説明

加入者宅側光回線終端装置及び光伝送システム

【課題】光伝送路と複数の端末機器の接続を容易にし、機器の配置スペースを従来よりも狭くするとともにONU用電源やケーブルの削減により構成機器の信頼性を向上することができる加入者宅側光回線終端装置及び光伝送システムを提供する。
【解決手段】加入者宅側光回線終端装置は、OLT1aに接続された光ファイバ2に光カプラ3を介して接続されて光電気変換と逆光電気変換を行う光トランシーバ6と、光トランシーバ6の電気信号入出力端に接続されるONU機能部7と、ONU機能部7のメディア非依存インタフェース信号端に接続されてメディア非依存インタフェース・USBインタフェース変換と逆変換を行う変換手段8と、USBインタフェース9と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加入者宅側光回線終端装置及び光伝送システムに関し、より詳しくは、光伝送路の加入者宅側の終端に取り付けられるUSBインタフェースを有する加入者宅側光回線終端装置とこの装置を備えた光伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
FTTH、CATV等の光ネットワークでは、下記の特許文献1に記載されているように、センタに接続される光伝送路を受動型スプリッタにより分岐して複数の加入者宅まで敷設するPON(Passive Optical Network)型の光伝送システムが使用されている。そのような光伝送システムは、PDS(Passive Double Star)とも呼ばれる。
【0003】
そのような光伝送システムでは、図7に示すように、センタの光回線終端装置(OLT:Optical Line Termination)101からユーザ側に引き出される光ファイバ102にスプリッタ103が接続され、そのスプリッタ103により分岐された複数の光伝送路には光ファイバ104−1、…104−nを介して加入者宅の光回線終端装置(ONU:Optical Network Unit)105−1、…105−nが接続される。
【0004】
ONU105−1、…105−nは、図8に示すように、光トランシーバ部106とONU機能部107から構成され、屋内に設置される。光トランシーバ部106には、例えば屋外から光成端ユニット108を介して屋内に引き込まれた光ファイバ102が接続される。
【0005】
ONU機能部107の100・1000BASE−TXといったイーサネット(登録商標)(登録商標)インタフェース107aには例えばLANケーブル110が接続され、LANケーブル110には、コンピュータ111、ルータ112、スイッチングハブ113等が接続される。さらに、ルータ112やスイッチングハブ113にはコンピュータ、プリンタ等の端末機器114が接続される。
イーサネット(登録商標)インタフェース107aは、ONU用LSIのメディア非従属型インタフェース(MII:Media Independent Interface)に接続される物理層(PHY:Physical Layer)と、これに順に接続されるトランスファ、コネクタとから構成されている。
【特許文献1】特開平9−214541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ONU105−1,…105−nに複数台の端末機器114を接続するためにはルータ112又はスイッチングハブ113が必要となるので、光成端ユニット108と端末機器114の間には複数の機器やケーブルが介在することになる。
【0007】
このため、複数台の端末機器を光伝送路の終端に接続しようとする場合にONUをその終端に接続し、さらに、ONUとルータ又はスイッチングハブの間をケーブルで接続する煩わしさがある。しかも、それらの装置及びそのONU用の電源の配置やケーブルの引き回しのために機器設置スペースを広く確保しなければならない一方、ONU用の電源やゲーブルによる構成機器全体の信頼性の低下といった問題がある。
【0008】
本発明の目的は、光伝送路と複数の端末機器の接続を容易にし、機器の配置スペースを従来よりも狭くするとともにONU用電源やケーブルの削減により構成機器の信頼性を向上することができる加入者宅側光回線終端装置及び光伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る加入者宅側光回線終端装置は、センタ側の光回線終端装置に接続された光伝送路に光分岐結合部を介して接続されて光電気変換と逆光電気変換を行う電気/光変換手段と、前記電気/光変換手段の電気信号入出力端に接続される光回線終端装置機能部と、前記光回線終端装置機能部のメディア非依存インタフェース信号端に接続されてメディア非依存インタフェース・USBインタフェース変換とその逆変換を行う変換手段と、USBインタフェースと、を有することを要旨とする。
