説明

動物飼料組成物及び飼料供給方法

本発明は、動物飼料組成物に関する。本発明は、本発明の化合物を含む組成物、及び、動物の飼料効率を高め、最適化する方法におけるそのような組成物の使用も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2009年4月21日に出願された米国仮出願第61/214,301号の便益を主張する。同仮出願の全内容は、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、動物飼料組成物に関する。本発明は、その上、本発明の化合物を含む組成物、及び、動物への飼料効率を高め、最適化する方法におけるそのような組成物の使用も提供する。
【背景技術】
【0003】
牛、鶏、及び豚等の家畜は、幾つかのあまり高価でない食糧を与えられる。草を食み、低質の飼料を食べる動物は、細菌、原虫、酵母、ウイルス及び寄生虫で汚染された食餌に曝される場合がある。動物は、それらの消化管の健常性に依存しており、反芻動物は、特に、反芻胃の微生物相が最適に機能することに依存している。
【0004】
反芻胃の微生物相は、様々な微生物から構成される複雑系であり、多くの場合、細菌と原虫の構成が関心の対象となる。グラム陰性細菌は、食料及びエネルギーの取り込みに有益であると考えられることが多いが、一部のグラム陽性細菌及び原虫は、食料及びエネルギーの取り込みを低下させることがあり、反芻胃の機能を乱すことがある。
【0005】
動物の消化管内の微生物が高レベルであることにより、食料の取り込み効率が低下し、動物が病気になり、死ぬことさえあり得る。飼料を非効率に利用することにより、動物廃物の生成が増し、環境に不利な影響を与える。反芻動物には、消化管内の微生物相を制御する対策を目標にすることが多いが、馬と他の動物園の動物も、細菌と原虫感染のために消化障害を被る。
【0006】
動物飼料内の抗生物質は、動物の成長に不利な影響を与える細菌と原虫を殺すことができるが、抗生物質の過度の使用により、微生物相が不利に変質又は破壊されて、動物が病気になり、場合によっては死に至る場合がある。従って、抗生物質は、利用されなければならない場合、低いレベルで利用して、消化管内の有害な細菌の密度を制御することが多い。
【0007】
イオノフォアは、動物飼料に通常利用される抗生物質のクラスである。イオノフォアは、生物膜を通過するようにイオンを輸送する分子である。イオノフォアは、その分子全体にわたって、幾つかの酸素原子が配置され得る。酸素原子の配置により、陽イオンを捕獲し得る空洞が作り出される。イオノフォアには、陽イオンの捕獲と、細菌細胞膜との相互作用を強化する極性領域と非極性領域がある。イオノフォアは、グラム陽性細菌と原虫に対して有効であるが、一般に、グラム陰性細菌には無害である。微生物の密度を制御し、微生物を選択的に抑制する(又は殺す)ことにより動物消化管内を整えることで、動物の飼料効率、並びに健康状態及び良好状態を向上させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多くの人々が、「自然の」肉及び家禽肉製品を購入し、消費することができることを望んでいる。ヨーロッパでは、非有機の肉及び家禽肉製品の販売、使用、及び輸入が著しく規制されている。抗生物質を含む肉及び家禽肉製品は、自然又は有機製品と考えられていない。自然又は有機食品の市場が成長するにつれて、抗生物質に代わるものを創出することが強く要望されている。農業経済及び環境の観点からも重要なことは、飼料の利用を増加させ、動物の健康状態を改善し、メタン及びアンモニアの排出を削減することである。従って、消費者と生産者の両方の観点から望ましいのは、動物の効率を高め、最適化するために、通常の農業の実践(例えば、抗生物質の利用等)に対して新たな代替の手法を作り出すことである。過去のこれらの制限及び問題は、本発明により解決される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ホップ酸化合物、前記化合物を含む組成物、並びに、前記化合物及び前記化合組成物を利用する方法に関する。化合物及びそれらの化合物を含む組成物は、動物の飼料効率を高め、最適化するのに有用であり、動物内の消化系微生物相により介在されるもの、又は、その消化系微生物相に関連するものを含む。家畜が飼料から食品及びエネルギーを取り込むことを向上させるために、家畜飼料とホップ酸を混合することにより経口摂取用のホップ酸を動物に与えることを含む、ホップ酸を利用する方法が記載される。特に、本発明は、抗生物質(例えば、イオノフォア抗生物質、マクロライド系抗生物質)に代えて、ホップ酸を含有する動物飼料を使用することを目指す。
【0010】
本発明は、ホップ酸化合物を与えることにより、上に説明された問題を解決することを含む。ホップ植物であるフムラス・ルプラスは、アルファ酸(フムロン)及びベータ酸(ルプロン)として知られている有機酸である。これらのホップ酸として、アルファ酸とベータ酸に限定されずに、それらの異性化形態、異性化/還元形態、水素添加形態、異性化/水素添加形態、酸化形態、同様に、いずれかの塩形態が挙げられる。ベータ酸として、ルプロン、コルプロン、アドルプロン、プレルプロン並びに他の類似物が挙げられる。アルファ酸として、フムロン、コフムロン、アドフムロン、ポストフムロン、及びプレフムロン並びに他の類似物が挙げられる。これらは、幾つかの側鎖、ケトン基及びアルコール基を有する複雑な六方晶分子から構成されている。各々の異なるフムロンは、側鎖の構成が異なる。アルファ酸は、熱に曝される際に異性化し、イソアルファ酸を形成することで知らされている。イソアルファ酸類並びにその還元及び/又は水素添加形態、つまり、ローイソアルファ酸類、テトラヒドロイソアルファ酸類及びヘキサヒドロイソアルファ酸類は、ビールを味付けするのに通常利用されるホップ酸である。
【0011】
本発明の化合物及びそれらの化合物を含む組成物は、化合物又はそれらの化合物を含む組成物を被験体動物に投与することにより、動物内の飼料効率を高め、最適化するのに有効である。その効率は、動物の消化系(例えば、反芻動物の反芻胃)内のpHレベルを処方された範囲内に注意深く維持することにより向上することが確認されている。一態様では、飼料組成物は、添加窒素源要素を含まない。一態様では、添加窒素源要素は、尿素であり得る。
【0012】
一態様では、動物に飼料を供給する方法は、飼料供給直後の時間から飼料供給後24時間までの動物内の消化液のpHが、約5〜8の範囲(pH5〜7;pH5〜6)内に維持される、有効量のホップ酸を有する組成物を動物に投与することを含む。
【0013】
別の態様では、動物に飼料を供給する方法は、飼料供給直後の時間から飼料供給後24時間まで採取された動物内の消化液試料のpHが、約5〜7の範囲(pH5〜7;pH5〜6)内に維持される、有効量のホップ酸を有する組成物を動物に投与することを含む。ある実施形態では、pHは、約5〜6の範囲である。他の実施形態では、pHは、約5.2〜約7の範囲である。
【0014】
ある実施形態では、ホップ酸は、ホップベータ酸である。
【0015】
他の実施形態では、動物に投与されるホップ酸の量は、0.1〜1000mg/日である。ある実施形態では、動物に投与されるホップ酸の量は、1〜300mg/日である。
【0016】
様々な実施形態では、動物は、反芻動物である。ある実施形態では、動物は、牛、馬、反芻動物、哺乳動物、食料生産動物等である。
【0017】
別の態様は、有効量のホップ酸を有する組成物を動物に投与することを含む、動物に飼料を供給する方法であり、飼料供給開始直後の時間から飼料供給後24時間までの動物内の消化(例えば、反芻胃)液中の以下のものの濃度は、以下の1つ以上である。酢酸塩は、約30〜50mMの範囲内に維持される。プロピオン酸塩は、20〜45mMの範囲内に維持される。酪酸塩は、6〜13mMの範囲内に維持される。イソ酪酸塩は、約0.1〜1.1mMの範囲内に維持される。吉草酸塩は、約2〜4mMの範囲内に維持される。イソ吉草酸塩は、約1.5〜2.5mMの範囲内に維持される。酢酸塩対プロピオン酸塩の濃度比は、約0.75〜2.95の範囲内に維持される。全揮発性脂肪酸(VFA)は、約70〜110mMの範囲内に維持される。アンモニアは、約2〜8mMの範囲内に維持される。乳酸塩の濃度は、約0〜2mMの範囲内に維持される。
【0018】
別の態様は、有効量のホップ酸を有する組成物を動物に投与することを含む、動物に飼料を供給する方法であり、飼料供給開始直後の時間から飼料供給後24時間までの動物内の消化(例えば、反芻胃)液の以下のものの濃度は、以下の1つ以上である。酢酸塩は、約30〜50mMの範囲内に維持され、プロピオン酸塩は、20〜45mMの範囲内に維持され、酪酸塩は、6〜13mMの範囲内に維持され、イソ酪酸塩は、約0.5〜1.1mMの範囲内に維持され、吉草酸塩は、約2〜4mMの範囲内に維持され、イソ吉草酸塩は、約1.5〜2.5mMの範囲内に維持され、酢酸塩対プロピオン酸塩の濃度比は、約1.25〜2.00の範囲内に維持され、全揮発性脂肪酸(VFA)は、約70〜110mMの範囲内に維持され、アンモニアは、約2〜8mMの範囲内に維持され、乳酸塩の濃度は、約0〜2mMの範囲内に維持される。
