説明

加工油分離システム

【課題】分離タンクのオーバーフローを防止するため、別途、ポンプ装置及び検出器を配設する必要のない加工油分離システムを提供する。
【解決手段】回収加工油を貯留して水溶性加工油WOと混入加工油に一次分離する一次分離タンク1と、混入加工油BOを貯留して不水溶性加工油NOと水溶性加工油に二次分離する二次分離タンク2と、一次分離された混入加工油を吸引して二次分離タンク内に流入させる第1ポンプ装置3と、二次分離された不水溶性加工油を吸引して被加工体に供給する第2ポンプ装置5と、ドレン管路7を備え、第1ポンプ装の流量は、前記第2ポンプ装置の流量以上に設定され、二次分離タンクの液面は一次分離タンクの液面よりも高い位置にされ、ドレン管路は、各ポンプ装置の駆動に伴って水溶性加工油を一次分離タンク内に流入させ、水溶性加工油の流入量が各ポンプ装置の流量差分となるように構成及び配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械で加工される被加工体に、不水溶性加工油及び水溶性加工油を選択的又は同時に供給すると共に、工作機械から各加工油を回収して、この回収加工油を混入加工油と水溶性加工油に一次分離し、更に、混入加工油を不水溶性加工油と水溶性加工油に二次分離する加工油分離システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、工作機械においては、被加工体に不水溶性加工油を供給しつつ被加工体を加工し、又は被加工体に水溶性加工油を供給しつつ被加工体を加工している。被加工体に供給された不水溶性加工油、又は水溶性加工油は、工作機械から回収されて、再度、被加工体に供給される。
【0003】
近年、工作機械において、被加工体に不水溶性加工油及び水溶性加工油を選択的又は同時に供給しつつ、被加工体を加工する工作機械が開発されている。被加工体に供給された不水溶性加工油と水溶性加工油は、加工油分離装置によって回収され、不水溶性加工油と水溶性加工油に分離されて、再度、被加工体に供給される。
【0004】
加工油分離装置として、特許文献1に開示する技術は、加工機械から回収された不水溶切削油及び水溶性切削油を貯留して、水溶性切削油と混入切削油に分離する回収槽と、混入加工油を貯留して、水溶性加工油と不水溶性加工油に分離する油貯留槽を開示している。なお、混入切削油は、不水溶性切削油に若干の水溶性切削油を含有する切削油である。
また、回収槽内で分離された混入加工油は、ポンプ装置及び第1油管によって油貯留槽に流入され、油貯留槽内で分離された不水溶性切削油は、ポンプ装置及び第2油管によって加工機械の被加工体に、再度、供給される。
【0005】
また、特許文献1に開示する技術では、油貯留槽内で分離された水溶性切削油は、ポンプ装置及び第1水管によって回収槽内に流入させている。そして、油貯留槽の水溶性切削油をポンプ装置で吸引して、回収槽内に流入させることで、油貯留槽のオーバーフローを防止している。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示する技術では、油貯留槽のオーバーフローを防止するため、ポンプ装置を配設する必要があり、更に、このポンプ装置の吸引/吐出駆動を制御するための検出器等も必要となる。
従って、特許文献1に開示する技術は、加工油分離装置の製造コストの上昇を招くという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−77483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、分離タンクのオーバーフローを防止するため、別途、ポンプ装置及び検出器を配設する必要がなく、工作機械から各加工油を回収して、不水溶性加工油と水溶性加工油に分離できる加工油分離システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る請求項1は、工作機械で加工される被加工体に、不水溶性加工油及び水溶性加工油を選択的又は同時に供給すると共に、前記工作機械から前記各加工油を回収して、回収加工油を比重差に基づいて不水溶性加工油と水溶性加工油に分離する加工油分離システムであって、前記回収加工油を貯留して、前記水溶性加工油と、前記各加工油の混入する混入加工油に一次分離する一次分離タンクと、前記一次分離された混入加工油を貯留して、不水溶性加工油と水溶性加工油に二次分離する二次分離タンクと、前記一次分離タンク内から前記一次分離された混入加工油を吸引して、前記二次分離タンク内に流入させる第1ポンプ装置と、前記二次分離タンク内から前記二次分離された不水溶性加工油を吸引して、前記被加工体に供給する第2ポンプ装置と、前記一次分離タンク内、及び前記二次分離タンクの前記水溶性加工油中の夫々に開口して配設されるドレン管路を備えてなり、前記第1ポンプ装置の混入加工油の流量は、前記第2ポンプ装置の不水溶性加工油の流量以上に設定され、前記二次分離タンクの液面は、前記一次分離タンクの液面よりも高い位置にされており、前記ドレン管路は、前記各ポンプ装置の駆動に伴って、前記二次分離タンク内から前記水溶性加工油を前記一次分離タンク内に流入させると共に、該水溶性加工油の流入量が前記各ポンプ装置の流量差分となるように構成及び配設されていることを特徴とする加工油分離システムに関する。
