説明

剃刀パッケージ

【解決手段】剃刀ヘッド21がホルダ23に対し首振り方向Rへ押圧部27の弾性力に抗して回動する複数のT型剃刀20を収容する剃刀パッケージにおいて、係止孔12の表側係止部28及び裏側係止部29により剃刀ヘッド21を挟んで、剃刀パッケージの運搬時等に剃刀ヘッド21の動きを剃刀ヘッド21ごとに規制することができる。また、係止孔10に係入された複数のホルダ23を係止孔10の上端側係止部30及び下端側係止部31により挟んで、剃刀パッケージの運搬時等にホルダ23の動きを規制することができる。
【効果】押圧部27における良好な弾性を維持し、T型剃刀20の製造当初の首振り感触を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃体を有する剃刀ヘッドがホルダに対し相対移動し得る剃刀を複数収容することができる剃刀パッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1にかかるT型剃刀用包装容器では、複数のT型剃刀のホルダーをホルダー支持孔に挿入するとともに複数のT型剃刀のヘッドをヘッド支持孔に挿入して包装容器に対する各T型剃刀の動きを規制している。
【特許文献1】実公昭59−27422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1では、複数のT型剃刀のホルダーを一つのホルダー支持孔で互いに接触させた状態で並べているばかりでなく、複数のT型剃刀のヘッドも一つのヘッド支持孔で互いに接触させた状態で並べているので、例えばヘッドがホルダーに対しばねの弾性力に抗して首振りし得るT型剃刀を包装容器に収容する場合には、包装容器の運搬時や展示時等にヘッドに与えられる外力によりヘッドが不用意に動いてばねに対し単数回または頻繁に生じる負荷やばねの損傷等により例えばばねが塑性変形してばねの弾性性能が劣化し、T型剃刀の製造当初の首振り感触を得られなくなるおそれがあった。なお、剃刀ヘッドとホルダとの間でロック機構を設けてそれらの間の相対移動を規制することができるT型剃刀も周知になっているが、そのロック機構が複雑になって高価なものになる問題があり、安価なT型剃刀を複数収容することができる剃刀パッケージには適していない。
【0004】
この発明は、複数の剃刀を収容する剃刀パッケージにおいて、剃刀ヘッドとホルダとの相対移動を規制して剃刀の使用感触を維持することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
後記実施形態の図面(図1(a)及び図2〜4に示す第1実施形態、図5に示す第2実施形態、図1(b)及び図6(a)に示す第3実施形態、図1(c)及び図6(b)に示す第4実施形態)の符号を援用して本発明を説明する。
【0006】
請求項1の発明(第1〜4実施形態に対応)にかかる剃刀パッケージ1においては、刃体を有する剃刀ヘッド21がホルダ23に対し相対移動し得る剃刀20を複数収容することができ、各剃刀20の剃刀ヘッド21とホルダ23との相対移動を規制する移動規制部12,37,10を設けている。例えば、移動規制部としては、ホルダ23に対する剃刀ヘッド21の移動を規制するように剃刀ヘッド21に係止される剃刀ヘッド係止部12,37を各剃刀ヘッド21ごとに設けている。請求項1の発明では、剃刀ヘッド21とホルダ23との相対移動を規制して製造時の相対移動性能が保たれ、剃刀20の使用感触を維持することができる。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記各剃刀は剃刀ヘッド21の刃体の刃先の延設方向X21をホルダ23の長手方向Y23に対し直交させたT型剃刀20であって、前記移動規制部はその刃先延設方向X21に対し直交する方向を含む面Qに沿う首振り方向Rへ剃刀ヘッド21とホルダ23とが付勢手段27による弾性力に抗して相対移動するのを規制する。請求項2の発明では、剃刀ヘッド21とホルダ23とが所定の首振り方向Rへ弾性力に抗して相対移動するT型剃刀20を収容する剃刀パッケージ1において、剃刀パッケージ1の運搬時等に剃刀ヘッド21の動きを規制して良好な弾性を維持し、T型剃刀20の製造当初の首振り感触を得ることができる。