【0019】
ある実施形態では、本発明は、飼料組成物が添加窒素源成分を含まない方法を提供する。
【0020】
他の実施形態では、本発明は、飼料が窒素源成分を含む方法を提供する。ある実施形態では、その成分は、尿素である。
【0021】
様々な実施形態では、本発明は、動物を監視する方法を提供する。別の実施形態では、動物は、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、吉草酸塩、イソ吉草酸塩、酢酸塩対プロピオン酸塩濃度、全揮発性脂肪酸(VFA)、アンモニア、又は乳酸塩のうちの1つ以上の反芻胃液濃度レベルが監視される。ある実施形態では、本発明は、動物のメタン、硫化水素又は尿素の排出レベルを監視する方法を提供する。そのような監視は、監督機関基準の準拠に従っている。
【0022】
家畜に飼料を与えるための自然添加物としてホップ酸を利用する方法が記載され、その方法は、家畜飼料とホップ酸を混合することにより、経口摂取のためのホップ酸を提供することを含む。酸類は、家畜の消化系内の動物細菌及び細菌副産物(炭化水素最終産物)のレベルを制御する量で、飼料と混合される。記載される組成物及び方法により、ポリエーテルイオノフォア化合物のない家畜を生産することができる。他の態様では、動物に投与されるホップ酸の量は、0.1〜100mg/日、0.1〜200mg/日、0.1〜300mg/日、50〜200mg/日、80〜160mg/日、125〜175mg/日(境界値を含む)である。他の態様では、動物に投与されるホップ酸の量は、0.1〜900mg/日の数の下限と、1〜1000mg/日の数の上限との間のいずれかの範囲(境界値を含む)である。
【0023】
別の態様では、本発明は、その必要に応じて被験体内の飼料効率を高め、最適化する方法に関し、有効量の本発明の化合物、若しくは、それらの許容される塩、溶媒和化合物又は水和物(或いは、それらの組成物)を被験体に投与することを含む。飼料効率は、いずれかの動物消化系の微生物相により調節することができ、その微生物相は、本明細書に具体的に記述される微生物相を含む。動物消化系の微生物相は、植物繊維又は他の飼料材料(例えば、ムラサキウマゴヤシ、大麦、トウモロコシ、草、燕麦、ライ麦、大豆、藁、小麦等)を分解するものであり得る。動物消化系の微生物相は、水素及び二酸化炭素最終産物を産出する他の消化細菌及び原虫と共生しているメタン生成細菌であり得る。
【0024】
本明細書の組成物及び方法は、動物飼料効率を向上又は増加させること、飼料中の添加窒素源材料を削減すること、窒素の取り込み/利用を向上させること、動物によるアンモニア廃液の生成を削減すること、動物によるメタン生成を削減すること、畜産での廃物/廃物処理費用を削減すること、動物を飼育する際の環境基準を改善すること、及び、一般に安全と見なされる(GRAS)基準飼料/飼料供給方法を含む、数多くの利便性を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
用語「ホップ酸」は、アルファ酸(フムロン)及びベータ酸(ルプロン)として知られている有機酸を含む。これらのホップ酸として、アルファ酸及びベータ酸に限定されずに、それらの異性化形態、異性化/還元形態、水素添加形態、異性化/水素添加形態、酸化形態、同様に、水溶液中の塩形態を含むいずれかの塩形形態も挙げられる。
【0026】
ベータ酸として、ルプロン、コルプロン、アドルプロン、プレルプロン並びに他の類似物が挙げられる。
【0027】
アルファ酸として、フムロン、コフムロン、アドフムロン、ポストフムロン、及びプレルプロン、並びに他の類似物が挙げられる。
【0028】
本発明で利用されるホップ酸類及びホップ酸塩類として、アルファホップ(商標)、ベータスタブ(商標)、イソホップ(商標)、ヘキサホップゴールド(商標)、レジホップ(商標)、テトラホップ(商標)、及びテトラホップゴールド(商標)を含む市販の製品が挙げられるが、これらに限定されない。そのような組成物として、対応するホップ酸のカリウム塩のアルカリ水溶液が挙げられる。それらの組成物は、当業者に知られている。
【0029】
用語「モネンシン」及び「ルメンシン」は、本明細書で交換可能に利用され、ポリエーテルイオノフォア抗生物質類に属する化合物を指す。化学名は、4−[2−[5−エチル−5−[5−[6−ヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)−3,5−ジメチル−オキサン−2−イル]−3−メチル−オキソラン−2−イル]オキソラン−2−イル]−9−ヒドロキシ−2,8−ジメチル−1,6−ジオキサスピロ[4.5]デック−7−イル]−3−メトキシ−2−メチル−ペンタン酸である。
【0030】
用語「反芻動物」は、最初に、植物由来の食べ物を動物の第1胃の中で軟らかくし、次に、食い戻しとして知られている半分消化された塊を吐き戻し、それを再び噛むことにより消化する偶蹄類の哺乳類を指す。食い戻しを、更に破砕された植物物質に再び噛み、消化を促すプロセスは、「反芻」と呼ばれている。反芻動物として、牛、山羊、羊、キリン、野牛、ヤク、水牛、鹿、駱駝、アルパカ、ラマ、ヌー、羚羊、プロングホーン、及びニルガイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
用語「反芻胃」は、細網反芻胃の大部分を形成し、反芻動物の消化管の第1室である。それは、消化された飼料を微生物で発酵する第1部位として働く。
【0032】
用語「反芻胃の健康状態」は、飼料から栄養分を抽出するのに利用される反芻胃内の微生物相又は細菌の均衡を指す。様々な動物飼料は、澱粉及び/又は糖質が高く、微生物が増殖(例えば、乳酸菌の増殖)し、続いて、乳酸塩/乳酸の生成が増加するので、反芻胃の健康状態を低下させる。
【0033】
用語「牛」は、本明細書で、生物学的に牛亜科を指し、家畜牛、野牛、アフリカバファロー、水牛、ヤク、及び4つの角及び螺旋角を有する羚羊を含む10属の中型及び大型の有蹄動物の様々な群を含む。一般的な特徴として、分趾蹄が挙げられ、通常、種の両性の少なくとも一方が、真の角を有する。
【0034】
本開示では、「包含する」、「包含している」、「含有する」及び「有する」等は、米国特許法にそれらについて述べられる意味を有し、「含む」、「含んでいる」等を意味し得る。「主に構成されている」又は「主に構成される」等は、米国特許法に述べられる意味を有し、その用語は、拡張可能であり、詳述される基本的な又は新規の特徴が、詳述されるもの以上の存在により変わらないが、従来技術の実施形態を排除する限り、詳述されるもの以上の存在を許容する。
【0035】
用語「化合物」は、本明細書で用いられる場合、本明細書の化合物の塩、プロドラッグ、及びプロドラッグ塩も含むように意図されている。その用語は、いずれかの上記のもののいずれかの溶媒和化合物、水和物、及び多形体も含む。本出願に記載される本発明の幾つかの態様において「プロドラッグ」、「プロドラッグ塩」、「溶媒和化合物」、「水和物」、又は「多形体」が具体的に詳述されていることで、これらの他の形態を詳述せずに用語「化合物」が利用される本発明の他の形態において、これらの形態が意図的に省略されていると解釈されるべきではない。
【0036】
本発明の化合物の塩は、酸と、アミノ官能基等のその化合物の塩基性基との間に、又は、塩基と、カルボキシ官能基等のその化合物の酸性基との間に形成される。別の好ましい実施形態によれば、化合物は、動物に飼料を供給するのに許容される酸性添加塩である。
【0037】
本明細書で用いられ、特に指示のない限り、用語「誘導体」は、水素化、酸化、又はほかの何らかの形で生体条件下で反応し、本発明の化合物を与えることができる、構造的に関連のある化合物を意味する。誘導体類は、生体条件下でのそのような反応後にのみ活性になり得る、又は、それらの未反応形態で活性を有し得る。本発明で考慮される誘導体類の実例として、アミド類、エステル類、カルバミン酸塩類、炭酸塩類、及び燐酸塩類似体等の生分解性部分を含む、本明細書で開示される類似化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書で用いられ、特に指示のない限り、用語「生分解性部分」は、1)化合物の生体活動を破壊せず、取り込み、活性期間、又は活性開始等の生体内で有利な特性をその化合物に与える、又は、2)それ自体では生体的に不活性であるが、生体内で生体的に活性の化合物に変換される官能基(例えば、アミド、エステル、カルバミン酸塩、炭酸塩、又は燐酸塩類似体)を意味する。