【0010】
本発明に係る請求項2は、前記ドレン管路は、前記二次分離タンクの前記水溶性加工油中から前記液面まで延設される第1管路と、前記第1管路に連続して、前記液面に沿って前記二次分離タンク外に延設される第1管路と、前記第2管路に連続して、前記一次分離タンク内に開口する第3管路と、前記第2管路内を外気に連通する調節穴を備えてなることを特徴とする加工油分離システムに関する。
【0011】
本発明に係る請求項3は、前記一次分離タンク内から前記水溶性加工油を吸引して、前記被加工体に供給する第3ポンプ装置を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工油分離システムに関する。
【0012】
本発明に係る請求項4は、前記一次分離タンク内から流出される前記水溶性加工油の温度を調節する温度調節器を備え、前記温度調節器で温度調節された水溶性加工油は、前記一次分離タンク内に流入され、前記回収加工油に混入されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の加工油分離システムに関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る請求項1によれば、ドレン管路は、第1、第2ポンプ装置の駆動に伴って、各ポンプ装置の流量差分の水溶性加工油が二次分離タンク内から一次分離タンク内に流入するので、二次分離タンクの液面を一定高さに維持できる。
従って、二次分離タンクのオーバーフローを防止するため、別途、ポンプ装置及び検出器等を必要としない。また、ポンプ装置及び検出器を必要としないので、加工油分離システムの製造コストを低減できる。
【0014】
本発明に係る請求項2によれば、ドレン管路に生じるサイフォン効果を利用して、第1、第2ポンプ装置の流量差分の水溶性加工油が二次分離タンク内から一次分離タンク内に流入し、しかも二次分離タンクの液面を一定高さに維持できるので、二次分離タンクのオーバーフローを防止するため、別途、ポンプ装置及び検出器等を配設する必要がない。
【0015】
本発明に係る請求項3によれば、第3ポンプ装置は、一次分離された水溶性加工油を吸引して、被加工体に供給するので、一次分離された水溶性水溶液を再使用して、被加工体に供給できる。
【0016】
本発明に係る請求項4によれば、温度調節された水溶性加工油を回収加工油に混入して、撹拌することで、回収加工油中の不水溶性加工油の温度を効率良く制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る加工油分離システムを示す正面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図1のB−B矢視図である。
【図4】本発明に係る加工油分離システムの一次分離タンク、及び工作機械を示す拡大図である。
【図5】図1のC−C矢視図である。
【図6】本発明に係る加工油分離システムの第1ポンプ装置、及び第3ポンプ装置の構成を示す拡大図である。
【図7】本発明に係る加工油分離システムのドレン管路の構成を示す拡大図である。
【図8】本発明の係る加工油分離システムの他の実施形態を示す要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る加工油分離システムについて、図1乃至図8を参照して説明する。
【0019】
図1乃至図7において、加工油分離システム(X1)は、工作機械(Y)で加工される被加工体(Z)に、不水溶性加工油(NO)及び水溶性加工油(WO)を選択的又は同時に供給する。
また、加工油分離システム(X1)は、工作機械(Y)から加工油(NO)、(WO)を回収して、この回収加工油(KO)を水溶性加工油(WO)と混入加工油(BO)に一次分離し、更に、混入加工油(BO)を不水溶性加工油(NO)と水溶性加工油(WO)に二次分離する。
さらに、加工油分離システム(X1)は、一次分離された水溶性加工油(WO)及び二次分離された不水溶性加工油(NO)を、再度、被加工体(Z)に供給する。
なお、工作機械(Y)は、旋盤、フライス盤、NC旋盤(数値制御旋盤)、マシニングセンタ(数値制御フライス盤)、及び研削盤、NC研削盤(数値制御研削盤)等であって、図1にはエンドミル等の切削工具の移動を数値制御することで被加工体(Z)を切削加工するマシニングセンタを例示している。また、被加工体(Z)は、金属、木材又は樹脂等の材質で形成されている。
【0020】
不水溶性加工油(NO)は、水溶性加工油(WO)よりも比重の小さい液状の加工油であり、潤滑性に優れたものである。また、水溶性加工油(WO)は、不水溶性加工油(NO)よりも比重の大きい液状の加工油であり、冷却性に優れたものである。さらに、回収加工油(KO)は、不水溶性加工油(NO)及び水溶性加工油(WO)の混濁する加工油である。
【0021】
