説明

加熱調理器

【課題】蒸気発生ヒータと加熱ヒータの両方を用いて加熱調理を行う加熱調理器において、蒸気発生ヒータを熱源として有効に利用できる加熱調理器を提供する。
【解決手段】水を加熱して蒸気を発生させる蒸気発生ヒータ21を有する蒸気発生装置20と、蒸気発生装置20からの蒸気が供給される加熱室と、加熱室内の被加熱物を加熱する上ヒータ14,下ヒータ17と、制御装置100とを備える。上記制御装置100は、加熱室内の温度が目標温度になるように、上ヒータ14,下ヒータ17を制御する加熱ヒータ制御手段100aと、上ヒータ14,下ヒータ17のオン時に蒸気発生ヒータ21をオンせず、かつ、上ヒータ14,下ヒータ17のオフ時に蒸気発生ヒータ21をオンするように、蒸気発生ヒータ21を制御する蒸気発生ヒータ制御手段100bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器としては、水を加熱して蒸気を発生させる蒸気発生ヒータを有する蒸気発生手段と、蒸気発生手段からの蒸気が供給される加熱室と、加熱室内の被加熱物を加熱する加熱ヒータとを備えたものがある(例えば、特開2007−327674号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
上記加熱調理器では、蒸気発生ヒータと加熱ヒータとの合計消費電力が電源の最大許容電力を越えてしまう場合がある。このような加熱調理器では、蒸気発生ヒータと加熱ヒータとを同時にオンしないようにして、電源の最大許容電力を越えないようにしている。
【0004】
上記構成の加熱調理器において、蒸気発生手段からの蒸気および加熱ヒータによる加熱の両方を使用する加熱調理では、加熱室内の温度が目標温度に到達するまでの過渡期には蒸気発生ヒータと加熱ヒータとがそれぞれ交互にオンするようにすることによって、蒸気発生ヒータと加熱ヒータの両方が同時にオフすることはない。
【0005】
ところが、上記加熱調理器において、加熱室内の温度が目標温度に達した後は、加熱室内の温度を目標温度に維持するように加熱ヒータをオンオフすることにより加熱ヒータのオフ期間が長くなるため、蒸気発生ヒータと加熱ヒータとが両方同時にオフする場合が生じて、熱源を加熱調理に有効に利用できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−327674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明の課題は、蒸気発生ヒータと加熱ヒータの両方を用いて加熱調理を行う加熱調理器において、蒸気発生ヒータを熱源として有効に利用できる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の加熱調理器は、
水を加熱して蒸気を発生させる蒸気発生ヒータを有する蒸気発生手段と、
上記蒸気発生手段からの蒸気が供給される加熱室と、
上記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱ヒータと、
上記蒸気発生手段からの蒸気と上記加熱ヒータの両方を用いた加熱調理運転において、上記加熱室内の温度が目標温度になるように、上記加熱ヒータを制御する加熱ヒータ制御手段と、
上記蒸気発生手段からの蒸気と上記加熱ヒータの両方を用いた加熱調理運転において、上記加熱ヒータのオン時に上記蒸気発生ヒータをオンせず、かつ、上記加熱ヒータのオフ時に上記蒸気発生ヒータを必ずオンするように、上記蒸気発生ヒータを制御する上記蒸気発生ヒータ制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、蒸気発生ヒータからの蒸気と加熱ヒータの両方を用いた加熱調理運転において、加熱室内の温度が目標温度になるように、加熱ヒータ制御手段は加熱ヒータを制御して加熱ヒータにより加熱室内の被加熱物を加熱すると共に、加熱ヒータのオン時に蒸気発生ヒータをオンせず、かつ、加熱ヒータのオフ時に蒸気発生ヒータを必ずオンするように、蒸気発生ヒータ制御手段は蒸気発生ヒータを制御して蒸気を加熱室内に供給する。これによって、蒸気発生ヒータと加熱ヒータの両方を用いて加熱調理を行う加熱調理器において、蒸気発生ヒータを熱源として有効に利用できる。したがって、加熱調理時間を短縮できると共に、多くの蒸気を加熱室内に供給することで被加熱物を斑なく仕上がりのよい加熱調理ができる。
【0010】
また、一実施形態の加熱調理器では、
上記蒸気発生手段からの蒸気と上記加熱ヒータの両方を用いた加熱調理運転において、上記加熱ヒータ制御手段により上記加熱ヒータをオン可能な第1期間と、上記蒸気発生ヒータ制御手段により上記蒸気発生ヒータをオン可能な第2期間とを交互に繰り返しつつ、上記第1期間において上記加熱ヒータがオフ状態のときに上記蒸気発生ヒータ制御手段により上記蒸気発生ヒータをオンする。