【0039】
誘導体塩は、酸と、アミノ官能基等のその誘導体の塩基性基との間に、又は、塩基と、カルボキシル官能基等のその誘導体の酸性基との間に形成される化合物である。一実施形態では、誘導体塩は、動物に飼料を供給するのに許容される塩である。
【0040】
「動物に飼料を供給するのに許容される塩」は、受容体への投与後に本発明の化合物又は化合物の誘導体を直接又は間接的に与える能力のある、いずれかの無毒の塩を意味する。
【0041】
許容される塩類を形成するのに通常利用される酸として、硫化水素、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸及び燐酸等の無機酸類、並びに、パラトルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、重酒石酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、蟻酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、蓚酸、パラブロモフェニルスルホン酸、炭酸、琥珀酸、クエン酸、安息香酸及び酢酸等の有機酸類、及び、関連する無機酸類及び有機酸類が挙げられる。従って、そのような動物に飼料を供給するのに許容される塩類として、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、燐酸塩、燐酸一水素塩、燐酸二水素塩、メタ燐酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、沃化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、蟻酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、蓚酸塩、マロン酸塩、琥珀酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩、及び類似の塩類が挙げられる。好ましい、動物飼料に許容される酸性添加塩類として、塩酸及び臭化水素酸等の鉱酸類で形成されるもの、特に、マレイン酸等の有機酸で形成されるものが挙げられる。
【0042】
本発明のプロドラッグの酸性官能基と共に、動物飼料に許容される塩類を形成するのに適切な塩基類は、ナトリウム、カリウム、及びリチウム等のアルカリ金属類の水酸化物類、カルシウム及びマグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物類、アルミニウム及び亜鉛等の他の金属の水酸化物類、鉄、銅等の金属類又は一価又は二価の陽イオン種を形成し得る任意の金属、アンモニア或いは未置換又は水酸基置換モノ、ジ、若しくはトリアルキルアミン類等の有機アミン類、ジシクロヘキシルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N−メチル,N−エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−、ビス−、又はトリス−(2−ヒドロキシ)アミン、2−ヒドロキシ−第三級ブチルアミン、又はトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン等のモノ−、ビス−、又はトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン類)、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−アミン又はトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン等のN,N,−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン類、N−メチル−D−グルカミン、アルギニン、リジン等のアミノ酸類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
用語「水和物」は、本明細書で利用される場合、非共有結合性の分子間力により束縛された定比量又は不定比量の水を更に含む化合物を意味する。
【0044】
用語「溶媒和化合物」は、本明細書で用いられる場合、非共有結合性の分子間力により束縛される水、アセトン、エタノール、メタノール、ジクロロメタン、2−プロパノール等の定比量又は不定比量の溶媒和化合物を更に含む化合物を意味する。
【0045】
用語「多形体」は、本明細書で用いられる場合、例えば、X線粉末回折パターン又は赤外線分光法等の物理的手段により特徴付けられ得る、化合物又はその錯体の固体結晶形態を意味する。同じ化合物の異なる多形体は、異なる物理的、化学的及び/又は分光的特性を示す。異なる物理的特性として、(例えば、熱、光又は湿気に対する)安定性、圧縮性及び密度(調合及び製品製造に重要である)、吸湿性、可溶性、溶出速度(生体利用能に影響を与え得る)が挙げられるが、これらに限定されない。安定性の違いは、化学反応の変化(例えば、一方の多形体で構成される剤形が、他方の多形体で構成される剤形よりも速く色褪せる等の示差的な酸化)、機械的特性(例えば、動力学的に有利な多形体が、より熱力学的に安定な多形体に変換される際に、錠剤が、蓄積場所で砕ける)、又は、それらの両方(例えば、1つの多形体の錠剤が、高い湿度でより分解し易い)に由来し得る。多形体の異なる物理的特性は、それらの処理に影響を与え得る。例えば、一方の多形体は、例えば、その粒子の形状又は粒径分布のために他方の多形体よりも、溶媒和化合物を形成し易い場合も、不純物を濾過又は脱洗し難い場合もある。
【0046】
用語「安定な化合物」は、本明細書で用いられる場合、製造を可能にするのに十分な安定性を有し、本明細書に詳しく述べられる目的(例えば、飼料製品への調合、飼料化合物の生成に利用される中間体、単離可能な又は蓄積可能な中間体化合物)のために、十分な時間期間にわたり化合物の無欠性を維持する化合物を指す。
【0047】
「立体異性体」は、鏡像異性体とジアステレオマーの両方を指す。
【0048】
本明細書で変異体のいずれかの定義において化学基の一覧表を詳述することは、いずれかの単一の塩基として、又は、列挙される塩基の組み合わせとして、その変異体を定めることを含む。本明細書で変異体の実施形態を詳述することは、いずれかの単一の実施形態としての、又は、他の実施形態若しくはその一部分と組み合わせての、その実施形態を含む。
【0049】
本発明の化合物は、1つ以上の非対称な中心を含み、従って、ラセミ化合物及びラセミ混合物、単一の鏡像異性体、個別のジアステレオマー、及びジアステレオマー混合物として生じ得る。これらの化合物のそのような異性体形状の全ては、明確に本発明に含まれる。本発明の化合物は、複数の互変異性形態でも表され得る。そのような事例では、本発明は、本明細書に記載される化合物の互変異性形態の全てを明確に含む。そのような化合物の全てのそのような異性体形態は、明確に本発明に含まれる。本明細書に記載される結晶形態の全ては、明確に本発明に含まれる。
【0050】
本明細書で記載される化合物は、販売元から容易に入手することができる、又は、当該分野の合成化学者により容易に生成することができる。本発明の化合物及びそれらの合成前駆体を合成する追加の方法は、当該分野の化学者の手中にある。適用可能な化合物を合成するのに有効な合成化学変換及び塩基保護方法(保護及び脱保護)は、従来技術で知られており、例えば、R.ラロック、包括的有機変換、VCH出版(1989年)、T.W.グリーン及びP.G.M.ウッツ、有機合成の保護基、第3版、ジョン・ワイリーアンドサンズ(1999年)、L.フィーザー及びM.フィーザー、有機合成用フィーザー及びフィーザー試薬、ジョン・ワイリーアンドサンズ(1994年)、及びL.パケット編集、有機合成用試薬百科事典、ジョン・ワイリーアンドサンズ(1995年)及びその後続の版に記載されるものを含む。
【0051】
本発明により検討される置換基と変異体の組み合わせは、安定な化合物が形成されることになる組み合わせのみである。
【0052】
本発明は、本明細書の有効量の化合物(例えば、アルファホップ又はベータホップ、あるいはそれらの塩類)、又は、適用可能な場合、動物飼料に許容される前記化合物の塩、溶媒和化合物、水和物、多形体又はプロドラッグ、及び許容される担体を含む組成物も提供する。好ましくは、本発明の組成物は、動物飼料に利用されるように調合され(「飼料組成物」)、担体は、動物飼料に許容される担体である。担体は、調合物の他の成分と融和する意味で「許容され」なければならず、動物飼料に許容される担体の場合、薬物に通常利用される量で、その受容体に有害であってはならない。
【0053】
