、各側面45a〜45cの上端側に配されており、高段部6aには4つ、低段部6bには2つ設けられている。より具体的には、高段部6aの側面45aにおいては、係合突部32、35が同一の高さに配され、高段部6aの側面45bにおいては、係合突部33、36が同一の高さに配され、低段部6bの側面45cにおいては、係合突部34、37が同一の高さに配されている。さらに、本実施形態では、高段側6aの係合突部32、33と低段部6bの係合突部34が同一の直線上に配列され、高段側6aの係合突部35、36と低段部6bの係合突部37が同一の直線上に配列されている。
【0041】
さらに、本実施形態においては、端子設置部6は、高段部6aと低段部6bに渡って上面46から立設した中央壁47を有する。中央壁47は、基板・端子仕切壁24sに対して直交方向に並べられたネジ穴40〜43あるいは係合突部32〜37の間に位置し、且つ、基板・端子仕切壁24sに対して直交する方向に延びた壁部である。即ち、端子設置部6の上面46は、中央壁47によって2つの領域に分断されている。
【0042】
本実施形態における板部材5は、導電性を有する金属(本実施形態では鋼製のものが採用されている)であって、小片の長尺体を折り曲げて加工して形成された部材である。具体的には、板部材5は、長手方向の中途に折り曲げ加工により形成された折曲段部48と、部材厚方向に貫通した複数(本実施形態では3つ)の締結用孔38a〜38c及び複数(本実施形態では3つ)の係合孔39a〜39cとを有する。
【0043】
折曲段部48は、板部材5の長手方向に直交する方向に折り曲げて形成された部分で、折曲段部48以外の部分に対して直交する2つの垂直部48a、48bと、その垂直部48a、48bの間に位置し当該垂直部48a、48bに対して直交する、つまり折曲段部48以外の部分に対して平行な1つの平行部48cによって形成されている。即ち、折曲段部48は、板部材5の一方の端部のみを含むように側面視した場合に、「柄杓」の「杓」に見える部分である。
【0044】
締結用孔38a〜38cは、板部材5の長手方向の端部近傍に1つずつと、折曲段部48の平行部48cに1つ設けられ、且つ、各締結用孔38a〜38cが、同一の直線上に所定の間隔を空けて位置するように配されている。なお、締結用孔38a〜38c同士の間隔は、ケース12に給湯制御基板13が取り付けられた状態を基準に、補助接続部16、17のネジ穴27、28や、端子設置部6のネジ穴40〜43と連通し得る間隔に設定されている。
【0045】
係合孔39a〜39cは、図3、4に示すように、板部材5の一方の端部近傍に1つと、折曲段部48の垂直部48a、48bに1つずつ設けられている。具体的には、板部材5の端部近傍に設けられた係合孔39cは、板部材5の当該端部を直角に折り曲げた孔形成部50であって、当該孔形成部50の基端から突端側(図3の下方側)に若干ずれた位置に配され、垂直部48a、48bに設けられた係合孔39a、39bは、垂直部48a、48bの平行部48c側から反対側(図3、4の下方側)に若干ずれた位置に配されている。なお、ここで言う「若干」とは、板部材5の部材厚程度の大きさである。
【0046】
固定端子7は、単なるネジであり、本実施形態では6つ用意されている。
【0047】
次に、制御ユニット8における給湯制御基板13と端子設置部6と板部材5の位置関係に注目して説明する。
本実施形態では、前記したように、ケース12内において、基板配置領域21と端子配置領域23とが基板・端子仕切壁24sによって分割されており、図2、3に示すように、端子配置領域23の所定の位置に配されるように、端子設置部6がケース12に一体的に設けられている。
給湯制御基板13は、基板配置領域21の基板・端子仕切壁24sで囲まれた四角形の領域内に全てが収まる配置とされている。そして、給湯制御基板13が、前記したような所定の位置に設置された際、給湯制御基板13の補助接続部16、17と、端子設置部6とが、基板・端子仕切壁24sの後述する切欠部51を挟んで対峙する位置関係となる。
【0048】
即ち、本実施形態では、補助接続部16、17と端子設置部6は、図2に示すように、補助接続部16のネジ穴27と端子設置部6のネジ穴40、41とが同一の直線A上に配されると共に、補助接続部17のネジ穴28と端子設置部6のネジ穴42、43とが別の同一の直線B上に配されている。さらにこのとき、直線A上には、端子設置部6における係合突部32〜34が配され、直線B上には、端子設置部6における係合突部35〜37が配されている。
