制御弁の位置検出構造
【課題】制御弁において、その弁の現在の位置を検出するための制御弁の位置検出構造を小型で且つ安価に構成する。
【解決手段】全閉位置から全開位置まで移動するスプール24に対して、スライダ28がスプール24の全閉位置から中間位置まで一緒に移動し、スプール24のそれ以上の移動に対しては追従せずに、スプール24がスライダ28に対して相対移動する。スプール24の全閉位置と中間位置とに夫々に対応するスライダ28の第1位置と第2位置とを近接スイッチ34で検出することで、弁の開閉状態を検出することができる。
【解決手段】全閉位置から全開位置まで移動するスプール24に対して、スライダ28がスプール24の全閉位置から中間位置まで一緒に移動し、スプール24のそれ以上の移動に対しては追従せずに、スプール24がスライダ28に対して相対移動する。スプール24の全閉位置と中間位置とに夫々に対応するスライダ28の第1位置と第2位置とを近接スイッチ34で検出することで、弁の開閉状態を検出することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御弁において、その弁の現在の位置を検出するための位置検出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、制御弁の作動状態を外部から確認・監視することができるように、制御弁において弁の位置を検出することが求められている。
【0003】
特許文献1では、ロジック弁(またはカートリッジ弁ともいう)において図7に示すような、弁の位置を検出する手段を開示する。図7において、70は弁であるポペットであり、ポペット70の一端にはバー72が固定されており、バー72の他端側にバー72の動きを検出する差動トランス74が取り付けられている。そして、この差動トランス74によってバー72の位置を検出して、その検出信号をフィードバックするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−69382号公報(第4頁、右下欄1〜10行、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来の構成では、弁70とバー72が一緒に移動することになるため、弁70の移動距離と同じ長さだけ、差動トランス74の長さを確保しなければならず、装置が大型化するという問題がある。また、差動トランスを用いると、専用の電気回路を必要とするため、高価となる、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたもので、小型で且つ安価に構成することができ、弁の位置を検出して、制御弁の作動状態を外部から確認・監視することができる制御弁の位置検出構造を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の発明は、第1限界位置と第2限界位置との間で移動可能な弁を有し、第1限界位置と第2限界位置の間の中間位置において弁の開閉状態が変化するようになった制御弁における弁の位置を検出する位置検出構造であって、
弁に追従可能となって第1位置と第2位置との間で移動可能となった可動部材と、
前記可動部材が第1位置及び第2位置に位置することをそれぞれ検出可能となった検出センサと、
弁が第1限界位置から中間位置まで移動するときに、可動部材を第1位置から第2位置へと移動させると共に、弁が中間位置から第2限界位置まで移動するときに、可動部材に対して弁の相対移動を可能とし、可動部材を第2位置に保持させる追従手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の位置検出構造において、前記追従手段が、前記可動部材と前記弁との間に設けられる変形手段を有しており、可動部材が弁に対して追従するときに、該変形手段を介して弁から可動部材へと力が伝達され、弁が可動部材に対して相対移動するときに、該変形手段が変形することで弁の相対移動を可能とすることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の位置検出構造において、前記変形手段が、前記可動部材と前記弁との間に介挿されて、可動部材を弁から離反する方向に常時付勢しており、前記追従手段は、可動部材の弁からの離反を規制するストッパーをさらに備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の位置検出構造において、前記可動部材が、前記弁に形成された中心孔内に摺動可能に且つ出没可能に配設され、中心孔と可動部材によって形成される室内に前記変形手段が配設されることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の位置検出構造において、前記制御弁が、弁が弁シートに着座した全閉位置と弁シートから完全に離反した全開位置との間で移動可能となったポペット形制御弁であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1限界位置と第2限界位置との間を移動する弁に対して、第1限界位置から中間位置まで追従する可動部材が第1位置から第2位置まで移動することを検知センサで検知することによって、弁の開閉の状態を知ることができる。このように弁の状態が遷移する中間位置に移動したことを検出することによって、可動部材が弁の第1限界位置から第2限界位置までの全域に渡り弁と共に移動する必要がなく、弁が可動部材に対して相対移動することができるために、可動部材のストロークのための空間が削減でき、位置検出構造の小型化を図ることができる。
【0013】
また、検出センサは、可動部材の第1位置と第2位置とを識別し得るようにオフ/オンを切り替えることができればよいために、安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明が適用される制御弁を示す断面図である。
【図2A】本発明の第1実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が全閉位置にあるときの状態を示す。
【図2B】本発明による位置検出構造の動作を表す断面図であり、弁が全閉位置と全開位置の中間の中間位置にあるときの状態を示す。
【図2C】本発明による位置検出構造の動作を表す断面図であり、弁が全開位置にあるときの状態を示す。
