説明

制御機器

【課題】ベース部と本体部が着脱可能な制御機器において、複数の制御機器を連結する際に位置ずれが生じることのない制御機器を得る。
【解決手段】一方の側面にはベース位置決め穴2aが形成され、他方の側面には、ベース位置決め穴2aに対向する位置にベース位置決めピン2bが形成されるベース部2と、ベース部2と着脱可能な本体部3とを備えた制御機器1において、本体部3は、一方の側面にはケース位置決め穴3aが形成され、他方の側面には、ケース位置決め穴3aに対向する位置にケース位置決めピン3bが形成され、ケース位置決めピン3b形成部位に弾性変形可能なばね部6が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数連結され、本体部とベース部が着脱可能である制御機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アナログプロセス量を制御するモジュール型調整計等の制御機器は、用途に応じて、入出力の種別や機能により最適なモジュールが選択され、複数の機器を接続したユニットとして使用される。最適なユニットに任意に対応するため、また故障時にはモジュール部分のみを交換可能にするため、ベース部(電源、通信機能)はDINレールに固定したまま、本体部のみを取り外し可能とした構造となっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−260822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の制御機器は、ベース部のみに位置決めのためのピンと該ピンに係合するピン穴を設けているため、ベース部のみの位置を合わせて制御機器を連結しても本体部の位置がずれてしまうため、作業時に連接する機器の位置合わせ作業が必要となるという問題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、ベース部と本体部が着脱可能な制御機器において、複数の制御機器を連結する際に位置ずれが生じることのない制御機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る制御機器は、一方の側面にはベース位置決め穴が形成され、他方の側面には、ベース位置決め穴に対向する位置にベース位置決めピンが形成されるベース部と、ベース部と着脱可能な本体部とを備えた制御機器において、本体部は、一方の側面にはケース位置決め穴が形成され、他方の側面には、ケース位置決め穴に対向する位置にケース位置決めピンが形成され、ケース位置決めピン形成部位に弾性変形可能なばね部が形成されるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、上記のように構成したため、複数の制御機器を連接する際、ベース部のみではなく、本体部に形成されるケース位置決め穴と隣り合う本体部に形成されるケース位置決めピンとを係合させて位置決めが行われるため、位置補正を行うことなく制御機器の本体部の位置を揃えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る制御機器1を示す図である。図1(a)は、実施の形態1に係る制御機器1の左側面図であり、図1(b)は、実施の形態1に係る制御機器1の右側面図であり、図1(c)は、実施の形態1に係る制御機器1の上面図である。
図1に示すように、制御機器1はベース(ベース部)2及びケース(本体部)3により構成される。
【0009】
ベース2は、電源及び通信機能等の機能を有するものであり、ベース2の裏面の中央部はDINレール11に固定される。ベース2の左側面には、図1(a)に示すように、上下にベース位置決め穴2aが2つ形成され、ケース3側の中央部には雌型連結コネクタ4aが設けられる。また、ベース2の右側面には、図1(b)に示すように、ベース2の左側面に形成されたベース位置決め穴2aに対向する位置にベース位置決めピン2bが形成され、ベース2の左側面に設けられる雌型連結コネクタ4aに対向する位置に雄型連結コネクタ4bが設けられる。また、ベース2のケース3側の下端には係合部5aが形成され、ベース2のケース3側の上面には、図1(c)に示すように、ケース3をベース2に装着するための係合穴5bが形成されている。
【0010】
ケース3は、内部にCPUや電子部品等の機能部品より構成されたPLC等が収容されたものである。ケース3の左側面には、図1(a)に示すように、ケース3のベース2側とは反対側の上下にケース位置決め穴3aが2つ形成される。また、ケース3の右側面には、図1(b)に示すように、ケース3の左側面に形成されたケース位置決め穴3aに対向する位置にケース位置決めピン3bが設けられる。このケース位置決めピン3bは、先端が細くなるようなテーパ形状に形成される。また、このケース位置決めピン3bの左右にはケース位置決めピン3bを挟むようにして2本のスリット3cが上下方向に形成されており、このスリット3cを設けることにより、スリット3cに挟まれる内側部分に両端のみで保持され弾性変形可能であるばね部6が形成される。また、ケース3のベース2側の下端には、ベース2に設けられる係合部5aと係合する係合爪7aが形成される。また、図1(c)に示すように、ケース3のベース2側の上面には、切り欠き8を2箇所設けることにより弾性変形可能なばね部9が形成されている。このばね部9の先端部分にはベース2に形成される係合穴5bと係合するスナップフィット爪7b及び係合穴5bとスナップフィット爪7bとの係合を解除するボタン10が形成される。
【0011】
次に、上記のように構成されるベース2とケース3の着脱について説明する。
図2は、この発明の実施の形態1に係る制御機器1のケース3の着脱を説明するための図である。
図2に示すように、まず、ベース2にケース3を装着する場合には、ベース2のケース3側下端に形成される係合部5aとケース3のベース2側下端に形成される係合爪7aとを係合させる。次いで、係合部5aに係合したケース3を、係合部5aを回転支点にして回動させ、ベース2の上面に形成される係合穴5bにケース3の上面に形成されるスナップフィット爪7bを係合させることによりベース2にケース3を装着する。
また、ベース2からケース3を取り外す場合には、ケース3の上面に形成されるボタン10を押圧することにより、ベース2の上面に形成される係合穴5bとケース3の上面に形成されるスナップフィット爪7bとの係合が解除される。次いで、ベース2のケース3側下端に形成される係合爪5aを回転支点としてケース3を回動させ、係合部5aと係合爪7aとの係合を解除することにより、ケース3がベース2から取り外される。
【0012】
次に、上記のように構成されるベース2及びケース2を有する制御機器1の連結について説明する。図3は、この発明の実施の形態1に係る制御機器1の連結を説明するための図である。
【0013】
