説明

割付装置、割付方法、及びプログラム

【課題】治療群数の大小に拘らず簡明なロジックで、ランダムな割り付けが可能な割付装置を提供する。
【解決手段】割付装置10は、第1の治療選択テーブル32を記憶する記憶部30と、N個の治療それぞれについてバランス値を算出するバランス値算出部41と、N個の治療をバランス値が昇順になるように並び換えると共に、最小値個数を算出する治療並換部42と、被験者を前記N個の治療のいずれかに割り付ける割付部43とを備える。第1の治療選択テーブル32には、最小値個数毎に、治療特定値n1の列である治療選択シーケンスと、次に取得すべき治療特定値n1の位置を示すポインタとが予め保持されている。そして、割付部43は、最小値個数に対応する治療選択シーケンス中のポインタで示される治療特定値n1を取得し、並び換えられたN個の治療の先頭からn1番目の治療に被験者を割り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床試験において、被験者を複数の治療のいずれに割り付けるかを決定する割付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
臨床試験(「治験」ともいう。以下同じ。)とは、厚生労働省による承認前の薬剤を、実際に人に投与することによって、当該薬剤の安全性や有効性を確認する目的で行われる試験である。具体的には、被験者(患者、又は健常者)を、被験薬、対照薬、偽薬等の複数の治療群にランダムに割り付け、治療群毎の結果を比較することにより、被験薬の安全性や有効性を確認する。
【0003】
臨床試験に利用可能な従来の割付システムは、例えば、特許文献1、2、3に開示されている。また、割付アルゴリズムの代表例として、最小化法が従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
割付アルゴリズムとしての最小化法は、割付因子における層間のバランス値の差が常に最小になるように治療群を決定する方法である。また、治療群の決定には、アンバランスを最小にする治療群をそのまま選択する決定的な方法と、アンバランスが小さい治療群ほど選択される確率を高くする確率的な方法とが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−115817号公報
【特許文献2】特開2005−339349号公報
【特許文献3】特開2004−029894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、最小化法のアルゴリズムをソフトウェアで実現しようとした場合、治療群数の増加に伴って処理量が指数関数的に増大する。つまり、治療群数がある程度以上(例えば、5以上)になると、制御ロジックが極めて複雑となり、開発コストの増大を招来する。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、治療群数の大小に拘らず簡明なロジックで、ランダムな割り付けが可能な割付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る割付装置は、被験者をN(2以上の整数)個の治療のいずれかに割り付ける。具体的には、前記被験者を割り付ける治療を、前記N個の治療から特定するための第1の治療選択テーブルを記憶する記憶部と、前記N個の治療それぞれについて、当該治療に前記被験者が割り付けられた場合の最小化法に基づくバランス値を算出するバランス値算出部と、前記N個の治療を前記バランス値が昇順になるように並び換えると共に、N個のバランス値のうちの最小の値の個数である最小値個数を算出する治療並換部と、前記最小値個数及び前記第1の治療選択テーブルを用いて、前記被験者を前記N個の治療のいずれかに割り付ける割付部とを備える。前記第1の治療選択テーブルには、前記最小値個数毎に、1〜Nのうちのいずれかの整数値である治療特定値n1の列である治療選択シーケンスと、前記治療選択シーケンス中の次に取得すべき前記治療特定値n1の位置を示すポインタとが予め保持されている。そして、前記割付部は、前記第1の治療選択テーブルから、前記最小値個数に対応する前記治療選択シーケンス中の前記ポインタで示される治療特定値n1を取得し、並び換えられた前記N個の治療の先頭からn1番目の前記治療に前記被験者を割り付ける。
【0009】
上記構成のように、予め生成された治療選択シーケンスを用いて、被験者をN個の治療のいずれかに割り付けることによって、治療数Nの大小に拘らず、簡明なロジックでランダムな割り付けを実現することができる。なお、本明細書中の「N個の治療をバランス値が昇順になるように並び換える」とは、メモリ内の記憶位置を入れ替える等の物理的な並び換えを必ずしも要求するものではない。つまり、治療特定値n1によって、N個の治療のうち、バランス値がn1番目に小さい治療を選択できればよい。
【0010】