【図3】本発明の第2実施形態が適用された制御弁の要部断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態が適用された制御弁の要部断面図である。
【図5A】本発明の第4実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が全閉位置にあるときの状態を示す。
【図5B】本発明の第4実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が中間位置にあるときの状態を示す。
【図5C】本発明の第4実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が全開位置にあるときの状態を示す。
【図6A】本発明の第5実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が中立位置にあるときの状態を示す。
【図6B】本発明の第5実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が中間位置にあるときの状態を示す。
【図6C】本発明の第5実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が切換位置にあるときの状態を示す。
【図7】従来の制御弁の位置検出構造を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1に示す制御弁10は、カートリッジ弁としてマニホールドブロック12内に組み込むことができる弁を例にとっており、制御弁10はカートリッジエレメントとして構成される。
【0017】
図2に示したように、制御弁10は、大略、マニホールドブロック内12に挿入されるスリーブ20と、スリーブ20の開放された一端側を塞ぎ、前記マニホールドブロック12に固定されるボディ22と、からなる本体を有する。
【0018】
スリーブ20内には、小径の小径孔20aと大径の大径孔20bとが軸方向に連なって同軸上に形成されており、小径孔20aは、スリーブ20の他端部及び側面にそれぞれ形成された第1ポート20c及び第2ポート20dと連通しており、第1ポート20cの手前にある小径孔20aの端部には弁シート20eが形成される。
【0019】
スリーブ20内には、主弁であるスプール24が同軸上に配置されており、スプール24は、小径孔20aに対して摺動可能となっている。スプール24の外周面の中央部には、バネ受け鍔部24aが形成され、該バネ受け鍔部24aとボディ22の内面22bとの間にはスプリング26が介挿される。スプリング26は、スプール24を弁シート20eの方に向かって常時付勢している。
【0020】
スリーブ20内の大径孔20bは、ボディ22内に形成された不図示のパイロット流路に連通しており、該パイロット流路を介してパイロット圧が大径孔20b内に導入されるようになっている。
【0021】
よって、公知のように、パイロット圧と、スプリング26のスプリング力と、第1ポート20c及び第2ポート20dに作用する流体圧力とのバランスによって、スプール24の位置が決められ、スプール24が弁シート20eに着座している位置が弁の全閉位置(第1限界位置)であり、スプール24が弁シート20eから完全に離反すると、弁の全開位置(第2限界位置)になる。その関係は以下の式で表される(但し重力の影響は便宜上省略する。)。
【0022】
PPAP+FSP−PAAA−PBAB (1)
<0ならば開
>0ならば閉
ここで、
PP:パイロット圧
FSP:スプリング力
PA:第1ポート20cの流体圧力
PB:第2ポート20dの流体圧力
AP,AA,AB:パイロット圧、第1ポート20cの流体圧力、第2ポート20dの流体圧力のそれぞれのスプール24の受圧面積
【0023】
以上の全閉位置及び全開位置の間を移動するスプール24の現在位置を外部から確認するために位置検出構造が以下に説明するように構成される。
【0024】
即ち、スプール24には、そのボディ22側にある一端側から有底の中心孔24bが穿設されており、該中心孔24b内を可動部材としてのスライダ28が摺動可能に且つ出没可能に配設される。スライダ28と中心孔24bの底面との間には変形手段としての第2スプリング30が介挿されており、第2スプリング30は、スライダ28を常時、中心孔24bの底面から離反する方向に付勢している。但し、スプール24の中心孔24bの途中位置には、ストッパー32が固定されており、スライダ28はストッパー32によって、中心孔24bの底面から離反する方向にそれ以上移動することはできないように規制される。第2スプリング30のバネ定数は、スプリング26のバネ定数と比較して小さく設定されるとよい。
【0025】
スライダ28の一端には、ストッパー32を超えてボディ22に向かって延びる小径の延長部28aが延設され、延長部28aからはさらに小径の第2延長部28bが延設されており、第2延長部28bは、ボディ22に形成されたガイド孔22a内を挿通している。そして、ガイド孔22aを挿通した第2延長部28bの末端部は、ボディ22内に配置された検出センサとしての近接スイッチ34に対向している。
【0026】
また、スプール24には、複数の側孔24cが形成されており、該側孔24cが中心孔24bと連通することによって、スプール24の中心孔24bとスライダ28とによって画成される室は、側孔24cを介してスプール24外と連通している。
【0027】
以上のように構成される位置検出構造の動作を、図2A〜図2Cを参照しながら説明する。
【0028】
図2Aに示すように、弁が全閉位置にある状態においては、スプール24は弁シート20eに着座しており、これによって、第2延長部28bの末端部は近接スイッチ34から離れた第1位置(図2AのS1だけ近接スイッチ34から離れた位置)にあり、近接スイッチ34はオフとなっている。これに伴い、延長部28aの末端部も、ボディ22の内面22bから離れた位置にある(図2AのS2だけ内面22bから離れた位置)。
【0029】
