説明

動物の身体の状態のスコアを決定するための装置及び方法

動物(50)の身体の状態のスコアを決定するための装置であって、動物の方へ向けられかつ動物の少なくとも一つの三次元画像を記録するために与えられた三次元カメラシステム(51);及び三次元カメラシステム(51)によって記録された三次元画像から動物の一部分の三次元表面表現を形成し、三次元表面表現の表面を統計的に分析し、三次元表面表現の統計的に分析された表面に基づいて動物の身体の状態のスコアを決定するために与えられ、かつ三次元カメラシステム(51)に接続された画像処理装置(52)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に動物飼育に関し、特に動物の身体の状態のスコア(body condition score(BCS))を決定するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
身体の状態のスコア付けは、等級、例えば5点等級(1のスコアは極めて細い雌牛を示し、一方、5のスコアは過剰に太い雌牛を示す)に従って雌牛の太い又は細いを評価する方法である。研究及び野外実験では、身体の状態が生産性、繁殖、健康及び寿命に影響することが示されている。従って、太い又は細いは、根底にある栄養不足、健康問題、又は不適切な獣群管理を示しうる。獣群内の問題を検出するための手段として、身体の状態のスコア付けは、定期的になされるとき、乳牛群の健康及び生産性を改良し、良好な獣群管理における効率的なツールとして作用するのに良好な助けとなる。身体の状態のスコア付けは、身体エネルギー貯蔵量を監視するためには体重より良好である。体重は、体脂肪、体格、腹のサイズ、乳房のサイズ、妊娠状態、及び食料と水の取り込みの変化によって変化しうる。
【0003】
通常の健康な雌牛の身体の状態は、図1でわかるように、乳汁分泌期間にわたって変動しうる。分娩では、推奨される身体の状態のスコアは3.25〜3.75であり、又はこれより少し低くてもよい。初期の乳汁分泌では、雌牛は、ピーク乳生産量に達するまで乳の生産を増加する。この期間中、雌牛は、必要なエネルギーを得るためにその身体の貯蔵物を使用する。なぜならば食料の取り込みは、最初の6〜8週の乳汁分泌期において要求より遅れるからである。目的は最初の乳汁分泌期において0.5〜0.75の身体の状態のスコアの損失を持つことである。中間の乳汁分泌期では、身体の状態のスコアは、後期の乳汁分泌の終わりの分娩時のように3.25〜3.75の同じ推奨値を達成するために徐々に増加するべきである。乾燥期間中に雌牛の身体の状態を修正することを試みないことが重要である。なぜならばこれは雌牛の重量より仔牛の重量に多く影響するからである。
【0004】
過剰調整又は肥満は、乳生産が低下しているが穀物及び全栄養レベルがそれに応じて低下していないとき、乳汁分泌の最後の3〜4ヶ月間で通常始まる。分娩のときには、4.0以上の身体の状態のスコアを有する雌牛は、食料の取り込みの減少、及び周産期の発病率及び分娩時の他の問題の増加をもたらすことが多い。太った雌牛は代謝の問題及び感染を多く受けやすい。過剰調整された雌牛は、胎盤保持、カルシウム不足に導く胃不全麻痺、肥満雌牛症候群、脂肪肝及び乳腺炎の問題を持つ傾向がある。雌牛は自分の過剰な重さの下で崩壊することさえあるかもしれない。
【0005】
調整不足又はやせすぎは、雌牛が長期間病気になったとき又はたとえそうでなくても乳汁分泌の中期及び後期に十分なエネルギーが飼料に加えられなかったときに起こる。3.0未満の身体の状態のスコアを持つ分娩時の調整不足は、ピーク乳生産量の低下及び全乳汁分泌の乳量の低下をもたらすことが多い。それは、雌牛がその身体の貯蔵物を多く使用するときに最初の乳汁分泌における健康リスクである。また、雌牛は最初の乳汁分泌時に1.0より多く身体の状態のスコアを失わないようにすべきである。なぜならば最初の乳汁分泌における身体の状態のスコアの過剰な損失は繁殖効率を低下することが示されているからである。調整不足はしばしば、不十分なエネルギー及び蛋白質保持量のために生産量及び乳脂肪レベルを低下しうる。細い雌牛は、体重を回復し始めるか又は少なくとも維持するまで発情を示さないか又は妊娠しないことが多い。これらの動物に給餌するときには、身体の貯蔵量を増加しながら生産量を維持することに注意を払わなければならない。
【0006】
5点スコア付けシステムはこの皮下体脂肪の相対量を測定するために開発された。乳牛のほとんどの身体の状態のスコア付けシステムは、1/4点ずつの増加を有する5点スコア付けシステムを使用する。身体の状態のスコア付けシステムのための指示は、生産サイクル時のいかなる点でも乳牛の身体の状態を評価するように工夫されている。正確なスコア付けのためには、背中及び後四半身の視覚的評価と触覚的評価の両方が必要である。考慮される部分は、脊柱の胸及び腰領域(背骨、腰及び尻)、棘突起(腰)、仙骨結節(鉤状突起)、坐骨結節(無名骨)、及び前尾椎(尾根)であり、それらは図3に示される。単一のファクターでは誤り導くことがあるかもしれないが、全てのファクターを合わせて考慮すると正確なスコアを与える。それぞれの状態スコアは、図4で簡略化した基準によって評価された。
【0007】
規則的な身体の状態のスコア付けの利益はほとんどの酪農業者、栄養士、及び専門家にとって直感的にわかるが、それを酪農管理方策の一部として組み入れる酪農場は比較的少ない。このシステムを採用しないのには多くの理由があり、ほとんどがその主観性、必要なコスト及び時間的制約である。それはコンピュータ化された獣群管理システムではほとんど実用的ではない。
【0008】
酪農科学者は、農場主に適切に助言できるように必要な目的研究を未だ開発していない。それゆえ、個々の雌牛の身体の状態のスコアを自動的な方法で決定する方法を開発することが必要であり、それはよりコスト効果的であり、客観的であり、獣群管理システムからのデータと接続するために容易であるだろう。
【0009】
Pompe V.J deGraaf,R.Semplonious,及びJ.Meuleman,“Automatic body condition scoring of dairy cows:Extracting contour lines”Book of Abstracts,5th European Conference on Precision Agriculture,2nd European Conference on Precision Livestock Farming,243−245,2005は、雌牛の後部から一連の画像を収集するために白黒写真及びラインレーザを使用した。画像の三次元分析は左無名骨、左鉤状突起、及び尾根の外形を与えた。画像分析をBCSと比較する統計的分析は全く報告されていない。
【0010】