本発明の動物飼料組成物に利用され得る動物飼料に許容される担体、補強剤及び媒体として、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミン等の血清蛋白質類、燐酸塩等の緩衝物質類、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸類の部分的グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン等の塩類又は電解質類、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩類、コロイド状シリカ、三珪酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩類、鑞類、ポリエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロック重合体類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及び羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書でのホップ酸組成物に有用な他の食品材料又は食品等級材料として、糖蜜、蜂蜜、及び他の被膜材料が挙げられる。
【0054】
そのような分取方法として、1つ以上の付属成分を構成する担体等の成分を投与されるべき分子と結合させる工程が挙げられる。一般に、組成物は、液体担体、リポソーム又は細分割された固体担体、若しくは、それらの両方と、活性成分を均一に且つ密接に結合させることにより調整され、次に、必要な場合、製品を形作る。
【0055】
幾つかの好ましい実施形態では、化合物は、経口投与される。経口投与に適した本発明の組成物は、既定量の活性成分を含むカプセル、小袋又は錠剤等の個別の単位として、粉末又は顆粒として、水性液体或いは非水性液体中の溶液又は懸濁液として、若しくは、水中油型液体乳剤又は油中水型液体乳剤として与えられる、又は、リポソーム内に、及び、巨丸剤等として梱包される。
【0056】
別の実施形態では、本発明の組成物は、第2の動物飼料を更に含む。第2の治療剤として、本発明のホップ酸化合物と共に投与される際に有利な特性があることで知られている又はその特性を表す、いずれかの化合物又は飼料が挙げられる。好ましくは、第2の治療剤は、選択される被験体の疾病又は容態の治療又は予防に有用な薬剤、例えば、治療剤、栄養剤、飼料効率向上剤である。
【0057】
本発明の動物飼料組成物では、本発明の化合物は、有効量で存在する。用語「有効量」は、本明細書で用いられる場合、適切な投与内容で投与される際に、飼料効率向上効果を表すのに十分な量を指す。
処置方法
【0058】
一態様では、本発明は、反芻胃のpHを調節する量のホップ酸を経口投与することにより、反芻動物の所望の効率を高める方法を提供する。反芻動物に投与されるのは、ポリエーテルイオノフォア化合物又はマクロイド系抗生物質を含まない動物飼料である。
【0059】
第2の態様では、本発明は、反芻胃のpHを調節する量のホップ酸を経口投与することにより、反芻動物群の生存率を向上させる方法を提供する。生存率は、反芻胃のpHを調節する量のホップ酸を含まない動物飼料を供給される反芻動物群に関連する。
【0060】
本発明は、反芻胃のpHを調節する量のホップ酸を経口投与することにより、反芻動物群の健康状態及び機能を向上させる方法を提供する。その反芻胃の健康状態及び機能は、反芻胃のpHを調節する量のホップ酸を含まない動物飼料を供給される反芻動物群に拮抗する。
【0061】
第3の態様では、本発明は、動物飼料を含むポリエーテルイオノフォア抗生物質又はマクロライド系抗生物質が投与されていた反芻動物の所望の効率を高める方法を提供し、その方法は、ポリエーテルイオノフォア抗生物質又はマクロライド系抗生物質の投与を中断し、ホップ酸を含有する動物飼料を投与する工程を含む。
【0062】
ある実施形態では、反芻動物の食餌中のホップ酸の経口投与は、飼料配合、飼料の補充、飼料の配給、水の配給、鉱物なめ、及び/又は巨丸剤を含む。
【0063】
様々な実施形態では、ホップ酸は、ホップ又はホップ源から誘導されるか、若しくは合成的に生成される。
【0064】
一実施形態では、ホップ酸は、ホップβ酸又はその塩である。別の実施形態では、ホップβ酸は、ルプロン、コルプロン、アドルプロン、ヘキサヒドロルプロン、ヘキサヒドロコルプロン、ヘキサヒドロアドルプロン、又はフルポン、若しくは、それらの塩類である。
【0065】
他の実施形態では、ホップ酸は、ホップα酸、又はその塩である。別の実施形態では、ホップα酸は、フムロン、コフムロン、アドフムロン、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロイソフムロン、ジヒドロイソコフムロン、ジヒドロイソアドフムロン、テトラヒドロイソフムロン、テトラヒドロイソコフムロン、テトラヒドロイソアドフムロン、ヘキサヒドロイソフムロン、ヘキサヒドロイソコフムロン、又はヘキサヒドロイソアドフムロン、若しくは、それらの塩類である。
【0066】
様々な実施形態では、反芻動物に投与されるホップ酸の量が、0.1〜1000mg/動物/日である。別の実施形態では、ホップ酸は、調合物、混在混合物、塩、水和物、溶媒和化合物、及び/又は多形体の一部として有効量で投与されるが、これに限定されない。
【0067】
一実施形態では、反芻動物の所望の効率は、飼料効率を高めることである。別の実施形態では、飼料効率を高めることにより、体重の増加又は乳の生産が高まることになる。
【0068】
別の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、メタン生成を減らすことである。
【0069】
ある実施形態では、反芻動物の所望の効率は、反芻胃のアンモニア生成を高めることである。他の実施形態では、所望の効率は、反芻胃のアンモニア生成を高めることにより高められる。別の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、アンモニア濃度の増加により高められ、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料のアンモニア濃度は、約2〜8mMの範囲内にある。
【0070】
別の実施形態では、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までの反芻胃液又は腸消化物試料のpHが、約5〜8の範囲内に維持される。別の実施形態では、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までの反芻胃液又は腸消化物試料のpHが、約5.2〜7の好ましい範囲内に維持される。
【0071】
所望の効果は、反芻胃液又は腸消化物のpHが、本発明の方法を用いて、ポリエーテルイオノフォア化合物、例えば、モネンシンを含む動物飼料を供給された反芻動物の反芻胃液又は腸消化物から計測されたpHと比較して、ある実施形態では、約1%〜約25%だけ、ある実施形態では、約1%〜約10%だけ、ある実施形態では、約1%〜約5%だけ増すことである。ある実施形態では、pHの増加は、約1%〜約3%の範囲である。他の実施形態では、pHの増加は、約2%〜約4%の範囲である。他の実施形態では、pHの増加は、約3%〜約5%の範囲である。他の実施形態では、pHの増加は、約5%〜約10%の範囲である。他の実施形態では、pHの増加は、約10%〜約15%の範囲である。他の実施形態では、pHの増加は、約15%〜約25%の範囲である。
【0072】
ある実施形態では、反芻動物の所望の効率は、反芻胃液又は腸消化物中の全揮発性脂肪酸含有量の増加により高められる。他の実施形態では、所望の効率は、反芻胃液又は腸消化物中の全揮発性脂肪酸含有量を増すことである。別の実施形態では、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中の全揮発性脂肪酸含有量は、約70〜110mMの範囲内にある。
【0073】
他の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、反芻胃液又は腸消化物中の酢酸塩の濃度の増加により高められる。他の実施形態では、所望の効率は、反芻胃液又は腸消化物中の酢酸塩の濃度を増すことである。別の実施形態では、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中の酢酸塩の濃度は、約30〜50mMの範囲内にある。
【0074】
他の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、反芻胃のプロピオン酸塩生成を高めることである。他の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、反芻胃のプロピオン酸塩生成を高めることにより高められる。別の実施形態では、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中のプロピオン酸塩の含有量が、約24〜45mMの範囲内にある。
