前面空積み背面練り積み土留擁壁

【目的】本考案は、道路や宅地造成の切土、盛土又は、河川護岸あるいは砂防ダム等の土留擁壁を前面を空積み状態、背面にコンクリートを打設して排水効果も良く見る人に違和感み無く自然生態系や環境美化も考慮した製品を提供する事を目的としている。
【構成】自然石又はコンクリート擬石ブロックあるいはコンクリート擬木丸太を段重ねあるいは段積みとし、前面に自然石又は擬石を詰め石、背面をコンクリートで合体して構築してなる土留擁壁。

【考案の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】
本考案は、道路や宅地造成の切土、盛土又は、河川護岸あるいは砂防ダム等の土留擁壁に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来も道路や宅地造成の切土、盛土、河川護岸、砂防ダム等の土留擁壁にはいろいろな製品と工法があった。
【０００３】
しかし、いずれの製品も工法も、製造と施工が迅速容易で排水効果も良く自然生態系や環境美化をも考慮したものでは無かった。
そこで、本考案出願人は、これらの設計、製造、施工に従事しながら本考案製品の解決課題を次の様にしたものである。
【０００４】
【考案の解決しょうとする課題】
■ 土留壁高、法勾配、土圧力又は水圧の変化に容易に対応出来る製品とする。
【０００５】
■ 製造、施工の取り扱いが容易に出来る製品とする。
【０００６】
■ 施工後、表面から見て空積みに見え、その上、強靭で排水効果も良く恒久的製品とする。
【０００７】
■ その空隙には草花や蔦の生息あるいは小動物の営巣とも成る自然にやさしい製品構築とする。
【０００８】
■ 加えて、この製品の延長技術を他にも使用出来る事をも考える。
以上を本考案の解決課題として、その解決手段を次の様にしたものである。
【考案が解決しょうとする手段】
請求項１．の製品に於いては、自然石又はコンクリート擬石ブロックを、その間隔を設けて連結し、これを現場で段重ねとする。
【０００９】
請求項２．の製品に於いては、コンクリート擬木丸太材を桟木状に組み込み、いずれの場合でも、前面空洞部には、排水効果を有する自然の玉石、割栗又はコンクリート擬石を詰め石として入れ、背面空洞部には、普通のコンクリートを打設して一体となす。
これを実施例の図面で説明する。
【００１０】
【考案の実施例】
実施例図１．（請求項１）では、大型の自然石、原石又はコンクリート擬石ブロックＡ−１．Ａ−２．・・・・・Ａ−Ｎ．とし、その要所に多少の伸縮と折り曲げ自在なる連結材１．（一般的にはステンレスか亜鉛メッキチェンあるいはザイルロープを使用）を設けて複数個連結して製造する。
【００１１】
この時、自然石、天然原石の場合は、図示して無いがこれらにホールアンカーを埋設して連結状態とする。
【００１２】
しかし、コンクリート擬石ブロックの場合は、連結材１．の一端部をコンクリートに埋設してコンクリートを打設する。
【００１３】
これを現場で基礎コンクリートＤ．に合設して、その前面空洞部には、現地の玉石、雑割石又はコンクリート擬石ブロックを詰め石Ｃ．として入れ、背面空洞部には普通コンクリートＥ．（壁高が小さかったり応力が小さい場合は無筋コンクリート１６Ｎ／ｍｍ2 を標準とし、壁高や応力が大きい場合は図の様に鉄筋２．を組み込み２１Ｎ／ｍｍ2のコンクリート）を打設し、順次段重ねして施工する。
【００１４】
次に実施例図２．（請求項２）では、コンクリート擬木丸太（擬木方角材でも良い）Ｂ−１．Ｂ−２．・・・・・Ｂ−Ｎ．として、設計応力に応じた長さ（巾）
の位置にスベリ止め凹部３．と背面仕切版嵌設凹部４．を設けて製造する。
【００１５】