T.Leroy,J.−M−Aerts,J.Eeman,E.Maltz,G.Stojanovski,及びD.Berckmans,“Automatic determination of body condition score of dairy cows based on 2D images”Precision Livestock Farming ′05:251−255,2005は、シルエット画像を得るために雌牛の後部からの通常の二次元画像を使用した。それらの研究は、人間の評価のエラーと同じ程度の結果の精度で身体のスコアを自動的に評価することが可能であることを示す。
【0011】
乳牛に対する自動化された身体の状態のスコア付けについての広範な仕事はスコットランド農業大学のCoffeyらによって実施された。プリズムを通して照射される赤色レーザ光を使用することによって雌牛の背中上に光の線が作られた。カメラは雌牛の背中の水平面に対して45°の角度に位置され、レーザ線は雌牛の尾根及び尻上の曲率の手動抽出で使用された。これらの形状の曲率は次いでモデル化された。研究によって大きな相関関係が見出され、尾根の曲率と観察されたBCSの間で0.55の相関係数があり、無名骨を横切って測定される右尻の曲率の相関係数は0.52であった。
【0012】
J.M.Bewley,A.M.Peacock,O.Lewis,R.E.Boyce,D.J.Roberts,M.P.Coffey,S.J.Kenyon,及びM.M.Schutz“Potential for Estimation of Body Condition Scores in Dairy Cattle from Digital Images”Journal of Dairy Science,91:3439−3453,2008によって広範な研究がなされた。上方から取ったデジタル画像を使用して、鉤状骨によって生成される角度が輪郭画像から抽出された。自動的に抽出された身体の状態のスコアの99.89%は実際のスコアの0.5点以内であり、89.95%が0.25点以内であった。
【0013】
通常の二次元画像分析を使用した地中海水牛の身体の状態のスコアの研究では、P.Negretti,G.Bianconi,S.Bartocci,S.Terramoccia,及びM.Verna in“Determination of live weight and body condition score in lactating Mediterranean buffalo by Visual Image Analysis”Livestock Science 113:1−7,2008は、コンピュータ化された画像分析が効果的な測定システムであることを確認した。イタリアのグループはまた、背中と鉤状骨の間の角度の自動的測定、及び鉤状骨の後の表面積の自動的測定が身体の状態のスコアに有意に相関することを示す重要な結論に到達した。
【0014】
EP1537531は、動物の身体の状態を自動的に監視するのに使用するための撮像方法及びシステムを開示する。動物の身体について関心のある予め決められた領域が撮像され、取得した一つ以上の画像を示すデータが処理されて関心のある領域の三次元表現を得る。三次元表現は、撮像された動物の身体の状態を示す関心のある領域の表面レリーフを示す予め決められた測定可能なパラメータを決定するために分析される。この発明の技術は、動物(例えば乳牛)のエネルギーバランスの状態又はエネルギーバランスの変化の傾向を決定するために有用であり、それによって特定の動物の栄養を適切に調整し、動物の自然の歩行における運動及び/又は協調の存在を決定することができる。
【発明の概要】
【0015】
上で開示されたアプローチの欠点は、検出される形状が、動作、背景環境、及び視覚システムに対する雌牛の相対的位置に強く左右されることである。
【0016】
さらに、身体の状態のスコア付けは、画像分析に使用される限られた二次元画像データのために高い信頼性、正確性又は精度を持たないかもしれない。
【0017】
従って、本発明の目的は、上記の欠点及び制限のない、動物の身体の状態のスコアを決定するための装置及び方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、自動的、頑健、効果的、速い、高精度、正確、高信頼、安全、容易に使用、及びリーズナブルなコストの特徴を持つ、かかる装置及び方法を提供することである。
【0019】
これらの目的は特に、本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載された装置及び方法によって達成される。
【0020】
本発明の一態様によれば、動物の身体の状態のスコアを決定するための装置が提供され、この装置は、動物の方へ向けられかつ動物の少なくとも一つの三次元画像を瞬時に記録するために与えられた三次元カメラシステム;及び三次元カメラシステムによって記録された三次元画像から動物の一部分の三次元表面表現を形成し、三次元表面表現の表面を統計的に分析し、特に三次元表面表現の表面の凹凸、不規則、又はテキスチャを分析し、三次元表面表現の統計的に分析された表面に基づいて動物の身体の状態のスコアを決定するために与えられ、かつ三次元カメラシステムに接続された画像処理装置を含む。
【0021】
動物の一部分の三次元表面表現は有利には、尾根の前に位置される動物の背中の領域の表現であり、かつ動物の臀部又は無名骨を含まないように十分に狭い。
【0022】
好ましくは、三次元カメラシステムは、動物の二次元画像を与える飛行時間距離カメラ又は能動波面サンプリングカメラであり、二次元画像の各画素に対して、三次元カメラシステムと撮像された各物体点の間の距離が与えられる。
【0023】
さらに好ましくは、三次元カメラシステムは、動物の上に、かつ任意選択的には後方に位置され、動物の下方に、任意選択的に前方に、動物の背中の方に向けられ、動物の背部及び後部から画像情報を与える。
【0024】
本発明のさらなる態様によれば、上記の装置を使用することによって動物の身体の状態のスコアを決定するための方法が提供される。
【0025】
本発明の様々な実施形態は従属請求項に述べられている。
【0026】
統計的分析は、三次元表面表現の表面勾配、表面法線、及び/又は表面の範囲もしくは深度値の統計的分析を含んでもよい。
【0027】
追加的に又は代替的に、統計的分析は、三次元表面表現の表面の凹凸のスペクトル測定の統計的分析を含んでもよい。
【0028】
さらに追加的に又は代替的に、統計的分析は、三次元表面表現の表面の表面曲率又はスピン画像の統計的分析を含んでもよい。
【0029】
有利には、統計的分析は、三次元表面表現の表面の特徴パラメータのヒストグラムの統計的特性の計算を含む。統計的特性は、平均値、標準偏差、平滑性、歪み、均一性、エントロピー、ヒストグラムの幅、最大値の半分の幅、及び/又はヒストグラムに適合した曲線のパラメータを含んでもよい。
【0030】
