説明

動物用自動給水ノズル及び動物用自動給水キャップ体

【課題】各種ペットボトルや空き瓶等を加工することなく、そのまま給水容器として使用することができる動物用自動給水ノズル及び動物用自動給水キャップ体の提供。
【解決手段】前端部に給水口部を有すると共に、後端部に入水口部を有するパイプ体と、当該パイプ体を貫通して挿置されたステム体と、当該ステム体の進出後退動によりパイプ体内の水の流通開閉が制御される弁体とを備えていることを特徴とする動物用自動給水ノズル;前記動物用自動給水ノズルを備えたキャップ体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラット、マウス、モルモット、ハムスター、ウサギ等の実験用動物あるいは愛玩用動物の飼育に用いられる動物用自動給水ノズル及び動物用自動給水キャップ体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動物用自動給水ノズルは、パイプ体の内部に、導水孔を有する弁体を装着すると共に、当該導水孔にステム体を上下・左右揺動自体に取り付けて構成されていた(例えば、特許文献1参照)ため、当該パイプ体は当該揺動スペースの確保上、大径(直径6〜12mm)かつ長い(長さ20〜70mm)ものとせざるを得ないと云う問題があった。その結果、斯かる従来の給水ノズルは常に専用の給水容器に装着使用されており、日常汎用されている各種ペットボトルや空き瓶等は、その口部に対応し得ず、何れも動物用給水容器として利用できなかったのが実状であった。
【特許文献1】特開2000−287572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の如き従来の問題と実状に鑑みてなされたもので、専用容器でなくとも、日常汎用されている各種ペットボトルや空き瓶等を、給水容器として利用可能ならしめる動物用自動給水ノズル及び動物用自動給水キャップ体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決すべく種々研究を重ねた結果、ステム体を上下・左右揺動せしめるのではなく、進出後退動せしめて弁体の開閉を制御する構造とすれば、極めて良い結果が得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、前端部に給水口部を有すると共に、後端部に入水口部を有するパイプ体と、当該パイプ体を貫通して挿置されたステム体と、当該ステム体の進出後退動によりパイプ体内の水の流通開閉が制御される弁体とを備えていることを特徴とする動物用自動給水ノズルにより上記課題を解決したものである。
【0006】
また、本発明は、前記動物用自動給水ノズルを備えたキャップ体から成ることを特徴とする動物用自動給水キャップ体により上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明動物用自動給水ノズルによれば、パイプ体を小径・短小化できるので、ペットボトルや空き瓶等の口部に対応し得る結果、当該ペットボトル等を給水容器として利用できる。特に、本発明動物用自動給水キャップ体を用いれば、ペットボトル等の各種容器を加工することなく、そのまま給水容器として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
【0009】
図1〜図2において、10は排液用空気導入具で、後述のキャップ体20に取り付けられている。この排液用空気導入具10は、図3に示すように、両端が開口した柔軟性チューブ11の一端に、貫通孔12aを有する浮き子12を、当該貫通孔12aと柔軟性チューブ11の中空部11aとが連通するように連結して構成されている。
【0010】
ここに、柔軟性チューブ11の材質としては、浮き子12が水面に移動できる柔軟性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば柔軟性に優れた天然ゴム、合成ゴム、合成樹脂等が好ましいものとして挙げられる。
【0011】
また、浮き子12の材質も水面に浮くものであれば、その如何を問わず、その形態も空気が流通する貫通孔12aを有するものであれば、球状、半球状、円錐体状、立方体状等、特に限定されない。
【0012】