さらに、前記記憶部は、前記被験者を割り付ける治療を、(N−1)個の治療から特定するための第2の治療選択テーブルを記憶している。そして、前記第2の治療選択テーブルは、前記最小値個数毎に、1〜(N−1)のうちのいずれかの整数値である治療特定値n2の列である治療選択シーケンスと、前記治療選択シーケンス中の次に取得すべき前記治療特定値n2の位置を示すポインタとを保持している。そして、前記割付部は、前記第1の治療選択テーブルから取得された前記治療特定値n1によって特定された前記治療のバランス値が、前記N個のバランス値のうちの最小の値でない場合に、並び換えられた前記N個の治療のうちの先頭の治療を割付対象から除外し、前記第2の治療選択テーブルから、新たな最小値個数に対応する前記治療選択シーケンス中の前記ポインタで示される治療特定値n2を取得し、並び換えられた前記(N−1)個の治療の先頭からn2番目の前記治療に前記被験者を割り付けてもよい。上記構成とすることにより、さらに偏りの少ない割付処理を実現することができる。
【0011】
さらに、該割付装置は、前記最小値個数毎に前記治療選択シーケンスを生成するシーケンス生成部を備える。そして、前記シーケンス生成部は、並び換えられた前記N個の治療のうち、先頭から前記最小値個数に相当する数までの前記治療が選択されやすく、前記最小値個数に相当する数より後の前記治療が選択されにくくなるように、前記治療特定値の出現確率を偏らせた前記治療選択シーケンスを生成してもよい。これにより、割付の目的に即した精度の高い治療選択シーケンスの生成が可能となる。その結果、割付処理のランダム性をさらに向上させることができる。
【0012】
さらに、前記記憶部は、被験者を割り付けた前記治療を特定する治療ID、及び当該割付に使用した前記治療選択シーケンスを特定するシーケンスIDを含む割付履歴レコードを時系列に保持する履歴情報テーブルを記憶する。そして、該割付装置は、さらに、前記履歴情報テーブルに記憶されている最新の割付履歴レコードを取得し、当該割付履歴レコードの前記シーケンスIDで特定される前記治療選択シーケンスのポインタを1だけ減算することにより、最新の割付を完全に解除する割付解除部を備えてもよい。これにより、同一症例の連続登録や因子の誤入力などの一時的な錯覚で起こる誤割付に対して復元容易性に優れた割付装置を得ることができる。また、関係者に対する割付の予見性を減弱させるためにはポインタを減算しなくてもよい。
【0013】
本発明の一形態に係る割付方法は、前記被験者を割り付ける治療を、前記N個の治療から特定するための第1の治療選択テーブルを用いて、コンピュータに被験者をN(2以上の整数)個の治療のいずれかに割り付けさせる。具体的には、前記N個の治療それぞれについて、当該治療に前記被験者が割り付けられた場合の最小化法に基づくバランス値を算出するバランス値算出ステップと、前記N個の治療を前記バランス値が昇順になるように並び換えると共に、N個のバランス値のうちの最小の値の個数である最小値個数を算出する治療並換ステップと、前記最小値個数及び前記第1の治療選択テーブルを用いて、前記被験者を前記N個の治療のいずれかに割り付ける割付ステップとを含む。前記第1の治療選択テーブルには、前記最小値個数毎に、1〜Nのうちのいずれかの整数値である治療特定値n1の列である治療選択シーケンスと、前記治療選択シーケンス中の次に取得すべき前記治療特定値n1の位置を示すポインタとが予め保持されている。そして、前記割付ステップでは、前記第1の治療選択テーブルから、前記最小値個数に対応する前記治療選択シーケンス中の前記ポインタで示される治療特定値n1を取得し、並び換えられた前記N個の治療の先頭からn1番目の前記治療に前記被験者を割り付ける。
【0014】
本発明の一形態に係るプログラムは、上記記載の割付方法をコンピュータに実行させる。なお、本発明は、割付装置として実現できるだけでなく、割付装置の機能をコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【発明の効果】
【0015】
本発明のように、予め定められた治療選択シーケンスに基づいて割付処理を行うことにより、治療群数の大小に拘らず簡明なロジックで、ランダムな割り付けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る割付システムを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る割付装置の機能ブロック図である。
【図3】被験者が登録される前の割付テーブルを示す図である。
【図4】被験者が登録される前の治療選択テーブルを示す図である。
【図5】15人の被験者が登録された後の履歴情報テーブルを示す図である。
【図6】割付処理を示すフローチャートである。
【図7】登録される15人の被験者の属性情報を示す図である。
【図8】被験者1が治療Iに割り付けられたと仮定した時の割付テーブルを示す図である。
【図9】被験者1に対する治療特定値を特定した後の治療選択テーブルを示す図である。
【図10】被験者1が治療IVに割り付けられた割付テーブルを示す図である。
【図11】被験者1〜6までが登録された割付テーブルを示す図である。
【図12】被験者1〜6までが登録された治療選択テーブルを示す図である。
【図13】被験者7に対する治療特定値を特定した(1回目)後の治療選択テーブルを示す図である。
【図14】図13で特定した治療特定値で割付できなかった場合において、被験者7に対する治療特定値を特定した(2回目)後の治療選択テーブルを示す図である。
【図15】被験者7が治療IIIに割り付けられた割付テーブルを示す図である。
【図16】被験者1〜15までが登録された割付テーブルを示す図である。
【図17】被験者1〜15までが登録された治療選択テーブルを示す図である。
【図18】割付解除処理を示すフローチャートである。
【図19】割付解除処理後の割付テーブルを示す図である。