パイロット圧が低下していくと、(1)式が負となり、スプール24は移動を開始する。スプール24の運動は、第2スプリング30を介してスライダ28に伝達されるので、スライダ28もスプール24の移動に追従して、スプール24と一緒に同じ方向に移動する。そして図2Bに示すように、スプール24が弁シート20eから離反して、弁が開き始めて第1ポート20cと第2ポート20dが導通し始めたとみなされる位置、またはそれに類するとみなされるある中間位置にスプール24が到達すると、スライダ28の延長部28aの末端部がボディ22の内面22bに当接して、スライダ28はそれ以上の移動が不可能となる。この状態において、第2延長部28bの末端部は近接スイッチ34に接近した第2位置(図2BのS3だけ近接スイッチ34から離れた位置)に到達して、近接スイッチ34はオンとなる。
【0030】
さらに、スプール24が弁シート20eから離反する方向に移動すると、スライダ28はもはや同じ方向に移動することができないために、第2スプリング30は圧縮変形し、スプール24はスライダ28に対して相対移動する。そして、図2Cに示すように、スプール24の一端部がボディ22の内面22bに当接するまでスプール24が移動すると、スプール24はそれ以上の移動が不可能となり、この状態において弁は全開位置に到達する。この間、スライダ28の第2延長部28bの末端部は第2位置に留まって、近接スイッチ34との関係は図2Bと同じ状態を維持しており、近接スイッチ34はオンの状態となっている。
【0031】
反対に、図2Cの弁が全開位置にある状態から、パイロット圧が高くなると、(1)式が正となり、スプール24が弁シート20eの方へ向って移動を開始する。このとき、ストッパー32がスライダ28に当接するまでは、スプール24のみが移動しスライダ28に対して相対移動し、ストッパー32がスライダ28に当接すると、ストッパー32がスライダ28をスプール24と一緒に移動させるため、図2Aの状態に戻ることができる。
【0032】
以上の一連の動作において、第2スプリング30が変形手段として作用して、スライダ28がスプール24に対して追従するときに、スプール24からスライダ28へと力を伝達すると共に、スプール24がスライダ28に対して相対移動するときに、変形することでスプール24の相対移動を可能とする。そして、この第2スプリング30、ストッパー32及びボディ22の内面22bによって、追従手段が構成される。
【0033】
近接スイッチ34のオン/オフを外部で捉えることで、このオン/オフの切換によって、弁の開閉を外部において確認することができる。図2Cに示す弁の全開位置を検出する代わりに、開き始めた状態に相当する中間位置を検出することでも、十分に弁の開閉の状態を知ることができるからである。これによって、スライダ28が弁の全閉位置から全開位置までの全域に渡りスプール24と共に移動する必要がないために、スライダ28のストロークのための空間が削減でき、位置検出構造の小型化を図ることができる。例えば、スライダ28の全閉位置から中間位置までに対応するスライダ28の第1位置と第2位置との間の移動ストローク(=S1−S3=S2)を1.0mm〜2.0mm程度とし、スライダ28の全閉位置から全開位置までのスプール24の移動ストローク(図2AのS0)を20mm〜30mm程度とすれば、従来に比して1/30〜1/10程度となった移動ストロークをスライダ28の移動のために確保すればよいので、十分な小型化を図ることができる。また、検出センサは、スライダ28の第1位置と第2位置とを識別し得るようにオフ/オンを切り替えることができる近接スイッチ34のようなセンサで構成することができるため、安価に構成することができる。尚、検出センサとしては、この例で説明した非接触式センサに限らず、接触式センサを使用することもできる。
【0034】
図3は、本発明の第2実施形態を表す図である。同一または同様の部材、部分は第1実施形態と同じ符号を付してその詳細説明を省略する。
【0035】
この例では、側孔24c及び第2スプリング30が取り除かれており、スプール24の中心孔24bとスライダ28とによって囲繞された圧力室24dが形成される。
【0036】
圧力室24dは、スプール24を貫通する流路24e及びシャトル弁36を介して第1ポート20c側及び第2ポート20d側と連通している。そしてシャトル弁36によって、第1ポート20c側圧力と第2ポート20d側圧力のうちのより高い圧力が圧力室24dに導入されるようになっている。この導入される圧力はパイロット圧力よりも高いために、スライダ28は、常時、中心孔24bの底面から離反する方向に付勢される。また、圧力室24dは流路24eを介して流体を排出することで圧縮可能となっている。
【0037】
以上のように構成される位置検出構造においても、圧力室24d及びその室内の流体が、第1実施形態の第2スプリング30と同様に変形手段として作用して、スライダ28がスプール24に対して追従するときに、スプール24からスライダ28へと力を伝達すると共に、スプール24がスライダ28に対して相対移動するときに、圧力室24dの室内が変形することでスプール24の相対移動を可能とするために、第1実施形態と同様に作用させることができる。
【0038】
図4は、本発明の第3実施形態を表す図である。同一または同様の部材、部分は第1実施形態と同じ符号を付してその詳細説明を省略する。
【0039】
この例では、スプール24内の圧力室24dがスプール24の中心孔24bとスライダ28とによって完全に囲繞されており、圧力室24d内には、気体(例えば窒素等)を封入した可撓性の袋38が配設される。
【0040】
この袋38内に封入される気体の圧力によって、スライダ28は、常時、中心孔24bの底面から離反する方向に付勢される。また、袋38内の気体は圧縮可能となっている。
【0041】
以上のように構成される位置検出構造においても、気体が封入された袋38が、第1実施形態の第2スプリング30と同様に変形手段として作用して、スライダ28がスプール24に対して追従するときに、スプール24からスライダ28へと力を伝達すると共に、スプール24がスライダ28に対して相対移動するときに、その袋38が変形することでスプール24の相対移動を可能とするために、第1実施形態と同様に作用させることができる。
【0042】
図5A〜図5Cは、本発明の第4実施形態を表す図である。同一または同様の部材、部分は第1実施形態と同じ符号を付してその詳細説明を省略する。
【0043】
この例では、スプール24の外周面に、スプール24に対して枢動可能に一端が軸着されるアーム40が取り付けられており、アーム40の他端側とスプール24との間には板バネ42が架設されている。アーム40は、板バネ42によってその回動が一方向に付勢されるものの、スプール24に形成されたストッパー24fによってアーム40の一方向の回動は規制されるようになっている。アーム40と板バネ42とによって変形手段が構成される。
