説明

制御弁式蓄電池

【課題】電槽と蓋部との接合部の剥がれやクラックの発生を回避し、設置性に優れた制御弁式蓄電池を提供する。
【解決手段】電槽11の側面22に蓋部12より外側に突出し、自重を支えるに足る強度を有したリブ31を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御弁式蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
制御弁式蓄電池は、寝かせても電解液が漏れないことから、電槽に接合される蓋部を上側にした正立状態で設置する以外に、電槽の側面を下側にした横置き状態でも用いることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−15090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この種の蓄電池は、電槽に蓋部を接合(接着または融着)した構成であるため、この接合部が最も強度的に弱くなっている。更に、この部分は電槽と蓋を成形金型から抜いたときのテーパーの突き合わせとなるので、ほかの箇所より突出してしまう。このため、横置きすると最も弱い「接合部」に荷重を集中させてしまうことになり、接合部の剥がれやクラックが生じる恐れがある。
【0005】
また、この種の蓄電池を、横並びかつ多段で蓄電池収納架台に設置して大容量の据置型蓄電池を構成する場合がある。ここで、図12(A)(B)は大容量の据置型蓄電池の正面図および側面図を各々示しており、符号1は蓄電池、符合2は電槽、符合3は蓋部、符号4は蓄電池収納架台、符号5は、蓄電池1の飛び出しを抑える上下一対の飛び出し防止金具である。
このように大容量の据置型蓄電池を構成する場合には、地震等の振動で蓄電池同士がぶつかって接合部の剥がれやクラックが生じる事態を避けるべく、図13(A)(B)に示すように、蓄電池1を一定の間隔を空けて横並びに配置し、その隙間にスペーサ6を挿入していた。ここで、図13(A)は蓄電池1を正立状態で横並びに配置する場合を示し、図13(B)は蓄電池1を横置きで横並びに配置する場合を示している。
【0006】
しかし、据置用蓄電池には、蓄電池1を数百個単位で用いる場合があり、蓄電池1毎に間隔を空けてスペーサ6を入れる作業に時間と手間がかかってしまい、また、スペーサ6が長期的にはずれて脱落してしまうおそれもある。
そこで、本発明の目的は、電槽と蓋部との接合部の剥がれやクラックの発生を回避し、設置性に優れた制御弁式蓄電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、電槽の側面に蓋部より外側に突出し、自重を支えるに足る強度を有したリブを備えたことを特徴とする。この構成によれば、電槽の側面に蓋部より外側に突出し、自重を支えるに足る強度を有したリブを備えるので、蓄電池の側面に作用する外力をリブ全体で受けて電槽と蓋部との接合部への応力集中を避けることができる。従って、接合部の剥がれやクラックの発生を回避でき、設置工事や保守点検を容易に行うことができる。
【0008】
上記構成において、前記リブが電槽と蓋部との接合部に沿って延在するようにしてもよい。この構成によれば、リブが電槽と蓋部との接合部に沿って延在するので、接合部への応力集中を避けると共に接合部を効率よく補強できる。
【0009】
また、本発明は、電槽の側面の蓋部近傍に該電槽を架台に固定するためのリブを備えたことを特徴とする。電槽の側面の蓋部近傍に該電槽を架台に固定するためのリブを備えれば、蓄電池の側面に作用する外力をリブ全体で受けて電槽と蓋部との接合部への応力集中を避け、接合部の剥がれやクラックの発生を回避できる。また、このリブにより電槽を架台に固定するので、飛び出し防止金具を用いることなく、蓄電池を容易に固定することができ、設置工事や保守点検を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、電槽と蓋部との接合部の剥がれやクラックの発生を回避し、設置性に優れた制御弁式蓄電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る制御弁式蓄電池を正立状態で示す斜視図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】電槽と蓋部との接合部を周辺構成と共に示す図である。