【図20】割付解除後の治療選択テーブルを示す図である。
【図21】図4の各治療選択シーケンスに含まれる治療特定値の度数分布表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る割付装置を説明する。
【0018】
まず、図1は、本発明の一実施形態に係る割付システム1を示す図である。割付システム1は、図1に示されるように、臨床試験を実施する各医療機関に設置された端末2、3、4と、端末2、3、4に通信ネットワーク5を介して接続される割付装置10とを備える。
【0019】
臨床試験とは、厚生労働省による承認前の薬剤を、実際に人に投与することによって、当該薬剤の安全性や有効性を確認する目的で行われる試験である。臨床試験は、複数の医療機関で共同して行われることが多い。そこで、実際に治療を行う各医療機関から独立した第三者(「登録センター」という)で割付処理を一元的に実施し、割付結果のみを各医療機関に回答する方法が採用されている。
【0020】
各医療機関の治験責任医師は、当該臨床試験への参加に先立って、実施される試験の目的や内容を被験者に説明する必要がある(インフォームド・コンセント)。そして、被験者が目的等を十分に理解し、且つ被験者本人の自由意思によってのみ臨床試験への参加が決定する。
【0021】
参加が決定した被験者は、被験薬、対照薬、偽薬等の複数の治療のいずれかに割り付けられる。しかしながら、被験者自身がどの治療に割り付けられたかを知ってしまうと、治療の効果が変化してしまうことがある(プラセボ効果)。また、治療に当たる医師がどの治療を行っているかを知ってしまうと、先入観によって正しい評価ができなくなる可能性がある。
【0022】
そこで、このような問題を解決するために、二重盲検(ダブルブラインド)試験が行われる。つまり、割付処理を実行した登録センターは、治療の内容が特定できない治療番号のみを医療機関に回答する。そして、被験者と治療との対応関係は、臨床試験の終了まで登録センターで秘密管理される。
【0023】
次に、図2は、本発明の一実施形態に係る割付装置10の機能ブロック図である。割付装置10は、通信I/F(InterFace)20と、記憶部30と、制御部40とを備える。医療機関から登録された被験者を、臨床試験において実施されるN(Nは2以上の整数である。以降の説明ではN=5として説明する。)個の治療のいずれかに割り付け、割付結果を医療機関に通知するための装置である。
【0024】
通信I/F20は、図1に示される通信ネットワーク5を介して、各医療機関の端末2、3、4から被験者の属性情報等を受信する。また、取得した属性情報に基づいて決定された割付結果を、通信ネットワーク5を介して端末2、3、4に送信する。
【0025】
なお、端末2、3、4と割付装置10との間で情報の授受を行う方法は、これに限定されない。例えば、各医療機関と登録センターとの間では、FAXやE−MAILを用いて情報の授受を行ってもよい。この場合、割付装置10は、通信I/F20に代えて、被験者の属性情報を入力するための入力部(キーボード、マウス等)と、割付結果を出力する出力部(ディスプレイ、プリンタ等)を備える必要がある。
【0026】
記憶部30は、割付テーブル31と、治療選択テーブル32と、履歴情報テーブル33とを備える。この記憶部30には、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリの他、データの書き込みや消去が可能なあらゆる記録媒体を採用することができる。
【0027】
割付テーブル31は、被験者の属性情報(縦軸)と、5個の治療(横軸)との関係を示す表である。具体的には、治療I〜Vのそれぞれについて、割り付けられた被験者の分布を属性情報毎に示している。なお、図3に示される割付テーブル31は、被験者が1人も登録されていない状態を示している。
【0028】
図3を参照して、「因子」は、被験者の属性情報を示す。本実施の形態における属性情報は、被験者の性別、被験者の症状の程度を示す重症度、及び被験者が治療を受ける施設の3種類である。「重み」は、最小化法によるバランス値を算出する際の各属性情報の重み係数を示す。バランス値の具体的な算出方法については、後述する。「水準」は、各属性情報の属性値を示す。具体的には、性別は「男」又は「女」、重症度は「軽症」又は「重症」、施設は「No.1」、「No.2」、「No.3」の属性値を保持している。「治療I〜V」は、当該治療に割り付けられた被験者の分布を属性値毎に示している。
【0029】
治療選択テーブル32は、被験者を割り付ける治療を特定するための情報を保持するテーブルである。なお、図4に示される治療選択テーブル32は、被験者が1人も登録されていない状態を示している。
【0030】
図4を参照して、「治療数」は、割付対象となる治療の数(本実施の形態では、2〜5)を示す。「最小値個数」は、治療I〜Vそれぞれについて算出された5個のバランス値のうち、最小の値の個数を示す。「治療選択シーケンス」は、被験者を割り付ける治療を特定するための治療特定値(1〜5のいずれかの整数値)の列である。「ポインタ」は、対応する治療選択シーケンス中の次に取得すべき治療特定値の位置を示す。「行番号」は、治療選択シーケンスを特定するための情報である。
【0031】