【0075】
他の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、酢酸塩に対するプロピオン酸塩の濃度の増加により高められる。他の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、酢酸塩に対するプロピオン酸塩の濃度を増すことである。別の実施形態では、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中の酢酸塩に対するプロピオン酸塩の比は、約0.75〜2.95の範囲内に維持される。
【0076】
他の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、酪酸塩の濃度の減少により高められる。他の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、酪酸塩の濃度を減らすことである。別の実施形態では、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中の酪酸塩の濃度は、約6〜13mMの範囲内にある。
【0077】
他の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、イソ酪酸塩の濃度の増加により高められる。他の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、イソ酪酸塩の濃度を増すことである。別の実施形態では、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中のイソ酪酸塩の濃度は、約0.5〜1.1mMの範囲内にある。
【0078】
他の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、吉草酸塩の濃度の増加により高められる。他の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、吉草酸塩の濃度を増すことである。別の実施形態では、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中の吉草酸塩の濃度は、約2〜4mMの範囲内にある。
【0079】
ある実施形態では、反芻動物の所望の効率は、イソ吉草酸塩の濃度の増加により高められる。他の実施形態では、反芻動物の所望の効率は、イソ吉草酸塩の濃度を増すことである。別の実施形態では、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中のイソ吉草酸塩の濃度は、約1.5〜2.5mMの範囲内にある。
【0080】
ある実施形態では、反芻動物の所望の効率は、乳酸塩の濃度を維持することである。他の実施形態では、その所望の効率は、乳酸塩の濃度を維持することにより高められる。更に他の実施形態では、反芻胃液又は腸消化物試料中の乳酸塩の濃度は、機能障害性反芻胃代謝の影響を最小限にする範囲内に維持される。別の実施形態では、反芻胃液又は腸消化物試料中の乳酸塩の濃度は、アシドーシス、無症候性アシドーシス及び/又は鼓腸症を防止する所望の範囲内にある。更に別の実施形態では、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中の乳酸塩の濃度は、約0〜2mMの範囲内にある。
【0081】
他の実施形態では、反芻胃液又は腸消化物試料中の乳酸濃度は、反芻胃代謝機能不全の影響を最小限にする範囲に低減される。
【0082】
様々な実施形態では、動物飼料は、ポリエーテルイオノフォア化合物又はマクロライド系抗生物質を含まない。一実施形態では、ポリエーテルイオノフォア化合物は、モネンシンである。
【0083】
他の実施形態では、動物又は動物群は、アシドーシスを発症しない。
【0084】
他の実施形態では、前記動物反芻胃のpHは、ホップ酸のないポリエーテルイオノフォア化合物で処理された動物飼料を投与された動物反芻胃のpHよりも高い。本発明の方法について意外であり予想されないことは、ホップ酸又はその塩を含む動物飼料の投与後に、pHが維持されることである。通常、モネンシンで処理された動物飼料を与えられる反芻動物の反芻胃pHは、動物がアシドーシスを起こす程度まで減少する。
【0085】
別の実施形態では、飼料供給開始直後時間から飼料供給後24時間までの反芻胃液又は腸消化飼料中の以下の濃度が維持され、酢酸塩が、約30〜50mMの範囲内に維持され、プロピオン酸塩が、20〜45mMの範囲内に維持され、酪酸塩が、6〜13mMの範囲内に維持され、イソ酪酸塩が、約0.5〜1.1mMの範囲内に維持され、吉草酸塩が、約2〜4mMの範囲内に維持され、イソ吉草酸塩が、約1.5〜2.5mMの範囲内に維持され、酢酸塩対プロピオン酸塩の濃度比が、約0.75〜2.95の範囲内に維持され、全揮発性脂肪酸(VFA)が、約70〜110mMの範囲内に維持され、アンモニアが、約2〜8mMの範囲内に維持され、乳酸塩の濃度が、約0〜2mMの範囲内に維持される。
【0086】
ある実施形態では、飼料組成物は、添加窒素源を含まない。
【0087】
他の実施形態では、飼料組成物は、窒素源成分を更に含む。ある実施形態では、窒素源成分は、尿素、蒸留粕、又は、当業者に知られている他の適切な窒素源である。
【0088】
ある実施形態では、反芻動物群の生存率を向上させることは、様々な動物の健康状態を改善すること、例えば、死亡率を低くすること、病気の/不健康な動物の数を減らすこと等を含む。
【0089】
別の実施形態によれば、本発明は、被験体の飼料効率を高め、最適化する方法を提供し、本発明の有効量の化合物又は組成物を前記被験体に投与する工程を含む。そのような疾病は、従来技術で十分に知られており、本明細書にも開示されている。
【0090】
別の実施形態では、本発明は、被験体の飼料効率を高め、最適化する方法を提供し、その方法は、いずれかの動物飼材(例えば、本明細書で述べられるものを含む、植物物質、草、穀類、穀物)を本明細書で述べられるホップ酸と組み合わせることにより作製される有効量の動物飼料を、前記被験体に投与する工程を含む。
【0091】
本明細書で述べられる方法は、具体的に述べられる処置を必要とするものとして被験体を識別する方法を含む。そのような処置を必要とするものとして被験体を識別することは、動物治療専門家の判断である場合があり、主観的(例えば、意見)又は客観的(例えば、試験又は診断方法により計測可能)であり得る。
【0092】
本明細書で述べられる方法は、被験体(動物、一群又は群れからの試料動物)を監視することを含む。その監視は、飼料供給方法の進行を追跡するように実行することができる、又は、他の計測値を追跡することができ、例えば、監督機関(例えば、連邦、州又は地方機関、若しくは、監督上の司法権を有する環境、農業、食品又は他の機関)により設けられた規格に規制される動物からの排出物(例えば、メタン生成、アンモニア生成、硫化水素、環境排出)、pH、化合物濃度又は比(例えば、本明細書で述べられるものを含む)、化学、細菌、微生物、蛋白質、核酸、他の物理化学的特性又は機能特性、若しくは、他の指標を計測することを含む。その監視は、飼料供給プロセスを通じて、又は、飼料供給及び消化プロセスが開始又は完了された後の動物から、1つ以上の試料を周期的に採取することを含み得る。
【0093】
別の実施形態では、上述の処理方法は、1つ以上の第2の治療剤を動物に同時に投与する別の工程を含む。第2の治療剤は、本明細書での適応症に有効と知られているいずれかの第2の治療剤から選択される。
【0094】
用語「同時に投与される」は、本明細書で用いられる場合、第2の治療剤が、単一の剤形(本発明の化合物と上述の第2の治療剤とを含む本発明の組成物等)の一部として、又は、個別で複数の投与形態として、本発明の化合物と共に投与されてもよいことを意味する。代わりに、追加の薬剤が、本発明の化合物の投与の前に、それに続いて、又はその後に投与されてもよい。そのような組み合わせの治療処置では、本発明の化合物と第2の治療剤の両方は、従来の方法により投与される。本発明の化合物と第2の治療剤の両方を含む本発明の組成物を被験体に投与することは、前記被験体に、その同じ治療剤、いずれかの他の第2の治療剤又は本発明のいずれかの化合物を処置経過中の別の時刻に個別に投与することを除外するものではない。
【0095】
有効量のこれらの第2の治療剤は、当業者に十分に知られており、投与指針は、各種特許及び公開されている特許公報に見出され得る。しかしながら、第2の治療剤の最適な有効量の範囲を定めることは、十分に当業者の範囲内である。