【0044】
また、スプール24と並列にスリーブ20の大径孔20b内には、可動部材としてのスライドバー43が配設される。スライドバー43の一端は、ボディ22内に配設された検出センサとしてのスイッチ44の可動部44aに固定されており、スライドバー43は可動部44aと一体に移動するようになっている。スイッチ44の可動部44aは枢動可能となっており、可動部44aが枢動して可動部44aの接点が固定部44bの接点に接触してスイッチ44をオンとすることが可能となっているが、常時は、両接点が離反するように可動部44aが付勢されておりスイッチ44がオフとなっている。スイッチ44の可動部44aに作用する付勢力と、板バネ42によってアーム40に作用する付勢力とでは、後者の方が強いものとなっている。
【0045】
スイッチ44がオフで、スプール24が全閉状態において、スライドバー43の他端とアーム40との間には、図5Aに示したように、隙間S4が形成されているとよい。
【0046】
以上のように構成される位置検出構造においては、弁の全閉状態において、前述のように、スイッチ44はオフの状態になる。
【0047】
この弁の全閉状態から、スプール24が弁シート20eから離反するように隙間S4分移動すると、アーム40がスライドバー43の他端に当接して、スライドバー43がスプール24と一緒に移動する。これによって、スイッチ44の可動部44aが枢動し始める。そして、図5Bに示すように、スプール24が中間位置に到達するタイミングで、スイッチ44がオンとなる。そして、可動部44a及びスライドバー43はそれ以上の移動が不可能となる。
【0048】
さらに、図5Cに示すように、スプール24が弁シート20eから離反するように移動したときに、可動部44a及びスライドバー43は移動不能となっているので、アーム40が板バネ42の付勢力に抗して枢動して、スプール24がスライドバー43に対して移動することができて、スプール24は全開状態となる。また、このときに、スイッチ44はオンの状態を維持している。
【0049】
以上の実施形態においても、スイッチ44のオン・オフを外部で捉えることで、第1実施形態と同様に、このオン/オフの切換によって、弁の開閉を外部において確認することができる。
【0050】
尚、以上の各実施形態の位置検出構造は、カートリッジ弁について適用していたがこれに限るものではなく、また、スプール24の移動方向が開閉するポートの開口面に対して垂直に移動するポペット形の制御弁に適用していたが、これに限るものではなく、開閉するポートの開口面に対して平行に移動するスプール形の制御弁に適用することも可能である。
【0051】
図6A〜6Cは、スプール形の制御弁において、本発明の位置検出構造を適用した場合の第5実施形態を表す要部図であり、同一または同様の部材、部分は第1実施形態と同じ符号を付してその詳細説明を省略する。
【0052】
複数のポート50a、50bが形成される本体50内をポートの開口面に対して平行に摺動可能にスプール24が配設されている。そして、スプール24の有底の中心孔24bには、スライダ28が摺動可能に且つ出没可能に配設されている。また、第1実施形態と同様に、スライダ28の延長部28aがスプール24に設けられたストッパー32を超えて、スプール24から延設されており、さらに第2延長部28bが本体50を挿通して本体50内に別途配置された近接スイッチ34に対向している。
【0053】
この第5実施形態においても、第1実施形態と同様に作用させることができ、本体50に形成される複数のポート50a、50bの非導通及び導通状態に相当するようにスプール24が中立位置(全閉位置または第1限界位置)(図6A)と切換位置(全開位置または第2限界位置)(図6C)との間を移動するときに、中立位置(図6A)と、中立位置と切換位置との間にある中間位置(図6B)にスプール24があることを検出することができるようになる。
【符号の説明】
【0054】
10 制御弁
24 スプール(弁)
24d 圧力室(変形手段)
28 スライダ(可動部材)
30 第2スプリング(変形手段、追従手段)
32 ストッパー(追従手段)
34 近接スイッチ(検出センサ)
38 袋(変形手段)
40 アーム(変形手段)
42 板バネ(変形手段)
43 スライドバー(可動部材)
44 スイッチ(検出センサ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御弁において、その弁の現在の位置を検出するための位置検出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、制御弁の作動状態を外部から確認・監視することができるように、制御弁において弁の位置を検出することが求められている。
【0003】
特許文献1では、ロジック弁(またはカートリッジ弁ともいう)において図7に示すような、弁の位置を検出する手段を開示する。図7において、70は弁であるポペットであり、ポペット70の一端にはバー72が固定されており、バー72の他端側にバー72の動きを検出する差動トランス74が取り付けられている。そして、この差動トランス74によってバー72の位置を検出して、その検出信号をフィードバックするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−69382号公報(第4頁、右下欄1〜10行、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来の構成では、弁70とバー72が一緒に移動することになるため、弁70の移動距離と同じ長さだけ、差動トランス74の長さを確保しなければならず、装置が大型化するという問題がある。また、差動トランスを用いると、専用の電気回路を必要とするため、高価となる、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたもので、小型で且つ安価に構成することができ、弁の位置を検出して、制御弁の作動状態を外部から確認・監視することができる制御弁の位置検出構造を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の発明は、第1限界位置と第2限界位置との間で移動可能な弁を有し、第1限界位置と第2限界位置の間の中間位置において弁の開閉状態が変化するようになった制御弁における弁の位置を検出する位置検出構造であって、