この治療選択テーブル32は、治療数が「5」の第1の部分(第1の治療選択テーブル)と、治療数が「4」の第2の部分(第2の治療選択テーブル)と、治療数が「3」の第3の部分(第3の治療選択テーブル)と、治療数が「2」の第4の部分(第4の治療選択テーブル)とに区分されている。第1の治療選択テーブルは、被験者を割り付ける治療を、5個の治療から特定するためのテーブルである。第2〜第4の治療選択テーブルについても、同様の趣旨である。
【0032】
履歴情報テーブル33は、割付結果の情報を保持するログファイルである。なお、図5に示される履歴情報テーブル33は、図7に示される15人の被験者が登録された後の状態を示している。
【0033】
図5を参照して、「症例番号」は、割付装置10に登録された症例を特定する情報であり、登録順に連番が付与される。「行番号」は、被験者の割付に使用した治療選択シーケンスを特定する値(シーケンスID)であり、図4の「行番号」に対応する。「治療番号」は、被験者を割り付けた治療を特定する値(治療ID)であり、図5の治療I〜Vに対応する。「性別」、「重症度」、及び「施設」は、被験者の属性情報である。「無効フラグ」は、当該割付がキャンセルされたか否かを示す。具体的には、無効フラグに「0」が設定されている場合、当該割付は有効であることを示す。一方、無効フラグに「1」が設定されている場合、当該割付は既にキャンセルされていることを示す。
【0034】
「症例番号」で識別される履歴情報(割付履歴レコード)によって、1回の割付処理が特定される。そして、履歴情報テーブル33には、割付履歴レコードが割付処理の時系列に保持されている。
【0035】
制御部40は、バランス値算出部41と、治療並換部42と、割付部43と、割付解除部44と、シーケンス生成部45とを備える。この制御部40は、割付装置10の動作を制御する中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。そして、プログラムをメモリ(図示省略)にロードして実行することにより、上記の各機能ブロックを実行する。
【0036】
バランス値算出部41は、新たに登録される被験者を、治療I〜Vそれぞれに割り当てたと仮定し、最小化法に基づくバランス値を算出する。治療並換部42は、治療I〜Vを、バランス値算出部41で算出したバランス値が昇順になるように並び換える。また、5つのバランス値のうちの最小の値の個数である最小値個数を算出する。
【0037】
割付部43は、治療選択テーブル32に治療並換部42で算出した最小値個数を当てはめて、被験者を治療I〜Vのいずれかに割り付ける。具体的には、まず、治療数及び最小値個数から治療選択シーケンスを特定する。次に、特定された治療選択シーケンスのうち、ポインタで示される治療特定値nを抽出する。そして、治療並換部42で並び換えられた治療の先頭からn番目の治療に被験者を割り付ける。また、割付部43は、割付結果に応じて、割付テーブル31及び治療選択テーブル32を更新すると共に、割付結果を示す割付履歴レコードを履歴情報テーブル33に追加する。
【0038】
割付解除部44は、直近の割付処理をキャンセルする。つまり、記憶部30の各種テーブルの内容を、直近の割付処理が実行される前の状態に戻す。具体的には、まず、履歴情報テーブル33に記憶されている最新の割付履歴レコードを取得する。そして、取得した割付履歴レコードの内容に基づいて、割付テーブル31及び治療選択テーブル32を更新する。
【0039】
まず、取得した割付履歴レコードの「治療番号(治療ID)」から、当該割付処理において被験者を割り付けた治療を特定することができる。また、「性別」、「重症度」、「施設」から割り付けられた被験者の属性情報を特定することができる。そこで、割付解除部44は、割付テーブル31のうち、割付履歴レコードの「治療番号」、「性別」、「重症度」、「施設」で特定される値を1ずつ減算する。
【0040】
また、取得した割付履歴レコードの「行番号(シーケンスID)」から、当該割付処理において使用した治療選択シーケンスを特定することができる。そこで、割付解除部44は、治療選択テーブル32のうち、割付履歴レコードの「行番号」で特定されるポインタを1だけ減算する。さらに、割付解除部44は、取得した割付履歴レコードの無効フラグに「1」を設定する。
【0041】
シーケンス生成部45は、実際に被験者を治療に割り付ける処理を実行するのに先立って、治療選択テーブル32の治療選択シーケンスを生成する。具体的には、乱数によって治療特定値nを決定する。ただし、治療特定値nの出現確率は一様ではなく、所定の偏りを生じさせる。詳細は後述する。
【0042】
次に、図6〜図17を参照して、割付装置10の割付処理を詳細に説明する。なお、図6は割付処理を示すフローチャート、図7は以下の例で登録される15人の被験者の属性情報を示す図、図8〜図17は処理の途中における割付テーブル31及び治療選択テーブル32の状態を示す図である。
【0043】
まず、割付装置10は、通信ネットワーク5を介して、各医療機関の端末2、3、4から被験者の属性情報を取得する(S11)。例えば、図7の登録順序=1のように、性別が「男性」、重症度が「軽症」、施設が「1」である被験者(この被験者を「被験者1」という)が登録されたものとする。
【0044】
次に、割付装置10は、被験者1が治療I〜Vそれぞれに割り当てられたと仮定した場合のバランス値を算出する(S12)。この処理は、制御部40のバランス値算出部41によって実行される。
【0045】