【0010】
本発明の他の態様に係る加入者宅側光回線終端装置は、メディア非依存インタフェースはGMIIまたはMIIで構成されることを要旨とする。
本発明の他の態様に係る加入者宅側光回線終端装置は、前記変換手段はGMIIまたはMIIおよびMDIOインタフェースを有し、前記光回線終端装置機能部はGMII、MIIおよび管理制御信号端子を有することを要旨とする。
【0011】
本発明の他の態様に係る加入者宅側光回線終端装置は、前記変換手段はGMIIまたはMIIおよびMDIOインタフェースを有し、前記光回線終端装置機能部はGMII、MIIおよびMDIOインタフェースを有することを要旨とする。
【0012】
本発明の他の態様に係る加入者宅側光回線終端装置は、前記光回線終端装置機能部は、前記センタ側と加入者宅の光回線終端装置との間においてPONリンクが確立した場合、或いは、前記センタ側と前記光回線終端装置との間において認証が確立した場合に出力され、前記変換手段と前記USBインタフェースとの通信状態を確立する管理制御信号を前記変換手段に伝えるための管理制御信号端子を有することを要旨とする。
【0013】
本発明の他の態様に係る加入者宅側光回線終端装置は、前記光回線終端装置機能部は、前記センタ側と前記光回線終端装置との間においてPONリンクが確立した場合、或いは、前記センタ側と前記光回線終端装置との間において認証が確立した場合に出力され、前記変換手段と前記USBインタフェースとの通信状態を確立するための管理制御信号を前記変換手段に伝えるための管理制御信号端子と、前記管理制御信号端子から入力或いは出力される前記管理制御信号を前記光回線終端装置機能部と前記変換手段の相互間で通信するための管理制御信号制御部と、を有することを要旨とする。
【0014】
本発明の他の態様に係る加入者宅側光回線終端装置は、前記光回線終端装置機能部の前記管理制御信号制御部にMDIOインタフェース信号を用いることを要旨とする。
本発明の他の態様に係る加入者宅側光回線終端装置は、前記光回線終端装置機能部の前記管理制御信号端子はMDIOインタフェースを用い、前記管理制御信号制御部はMDIOインタフェース信号を用いることを要旨とする。
【0015】
本発明の第2の態様に係る光伝送システムは、上記態様のいずれか一つに記載の加入者宅側光回線終端装置と、前記加入者宅側光回線終端装置に第1の光伝送路を介して接続される加入者宅側ポートを有する光分岐結合部と、前記光分岐結合部のセンタ側ポートに接続される第2の光伝送路と、前記第2の光伝送路に接続される前記センタ側の光回線終端装置と、を有することを要旨とする。
【0016】
本発明の他の態様に係る光伝送システムは、前記加入者宅側光回線終端装置の前記USBインタフェースは、その外部に配置されるノードのUSBインタフェーススロットに直に接続されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、加入者宅側光回線終端装置をコンピュータ等のノードのUSBスロットに差し込むことにより、配線の引き回しをすることなく加入者宅側光回線終端装置とノードを直接に接続することができる。また、加入者宅側光回線終端装置は、コンパクトに構成することが可能であり、狭い設置場所で足りる。また、加入者宅側光回線終端装置用の電源アダプタやLANケーブルが不要となり構成機器の信頼性が向上できる。
【0018】
また、加入者宅側光回線終端装置は、PONリンクが確立した場合、或いは、光回線終端装置の認証が確立した場合に出力される管理制御信号によって、加入者宅とセンタの相互間の通信状態を確立するようにしている。このため、例えば、PONリンクが確立する前或いは光回線終端装置の認証が確定する前に、差し込んだコンピュータ側から早まって加入者宅側光回線終端装置へ信号を送信して通信エラーが起きるといったエラープロセスをなくすことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る光伝送システムの概略構成を示している。この光伝送システムはPON型光伝送システムである。