本発明は、従来行われていた経験的な牧夫の視覚的検査及び接触による手作業の身体の状態のスコア付けと比べて、以下の利点を持つ。
【0031】
本発明の自動的に実施される身体の状態のスコア付けは主観的でない。それは照明、印象、動物の知識又は個人依存によって影響されない。
【0032】
さらに、それはコスト効果的であり、熟練した牧夫による時間消費的な仕事が要求されない。本発明は、多数の動物を有する大きな獣群に毎日容易に使用されることができる。従って、身体の状態のスコアの傾向は頻繁に追跡されることができる。
【0033】
さらに、BCS分解能を高めることができる。信頼性及び精度を高めることができる。
【0034】
本発明を背景技術で記載した自動的及び半自動的アプローチと比較するときに幾つかの利点が特に有効である。
【0035】
特に、動物の一部分の瞬時に記録された三次元表面表現の統計的分析は、正確で信頼性のある身体の状態のスコアを与えることができる。
【0036】
本発明のさらなる態様によれば、動物の身体の状態のスコアを決定するための装置及び方法が提供される。装置は、三次元カメラシステム、及び三次元カメラシステムに接続された画像処理装置を含む。動物の一部分の少なくとも一つの三次元画像が三次元カメラシステムによって記録される。三次元表面表現は三次元画像から形成され、三次元表面表現は正規化され、動物の身体の状態のスコアは正規化された三次元表面表現の表面に基づいて決定される。
【0037】
正規化の前に、動物の一部分の三次元表面表現において正規化のための制御点として作用する参照点、例えば脊柱隆線及び無名骨又は鉤状骨を探すことが行われる。
【0038】
好ましくは、動物の一部分の三次元表面表現は、参照点の位置に基づいた回転、並進、及びスケーリングによって正規化され、脊柱隆線はデカルト座標系の第一軸と本質的に平行であり、無名骨又は鉤状骨の先端間の接続線はデカルト座標系の第二垂直軸と本質的に平行であり、三次元表面表現のスケーリングは無名骨又は鉤状骨の先端間の距離に依存してなされる。
【0039】
かかる正規化によって、身体の状態のスコアは、三次元カメラシステムの記録角度にかかわらず決定されることができる。画像は、動物が歩いたり又は動いている間に記録されることができる。
【0040】
本発明のさらなる態様によれば、動物の身体の状態のスコアを決定するための装置及び方法が提供される。装置は、三次元カメラシステム、及び三次元カメラシステムに接続された画像処理装置を含む。動物の一部分の少なくとも一つの三次元画像が記録され、三次元表面表現は三次元画像から形成され、解剖学的特徴は三次元表面表現において認識され、認識された解剖学的特徴の特徴パラメータが計算され、動物の身体の状態のスコアは、三次元表面表現において認識された解剖学的特徴の計算された特徴パラメータに基づいて決定される。
【0041】
本発明のさらなる特徴及びその利点は、以下に与えた本発明の好ましい実施形態の詳細な説明、及び添付の図1〜16から明らかであるが、それらは例示にすぎず、従って本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、乳牛の異なる乳汁分泌期間にわたる身体の状態のスコアの標準的な変動を示す図である。
【0043】
【図2】図2は、左から、深刻に調整不足の雌牛、正常に調整された雌牛、及び深刻に過剰調整の雌牛を示す写真である。
【0044】
【図3】図3は、雌牛の身体の状態をスコア付けするときに考慮される領域を示す。
【0045】
【図4】図4は、簡略化された身体の状態のスコアチャートである。
【0046】
【図5】図5は、本発明の一実施形態による動物の身体の状態のスコアを決定するための概略的に示された装置を示す。
【0047】
【図6a−b】図6a−bは、図5の装置によって記録された雌牛の元のフィルタリングされていない画像データ(図6a)及びフィルタリングされた画像データ(図6b)の点影を示す。画像は、鉤状骨から無名骨までの尻、及び画像中の最も遠くに突出する尾根を示す。
【0048】
【図7】図7は、雌牛の表面を分離するデータのセグメント化を示す。
【0049】
【図8a−b】図8aは、位置特定のために使用される雌牛の表面表現に見出される大域的最小点を示す。図8bは、並進及び回転されるデータを示す。雌牛の脊骨及び鉤状骨が位置特定される。
【0050】
【図9】図9は、鉤状骨の位置を示す雌牛の二つの画像の比較を示す。
【0051】
【図10】図10は、本発明に含まれる分析方法に使用される幾何学的スピン画像のパラメータを示す。
【0052】
【図11】図11は、画像データのz値を操作することによって身体の状態のシミュレートされた変化を示す。
【0053】
【図12】図12は、雌牛の背中の三次元表面表現である。
【0054】
【図13a−b】図13a−bは、本発明に含まれる分析方法によって測定される特徴パラメータ及び解剖学的特徴を示す。
【図14a−b】図14a−bは、本発明に含まれる分析方法によって測定される特徴パラメータ及び解剖学的特徴を示す。
【図15a−b】図15a−bは、本発明に含まれる分析方法によって測定される特徴パラメータ及び解剖学的特徴を示す。
【図16】図16は、本発明に含まれる分析方法によって測定される特徴パラメータ及び解剖学的特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図5は、雌牛50の方に向けられ、かつ雌牛50の少なくとも一つの三次元画像を瞬時に記録するために与えられた三次元カメラシステム51と、三次元カメラシステム51に接続された、好適なソフトウェアを与えられたマイクロコンピュータのような画像処理装置52とを含む、雌牛50のような動物の身体の状態のスコアを決定するための装置を示す。
【0056】
画像処理装置52は、三次元カメラシステム51によって記録された三次元画像を処理し;処理された三次元画像から雌牛50の一部分の三次元表面画像又は表現を形成し;三次元表面画像を統計的に分析し;そして統計的に分析された三次元表面画像に基づいて雌牛の身体の状態のスコアを決定するために与えられる。画像処理及び分析は以下にさらに詳細に説明されるだろう。
【0057】
三次元カメラシステム51は、Mesa Imaging AG(登録商標)Swiss Ranger SR−3000センサーのような飛行時間距離カメラであることが好ましい。それは、CSEM(Centre Suisse d′electronique et de microtechnique)によって開発された完全なソリッドステート飛行時間距離カメラである。それは、リアルタイプ深度マップの直接測定のためにUSB2.0を介してマイクロコンピュータ52に接続され、屋内照明条件下での操作のために設計されている。
【0058】