弁に追従可能となって第1位置と第2位置との間で移動可能となった可動部材と、
前記可動部材が第1位置及び第2位置に位置することをそれぞれ検出可能となった検出センサと、
弁が第1限界位置から中間位置まで移動するときに、可動部材を第1位置から第2位置へと移動させると共に、弁が中間位置から第2限界位置まで移動するときに、可動部材に対して弁の相対移動を可能とし、可動部材を第2位置に保持させる追従手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の位置検出構造において、前記追従手段が、前記可動部材と前記弁との間に設けられる変形手段を有しており、可動部材が弁に対して追従するときに、該変形手段を介して弁から可動部材へと力が伝達され、弁が可動部材に対して相対移動するときに、該変形手段が変形することで弁の相対移動を可能とすることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の位置検出構造において、前記変形手段が、前記可動部材と前記弁との間に介挿されて、可動部材を弁から離反する方向に常時付勢しており、前記追従手段は、可動部材の弁からの離反を規制するストッパーをさらに備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の位置検出構造において、前記可動部材が、前記弁に形成された中心孔内に摺動可能に且つ出没可能に配設され、中心孔と可動部材によって形成される室内に前記変形手段が配設されることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の位置検出構造において、前記制御弁が、弁が弁シートに着座した全閉位置と弁シートから完全に離反した全開位置との間で移動可能となったポペット形制御弁であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1限界位置と第2限界位置との間を移動する弁に対して、第1限界位置から中間位置まで追従する可動部材が第1位置から第2位置まで移動することを検知センサで検知することによって、弁の開閉の状態を知ることができる。このように弁の状態が遷移する中間位置に移動したことを検出することによって、可動部材が弁の第1限界位置から第2限界位置までの全域に渡り弁と共に移動する必要がなく、弁が可動部材に対して相対移動することができるために、可動部材のストロークのための空間が削減でき、位置検出構造の小型化を図ることができる。
【0013】
また、検出センサは、可動部材の第1位置と第2位置とを識別し得るようにオフ/オンを切り替えることができればよいために、安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明が適用される制御弁を示す断面図である。
【図2A】本発明の第1実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が全閉位置にあるときの状態を示す。
【図2B】本発明による位置検出構造の動作を表す断面図であり、弁が全閉位置と全開位置の中間の中間位置にあるときの状態を示す。
【図2C】本発明による位置検出構造の動作を表す断面図であり、弁が全開位置にあるときの状態を示す。
【図3】本発明の第2実施形態が適用された制御弁の要部断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態が適用された制御弁の要部断面図である。
【図5A】本発明の第4実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が全閉位置にあるときの状態を示す。
【図5B】本発明の第4実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が中間位置にあるときの状態を示す。
【図5C】本発明の第4実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が全開位置にあるときの状態を示す。
【図6A】本発明の第5実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が中立位置にあるときの状態を示す。
【図6B】本発明の第5実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が中間位置にあるときの状態を示す。
【図6C】本発明の第5実施形態が適用された制御弁の要部断面図であり、弁が切換位置にあるときの状態を示す。
【図7】従来の制御弁の位置検出構造を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1に示す制御弁10は、カートリッジ弁としてマニホールドブロック12内に組み込むことができる弁を例にとっており、制御弁10はカートリッジエレメントとして構成される。
【0017】
図2に示したように、制御弁10は、大略、マニホールドブロック内12に挿入されるスリーブ20と、スリーブ20の開放された一端側を塞ぎ、前記マニホールドブロック12に固定されるボディ22と、からなる本体を有する。
【0018】
スリーブ20内には、小径の小径孔20aと大径の大径孔20bとが軸方向に連なって同軸上に形成されており、小径孔20aは、スリーブ20の他端部及び側面にそれぞれ形成された第1ポート20c及び第2ポート20dと連通しており、第1ポート20cの手前にある小径孔20aの端部には弁シート20eが形成される。
【0019】
スリーブ20内には、主弁であるスプール24が同軸上に配置されており、スプール24は、小径孔20aに対して摺動可能となっている。スプール24の外周面の中央部には、バネ受け鍔部24aが形成され、該バネ受け鍔部24aとボディ22の内面22bとの間にはスプリング26が介挿される。スプリング26は、スプール24を弁シート20eの方に向かって常時付勢している。
【0020】
スリーブ20内の大径孔20bは、ボディ22内に形成された不図示のパイロット流路に連通しており、該パイロット流路を介してパイロット圧が大径孔20b内に導入されるようになっている。