【0008】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記移動規制部は、ホルダ23に対する剃刀ヘッド21の移動を規制するように剃刀ヘッド21に係止される剃刀ヘッド係止部12,37と、剃刀ヘッド21に対するホルダ23の移動を規制するようにホルダ23に係止されるホルダ係止部10とを有している。請求項3の発明では、剃刀ヘッド係止部12,37とホルダ係止部10とを別々に設けて剃刀ヘッド21の動き及びホルダ23の動きをそれぞれ規制して、T型剃刀21の製造当初の首振り感触をより一層良好に維持することができる。
【0009】
請求項3の発明を前提とする請求項4の発明(第1〜2実施形態に対応)において、前記剃刀ヘッド21が係入されて係止される剃刀ヘッド係止部28,29を有する係止孔12は、各剃刀20ごとに互いに分離して形成されている。請求項4の発明では、剃刀ヘッド21の動きを剃刀ヘッド21ごとに係止孔12により規制することができる。
【0010】
請求項3または請求項4の発明を前提とする請求項5の発明(第1〜3実施形態に対応)において、前記剃刀ヘッド係止部は、剃刀ヘッド21が係入される係止孔12で、剃刀ヘッド21の移動方向Rにおける表裏両側のうち、刃体の刃先が露出する表側21aを係止する表側係止部28と、ホルダ23の頭部24に面する裏側21bを係止する裏側係止部29とを有し、その表側係止部28と裏側係止部29とにより剃刀ヘッド21を挟んで剃刀ヘッド21の移動を規制する。請求項5の発明では、係止孔12の表側係止部28及び裏側係止部29により剃刀ヘッド21の動きを剃刀ヘッド21ごとに規制することができる。
【0011】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項1の発明を前提とする第6の発明(第1,3,4実施形態に対応)において、前記各剃刀は剃刀ヘッド21の刃体の刃先の延設方向X21をホルダ23の長手方向Y23に対し直交させたT型剃刀20であって、その刃先延設方向X21に沿う軸線26aを中心に剃刀ヘッド21をホルダ23の頭部24に対し回動可能に支持するとともに、ホルダ23の頭部24には剃刀ヘッド21を回動方向Rへ弾性力に抗して首振り可能に押圧する付勢手段としての押圧部27を設け、前記移動規制部12,10はこの軸線26aを中心とする回動による剃刀ヘッド21とホルダ23との相対移動を規制する。第6の発明では、剃刀ヘッド21とホルダ23とが所定の首振り方向Rへ押圧部27による弾性力に抗して相対回動するT型剃刀20を収容する剃刀パッケージ1において、剃刀パッケージ1の運搬時等に剃刀ヘッド21の動きを規制して良好な弾性を維持し、T型剃刀20の製造当初の首振り感触を得ることができる。
【0012】
請求項1の発明を前提とする第7の発明(第2実施形態に対応)において、前記各剃刀は剃刀ヘッド21の刃体の刃先の延設方向X21をホルダ23の長手方向Y23に対し直交させたT型剃刀20であって、ホルダ23の頭部24には付勢手段としての弾性可撓部34を介して剃刀ヘッド21を支持してその刃先延設方向X21に対し直交する方向を含む面Qに沿う方向へ剃刀ヘッド21を首振りし得るように弾性可撓部34が弾性力に抗して撓み、前記移動規制部12,10はこの弾性可撓部34の撓みによる剃刀ヘッド21とホルダ23との相対移動を規制する。第7の発明では、剃刀ヘッド21とホルダ23とが所定の首振り方向Rへ弾性可撓部34による弾性力に抗して相対移動するT型剃刀20を収容する剃刀パッケージ1において、剃刀パッケージ1の運搬時等に剃刀ヘッド21の動きを規制して良好な弾性を維持し、T型剃刀20の製造当初の首振り感触を得ることができる。
【0013】
請求項3の発明を前提とする第8の発明(第3実施形態に対応)において、前記剃刀ヘッド21が係入されて係止される剃刀ヘッド係止部28,29を有する係止孔12は、各剃刀20間で互いに連通して一連に形成されている。第8の発明では、剃刀ヘッド21を係止孔12に係入し易い。