【0020】
図1に示す光伝送システムに用いる加入者宅側光回線終端装置は、センタ側(局側)の光回線終端装置(以下、「OLT」という。)1aに接続された光伝送路である光ファイバ(第2の光伝送路)2に光カプラ(光分岐結合部)3を介して接続されて光電気変換と逆光電気変換を行う電気/光変換手段としての光トランシーバ6を備えている。また、加入者宅側光回線終端装置は、光トランシーバ6の電気信号入出力端に接続される光回線終端装置機能部であるONU機能部7と、ONU機能部7のメディア非依存インタフェース信号端7a,7b(図2参照)に接続されてメディア非依存インタフェース・USBインタフェース変換とその逆変換を行うGMII/USB変換部(変換手段)8と、USBインタフェース9と、を備えている。
【0021】
また、図1に示す光伝送システムにおいて、センタに設けられるPONインタフェースカード1は、OLT1aと認証機能部1bを有し、OLT1aの光入出力端には光ファイバ2の一端が接続されている。また、光ファイバ2の他端、即ち加入者宅側には光カプラ3が接続されている。
【0022】
光カプラ3により複数に分岐される光伝送路は、光ファイバ(第1の光伝送路)4−1,…4−nを介して加入者宅側の複数の光回線終端装置(以下、「ONU」という)5−1,…5−n(n:自然数)に接続されている。
【0023】
センタのOLT1aは、ONU5−1,…5−nとの接続に際し、ONU5−1,…5−nとの間で信号を交換して所定の条件を満たしているかどうかを判断し、満たしている場合にはデータリンクの確立が正常であると判断する。このとき、OLT1aおよびONU5−1,…5−nは、PONリンクが確立した状態となる。PONリンクの確立は、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでいうならば第2層のリンク確立に相当する。例えば、OLTとONUを含む光伝送システムがGE−PON(Gigabit Ethernet(登録商標) Passive Optical Networkの略語であり、IEEE802.3ah規格に準拠した方式)の場合には、このPONリンクの確立は、IEEE802.3ah規格の手順に準ずることになる。
【0024】
認証機能部1bは、認証機能を有し、OLT1aとONU5−1,…5−n間がPONリンク確立状態となった後に、ONU5−1,…5−nの接続相手を識別するために、ONU5−1,…5−nにアクセスしてその中の認証モードのデータを取得して認証を行う。認証モードとして、MACアドレス認証モード、自動認証モード等がある。
【0025】
MACアドレス認証モードは、各ONU5−1,…5−nに設定された個別のMACアドレスを元に管理を行い、ONU5−1,…5−nの各MACアドレスを予め認証機能部1bに登録することでONU5−1,…5−nを識別することができる。また、自動認証モードは、接続されたロジカルリンクを全て認証し、主信号の疎通を許容するモードであり、ONU5−1,…5−nのMACアドレス登録等の作業を必要とせず、例えばONU5−1,…5−nに実装されているONU番号スイッチの値で管理することが可能である。
【0026】
OLT1a、ONU5−1,…5−nは、GPON(Gigabit Passive Optical Networkの略であり、ITU規格G.984.xに準拠した方式)、上記GEPONの規定に適合した装置が使用される。
【0027】
ONU5−1,…5−nのうちの少なくとも1つとしてUSB・ONU(USBインタフェース付きONU)5が採用される。USB・ONU5は、図1、図2に示すように、光電気変換と逆光電気変換を行う電気/光変換手段としての光トランシーバ6と、ONU機能部(光回線終端装置機能部)7と、GMII/USB変換部8と、USBインタフェース9と、これらを収納する筐体13とを有する。GMII/USB変換部8は、メディア非依存インタフェース・USBインタフェース変換と逆変換を行う変換手段に相当する。
【0028】
USB・ONU5内でUSBインタフェース9は、USB・ONU5の外部に配置されるノード、例えばパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」という)20に設けられたUSBインタフェーススロット21に直に接続可能な規格に対応している。USBインタフェース9は、パソコン20等の外部周辺機器の手軽な接続を実現した高速インタフェース仕様である。USB・ONU5は、USBインタフェースを有するパソコン20等の端末機器と接続される。