【0011】
上記実施形態によれば、蒸気発生手段からの蒸気と加熱ヒータの両方を用いた加熱調理運転において、加熱ヒータ制御手段により加熱ヒータをオン可能な第1期間と、蒸気発生ヒータ制御手段により蒸気発生ヒータをオン可能な第2期間とを交互に繰り返しつつ、加熱ヒータをオン可能な第1期間で、加熱室内の温度が目標温度になるように加熱ヒータ制御手段により加熱ヒータをオンオフすると共に、蒸気発生ヒータをオン可能な第2期間で、蒸気発生ヒータ制御手段により蒸気発生ヒータをオンする。さらに、加熱ヒータをオン可能な第1期間において、加熱ヒータがオフ状態のときに蒸気発生ヒータ制御手段により蒸気発生ヒータをオンする。したがって、加熱ヒータをオン可能な第1期間と蒸気発生ヒータをオン可能な第2期間とを交互に繰り返す加熱調理運転の基本的な制御の流れを乱すことなく、蒸気発生ヒータを熱源として有効に利用でき、加熱調理運転の制御が容易にできる。
【0012】
また、一実施形態の加熱調理器では、
上記蒸気発生ヒータ制御手段により上記蒸気発生ヒータをオンしたとき、上記蒸気発生手段に水を供給する給水手段を備えた。
【0013】
上記実施形態によれば、蒸気発生ヒータ制御手段により蒸気発生ヒータをオンしたとき、給水手段により供給された水を蒸気発生手段に水を供給することによって、蒸気発生手段から蒸気を確実に発生させて、発生した蒸気により加熱室内に熱を供給し続けることができ、熱源として確実に利用できる。
【発明の効果】
【0014】
以上より明らかなように、この発明の加熱調理器によれば、蒸気発生ヒータと加熱ヒータの両方を用いて加熱調理を行う加熱調理器において、蒸気発生ヒータを熱源として有効に利用できる加熱調理器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1はこの発明の実施の一形態の加熱調理器を前面側から見た正面図である。
【図2】図2は上記加熱調理器の扉を開いた状態の正面図である。
【図3】図3は上記加熱調理器の右側方から見た縦断面の模式図である。
【図4】図4は上記加熱調理器の正面から見た縦断面図である。
【図5】図5は上記加熱調理器の右側面から見た縦断面図である。
【図6】図6は上記加熱調理器の制御ブロック図である。
【図7A】図7Aは蒸気を用いた加熱調理運転の開始から目標温度到達までのタイミングチャートである。
【図7B】図7Bは比較例のタイミングチャートである。
【図7C】図7Cは目標温度到達後のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の加熱調理器を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0017】
図1はこの発明の実施の一形態の加熱調理器を前面側から見た正面図を示しており、図2は扉を開いた状態の加熱調理器の正面図を示している。
【0018】
この第1実施形態の加熱調理器は、図1に示すように、直方体形状の本体ケーシング1と、本体ケーシング1内に設けられた加熱室2(図2に示す)と、本体ケーシング1の前面側に回動自在に取り付けられた扉3とを備えている。
【0019】
上記扉3は、下端部を中心に回動し、加熱室2の開口部2aを開閉する。この扉3の上部にはハンドル4が取り付けられている。また、扉3の略中央部には耐熱ガラス5が配置されており、ユーザは耐熱ガラス5を通して加熱室2内の状態を視認することができる。また、扉3の後面には、耐熱ガラス5を取り囲むように耐熱樹脂製のパッキン40(図2に示す)が固着されている。このパッキン40は、扉3を閉じると、加熱室2の開口部2aの周縁部に強く密着するようになっている。これにより、扉3と加熱室2の開口部2aの周縁部との間から、加熱室2内の水蒸気などが漏れ出るのを防ぐことができる。
【0020】
上記本体ケーシング1の上面かつ裏面側に、希釈排気口28を有する排気ダクト30を配置している。この排気ダクト30の一端は、図2に示す加熱室2に設けられた排気口19に排気口カバー24(図3に示す)を介して接続されている。
【0021】
上記本体ケーシング1の前面の右側には操作パネル6を設けている。この操作パネル6は、液晶表示部7、ダイヤル8および複数のボタン9を有している。また、ダイヤル8の下側には水タンク10を収納している。この水タンク10は、本体ケーシング1に対して着脱可能となっており、本体ケーシング1の前面側から本体ケーシング1に装着したり、本体ケーシング1から取り外したりする。
【0022】
そして、この加熱調理器は、本体ケーシング1の下側かつ前面側に着脱可能に取り付けられた露受容器50(図1に示す)を備えている。この露受容器50は、扉3の内面および本体ケーシング1の前面を伝って落下する水滴を受ける。