【0014】
請求項3または請求項4または請求項5または第8の発明を前提とする第9の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記ホルダ係止部は、各剃刀20のホルダ23が互いに接触して並んで係入されるように各剃刀20間で互いに連通して一連に形成された係止孔10で、各剃刀20のホルダ23の並設方向における両端側のうち、一端側のホルダ 23を係止する一端側係止部30と、他端側のホルダ23を係止する他端側係止部31とを有し、その一端側係止部30と他端側係止部31とにより各ホルダ30を挟んで各ホルダ23の移動を規制する。第9の発明では、ホルダ23を係止孔10に係入し易い。
【0015】
請求項3または請求項4または請求項5または第8の発明または第9の発明を前提とする第10の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記移動規制部の剃刀ヘッド係止部12,37及びホルダ係止部10は付勢手段27による弾性力が最小となる中立位置Pで剃刀ヘッド21を静止させるように剃刀ヘッド21とホルダ23との相対移動を規制する。第10の発明では、付勢手段27の弾性力が最小となる中立位置Pで規制されるので、付勢手段27に与えられる継続的負荷が小さくなって良好な弾性を維持することができる。
【0016】
請求項3または請求項4または請求項5または第8の発明または第9の発明または第10の発明を前提とする第11の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記各剃刀20の剃刀ヘッド21と、前記各剃刀20のホルダ23とは、それぞれ、ホルダ23に対する剃刀ヘッド21の首振り方向Rを含む面Qに沿って並んでいる。第11の発明では、複数の剃刀20を剃刀パッケージ1にコンパクトにまとめて収容することができる。
【0017】
請求項3から請求項5のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第8〜11の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第12の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記各剃刀20を複数の壁部2,4,5,15間の収容室17で並べて収容する環状壁16を備え、この環状壁16は、前記剃刀ヘッド係止部12,37を設けた壁部4,5,15と、前記各剃刀20のホルダ23における頭部24に対する反対側の尻部25側を係止するホルダ係止部10を設けた壁部2とを有している。第12の発明では、剃刀ヘッド係止部12,37とホルダ係止部10とを環状壁16に簡単に形成することができる。
【0018】
第12の発明を前提とする第13の発明(第1〜3実施形態に対応)において、前記剃刀ヘッド係止部12は相対向する両壁部4,5に設けられ、前記環状壁16は、この剃刀ヘッド係止部12を有する両壁部4,5と、この剃刀ヘッド係止部12を有する両壁部4,5間で前記ホルダ係止部10を有する壁部2と、この剃刀ヘッド係止部12を有する両壁部4,5間でこのホルダ係止部10を有する壁部2に対向する壁部15とを備えている。第13の発明では、剃刀ヘッド係止部12とホルダ係止部10とを環状壁16に簡単に形成することができる。
【0019】
第12の発明を前提とする第14の発明(第4実施形態に対応)において、前記剃刀ヘッド係止部37は前記ホルダ係止部10を有する壁部2に対向する壁部15に設けられ、前記環状壁16は、このホルダ係止部10を有する壁部2と、この剃刀ヘッド係止部37を有する壁部15と、このホルダ係止部10を有する壁部2とこの剃刀ヘッド係止部37を有する壁部15との間で相対向する両壁部4,5とを備えている。第14の発明では、剃刀ヘッド係止部37とホルダ係止部10とを環状壁16に簡単に形成することができる。
【0020】