【0049】
2つの板部材5のそれぞれは、基板配置領域21と端子配置領域23に跨るように補助接続部16、17と端子設置部6に載置されている。
ここで、本実施形態では、板部材5を基板配置領域21と端子配置領域23に跨って配置するにあたって、基板・端子仕切壁24sが障害となるため、補助接続部16、17と端子設置部6との間の一部の区間を切り欠いた切欠部51を設けている。本実施形態における切欠部51は、本体12a側の基板・端子仕切壁24sの上部から下方に向かって切り欠いた部分で、2つの板部材5を並列(長手側の辺が対向した配列)して配することができる幅(基板・端子仕切壁24sの延伸方向長さ)を備えている。
即ち、2つの板部材5は、図5に示すように、補助接続部16、17と端子設置部6を繋ぐように配した状態においては、中途が基板・端子仕切壁24sの切欠部51を跨いだ配置である。
【0050】
また、この状態においては、図5、6に示すように、2つの板部材5の各係合孔39a〜39cのそれぞれが、端子設置部6の各係合突部32〜37に係合すると共に、2つの板部材5の締結用孔38a〜38cが、補助接続部16、17のネジ穴27、28や端子設置部6のネジ穴40〜43にそれぞれ連通した配置となる。そして、それらの連通孔に固定端子7が螺合されている。即ち、基板配置領域21側においては、固定端子7によって、補助接続部16、17に板部材5が接続され、端子配置領域23側においては、固定端子7によって、端子設置部6に板部材5が接続されている。
【0051】
続いて、本実施形態におけるリモコン線11の接続方法について説明する。
本実施形態では、上記したように、2台のリモコン装置3a、3bを備えた構成とされており、各リモコン装置3a、3bから延ばした公知の2芯のリモコン線11a、11bを、給湯器本体2に内蔵された制御ユニット8と接続する構成とされている。
また、本実施形態で採用されたリモコン線11は、公知のそれと同様であり、各芯の端部に、Y型の接続端子52、53が取り付けられたものである。
以下、この条件を前提に説明する。
【0052】
まず、ケース12の本体12aの上部(図7の紙面手前側)に位置する開放面を開放した状態で、ドライバ等の工具を用いて、端子設置部6に螺合された4つの固定端子7の締結状態を緩め、それぞれの固定端子7の軸部を端子設置部6の上面側に露出させる。即ち、4つの固定端子7の板部材5に対する締結状態が緩まるように工具を回転する。そして、固定端子7の締結状態が緩んで軸部が露出した状態で、リモコン線11a、11bの接続端子52、53を当該軸部に当接するように配置させる。
【0053】
具体的には、リモコン装置3a側に接続されたリモコン線11aの接続端子52、53を端子設置部6の高段部6aに配し、リモコン装置3b側に接続されたリモコン線11bの接続端子52、53を端子設置部6の低段部6bに配する。即ち、リモコン線11aの接続端子52、53は、図5に示すように、高段部6aの異なる極性の固定端子7にそれぞれ配され、リモコン線11bの接続端子52,53は、低段部6bの異なる極性の固定端子7にそれぞれ配される。そして、その状態で、工具を用いて各固定端子7を締結方向に締め、各リモコン線11a、11bの接続端子52、53を端子設置部6に対して固定する。即ち、各リモコン線11a、11bの接続端子52、53は、固定端子7と板部材5との間で挟持される。これにより、各リモコン線11a、11bは、板部材5と接続された状態となる。
また、上記したように、制御ユニット8内の板部材5は、補助接続部16、17に固定されており、給湯制御基板13と電気的に接続された状態である。
したがって、本実施形態では、板部材5が固定された端子設置部6に、各リモコン線11a、11bを接続することで、各リモコン線11a、11bと給湯制御基板13とを電気的に接続することができる。
【0054】
以上のように、本実施形態では、給湯制御基板13と端子設置部6とを導電性を備えた板部材5で繋ぎ、従来必須としていたリード線を不要としたため、当該リード線とリモコン線11とを保持しながら配線の接続作業を行う必要がない。即ち、本実施形態によれば、従来技術において手間としていた作業を省け、作業時間を短縮することができるため、配線の接続作業の効率化を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態では、固定端子7を金属製の板部材5に設けた締結用孔38に締結する構成としたため、比較的高価なインサートナット等を要することなく、固定端子7の締結状態を確保することができる。これにより、製造コストを低減した上で、従来技術と同様、リモコン線11と給湯制御基板13との電気的接続を確保することができる。