【0021】
よって、公知のように、パイロット圧と、スプリング26のスプリング力と、第1ポート20c及び第2ポート20dに作用する流体圧力とのバランスによって、スプール24の位置が決められ、スプール24が弁シート20eに着座している位置が弁の全閉位置(第1限界位置)であり、スプール24が弁シート20eから完全に離反すると、弁の全開位置(第2限界位置)になる。その関係は以下の式で表される(但し重力の影響は便宜上省略する。)。
【0022】
PPAP+FSP−PAAA−PBAB (1)
<0ならば開
>0ならば閉
ここで、
PP:パイロット圧
FSP:スプリング力
PA:第1ポート20cの流体圧力
PB:第2ポート20dの流体圧力
AP,AA,AB:パイロット圧、第1ポート20cの流体圧力、第2ポート20dの流体圧力のそれぞれのスプール24の受圧面積
【0023】
以上の全閉位置及び全開位置の間を移動するスプール24の現在位置を外部から確認するために位置検出構造が以下に説明するように構成される。
【0024】
即ち、スプール24には、そのボディ22側にある一端側から有底の中心孔24bが穿設されており、該中心孔24b内を可動部材としてのスライダ28が摺動可能に且つ出没可能に配設される。スライダ28と中心孔24bの底面との間には変形手段としての第2スプリング30が介挿されており、第2スプリング30は、スライダ28を常時、中心孔24bの底面から離反する方向に付勢している。但し、スプール24の中心孔24bの途中位置には、ストッパー32が固定されており、スライダ28はストッパー32によって、中心孔24bの底面から離反する方向にそれ以上移動することはできないように規制される。第2スプリング30のバネ定数は、スプリング26のバネ定数と比較して小さく設定されるとよい。
【0025】
スライダ28の一端には、ストッパー32を超えてボディ22に向かって延びる小径の延長部28aが延設され、延長部28aからはさらに小径の第2延長部28bが延設されており、第2延長部28bは、ボディ22に形成されたガイド孔22a内を挿通している。そして、ガイド孔22aを挿通した第2延長部28bの末端部は、ボディ22内に配置された検出センサとしての近接スイッチ34に対向している。
【0026】
また、スプール24には、複数の側孔24cが形成されており、該側孔24cが中心孔24bと連通することによって、スプール24の中心孔24bとスライダ28とによって画成される室は、側孔24cを介してスプール24外と連通している。
【0027】
以上のように構成される位置検出構造の動作を、図2A〜図2Cを参照しながら説明する。
【0028】
図2Aに示すように、弁が全閉位置にある状態においては、スプール24は弁シート20eに着座しており、これによって、第2延長部28bの末端部は近接スイッチ34から離れた第1位置(図2AのS1だけ近接スイッチ34から離れた位置)にあり、近接スイッチ34はオフとなっている。これに伴い、延長部28aの末端部も、ボディ22の内面22bから離れた位置にある(図2AのS2だけ内面22bから離れた位置)。
【0029】
パイロット圧が低下していくと、(1)式が負となり、スプール24は移動を開始する。スプール24の運動は、第2スプリング30を介してスライダ28に伝達されるので、スライダ28もスプール24の移動に追従して、スプール24と一緒に同じ方向に移動する。そして図2Bに示すように、スプール24が弁シート20eから離反して、弁が開き始めて第1ポート20cと第2ポート20dが導通し始めたとみなされる位置、またはそれに類するとみなされるある中間位置にスプール24が到達すると、スライダ28の延長部28aの末端部がボディ22の内面22bに当接して、スライダ28はそれ以上の移動が不可能となる。この状態において、第2延長部28bの末端部は近接スイッチ34に接近した第2位置(図2BのS3だけ近接スイッチ34から離れた位置)に到達して、近接スイッチ34はオンとなる。
【0030】
さらに、スプール24が弁シート20eから離反する方向に移動すると、スライダ28はもはや同じ方向に移動することができないために、第2スプリング30は圧縮変形し、スプール24はスライダ28に対して相対移動する。そして、図2Cに示すように、スプール24の一端部がボディ22の内面22bに当接するまでスプール24が移動すると、スプール24はそれ以上の移動が不可能となり、この状態において弁は全開位置に到達する。この間、スライダ28の第2延長部28bの末端部は第2位置に留まって、近接スイッチ34との関係は図2Bと同じ状態を維持しており、近接スイッチ34はオンの状態となっている。
【0031】
反対に、図2Cの弁が全開位置にある状態から、パイロット圧が高くなると、(1)式が正となり、スプール24が弁シート20eの方へ向って移動を開始する。このとき、ストッパー32がスライダ28に当接するまでは、スプール24のみが移動しスライダ28に対して相対移動し、ストッパー32がスライダ28に当接すると、ストッパー32がスライダ28をスプール24と一緒に移動させるため、図2Aの状態に戻ることができる。
【0032】
以上の一連の動作において、第2スプリング30が変形手段として作用して、スライダ28がスプール24に対して追従するときに、スプール24からスライダ28へと力を伝達すると共に、スプール24がスライダ28に対して相対移動するときに、変形することでスプール24の相対移動を可能とする。そして、この第2スプリング30、ストッパー32及びボディ22の内面22bによって、追従手段が構成される。
【0033】
近接スイッチ34のオン/オフを外部で捉えることで、このオン/オフの切換によって、弁の開閉を外部において確認することができる。図2Cに示す弁の全開位置を検出する代わりに、開き始めた状態に相当する中間位置を検出することでも、十分に弁の開閉の状態を知ることができるからである。これによって、スライダ28が弁の全閉位置から全開位置までの全域に渡りスプール24と共に移動する必要がないために、スライダ28のストロークのための空間が削減でき、位置検出構造の小型化を図ることができる。例えば、スライダ28の全閉位置から中間位置までに対応するスライダ28の第1位置と第2位置との間の移動ストローク(=S1−S3=S2)を1.0mm〜2.0mm程度とし、スライダ28の全閉位置から全開位置までのスプール24の移動ストローク(図2AのS0)を20mm〜30mm程度とすれば、従来に比して1/30〜1/10程度となった移動ストロークをスライダ28の移動のために確保すればよいので、十分な小型化を図ることができる。また、検出センサは、スライダ28の第1位置と第2位置とを識別し得るようにオフ/オンを切り替えることができる近接スイッチ34のようなセンサで構成することができるため、安価に構成することができる。尚、検出センサとしては、この例で説明した非接触式センサに限らず、接触式センサを使用することもできる。