第12の発明を前提とする第15の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記環状壁16は、ホルダ係止部10を有する第一壁部2と、この第一壁部2に対向する第二壁部15と、この第一壁部2とこの第二壁部15との間で相対向する第三壁部4及び第四壁部5とを備え、第一壁部2で剃刀ヘッド21の刃体の刃先の延設方向X21に沿う寸法W2よりも、第二壁部15でその刃先延設方向X21に沿う寸法W15を大きく設定し、この第三壁部4と第四壁部5との間におけるその刃先延設方向X21に沿う間隔Lを、第一壁部2で剃刀ヘッド21の刃体の刃先の延設方向X21に沿う寸法W2よりも大きく設定するとともに、第二壁部15でその刃先延設方向X21に沿う寸法W15よりも小さく設定した。第15の発明では、ホルダ係止部10を有する第一壁部2側をホルダ23に合わせて狭くして剃刀パッケージ1をコンパクトにすることができる。
【0021】
第12〜15の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第16の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記環状壁16はその環状方向で互いに分離されて着脱可能な両端縁1c,1dを有している。第16の発明では、環状壁16を展開状態で形成することができるので、それを環状方向で巻いて環状壁16を容易に形成することができる。
【0022】
第12〜16の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第17の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記ホルダ係止部10を有する壁部2から突出するホルダ23の尻部25側は、前記環状壁16に設けた載置面を含む面上に位置する当接部23aを有している。第17の発明では、環状壁16の載置面とホルダ23の尻部25側との間で剃刀パッケージ1を安定的に載置することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、複数の剃刀20を収容する剃刀パッケージ1において、剃刀ヘッドとホルダとの間で複雑なロック機構を設けることなく、剃刀ヘッド21とホルダ23との相対移動を規制して剃刀2の使用感触を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
まず、本発明の第1実施形態にかかる剃刀パッケージについて図1(a)及び図2〜4を参照して説明する。
図1(a)に示す展開状態の剃刀パッケージ1は、上端縁1aと下端縁1bと左端縁1cと右端縁1dとで囲まれた略長方形状(上端縁1a及び下端縁1bの長さは約230mm、左端縁1c及び右端縁1dの長さは約100mm)をなす一枚の紙シートにより成形され、横方向中央で縦方向に延びて上端縁1aと下端縁1bとの間に形成された壁部2と、この壁部2の横方向両側に形成された折り目線3から横方向両側に延びて上端縁1aと下端縁1bとの間に形成された壁部4,5と、これらの壁部4,5の横方向端に形成された折り目線6,7から横方向に左端縁1c及び右端縁1dまで延びて上端縁1aと下端縁1bとの間に形成された壁部8,9とを有している。前記壁部2には両折り目線3間で縦方向へ一連に延びる略長方形状の係止孔10が移動規制部であるホルダ係止部として下端縁1b寄りで上端縁1a及び下端縁1bに対し間隔をあけて貫設されている。前記両壁部4,5には円形状の吊下孔11が係止孔10の斜め上方で両折り目線3から横方向へ等距離だけ離れて貫設されている。この両壁部4,5には折り目線6,7から横方向へ長孔状に延びる複数の係止孔12が移動規制部である剃刀ヘッド係止部として折り目線6,7に沿って並設されて等間隔で互いに分離されている。この両折り目線6,7のうち壁部9の折り目線7には上端縁1a及び下端縁1bと係止孔12との間で切込み13が形成されている。壁部8の左端縁1cには上端縁1a及び下端縁1bの付近で舌片14が形成されている。
【0025】