さらに、本実施形態では、板部材5に係合孔39を設け、端子設置部6にそれに対応する係合突部32〜37を設け、それらの係合作用によって、板部材5を端子設置部6に対して固定できる構成としたため、たとえ固定端子7の端子設置部6に対する締結力がなくなったとしても、板部材5が端子設置部6から外れてしまうことがない。即ち、本実施形態では、板部材5が不意に端子設置部6から逸脱してしまうような事態が起こり得ない。
【0056】
また、本実施形態では、板部材5を曲げ加工し、さらにケース12の仕切壁24に切欠部51を設けて、板部材5を採用できる環境を形成可能である。即ち、既存の金型を用いて成形したケースを利用できるため、設備投資費が殆ど増加しない。結果的に、製造コストを押し上げる懸念が殆どない。
【0057】
上記実施形態では、板部材5を曲げ加工し、さらにケース12の仕切壁24に切欠部51を設け、板部材5を切欠部51を通過するように端子配置領域23と基板配置領域21とに跨る配置とした構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、板部材に曲げ加工を施すことなく、さらに仕切壁24に切欠部51を設けることなく、当該板部材を端子配置領域23と基板配置領域21とに跨る配置とした構成であっても構わない。
具体的には、第二実施形態における制御ユニット9では、図7、8に示すように、板部材18を直線形状とし、さらにケースの仕切壁24に部材厚方向に貫通する壁側挿通孔61を設けた構成としている。以下、第二実施形態の特徴的構成に注目して説明し、上記した実施形態と同一の部材については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0058】
まず、第二実施形態における制御ユニット9の構成について説明する。
制御ユニット9は、外郭を形成するケース12と、給湯制御基板13及び電力供給手段15と、導通性を備えた板部材18と、固定端子7とで構成されている。
制御ユニット9においても、上記実施形態と同様、ケース12の内部空間が、基板配置領域21と、電源配置領域22と、端子配置領域23の3つに分割されており、その端子配置領域23には、ケース12と一体的に成形された端子設置部60が設けられている。
【0059】
端子設置部60は、図8に示すように、階段状に形成された部分であり、基板配置領域21と端子配置領域23との間の仕切壁24(以下、基板・端子仕切壁24tという)側から、離反方向に段部が低くなる2段構造とされている。具体的には、本実施形態における端子設置部60は、直方体状の低段部60bと、「L」字型の高段部60aとを有し、低段部60bと高段部60aとの間に所定の大きさの隙間(挿通孔49)が形成されるように組み合わされている。より詳細に説明すると、端子設置部60は、高段部60aの一方の端部を低段部60bの上面と対向させると共に、「L」字の腹部(内側)を低段部60bの上面側に位置するように配して形成されている。即ち、端子設置部60の挿通孔49は、高段部60aの「L」字の腹部と低段部60bの上面とによって形成された隙間である。
【0060】
また、端子設置部60の上面には、上部から内部に向かって形成された複数(本実施形態では4つ)のネジ穴62〜65が設けられている。具体的には、高段部60aの上面において基板・端子仕切壁24tに対して平行に並ぶネジ穴62、64は、図9に示すように、高段部60aの上面から低段部60bの一部に掛かるように鉛直下向きに形成された穴(高段部60a側の貫通孔と低段部60b側の有底状の穴の複合穴)で、低段部60bの上面において基板・端子仕切壁24tに対して平行に並ぶ残りの2つのネジ穴63、65は、図9に示すように、低段部60bの上面から鉛直下向きに形成された有底状の穴である。さらに、上記した実施形態と同様、高段部60aのネジ穴62と低段部60bのネジ穴63を結ぶ直線と、高段部60aのネジ穴64と低段部60bのネジ穴65を結ぶ直線が、ほぼ平行となる関係に設定されている。
【0061】
本実施形態における板部材18は、導電性を有する金属であって、長尺状のプレート部材である。具体的には、板部材18は、部材厚方向に貫通した複数(本実施形態では3つ)の締結用孔38a〜38cを有する。
【0062】