【0023】
この加熱調理器は、図1に示すように、加熱室2の側面、底面および天面にステンレス鋼製の遮熱板18(図3に示す)が設けられている。加熱室2の周囲および扉3の内側に断熱材(図示せず)が配置されており、加熱室2内と外部とが断熱されている。
【0024】
上記加熱室2内の両側面内側に、上下2段構造の上側トレイ受部43,44と下側トレイ受45,46とを設けている。
【0025】
図3は上記加熱調理器の右側方から見た縦断面の模式図であり、図1,図2と同一の構成部には同一参照番号を付している。図3において、10は蒸気用の水を貯める水タンク、11は水タンク10内の水位を検知する水位センサ、12は給水ポンプ、13は給水パイプ、14は上ヒータ、15は上ヒータカバー、16は被加熱物90を載せるステンレス製のトレイ、17は下ヒータ、18は遮熱板、19は加熱室2の後面下部に設けられた排気口、20は蒸気発生手段一例としての蒸気発生装置、21は蒸気発生装置20からの蒸気を吹き出す蒸気吹出口、24は排気口カバー、25は排気温度センサ、27は冷気経路、28は希釈排気口、30は排気ダクト、31は冷気導入用開口部、50は露受容器である。また、水タンク10の下側に設けられた接続部(図示せず)に給水パイプ13の一端を接続し、給水パイプ13の他端を蒸気発生装置20に接続している。
【0026】
上記水タンク10と給水ポンプ12で給水手段を構成している。また、上ヒータ14と下ヒータ17で加熱ヒータを構成している。
【0027】
上記給水ポンプ12は、水タンク10内の水を吸い込み、その水を給水パイプ13を介して蒸気発生装置20に供給する。この蒸気発生装置20は、蒸気発生ヒータ21を有し、その蒸気発生ヒータ21により給水ポンプ12からの水を加熱して水蒸気を発生させ、発生した水蒸気を蒸気吹出口22を介して加熱室2内に供給したり、その水蒸気を過熱して過熱水蒸気にして加熱室2内に供給したりすることができる。ここで、上記過熱水蒸気とは、100℃以上の過熱状態にまで加熱された水蒸気を意味する。
【0028】
被加熱物90は、蒸気発生装置20からの水蒸気や過熱水蒸気で加熱可能であり、上ヒータ14および下ヒータ17の輻射熱でも加熱可能である。また、上ヒータ14下には加熱室2の天井壁が設けられ、下ヒータ17上には加熱室2の底壁が設けられている。上ヒータ14および下ヒータ17は加熱室2内に露出していない。
【0029】
上記加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)の合計消費電力は1500Wであり、蒸気発生ヒータ21の消費電力は900Wである。一般家庭のコンセントは、定格100V15Aで最大1500Wまでしか使用できないので、加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)と蒸気発生ヒータ21を同時にオンすることはできない。
【0030】
したがって、この実施形態の加熱調理器では、加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)をオン可能な第1期間(本実施形態では48秒)と、蒸気発生ヒータ21をオン可能な第2期間(本実施形態では12秒)とを交互に繰り返す制御を行う。つまり、第1期間では、加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)をオンオフしてよいが、蒸気発生ヒータ21はオフであり、第2期間では、蒸気発生ヒータ21をオンオフしてよいが、加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)はオフである。
【0031】
また、加熱室2の右側上部には、加熱室2内の温度を検出する庫内温度センサ29(図6に示す)を配置している。
【0032】
図4は上記加熱調理器の正面から見た縦断面図を示しており、図5は加熱調理器の右側面から見た縦断面図を示している。図4,図5において、図1〜図3と同一の構成部には同一参照番号を付している。
【0033】
図4,図5に示すように、本体ケーシング1内に配置された加熱室2の右側に、電装品を配置した電装品室Sを形成している。この電装品室Sは、裏面側が仕切板41により仕切られている。この仕切板41に、裏面側から電装品室Sに冷却空気を送り込む冷却ファン53を配置している。また、本体ケーシング1の裏面側に、冷却ファン53を駆動する冷却ファン用モータ54を取り付けている。また、電装品室S内の冷却ファン53の風下側に、本体ケーシング1に取り付けられたマグネトロン61,インバータ部62を配置している。このインバータ部62は、電源からの交流電圧をマグネトロン61用の駆動電圧に変換する。
【0034】