以下、加工油分離システム(X1)の具体的構成、加工油分離システム(X1)の回収/分離動作の順に説明する。
【0022】
<加工油分離システム(X1)の具体的構成>
先ず、加工油分離システム(X1)の具体的構成について、図1乃至図7に参照して説明する。
【0023】
図1乃至図7において、加工油分離システム(X1)は、一次分離タンク(1)、二次分離タンク(2)、第1ポンプ装置(3)、第2ポンプ装置(5)、第3ポンプ装置(6)及びドレン管路(7)を主要構成として備えている。この加工油分離システム(X1)は、各種の管路(31)、(32)、(35)も備えている。
【0024】
図1乃至図4において、一次分離タンク(1)は、回収加工油(KO)を貯留して、水溶性加工油(WO)と混入加工油(BO)に一次分離する。
一次分離された混入加工油(BO)は、不水溶性加工油(NO)と水溶性加工油(WO)が混入する加工油であり、不水溶性加工油(NO)の重量含有率A(%)、水溶性加工油(WO)の重量含有率B[B=100−A](%)となる加工油である。なお、混入加工油(BO)は、重量含有率A(%)>重量含有率B(%)となるように一次分離する。
また、一次分離された水溶性加工油(WO)は、重量含有率0〜5(%)程度の不水溶性加工油(NO)を含有する加工油である。
【0025】
一次分離タンク(1)は、回収加工油(KO)を貯留する貯留空間(8)を有し、この貯留空間(8)を密閉する直方体に形成されている。この一次分離タンク(1)は、被加工体(Z)の下方側に位置して、工作機械(Y)内に設置される。
【0026】
また、一次分離タンク(1)は、図1乃至図4に示すように、複数の隔壁板(9A)〜(9D)を貯留空間(8)内に備えている。
複数の隔壁板(9A)〜(9D)は、一次分離タンク(1)の前後方向に間隔を隔てて順次配置され、一次分離タンク(1)の上壁板(1A)及び底壁板(1B)に取付けられている。
これら各隔壁板(9A)、(9C)は、図2及び図3に示すように、一次分離タンク(1)の右壁板(1C)に取付けられ、左右方向の左側に延設されて一次分離タンク(1)の左壁板(1D)の間に隙間を形成している。一方、各隔壁板(9B)、(9D)は、左壁板(1D)に取付けられ、左右方向の右側に延設されて右壁板(1C)に隙間を形成している。
また、隔壁板(9A)は、一次分離タンク(1)の前壁板(1E)の間に回収空間(10)を区画しており、隔壁板(9D)は一次分離タンク(1)の後壁板(1F)の間に流出空間(11)を区画している。
上記構成の複数の隔壁板(9A)〜(9D)は、一次分離タンク(1)の貯留空間(8)を区画して、回収加工油(KO)を左右方向に蛇行させつつ、回収空間(10)から流出空間(11)まで流動させる一次分離流路(12)を形成している。
【0027】
また、一次分離タンク(1)は、図1、図3及び図4に示すように、回収口(14)を備えており、この回収口(14)は回収空間(10)内に開口している。また、回収口(14)は回収流路(15)に接続されている。この回収流路(15)は、工作機械(Y)の被加工体(Z)と一次分離タンク(1)の間に設置され、被加工体(Z)から流れ落ちる各加工油(NO)、(WO)を受けて、回収口(14)から一次分離タンク(1)の回収空間(10)内に流入させる。
【0028】
上記構成の一次分離タンク(1)において、回収加工油(KO)は、図3に示すように、一次分離流路(12)を左右方向に蛇行しつつ、回収空間(10)から流出空間(11)まで流動される。この回収加工油(KO)は、一次分離流路(12)を流動する過程で、各加工油(NO)、(WO)の比重差に基づいて、水溶性加工油(WO)と混入加工油(BO)に一次分離される。なお、混入加工油(BO)は、図1に示すように、貯留空間(8)の上側層に分離され、水溶性加工油(WO)は貯留空間(8)の下側層に分離される。
【0029】
図1、図5及び図7において、二次分離タンク(2)は、一次分離された混入加工油(BO)を貯留して、不水溶性加工油(NO)と水溶性加工油(WO)に二次分離する。
二次分離された不水溶性加工油(NO)は、重量含有率0〜5%程度の水溶性加工油(WO)を含有する加工油である。
【0030】
二次分離タンク(2)は、混入加工油(BO)を貯留する貯留空間(21)を有し、この貯留空間(21)を密閉する直方体に形成されている。また、二次分離タンク(2)内の加工油(NO)、(BO)の液面(a)は、一次分離タンク(1)内の加工油(KO)、(BO)の液面(b)より高い位置にされている。この二次分離タンク(2)は、工作機械(Y)に設置される。
【0031】
また、二次分離タンク(2)は、図1及び図5に示すように、複数の隔壁板(22A)〜(22C)を貯留空間(21)内に備えている。
隔壁板(22A)は、二次分離タンク(2)の前壁板(2E)の間に流出空間(23)を区画して、二次分離された不水溶性加工油(NO)及び水溶性加工油(WO)中に浸漬されている。また、隔壁板(22A)は、二次分離タンク(2)の左右壁(2C)、(2D)に取付けられている。