締結用孔38a〜38cは、板部材18の長手方向の端部近傍に1つずつと、それらの位置より板部材18の長手方向中央よりに1つ設けられ、且つ、各締結用孔38a〜38cが、同一の直線上に所定の間隔を空けて位置するように配されている。具体的には、締結用孔38a、38cが板部材18の端部近傍に配され、締結用孔38bが締結用孔38c寄りに配され、さらにケース12に給湯制御基板13が取り付けられた状態を基準に、補助接続部16、17のネジ穴27、28や、端子設置部6のネジ穴62〜65と連通し得る間隔になるような配置とされている。
【0063】
次に、制御ユニット9における給湯制御基板13と端子設置部60と板部材18の位置関係に注目して説明する。
本実施形態では、補助接続部16、17と端子設置部60は、図7に示すように、補助接続部16のネジ穴27と端子設置部60のネジ穴62、63とが同一の直線A上に配されると共に、補助接続部17のネジ穴28と端子設置部6のネジ穴64、65とが別の同一の直線B上に配されている。
【0064】
そして、2つの板部材18のそれぞれは、基板配置領域21と端子配置領域23に跨るように補助接続部16、17と端子設置部60に載置されている。
ここで、本実施形態では、板部材18を基板配置領域21と端子配置領域23に跨って配置するにあたって、基板・端子仕切壁24tが障害となるため、補助接続部16、17と端子設置部60との間の一部の区間に壁側挿通孔61を設けている。本実施形態における壁側挿通孔61は、本体12a側の基板・端子仕切壁24tの高さ方向中途に設けられた部材厚方向に形成された貫通した孔である。より具体的には、壁側挿通孔61は、端子設置部60の挿通孔49とほぼ同じ高さに位置し、2つの板部材18を並列(長手側の辺が対向した配列)して配することができる幅(基板・端子仕切壁24tの延伸方向長さ)を備えている。
即ち、2つの板部材18は、図10に示すように、補助接続部16、17と端子設置部60を繋ぐように配した状態においては、中途が基板・端子仕切壁24tの挿通孔61に挿通された配置である。
【0065】
また、この状態においては、図11に示すように、2つの板部材18の締結用孔38a〜38cが、補助接続部16、17のネジ穴27、28や端子設置部60のネジ穴62〜65にそれぞれ連通した配置となる。そして、それらの連通孔に固定端子7が螺合されている。即ち、基板配置領域21側においては、固定端子7によって、補助接続部16、17に板部材5が接続され、端子配置領域23側においては、固定端子7によって、端子設置部6に板部材5が接続されている。
【0066】
続いて、本実施形態におけるリモコン線11の接続方法について説明する。
まず、ケース12の本体12aの上部(図7の紙面手前側)に位置する開放面を開放した状態で、ドライバ等の工具を用いて、端子設置部60に螺合された4つの固定端子7の締結状態を緩め、それぞれの固定端子7の軸部を端子設置部60の上面側に露出させる。即ち、4つの固定端子7の板部材18に対する締結状態が緩まるように工具を回転する。そして、固定端子7の締結状態が緩んで軸部が露出した状態で、リモコン線11a、11bの接続端子52、53を当該軸部に当接するように配置させる。
【0067】
具体的には、リモコン装置3a側に接続されたリモコン線11aの接続端子52、53を端子設置部6の高段部60aに配し、リモコン装置3b側に接続されたリモコン線11bの接続端子52、53を端子設置部6の低段部60bに配する。即ち、図10に示すように、リモコン線11aの接続端子52、53は、高段部60aの異なる極性の固定端子7にそれぞれ配され、リモコン線11bの接続端子52,53は、低段部60bの異なる極性の固定端子7にそれぞれ配される。そして、その状態で、工具を用いて各固定端子7を締結方向に締め、各リモコン線11a、11bの接続端子52、53を端子設置部60に対して固定する。即ち、図11に示すように、リモコン線11aの接続端子52、53は、固定端子7と端子設置部60との間で挟持され、リモコン線11bの接続端子52、53は、固定端子と板部材18との間で挟持される。これにより、各リモコン線11a、11bは、板部材5と接続された状態となる。
また、上記したように、制御ユニット9内の板部材18は、補助接続部16、17に固定されており、給湯制御基板13と電気的に接続された状態である。
したがって、本実施形態では、板部材18が固定された端子設置部60に、各リモコン線11a、11bを接続することで、各リモコン線11a、11bと給湯制御基板13とを電気的に接続することができる。