具体的には、バランス値算出部41は、まず、被験者1が治療Iに割り付けられたものと仮定する。つまり、図3に示す1人も登録されていない状態の割付テーブル31に、上記の被験者1を仮に登録する(図8の網掛け部分)。ただし、この段階では、現実に割付テーブル31が更新されるわけではない。
【0046】
次に、バランス値算出部41は、属性情報毎に重み係数と登録数とを乗じ、それらを足し合わせることによってバランス値を算出する。図8の例では、「1×1+2×1+1×1=4」となる。同様の処理を、治療II〜Vについて実行する。その結果、治療I〜Vのバランス値は、全て「4」となる。
【0047】
次に、割付装置10は、治療I〜Vをバランス値が昇順になるように並び換える(S13)。この処理は、制御部40の治療並換部42によって実行される。この例では、治療I〜Vのバランス値は全て同一であるので、並び換える必要はない。
【0048】
次に、割付装置10は、最小値個数を算出する(S14)。この処理は、制御部40の治療並換部42によって実行される。この例では、治療I〜Vのバランス値が同一であるので、最小値個数は「5」となる。
【0049】
次に、割付装置10は、治療選択テーブル32を用いて治療特定値を抽出する(S15)。この処理は、制御部40の割付部43によって実行される。なお、治療特定値を選択するにあたっては、被験者1の割付対象となる治療の数(治療数)と最小値個数とが必要となる。
【0050】
まず、割付部43は、治療数と最小値個数とを治療選択テーブル32に当てはめて、使用すべき治療選択シーケンスを特定する。この例では、治療数「5」、最小値個数「5」であるので、行番号「5」の治療選択シーケンスを使用することになる。
【0051】
次に、割付部43は、特定した治療選択シーケンスに対応するポインタの値を取得する。図4に示されるように、行番号「5」のポインタの値は「0」である。次に、割付部43は、当該ポインタの値に1を加算する。加算結果は、治療選択シーケンス中の次に選択すべき治療特定値の先頭からの位置を特定する。この例では、加算結果は「1」となる。また、割付部43は、当該ポインタの値を加算結果で更新する。つまり、図9に示されるように、行番号「5」のポインタを1に変更する(網掛け部分)。
【0052】
次に、割付部43は、治療選択シーケンスから治療特定値を抽出する。この例では、先頭の治療特定値「4」が抽出される。治療特定値は、並び換えられた治療I〜Vのうちの先頭からの位置を示す。言い換えれば、治療特定値「4」は、5個の治療I〜Vのうち、バランス値が4番目に小さい治療を特定するための数値である。
【0053】
次に、割付部43は、抽出した治療特定値を用いて、被験者1を割り付ける治療を特定する。この例では、並び換えられた治療I〜Vのうち、先頭から4番目の「治療IV」が特定される。
【0054】
次に、割付部43は、特定された治療のバランス値が最小の値であるかを判断する(S16)。この例では、治療I〜Vのバランス値は全て「4」であるので、治療IVのバランス値は最小の値であると判断される(S16でYes)。これにより、今回登録された被験者1の割付先が治療IVに確定する。
【0055】
次に、割付部43は、上記の割付結果に基づいて、割付テーブル31及び履歴情報テーブル33を更新する。具体的には、図10に示されるように、割付テーブル31の治療IVに被験者1の属性情報を加算する。つまり、「男」のセルを1に、「軽症」のセルを1に、「No.1」のセルを1にそれぞれ変更する(網掛け部分)。さらに、履歴情報テーブル33に割付結果を追加する。つまり、図5の症例番号「1」の割付情報レコードが追加される。
【0056】
上記の処理(図6のS11〜S17)に従って、図7に示される被験者が順次登録される。図11は被験者1〜6(図7の登録順序1〜6の被験者を指す。以下同じ。)までが登録された割付テーブル31を示す図、図12は図7の被験者1〜6までが登録された治療選択テーブル32を示す図である。
【0057】
次に、被験者7(図7の登録順序7の被験者を指す。以下同じ。)を登録する処理を説明する。ただし、既に説明した処理については、詳しい説明を省略する。まず、割付装置10は、被験者7の属性情報として、「男性(性別)」、「軽症(重症度)」、「No.1(施設)」を取得する(S11)。
【0058】
次に、バランス値算出部41は、図11に示される割付テーブル31の治療I〜Vのそれぞれに被験者7を割り付けたと仮定した場合のバランス値を算出する(S12)。この例では、治療Iのバランス値が「4」、治療IIのバランス値が「7」、治療IIIのバランス値が「6」、治療IVのバランス値が「8」、治療Vのバランス値が「8」となる。
【0059】
次に、治療並換部42は、治療I〜Vをバランス値が昇順になるように並び換える(S13)。この例では、治療I(4)、治療III(6)、治療II(7)、治療IV(8)、治療V(8)の順となる。なお、括弧内の数値はバランス値を示す。また、治療並換部42は、最小値個数を算出する(S14)。上記の5個のバランス値の最小の値は治療Iの「4」だけなので、最小値個数は「1」となる。
【0060】
次に、割付部43は、治療選択テーブル32から治療特定値を抽出する(S15)。この例では、治療数「5」、最小値個数「1」であるので、図32に示される治療選択テーブル32から行番号「1」の治療選択シーケンスを選択する。そして、行番号「1」の現時点でのポインタ値は「1」であるので、さらに1を加算して、当該治療選択シーケンスの先頭から2番目の治療特定値「2」を抽出する。また、割付部43は、この時点で、図12に示される治療選択テーブル32の行番号「1」のポインタ値を「1」から「2」に変更して、図13に示される治療選択テーブル32の状態に更新する。