そして、冷却ファン53は、本体ケーシング1の裏面に形成された複数の吸気口55(図5に示す)から外気を取り入れ、取り入れた外気を冷却空気として前方に向かって吹き出すようになっている。
【0035】
また、加熱室2の下部には、回転アンテナ51(図5に示す)と、その回転アンテナ51を駆動する回転アンテナ用モータ52(図6に示す)とが配置されている。そして、マグネトロン61で発生したマイクロ波は、導波管60(図4に示す)によって加熱室2の下部中央に導かれ、回転アンテナ用モータによって駆動される回転アンテナ51によって回転されながら加熱室2内の上方に向かって放射されて被加熱物90を加熱するようになっている。
【0036】
また、図6は上記加熱調理器の制御ブロック図を示している。この加熱調理器は、図6に示すように、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御装置100を備えている。この制御装置100は、庫内温度センサ29により検出された加熱室2内の温度が目標温度になるように、加熱ヒータである上ヒータ14と下ヒータ17を制御する加熱ヒータ制御手段100aと、上ヒータ14と下ヒータ17のオン時に蒸気発生ヒータ21をオンせず、かつ、上ヒータ14と下ヒータ17のオフ時に蒸気発生ヒータ21をオンするように、蒸気発生ヒータ21を制御する蒸気発生ヒータ制御手段100bとを有する。そして、制御装置100は、操作パネル6からの信号および庫内温度センサ29と水位センサ11と排気温度センサ25からの検出信号に基づいて、上ヒータ14と下ヒータ17と蒸気発生ヒータ21と回転アンテナ用モータ52と冷却ファン用モータ54と操作パネル6と給水ポンプ12およびインバータ部61を制御する。
【0037】
以下、上記構成の加熱調理器の蒸気加熱動作について、図1〜図6に従って説明する。操作パネル6の電源スイッチ(図示せず)が押圧されると電源がオンし、操作パネル6の操作によって、過熱水蒸気を用いたオーブン調理の運転が開始される。そうすると、先ず、制御装置100は、水タンク検知部(図示せず)により水タンク10が正常に装着されているか否かを検知して、水タンク10が正常に装着されていれば、給水ポンプ12の運転を開始する。そして、給水ポンプ12によって、水タンク10から蒸気発生装置20内に給水パイプ13を介して給水される。
【0038】
次に、蒸気発生ヒータ21によって、蒸気発生装置20内の水が沸騰して飽和水蒸気が発生し、発生した飽和水蒸気はさらに加熱されて、100℃以上(調理内容により異なる)の過熱水蒸気となって蒸気吹出口22から加熱室2内に供給される。
【0039】
このようにして、加熱室2内に過熱水蒸気を吹き出すと同時に上ヒータ14,下ヒータ17に通電し、加熱室2内の温度・湿度分布を均一に維持しつつ、トレイ16上に載置された被加熱物90を加熱する。その場合、被加熱物90の表面に接触した過熱水蒸気は、被加熱物90の表面で結露する際に潜熱を放出することによっても被加熱物90を加熱する。これにより、過熱水蒸気の大量の熱を確実に且つ速やかに被加熱物90全面に均等に与えることができる。したがって、斑がなくて仕上がりのよい加熱調理を実現することができる。
【0040】
また、上記加熱調理運転時において、時間が経過すると、加熱室2内の蒸気量が増加し、量的に余剰となった分の蒸気は、排気口19から排気口カバー24,排気ダクト30を介して希釈排気口28から外部に放出される。
【0041】
調理終了後、制御装置100によって操作パネル6の液晶表示部7に調理終了のメッセージが表示され、さらに操作パネル6に設けられたブザー(図示せず)によって合図の音を鳴らす。
【0042】
これに対して、マイクロ波加熱動作の場合には、使用者によって操作パネル6が操作され、マイクロ波調理メニューが決定された後にスタートキー(図示せず)が押圧されると、マイクロ波加熱調理の運転が開始される。そうすると、制御装置100は、マグネトロン61を駆動して、導波管60および回転アンテナ51を介して被加熱物90にマイクロ波を供給し、被加熱物90を加熱する。
【0043】
図7Aは蒸気発生装置20からの蒸気と加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)を用いた加熱調理運転の開始から目標温度到達までのタイミングチャートを示し、加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)の48秒間のオン動作と、蒸気発生ヒータ21の12秒間のオン動作を交互に繰り返す。この蒸気を用いた加熱調理運転では、制御装置100は、加熱ヒータ制御手段100aにより加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)をオン可能な第1期間と、蒸気発生ヒータ制御手段100bにより蒸気発生ヒータ21をオン可能な第2期間とを交互に繰り返す制御を行う。