各隔壁板(22B)、(22C)は、相互に隙間を有して上下方向に配置され、二次分離タンク(2)の後壁板(2F)の間に流入空間(24)を区画している。これら各隔壁板(22B)、(22C)は、左右壁板(2C)、(2D)に取付けられ、また、隔壁板(22B)は、底壁板(2B)と隙間を有して配置されている。
上記構成の各隔壁板(22A)〜(22C)は、二次分離タンク(2)の貯留空間(21)を区画して、混入加工油(BO)を上下方向等に蛇行させつつ、流入空間(24)から流出空間(23)まで流動させる二次分離流路(25)を形成している。
【0032】
また、二次分離タンク(2)は、図1及び図4に示すように、第1供給管路(31)、及び連絡管路(32)に接続されている。
この第1供給管路(31)は、二次分離タンク(2)内と被加工体(Z)の間に配設されている。この第1供給管路(31)の一端側は、二次分離タンク(2)の流出空間(23)内に開口して、不水溶性加工油(NO)中に浸漬されている。また、第1供給管路(31)の他端側は、図1及び図4に示すように、複数のノズル管(31A)に分岐されている。複数のノズル管(31A)は、被加工体(Z)に対峙されている。これら各ノズル管(31A)には、流量調整弁(33)が配設されている。
また、連絡管路(32)は、図1に示すように、一次分離タンク(1)と二次分離タンク(2)の間に配設されている。この連絡管路(32)の一端側は、二次分離タンク(2)の流入空間(24)内に開口しており、連絡管路(32)の他端側は第1ポンプ装置(3)に接続されている。
【0033】
上記構成の二次分離タンク(2)において、混入加工油(BO)は、二次分離経路(25)を上下方向等に蛇行しつつ、流入空間(24)から流出空間(23)まで流動される。この混入加工油(BO)は、二次分離経路(25)を流動する過程で、各加工油(NO)、(WO)の比重差に基づいて、不水溶性加工油(NO)と水溶性加工油(WO)に二次分離される。なお、不水溶性加工油(NO)は、図1に示すように、貯留空間(21)の上側層に分離され、水溶性加工油(WO)は貯留空間(21)の下側層に分離される。
【0034】
図1乃至図3、図6において、第1ポンプ装置(3)は、一次分離タンク(1)の上壁板(1A)に設置され、吸引側(3A)を流出空間(11)の混入加工油(BO)中に浸漬している。また、第1ポンプ装置(3)は、連絡管路(32)の他端側に接続されている。
この第1ポンプ装置(3)は、制御装置(図示しない)に接続されており、上記制御装置の駆動指令に基づいて、吸引/吐出駆動される。
上記構成の第1ポンプ装置(3)は、上記制御装置の駆動指令に基づいて、一次分離タンク(1)の流出空間(11)内から一次分離された混入加工油(BO)を吸引して、連絡管路(32)を通して二次分離タンク(2)の流入空間(24)内に流入させる。
【0035】
図1において、第2ポンプ装置(5)は、第1供給管路(31)中に配置されている。
この第2ポンプ装置(5)は、上記制御装置(図示しない)に接続されており、上記制御装置の駆動指令に基づいて、吸引/吐出駆動される。
上記構成の第2ポンプ装置(5)は、上記制御装置の駆動指令に基づいて、二次分離タンク(2)の流出空間(23)内から二次分離された不水溶性加工油(NO)を吸引して、第1供給管路(31)、流量調整弁(33)及び複数のノズル管(31A)を通して被加工体(Z)に供給する。
【0036】
また、第1ポンプ装置(3)の混入加工油(BO)の流量(P1)は、第2ポンプ装置(5)の不水溶性加工油(NO)の流量(P2)以上に設定されている。
具体的には、第1ポンプ装置(3)の流量(P1)は、
P1≧P2+[P1×重量含有率B(%)]
P1≧P2/[1−重量含有率B(%)]
に設定される。なお、重量含有率B(%)は、一次分離された混入加工油(BO)に含有される水溶性加工油(WO)の重量含有率である。
【0037】
図1乃至図3、及び図6において、第3ポンプ装置(6)は、第1ポンプ装置(3)と左右方向に並べられて、一次分離タンク(1)の上壁板(1A)に設置されている。
この第3ポンプ装置(6)は、上記制御装置(図示しない)に接続され、上記制御装置の駆動指令に基づいて、吸引/吐出駆動される。
また、第3ポンプ装置(6)の吸引側(6A)は、図6に示すように、円筒部材(41)で覆われており、この円筒部材(41)を通して流出空間(11)の水溶性加工油(WO)中に浸漬されている。
【0038】
また、第3ポンプ装置(6)は、図1及び図3に示すように、第2供給管路(35)に接続されている。
この第2供給管路(35)は、一次分離タンク(1)内と被加工体(Z)の間に配設されている。第2供給管路(35)の一端側は、第3ポンプ装置(6)に接続されており、第2供給管路(35)の他端側は、複数のノズル管(35A)に分岐されている。複数のノズル管(35A)は、被加工体(Z)に対峙されて、第1供給管路(31)の各ノズル管(31A)より外側に配置されている。
上記構成の第3ポンプ装置(6)は、上記制御装置の駆動指令に基づいて、一次分離タンク(1)の流出空間(11)内から一次分離された水溶性加工油(WO)を吸引して、第2供給管路(35)、複数のノズル管(35A)を通して被加工体(Z)に供給する。