【0029】
USB・ONU5は、より具体的には例えば図2に示すような構成を有している。
図2において、光トランシーバ6は、OLT1a側の光ファイバ4−1に接続される光カプラ6aと、この光カプラ6aにより分岐された光ファイバ4−1に光結合される受光素子(不図示)を有する光電気変換回路部6bと、光カプラ6aにより分岐された光ファイバ4−1に光結合される発光素子(不図示)を有する逆光電気変換回路6cとを有している。光電気変換回路部6bと逆光電気変換回路6cとにより、センタ側の光伝送路に接続されて光電気変換と逆光電気変換を行う電気/光変換手段が構成される。
【0030】
ONU機能部7は電気回路であって、光トランシーバ6に接続されるPON処理用のLSI(集積回路)デバイス(ONU用LSI)10と、このLSIデバイス10に接続される同期式スタティックRAM11及びフラッシュメモリ12とを有し、フラッシュメモリ12にはプログラが書き込まれている。なお、MACアドレスは、フラッシュメモリ12や図示しないROMに書き込まれている。また、ONU機能部7は、LSIデバイス10に接続されるONU番号スイッチ(不図示)を有している。
【0031】
LSIデバイス10は、図3に示すように、ギガビット・シリアライザ/デシリアライザ(Gigabit SERDES)10aを介して光トランシーバ6の電気信号端に接続されるIEEE802.3ah準拠の媒体アクセス制御(MAC:Media Access Control)部(以下、「MAC部」という)10bを有している。MAC部10bは、EPON(Ethernet(登録商標) Passive Optical Network)ルックアップエンジン10c、スイッチ10d及びギガビット・イーサネット(登録商標)ルックアップエンジン10eを介して100/1000MACインタフェース10fに接続されている。また、LSIデバイス10内のスイッチ10dには、上記の同期式SRAM11との間に介在されるFIFO10pが接続されている。
【0032】
LSIデバイス10は、GMIIインタフェース、MIIインタフェースおよびGPIOインタフェースを有する。また、GMII/USB変換部8は、GMIIインタフェース或いはMIIインタフェースおよびDMIOインタフェースを有する。
【0033】
LSIデバイス10は、PONリンク確立の状態、認証確立の状態を表すGPIO信号30をGPIO端子10mからMDIO(Management Data Input Output)制御部301へ出力するようになっている。
【0034】
MDIO制御部301は、LSIデバイス10から出力されるGPIO信号30をMDIO経由でGMII/USB変換部8へ伝えるようになっている。ONU機能部7のMDIO制御部(管理制御信号制御部)301には、MDIOインタフェース信号(MDIO,MDC,MDINT)を用いる。
【0035】
MAC部10bは、管理用インタフェース(management interface)10gを介して、80C51ファミリーのCPU10h及びGPIO(General Purpose I/O)インタフェー
ス10iに接続されている。さらに、CPU10hには、SRAM10j及び上記のフラッシュメモリ12が接続されている。
【0036】
管理用インタフェース10gは、光トランシーバ6、シリアライザ/デシリアライザ10a、MAC部10bを介してOLT1aからPONリンク確立信号が入力され、PONリンク確立信号が入力する前には「1」信号となる一方、PONリンク確立信号を入力した後には「0」信号となる管理制御信号として利用可能なGPIO信号30を出力する。
【0037】
管理用インタフェース10gのうちGPIO信号30を出力するGPIO端子10mはMDIO制御部301と接続されており、このGPIO端子10mを介してUSB・ONU5とOLT1aのリンク状態がMDIO制御部301に伝えられる。また、MDIO制御部301は、GMII/USB変換部8へMDIO信号を介して、GMII/USB変換部8のGMIIインタフェース側のリンク状態として伝える。
【0038】
より具体的には、GPIO端子10mからMDIO制御部301へ出力されるGPIO信号30は、PONリングが確立していないときに「1」信号となり、逆にPONリングが確立したときにPONリンク確立を表す「0」信号となる。つまり、GPIO信号30の「1」信号はRX−LOSS状態(受信断状態)を表し、その「0」信号はRX−LOSS状態の解除(正常状態)を表す。