図2(a)(b)に示すように、前記展開状態の剃刀パッケージ1において、壁部2の両折り目線3で両壁部4,5を前後方向Xで相対向するように折り曲げると、互いに分離された両壁部8,9も前後方向Xで相対向する。次に、図3(a)(b)に示すように、折り目線6,7でこの両壁部8,9を折り曲げて内側の壁部9に外側の壁部8を重ね合わせるとともに舌片14を切込み13に着脱可能に係入すると、互いに重ね合わされた両壁部8,9からなる左壁部15が壁部2に対し左右方向Yで相対向し、前壁部4と後壁部5と左壁部15と右壁部2とで環状壁16が上下方向Zへ開放されて形成され、その環状壁16内には前壁部4と後壁部5と左壁部15と右壁部2とで囲まれた収容室17が形成される。なお、切込み13と舌片14とを、または、内側の壁部9と外側の壁部8とを互いに接着剤や両面テープにより貼着して重ね合わせてもよい。
【0026】
この環状壁16においては、前記前壁部4の各係止孔12と後壁部5の各係止孔12とが、また、前記前壁部4の吊下孔11と後壁部5の吊下孔11とが、それぞれ前後方向Xで収容室17を介して相対向し、環状方向で巻かれた上端縁1aの内側で収容室17を上方へ開放する上開口18が形成されるとともに、環状方向で巻かれた下端縁1bの内側で収容室17を下方へ開放する下開口19が形成される。この環状壁16の左壁部15においては、外側の壁部8の折り目線6と内側の壁部9の右端縁1dとが、また、内側の壁部9の折り目線7と外側の壁部8の左端縁1cとが、それぞれ重合され、前記展開状態の剃刀パッケージ1で互いに分離された左端縁1cと右端縁1dとを左壁部15として互いに連結することができる。この環状壁16の上開口18及び下開口19において、右壁部2の前後方向寸法W2(約12mm)よりも左壁部15の前後方向寸法W15(約25mm)を大きく設定し、前後両壁部4,5間の間隔Lが右壁部2から左壁部15に向うに従い次第に広がるように前後両壁部4,5を傾斜させて前後両壁部4,5間の間隔Lを右壁部2の前後方向寸法W2よりも大きく設定するとともに左壁部15の前後方向寸法W15よりも小さく設定している。この環状壁16の高さHは、展開状態の剃刀パッケージ1における左端縁1c及び右端縁1dの長さ(約100mm)と略等しく設定されている。このような環状壁16の形態では、前後方向寸法W2(約12mm)の右壁部2側を上向きにして把持し易くなるとともに、前後方向寸法W15(約25mm)の左壁部15側を上向きにして把持した際には落としにくい。なお、前後両壁部4,5については、図示するように平坦に傾斜させるばかりでなく、収容室17側へ凹んだり収容室17側から膨らんだりするように傾斜させてもよい。
【0027】
図2(b)及び図3(a)(b)に示すように、前記環状壁16内の収容室17に保管されるT型剃刀20においては、剃刀ヘッド本体22aとキャップ22bとからなる剃刀ヘッド21の表側21aで露出する刃体(図示せず)の刃先(図示せず)の延設方向X21が、ホルダ23の頭部24と尻部25とを結ぶ長手方向Y23に対し直交し、その刃先延設方向X21に沿う軸線26aを中心に剃刀ヘッド21がホルダ23の頭部24に対し両支持腕26により回動方向Rへ回動可能に支持されているとともに、ホルダ23の頭部24にはその頭部24に面する剃刀ヘッド21の裏側21bを押圧する付勢手段としての押圧部27が支持されている。この回動方向Rの両側向きのうち片側向きの回動向きRFへ押圧部27の弾性力により剃刀ヘッド21が回動して押圧部27による弾性力が最小となる中立位置Pで静止する。その中立位置Pから剃刀ヘッド21が回動向きRFに対する反対向きRBへ押圧部27の弾性力に抗して所定回動範囲だけ首振りし得る。
【0028】