【0096】
別の態様では、本発明は、疾病、障害、症状から被験体を治療又は予防するために、若しくは、飼料効率又は動物の成長を向上させるために、飼料組成物又は飼料薬物の製造中に単一組成物として又は個別の剤形として、単独で又は1つ以上の上述の第2の治療剤と併せて、本明細書の化合物(例えば、ホップ酸類)を利用すること、又は、本明細書で説明される他のことに利用することを提供する。本発明の別の態様では、本明細書の化合物は、疾病、障害、症状から被験体を治療又は予防するのに、若しくは、飼料効率又は動物の成長を向上させるために利用される、又は、本明細書で説明される他のことに利用される。
【0097】
他の態様では、本明細書の方法は、治療投与に対する被験体の反応を監視することを更に含む方法を含む。そのような監視は、治療内容の標識又は指標として、被験体の組織、体液、検体、細胞、蛋白質、化学的マーカー、遺伝子材料等の周期的な採取することを含み得る。他の方法では、関連するマーカー又は指標を用いてそのような治療の適性を評価することにより、被験体は、そのような治療を必要とするものとして、事前に選別又は識別される。一態様では、本明細書に記載されるように収集される情報の監視に基づいて、飼料供給方法を調節して、本明細書での測定基準又は標識レベルを調節する又は得る。
【0098】
本発明は、動物飼料組成物を必要とする被験体を治療するのに利用されるキットも提供し、そのキットは、飼料効率を向上するためのキットを含む。これらのキットは、a)本明細書のホップ酸化合物又はその塩、若しくは、前記化合物のプロドラッグ又はその塩、若しくは、前記化合物の水和物、溶媒和化合物、又は多形体を含み、容器内にある動物飼料組成物と、b)飼料効率を(即ち、本明細書に述べられる本発明の組成物のない飼料を投与することにより得られる飼料効率に対して)向上させるために動物飼料組成物を利用する方法を記載している指示書とを含む。
【0099】
容器は、前記動物飼料組成物を保持することができる、いずれかの容器又は他の封入型若しくは封入式器具であってもよい。実例として、各々の分割区又は個室が単一投与量の前記組成物を含む瓶、分割型若しくは多重室型保持体又は瓶、各々の分割区が単一投与量の前記組成物を含む分割型の箔製の小包、又は、単一投与量の前記組成物を分与する分注器が挙げられる。容器は、当該分野で知られているような、いずれかの通常の形又は形状であり得る。それは、動物飼料供給に許容される材料から作製され、例えば、紙、段ボール箱、ガラス又はプラスチックボトル又は瓶、(例えば、異なる容器内に置かれる「詰め替え」錠剤を保持するための)再封入可能な袋、個別の投与量が容器から押し出される容器である。用いられる容器は、包まれる精密な剤形に依存し得る。例えば、通常の段ボール箱は、液体懸濁液を保持するのに一般に利用されない。単一の小包の中に1つを越える容器を共に入れて、単一の剤形を販売することができると考えられる。例えば、錠剤は、1つの瓶の中に含まれてもよく、その瓶は、次に、箱の中に含まれる。
【0100】
農業動物により排泄される主要ガスは、完全に酸化された炭素源である二酸化炭素(CO)である。酸化されていない炭素源であるメタン(CH)は、農業動物の損失エネルギーと考えられ、環境汚染物質である。農業動物エネルギーの約2〜12%が、メタンガス排泄により失われると推定される。損失エネルギーの結果として、動物に飼料を供給する費用が増す。農業動物は、大気中に見出される約15〜20%のメタンの要因であると考えられる。このメタンの増加は、環境に負の影響を与える地球温暖化に部分的に寄与する。
【0101】
動物の窒素含有化合物の排出を制御することも重要である。排泄される窒素含有化合物は、環境中にアンモニアを放ち、これは、多数の家畜が集まる場所での主要な環境の懸念事項(例えば、飼料ロット、日々の作業)である。動物及び反芻胃の健康状態を維持するために、ある家畜食餌中の窒素の消費を増やすことにより、環境中に放出されるアンモニアは、望まれない水準になる。
【0102】
プロピオン酸塩は、動物の成育に利用される約50%の炭素源を構成するので、プロピオン酸塩の濃度の増加は、重要なことである。酪酸塩は、メタン生成の中間体である。酪酸塩の削減は、メタンの削減を意味する。メタンの削減は、温暖化ガス排出を削減することにより環境を救うという追加の効果を与える。総合的に、ホップ酸は、プロピオン酸塩を介した炭素源の形成を著しく高め、酪酸塩の生成を減らすことで、動物によるエネルギー摂取が増す。
【0103】
グラム陰性細菌は、セルロースを、動物の成長に有益な化合物とエネルギーに分解するのに寄与するので、一般に、有益であると考えられる。グラム陽性細菌と原虫は、その消化副産物が動物に有益ではないので、一般に、有益ではない。調節されることを必要とするグラム陽性生物として、ルミノコッカス・アルブス、ルミノコッカス・フラベファシエンス、ブチリビブリオ‐フィブリソルベンスが挙げられる。これらの微生物を調節することにより、発酵が減少する有益な効果があり、従って、エネルギー養分が、更に動物に到達することができる。メタノバクテリウム・ルミナンチウムを調節することにより、Hのメタンガスへの変換が低下する。連鎖状球菌と乳酸杆菌の様々な種を調節することによっても、Hは、その望ましくない利用が少なくされ、そのより多くが、プロピオン酸塩の望ましい形成に利用される。プロピオン酸塩は、一般に、動物の成長に寄与する。イソトリカとエントディニウムは、反芻胃に普通に感染する2つの原虫である。再び、それらは、農業動物からエネルギーと栄養分を取り去る。発酵の間、「良質な」細菌と「悪質な」細菌は、これらの2つの飼料内の澱粉と繊維で競合する。低レベルのアルファ酸、ベータ酸、イソアルファ酸、ローイソアルファ酸、テトラヒドロイソアルファ酸及びヘキサヒドロイソアルファ酸での発酵、並びに、ホップ酸を含まない対照が試験される。反芻胃発酵が完了した後に、製品は、これらのホップ酸の効果を判定するために試験された。
封入調合物
【0104】
本発明の方法で利用されるホップ酸及びその塩は、分解及び/又は酸化を最小限にするように保存又は処理され得る。ホップ酸を保存又は処理する方法として、封入、型圧縮、チルソネーション、造粒、又は押出加工が挙げられるが、これらに限定されない。以下に記載されるようなものを含む、そのような技術により、安定したホップ酸又はその塩を投与することができる。
【0105】
1つの手法では、ホップ誘導体が、封入された調合物(液体又は粉末)中に与えられる。好ましくは、液状又は粉末状のホップ誘導体は、徐々に分解される膜で封入される。その膜は、ホップ誘導体を長期間にわたり放出する能力がある。封入材料に適した特定の材料として、シリカ、パーライト、滑石、粘土、葉蝋石、珪藻土、ゼラチン及びゲル、ポリマー(例えば、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル等)、ポリマー粒子、又はセルロース等の多孔質微粒子又は基質が挙げられるが、それらに限定されない。これらは、例えば、中空繊維と、上記のホップ誘導体又は他の化合物を、その壁を通じて放出する中空管又はチューブと、チューブの開口部から化合物を放出する毛細管と、ポリマー母材から化合物を放出する様々な形状の、例えば、帯、ブロック、錠剤、ディスクのポリマーブロックと、不浸透の容器内に化合物を保持し、整然と配列された浸透膜を通じてその化合物を放出する膜系と、それらの組み合わせとを含む。組成物をそのように分与する実例は、ポリマー積層材、ポリ塩化ビニル製小球、及び微小毛細管である。養蜂への利用に適した封入方法は、例えば、リートら、養蜂研究誌25(2)、78〜84頁(1986年)により記載される。
【0106】
封入プロセスは、通常、化学的なもの又は機械的なものに分類される。封入プロセスのための化学的プロセスの実例として、複雑なコロイド脱混合現象、ポリマー間不相溶性、液体培地中の界面重合化、原位置重合化、液中乾燥法、液体培地中の熱性及びイオン性ゲル化、液体培地中の脱溶媒和、澱粉系化学プロセス、シクロデキストリン中での捕獲、リポソームの形成が挙げられるが、これらに限定されない。封入プロセスのための機械的プロセスの実例として、噴射乾燥、噴射冷却、流動層、静電沈着、遠心押出、回転盤又は回転懸濁分離、環状噴射封入、液体・気体間又は固体・気体間の界面での重合化、溶媒蒸発、圧力押出又は溶媒抽出槽への噴射が挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
微小カプセルも、ホップ酸の長期間の放出に適している。微小カプセルは、膜又はシェルにより取り囲まれたコア材料又は活性成分を含む小さな粒子である。微小カプセルの寸法は、通常、1〜1000ミクロンで変化し、1ミクロンよりも小さなカプセルは、ナノカプセルと分類され、1000ミクロンよりも大きなカプセルは、マクロカプセルと分類される。コアの搭載量は、通常、0.1〜98重量百分率で変化する。微小カプセルは、様々な構造(連続的なコア/シェル、多重核、又は単一塊)を有することができ、不規則な又は幾何学的な形状を有することができる。