【0039】
このような状態変化は、MDIOインタフェースを介して、GMII/USB変換部8が、MDIO制御部301から読み出すことにより、GMII/USB変換部8へ伝達される。
【0040】
なお、MDIP制御部301からGMII/USB変換部8へのより詳細な伝達方法は、次の通りである。
【0041】
まず、MDIO制御部301が、「0」のMDIO信号30をGMII/USB変換部8へ出力することにより、PONリンク確立の状態変化があったことをGMII/USB変換部8へ伝える。「0」のMDIO信号30を受けたGMII/USB変換部8は、MDIOおよびMDCを用いてMDIO制御部301へポーリング確認を行い、PONリンク確立の状態を表す「0」信号を読み取る。MDIO制御部301は、PONリンク確立の状態を表す「0」信号を読み取ると、それをGMIIインタフェース側のリンク状態が確立されていると認識でき、USBインタフェース9側に接続されるパソコン20側との通信を開始できる。
【0042】
このようにして、PONリンク確立の状態を表す「0」信号を、MDIO制御部301を介してGMII/USB変換部8へ伝達することにより、PONリンク確立後に、GMII/USB変換部8を含めて、パソコン20側との通信を開始できる。
【0043】
以上のような構成を有するLSIデバイス10として、テクノバス社(Teknovus Inc.
)のEPONに準拠したチップがある。
【0044】
LSIデバイス10のTBI部10kに接続されるGMII・USB変換部8は、GMII信号をUSBインタフェース信号へ変換・逆変換する機能を有し、GMIIインタフェースに接続されるPHY−ICと制御通信を行うためのMDIOインタフェース機能を有している。
【0045】
なお、USBインタフェーススロット21(図1参照)は、パソコン20内の電源(不図示)から印可される電圧Vを出力させるピン(不図示)を有し、このピンを介してUSB・ONU5内に電源を供給する。
【0046】
上記の光伝送システムにおいて、OLT1aに接続された光ファイバ2に光接続される加入者宅側の光ファイバ4−1をUSB・ONU5の光トランシーバ6の光コネクタ6A(図2参照)に接続する。さらに、USB・ONU5のUSBインタフェース9をパソコン20のUSBインタフェーススロット21に差し込んでUSB・ONU5をパソコン20に接続する。
【0047】
これにより、パソコン20のUSBインタフェーススロット21からUSB・ONU5に電源が供給され、USB・ONU5が駆動状態となる。
【0048】
この初期状態では、USB・ONU5のLSIデバイス10内の管理用インタフェース10gから出力されるGPIO信号30は「1」となり、MDIO制御部301を介して、GMII・USB変換部8からは、GMIIインタフェース側が、従来のアプリケーションでいうところのPHYリンク状態(上記受信断状態)と認識することにより、LSIデバイス10とパソコン20の相互間には信号が伝搬されない。
【0049】
ここで、OLT1aに光接続されたUSB・ONU5のUSBインタフェース9がパソコン20のUSBインタフェーススロット21に差し込まれて動作が開始されると(図4のステップS0)、OLT1aとUSB・ONU5間において、PONリンク確立手順のための通信が開始され、PONリンク確立か否かが判定される(図4のステップS1)。一方、GMII・USB変換部8は、初期状態では通信準備中であり、通信遮断状態となっているので、仮にパソコン20側から信号9y(図2参照)が入ってきても、LSIデバイス10側との早まったリンク確立が行われるのを防止できる。OLT1aとUSB・ONU5間は、然るべき手順の後にPONリンクを確立する(図4のステップS2)。
【0050】
PONリンクを確立したLSIデバイス10は、MDIP制御部301経由で、GMII側インタフェースが確立したことをGMII/USB変換部8へ伝えることにより、GMII・USB変換部8が通信可能状態となり、USBインタフェース9とLSIデバイス10の相互間を通信状態にする(図4のステップS3)。
【0051】