【0044】
図7Bは比較例の目標温度到達後のタイミングチャートを示しており、図7Bのタイミングチャートは、比較のための例であって本発明ではない。
【0045】
図7Bに示すように、加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)のオン可能な第1期間において、加熱室2内の温度が目標温度になるように、加熱ヒータ制御手段100aにより加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)をオンオフするが、加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)のオフ時には、利用可能な熱源である蒸気発生ヒータ21はオンされない(点線で囲まれた領域)。
【0046】
これに対して、この実施形態の加熱調理器では、図7Cに示すように、加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)のオン可能な第1期間において、加熱室2内の温度が目標温度になるように、加熱ヒータ制御手段100aにより加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)をオンオフするとき、加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)のオフ時に蒸気発生ヒータ制御手段100bにより蒸気発生ヒータ21をオンする。これによって、蒸気発生装置20から蒸気を加熱室2内に供給して、蒸気発生ヒータ21で発生させた熱を有効利用できる。
【0047】
上記構成の加熱調理器によれば、蒸気発生装置20からの蒸気と加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)の両方を用いた加熱調理運転において、加熱室2内の温度が目標温度になるように、制御手段100aは加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)を制御すると共に、上ヒータ14と下ヒータ17のオン時に蒸気発生ヒータ21をオンせず、かつ、加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)のオフ時に蒸気発生ヒータ21を必ずオンするように、蒸気発生ヒータ21制御手段100bは蒸気発生ヒータ21を制御する。これによって、蒸気発生ヒータ21と加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)の両方を用いて加熱調理を行う加熱調理器において、蒸気発生ヒータ21を熱源として有効に利用することができる。したがって、加熱調理時間を短縮できると共に、多くの蒸気を加熱室内に供給することで被加熱物を斑なく仕上がりのよい加熱調理ができる。
【0048】
また、蒸気発生装置20らの蒸気と加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)の両方を用いた加熱調理運転において、制御装置100は、加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)をオン可能な第1期間と、蒸気発生ヒータ21をオン可能な第2期間とを交互に繰り返す制御を行う。この加熱調理運転において、加熱ヒータ制御手段100aは、加熱室2内の温度が目標温度になるように、第1期間で加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)をオンオフすると共に、蒸気発生ヒータ制御手段100bは、第2期間で蒸気発生ヒータ21をオンする。さらに、蒸気発生ヒータ制御手段100bは、第1期間で加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)がオフ状態のときに蒸気発生ヒータ21をオンする。したがって、加熱ヒータ(上ヒータ14と下ヒータ17)をオン可能な第1期間と蒸気発生ヒータ21をオン可能な第2期間とを交互に繰り返す加熱調理運転の基本的な制御の流れを乱すことなく、蒸気発生ヒータ21を熱源として有効に利用でき、加熱調理運転の制御が容易にできる。
【0049】
また、蒸気発生ヒータ制御手段100bが蒸気発生ヒータ21をオンしたとき、給水手段(水タンク10と給水ポンプ12)により供給された水を蒸気発生装置20に供給することによって、蒸気発生装置20から蒸気を確実に発生させて、発生した蒸気により加熱室2内に熱を供給し続けることができ、熱源として確実に利用することができる。
【0050】