以上の構成によれば、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
また、上記した第一、第二実施形態では、2以上のリモコン線11を、異なる高さに接続可能な段状の端子設置部6、60を備えた構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、2以上のリモコン線11を同一の高さに接続可能な端子台を備えた構成であっても構わない。
具体的には、第三実施形態における制御ユニット10では、図12、13に示すように、端子設置部67を直線形状とし、さらにY型形状の板部材19を備えた構成としている。以下、第三実施形態の特徴的構成に注目して説明し、上記した実施形態と同一の部材については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0069】
まず、第三実施形態における制御ユニット10の構成について説明する。
制御ユニット10は、外郭を形成するケース12と、給湯制御基板13及び電力供給手段15と、導通性を備えた板部材19と、固定端子7とで構成されている。
制御ユニット10においても、上記実施形態と同様、ケース12の内部空間が、基板配置領域21と、電源配置領域22と、端子配置領域23の3つに分割されており、その端子配置領域23には、ケース12と一体的に成形された端子設置部67が設けられている。
【0070】
端子設置部67は、図13に示すように、直方体であり、その長手面が基板配置領域21と端子配置領域23との間の仕切壁24(以下、基板・端子仕切壁24uという)とほぼ平行な配置とされている。
【0071】
また、端子設置部67の上面には、上部から内部に向かって形成された複数(本実施形態では4つ)のネジ穴70〜73が、端子設置部67の長手方向に並ぶように設けられている。より具体的には、ネジ穴70〜73は、同一の直線上に配されている。
【0072】
本実施形態における板部材19は、導電性を有する金属であって、小片の長尺体を折り曲げて加工して形成された部材である。具体的には、板部材19は、図13に示すように、板主片59と、板主片59から分岐した分岐片58と、部材厚方向に貫通した複数(本実施形態では3つ)の締結用孔38a〜38cとを有する。
【0073】
板主片59は、長手方向の中途に、折り曲げ加工により形成した折曲段部57を有する。折曲段部57は、板主片59の長手方向に直交する方向に折り曲げて形成された部分で、折曲段部57以外の部分に対して直交する2つの垂直部57a、57bと、その垂直部57a、57bの間に位置し当該垂直部57a、57bに対して直交する、つまり折曲段部57以外の部分に対して平行な1つの平行部57cによって形成されている。即ち、折曲段部57は、板主片59の一方の端部のみを含むように側面視した場合に、「柄杓」の「杓」に見える部分である。
【0074】
分岐片58は、板主片59の折曲段部57から分岐した「L」字状部材で、先端側に折り曲げ加工により形成された屈曲部68を有する。屈曲部68は、折曲段部57の垂直部57a、57bと同一形状且つ同一サイズの部分である。即ち、分岐片58は、屈曲部68によって、折曲段部57の平行部57cと同一の平面上に存在する平行面部58aと、板主片59における折曲段部57以外の部分と同一の平面上に存在する段差面部58bとを有する構成とされている。
【0075】
締結用孔38a〜38cは、板主片59の長手方向の端部近傍に1つずつと、分岐片58の先端側に1つ設けられている。より具体的には、締結用孔38a、38bは、板主片59における折曲段部57以外の部分に配され、且つ、締結用孔38a、38b同士が所定の間隔を空けて位置するように配され、締結用孔38cは、段差面部58bに配されている。なお、締結用孔38a〜38cの具体的な位置関係は、ケース12に給湯制御基板13が取り付けられた状態を基準に、補助接続部16、17のネジ穴27、28や、端子設置部67のネジ穴70〜73と連通し得る程度の位置に設定されている。
【0076】
次に、制御ユニット10における給湯制御基板13と端子設置部67と板部材19の位置関係に注目して説明する。
本実施形態では、補助接続部16、17と端子設置部67は、図12に示すように、補助接続部16のネジ穴27と端子設置部67のネジ穴70とが同一の直線A上に配されると共に、補助接続部17のネジ穴28と端子設置部67のネジ穴73とが別の同一の直線B上に配されている。
【0077】