図4のステップS3では、LSIデバイス10は、MDIOを介して、MDIO制御部301経由で、GMII・USB変換部8へGMIIインタフェース側のリンクが確立したことを伝える。つまり、LSIデバイス10は、MDIOバスを介してまず、MDIO制御部301へPONリンク確立状態を伝える。これを受けたMDIO制御部301は、GMII・USB変換部8へPONリンクが確立したことを、ネットワーク側のインタフェースが確立した状態として伝える。または、LSIデバイス10が直接MDIOバスを介してGMII・USB変換部8へPONリンク確立状態(「0」のMDIO管理制御信号10b)を伝えてもよい(図6参照)。
【0052】
USBインタフェース9とLSIデバイス10の相互間が通信状態になると(図4のステップS3)、USB・ONU5を介してOLT1aとパソコン20の間で、物理層、L1,L2等のデータが伝送される状態となる。
【0053】
このようにOLT1aとパソコン20の間で通信が可能になった状態では、OLT1から光ファイバ2を伝搬した光信号は、光カプラ3により分岐され、さらに光ファイバ4−1,…4−nを介して複数のONU5−1,…5−nに入力する。
ONU5−1,…5−nのうち少なくとも1つを構成するUSB・ONU5において、光信号は光トランシーバ6内で光カプラ6aを介して光電気変換部6bに入力し、ここで電気信号に変換されてOUN機能部7内のLSIデバイス10に入力する。
【0054】
また、LSIデバイス10内では電気信号であるシリアル信号がギガビット・シリアライザ/デシリアライザ(Gigabit SerDes)10aによってパラレル信号に変換され、さらに所定の様々なLSIデバイス10内の機能処理を経てGMII部10kから出力される。そのGMII信号は、GMII/USB変換部8によりUSBインタフェース信号に変換されてUSBインタフェース9に出力される。
【0055】
USBインタフェース9から出力されたUSBインタフェース信号は、USBインタフェーススロット21を介してパソコン20へ伝送される。
【0056】
一方、パソコン20から出力されたUSBインタフェース信号は、USBインタフェース9に入力される。
【0057】
USBインタフェース信号は、USBインタフェーススロット21を介してUSB・ONU5内のUSBインタフェース9に入力され、さらにGMII/USB変換部8によりGMII信号に変換されてONU機能部7内のLSIデバイス10のGMII部10kに入力される。
【0058】
さらに、ONU機能部7では所定の処理が行われ、GMII部10kに入力したGMII信号はLSIデバイス10のシリアル/パラレル変換部10aによってシリアル信号に変換されて光トランシーバ6の逆光電気変換部6cに出力される。逆光電気変換部6cは、ONU機能部7から伝送されたシリアル電気信号を光信号に変換し、その光信号は光カプラ6aを介して光ファイバ4−1に出力される。USB・ONU5から出力された光信号は、光ファイバ4−1、光カプラ3、光ファイバ2を介してOLT1aに伝送される。
【0059】
以上のことから、OLT1aとUSB・ONU5の間で送信されるPONリンクが確立することにより得られるPONリンク確立信号は、一旦MDIO制御部301へ出力され、その後、GMII/USB変換部8へ出力され、その後、GMII/USB変換部8へ伝達される。これにより、OLY/PON間でのPONリンクが確立したことをGMII/USB変換部8へ伝えることができる。OLY/PON間でのPONリンクが確立した後に、GMII/USB変換部8を通信可能状態にすることができ、OLT1aからUSBインタフェース9までの一連の系において通信状態が整った状態で、パソコン20との通信を開始することができる。
【0060】
ところで、USB・ONU5内において、LSIデバイス10から出力されるGPIO信号30の出力は、PONリンク確立信号に基づく代わりに、PONインタフェースカード1の認証機能部1bによりONU5−1,…5−nの接続相手を識別したことを示す認証確立による信号に基づいて制御されるようにしてもよい。即ち、OLT1aからPONリンク確立信号が出力された場合であっても、その信号が入力されたLSIデバイス10はGPIO信号30を「0」に変えないように構成してもよい。
【0061】