飛行時間(TDF)技術は、既知のスピードで移動しながら850nmのピーク波長を有する赤外光が物体で反射されてセンサーに到達するのにかかる時間に基づいて物体への距離の測定に基づく。測定された距離は、波動がカメラから物体に移動するために必要な時間の2倍に比例する。実際に測定されるものは、出て行く信号と検出された反射信号の間の位相シフトである。
【0059】
上で例示したカメラは、CMOS能動的画素センサーを使用して176×144画素の空間分解能を有する47.5×39.6度の視野を持つ二次元画像センサーに基づく。この技術はCCD技術に極めて似ている。得られる出力は、通常のデジタルカメラと相関関係にある、各画素の強度情報を示す図の四次元表現である。さらに、カメラに対する各点の相対的位置はそのx,y及び深度(z)値で与えられる。x,y及びzの方向の情報を組み合わせると、場面の三次元視覚化を作ることが可能である。
【0060】
振幅しきい値を設定して、乱れた画素をフィルタリングすることができる。振幅は、画素に反射して戻ってくる放出光の量を決定する。積分時間は取得画像の露光時間を制御する。
【0061】
あるいは、三次元カメラシステム51は、場面の三次元視覚化を提供するために他の技術に基づく。例えば、三次元カメラシステム51は、レーザ三角測量を使用するカメラシステム又は立体視覚システムであってもよく、それらは任意選択的に光源、及びスペックルパターンを有する光を作るためのスペックル生成装置を備えてもよい。さらにあるいは、三次元カメラシステム51は能動波面サンプリングカメラであり、それは画素の二次元配列を持ち、画素の各々に対して、カメラと撮像された物体点の間の距離を与えることができる。
【0062】
実質的には、場面の三次元表面表現を提供することができるいかなる種類の三次元カメラシステムも本発明に使用することができる。
【0063】
好ましくは、三次元カメラシステム51は、雌牛50の上に、かつ任意選択的に雌牛50の後に位置され、雌牛50の下方に、かつ任意選択的に前方に、背中の方に向けられ、脊柱、鉤状骨、無名骨及び尾根を含む、雌牛の背部及び後部からの画像情報を与える。
【0064】
あるいは、三次元カメラシステムは、雌牛の長手方向と平行な垂直面に対して角度を付けて雌牛の上に位置され、雌牛に向かって斜めに下方に向けられる。
【0065】
さらにあるいは、三次元カメラシステムは、雌牛の側方に、任意選択的に雌牛の上に位置され、側方に、任意選択的に下方に向けられ、雌牛の無名骨と鉤状骨の間の領域、及び脊髄突起の縁を示す側部/背部画像を与える。
【0066】
さらにあるいは、三次元カメラシステムは、異なる位置に位置されかつ雌牛のより大きな表面積をカバーするように雌牛の方に向けられた複数の三次元カメラを含む。
【0067】
本発明の装置は、雌牛識別装置を与えられた給餌、搾乳、又は休息ステーションのような雌牛の装置に配置されることが好ましい。好ましくは、本発明の装置は、例えば毎日のようなかなり高い頻度で各雌牛の身体の状態のスコアを繰り返し決定するために与えられる。
【0068】
さらに、本発明の装置は、獣群管理システムに動作可能に接続され、BCSデータをそれに送出してもよい。かかる方法では、BCSは追跡され、各瞬間で予想されるBCSと比較されることができるだろう。BCSは図1に示されるように経時的に異なる。予想されるBCSは、その動物又は同種動物(種族、年齢など)の歴史的BCS値であることができ、それらは任意選択的に動物の増加する年齢を補償されることができる。
【0069】
もし測定されたBCSが予想されるBCSから少なくとも所定量逸脱するなら、これは、警報の起動が発せられるか又は動物に対して自動的にとられるべき行動が発せられることになってもよい。例えば、動物の給餌は、例えばその栄養素含有量に関して変化されることができ、又は動物は、獣群管理システムに動作可能に接続された自動化装置によって、ある態様で処理されることができる。特に、上記の追跡は、最初の時間、例えば1ヶ月目、分娩後、BCS低下時に重要である。
【0070】
生画像データの処理
生画像データの処理はフィルタリング及びセグメント化を含む。
【0071】
使用されるフィルタリング機能は、誤り導く深度情報を与えるような遠い物体を扱うために二次元強度画像を距離情報と組み合わせる。遠い物体は、近い物体より低い強度を有する光を反射する。それゆえ、選択された値より低い強度を有する画素を設けることができ、それらの深度値はほぼ雌牛の首の距離に距離を設定する。従って、誤った点は規則的なフィルタリングにおいて干渉しないだろう。ウィーナーフィルターの結果は図6a−bに見ることができ、それらは元のフィルタリングされていないデータ(図6a)及びフィルタリングされたデータ(図6b)の点影を示す。フィルタリング法の最後の工程は、距離値が選択された値より大きく、従って分析のために無関係になる全ての画素を識別している。これらの点は通常、家畜小屋の内部、雌牛及び隣の雌牛の頭に属する。それらの値は雌牛の首の距離に設定される。
【0072】
次に、画像はセグメント化される。即ち、画像は多数の領域(画素の組)に分割される。セグメント化の目的は、画像の表現をより意味がありかつ分析しやすいものに単純化又は変化することである。画像セグメント化は、一般的には、画像中の境界(線、曲線など)及び物体の位置を探すために使用される。この明細書においては、セグメント化は雌牛の上部表面を識別するために使用される。
【0073】
最初のセグメント化として、高感度キャニーエッジ検出機能がフィルタリングされたデータに適用される。キャニー法は、画像中の勾配の極大を探すことによってエッジを見出す。勾配は、ガウシアンフィルターの導関数を使用して計算される。この方法は二つのしきい値を使用して強いエッジ及び弱いエッジを検出し、強いエッジに接続されるときにだけ出力中の弱いエッジを含む。それゆえ、この方法は、他の方法よりノイズによって影響されにくく、真の弱いエッジを検出しやすい。
【0074】
図7は、雌牛の表面を分離するデータのセグメント化を示す。
【0075】
解剖学的特徴認識;正規化
最も多い特徴認識方法は主に幾何学的情報に基づくので、それは、三次元技術では物体画像の適切な正規化を実施するためには二次元においてよりさらに一層重要である。
【0076】
雌牛画像を正規化するためには、第一工程は特徴又は参照点を見出すことであり、それは正規化工程のための制御点として作用するだろう。正規化のために考えられる特徴点は尾根(tail head)、無名骨(pin bones)、鉤状骨(hook bones)及び脊柱隆線(spinal ridge)である。雌牛の画像は、特徴点の位置及び関係に基づいた一連の回転及び並進で正規化される。
【0077】