【図4】制御弁式蓄電池を正立状態で横並びに配置した図である。
【図5】制御弁式蓄電池を横置きで横並びに配置した図である。
【図6】蓄電池を飛び出し防止金具と共に周辺構成を示す側面図である。
【図7】従来の制御弁式蓄電池飛び出し防止構造の参考例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る制御弁式蓄電池を正立状態で示す斜視図である。
【図9】制御弁式蓄電池を横置きで蓄電池収納架台に配置した場合の側面図である。
【図10】変形例に係る制御弁式蓄電池を示す図である。
【図11】変形例に係る制御弁式蓄電池を示す図である。
【図12】(A)は大容量の据置型蓄電池の正面図であり、(B)はその側面図である。
【図13】(A)は蓄電池を正立状態で横並びに配置する場合を説明する図であり、(B)は蓄電池を横置きで横並びに配置する場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る制御弁式蓄電池を正立状態で示す斜視図であり、図2は、その側面図である。
この制御弁式蓄電池10は、UPS(無停電電源装置)等に用いられる据置型の鉛蓄電池であり、合成樹脂製(本例ではABS樹脂製)の電槽11と、この電槽11に接合される合成樹脂製(本例ではABS樹脂製)の蓋部12とを備えている。
電槽11は、上部に開口部を有する箱形状を有し、この電槽11内には、基板に活物質ペーストが充填された正極板と負極板とを、微細ガラス繊維を主体としたマット状セパレーターを介して交互に積層した極板群が収納され、この極板群に電解液が含浸される。
【0013】
蓋部12は、電槽11の開口部を覆う蓋形状を有し、端子取り付け面となる上面には、上方に突出する金属板状の正極端子13Aおよび負極端子13Bと、制御弁14とが設けられる。制御弁14は、電槽11内に電解液を注液する開口部を覆うように取り付けられ、通常は、蓄電池10内部の気密を保つために閉じており、充電時等に蓄電池10の内圧が上昇したときは開いて圧を逃がすものである。
なお、この制御弁式蓄電池10は、比較的大容量のものであるため、端子部を構成する正極端子13Aおよび負極端子13Bを2個ずつ有しているが、端子数は容量に応じて変更されるものであり、例えば、小容量の場合は各端子13A、13Bは一個ずつとされる。
【0014】
電槽11は、箱体を構成する電槽本体21と、電槽本体21の側面(側壁)22に一体に設けられ、蓋部12より外側に突出するリブ31とを備えている。
図3は、電槽11と蓋部12との接合部15を周辺構成と共に示す図である。
電槽本体21の上面21Aは、蓋部12が接合される接合面を構成し、この接合面には、この電槽本体21の外縁に沿って延在する凹部21Bが設けられている。また、蓋部12の外縁に沿った下面12Aは、電槽本体21が接合される接合面を構成し、この接合面には、蓋部12の外縁に沿って延在して上記凹部21Bに嵌合する下方凸部12Bが設けられている。
電槽11に蓋部12を接合する場合には、蓋部12の下方凸部12Bを電槽本体21の凹部21Bに嵌めることで接合位置を容易に位置決めでき、かつ、この位置決めの状態で、接着剤により電槽11と蓋部12とを接合することにより、接合強度を十分に確保できる。
【0015】
この電槽11と蓋部12とは各々樹脂成形により形成される。この樹脂成形を行う場合に、電槽11と蓋部12との接合部15は、電槽11と蓋部12のそれぞれを成形金型から抜くときのテーパーの突き合わせ部分になっている。
すなわち、図3に示すように、電槽本体21の接合部15近傍部分は、電槽本体の下方に行くほど小さくなるように抜き勾配TP1が付されており、電槽本体21の下方に向けて成形金型を抜きやすくしている。