なお、上記加熱調理器は、蒸気発生装置20のハウジング温度を検出する温度センサを備え、制御装置100は、蒸気発生ヒータ21をオンしたときに蒸気発生装置20のハウジング温度が所定温度以下になると、給水ポンプ12をオフする。
【0051】
上記実施形態では、加熱ヒータとして上ヒータ14と下ヒータ17を備えた加熱調理器について説明したが、加熱ヒータはこれに限らず、上ヒータまたはと下ヒータのいずれか一方を備えた加熱調理器でもよいし、加熱室の上部,下部,背面,左側面または右側面の少なくとも一方に設けられた加熱ヒータを備えた加熱調理器にこの発明を適用してもよい。
【0052】
この発明の加熱調理器としては、例えば、過熱水蒸気を使用するオーブンレンジのみならず、過熱水蒸気を使用するオーブン、過熱水蒸気を使用せず飽和水蒸気を使用するオーブンレンジ、過熱水蒸気を使用せず飽和水蒸気を使用するオーブンなどがある。
【0053】
この発明の加熱調理器では、オーブンレンジなどにおいて、過熱水蒸気または飽和水蒸気を用いることによって、ヘルシーな調理を行うことができる。例えば、本発明の加熱調理器では、温度が100℃以上の過熱水蒸気または飽和水蒸気を食品表面に供給し、食品表面に付着した過熱水蒸気または飽和水蒸気が凝縮して大量の凝縮潜熱を食品に与えるので、食品に熱を効率よく伝えることができる。また、凝縮水が食品表面に付着して塩分や油分が凝縮水と共に滴下することにより、食品中の塩分や油分を低減できる。さらに、加熱室内は過熱水蒸気または飽和水蒸気が充満して低酸素状態となることにより、食品の酸化を抑制した調理が可能となる。ここで、低酸素状態とは、加熱室内において酸素の体積%が10%以下(例えば0.5〜3%)である状態を指す。
【0054】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…本体ケーシング
2…加熱室
2a…開口部
3…扉
4…ハンドル
5…耐熱ガラス
6…操作パネル
7…液晶表示部
10…水タンク
11…水位センサ
12…給水ポンプ
13…給水パイプ
14…上ヒータ
15…上ヒータカバー
16…トレイ
17…下ヒータ
18…遮熱板
19…排気口
20…蒸気発生装置
21…蒸気発生ヒータ
22…蒸気吹出口
24…排気口カバー
28…希釈排気口
29…庫内温度センサ
30…排気ダクト
31…冷気導入用開口部
43,44…上側トレイ受部
45,46…下側トレイ受部
50…露受容器
51…回転アンテナ
52…回転アンテナ用モータ
53…冷却ファン
54…冷却ファン用モータ
55…吸気口
56…取付板
60…導波管
61…マグネトロン
62…インバータ部
90…被加熱物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱して蒸気を発生させる蒸気発生ヒータを有する蒸気発生手段と、
上記蒸気発生手段からの蒸気が供給される加熱室と、
上記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱ヒータと、
上記蒸気発生手段からの蒸気と上記加熱ヒータの両方を用いた加熱調理運転において、上記加熱室内の温度が目標温度になるように、上記加熱ヒータを制御する加熱ヒータ制御手段と、
上記蒸気発生手段からの蒸気と上記加熱ヒータの両方を用いた加熱調理運転において、上記加熱ヒータのオン時に上記蒸気発生ヒータをオンせず、かつ、上記加熱ヒータのオフ時に上記蒸気発生ヒータを必ずオンするように、上記蒸気発生ヒータを制御する上記蒸気発生ヒータ制御手段と
を備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
上記蒸気発生手段からの蒸気と上記加熱ヒータの両方を用いた加熱調理運転において、上記加熱ヒータ制御手段により上記加熱ヒータをオン可能な第1期間と、上記蒸気発生ヒータ制御手段により上記蒸気発生ヒータをオン可能な第2期間とを交互に繰り返しつつ、上記第1期間において上記加熱ヒータがオフ状態のときに上記蒸気発生ヒータ制御手段により上記蒸気発生ヒータをオンすることを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理器において、
上記蒸気発生ヒータ制御手段により上記蒸気発生ヒータをオンしたとき、上記蒸気発生手段に水を供給する給水手段を備えたことを特徴とする加熱調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate


【公開番号】特開2012−241942(P2012−241942A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110600(P2011−110600)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】