【0034】
図3は、本発明の第2実施形態を表す図である。同一または同様の部材、部分は第1実施形態と同じ符号を付してその詳細説明を省略する。
【0035】
この例では、側孔24c及び第2スプリング30が取り除かれており、スプール24の中心孔24bとスライダ28とによって囲繞された圧力室24dが形成される。
【0036】
圧力室24dは、スプール24を貫通する流路24e及びシャトル弁36を介して第1ポート20c側及び第2ポート20d側と連通している。そしてシャトル弁36によって、第1ポート20c側圧力と第2ポート20d側圧力のうちのより高い圧力が圧力室24dに導入されるようになっている。この導入される圧力はパイロット圧力よりも高いために、スライダ28は、常時、中心孔24bの底面から離反する方向に付勢される。また、圧力室24dは流路24eを介して流体を排出することで圧縮可能となっている。
【0037】
以上のように構成される位置検出構造においても、圧力室24d及びその室内の流体が、第1実施形態の第2スプリング30と同様に変形手段として作用して、スライダ28がスプール24に対して追従するときに、スプール24からスライダ28へと力を伝達すると共に、スプール24がスライダ28に対して相対移動するときに、圧力室24dの室内が変形することでスプール24の相対移動を可能とするために、第1実施形態と同様に作用させることができる。
【0038】
図4は、本発明の第3実施形態を表す図である。同一または同様の部材、部分は第1実施形態と同じ符号を付してその詳細説明を省略する。
【0039】
この例では、スプール24内の圧力室24dがスプール24の中心孔24bとスライダ28とによって完全に囲繞されており、圧力室24d内には、気体(例えば窒素等)を封入した可撓性の袋38が配設される。
【0040】
この袋38内に封入される気体の圧力によって、スライダ28は、常時、中心孔24bの底面から離反する方向に付勢される。また、袋38内の気体は圧縮可能となっている。
【0041】
以上のように構成される位置検出構造においても、気体が封入された袋38が、第1実施形態の第2スプリング30と同様に変形手段として作用して、スライダ28がスプール24に対して追従するときに、スプール24からスライダ28へと力を伝達すると共に、スプール24がスライダ28に対して相対移動するときに、その袋38が変形することでスプール24の相対移動を可能とするために、第1実施形態と同様に作用させることができる。
【0042】
図5A〜図5Cは、本発明の第4実施形態を表す図である。同一または同様の部材、部分は第1実施形態と同じ符号を付してその詳細説明を省略する。
【0043】
この例では、スプール24の外周面に、スプール24に対して枢動可能に一端が軸着されるアーム40が取り付けられており、アーム40の他端側とスプール24との間には板バネ42が架設されている。アーム40は、板バネ42によってその回動が一方向に付勢されるものの、スプール24に形成されたストッパー24fによってアーム40の一方向の回動は規制されるようになっている。アーム40と板バネ42とによって変形手段が構成される。
【0044】
また、スプール24と並列にスリーブ20の大径孔20b内には、可動部材としてのスライドバー43が配設される。スライドバー43の一端は、ボディ22内に配設された検出センサとしてのスイッチ44の可動部44aに固定されており、スライドバー43は可動部44aと一体に移動するようになっている。スイッチ44の可動部44aは枢動可能となっており、可動部44aが枢動して可動部44aの接点が固定部44bの接点に接触してスイッチ44をオンとすることが可能となっているが、常時は、両接点が離反するように可動部44aが付勢されておりスイッチ44がオフとなっている。スイッチ44の可動部44aに作用する付勢力と、板バネ42によってアーム40に作用する付勢力とでは、後者の方が強いものとなっている。
【0045】
スイッチ44がオフで、スプール24が全閉状態において、スライドバー43の他端とアーム40との間には、図5Aに示したように、隙間S4が形成されているとよい。
【0046】
以上のように構成される位置検出構造においては、弁の全閉状態において、前述のように、スイッチ44はオフの状態になる。
【0047】
この弁の全閉状態から、スプール24が弁シート20eから離反するように隙間S4分移動すると、アーム40がスライドバー43の他端に当接して、スライドバー43がスプール24と一緒に移動する。これによって、スイッチ44の可動部44aが枢動し始める。そして、図5Bに示すように、スプール24が中間位置に到達するタイミングで、スイッチ44がオンとなる。そして、可動部44a及びスライドバー43はそれ以上の移動が不可能となる。
【0048】
さらに、図5Cに示すように、スプール24が弁シート20eから離反するように移動したときに、可動部44a及びスライドバー43は移動不能となっているので、アーム40が板バネ42の付勢力に抗して枢動して、スプール24がスライドバー43に対して移動することができて、スプール24は全開状態となる。また、このときに、スイッチ44はオンの状態を維持している。
【0049】
以上の実施形態においても、スイッチ44のオン・オフを外部で捉えることで、第1実施形態と同様に、このオン/オフの切換によって、弁の開閉を外部において確認することができる。
【0050】
尚、以上の各実施形態の位置検出構造は、カートリッジ弁について適用していたがこれに限るものではなく、また、スプール24の移動方向が開閉するポートの開口面に対して垂直に移動するポペット形の制御弁に適用していたが、これに限るものではなく、開閉するポートの開口面に対して平行に移動するスプール形の制御弁に適用することも可能である。
【0051】