すでに設置されている制御機器1に新たな制御機器1を連結する場合、設置されている制御機器1のベース2の左側面に形成されたベース位置決め穴2a及びケース3の左側面に形成されたケース位置決め穴3aと、新たに連結しようとしている制御機器1のベース2の右側面に形成されたベース位置決めピン2b及びケース3の右側面に形成されたケース位置決めピン3bとをそれぞれ係合させて位置決めを行い、設置されている制御機器1のベース2の左側面に設けられる雌型連結コネクタ4aと新たに連結する制御機器1のベース2の右側面に設けられる雄型連結コネクタ4bとを接続する。これにより、設置されている制御機器1と新たに連結する制御機器1とが電気的に接続されると共に機械的にも接続され連結される。
ここで、図3に示すように、従来の制御機器1の連結での位置決めとは異なり、ケース3にもケース位置決め穴3a及びケース位置決めピン3bを形成し、ベース2及びケース3で位置決めを行うことにより、複数の制御機器1を連結する場合に、ケース3の位置がずれることはなくなる。
【0014】
また、ケース3の右側面に設けたられたケース位置決めピン3b形成部位に、両サイドにスリット3cが設けられることにより形成される弾性変形可能なばね部6を構成することにより、複数の制御機器1が連結された状態で、故障等により、あるケース3のみを着脱するような場合に、ケース位置決めピン3bをケース3の内側に押し込むことができ、ケース3のみを複数の連結された制御機器1から着脱することができる。また、ケース位置決めピン3bは先端が細く形成されるテーパ状に形成されるため、ケース位置決め穴3aとケース位置決めピン3bとの係合を容易に解除することができる。
【0015】
以上のように、この発明の実施の形態1に係る制御機器1によれば、ケース3は、一方の側面にはケース位置決め穴3aが形成され、他方の側面には、ケース位置決め穴3aに対向する位置にケース位置決めピン3bが形成され、ケース位置決めピン3b形成部位に弾性変形可能なばね部6が形成されるように構成したことにより、複数の制御機器1を連接する際、ベース2のみではなく、ケース3に形成されるケース位置決め穴3aと隣り合うケース3に形成されるケース位置決めピン3bとを係合させて位置決めが行われるため、位置補正を行うことなく制御機器1のケース3の位置を揃えることができ、さらに、ケース3のケース位置決めピン3bの形成部位にばね部6を形成することにより制御機器1連結後のケース3の着脱作業も容易に行うことができる。
【0016】
なお、この発明の実施の形態1に係る制御機器1では、ケース3の位置決めピン3bの形成部位に形成されるばね部6は、直線形状のスリット3cを2本形成することにより、両端で保持されるように形成したが、これに限るものではなく、図4に示すように、ばね部6は、コの字型形状のスリット3dを形成することにより、片端のみが保持されるように形成してよい。また、この場合のケース位置決めピン3bは、ばね部6の自由端側の先端に位置するように構成される。
【0017】
また、この発明の実施の形態1に係る制御機器1では、ケース3の位置決めピン3bの形成部位に形成されるスリット3c,3dはケース3の上下方向に形成して説明したが、これに限るものではなく、横方向に形成してもよい。
【0018】
また、この発明の実施の形態1に係る制御機器では、ばね部6上に形成されるケース位置決めピン3bは、図1(b)に示すように、2本のスリット3cを形成する場合には中央に配置し、図4に示すように、コの字型形状のスリット3dを形成する場合には先端に配置するようにしたが、ばね部6上であればどの位置に形成されてもよい。
【0019】
また、この発明の実施の形態1に係る制御機器1では、ケース3に形成されるケース位置決めピン3bはテーパ形状として説明したが、ケース位置決めピン3bを半球状に構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態1に係る制御機器の構造を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る制御機器のケースの着脱を説明するための図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る制御機器の連結について説明するための図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る制御機器のばね部の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1 制御機器
2 ベース部
2a ベース位置決め穴
2b ベース位置決めピン
3 ケース
3a ケース位置決め穴
3b ケース位置決めピン
3c スリット
3d コの字型形状のスリット
4a 雌型連結コネクタ
4b 雄型連結コネクタ
5a 係合部
5b 係合穴
6 ばね部
7a 係合爪
7b スナップフィット爪
8 切り欠き
9 ばね部
10 ボタン
11 DINレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側面にはベース位置決め穴が形成され、他方の側面には、前記ベース位置決め穴に対向する位置にベース位置決めピンが形成されるベース部と、
前記ベース部と着脱可能な本体部と
を備えた制御機器において、
前記本体部は、一方の側面にはケース位置決め穴が形成され、他方の側面には、前記ケース位置決め穴に対向する位置にケース位置決めピンが形成され、前記ケース位置決めピン形成部位に弾性変形可能なばね部が形成される
ことを特徴とする制御機器。
【請求項2】
ケース位置決めピンは先端が細く形成されるテーパ形状であることを特徴とする請求項1記載の制御機器。
【請求項3】
ケース位置決めピンは半球形状であることを特徴とする請求項1記載の制御機器。
【請求項4】
ばね部は、本体部にコの字型形状のスリットを形成することにより、片端で保持されるように形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載の制御機器。
【請求項5】
ばね部は、本体部に2本のスリットを形成することにより、両端で保持されるように形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載の制御機器。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちいずれか1項記載の制御機器を連結する際、隣り合うベース部のベース位置合わせ穴とベース位置合わせピンを係合させ、且つ隣り合う本体部のケース位置合わせ穴とケース位置合わせピンとを係合させて、連結したことを特徴とする制御機器の連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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