斯かる排液用空気導入具により、常に液面上に浮き子12の貫通孔12aが開口した状態となるので、給水容器50の正立、倒立等の状態の如何に拘らず、当該容器50内に排液用の空気が導入され、空気圧が調整されるので、スムースな排液が可能となる。
【0013】
また、20は、給水容器50の口部に螺合や弾性嵌合等により着脱自在に取り付けられるキャップ体で、空気流通孔部30と動物用自動給水ノズル40とを備えている。尚、キャップ体20の材質も特に制限されず、例えば合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム等が挙げられるが、ゴム製キャップ体とするのが、給水容器50の口部径に多少のバラツキがあっても弾性により被冠装着し得るので有利である。
【0014】
ここに空気流通孔部30は、単なる貫通孔であっても良いが、図4に示すように、少なくとも給水容器50側に突出筒部31を形設し、当該突出筒部31に、排液用空気導入具10の柔軟性チューブ体11の他端(浮き子12の存在しない端部)を着脱自在に嵌合するのが好ましい。
【0015】
また、動物用自動給水ノズル40は、前端部(動物側)に給水口部41aを有すると共に、後端部に入水口部41bを有するパイプ体41と、当該パイプ体41を貫通して挿置されたステム体43と、当該ステム体43の進出後退動によりパイプ体41内の水の流通開閉が制御される弁体42とを備えている。
【0016】
より詳細には図4に示されているように、前端部(動物側)に給水口部41aを有すると共に、後端部(給水容器側)に入水口部41bを有するパイプ体41の内部に、導水孔42aを有する弁体42を装着し、かつ当該弁体42の導水孔42aを、大径部43aを有するステム体43で貫通閉塞せしめ、当該ステム体43の先部を給水口部41a外に若干突出させると共に、当該弁体42より給水口部41a側でパイプ体41の内部に存在するステム体43外周部に、当該ステム体43の進出後退動を制御するスプリング44を、脱落不能に巻回装着したものが好ましい。因に、スプリング44がパイプ体41外に脱落するのを防止する方法としては、例えばパイプ体41の内壁に形設した段差部とステム体43の大径部43a間に装着する方法等が挙げられる。
【0017】
ここにステム体43の大径部43aとしては、弁体42から給水口部41aに向って錐体状に徐々に大径となっているものが、弁体42の導水孔42aの開閉制御性の点でより望ましい。
【0018】
斯かる実施の形態によれば、格別加工が施されていないペットボトル等の給水容器50に水を充填した後、その口部に本発明のキャップ体を取り付けることにより、動物用自動給水装置が得られる(図1参照)。次いで、これを使用する際には、上下反転する(図2参照)が、浮き子12が自然と水面上に移動するので、空気が空気流通孔部30、柔軟性チューブ11の中空部11a、浮き子12の貫通孔12aを経て、給水容器50の内部に導入される。
【0019】
また、その状態では図4(1)に示す如く、スプリング44の伸張力により弁体42の導水孔42aがステム体43の大径部43aによって閉塞されているので水が排出することはない。
【0020】
他方、動物がステム体43を咥えて引くと、図4(2)に示す如く、スプリング44が収縮し、弁体42の導水孔42aが開放されるので、水が給水口部41aから排出される。
【0021】
次いで、動物がステム体43を口から離すとスプリング44の復元力により、図4(1)に示す如く、弁体42の導水孔42aが再び閉塞された状態となる。
【0022】
動物がステム体43を咥えて引いたときに水が排出する構造としては、図4に示す構造の外、図5に示す如く、パイプ体41の内部に存在するステム体43外周部に、パイプ体41の入水口部41bを開閉する弁体42を取り付けると共に、当該弁体42より給水口部41a側でパイプ体41内部に存在するステム体43外周部に、スプリング44を巻回装着したものであっても良く、あるいはまた、図6に示す如く、パイプ体41の内部に存在するステム体43外周部に、パイプ体41の入水口部41bを開閉する弁体42を取り付けると共に、当該弁体42より入水口部41b側でパイプ体41外に突出しているステム体43外周部に、適宜ストッパー45を介してスプリング44を巻回装着したものであっても良い。
【0023】