そして、2つの板部材19のそれぞれは、基板配置領域21と端子配置領域23に跨るように補助接続部16、17と端子設置部67に載置されている。
ここで、本実施形態では、板部材19を基板配置領域21と端子配置領域23に跨って配置するにあたって、基板・端子仕切壁24uが障害となるため、補助接続部16、17と端子設置部67との間の一部の区間を切り欠いた切欠部56を設けている。本実施形態における切欠部56は、本体12a側の基板・端子仕切壁24uの上部から下方に向かって切り欠いた部分で、2つの板部材19の板主片59と分岐片58とが並列(長手側の辺が対向した配列)して収まる幅(基板・端子仕切壁24uの延伸方向長さ)を備えている。
【0078】
即ち、2つの板部材19は、図14に示すように、補助接続部16、17と端子設置部67を繋ぐように配した状態においては、中途が基板・端子仕切壁24uの切欠部56を跨いだ配置である。具体的には、2つの板部材19は、互いに折曲段部57の高低を逆転させて、当該板部材19の分岐片58同士が立体交差する姿勢で補助接続部16、17と端子設置部67を繋いだ配置である。換言すると、2つの板部材19は、分岐片58同士を立体交差させた状態において、板主片59の折曲段部57以外の部分と、分岐片58の段差面部58bとが同一の平面上に配置されると共に、2つの板部材19同士のいずれの部分も接触していない配置である。
【0079】
また、この状態においては、図15に示すように、2つの板部材19の締結用孔38a〜38cが、補助接続部16、17のネジ穴27、28や端子設置部6のネジ穴70〜73にそれぞれ連通した配置となる。そして、それらの連通孔に固定端子7が螺合されている。即ち、基板配置領域21側においては、固定端子7によって、補助接続部16、17に板部材19が接続され、端子配置領域23側においては、固定端子7によって、端子設置部67に板部材19が接続されている。
【0080】
続いて、本実施形態におけるリモコン線11の接続方法について説明する。
まず、ケース12の本体12aの上部(図12の紙面手前側)に位置する開放面を開放した状態で、ドライバ等の工具を用いて、端子設置部6に螺合された4つの固定端子7の締結状態を緩め、それぞれの固定端子7の軸部を端子設置部6の上面側に露出させる。即ち、4つの固定端子7の板部材19に対する締結状態が緩まるように工具を回転する。そして、固定端子7の締結状態が緩んで軸部が露出した状態で、リモコン線11a、11bの接続端子52、53を当該軸部に当接するように配置させる。
【0081】
具体的には、リモコン線11a、11bの接続端子52、53を端子設置部67に配する。即ち、リモコン線11a、11bは、それぞれの接続端子52、53が異なる極性の固定端子7に配される。より具体的には、図14に示すように、リモコン線11aの接続端子52、53は、一方が補助接続部16に接続された板主片59側に配されると共に、他方が補助接続部17に接続された分岐片58側に配され、リモコン線11bの接続端子52、53は、一方が補助接続部17に接続された板主片59側に配されると共に、他方が補助接続部16に接続された分岐片58側に配される。そして、その状態で、工具を用いて各固定端子7を締結方向に締め、各リモコン線11a、11bの接続端子52、53を端子設置部67に対して固定する。即ち、各リモコン線11a、11bの接続端子52、53は、固定端子7と板部材19との間で挟持される。これにより、各リモコン線11a、11bは、板部材19と接続された状態となる。
また、上記したように、制御ユニット10内の板部材19は、補助接続部16、17に固定されており、給湯制御基板13と電気的に接続された状態である。
したがって、本実施形態では、板部材19が固定された端子設置部6に、各リモコン線11a、11bを接続することで、各リモコン線11a、11bと給湯制御基板13とを電気的に接続することができる。
以上の構成によれば、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0082】
上記した各実施形態では、ケース12の内部空間を3分割し、端子配置領域23を基板配置領域21の直下に配した構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、例えば、基板配置領域21と電源配置領域22との間に配する構成や、基板配置領域21の上方、又は左方のいずれに配する構成であっても構わない。いずれの構成であっても、給湯制御基板における補助接続部の位置を端子配置領域の近傍に配する必要がある。