また、蓋部12の接合部15にも、蓋部12の上方に行くほど小さくなるように抜き勾配TP2が付されており、蓋部12の上方に向けて成形金型を抜きやすくしている。
【0016】
図1および図2に示すように、リブ31は、電槽11の深さ方向に延びる複数本の縦リブ32と、電槽11の蓋部12近傍で接合部15に沿って延在する横リブ33とを備えており、完成体の蓄電池10の自重を支えるに足る十分な強度を有したリブに形成される。
縦リブ32の各々は、電槽本体21の上面21Aから底面23の間に渡って一直線状に所定の幅を持って延在し、接合部15の周囲に沿って所定の間隔を空けて設けられる。
詳述すると、縦リブ32は、図2に示すように、比較的広い間隔に設定された第1間隔L1と、この第1間隔L1よりも狭い間隔に設定された第2間隔L2とを交互に繰り返し、どの側面22にも複数本の縦リブ32が存在するように設けられる。本実施形態では、電槽本体21が上面視で長方形形状であり、その短辺に相当する側面22Aには4本の縦リブ32が設けられ、長辺に相当する側面22Bには6本の縦リブ32が設けられる。
【0017】
また、縦リブ32は、電槽本体21の対向する側面22同士(側面22A同士、側面22B同士)で同じ位置に設けられており、つまり、対向する側面22間の中心面を基準にした対称位置に設けられている。このため、複数の電槽11を正立状態、或いは、横置きのいずれの状態でも、横並びに配置した場合に、隣接する電槽11間の縦リブ32の全てが互いに対向するようになっている。
これらの縦リブ32は、蓋部12よりも外側に突出するリブ高さを有し、電槽本体21の側面22のうち抜き勾配TP1を除く部分が等高リブであり、抜き勾配TP1の部分は、等高リブの端面をそのまま垂直上方向に延在させるように抜き勾配TP1の傾斜を相殺し、縦リブの端面が垂直面に形成される。
【0018】
すなわち、本実施形態では、各側面22に電槽本体21の長手方向全体に渡って延びる複数本の縦リブ32を形成し、かつ、これら縦リブ32の端面を側面22毎に同一平面上に揃えている。このため、側面22に向けて外力が加わった場合には、縦リブ32全体で応力を受けることができる。
この場合、各縦リブ32が電槽本体21の長手方向全体に渡って延びるので、縦リブ32の断面積を広く確保することができ、断面積を広く確保できる分、縦リブ32に作用する応力を小さくすることができ、蓄電池10の自重を支えるに足る十分な強度を容易に得ることができる。
また、これら縦リブ32により、電槽本体21の上面21Aから底面23に至る強度を効率よく補強することができる。
【0019】
横リブ33は、電槽本体21の上面21Aに沿って所定の間隔を空けて延在するように設けられる。より具体的には、横リブ33は、縦リブ32の配置間隔が長い方の第1間隔L1を所定の幅を持って横断するように設けられて縦リブ32と一体的につながるリブとされている。また、この横リブ33の端面は、縦リブ32の端面と同一平面に揃うようになっている。
このため、側面22に向けて外力が加わった場合には、その側面22に設けられた縦リブ32と横リブ33の両方で応力を受けることができ、その分、各リブ32、33に作用する応力が小さくなるので、蓄電池10の自重を支えるに足る十分な強度を有するリブを容易に設けることができる。
【0020】
しかも、この横リブ33は、電槽本体21の接合部15に沿って延びるので、この接合部15を補強することができる。本実施形態では、電槽11の接合部15近傍には、図3に示すように、蓋部12の下方凸部12Bが嵌合する凹部21Bが設けられるので、電槽本体21においては凹部21Bの部分が強度が低い部分となる。本実施形態では、この凹部21Bの側方に横リブ33を設けるので、凹部21Bの部分の強度低下を横リブ33で回避することができる。
本実施形態の横リブ33は、図3に示すように、側断面視で、凹部21B全体をカバーする幅に形成されており、これによって、凹部21Bの部分全体の強度を向上することができる。
【0021】