このT型剃刀20は、図2(a)に示すように剃刀パッケージ1を展開状態から組み付ける途中状態で、図2(b)に示すように収容され、その後に図3(a)(b)に示すように左壁部15(両壁部8,9)が閉じられて環状壁16となる。その際、ホルダ23がその尻部25側から右壁部2の係止孔10に係入されて外側へ突出するとともに、剃刀ヘッド21の刃先延設方向X21の両側が前後両壁部4,5の係止孔12に係入されて外側へ突出し、各剃刀ヘッド21が互いに分離して首振り方向(回動方向R)を含む面Qに沿って並ぶとともに、ホルダ23が互いに接触して首振り方向(回動方向R)を含む面Qに沿って並ぶ。各剃刀ヘッド21が係入された各係止孔12においては、剃刀ヘッド21の首振り方向(回動方向R)における表裏両側21a,21bのうち表側21aを係止する表側係止部28と裏側21bを係止する裏側係止部29とが剃刀ヘッド係止部として上下方向Zで相対向して形成され、その表側係止部28と裏側係止部29とにより剃刀ヘッド21が中立位置Pで挟持されてホルダ23に対する剃刀ヘッド21の首振りが規制される。この各係止孔12の表側係止部28及び裏側係止部29は、剃刀ヘッド21の剃刀ヘッド本体22aとキャップ22bとのうち少なくとも一方に対し接触して係止されるかまたは若干の隙間をあけて係止可能に面する。各ホルダ23が係入された係止孔10においては、ホルダ23の並設方向における上下両端側のうち、上端側のホルダ23を係止する上端側係止部30と、下端側のホルダ23を係止する下端側係止部31とがホルダ係止部として形成され、その上端側係止部30と下端側係止部31とにより各ホルダ23が挟持されて剃刀ヘッド21に対するホルダ23の回動が規制される。
【0029】
図4(a)に示すように組み付けられた剃刀パッケージ1において環状壁16の前壁部4及び後壁部5の吊下孔11に水平な吊下棒32を挿入すると、この剃刀パッケージ1は環状壁16の上開口18及び下開口19を水平にした状態で吊下棒32に吊下されて展示され、その環状壁16に収容された各T型剃刀20が上下方向Zに並ぶ。また、図4(b)に示すように、右壁部2から突出する各ホルダ23のうち最下のホルダ23の尻部25側には環状壁16の下開口19を含む面上に位置する当接部23aを有しているため、環状壁16の下開口19を載置面としてこの剃刀パッケージ1を載置台33に載置して展示すると、その当接部23aも載置台33に載置される。さらに、図4(c)に示すように、環状壁16の左壁部15を載置面としてこの剃刀パッケージ1を載置台33に載置して展示すると、その環状壁16の右壁部2及び左壁部15を水平にした状態でその環状壁16に収容された各T型剃刀20がホルダ23を上向きにして環状壁16の開口18から開口19に向けて並ぶ。
【0030】
次に、本発明の第2実施形態にかかる剃刀パッケージについて第1実施形態との相違点を中心に図5(a)(b)を参照して説明する。
剃刀パッケージ1は第1実施形態と同様であるが、T型剃刀20が変更されている。T型剃刀20においては、剃刀ヘッド21がホルダ23の頭部24に対し付勢手段としての弾性可撓部34を介して支持され、剃刀ヘッド21の表側21aで露出する刃体(図示せず)の刃先(図示せず)の延設方向X21に対し直交する方向を含む面Qに沿う方向へ剃刀ヘッド21が首振りし得るように弾性可撓部34が弾性力に抗して撓む。
【0031】
次に、本発明の第3実施形態にかかる剃刀パッケージについて第1実施形態との相違点を中心に図1(b)及び図6(a)を参照して説明する。
第1実施形態の剃刀パッケージ1において環状壁16の前壁部4及び後壁部5に並設された各係止孔12が変更され、その各係止孔12は各T型剃刀20間で長孔35により互いに連通して一連に形成されている。
【0032】
次に、本発明の第4実施形態にかかる剃刀パッケージについて第1実施形態との相違点を中心に図1(c)及び図6(b)を参照して説明する。
第1実施形態の剃刀パッケージ1において環状壁16の前壁部4及び後壁部5に並設された各係止孔12が省略されている。その各係止孔12に代えて、環状壁16の左壁部15で重合された内側の壁部9において前後方向Xの両側で上下方向Zへ並設された各切込み36から支持片37が移動規制部である剃刀ヘッド係止部として右壁部2側へ向けて持ち上げられて形成され、各支持片37のうち互いに隣接する両支持片37の相対向側には剃刀ヘッド21の表側21aを係止する表側係止部28と剃刀ヘッド21の裏側21bを係止する裏側係止部29とが上下方向Zで相対向して形成されている。
【0033】