この構成では、OLT1aに光接続されたUSB・ONU5のUSBインタフェース9がパソコン20のUSBインタフェーススロット21に差し込まれて動作が開始される(図5のステップS0)。この後、PONリンク確立か否かが判定される(図5のステップS1)。ステップS1の判定結果がYESになり、OLT1aからPONリンク確立信号が出力されると、PONリンク確立信号が入力された認証機能部1bは、OLT1aがPOリンクを正常に確立した後にUSB・ONU5を識別するための認証手順、つまり、PON認証が確立したか否かの判定を開始する(図5のステップS5)。そして、OLT1aを介して認証機能部1bとUSB・ONU5の間において認証が成立し、図5のステップS5の判定結果がYESになると、認証完了状態(認証確立状態)となる(図5のステップS6)。
【0062】
認証確立状態となったONU機能部7内のLSIデバイス10は、GPIO信号30を「1」から「0」に変更する。そのGPIO信号30は、MDIO制御部301を介してGMII/USB変換部8へ伝えられる。
【0063】
これにより、PONリンクを確立したLSIデバイス10は、MDIO制御部301経由で、GMII側インタフェースが確立したことをGMII/USB変換部8へ伝えることにより、GMII/USB変換部8が通信可能状態となり、USBインタフェース9とLSIデバイス10の相互間を通信状態にする(図5のステップS7)。
【0064】
図5のステップS7では、LSIデバイス10は、MDIOを介して、MDIO制御部301経由で、GMII・USB変換部8へGMIIインタフェース側のリンクが確立したことを伝える。つまり、LSIデバイス10は、MDIOバスを介してまず、MDIO制御部301へPON認証が確立したことを、ネットワーク側のインタフェースが確立した状態として伝える。または、LSIデバイス10が直接MDIOバスを介してGMII・USB変換部8へPONリンク確立状態(「0」のMDIO管理制御信号10b)を伝えてもよい(図6参照)。
【0065】
USBインタフェース9とLSIデバイス10の相互間が通信状態になると(図5のステップS7)、USB・ONU5を介してOLT1aとパソコン20の間で、物理層、L2、L3等のデータ送信が正常に伝送される状態となる。
【0066】
以上述べたUSB・ONU5によれば、LSIデバイス10のGMII出力を利用して光ファイバ系信号の送受信状態としたので、PHY、トランス及び1000BASE−Tや1000BASE−Tのコネクタを用いる必要がなく、回路規模を縮小することができ、設置スペースの縮小化が図られる。
【0067】
しかも、USB・ONU5のUSBインタフェース9をパソコン20側のUSBインタフェーススロット21に差し込むことにより、ONU機能部7とパソコン20のUSBインタフェースを接続することが可能になり、ONU5−1とパソコン20との間でケーブルを引き回したり接続したりする手間が不要となる。
【0068】
また、USB・ONU5の動作に必要な電力は、パソコン20のUSBインタフェーススロット21からUSBインタフェース9を介して供給されるので、USB・ONU5の外部で電源部及び電源配線が不要となり、電源コンセントに電源ケーブルを接続する作業やそれに必要なスペースも省くことができる、かつ構成全体の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態に係る光伝送システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】同光伝送システムに使用されるUSB.ONUの構成を示すブロック図。
【図3】同USB.ONU内のLSIデバイスの概略構成を示すブロック図。
【図4】一実施形態に係る光伝送システムにおいてセンタ側からのPONリンク確立信号の伝送によるONUでの通信状態の確立を示すフローチャート。
【図5】同光伝送システムにおいてセンタ側からの認証確立信号の伝送によるONUでの通信状態の確立を示すフローチャート。
【図6】一実施形態に係る光伝送システムの変形例に係る同光伝送システムに使用されるUSB.ONUの構成を示すブロック図。
【図7】従来の光伝送システムの概略構成を示すブロック図。
【図8】同光伝送システムの加入者宅のシステムの概略構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0070】
