説明

加熱用ランプユニットと、これに用いる口金及びソケット

【課題】
専門の業者に委託することなく、アルバイト店員でも簡単にランプ交換することができ、しかもその交換部品コストも安価な加熱用ランプユニットを提供する。
【解決手段】
食品ショーケース内に陳列された調理済み食品を加熱保温する加熱用ランプユニット(1)は、発熱体が収納された発光管(2)の両端に口金(3)が取り付けられて成るランプ本体(4)と、食品ショーケース内に取付固定されるソケット(6)とを備え、ソケット(6)には、口金(3)を発光管(2)の長手方向と直交する挿込方向にスライドさせて係合させる係合凹部(7)が形成され、口金(3)には、当該口金(3)をソケット(6)に装着した状態で掴むことができるようにソケット(6)から突出する形状のフィンガーグリップ(10)を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品ショーケース内に陳列された調理済み食品を加熱保温する加熱用ランプユニットと、これに用いる口金及びソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアのレジカウンターなどには、揚げ物などの調理済み食品を加熱保温しながら陳列する食品ショーケースが備え付けられている(特許文献1参照)。
図5は、この種の食品ショーケース31の外観図を示し、陳列食品がよく見えるように正面及び左右側面にガラス32が嵌められ、レジ側にガラスの開閉扉33が配され、天井面34及び中間棚板35,36の裏面側に、ショーケース31内に陳列する調理済食品を加熱保温するため電機ヒータに替えて加熱用ランプ41が取り付けられている。
【0003】
この加熱用ランプ41は、一般に、透明石英ガラス管42内に、その長手方向に沿って発熱体(図示せず)が配された構成となっており、交換時などにその石英ガラス管42を直接手で触れてしまうと手の汗や皮脂に含まれる塩分(NaCl)が付着し、そのナトリウム成分によって石英ガラス管42が失透を起こすという問題があった。
【0004】
このため従来は、図6に示すように、加熱用ランプ41の両端に給電ケーブル43を導出させる口金44を取り付け、その口金44を金属ベース45に形成したブラケット46に固定してユニット化した加熱用ランプユニット47とし、ショーケース31内に装着する際はベース45を持って、その両端に形成された切欠穴48をボルト49で固定すると共に、給電ケーブル43の結線作業を行うこととしている。
【0005】
しかしながら、交換する加熱用ランプユニット47は、金属ベース45と一体に形成されているので部品コストも高く、しかも、ターミナル(図示せず)に接続されている給電ケーブル43を外して、新たな給電ケーブル43を接続しなおす配線作業が必要になるため、専門の業者に委託しなければならず、交換費用が嵩むという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−129761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、専門の業者に委託することなく、誰でも簡単にランプ交換することができ、しかもその交換部品コストも安価な加熱用ランプユニットを提供することを技術的課題としている、
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明は、食品ショーケース内に陳列された調理済み食品を加熱保温する加熱用ランプユニットにおいて、発熱体が収納された発光管の両端に口金が取り付けられて成るランプ本体と、食品ショーケース内に取付固定されるソケットとを備え、前記ソケットには、各口金を発光管の長手方向と直交する挿込方向にスライドさせて前記口金を係脱可能に係合させる係合凹部が形成され、当該係合凹部には、口金から導出された発光管リード端子に電気的に接続される給電端子が配され、各口金には、口金をソケットに装着した状態で掴むことができるようにソケットから突出する形状のフィンガーグリップが形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加熱用ランプユニットは、ランプ本体の両端に取り付けられた口金が、食品ショーケースに固定されているソケットに対して係脱可能に形成されているので、口金をソケットに挿し込むだけで電気的接続作業も完了することとなり、面倒な配線作業を行うことなく誰でも簡単にランプ本体を交換することができる。