また、図4〜図5とは逆に、動物がステム体43を舐めて押したときに排水する構造としては、図7に示す如く、図4におけるスプリング44を弁体42より給水口41a側ではなく、当該弁体42より入水口部41b側でパイプ体41の内部に存在するステム体43外周部に、スプリング44を巻回装着したもの、あるいはまた、図8に示す如く、パイプ体41の側壁に導水孔41cを形設し、かつステム体43外周部に当該導水孔41cを開閉する弁体42を取り付けると共に、当該弁体42より入水口部41b側でパイプ体41の内部に存在するステム体43外周部に、スプリング44を巻回装着したものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明動物用自動給水キャップ体を給水容器に取り付けた状態を示す概略切断端面図。
【図2】図1の給水容器を倒立せしめた状態の概略切断端面図。
【図3】本発明に用いられる排液用空気導入具の概略切断端面図。
【図4】本発明キャップ体の作動を示す概略切断端面図。
【図5】本発明動物用自動給水ノズルの第2の構造例を示す概略切断端面図。
【図6】本発明動物用自動給水ノズルの第3の構造例を示す概略切断端面図。
【図7】本発明動物用自動給水ノズルの第4の構造例を示す概略切断端面図。
【図8】本発明動物用自動給水ノズルの第5の構造例を示す概略切断端面図。
【符号の説明】
【0025】
10:排液用空気導入具
11:柔軟性チューブ
11a:中空部
12:浮き子
12a:貫通孔
20:キャップ体
30:空気流通孔部
31:突出筒部
40:動物用自動給水ノズル
41:パイプ体
41a:給水口部
41b:入水口部
41c:導水孔
42:弁体
42a:導水孔
43:ステム体
43a:大径部
44:スプリング
45:ストッパー
50:給水容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部に給水口部を有すると共に、後端部に入水口部を有するパイプ体と、当該パイプ体を貫通して挿置されたステム体と、当該ステム体の進出後退動によりパイプ体内の水の流通開閉が制御される弁体とを備えていることを特徴とする動物用自動給水ノズル。
【請求項2】
前記ステム体が、進出後退動を制御するスプリングを備えていることを特徴とする請求項1記載の動物用自動給水ノズル。
【請求項3】
前記パイプ体の内壁に、導水孔を有する弁体が装着され、かつ当該弁体の導水孔が、大径部を有するステム体で貫通閉塞されていると共に、当該弁体より給水口部側又は当該弁体より入水口部側でパイプ体の内部に存在するステム体外周部に、スプリングが巻回装着されていることを特徴とする請求項2記載の動物用自動給水ノズル。
【請求項4】
前記パイプ体の内部に存在するステム体外周部に、パイプ体の入水口部を開閉する弁体が取り付けられていると共に、当該弁体より給水口部側でパイプ体内部に存在するステム体外周部又は当該弁体より入水口部側でパイプ体外に突出しているステム体外周部に、スプリングが巻回装着されていることを特徴とする請求項2記載の動物用自動給水ノズル。
【請求項5】
前記パイプ体の側壁に導水孔が形設され、かつステム体の外周部に当該導水孔を開閉する弁体が取り付けられていると共に、当該弁体より入水口部側でパイプ体の内部に存在するステム体外周部に、スプリングが巻回装着されていることを特徴とする請求項2記載の動物用自動給水ノズル。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項記載の動物用自動給水ノズルを備えたキャップ体から成ることを特徴とする動物用自動給水キャップ体。
【請求項7】
前記キャップ体が、空気流通孔部を備えていることを特徴とする請求項6記載の動物用自動給水キャップ体。
【請求項8】
両端が開口した柔軟性チューブの一端に、貫通孔を有する浮き子を、当該貫通孔と柔軟性チューブの中空部とが連通するように連結せしめて成る排液用空気導入具が、前記空気流通孔部に連結されていることを特徴とする請求項7記載の動物用自動給水キャップ体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−100654(P2009−100654A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273325(P2007−273325)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(390025771)
【Fターム(参考)】