【0108】
別の手法では、ホップ誘導体は、油系の送達系の中に与えられる。油・ホップ誘導体混合物は、固体基質上に堆積され、ホップ誘導体を含むその基質は、続いて、細菌に接触し、細菌を殺傷する。油放出基質として、植物油及び/又は鉱油が挙げられる。別の実施形態では、基質として、化合物を水中に容易に分散させることができる表面活性剤も挙げられ、そのような薬剤として、湿潤剤、乳剤、分散剤等が挙げられる。
【0109】
本発明のホップ酸は、乳剤としても与えられ得る。乳剤調合物は、油中水型(水/油)又は水中油型(油/水)として見出され得る。液滴寸法は、ナノメートルのスケール(コロイド状分散液)から数百ミクロンまで変化し得る。液滴の寸法を変え、乳剤を安定させ、その遊離を変更するために、様々な界面活性剤及び増粘剤が、通常、調合物中に組み込まれる。
【0110】
代わりに、本発明のホップ酸は、固体錠剤中にも調合され、油、(好ましくは、植物系の)蛋白質/糖質材料、及び活性成分を含み(好ましくは、それらで本質的に構成され)得る。そのような組成物を作製する方法は、従来技術で知られており、例えば、米国特許出願公開第2006/0008492号明細書に記載されている。一実施形態では、本発明は、固体錠剤を提供し、油、(好ましくは、植物系の)蛋白質/糖質材料、及びホップ酸を含む(好ましくは、それらで本質的に構成される)。錠剤は、通常、重量で約4〜40%(例えば、5%、20%、30%、40%)の油(例えば、トウモロコシ、ヒマワリ、ピーナッツ、ブドウ種子油、アブラギリ、カブ、大豆、綿種子、クルミ、椰子、蓖麻、カヤツリグサ、ヘーゼルナッツ、アボカド、胡麻、巴豆、カカオ、亜麻仁、菜種、及びカノーラ油等の植物油、及びそれらの水素添加誘導体、石油由来の油(例えば、パラフィン及びワセリン)、及び他の不水溶性炭化水素(例えば、パラフィン))を含む。錠剤は、重量で約5〜40%(例えば、5%、20%、30%、40%)の植物系蛋白質/糖質材料を更に含む。材料は、(例えば、小麦、ライ麦、大麦、燕麦、トウモロコシ、米、キビ、蘆粟、鳥餌、蕎麦、アルファルファ、及び蜂蜜、トウモロコシの粉、大豆の粉、穀粉、小麦の中程度のふすま、小麦ふすま、トウモロコシ麩質食材、藻食材、乾燥酵母、豆、米等の穀物由来の)糖質部分と蛋白質部分の両方を含む。材料を構成する各部分の相対比は、変わり得るが、材料は、糖質及び蛋白質の少なくとも1部分を含むべきである。
【0111】
任意選択で、錠剤は、重量で約10〜75%(10,15、20、25、50、75%)の甘味料も含む。用語「甘味料」は、本明細書で用いられる場合、一般に、自然甘味料と人工甘味料の両方を指す。好ましくは、甘味料は、グルコース、フルクトース、ショ糖、ガラクトース、ラクトース等の砂糖及び転化糖である。砂糖は、好ましくは、グラニュー糖(白糖)、黒砂糖、粉砂糖、微粉糖、粉糖、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される。グリセリン等のアルコール及び澱粉等の複合糖質は、「甘味料」成分としても利用され得る。甘味料は、特に、甘味料が砂糖の場合に、錠剤に粒状構造を与えるのに役立つ。先に考察されたように、この粒状構造により、錠剤は、十分な力を与えた後に、徐々に砕け得る。
【0112】
任意選択では、活性成分を送達するのを補助するために、又は、錠剤に適切な構造を与えるために、様々な賦形剤及び結合剤を利用することができる。好ましい賦形剤及び結合剤として、無水ラクトース、微細結晶性セルロース、コーンスターチ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0113】
本発明による錠剤は、全ての成分を共に混合し、次に、混合物を、特定用途のために所望の形状及び寸法の錠剤に圧縮することにより製造される。好ましくは、錠剤は、直径が約2〜5インチで、厚さが約0.5〜2インチの形の円盤状である。圧縮は、手動又は自動の圧縮装置により達成され得る。混合物上に与えられる圧力は、錠剤を自己持続性の物体に形成するように十分であるべきである。
【0114】
他の実施形態では、ホップ酸は、散粉状組成物に調製される。散粉状組成物は、通常、砂糖を細かな粉末に挽き、ホップ酸に混合することにより調製される。
【0115】
代わりに、ホップ酸は、ホップ酸をいずれかの適切な液体に分散させることにより形成される液体噴霧組成物に調製される。好ましくは、ホップ酸は、水中に分散される。所望により、噴霧組成物は、噴霧が、噴霧装置を詰まらせずに十分に分散するのを可能にする表面活性剤も含む。この組成物を利用して、動物飼料を噴霧することができる。
【0116】
別の手法では、本発明のホップ酸は、蒸気の形態で与えられる。
【0117】
本発明は、キサントフモール単体又は送達錯体のないホップ酸に対する安定性を高めた水溶性キサントフモール/シクロデキストリン錯体を特徴とする、組成物及び方法を提供する。
【0118】
一態様では、本発明は、一般に、キサントフモール(例えば、3’−[3,3−ジメチルアリル]−2’,4’,4−トリヒドロキシ−6’−メトキシカルコン、ホップから誘導されるプレニル化カルコン、キサントアンゲロール、キサントアンゲロールF、4−ヒドロキシデリシン、4−O−メチルキサントフモール、イソババカルコン、キサントアンゲロールH、キサントガレノール、デスメチルキサントフモール、5’−プレニルキサントフモール、テトラヒドロキサントフモール、2’,4’,6’,4−テトラヒドロキシ−3’−C−ゲラニルカルコン、デヒドロシクロキサントフモール、4−O−5’−C−ジフェニルキサントフモール、4’−O−メチルキサントフモール、及びキサントフモール代謝物又は誘導体)、シクロデキストリン(例えば、アルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリン、ヘプタキス(2,6−ジ−O−メチル)−ベータ−シクロデキストリン、Ci−24−アルキル−ガンマ−シクロデキストリン、及びC1−24−ヒドロキシアルキル−ガンマ−シクロデキストリン)を含み、キサントフモールとシクロデキストリンが錯体を形成する、組成物を特徴とする。
【0119】
別の態様では、本発明は、キサントフモール/シクロデキストリン錯体を調製する方法を提供し、その方法は、キサントフモールとシクロデキストリンを結合させ、そのpHを10〜12に調節することにより、キサントフモール/シクロデキストリン錯体を形成する準備をすることを含む。一実施形態では、方法は、(例えば、pHを6〜9に再調節して、キサントフモール/シクロデキストリン錯体の沈殿を可能にすることにより)錯体を回収することを更に含む。更に別の実施形態では、キサントフモールとシクロデキストリンは、水中に、又は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレン、グリコール、及びポリエチレングリコール(PEG)のうちのいずれか1つ以上である水溶性溶媒中に存在する。一実施形態では、水溶性溶媒は、エタノールである。更に別の実施形態では、シクロデキストリンは、選択的に、キサントフモールと錯体を形成する。更に別の実施形態では、シクロデキストリンは、イソキサントフモールと錯体を形成しない、又は、僅かな量の(例えば、組成物の重量で約10%、7%、5%、3%、2%、1%、0.5%未満の)シクロデキストリン/イソキサントフモール錯体のみを形成する。
【0120】
別の態様では、本発明は、先の態様の方法又は本明細書に述べられるいずれかの方法により得られるキサントフモール/シクロデキストリン錯体を含む組成物を提供する。キサントフモール(3’−[3,3−ジメチルアリル]−2’,4’,4−トリヒドロキシ−6’−メトキシカルコン)は、醸造工業でビールに香味及び苦さを加えるのに利用されるホップ(フムラス・ルプラスL.)、特に、ホップ植物の雌花から誘導されるプレニル化カルコンである。キサントフモールは、異性化し、特に、キサントフモールを含む組成物が加熱又は貯蔵される場合に、イソキサントフモールを形成する。本明細書で報告されるように、異性化への感受性を低下させるために、キサントフモールは、シクロデキストリンと複合され得る。
【0121】
シクロデキストリン糖転移酵素(CGT)により澱粉を酵素分解することで、シクロデキストリンと言われるシクロオリゴマーが生成される。シクロデキストリンは、螺旋形状に配置され、(ヒドロキシラジカルの存在による)親水性外部と疎水性内部空洞とを有するしっかりとした円錐筒を形成するグルコース単量体で構成される、還元性のない結晶性の水溶の環状オリゴ糖である。その疎水性内部空洞は、様々な「ゲスト」疎水性分子(例えば、芳香族類、アルコール類、ハロゲン化合物類、脂肪酸類、エステル類)と包接錯体を形成する能力がある。自然に生じるシクロデキストリンとして、α(6糖単位)、β(7糖単位)及びγ(8糖単位)シクロデキストリンが挙げられる。