さらに、本実施形態では、縦リブ32の配置間隔が短い第2間隔L2には横リブ33が存在しないようにすることで、縦リブ32の第2間隔L2内の空気を上下に抜き易くしている。このため、蓄電池10の熱を外気に効率よく放熱することができる。
なお、縦リブ32の配置間隔が長い第1間隔L1には、上側だけに横リブ33が存在し、下側は解放する。このため、縦リブ32の第1間隔L1内の空気は下側から流入、流出することで蓄電池10の熱を放出する。
【0022】
次に、この制御弁式蓄電池10を多数配置して大容量の据置型蓄電池を構成する場合を説明する。
図4は、制御弁式蓄電池10を正立状態で横並びに配置した状態を示している。なお、図中、符号41は、蓄電池収納架台40の一部を構成する棚板(台部材)である。
制御弁式蓄電池10を正立状態で横並びに配置する場合、蓄電池10の底面23が棚板41に載置され、この蓄電池10のいずれかの側面22側(本例では22B側)に隣接する蓄電池10が配置されることになる。
上述したように、本実施形態の蓄電池10の側面22には、蓋部12より外側に突出する縦リブ32および横リブ33が設けられているので、隣り合う蓄電池10の縦リブ32同士および横リブ33同士をつきあわせて配置することで、蓄電池10の接合部15を間隔を空けて配置できる。
【0023】
この場合、隣り合う蓄電池10の接合部15を間隔を空けて配置するために従来必要としていたスペーサが不要になり、蓄電池10の配置作業を容易にできる。
しかも、縦リブ32および横リブ33が、蓄電池10の自重を支えるに足る十分な強度を有したリブに形成されているので、地震等の影響で蓄電池10に隣の蓄電池10からの外力が作用した場合、その外力を蓄電池10の左右側に位置するリブ32、33全体で受けることができる。このため、蓄電池10の接合部15への応力集中を避けることができ、接合部15の剥がれやクラックの発生を回避できる。
【0024】
図5は、制御弁式蓄電池10を横置きで横並びに配置した状態を示している。
この場合には、制御弁式蓄電池10のいずれか1つの側面22が下側となるため、この下側に設けられた縦リブ32および横リブ33が棚板41に載置される。この場合も、蓄電池10のいずれかの側面22側(本例では22B側)に隣接する蓄電池10が配置されることになる。
上述したように、各側面22に設けられる縦リブ32および横リブ33は、蓄電池10の自重を支えるに足る十分な強度を有したリブに形成されているので、制御弁式蓄電池10の下側に位置する側面22の縦リブ32および横リブ33は、蓄電池10を十分に支えることができ、蓄電池10の接合部15を浮かした状態で支持する足部として機能する。
また、地震等の影響で蓄電池10に隣の蓄電池10からの外力が作用した場合には、蓄電池10を正立状態で置いた場合と同様に、その外力を蓄電池10の左右側に位置するリブ32、33全体で受けることができる。このため、蓄電池10の接合部15への応力集中を避けることができ、接合部15の剥がれやクラックの発生を回避できる。
【0025】
ところで、制御弁式蓄電池10を横置きで横並びに配置する場合には、蓄電池10の前方への飛び出しを抑える飛び出し防止金具が必要になる。
図6は、蓄電池10を飛び出し防止金具51と共に周辺構成を示す側面図である。
ここで、図6中、符号42は、蓄電池収納架台40の一部を構成する前側の縦枠(以下、前縦枠という)であり、符号43は、後側の縦枠である。この前後の縦枠42、43は、左右一対で設けられ、この前後左右の4本の縦枠42、43間に、蓄電池10を載置する棚板41が支持されている。また、この棚板41を上下に多段で配置することによって、多列、多段で蓄電池10が配置された大容量の据置型蓄電池が構成される。
【0026】
本実施形態のリブ付きの制御弁式蓄電池10を横置きで配置する場合、図6に示すように、飛び出し防止金具51は、蓄電池10の上下のリブ前端を抑えるように上下一対で設けられる。すなわち、飛び出し防止金具51は、左右に延在する板形状を有し、棚板41に横置きされた蓄電池10から上下に突出する横リブ33の前端を抑えるように、ボルト(締結部材)45によって蓄電池収納架台40の前縦枠42に固定される。これによって、蓄電池10の前側への飛び出しが規制されると共に、蓄電池10の配置、飛び出し防止金具51の取り付け等の蓄電池10の配置に伴う各種作業を前面側から行うことができる。