図6A〜6Cは、スプール形の制御弁において、本発明の位置検出構造を適用した場合の第5実施形態を表す要部図であり、同一または同様の部材、部分は第1実施形態と同じ符号を付してその詳細説明を省略する。
【0052】
複数のポート50a、50bが形成される本体50内をポートの開口面に対して平行に摺動可能にスプール24が配設されている。そして、スプール24の有底の中心孔24bには、スライダ28が摺動可能に且つ出没可能に配設されている。また、第1実施形態と同様に、スライダ28の延長部28aがスプール24に設けられたストッパー32を超えて、スプール24から延設されており、さらに第2延長部28bが本体50を挿通して本体50内に別途配置された近接スイッチ34に対向している。
【0053】
この第5実施形態においても、第1実施形態と同様に作用させることができ、本体50に形成される複数のポート50a、50bの非導通及び導通状態に相当するようにスプール24が中立位置(全閉位置または第1限界位置)(図6A)と切換位置(全開位置または第2限界位置)(図6C)との間を移動するときに、中立位置(図6A)と、中立位置と切換位置との間にある中間位置(図6B)にスプール24があることを検出することができるようになる。
【符号の説明】
【0054】
10 制御弁
24 スプール(弁)
24d 圧力室(変形手段)
28 スライダ(可動部材)
30 第2スプリング(変形手段、追従手段)
32 ストッパー(追従手段)
34 近接スイッチ(検出センサ)
38 袋(変形手段)
40 アーム(変形手段)
42 板バネ(変形手段)
43 スライドバー(可動部材)
44 スイッチ(検出センサ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1限界位置と第2限界位置との間で移動可能な弁を有し、第1限界位置と第2限界位置の間の中間位置において弁の開閉状態が変化するようになった制御弁における弁の位置を検出する位置検出構造であって、
弁に追従可能となって第1位置と第2位置との間で移動可能となった可動部材と、
前記可動部材が第1位置及び第2位置に位置することをそれぞれ検出可能となった検出センサと、
弁が第1限界位置から中間位置まで移動するときに、可動部材を第1位置から第2位置へと移動させると共に、弁が中間位置から第2限界位置まで移動するときに、可動部材に対して弁の相対移動を可能とし、可動部材を第2位置に保持させる追従手段と、
を備えることを特徴とする制御弁の位置検出構造。
【請求項2】
前記追従手段は、前記可動部材と前記弁との間に設けられる変形手段を有しており、可動部材が弁に対して追従するときに、該変形手段を介して弁から可動部材へと力が伝達され、弁が可動部材に対して相対移動するときに、該変形手段が変形することで弁の相対移動を可能とすることを特徴とする請求項1記載の制御弁の位置検出構造。
【請求項3】
前記変形手段は、前記可動部材と前記弁との間に介挿されて、可動部材を弁から離反する方向に常時付勢しており、前記追従手段は、可動部材の弁からの離反を規制するストッパーをさらに備えることを特徴とする請求項2記載の制御弁の位置検出構造。
【請求項4】
前記可動部材は、前記弁に形成された中心孔内に摺動可能に且つ出没可能に配設され、中心孔と可動部材によって形成される室内に前記変形手段が配設されることを特徴とする請求項2または3記載の位置検出構造。
【請求項5】
前記制御弁は、弁が弁シートに着座した全閉位置と弁シートから完全に離反した全開位置との間で移動可能となったポペット形制御弁であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の位置検出構造。
【請求項1】
第1限界位置と第2限界位置との間で移動可能な弁を有し、第1限界位置と第2限界位置の間の中間位置において弁の開閉状態が変化するようになった制御弁における弁の位置を検出する位置検出構造であって、
弁に追従可能となって第1位置と第2位置との間で移動可能となった可動部材と、
前記可動部材が第1位置及び第2位置に位置することをそれぞれ検出可能となった検出センサと、
弁が第1限界位置から中間位置まで移動するときに、可動部材を第1位置から第2位置へと移動させると共に、弁が中間位置から第2限界位置まで移動するときに、可動部材に対して弁の相対移動を可能とし、可動部材を第2位置に保持させる追従手段と、
を備えることを特徴とする制御弁の位置検出構造。
【請求項2】
前記追従手段は、前記可動部材と前記弁との間に設けられる変形手段を有しており、可動部材が弁に対して追従するときに、該変形手段を介して弁から可動部材へと力が伝達され、弁が可動部材に対して相対移動するときに、該変形手段が変形することで弁の相対移動を可能とすることを特徴とする請求項1記載の制御弁の位置検出構造。
【請求項3】
前記変形手段は、前記可動部材と前記弁との間に介挿されて、可動部材を弁から離反する方向に常時付勢しており、前記追従手段は、可動部材の弁からの離反を規制するストッパーをさらに備えることを特徴とする請求項2記載の制御弁の位置検出構造。
【請求項4】
前記可動部材は、前記弁に形成された中心孔内に摺動可能に且つ出没可能に配設され、中心孔と可動部材によって形成される室内に前記変形手段が配設されることを特徴とする請求項2または3記載の位置検出構造。
【請求項5】
前記制御弁は、弁が弁シートに着座した全閉位置と弁シートから完全に離反した全開位置との間で移動可能となったポペット形制御弁であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の位置検出構造。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【公開番号】特開2011−190821(P2011−190821A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54959(P2010−54959)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000003388)東京計器株式会社 (103)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000003388)東京計器株式会社 (103)
【Fターム(参考)】
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