画像中の雌牛の最初の位置特定として、最小距離値が特定され、それは常に尾上の点に属する。雌牛は一般に、脊柱の位置及び配向を求めるためにその背中から約45°の角度で撮影される。画像はx軸まわりに45°回転される。画像データは全くまばらであってもよいが、雌牛のスライスをとることによって、各スライスにおける極小を求めることができ、それはその領域における雌牛の背中上の最高点を表す。全ての点は一緒に脊柱の形状を形成する。これらの点を通して平均値線が近似され、画像は自動的に並進及び回転されて脊柱線をy軸上に適合する。この後、画像を左及び右に回転し、これらの方向の極小を求めることによって鉤状骨の識別を行う。反復法では、雌牛は、脊柱がy軸に従い、股関節がx軸を中心に対称的なxy面に垂直な面にあるように整列される。代替的に又は追加的に、無名骨及び/又は尾根は回転及び並進工程のために使用される。
【0078】
鉤状骨間の距離は、画像をスケーリングするために使用されることができる。代替的には、他の特徴は動物の長さ、脊柱隆線の長さ、無名骨間の距離などのスケーリングのために使用される。
【0079】
正規化は、動物のサイズ、カメラシステムと動物の間の距離、及びカメラシステムの視野角から独立して正確な身体の状態のスコアを得ることを可能にするために使用される。
【0080】
図8aは、位置特定のために求められた大域的最小点を示す。図8bは、並進及び回転されたデータを示す。脊柱及び鉤状骨は位置特定される。
【0081】
特徴抽出
パラメータとBCSの間の相関関係を求める二つの異なる方法が一般に関心がある:修正された距離画像の表面の統計的尺度を使用する大域的な方法、及び曲線及び角度が輪郭に適合される局所的な方法。
【0082】
後者の方法は制御された画像に対して良好な結果を示すが、BCSを示す解剖学的点は必ずしも明らかな視覚的輪郭に対応しない。特徴点の自動的抽出では、識別の正確性は制限される。図9は、同じ時にとられた一匹の雌牛の二つの画像中の鉤状骨の位置を正確に示す精度を示す。また、個々の雌牛間に大きな形状の差が存在し、それは異なるアプローチ、即ち表面の統計的分析での大域的なアプローチを試みることに理由を付けさせる。
【0083】
一般的には、頑健な特徴認識に対する関心が最近まで大きく増加している。近年において、多くの新しいシステムが開発され、それは、セキュリティが関係する証明作業のために使用されるために顔面構造、指紋又は声のような生物測定情報を記憶することができる。最近、多くの二次元特徴認識アプリケーションが、制御された状態で取得された画像に対して得られた最適な結果で実施されている。これらの技術の主な制約は、第一に、照明の影響(雌牛の影になった部分は証明工程を誤り導きうる)であり、第二に姿勢の変化である。
【0084】
しかしながら、人間と雌牛はともに三次元であり、従ってそれらを二次元物体として投影することは情報の損失を引き起こす。三次元データ取得装置の開発及び改良によって、ほとんど三次元の顔面認識技術が関心を持たれるようになっている。今日、これは生物測定学において最も強く研究されている領域の一つである。雌牛は人間の顔面とは多くの点で異なるが、三次元顔面特徴認識ツールを使用することは有利でありうる。
【0085】
三次元特徴認識技術の新規性のため、公開された結果があまりない。一般に、二種の外観が扱われている。第一に、三次元情報を二次元深度マップ又は取得システムまでの距離に変換する距離データの使用であり、第二に、三次元メッシュ物体表現の使用である。異なる全体統計尺度を組み合わせるとき、二つの外観を組み合わせることが必要である。
【0086】
統計的尺度
雌牛の画像の多くの部分は、鉤状骨の前の閉塞部を除いて背中及び腰領域の部分にわたって鋭い縁がない。これらの領域では、表面テキスチャはやせた動物及び太った動物に対して異なっていることが見出されている。なぜならば動物の背中の椎骨のような骨は太った動物よりやせた動物の方がより明確に記録されるからである。従って、画像テキスチャの測定はそれらの身体の状態のスコアに従って雌牛の分類のために使用されることができる。テキスチャは、感触で目の粗い(looseness)又はでこぼこの荒い(roughness)を意味する粗さ(coarseness)によって定性的に記載される。粗さは局所構造の空間反復周期に関連する。周期が長いほど荒い構造を意味し、周期が小さいほど均一な構造を意味する。重要なことは、粗さが画像点の近くのテキスチャの相対的尺度であることを認識することである。テキスチャは空間的特性であるので、測定は相対的に均一な領域に制限されるべきである。これは背中領域の場合である。鉤状骨の後の閉塞部、及び尾根の近くの変化した曲率のため、臀部幅の1/3、及びその距離長の2倍の小領域が統計的評価のための良好な候補であることが見出された。その小領域は、寛骨、無名骨、又は尾根のような大きく又は強く突出する特徴を含まないことが理解されるだろう。好ましくは、小領域は尾根の前に位置される。この領域の表面の凹凸は動物のBCSと十分に相関があること、そしてこの領域はノイズ、視野角などにあまり敏感でないデータを与えることが示された。
【0087】
表面の構造又は凹凸を統計的に分析するためには、均一に間隔のあいた値を持つ表面を得るためにメッシュ関数を使用して二次補間を行うことが必要でありうる。
【0088】
構造分析のために頻繁に使用されるアプローチは局所特徴ヒストグラムの統計的特性に基づく。領域のヒストグラムh(z)に基づいて一般に使用される記述子は、以下に記載されるような平均についてのモーメントを使用して計算される:

【0089】
さらに、ヒストグラムの幅、及び最大値の半分の幅は、ヒストグラムに立方体的に適合された曲線のパラメータと同様に計算されることができる。
【0090】
フーリエスペクトルに基づくテキスチャのスペクトル尺度は、深度画像の二次元パターンの指向性を記載するために十分に適している。テキスチャ粗さはその空間周期に比例するので、やせた雌牛に匹敵する荒いテキスチャの領域は低い空間周波数で集中されたそのフーリエスペクトルエネルギーを持つはずである。同様に、太った雌牛の背中のような平滑な領域は高い空間周波数でスペクトルエネルギーの集中を示すはずである。スペクトル特徴の説明は、関数S(r,θ)(式中、rは周波数であり、θは方向である)として極座標においてスペクトルを表示することによって単純化される。記述子は離散変数について合計することによって得られる:

【0091】
各方向θについて、S(r,θ)は一次元関数Sθ(r)として考えられ、それは固定されたθについて半径方向に沿ってスペクトルの挙動を生み、同様に各周波数rについて、S(θ)の数値が求められ、原点を中心とする円に沿った挙動を生む。一般関数の以下の記述子、即ち、平均、変数、最大値、及び最大値とS(r)及びS(θ)の平均との間の差がそれぞれ計算された。
【0092】
統計的尺度のための特徴パラメータ