この場合、上下一対の飛び出し防止金具51は、蓄電池10の蓋部12の長辺に相当する間隔を空けて配置されるので、蓋部12に設けられた端子13A、13Bと飛び出し防止金具51との間の離間距離LAは、蓋部12の側面から端子13A、13Bまでの距離(図6中、符合LAで示す距離)となる。
【0027】
ここで、図7は、従来の制御弁式蓄電池飛び出し防止構造の参考例を示す図である。この図に示すように、従来の構成では、上下一対の飛び出し防止金具5によって制御弁式蓄電池1の蓋部2の上下を押さえるため、蓋部12に設けられた端子13A、13Bと飛び出し防止金具5との間の離間距離が、図7中、符合LBで示す距離となる。すなわち、飛び出し防止金具5が蓋部2に重なる分だけ、離間距離LBは、上記軸間距離LAよりも狭くなる。
この種の蓋部の端子取り付け面は、蓄電池10の構造上あまり広くないため、図7に示す従来構造の場合、端子13A、13Bと飛び出し防止金具5との間の離間距離LBを充分にとることができず、設置工事や保守点検の際に誤ってショートさせないように注意する必要が生じる。また、飛び出し防止金具5が蓋部2を電槽3の方向に押さえつけるため、その力が強すぎると、蓋部2と電槽3の接合部にダメージを与えてしまうおそれもある。
これに対し、本実施形態では、端子13A、13Bと飛び出し防止金具51との間の離間距離LAを、従来の距離LBよりも広くとることができるので、設置工事や保守点検を容易に行うことができ、また、飛び出し防止金具51が蓋部12を押さえないので、接合部15へダメージを与えることもない。
【0028】
以上説明したように、本実施形態の制御弁式蓄電池10には、電槽11の側面22に蓋部12より外側に突出し、自重を支えるに足る強度を有したリブ31(縦リブ32、横リブ33)が設けられるので、この蓄電池10の側面22に作用する外力をリブ31全体で受けて接合部15への応力集中を避けることができ、接合部15の剥がれやクラックの発生を回避でき、設置性が向上する。
しかも、上記リブ31を、電槽11の深さ方向に延びる縦リブ32と、電槽11の蓋部12近傍で接合部15に沿って延在する横リブ33とで構成したので、側面22に設けられるリブ31の断面積を広く確保でき、蓄電池10の自重を支えるに足る十分な強度を容易に得ることができる。この場合、縦リブ32により電槽11の深さ方向の強度を補強でき、横リブ33により接合部15への応力集中を避けると共に接合部15を効率よく補強できる。
また、制御弁式蓄電池10を横置きで配置した場合には、リブ31を飛び出し防止金具51で押さえて飛び出しを規制するようにしたので、端子13A、13Bと飛び出し防止金具51との間の離間距離LAを広くとることができる。これによって、前面側から設置工事や保守点検を容易に行うことができ、また、飛び出し防止金具51による接合部15へのダメージを回避することができる。
【0029】
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態に係る制御弁式蓄電池を正立状態で示す斜視図である。第2実施形態では、制御弁式蓄電池10の電槽11に設けられる横リブ33を更に延長し、ボルト45(図6参照)を通す貫通孔33Hを形成することによって、この横リブ33を、電槽11を蓄電池収納架台(架台)40に取り付けるための取付用リブ33Xに構成している。
この取付用リブ33Xは、電槽11を棚板41に載置した場合に電槽11の上下に位置する短辺側の側面22Aに一対ずつ設けられ、電槽11の上面に沿って縦リブ32よりも更に外側に突出する平板形状を有し、この平板形状の部分の略中央に上記貫通孔33Hが形成される。なお、電槽11を棚板41に載置した場合に電槽11の左右に位置する長辺側の側面22Bには、上記第1実施形態と同様の横リブ33が設けられる。
【0030】