【0083】
上記した各実施形態では、給湯制御基板13に補助接続部16、17を設けて、その補助接続部16、17を介して、板部材5、18、19を間接的に給湯制御基板13に接続する構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、板部材5、18、19を給湯制御基板13に直接的に接続する構成であっても構わない。例えば、図16に示すように、ケース12の基板配置領域21にネジを螺合させる固定部75を設けると共に、給湯制御基板13における固定部75の位置に配される部分に貫通孔76を設け、その固定部75、貫通孔76、及び、板部材5の締結用孔38aにネジを挿通して、各部材を接続する構成が挙げられる。これにより、補助接続部16、17を用いることなく、端子設置部6と給湯制御基板13とを電気的に接続することができるため、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、この構成を採用する場合は、給湯制御基板13における板部材5、18、19が当接する部分に、配線パターンを露出しておく必要がある。
【0084】
上記第一実施形態では、板部材5に係合孔39を設けると共に、端子設置部6に係合突部32〜37を設けて、板部材5が端子設置部6から脱落してしまう可能性を低減する構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、係合孔39及び係合突部32〜37を設けない構成であっても構わない。ただし、係合孔39及び係合突部32〜37を設けた構成の方が、板部材5の脱落可能性を低くできるため好ましい構成である。
【0085】
上記第二実施形態では、仕切壁24に部材厚方向に貫通した壁側挿通孔61を備えた構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、例えば、図17に示すように、基板・端子仕切壁24tの上部から下方に切り欠いた切欠部54aと、部材厚方向に貫通した孔54bとを組み合わせたスライド孔54を備えた構成であっても構わない。この構成であれば、板部材18を切欠部54aに沿って孔54bに向けてスライドし、その後、さらにスライドによって所定の位置に配置することができるため、板部材5の取り付けが容易である。
【0086】
また、上記第二実施形態では、「L」字型の高段部60aの腹部と、低段部60bの上面との間に形成された1つの挿通孔49に2つの板部材18を配置する構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、端子設置部80に2つの挿通孔を設け、それぞれの挿通孔に1つずつの板部材18を配置する構成であっても構わない。
具体的には、図18に示すように、端子設置部80は、「山」型部材を逆さにした高段部80aと、低段部80bにより構成されており、その高段部80aと低段部80bとの間に隙間(挿通孔77、78)が形成されたものである。この挿通孔77、78は、基板・端子仕切壁24tに沿って並設されており、互いに独立した孔である。このような構成とすることで、端子設置部80は、上記第二実施形態の端子設置部60よりも強度が確保できるため、端子設置部80に対して、不意に外力が掛かったとしても破損する心配がない。
【0087】
さらに、上記第二実施形態では、板部材18における端子設置部60に係る部分が低段部60bの上面に載置される構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、端子設置部81に係る一部の部分が宙に浮いたような構成であっても構わない。即ち、端子設置部81には、図19に示すように、互いに独立した高段部81aと低段部81bにより構成されたものが挙げられる。より具体的には、板部材18は、低段部81bに係る部分においては当該低段部81bの上面に載置されるが、高段部81bに係る部分においては低段部81bの上面に載置されることはなく、高段部81bが板部材18に載置されのみの構成である。この構成によれば、上記第二実施形態に比べて、端子設置部81に要する樹脂量を実質的に減少させることができるため、製造コストを抑えることができる。
また、上記第二実施形態では、基板・端子仕切壁24tに板部材18が挿通される壁側挿通孔61を設けた構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、第一実施形態の基板・端子仕切壁24sに設けたような切欠部51を設けた構成であっても構わない。