【0061】
次に、割付部43は、並び換えられた治療I〜Vのうち、治療特定値「2」で特定される治療を選択する。この例では、先頭から2番目の治療IIIが選択される。そして、治療IIのバランス値が最小の値であるかを確認する(S16)。この例では、治療IIIのバランス値は「6」であり、バランス値の最小の値は「4(治療Iのバランス値)」である。すなわち、治療特定値で特定された治療IIIのバランス値は、5個のバランス値のうちの最小の値でないことになる(S16でNo)。
【0062】
この場合、割付部43は、並び換えられた治療I〜Vのうちの先頭の治療を割付対象から除外する(S18)。この例では、治療Iが割付対象から除外され、割付対象の治療数が「4」となる。また、治療並換部42は、4個のバランス値から最小値個数を算出する(S14)。この例では、治療IIIのバランス値「6」が最小の値であるので、最小値個数は「1」となる。
【0063】
次に、割付部43は、新たに算出された治療数と最小値個数とに基づいて、図13に示される治療選択テーブル32から治療特定値を抽出する(S15)。この例では、治療数「4」、最小値個数「1」であるので、図13に示す治療選択テーブル32から行番号「6」の治療選択シーケンスを選択する。そして、現在のポインタ値「0」に1を加算して、当該治療選択シーケンスの先頭の治療特定値「1」を取得する。また、図13に示される治療選択テーブル32の行番号「1」のポインタ値を「0」から「1」に変更して、図14に示される治療選択テーブル32の状態に更新する。
【0064】
次に、割付部43は、並び換えられた治療II〜Vのうち、治療特定値「1」で特定される治療を選択する。この例では、治療IIIが特定される。そして、治療IIIのバランス値「6」は4個のバランス値のうちの最小の値であるので(S16でYes)、被験者7は治療IIIに割り付けられることになる。
【0065】
最後に、割付部43は、図11に示される割付テーブル31の治療IIIのセルに、被験者7の属性情報である「男」、「軽症」、「No.1」を追加して、図15に示される状態に更新する。また、履歴情報テーブル33に割付結果を追加する。つまり、図5の症例番号「7」の割付情報レコードが追加される。
【0066】
さらに、割付装置10には、被験者8〜15(図7の登録順序8〜15の被験者を指す。)が登録される。図16は被験者1〜15までが登録された割付テーブル31を示す図、図17は図7の被験者1〜15までが登録された治療選択テーブル32を示す図である。
【0067】
図16を参照すると、治療Iに3人、治療IIに4人、治療IIIに3人、治療IVに2人、治療Vに3人の被験者が割り付けられている。また、治療毎に各属性値のバラツキを見ると、最もバラツキの多いのが治療IIIの性別(男が3人、女が0人)である。しかしながら、15人の被験者の男女比率が9:6であることを考慮すれば、許容範囲内であると考えられる。つまり、上記の方法によれば、偏りの少ないランダム割付を実現できる。
【0068】
また、上記の割付方法によれば、治療数を増加させたとしても、バランス値の算出処理(図6のS12)以外は、ほとんど処理負荷が変動しない。また、バランス値の算出処理は単純な四則演算の繰り返しに過ぎないので、治療数の大小に拘らず、非常に単純な制御ロジックで実現することができる。つまり、上記の割付装置10は、治療群数の大小に拘らず簡明なロジックで、ランダムな割り付けが可能となる。
【0069】
次に、図18〜図20を参照して、割付解除処理を説明する。なお、図18は割付解除処理を示すフローチャート、図19は割付解除処理後の割付テーブル31を示す図、図20は割付解除後の治療選択テーブル32を示す図である。また、図16に示される割付テーブル31、図17に示される治療選択テーブル32、及び図5に示される履歴情報テーブル33は、割付解除処理前の状態を示す。
【0070】
まず、割付装置10の割付解除部44は、履歴情報テーブル33から最新の割付履歴レコードを取得する(S21)。図5に示される最新の割付履歴レコードには、症例番号に「15」、行番号に「1」、治療番号に「I」、性別に「男」、重症度に「軽症」、施設に「1」、無効フラグに「0」がそれぞれ保持されている。
【0071】
なお、割付解除部44は、取得した割付履歴レコードの「無効フラグ」を参照し、当該割付履歴レコードが有効か無効かを判断する。そして、無効フラグが「1(無効)」であれば当該割付は既にキャンセルされているので、次に新しい割付履歴レコードを取得する。一方、無効フラグが「0(有効)」であれば、次の処理に進む。すなわち、上記の「最新の割付履歴レコード」とは、現時点で有効(無効フラグが「0」)な割付履歴レコードのうちの最新のレコードを指す。
【0072】
次に、割付解除部44は、取得した割付履歴レコードに保持されている情報に基づいて、図16に示される割付テーブル31を割付処理前の状態に戻す(S22)。具体的には、治療番号「I」の「男(性別)」、「軽症(重症度)」、「No.1(施設)」の各セルに保持されている値から1を減算する。この結果を図19に示す(網掛けされた部分が更新された部分である)。