また、口金には、ソケットに装着した状態でソケットから突出する形状のフィンガーグリップが形成されているので、このフィンガーグリップを掴んでランプ本体をソケットに係脱させることにより、交換作業の際に発光管に直接手を触れることがなく、失透の原因を生じることもない。
さらに、発光管に直接手を触れることなく交換作業ができるので、交換部品は従来のようにランプ本体を固定するベースと一体化する必要がなく、両端に口金が取り付けられたランプ本体のみを交換すればよいので、交換部品も安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る加熱用ランプユニットの一例を示す分解組立図。
【図2】ランプ本体をソケットに装着した状態を示す説明図。
【図3】口金とソケットの接続状態を示す説明図。
【図4】他の実施例を示す説明図。
【図5】食品ショーケースを示す説明図。
【図6】従来の加熱用ランプユニットを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本例では、専門の業者に委託することなく、誰でも簡単にランプ交換することができ、しかもその交換部品コストも低減するという目的を達成するために、食品ショーケース内に陳列された調理済み食品を加熱保温する加熱用ランプユニットが、発熱体を収納した発光管の両端に口金が取り付けられて成るランプ本体と、食品ショーケース内に取付固定されるソケットとを備えている。
ソケットには、各口金を発光管の長手方向と直交する挿込方向にスライドさせて前記口金を係脱可能に係合させる係合凹部が形成され、当該係合凹部には、口金から導出された発光管リード端子に電気的に接続される給電端子が配されている。
そして、各口金には、口金をソケットに装着した状態で掴むことができるようにソケットから突出する形状のフィンガーグリップを形成した。
【0012】
フィンガーグリップは、例えば、口金をソケットに装着した状態でソケット外側端部から突出するように発光管長手方向両側に延設したスティック状に形成することができる。
また、ソケットには、口金の挿込方向に沿って口金を案内するスライドガイドとして、例えば、口金に形成された凸部又は凹溝と係合される凹溝又は凸部を形成してもよい。
【実施例1】
【0013】
本発明に係る加熱用ランプユニット1は、図1及び図2に示すように、発熱体が収納された発光管2の両端に口金3が取り付けられて成るランプ本体4と、食品ショーケース内面(天井面や中間棚板の裏面)5に取付固定される一対のソケット6とを備えている。
【0014】
口金3は、ソケット6に形成された係合凹部7の開口形状と等しい断面形状をなし、発光管2の長手方向と直交する挿込方向にスライドさせることにより、係合凹部7内に収納されて係合されるようになっている。
本例では、発光管2の両端シール部2Sを支持すると共に発光管リード端子8を貫通させて導出させたスライダブロック9と、ランプ本体4を係脱させる際に指で掴むフィンガーグリップ10が一体的に形成されている。
【0015】
スライダブロック9の上下両面には、係合凹部7内に形成された挿込方向に延びる凹溝(スライドガイド)11に案内される突条(凸部)12が形成されている。
なお、係合凹部7に突条あるいは凸部を形成し、スライダブロック9の上下両面にこれと係合する凹溝が形成されている場合であってもよい。
また、フィンガーグリップ10は、口金3をソケット6に装着した状態で掴むことができるようにソケット6から突出する形状に形成され、本例では、発光管長手方向両側に延びるスティック状に形成されると共に、口金3をソケット6に装着した状態でソケット外側端部から突出する長さに形成されている。
【0016】
各ソケット6は、ベース14を介してショーケース内面5に取付固定され、各口金3を収納して係合する係合凹部7には、挿込方向(本例では水平方向)に口金3を案内するスライドガイドとしての凹溝11が形成されると共に、口金3から導出された発光管リード端子8に電気的に接続される給電端子15が設けられている。
【0017】
発光管リード端子8及び給電端子15は、図3に示すように板バネを折り曲げて形成されている。
そして、発光管リード端子8は、その先端部と中央部に膨出部8a,8bが形成され、これが給電端子15と係合するようになっている。
給電端子15は、リード端子8が挿入されたときに、先端側膨出部8aを収納する懐部16と、リード端子8の膨出部8a及び8bの間を挟み付けて通電する一対の舌片部17及び17とを備えている。(図3(a))
【0018】
舌片部17は、リード端子8に接触される通電部17a、17aが懐部16から先端に向かって徐々に狭まり、その先端17bが再び広がってリード端子8を導入するガイドに形成されており、通電部17aの懐部16側の最も広い部分の幅が、リード端子8の対応する部分と略同じ幅に形成されている。