これを現地に運搬し、上記の請求項１．説示同様、最下段を基礎コンクリートＤ．に合設して、凹部３．には、コンクリート横擬木丸太（方角材でも良い）Ｂ−Ｂ．を凹部４．には、背面仕切版Ｅ−１．Ｅ−２．を嵌設し、前面空洞部には上記の請求項１．説示同様の詰め石Ｃ．を入れ、背面空洞部コンクリートＥ．（止水壁）を打設し、順次この作業を繰り返し土留擁壁として完成させるものである。
【００１６】
以上の様にして構築してなる、本考案製品には次の様な作用、効果がある。
【００１７】
【考案の作用、効果】
■ 土留壁高、壁体構築勾配、土圧応力又は水圧応力等の条件変化が有ったとしても、請求項１．の製品では、連結する石の数を工場か現地で増減連結が簡単に出来る。
【００１８】
又、請求項２．の製品に於いても、コンクリート擬木丸太の長さと仕切版の嵌設凹部の位置を型枠アタッチメントで移動して製造する事により、その対応が容易である。
【００１９】
加えて、土圧応力が大きい場合は、図示して無いが背面コンクリートの下の巾を広くして、台形状に構築する事も容易である。
■ 請求項１．では、一個一個分割でも、数個連結でも製造出来、反面現地でのジョインも容易に出来、請求項２．の製品に於いても巾の変化の有るコンクリート擬木丸太だけが高さの変化で違う製品を必要とするだけで、あとは、横擬木丸太も背面版も同じ製品の使用繰り返しのため製造も施工作業取り扱いも容易である。
【００２０】
■ 前面に詰め石の空洞部隙間が出来るので排水効果は無論の事、表面から見ると空積み状態に見え、見えない背面はコンクリート壁体のため強靭で恒久的構築物であるばかりか、この空洞部隙間には、草花や蔦の植栽あるいは、道路、宅地造成、ダム等では陸上小動物の営巣となし、河川土留では、水中動物の餌場や隠れ場を構築する。
【００２１】
■ 加えて、図３．の如く中小河川や水路の軟弱地盤５．の現場でもアンカー状の石を背面に深く傾斜させて施工する事も背面地中に数列に連結し施工する事も天端に折り曲げて施工する事も出来る。又、これも図示してないが、製品連結状態で急流河川の河床に埋設する事により、河床の洗掘防止と変化に富んだ河床勾配を構築する事も可能で有る等、本考案製品はその使用範囲は広くその効果は大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本考案の玉石状製品の実施例の断面概要図。
【図２】本考案のコンクリート擬木丸太製品の実施例の断面概要図。
【図３】本考案製品をアンカー空積み状に小河川の土留に使用した状態の断面概要図。
【符号の説明】
Ａ−１．Ａ−２．Ａ−Ｎ自然石（原石）又はコンクリート擬石ブロック
Ｂ−１．Ｂ−２．Ｂ−Ｎコンクリート擬木丸太（擬木方角材）
Ｂ−Ｂ横コンクリート擬木丸太（擬木方角材）
Ｃ詰め石
Ｄ基礎コンクリート
Ｅ背面空洞部コンクリート
Ｅ−１．Ｅ−２背面仕切版
Ｆ基礎栗石
Ｇ河床
Ｍ・Ｗ・Ｌ平水位
Ｈ・Ｈ・Ｗ・Ｌ洪水位
１連結材
２鉄筋
３前面横丸太スベリ止凹部
４背面仕切版嵌設凹部
５軟弱土
６天端コンクリート
７草花
８小魚

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項１】大型の自然石又はコンクリート擬石ブロックを複数個間隔をおいて連結材で連結し、これを背面はアンカー状に段積みとし、前面空洞部には自然石の玉石又は擬石ブロックを詰め石として入れ背面空洞部にはコンクリートを打設し、前面部を空積み背面部を練り積み構築してなる土留擁壁。
【請求項２】コンクリート擬木丸太を桟木組とし、背面はコンクリート版で仕切って組み込み固定し、前面空洞部には自然石の玉石又は擬石ブロックを詰め石として入れコンクリート版に仕切られた背面空洞部にはコンクリートを打設し、前面部を空積み背面部を練り積み構築してなる土留擁壁。

【図１】