【0088】
第一、第三実施形態では、仕切壁24に切欠部51、56を設け、その切欠部51、56を乗り越えるように板部材5、19を配した構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、仕切壁24に切欠部を設けることなく、板部材が仕切壁24を乗り越える配置とした構成であっても構わない。
【0089】
上記した各実施形態では、2台のリモコン装置3を接続した構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、1台又は3台以上を接続する構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0090】
1 給湯装置(熱源装置)
2 給湯器本体
3 リモコン装置
5、18、19 板部材
6、60、67 端子設置部
7 固定端子
11 リモコン線
12 ケース
13 給湯制御基板(制御基板)
16、17 補助接続部
21 基板配置領域
23 端子配置領域
24 仕切壁
27、28 ネジ穴
32、33、34、35、36、37 係合突部
38 締結用孔
39 係合孔
40、41、42、43 ネジ穴
48、57 折曲段部
51、56 切欠部
58 分岐片
61 挿通孔
62、63、64、65 ネジ穴
70、71、72、73 ネジ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモコン線を接続する端子と、制御基板と、ケースとを有し、
前記ケースは、前記端子が設けられる端子配置領域と、制御基板が配置される基板配置領域とに分割されている制御ユニットにおいて、
導電性の板部材を有し、
前記板部材は、前記端子配置領域と基板配置領域に跨って配置され、基板配置領域において、制御基板と電気的に接続されると共に、端子配置領域において、端子と電気的に接続されることを特徴とする制御ユニット。
【請求項2】
端子配置領域と基板配置領域とを仕切る仕切壁を有し、
前記板部材は、前記仕切壁を貫通して、あるいは、乗り越えて前記端子配置領域と基板配置領域に跨っていることを特徴とする請求項1に記載の制御ユニット。
【請求項3】
板部材は、端子配置領域と基板配置領域に跨って配置された状態を基準に、それぞれの領域にかかる部分に締結部が設けられ、当該締結部によって、板部材がケースに対して相対的に移動しないように固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の制御ユニット。
【請求項4】
板部材は、端子配置領域と基板配置領域に跨って配置された状態において、ケースに対して係合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の制御ユニット。
【請求項5】
板部材は、屈曲して高低差を形成した段部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の制御ユニット。
【請求項6】
板部材は、端子配置領域と基板配置領域に跨って配置された状態を基準に、基板配置領域から端子配置領域に向かって少なくとも1つの分岐片が分岐した分岐部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の制御ユニット。
【請求項7】
板部材は、屈曲して高低差を形成した段部に分岐部を有するもので、
2つの板部材を、互いに段部の高低が逆転する姿勢で、且つ、分岐部から分岐した分岐片同士が重なるように並べた場合、当該2つの板部材の分岐片同士が立体交差することを特徴とする請求項6に記載の制御ユニット。
【請求項8】
リモコン装置と、湯水又は熱媒体を加熱する加熱部と、加熱部の動作を制御する請求項1〜7のいずれかに記載の制御ユニットを有し、
加熱部で加熱して昇温した湯水そのもの又は熱媒体の熱エネルギーを、外部に供給する機能を備えていることを特徴とする熱源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−11430(P2013−11430A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145948(P2011−145948)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)