【0019】
これにより、口金3をソケット6に係合させたときに、発光管リード端子8の先端膨出部8aが、給電端子15の舌片部先端17bに案内されて、通電部17a、17aを押し広げながらその隙間に差し込まれ、中央膨出部8bが舌片部先端17bに到来したところで先端膨出部8aが懐部16に収納され、リード端子8の膨出部8a及び8bの間が舌片部17及び17により確実に挟持されるようになっている(図3(b))。
【0020】
また、ソケット6は、口金3を装着した状態で、当該口金3に形成されたフィンガーグリップ10をソケット6から突出させる寸法形状に形成され、フィンガーグリップ10の突出部分を指で掴むことができるようになっている。
なお、対となる口金3,3及びソケット6,6は、ランプ本体4の左右を逆にして挿し込んでも装着できるように、発光管2及び取り付けた状態で対称となるように形成されている。
【0021】
以上が本発明の一構成例であって、次にその作用について説明する。
まず、食品ショーケース内の所定の位置には、一対のソケット6,6が、ランプ本体4の長さに応じて所定間隔で予め取付固定されている。
このような食品ショーケース内にランプ本体4を装着するときは、発光管2の口金3に形成されたフィンガーグリップ10の先端を左右の指で夫々掴み、図1に示すように、口金3のスライダブロック9に形成された突条12を、ソケット6の係合凹部7に形成された凹溝11に合わせて、双方の口金3を発光管2の長手方向に直交する挿込方向にスライドさせていく。
【0022】
そして、口金3が凹溝11に案内されてソケット6の係合凹部7内に挿し込まれ、図2に示すように、係合凹部7内に収納される。
このとき、フィンガーグリップ10は、その先端がソケット6の外側端部から突出する長さに形成されているので、グリップ10の先端を持ったまま口金3をソケット6に確実に係合させることができる。
したがって、ランプ本体4を食品ショーケース内に装着する際には、フィンガーグリップ10を掴んで作業することができ、汗や皮脂が付着することにより失透のおそれがある発光管2を手で触れることなく装着作業を完了させることができる。
また、口金3から導出された発光管リード端子8がソケット6の給電端子15と係合してランプ本体4が電気的に接続されるので、配線をしなおす等、電気的な接続作業を行う必要も一切ない。
ランプ本体4を外す場合も、フィンガーグリップ10を持って作業することができるので、発光管2を直接手で扱うことによる破損事故などを未然に防止することができる。
【0023】
なお、上述した説明では、フィンガーグリップ10を発光管長手方向に延びるスティック状に形成した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、スライダブロック9から反挿込方向に延設したタブ状のものであってもよい。
この場合、タブ部分が係合凹部7に収納されずに突出するので、口金3をソケット6に係合した状態でフィンガーグリップを掴むことができる。
また、スティック状のフィンガーグリップ10をソケット6の外側端部から突出しない程度の長さとし、係合凹部7の開口面にフィンガーグリップ10を掴むための切欠、凹部もしくは開口部を形成することにより、フィンガーグリップ10をソケット6から突出させるようにしてもよい。
【実施例2】
【0024】
図4は本発明の第二実施例の要部を示す説明図である。図1及び2と共通する部分は同一符号を付して詳細説明は省略する。
本例では、発光管2の両端に取り付けられる口金3のスライダブロック9に、その挿込方向先端側に向かって突出する押出用突起21が形成されており、ソケット6には、形成された係合凹部7には、口金3の挿込方向奥側の壁面22に、前記押出用突起21を挿通させて、ソケット6の背面側に突出させる貫通孔23が穿設されている点を除き、実施例1と同様である(図4(a))。
押出用突起21は、口金3をソケット6に係合させたときに、ソケット6に形成された貫通孔23に挿通され、壁面22を貫通してその背面側に突出するようになっている(図4(b))。
また、図4においては、発光管リード端子8及び給電端子15は図示されていないが、これらの構成についても、実施例1と同様である。
【0025】
これによれば、ランプ本体4をソケット6から外すときに、ソケット6の背面側に指を入れて、押出用突起21を押し込むことにより、口金3が取出方向にスライドするので、簡単に取り外すことができる。