身体の状態のスコアにリンクするために最適パラメータを求めるために、表面の異なるパラメータの統計的特性が調査される。四つの形状に特異的なパラメータが分析された:距離又は深度値、減衰された距離又は差し引かれた深度値、点勾配及び面法線。距離値は、正規化されたデータセットのxy面から表面まで測定され、背中の形状を記述する。個々の変動を除外する行動において、強くフィルタリングされた画像は元々フィルタリングされたものから差し引かれ、その差し引かれた画像のxy面から測定される距離値は減衰された距離値として言及される。そのアイデアは、強いフィルターが雌牛の基本形状のみを残し、画像を差し引くことが肥満による変動のみを残すはずであることである。距離ヒストグラムは、深度距離が他の物体又は背景クラッタによって影響されうるときに問題である。
【0093】
完全な正規化にあまり敏感でない変数に対して、勾配を調べることが重要である。二つの変数の関数z=f(x,y)の勾配は以下のように規定され、fの値を増加する方向に向いているベクトルの集まりとして考えられることができる。各点でのこれらのベクトルのノルムは背中の形状を記述する。

【0094】
表面曲率を分析する別の方法は、面法線によって行われる。面法線は画像の一次導関数から容易に計算されることができる。通常の正規化後、得られたベクトルの二つの成分を関連させることができる。研究では、一対の角度(φ,θ)としての表現は信頼性のある結果を与えることを示した。配向された点pを法線ベクトル(n,n,n)を用いて与えると、法線は二つの角度パラメータφ及びθによって規定されることができる。
【0095】
これらのパラメータはマップNoで表現される:

φはxy面における変動を表し、θはz軸まわりの法線の変動を与える。
【0096】
計算しやすく、視点変化に対して頑健で、重要な情報を含む、他の形状特異的なパラメータが存在する。二つの重要なパラメータはスピン画像及び表面曲率である。
【0097】
スピン画像は、表面の局所的特性に基づいてA.E.Johnsonによって開発された大域的記録技術であり、三次元情報を表面上の各配向された点と関連した二次元画像に変換する。A.E.Johnsonの“Spin Images:A representation for 3−D Surface Matching”PhD Thesis,Robotics Institute,Carnegie Mellon University,1997を参照されたい。配向された点pを与えると、各点pは二つのパラメータα及びβによってpを参照して規定することができる。図10参照。これらのパラメータはマップSで表現される:

【0098】
マップ中の点の密度を符号化すると、スピン画像の二次元配列表現を生成することができる。この画像は、配向された点とデータ中の他の点の間の相対的距離を表す。それゆえ、それは空間ヒストグラムに類似するだろう。
【0099】
表面曲率は、一次及び二次導関数から直接的に、又はある局所状況の領域における垂直配向の変化の割合として間接的に計算されることができる。ガウスの曲率K及び平均曲率Hは強く相関し、従って劣った表現を与える。代わりに、G.Hetzel,B.Leibe,P.Levi,B.Schieleは、“3D Object Recognition from Range Images using Local Feature Histograms”Proceedings of the 2001において形状係数による曲率を記載し、それは本発明において使用されることができる。
【0100】
データ中の特徴パラメータの調査
次の四つの特徴パラメータ:距離、減衰距離、勾配及び面法線は、全ての統計的パラメータとともに、分析するための約90の因子をもたらす。一次排除を行い、どの因子が他のものより有意であるかを見るために、異なる身体の状態を有する雌牛の簡単なモデルが作られる。モデルは、3.0の身体の状態のスコアを有する実際の雌牛の画像から補間された表面を使用することによって作られる。データのz値は0.8〜1.2の範囲の係数によって扱われる。低い値は背中を平らにすることによって太った雌牛をシミュレートし、高い値は骨と皮膚だけのやせた雌牛のシミュレーションを与える。図11は、モデルがどのように作用するかの思想を表す。
【0101】
モデルに対する試験は、扱われた画像間の値のリーズナブルな変化を伴って約30のパラメータをもたらした。30の統計パラメータは各画像に対して身体の状態のスコアへの潜在的影響について計算され、別々に記録される。もしパラメータ値がNaN(数字ではない)としてもたらされるなら、画像は不十分な品質を有するものであると考えられ、さらなる評価から除外される。記録された特徴パラメータは表4.1に掲載される。
【0102】

【0103】
各パラメータの平均は一つの写真から各五つの画像シーケンスに対して計算される。身体の状態のスコアとパラメータの相関及び相互相関は、分娩後の数ヶ月間のBCSの既知の変動に従うようなパラメータの近似とともに、予測のためのモデルを分析するために使用される。0.5を越える高い相関係数での結果だけがモデルに対して考えられる。パラメータの信頼性は、一つの記録された画像中の値の広がりをダイナミックレンジと比較することによって調査されることができる。
【0104】
二つのモデルはこのパラメータのセットに対して使用される。
【0105】
第一モデルはBCSの予測として良好に相関されたパラメータの線形結合だけを含む。これらは、4:平均距離値、5:距離値の標準偏差、8:平均勾配ノルム、14:平均θ、z軸からの角状変位、18:θのヒストグラムの均一性、20:θのヒストグラムのエントロピー、及び30:形状のランダム性を記述する平均S(θ)で番号付けされる。BCSと個々のパラメータ4,5,18及び20の間の関係は二次関係を持つように見えるので、二次関係を含めることを意図して二次のモデルを作った。
【0106】
線形モデル(モデル1)は個々の雌牛から独立して以下のように規定される:

式中、kは画像iのBCSであり、pniは第i番目の画像の第n番目のパラメータであり、cはモデル係数であり、Cは切片であり、それらは動物の数に対して手動的に決定されたBCS値に基づいて決定される。
【0107】
これらのパラメータの二次モデル(モデル2)は以下のように規定される:

式中、c′は二乗パラメータに対応するモデル係数である。両モデルに対してBCS値を予測するための未知の係数は、パラメータについて最小二乗法を適用することによって求められる。
【0108】
上のモデルは、モデルのBCSを熟練者によって作られた手動BCS決定と比較することによって較正及び再較正されることができる。
【0109】
あるいは、雌牛に対する身体の状態のスコアを決定するために統計的尺度を結合するために人工神経ネットワークが使用される。モデルは、既知の変動する身体の状態のスコアを有する雌牛からのデータセットを使用して、正確性及び精度を徐々に高めることができる。
【0110】
代替的な解剖学的特徴、特徴パラメータ、及び統計的尺度
図12は、本発明の装置の三次元カメラシステム51によってとられた雌牛の背中の正規化された三次元表面表現である。