前記各実施形態の剃刀パッケージ1を箱に複数個まとめて収容する際には、例えば、上下両開口18,19を上下方向Zに向けた状態で複数個の剃刀パッケージ1を箱の周壁における相対向する前後両壁と左右両壁とのうち前後両壁間で前後二列に配置して左右両壁間で前後両壁に対し少し同一方向へ傾斜させて並べる。その場合、前列の各剃刀パッケージ1における左壁部15を前壁に向けるとともに、後列の各剃刀パッケージ1における左壁部15を後壁に向け、さらに、前列の各剃刀パッケージ1における右壁部2とその右壁部2から突出するホルダ23とを後列の各剃刀パッケージ1間に挿入するとともに、後列の各剃刀パッケージ1における右壁部2とその右壁部2から突出するホルダ23とを前列の各剃刀パッケージ1間に挿入する。このようにして複数個の剃刀パッケージ1を箱に収容すると、箱を小型化して輸送時に嵩張らない。
【0034】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 剃刀ヘッド21がホルダ23に対し首振り方向Rへ押圧部27の弾性力に抗して回動する複数のT型剃刀20を収容する剃刀パッケージ1において、係止孔12や支持片37の表側係止部28及び裏側係止部29により剃刀ヘッド21を挟んで、剃刀パッケージ1の運搬時等に剃刀ヘッド21の動きを剃刀ヘッド21ごとに規制することができる。また、係止孔10に係入された複数のホルダ23を係止孔10の上端側係止部30及び下端側係止部31により挟んで、剃刀パッケージ1の運搬時等にホルダ23の動きを規制することができる。従って、押圧部27における良好な弾性を維持し、T型剃刀20の製造当初の首振り感触を得ることができる。
【0035】
* ホルダ係止部としての係止孔10や剃刀ヘッド係止部としての係止孔12や剃刀ヘッド係止部としての支持片37を環状壁16と一体に成形したので、ホルダ係止部や剃刀ヘッド係止部を簡単かつ安価に形成することができる。
【0036】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 例えば特開平4−22388号公報や特開平4−22389号公報や特開平11−319344号公報に示すように、剃刀ヘッドとホルダとを各種の方向へ相対移動させるようにした複数のT型剃刀を剃刀パッケージに収容する際、剃刀パッケージに形成した係止孔に剃刀ヘッド及びホルダを係入すれば、それらの方向への相対移動を規制することができる。
【0037】
・ 剃刀パッケージの移動規制部としては、剃刀ヘッド係止部とホルダ係止部とを剃刀ヘッド付近の壁部で一体化して形成してもよい。
・ 図1(a)に示す剃刀ヘッド係止部としての係止孔12と同様に、ホルダ係止部としての係止孔も別々に形成してそれぞれの係止孔にホルダ23を係入してもよい。
【0038】
・ T型剃刀20としては、中立位置Pから剃刀ヘッド21が回動方向Rの両側向きRF,RBへ押圧部27の弾性力に抗して所定回動範囲だけ首振りし得るものであってもよい。
【0039】
・ T型剃刀20以外に、ホルダに対し剃刀ヘッドを首振りし得る長柄剃刀を収容する剃刀パッケージであってもよい。
・ 剃刀ヘッド21の刃体の刃先の延設方向X21をホルダ23の長手方向Y23に対し直交させたT型剃刀20以外に、例えば実用新案登録第3016350号公報や実用新案登録第3111833号公報に示すようにホルダの長手方向に対し剃刀ヘッドの刃体の刃先延設方向を傾斜させたT型剃刀においてさらにその剃刀ヘッドを首振り可能にしたものを収容する剃刀パッケージであってもよい。
【0040】
・ 複数のシートを折って組み合わせることにより剃刀パッケージを成形したり、複数の立体部品を組み合わせることにより剃刀パッケージを成形したりしてもよい。
・ 剃刀パッケージを透明または半透明にしてその外側から剃刀が見えるようにしてもよい。
【0041】
・ 環状壁16において上開口18及び下開口19を閉塞できるようにしてもよい。
・ 環状壁16の形態については、四つの壁2,4,5,15ばかりでなく、三つ以下または五つ以上の壁を設けたり、各壁間を曲面で連続させてもよい。
【0042】