特に、食品用保温庫に用いる場合は、発光管2と口金3を接着剤で固定せず、電気接点の溶接のみで固定することがあり、口金3と発光管2の間の遊びが大きくガタツキを生ずることがあるので、フィンガーグリップ10を引いたときに大きなモーメントが作用して、口金3が凹溝11と突条12により規制されるスライド方向に対して傾いてしまい、簡単に外れないことがある。
このような場合でも、押出用突起21を背面側から押し込めば、口金3はそのスライド方向に案内されるので、取り外しが容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、コンビニエンスストアなどのレジカウンターに置かれる食品ショーケースに熱源として装着され、その内部に陳列される調理済食品を加熱保温する加熱用ランプユニットの用途に適用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 加熱用ランプユニット
2 発光管
3 口金
4 ランプ本体
6 ソケット
7 係合凹部
8 発光管リード端子
10 フィンガーグリップ
11 凹溝
12 突条(凸部)
15 給電端子



【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品ショーケース内に陳列された調理済み食品を加熱保温する加熱用ランプユニットにおいて、
発熱体が収納された発光管の両端に口金が取り付けられて成るランプ本体と、食品ショーケース内に取付固定されるソケットとを備え、
前記ソケットには、各口金を発光管の長手方向と直交する挿込方向にスライドさせて前記口金を係脱可能に係合させる係合凹部が形成され、当該係合凹部には、口金から導出された発光管リード端子に電気的に接続される給電端子が配され、
各口金には、口金をソケットに装着した状態で掴むことができるようにソケットから突出する形状のフィンガーグリップが形成されたことを特徴とする加熱用ランプユニット。
【請求項2】
前記フィンガーグリップは、発光管長手方向両側に延びるスティック状に形成されると共に、口金をソケットに装着した状態でソケット外側端部から突出する長さに形成された請求項1記載の加熱用ランプユニット。
【請求項3】
前記ソケットには、口金をソケットに挿し込む際に、その挿込方向に沿って口金を案内するスライドガイドが形成された請求項1記載の加熱用ランプユニット。
【請求項4】
前記スライドガイドが、口金に形成された凸部又は凹溝と係合される凹溝又は凸部である請求項3記載の加熱用ランプユニット。
【請求項5】
前記口金をソケットに係合させたときに、当該ソケットに形成された貫通孔に挿通されて、その背面側に突出する押出用突起が、口金の挿込方向先端側に形成されて成る請求項1記載の加熱用ランプユニット。
【請求項6】
発光管に発熱体が収納されたランプ本体をソケットに対して係脱可能に装着させる口金において、
前記発光管の両端に取り付けられ、前記ソケットに形成された係合凹部に対して発光管の長手方向と直交する挿込方向にスライドさせることにより係合される形状に形成され、前記係合凹部に設けられた給電端子と電気的に接続される発光管リード端子が導出され、ソケットに装着した状態で掴むことができるようにソケットから突出する形状のフィンガーグリップが形成されたことを特徴とする口金。
【請求項7】
ソケットに係合させたときに、当該ソケットに形成された貫通孔に挿通されて、その背面側に突出する押出用突起が挿込方向先端側に形成されて成る請求項6記載の口金。
【請求項8】
発熱体が収納された発光管の両端に口金が取り付けられて成るランプ本体を係脱可能に装着するソケットにおいて、
各口金を発光管の長手方向と直交する挿込方向にスライドして係合させる係合凹部が形成され、当該係合凹部は、口金から導出された発光管リード端子に電気的に接続される給電端子が設けられ、口金を装着した状態で当該口金に形成されたフィンガーグリップを外部に突出させる寸法形状に形成されたことを特徴とするソケット。
【請求項9】
前記口金の挿込方向先端側に形成された押出用突起を挿通させて、背面側に突出させる貫通孔が、前記係合凹部に穿設されて成る請求項9記載のソケット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−228121(P2011−228121A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96895(P2010−96895)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】