【0111】
図13〜16は、本発明において使用されることができる正規化された三次元表面表現の表面の様々な解剖学的特徴及び特徴パラメータを示す。一般に、特徴パラメータは、身体の状態に敏感であり、飲食及び繁殖/乳汁分泌段階のような毎日の変化にあまり敏感でない三次元表面表現における特定の解剖学的特徴に対して、長さ、深さ、角度、距離などであることができる。他の特徴パラメータは種族、年齢、乳汁分泌工程などであってもよい。
【0112】
図13aは、一つの重要な解剖学的特徴、即ち雌牛の椎骨を示す。椎骨の鋭さは身体の状態のスコアの良好な指標であり、椎骨の鋭さを表す特徴パラメータは、図13bに示されるように、それらの頂部から距離Dの椎骨の幅、及び椎骨の傾斜アルファを含む。
【0113】
図14aは、他の解剖学的特徴、即ち鉤状骨を示す。特徴パラメータは、図14bに示されるように、鉤状骨の高さD、及び角度アルファ1とアルファ2を含む。
【0114】
図15aは、雌牛の短肋骨を示し、対応するパラメータは図15bに示されるように距離Dであることができる。
【0115】
図16は、最後に、尾根と無名骨の間の窩洞(cavities)を示す。対応するパラメータはこれらの窩洞の深さ及びサイズであることができる。
【0116】
図13〜16に示された特徴パラメータは、それぞれの特徴を含む三次元表面表現の一部分から計算される。任意選択的に、例えばこの明細書で既に開示したもののいずれかの統計的パラメータは、図13〜16に示される特徴パラメータのために計算されることができる。
【0117】
さらに、この明細書で既に記載した特徴パラメータは、図13〜16に示される解剖学的特徴のために使用されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物(50)の身体の状態のスコアを決定するための装置において、以下のものを含むことを特徴とする装置:
− 動物の方へ向けられかつ動物の少なくとも一つの三次元画像を記録するために与えられた三次元カメラシステム(51);及び
− 三次元カメラシステム(51)によって記録された三次元画像から動物の一部分の三次元表面表現を形成し、三次元表面表現の表面を統計的に分析し、三次元表面表現の統計的に分析された表面に基づいて動物の身体の状態のスコアを決定するために与えられ、かつ三次元カメラシステム(51)に接続された画像処理装置(52)。
【請求項2】
動物の前記少なくとも一つの三次元画像は動物の二次元画像を含み、二次元画像の各画素に対して、三次元カメラシステム(51)と撮像された物体点の間の距離が与えられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記統計的分析は三次元表面表現の表面の凹凸の分析を含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記統計的分析は三次元表面表現の表面勾配、表面法線、及び/又は表面の範囲もしくは深度値の統計的分析を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記統計的分析は三次元表面表現の表面の凹凸のスペクトル測定値の統計的分析を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記統計的分析は三次元表面表現の表面の表面曲率又はスピン画像の統計的分析を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記統計的分析は動物の椎骨の特徴パラメータの統計的分析を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記統計的分析は動物の鉤状骨の特徴パラメータの統計的分析を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記統計的分析は動物の肋骨の特徴パラメータの統計的分析を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記統計的分析は動物の尾根と無名骨の間の窩洞の特徴パラメータの統計的分析を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
動物の一部分は動物の背中及び/又は腰部の領域である、請求項1〜10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
動物の一部分は、動物の背中の領域よりずっと小さく、かつ動物の尾根の前にあって動物の臀部又は無名骨を含まないように十分に狭い領域を持つ、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記統計的分析は、三次元表面表現の表面の特徴パラメータのヒストグラムの統計的特性の計算を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記統計的特性は、平均値、標準偏差、平滑性、歪み、均一性、エントロピー、ヒストグラムの幅、最大値の半分の幅、及び/又はヒストグラムに適合した曲線のパラメータを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記画像処理装置(52)は、三次元表面表現を分析する前に動物の一部分の三次元表面表現を正規化するために与えられ、前記正規化の前に、動物の一部分の三次元表面表現において正規化のための制御点として作用する参照点を探すことが行われ、前記参照点は動物の尾根、無名骨、鉤状骨及び脊柱隆線のいずれかを含む、請求項1〜14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
動物の一部分の三次元表面表現は、参照点の位置に基づいた回転、並進、及びスケーリングによって正規化される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記画像処理装置(52)は、三次元表面表現を形成する前に三次元画像を処理するために与えられる、請求項1〜16のいずれかに記載の装置であって、前記三次元画像の処理は三次元画像のフィルタリングを含み、前記フィルタリングはそれらの強度値及び/又はそれらの距離情報に依存して画像データ点を除去することを含む、装置。
【請求項18】