1a…センタ側の光回線終端装置(OLT)、2…光ファイバ(第2の光伝送路)、3…光カプラ(光分岐結合部)、4−1〜4−n…光伝送路(第1の光伝送路)、5−1〜5−n…加入者宅側の光回線終端装置(ONU)、5…USB・ONU、6…光トランシーバ(電気/光変換手段)、7…ONU機能部(光回線終端装置機能部)、7a,7b…光回線終端装置機能部のメディア非依存インタフェース信号端、8…変換手段としてのGMII/USB変換部、9…USBインタフェース、10m…管理制御信号端子(GPIO信号端子)、20…パーソナルコンピュータ(ノード)、21…USBインタフェーススロット、30…管理制御信号(GPIO信号)、301…管理制御信号制御部(MDIO制御部)、10b…MDIO管理制御端子(MDIO信号端子)、30b…MDIO管理制御信号(MDIO信号)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタ側の光回線終端装置に接続された光伝送路に光分岐結合部を介して接続されて光電気変換と逆光電気変換を行う電気/光変換手段と、
前記電気/光変換手段の電気信号入出力端に接続される光回線終端装置機能部と、
前記光回線終端装置機能部のメディア非依存インタフェース信号端に接続されてメディア非依存インタフェース・USBインタフェース変換とその逆変換を行う変換手段と、
USBインタフェースと、を有することを特徴とする加入者宅側光回線終端装置。
【請求項2】
メディア非依存インタフェースはGMIIまたはMIIで構成されることを特徴とする請求項1に記載の加入者宅側光回線終端装置。
【請求項3】
前記変換手段はGMIIまたはMIIおよびMDIOインタフェースを有し、前記光回線終端装置機能部はGMII、MIIおよび管理制御信号端子を有することを特徴とする請求項1に記載の加入者宅側光回線終端装置。
【請求項4】
前記変換手段はGMIIまたはMIIおよびMDIOインタフェースを有し、前記光回線終端装置機能部はGMII、MIIおよびMDIOインタフェースを有することを特徴とする請求項1に記載の加入者宅側光回線終端装置。
【請求項5】
前記光回線終端装置機能部は、前記センタ側と加入者宅の光回線終端装置との間においてPONリンクが確立した場合、或いは、前記センタ側と前記光回線終端装置との間において認証が確立した場合に出力され、前記変換手段と前記USBインタフェースとの通信状態を確立する管理制御信号を前記変換手段に伝えるための管理制御信号端子を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の加入者宅側光回線終端装置。
【請求項6】
前記光回線終端装置機能部は、前記センタ側と前記光回線終端装置との間においてPONリンクが確立した場合、或いは、前記センタ側と前記光回線終端装置との間において認証が確立した場合に出力され、前記変換手段と前記USBインタフェースとの通信状態を確立するための管理制御信号を前記変換手段に伝えるための管理制御信号端子と、前記管理制御信号端子から入力或いは出力される前記管理制御信号を前記光回線終端装置機能部と前記変換手段の相互間で通信するための管理制御信号制御部と、を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の加入者宅側光回線終端装置。
【請求項7】
前記光回線終端装置機能部の前記管理制御信号制御部にMDIOインタフェース信号を用いることを特徴とする請求項5叉は6に記載の加入者宅側光回線終端装置。
【請求項8】
前記光回線終端装置機能部の前記管理制御信号端子はMDIOインタフェースを用い、前記管理制御信号制御部はMDIOインタフェース信号を用いることを特徴とする請求項5叉は6に記載の加入者宅側光回線終端装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一つに記載の加入者宅側光回線終端装置と、
前記加入者宅側光回線終端装置に第1の光伝送路を介して接続される加入者宅側ポートを有する光分岐結合部と、
前記光分岐結合部のセンタ側ポートに接続される第2の光伝送路と、
前記第2の光伝送路に接続される前記センタ側の光回線終端装置と、を有することを特徴とする光伝送システム。
【請求項10】
前記加入者宅側光回線終端装置の前記USBインタフェースは、その外部に配置されるノードのUSBインタフェーススロットに直に接続されることを特徴とする請求項9に記載の光伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−160197(P2008−160197A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343315(P2006−343315)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】