【0039】
図1及び図7において、ドレン管路(7)は、二次分離タンク(2)内から二次分離された水溶性加工油(WO)を一次分離タンク(1)内に流入させると共に、この水溶性加工油(WO)の流出量が第1、第2ポンプ装置(3)、(5)の流量差分(P1−P2)となるように構成され、配設されている。
このドレン管路(7)は、二次分離タンク(2)の流出空間(23)内と一次分離タンク(1)の回収空間(10)内の間に配設され、第1〜第3管路(7A)〜(7C)及び調節穴(7D)を備えている。
【0040】
第1管路(7A)の一端側は、流出空間(23)の水溶性加工油(WO)中に開口して浸漬されている。また、第1管路(7A)は、下側層の水溶性加工油(WO)中から上側層の不水溶性加工油(NO)の液面(a)まで延設されている。
【0041】
第2管路(7B)の一端側は、第1管路(7A)の他端側に連続されており、第2管路(7B)は二次分離タンク(2)の液面(a)に沿って二次分離タンク(2)外側に延設されている。
即ち、第2管路(7B)は、管路軸心線(CL)を二次分離タンク(2)の液面(a)に一致するように配設されている。
この第2管路(7B)は、図1及び図7に示すように、一次分離タンク(1)の加工油(KO)、(BO)の液面(b)より高い位置に配設されており、しかも二次分離タンク(2)の底壁板(2B)と管路軸線(CL)間を高さ(H)として配設されている。
【0042】
第3管路(7C)の一端側は、第2管路(7B)の他端側に連続されており、第3管路(7C)の他端側は、一次分離タンク(1)の回収空間(10)内に開口して回収加工油(KO)中に浸漬されている。
【0043】
調節穴(7D)は、図7に示すように、第2管路(7B)の上側に形成されており、第2管路(7B)内を外気(大気)に連通している。
【0044】
上記構成及び配設のドレン管路(7)は、第2管路(7B)を一次分離タンク(1)の液面(b)よりも高い位置に配設しているので、二次分離された水溶性加工油(WO)で充填されると、サイフォン効果を生じさせる。そして、ドレン管路(7)は、サイフォン効果によって、第1ポンプ装置(3)と第2ポンプ装置(5)の流量差分(P1−P2)の水溶性加工油(WO)を、二次分離タンク(2)の流出空間(23)内から一次分離タンク(1)の回収空間(10)内に流入させる。
【0045】
<加工油分離システム(X1)の回収/分離動作>
次に、加工油分離システム(X1)の回収/分離動作について、図1乃至図7を参照して説明する。
なお、説明の便宜上、一次分離タンク(1)は、回収加工油(KO)を貯留して、水溶性加工油(WO)と混入加工油(BO)に一次分離しており、二次分離タンク(2)は、混入加工油(BO)を貯留して、不水溶性加工油(NO)と水溶性加工油(WO)に二次分離しているものとする。
【0046】
<1>不水溶性加工油(NO)と水溶性加工油(WO)の同時供給/分離動作
図1乃至図7において、工作機械(Y)のオペレータは、工作機械(Y)に切削指令を入力して被加工体(Z)の切削加工を開始させると共に、加工油分離システム(X)の制御装置に開始指令を入力する。
上記制御装置は、第1〜第3ポンプ装置(3)、(5)、(6)に吸引/吐出駆動指令を出力し、各ポンプ装置(3)、(5)、(6)を吸引/吐出駆動させる。
【0047】
第1ポンプ装置(3)は、吸引/吐出駆動されると、一次分離タンク(1)の流出空間(11)内から一次分離された混入加工油(BO)を吸引して、連絡管路(32)を通して二次分離タンク(2)の流入空間(24)内に流入させる。このとき、第1ポンプ装置(3)は、流量(P1)の混入加工油(BO)を流入空間(24)内に流入させる。また、流入空間(24)に流入された混入加工油(BO)は、各隔壁板(22B)、(22C)に衝突して、流出空間(23)側に拡散することが防止される。
【0048】
一方、第2ポンプ装置(5)は、第1ポンプ装置(3)と同時又は遅れて吸引/吐出駆動されると、二次分離タンク(2)の流出空間(23)内から二次分離された不水溶性加工油(NO)を吸引して、第1供給管路(31)を通して被加工体(Z)に供給する。このとき、第2ポンプ装置(5)は、流量(P2)の不水溶性加工油(NO)を被加工体(Z)に供給する。
【0049】
また、第3ポンプ装置(6)は、吸引/吐出駆動されると、一次分離タンク(1)の流出空間(11)内から一次分離された水溶性加工油(WO)を吸引して、第2供給管路(35)を通して被加工体(Z)に供給する。
【0050】
第1ポンプ装置(3)及び第3ポンプ装置(6)の吸引/吐出駆動によって、一次分離タンク(1)の流出空間(11)内から混入加工油(BO)及び水溶性加工油(WO)が流出されると、一次分離タンク(1)内の回収加工油(KO)は、図1及び図3に示すように、回収空間(10)から流出空間(11)に向けて流動される。この回収加工油(KO)は、一次分離流路(12)を流動する過程で、左右方向に蛇行しながら、混入加工油(BO)と水溶性加工油(WO)に一次分離される。