【0073】
次に、割付解除部44は、取得した割付履歴レコードに保持されている情報に基づいて、図17に示される治療選択テーブル32を割付処理前の状態に戻す(S23)。具体的には、行番号「1」のポインタの値から1を減算する。この結果を図20に示す(網掛けされた部分が更新された部分である)。
【0074】
最後に、割付解除部44は、S21で取得した割付履歴レコードの無効フラグに「1」を設定する。つまり、症例番号「15」で特定される割付履歴レコードの無効フラグに「1」を設定する。これによって、被験者15(図7の登録順序15の被験者を指す)の割付処理をキャンセルすることができる。また、複数の割付処理をキャンセルしたい場合には、上記の処理を必要な回数だけ繰り返せばよい。
【0075】
上記構成とすることにより、簡明なロジックで割付処理をキャンセルすることができる。つまり、復元容易性に優れた割付装置10を得ることができる。なお、この割付解除処理を応用することにより、従来の割付方法では難しかった、割付シミュレーションを行うこともできる。つまり、図7の被験者1〜15の登録順序を変更しながら、登録及び解除を繰り返すことによって、割付シミュレーションを実現できる。この割付シミュレーションは、例えば、治療選択シーケンスの妥当性を検証するのにも有効である。
【0076】
なお、図18において、S23の処理は必須ではなく省略することができる。つまり、割付をキャンセルしても、当該割付に使用した治療選択シーケンスのポインタを元に戻さなくてもよい。これにより、次回以降の割付結果の予見可能性を小さくができる。
【0077】
次に、図21を参照して、治療選択シーケンス生成処理を説明する。なお、図21は、図4に示される各治療選択シーケンスに含まれる治療特定値の度数分布表である。
【0078】
まず、治療数がN(2以上の整数)個の治療選択シーケンスは、乱数発生器によって1〜Nまでの複数個の整数(「治療特定値」に対応)を生成し、これらを順番に並べることによって得られる。
【0079】
このとき、1〜Nまでの整数の出現確率を、最小値個数によって制御するのが望ましい。具体的には、並び換えられたN個の治療のうち、先頭から最小値個数に相当する数までの治療が選択されやすく、最小値個数に相当する数より後の治療が選択されにくくなるようにする。
【0080】
例えば、治療数が「5」、最小値個数が「2」の治療選択シーケンスを生成する際には、治療特定値「1」及び「2」の出現確率を相対的に高くし、治療特定値「3」〜「5」の出現確率を相対的に低くする。
【0081】
このとき、治療特定値「1」の出現確率を0.5、治療特定値「2」の出現確率を0.5とし、治療特定値「3」〜「5」の出現確率を0としてもよい。これにより、図6に示される割付処理において、ループ処理(S16でNo)が不要となる。つまり、極めて簡明なロジックで実現することができる。一方、出現確率を、治療特定値「1」=「2」=0.425、治療特定値「3」=「4」=「5」=0.005のように設定してもよい。これによれば、出現確率を0とした場合と比較して僅かにロジックが複雑になるものの、バランス値の複雑な大小関係を反映した確率分配となる。
【0082】
上記のように治療選択シーケンスを生成することにより、既に説明したように、簡明なロジックでランダムな割り付けを実現することができる。また、最小値個数によって治療特定値の出現確率を偏らせることにより、図6に示される割付処理において、ループ処理(S16でNo)を減少させることができる。その結果、処理速度が向上する。
【0083】
なお、上記の治療選択シーケンス生成処理は、図6に示されるような割付処理が実行される前に行われる。典型的には、臨床試験の設計の一環として治療選択シーケンス生成処理が実行される。そして、実際の割付処理は、既に生成された(固定された)治療選択シーケンスを用いて実行される。
【0084】
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
【0085】
上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0086】
本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0087】
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であるとしてもよい。
【0088】
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0089】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、マイクロプロセッサは、コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0090】
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0091】
上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【0092】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、臨床試験等に利用される割付装置に有利に利用される。
【符号の説明】
【0094】
1 割付システム
2,3,4 端末
5 通信ネットワーク
10 割付装置