前記三次元画像の処理は三次元画像のセグメント化を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記三次元カメラシステム(51)は、飛行時間距離カメラ又は能動波面サンプリングカメラのいずれかである、請求項1〜18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記三次元カメラシステム(51)は、動物(50)の上に、かつ任意選択的に後方に位置され、動物(50)の下方に、任意選択的に前方に、背中の方に向けられ、動物の背部及び後部から画像情報を与える、請求項1〜19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記三次元カメラシステム(51)は、動物の側部にかつ任意選択的に動物の上に位置され、側方にかつ任意選択的に下方に向けられ、無名骨と鉤状骨の間の領域を示す動物の側部/背部画像を与える、請求項1〜20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
動物識別装置と請求項1〜21のいずれかに記載の装置を与えられた、給餌、搾乳、又は休息ステーションのような動物装置。
【請求項23】
獣群管理システムと、獣群管理システムに動作可能に接続されかつ獣群管理システムに動物(50)の決定された身体の状態のスコアを供給するように与えられた請求項1〜21のいずれかに記載の装置とを含む動物装置。
【請求項24】
以下の工程を含むことを特徴とする、動物(50)の身体の状態のスコアを決定する方法:
− 三次元カメラシステム(51)を動物の方へ向け、動物の少なくとも一つの三次元画像を記録する;
− 三次元カメラシステム(51)によって記録された三次元画像から動物の一部分の三次元表面表現を形成する;
− 三次元表面表現の表面を統計的に分析する;そして
− 三次元表面表現の統計的に分析された表面に基づいて動物の身体の状態のスコアを決定する。
【請求項25】
動物の少なくとも一つの三次元画像は動物の二次元画像を含み、二次元画像の各画素に対して、三次元カメラシステム(51)と撮像された物体点の間の距離が与えられる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記統計的分析は、三次元表面表現の表面の特徴パラメータのヒストグラムの統計的特性の計算を含む、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
以下のものを含むことを特徴とする、動物(50)の身体の状態のスコアを決定するための装置:
− 動物の方へ向けられかつ動物の一部分の少なくとも一つの三次元画像を記録するために与えられた三次元カメラシステム(51);及び
− 三次元画像から三次元表面表現を形成し、三次元表面表現を正規化し、正規化された三次元表面表現の表面に基づいて動物の身体の状態のスコアを決定するために与えられ、かつ三次元カメラシステム(51)に接続された画像処理装置(52)。
【請求項28】
前記正規化の前に、動物の一部分の三次元表面表現において正規化のための制御点として作用する参照点を探すことが行われ、前記参照点は三次元表面表現において動物の脊柱隆線及び無名骨又は鉤状骨を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
動物の一部分の三次元表面表現は参照点の位置に基づいて回転、並進、及びスケーリングによって正規化され、その結果、脊柱隆線はデカルト座標系の第一軸と本質的に平行であり、無名骨又は鉤状骨の先端間の接続線はデカルト座標系の第一軸と本質的に平行であり、かつ三次元表面表現のスケーリングは無名骨又は鉤状骨の先端間の距離に依存してなされる、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
以下の工程を含むことを特徴とする、動物(50)の身体の状態のスコアを決定するための方法:
− 三次元カメラシステム(51)を動物の方へ向け、動物の一部分の少なくとも一つの三次元画像を記録する;
− 三次元画像から三次元表面表現を形成する;
− 回転、並進、及びスケーリングによって動物の一部分の三次元表面表現を正規化する;そして
− 正規化された三次元表面表現の表面に基づいて動物の身体の状態のスコアを決定する。
【請求項31】
以下のものを含むことを特徴とする、動物(50)の身体の状態のスコアを決定するための装置:
− 動物の方へ向けられかつ動物の一部分の少なくとも一つの三次元画像を記録するために与えられた三次元カメラシステム(51);及び
− 三次元画像から三次元表面表現を形成し、前記三次元表面表現において解剖学的特徴を認識し、認識された解剖学的特徴の特徴パラメータを計算し、三次元表面表現において認識された解剖学的特徴の計算された特徴パラメータに基づいて動物の身体の状態のスコアを決定するために与えられ、かつ三次元カメラシステム(51)に接続された画像処理装置(52)。
【請求項32】
以下の工程を含むことを特徴とする、動物(50)の身体の状態のスコアを決定するための方法:
− 三次元カメラシステム(51)を動物の方へ向け、動物の一部分の少なくとも一つの三次元画像を記録する;
− 三次元画像から三次元表面表現を形成する;
− 前記三次元表面表現において解剖学的特徴を認識する;
− 認識された解剖学的特徴の特徴パラメータを計算する;そして
− 三次元表面表現において認識された解剖学的特徴の計算された特徴パラメータに基づいて動物の身体の状態のスコアを決定する。

【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a−b】
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【図7】
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【図8a−b】
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【図9】
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【図12】
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【図13a−b】
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【図14a−b】
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【図15a−b】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−510278(P2012−510278A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538922(P2011−538922)
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064512
【国際公開番号】WO2010/063527
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(500215931)デラヴァル ホルディング アーベー (13)