また、回収加工油(KO)の流動に伴って、二次分離タンク(2)の流出空間(23)内の水溶性加工油(WO)は、ドレン管路(7)を通して一次分離タンク(1)の回収空間(10)内に吸引流入され、これにより、ドレン管路(7)内は水溶性加工油(WO)で充填される。
【0051】
一方、第1ポンプ装置(3)及び第2ポンプ装置(5)の吸引/吐出駆動によって、二次分離タンク(2)の流入空間(24)内に混入加工油(BO)が流入され、流出空間(23)内から不水溶性加工油(NO)が流出されると、二次分離タンク(2)内の混入加工油(BO)は、図1及び図5に示すように、流入空間(24)から流出空間(23)に向けて流動される。
この混入加工油(BO)は、二次分離流路(25)を流動する過程で、上下方向等に蛇行しながら、不水溶性加工油(NO)と水溶性加工油(WO)に二次分離される。
また、ドレン管路(7)は、図1及び図7に示すように、水溶性加工油(WO)で充填されており、第1ポンプ装置(3)及び第2ポンプ装置(5)の吸引/吐出駆動に伴って、サイフォン効果を生じさせる。このサイフォン効果によって、ドレン管路(7)は、各ポンプ装置(3)、(5)の流量差分(P1−P2)の水溶性加工油(WO)を、二次分離タンク(2)の流出空間(23)内から一次分離タンク(1)の回収空間(10)内に流入させる。
このとき、ドレン管路(7)の第2管路(7B)内は、調節穴(7D)から大気圧を受けているので、二次分離タンク(2)内の液面(a)は高さ(H)に維持される。
【0052】
一方、第2ポンプ装置(5)及び第3ポンプ装置(6)の吸引/吐出駆動によって、二次分離された不水溶性加工油(NO)は、第1供給管路(31)、流量調整弁(33)を通して各ノズル管(31A)から被加工体(Z)に噴射され、一次分離された水溶性加工油(WO)は、第2供給管路(35)を通して各ノズル管路(35A)から被加工体(Z)に噴射される。
【0053】
続いて、被加工体(Z)に供給された各加工油(NO)、(WO)は、被加工体(Z)から回収流路(15)に流れ落ちて、回収口(14)から一次分離タンク(1)の回収空間(10)内に流入される。このとき、回収空間(10)に流入される各加工油(NO)、(BO)は、隔壁板(9A)に衝突して、流出空間(11)側に拡散されることが防止される。
回収空間(10)内に流入した各加工油(NO)、(WO)は、回収空間(10)内で混濁され、この回収加工油(KO)は一次分離流路(12)を流動する過程で、左右方向に蛇行しつつ、混入加工油(BO)と水溶性加工油(WO)に一次分離される。
【0054】
そして、工作機械(Y)による被加工体(Z)の切削加工が完了すると、工作機械(Y)を停止すると共に、上記制御装置に停止指令を入力する。上記制御装置は、第1〜第3ポンプ装置(3)、(5)、(6)の吸引/吐出駆動を停止して、不水溶性加工油(NO)及び水溶性加工油(WO)の供給を停止する。
また、二次分離タンク(2)に対して、混入加工油(BO)の流入及び不水溶性加工油(NO)の流出も停止される。
【0055】
第1、第2ポンプ装置(3)、(5)の吸引/吐出駆動を停止すると、ドレン管路(7)は、第2管路(7B)内に大気圧を受けているので、二次分離された水溶性加工油(WO)はドレン管路(7)内を流れなくなり、二次分離タンク(2)の液面(a)は高さ(H)に維持される。
【0056】
<2>不水溶性加工油(NO)の供給/分離動作
なお、不水溶性加工油(NO)の供給/分離動作は、上記「<1>各加工油(NO)、(WO)の同時供給/分離動作」と同一であるので、その詳細の説明は省略する。
【0057】
図1乃至図7において、工作機械(Y)のオペレータは、加工油分離システム(X1)の制御装置(図示しない)に開始指令を入力する。
上記制御装置は、第1ポンプ装置(3)及び第2ポンプ装置(5)に吸引/吐出指令を出力し、各ポンプ装置(3)、(5)を吸引/吐出駆動させる。
【0058】
第1ポンプ装置(3)は、吸引/吐出駆動されると、一次分離タンク(1)の流出空間(11)内から混入加工油(BO)を吸引して、連絡管路(32)を通して二次分離タンク(2)の流入空間(24)内に流入させる。
また、第2ポンプ装置(5)は、吸引/吐出駆動されると、二次分離タンク(2)の流出空間(23)内から不水溶性加工油(NO)を吸引して、第1供給管路(31)を通して被加工体(Z)に供給する。
【0059】
一方、二次分離タンク(2)において、第1、第2ポンプ装置(3)、(5)の吸引/吐出駆動に伴って、混入加工油(BO)は、二次分離流路(25)を上下方向等に蛇行しながら、流入空間(24)から流出空間(23)に流動し、この流動過程で、不水溶性加工油(NO)と水溶性加工油(WO)に二次分離される。
【0060】
また、ドレン管路(7)は、サイフォン効果によって、各ポンプ装置(3)、(5)の流量差分(P1−P2)の水溶性加工油(WO)を二次分離タンク(2)の流出空間(23)内から一次分離タンク(1)の回収空間(10)内に流入させる。
また、ドレン管路(7)の第2管路(7B)内は、調節穴(7D)から大気圧を受けているので、二次分離タンク(2)の液面(a)は高さ(H)に維持される。
【0061】