20 通信I/F
30 記憶部
31 割付テーブル
32 治療選択テーブル
33 履歴情報テーブル
40 制御部
41 バランス値算出部
42 治療並換部
43 割付部
44 割付解除部
45 シーケンス生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者をN(2以上の整数)個の治療のいずれかに割り付ける割付装置であって、
前記被験者を割り付ける治療を、前記N個の治療から特定するための第1の治療選択テーブルを記憶する記憶部と、
前記N個の治療それぞれについて、当該治療に前記被験者が割り付けられた場合の最小化法に基づくバランス値を算出するバランス値算出部と、
前記N個の治療を前記バランス値が昇順になるように並び換えると共に、N個のバランス値のうちの最小の値の個数である最小値個数を算出する治療並換部と、
前記最小値個数及び前記第1の治療選択テーブルを用いて、前記被験者を前記N個の治療のいずれかに割り付ける割付部とを備え、
前記第1の治療選択テーブルには、前記最小値個数毎に、1〜Nのうちのいずれかの整数値である治療特定値n1の列である治療選択シーケンスと、前記治療選択シーケンス中の次に取得すべき前記治療特定値n1の位置を示すポインタとが予め保持されており、
前記割付部は、前記第1の治療選択テーブルから、前記最小値個数に対応する前記治療選択シーケンス中の前記ポインタで示される治療特定値n1を取得し、並び換えられた前記N個の治療の先頭からn1番目の前記治療に前記被験者を割り付ける
割付装置。
【請求項2】
前記記憶部は、さらに、前記被験者を割り付ける治療を、(N−1)個の治療から特定するための第2の治療選択テーブルを記憶しており、
前記第2の治療選択テーブルは、前記最小値個数毎に、1〜(N−1)のうちのいずれかの整数値である治療特定値n2の列である治療選択シーケンスと、前記治療選択シーケンス中の次に取得すべき前記治療特定値n2の位置を示すポインタとを保持しており、
前記割付部は、
前記第1の治療選択テーブルから取得された前記治療特定値n1によって特定された前記治療のバランス値が、前記N個のバランス値のうちの最小の値でない場合に、並び換えられた前記N個の治療のうちの先頭の治療を割付対象から除外し、
前記第2の治療選択テーブルから、新たな最小値個数に対応する前記治療選択シーケンス中の前記ポインタで示される治療特定値n2を取得し、並び換えられた前記(N−1)個の治療の先頭からn2番目の前記治療に前記被験者を割り付ける
請求項1に記載の割付装置。
【請求項3】
該割付装置は、さらに、前記最小値個数毎に前記治療選択シーケンスを生成するシーケンス生成部を備え、
前記シーケンス生成部は、並び換えられた前記N個の治療のうち、先頭から前記最小値個数に相当する数までの前記治療が選択されやすく、前記最小値個数に相当する数より後の前記治療が選択されにくくなるように、前記治療特定値の出現確率を偏らせた前記治療選択シーケンスを生成する
請求項1又は2に記載の割付装置。
【請求項4】
前記記憶部は、さらに、被験者を割り付けた前記治療を特定する治療ID、及び当該割付に使用した前記治療選択シーケンスを特定するシーケンスIDを含む割付履歴レコードを時系列に保持する履歴情報テーブルを記憶し、
該割付装置は、さらに、前記履歴情報テーブルに記憶されている最新の割付履歴レコードを取得し、当該割付履歴レコードの前記シーケンスIDで特定される前記治療選択シーケンスのポインタを1だけ減算することにより、最新の割付を解除する割付解除部を備える
請求項1〜3のいずれか1項に記載の割付装置。
【請求項5】
前記被験者を割り付ける治療を、前記N個の治療から特定するための第1の治療選択テーブルを用いて、コンピュータに被験者をN(2以上の整数)個の治療のいずれかに割り付けさせる割付方法であって、
前記N個の治療それぞれについて、当該治療に前記被験者が割り付けられた場合の最小化法に基づくバランス値を算出するバランス値算出ステップと、
前記N個の治療を前記バランス値が昇順になるように並び換えると共に、N個のバランス値のうちの最小の値の個数である最小値個数を算出する治療並換ステップと、
前記最小値個数及び前記第1の治療選択テーブルを用いて、前記被験者を前記N個の治療のいずれかに割り付ける割付ステップとを備え、
前記第1の治療選択テーブルには、前記最小値個数毎に、1〜Nのうちのいずれかの整数値である治療特定値n1の列である治療選択シーケンスと、前記治療選択シーケンス中の次に取得すべき前記治療特定値n1の位置を示すポインタとが予め保持されており、
前記割付ステップでは、前記第1の治療選択テーブルから、前記最小値個数に対応する前記治療選択シーケンス中の前記ポインタで示される治療特定値n1を取得し、並び換えられた前記N個の治療の先頭からn1番目の前記治療に前記被験者を割り付ける
割付方法。
【請求項6】
請求項5に記載の割付方法をコンピュータに実行させる
プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−70441(P2011−70441A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221474(P2009−221474)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(300061835)財団法人先端医療振興財団 (28)