図9は、制御弁式蓄電池10を横置きで蓄電池収納架台40に配置した場合の側面図である。
この図に示すように、制御弁式蓄電池10を横置き配置する場合は、この蓄電池10に設けられた上下の取付用リブ33Xを、ボルト45によって蓄電池収納架台40の棚板41に直接固定することによって、蓄電池10の飛び出しを規制する。
この場合、飛び出し防止金具を用いることなく、蓄電池10を蓄電池収納架台40に固定できるので、部品点数を低減することができる。しかも、端子13A、13Bの周辺に飛び出し防止金具がないので、端子13A、13B周辺の作業スペースを広く確保でき、設置工事や保守点検を容易にできる。また、飛び出し防止金具を用いないので、飛び出し防止金具による接合部15へのダメージも回避できる。
【0031】
このように、電槽11の側面22の蓋部12近傍に該電槽11を架台40に固定するための架台取付用リブ33Xを設けたので、飛び出し防止金具を用いることなく、蓄電池10を蓄電池収納架台40に固定することができる。
この場合、制御弁式蓄電池10の下側に位置する縦リブ32が、蓄電池10の接合部15を浮かした状態で支持する足部として機能するので、蓄電池10の自重による接合部15への応力集中を避けることができ、接合部15の剥がれやクラックの発生を回避できる。
また、蓄電池10の左右側面22には、第1実施形態と同様のリブ31が設けられるので、隣の蓄電池10からの外力が作用した場合には、その外力を蓄電池10の左右側に位置するリブ31で受けることができ、接合部15への応力集中を避けることができる。すなわち、本実施形態の蓄電池10においても、第1実施形態と同様の各種効果を有する。
なお、この実施形態では、制御弁式蓄電池10を横置き設置する場合を説明したが、正立状態で設置することも可能である。この場合、上記架台取付用リブ33Xを架台40に固定することにより、地震等で強い衝撃を受けた際に蓄電池10が飛び上がらないようにすることができる。
【0032】
上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上述の各実施形態では、横リブ33を間隔を空けて設ける場合について説明したが、これに限らず、横リブ33を接合部15の全周に渡って設けるようにしてもよい。図10は、横リブ33を全周に渡って設けた例であり、図11は、架台取付用リブ33Xおよび横リブ33を全周に渡って設けた例を示している。この構成では、横リブ33(架台取付用リブ33Xを含む)を接合部15の全周に渡って設けるので、横リブ33の断面積を広く確保でき、蓄電池10の自重を支えるに足る十分な強度を有するリブを容易に設けることができ、かつ、接合部15全体の強度をより向上することができる。
【符号の説明】
【0033】
1、10 制御弁式蓄電池
2、11 電槽
3、12 蓋部
4、40 蓄電池収納架台(架台)
5、51 飛び出し防止金具
15 接合部
14 制御弁
21 電槽本体
22、22A、22B 側面
31 リブ
32 縦リブ
33 横リブ
33X 架台取付用リブ
41 棚板
45 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電槽の側面に蓋部より外側に突出し、自重を支えるに足る強度を有したリブを備えたことを特徴とする制御弁式蓄電池。
【請求項2】
前記リブが電槽と蓋部との接合部に沿って延在することを特徴とする請求項1に記載の制御弁式蓄電池。
【請求項3】
電槽の側面の蓋部近傍に該電槽を架台に固定するためのリブを備えたことを特徴とする制御弁式蓄電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−277847(P2010−277847A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129189(P2009−129189)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000005382)古河電池株式会社 (314)
【Fターム(参考)】