第2ポンプ装置(5)の吸引/吐出駆動によって、二次分離された不水溶性加工油(NO)は、第1供給管路(31)、流量調整弁(33)を通して各ノズル管(31A)から被加工体(Z)に噴射される。
続いて、被加工体(Z)に供給された不水溶性加工油(NO)は、被加工体(Z)から回収流路(15)に流れ落ちて、回収口(14)から一次分離タンク(1)の回収空間(10)内に流入される。
回収空間(10)内に流入した不水溶性加工油(NO)は、回収空間(10)内で混濁され、この回収加工油(KO)は一次分離流路(12)を流動する過程で、水溶性加工油(WO)と混入加工油(BO)に一次分離される。
【0062】
<3>水溶性加工油(WO)の供給/分離動作
図1乃至図4において、工作機械(Y)のオペレータは、加工油分離システム(X1)の制御装置(図示しない)に開始指令を入力する。
上記制御装置は、第3ポンプ装置(6)に吸引/吐出指令を出力し、第3ポンプ装置(6)を吸引/吐出駆動させる。
【0063】
第3ポンプ装置(6)は、吸引/吐出駆動されると、一次分離タンク(1)の流出空間(11)内から一次分離された水溶性加工油(WO)を吸引して、第2供給管路(35)を通して被加工体(Z)に供給する。この水溶性加工油(WO)は、各ノズル管(35A)から被加工体(Z)に噴射される。
【0064】
続いて、被加工体(Z)に供給された水溶性加工油(WO)は、被加工体(Z)から回収流路(15)に流れ落ちて、回収口(14)から一次分離タンク(1)の回収空間(10)内に流入される。
回収空間(10)内に流入した水溶性加工油(WO)は、回収空間(10)内で混濁され、この回収加工油(KO)は一次分離流路(12)を流動する過程で、混入加工油(BO)と水溶性加工油(WO)に一次分離される。
【0065】
以上の通り、加工油分離システム(X1)によれば、ドレン管路(7)に生じるサイフォン効果を利用して、第1、第2ポンプ装置(3)、(5)の流量差分(P1−P2)の水溶性加工油(WO)を二次分離タンク(2)内から一次分離タンク(1)内に流入し、しかも二次分離タンク(2)の液面(a)を高さ(H)に維持できるので、二次分離タンク(2)のオーバーフローを防止するため、別途、ポンプ装置を配設する必要はなく、このポンプ装置の吸引/吐出駆動を制御するための検出器も必要としない。
また、加工油分離システム(X1)では、ドレン管路(7)によって二次分離タンク(2)内の下側層の水溶性加工油(WO)を一次分離タンク(1)内に流出させることで、オーバーフローを防止でき、しかも第2ポンプ装置(5)によって二次分離タンク(2)内の上側層の不水溶性加工油(NO)を被加工体(Z)に供給できる(図1参照)。
【0066】
次に、本発明に係る加工油分離システムの他の実施形態について、図8を参照して説明する。なお、図8に示す加工油分離システム(X2)は、図1に示す加工油分離システム(X1)と同一構成を備えており、図8において、図1と同一符号は同一構成を示すので、その説明は省略する。
【0067】
図8において、加工油分離システム(X2)は、一次分離された水溶性加工油(WO)の温度を調節する温度調節器(51)を備えている。
この温度調節器(51)は、循環管路(52)中に配置されている。この循環管路(52)は、一次分離タンク(1)の回収空間(10)と流出空間(11)の間に配設されている。また、循環管路(52)の一端側は、回収空間(10)内に開口しており、循環管路(52)の他端側は流出空間(11)内に開口して、一次分離された水溶性加工油(WO)中に浸漬されている。
【0068】
この温度調節器(51)は、ポンプ装置(図示しない)を備えており、一次分離タンク(1)の流出空間(11)内から一次分離された水溶性加工油(WO)を吸引して、この水溶性加工油(WO)を加熱/冷却することで、温度調節(温度制御)する。
温度調節器(51)で温度調節された水溶性加工油(WO)は、循環管路(52)を通して一次分離タンク(1)の回収空間(10)内に流入される。
回収空間(10)内に流入された水溶性加工油(WO)は、回収加工油(KO)に混入され、撹拌される。
これにより、温度調節された水溶性加工油(WO)と回収加工油(KO)の不水溶性加工油(NO)の接触面積を大きくして、各加工油(WO)、(NO)間に熱移動を促進させている。
【0069】
以上の通り、加工油分離システム(X1)では、不水溶性加工油(NO)に比して、粘度が低く、比熱の大きい水溶性加工油(WO)の温度を調節して、この温度調節された水溶性加工油(WO)を回収加工油(KO)に混入、撹拌することで、回収加工油(KO)の不水溶性加工油(NO)の温度を効率良く制御できる。
また、不水溶性加工油(NO)の温度調節を、被加工体(Z)に供給する前に、一次分離タンク(1)の回収空間(10)内で行うので、被加工体(Z)には、温度制御された不水溶性加工油(NO)を供給できる。
【0070】
本発明に係る加工油分離システム(X1)、(X2)において、被加工体(Z)に不水溶性加工油(NO)と水溶性加工油(WO)を同時に供給すると、水溶性加工油(WO)によって被加工体(Z)に付着する不水溶性加工油(NO)や切削屑等の加工屑を回収流路(15)に流し落とすことができる。なお、水溶性加工油(WO)としては、水溶性防腐剤等を含有する水溶性加工油を使用することもできる。