・ 紙シート以外の材質例えば樹脂シートや金属箔により剃刀パッケージを成形してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(a)は第1実施形態にかかる剃刀パッケージを示す展開図であり、(b)は第3実施形態にかかる剃刀パッケージを示す展開図であり、(c)は第4実施形態にかかる剃刀パッケージを示す展開図である。
【図2】(a)は第1実施形態にかかる剃刀パッケージを図1(a)の展開状態から組み付ける途中状態を示す斜視図であり、(b)は同じく平面図である。
【図3】(a)は第1実施形態にかかる剃刀パッケージを組み付けた状態を平面側から見た断面図であり、(b)は同じく正面側から見た断面図である。
【図4】(a)は図3(a)(b)に示す剃刀パッケージを吊下して展示した状態を示す正面図であり、(b)(c)は同じく載置して展示した状態を示す正面図である。
【図5】(a)は第2実施形態にかかる剃刀パッケージを組み付けた状態を平面側から見た断面図であり、(b)は同じく正面側から見た断面図である。
【図6】(a)は第3実施形態にかかる剃刀パッケージを吊下して展示した状態を示す正面図であり、(b)は第4実施形態にかかる剃刀パッケージを組み付けた状態を正面側から見た断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1…剃刀パッケージ、10…移動規制部であるホルダ係止部としての係止孔、12…移動規制部である剃刀ヘッド係止部としての係止孔、20…T型剃刀、21…剃刀ヘッド、23…ホルダ、24…ホルダの頭部、27…付勢手段としての押圧部、28…剃刀ヘッド係止部としての係止孔の表側係止部、29…剃刀ヘッド係止部としての係止孔の裏側係止部、37…移動規制部である剃刀ヘッド係止部としての支持片、R…剃刀ヘッドの首振り方向、X21…刃先延設方向、Y23…ホルダの長手方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃体を有する剃刀ヘッドがホルダに対し相対移動し得る剃刀を複数収容することができる剃刀パッケージにおいて、各剃刀の剃刀ヘッドとホルダとの相対移動を規制する移動規制部を設けたことを特徴とする剃刀パッケージ。
【請求項2】
前記各剃刀は剃刀ヘッドの刃体の刃先の延設方向をホルダの長手方向に対し直交させたT型剃刀であって、前記移動規制部はその延設方向に対し直交する方向を含む面に沿う首振り方向へ剃刀ヘッドとホルダとが付勢手段による弾性力に抗して相対移動するのを規制することを特徴とする請求項1に記載の剃刀パッケージ。
【請求項3】
前記移動規制部は、ホルダに対する剃刀ヘッドの移動を規制するように剃刀ヘッドに係止される剃刀ヘッド係止部と、剃刀ヘッドに対するホルダの移動を規制するようにホルダに係止されるホルダ係止部とを有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の剃刀パッケージ。
【請求項4】
前記剃刀ヘッドが係入されて係止される剃刀ヘッド係止部を有する係止孔は、各剃刀ごとに互いに分離して形成されていることを特徴とする請求項3に記載の剃刀パッケージ。
【請求項5】
前記剃刀ヘッド係止部は、剃刀ヘッドが係入される係止孔で、剃刀ヘッドの移動方向における表裏両側のうち、刃体の刃先が露出する表側を係止する表側係止部と、ホルダの頭部に面する裏側を係止する裏側係止部とを有し、その表側係止部と裏側係止部とにより剃刀ヘッドを挟んで剃刀ヘッドの移動を規制することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の剃刀パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−105725(P2010−105725A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282090(P2008−282090)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
【Fターム(参考)】