【0071】
また、加工油分離システム(X1)、(X2)において、不水溶性加工油(NO)を被加工体(Z)に供給すると共に、水溶性加工油(WO)を被加工体(Z)周りに噴射することで、被加工体(Z)周りに飛散した加工屑を洗い流すことができる。
なお、不水溶性加工油(NO)を供給して被加工体(Z)を加工した後に、水溶性加工油(WO)を噴射して、加工屑を洗い流すこともできる。
また、水溶性加工油(WO)としては、水溶性防腐剤等を含有する水溶性加工油を使用することもできる。
【0072】
さらに、加工油分離システム(X1)、(X2)において、不水溶性加工油(NO)を被加工体(Z)に供給すると共に、水溶性加工油(WO)を被加工体(Z)周りに噴射することで、水溶性加工油(WO)によって被加工体(Z)及び工作機械(Y)を冷却できる。
加工油分離システム(X1)、(X2)では、複数のノズル管(35A)を複数のノズル管(31A)の外側に配設しているので、被加工体(Z)に噴射される不水溶性加工油(NO)を外側から覆うように、水溶性加工油(WO)を噴射させることができ、被加工体(Z)及び工作機械(Y)を効率良く冷却できる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、工作機械で加工される被加工体に、不水溶性加工油及び水溶性加工油を選択的又は同時に供給する加工油分離システムに好適である。
【符号の説明】
【0074】
X1、X2 加工油分離システム
1 一次分離タンク
2 二次分離タンク
3 第1ポンプ装置
5 第2ポンプ装置
7 ドレン管路
NO 不水溶性加工油
WO 水溶性加工油
KO 回収加工油
BO 混入加工油
a 液面
b 液面
P1 流量
P2 流量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械で加工される被加工体に、不水溶性加工油及び水溶性加工油を選択的又は同時に供給すると共に、
前記工作機械から前記各加工油を回収して、該回収加工油を比重差に基づいて不水溶性加工油と水溶性加工油に分離する加工油分離システムであって、
前記回収加工油を貯留して、前記水溶性加工油と、前記各加工油が混入する混入加工油に一次分離する一次分離タンクと、
前記一次分離された混入加工油を貯留して、不水溶性加工油と水溶性加工油に二次分離する二次分離タンクと、
前記一次分離タンク内から前記一次分離された混入加工油を吸引して、前記二次分離タンク内に流入させる第1ポンプ装置と、
前記二次分離タンク内から前記二次分離された不水溶性加工油を吸引して、前記被加工体に供給する第2ポンプ装置と、
前記一次分離タンク内、及び前記二次分離タンクの前記水溶性加工油中の夫々に開口して配設されるドレン管路を備えてなり、
前記第1ポンプ装置の混入加工油の流量は、前記第2ポンプ装置の不水溶性加工油の流量以上に設定され、
前記二次分離タンク内の液面は、前記一次分離タンク内の液面よりも高い位置にされており、
前記ドレン管路は、前記各ポンプ装置の駆動に伴って、前記二次分離タンク内から前記水溶性加工油を前記一次分離タンク内に流入させると共に、該水溶性加工油の流入量が前記各ポンプ装置の流量差分となるように構成及び配設されている
ことを特徴とする加工油分離システム。
【請求項2】
前記ドレン管路は、
前記二次分離タンクの前記水溶性加工油中から前記液面まで延設される第1管路と、
前記第1管路に連続して、前記液面に沿って前記二次分離タンク外に延設される第2管路と、
前記第2管路に連続して、前記一次分離タンク内に開口する第3管路と、
前記第2管路内を外気に連通する調節穴を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の加工油分離システム。
【請求項3】
前記一次分離タンク内から前記水溶性加工油を吸引して、前記被加工体に供給する第3ポンプ装置を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工油分離システム。
【請求項4】
前記一次分離タンク内から流出される前記水溶性加工油の温度を調節する温度調節器を備え、
前記温度調節器で温度調節された水溶性加工油は、
前記一次分離タンク内に流入され、前記回収加工油に混入されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか記載の加工油分離システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−86332(P2012−86332A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237037(P2010−237037)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(397053753)タイユ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】