【0122】
シクロデキストリンは、1つ以上の水素原子を第1及び/又は第2水酸基に置換する等の様々な手続により修飾される。化学的に修飾されたシクロデキストリンは、包接錯体を形成する能力を保ちつつ、水溶性が実質的に増す。シクロデキストリン包接は、少なくとも1つのゲスト分子がシクロデキストリン分子の空洞と相互作用して、安定な会合を形成する、分子現象である。ゲストの分子量に応じて、1を超えるゲスト分子は、その空洞に嵌合し得る。その上、高分子量分子は、1を超えるシクロデキストリン分子と結合する。従って、ゲストとシクロデキストリンとの間の1対1のモル比が得られ得る。シクロデキストリンは、幅広い疎水性分子を有する包接錯体を形成する。錯体の形成により、溶解性に劣る化合物の水溶性が高められ、劣化しやすい薬剤の安定性が高められ得る。キサントフモール/シクロデキストリン錯体は、本明細書に記載されるように調製することができる。簡潔には、キサントフモールを含むホップ酸又はその塩が、シクロデキストリン及び水又は水溶性溶媒と混合され、混合物を形成する。混合物のpHは、10〜12に調節され、シクロデキストリンとキサントフモールとの間で錯体を形成する準備をする。その錯体は、当該分野で周知の方法を用いて回収され、例えば、その錯体を含む混合物を収集又は噴射乾燥することにより、錯体含有粉末が得られる。一実施形態では、不溶な材料が除去され、錯体を含む混合物は、6〜9のpH値に達するように酸性にされ、錯体が沈澱される。次に、混合物は、最適な沈殿を準備するのに十分な時間(例えば、2時間、6時間、又は12時間)にわたって適切な温度(例えば、室温)で維持される。次に、沈殿した錯体は、遠心分離又は濾過等の当該分野で周知の手段で収集される。所望により、その沈殿物は、適切な溶媒で洗浄され、乾燥される。
【0123】
上述の方法では、ホップ粕は、キサントフモール化合物を含む物質として利用される場合、シクロデキストリン化合物と共に水中に分散され、混合物を形成する。ホップ粕中に存在する水溶性物質は、濾過又は遠心分離等の当該分野のいずれかの手段により除去される。この工程は、pHが10〜12に調節される前に又はその後に実行してもよい。キサントフモール化合物とシクロデキストリン化合物は、上述の方法で開始材料として利用される場合、最初に、共に水又は水溶性溶媒中に溶解され、溶液が形成される。代わりに、キサントフモール化合物が、水又は水溶性溶媒中に溶解され、次に、シクロデキストリン化合物を含む水溶液と混合され、溶液が形成される。次に、溶液は、pH10〜12に調節される。次に、キサントフモール/シクロデキストリン化合物は、上記のように沈殿される。
【0124】
本明細書で記載されるように、シクロデキストリンは、キサントフモールと錯体を選択的に形成するが、イソキサントフモールとは錯体を形成しないか、又は、低レベルのそのような錯体を形成する。例えば、本発明の組成物は、約10%、7%、5%、3%、1%、0.5%未満のシクロデキストリン/イソキサントフモール錯体を含む。
【0125】
理論に拘束されることなく、キサントフモール含有組成物は、抗酸化剤として有用と考えられる。キサントフモールは、十分に周知の抗酸化剤である。例えば、スティーブンスら、毒学における化学研究、16(10)、1277〜1286頁(2003年)。
【0126】
従って、本発明は、ホップ酸を含む有効量の医薬組成物を反芻動物に投与することを含む、ホップ酸の酸化及び/又は劣化を防止する方法を提供する。
【0127】
本発明に従って活性成分を動物飼料に与える方法は、噴霧乾燥、封入、チルソネーション、型圧縮、造粒、押出加工、及び当業者に周知の他の方法を含む。
【実施例】
【0128】
実施例1 ホップβ酸を与えられた牛の反芻胃の試料の分析
【0129】
背景:反芻胃の微生物相への添加物の影響を判定するために、濃度に基づく食餌を牛に与え、ホップのベータ酸(0、10、80、160、240、又は300mg/日)又はルメンシン(300mg/日)を投与した。反芻胃の飼料を周期的に採取し、pH、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、吉草酸塩、イソ吉草酸塩、全揮発性脂肪酸(VFA)濃度を計測した。
【0130】
材料と方法:10%ベータ酸溶液(ベータ酸の標準的水性アルカリ溶液)を希釈した。10%ベータ酸溶液の希釈液を(水及びKOH添加物で)調製し、それにより、適量のベータ酸(/ml)を含んだ溶液を調製し、30mlの全体積中に、牛に適した投与量が与えられた(例えば、10mg/30ml(10.5のpH)を有する溶液を調製し、10mg/去勢牛/日群を処置するのに利用された。80mg/30ml(pH10.5)を有する別の溶液を調製し、80mg/去勢牛/日群を処置するのに利用した)。各々の動物を、一日毎にその適切な30ml溶液で処置した。
【0131】
一組の反芻胃流体試料には、各々に、7つの処置群(対照、5つのレベルのベータ酸及びルメンシン)がある。ベータ酸レベルは、日に動物当たり、10、80及び160、240及び300mgである。飼料供給後、処方された間隔で反芻胃流体の標本採取を行った。規格で許容される方法を利用して、反芻胃の飼料を分析し、関心のあるパラメータの濃度を定めた。
【0132】
結果:表I〜XIに記載されるのは、24時間飼料供給期間からの平均結果である(即ち、対照動物、ベータ酸で処置された動物(全ての5つのレベルでの平均値)、及びルメンシンで処置された動物に対する、24時間飼料供給期間の経過にわたって採取、分析された試料により編集された各パラメータの分析結果の平均)。表は、観測される最大値、最小値及び平均値を与える。ベータ酸(β酸)の値及びルメンシンの値を対照の百分率として報告している。正の百分率値は、処置(ベータ酸又はルメンシン)が特定量だけ対照を上回ったことを意味し、負の百分率値は、処置が特定量だけ対照を下回ったことを意味する。
【0133】
表Iは、反芻胃のpH値の結果を示す。
表I
【表1】

【0134】
表IIは、反芻胃のアンモニア濃度の結果を示す。
表II
【表2】

【0135】
図IIIは、反芻胃の酢酸塩の濃度の結果を示す。
表III
【表3】

【0136】
表IVは、反芻胃のプロピオン酸塩の濃度の結果を示す。
表IV
【表4】

【0137】
表Vは、反芻胃の酢酸塩対プロピオン酸塩の比の結果を示す。
表V
【表5】

【0138】
表VIは、反芻胃の酪酸塩の濃度の結果を示す。
表VI
【表6】

【0139】
表VIIは、反芻胃のイソ酪酸塩の濃度の結果を示す。
表VII
【表7】

【0140】
表VIIIは、反芻胃の吉草酸塩の濃度の結果を示す。
表VIII
【表8】

【0141】
表IXは、反芻胃のイソ吉草酸塩の濃度の結果を示す。
表IX
【表9】

【0142】
表Xは、反芻胃の全VFA濃度の結果を示す。
表X
【表10】

【0143】
表XIは、反芻胃の乳酸塩の濃度の結果を示す。
表XI
【表11】

【0144】
表Iから、反芻胃の平均pHは、ベータ酸で処置された動物が、対照動物と比べて低い(対照よりも−1.71%低い)が、ルメンシンで処置された動物よりも対照動物に近い(ルメンシン平均pHは、対照の−4.45%である)ことが観測された。反芻胃のpHは、反芻胃及び動物の健康状態に極めて重要である。意外で予想されなかったことは、ベータ酸とルメンシンは、反芻胃内微生物相への影響(例えば、グラム陽性生物類の抑制)が類似すると仮定されるため、反芻胃pHへの影響が拮抗すると仮定されていたので、反芻胃のpHは、ベータ酸で処置された動物がルメンシンで処置された動物よりも高いとわかったことである。pHは対数尺であるので、ベータ酸で処置された動物の反芻胃のpHが僅かに高いことは意味があり、pHの中性への小さな変化は、微生物濃度及び反芻胃酵素作用の促進へ大きく影響する。
【0145】
反芻胃のpHの感知は、反芻胃のアンモニア濃度の感知により裏付けされた。表IIでは、反芻胃のアンモニアが、ベータ酸で処置された動物に対してより高いことが観察された。反芻胃のアンモニアは、反芻胃への「緩衝効果」に寄与する場合があり、それは、ベータ酸で処置された動物が、ルメンシンで処置された動物よりも高い反芻胃のpHを得ることを補助する緩衝効果であり得た。
【0146】
表III〜Xは、酢酸塩、プロピオン酸塩、酢酸塩対プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、吉草酸塩、イソ吉草酸塩、及び揮発性脂肪酸についてのデータである。全ての事例では、ベータ酸で処置された動物が、(平均で)、脂肪酸濃度に対して対照動物を上回った。ベータ酸で処置された動物では、脂肪酸分布が、優れた反芻胃の能力を示した。
【0147】
表XIは、反芻胃の乳酸塩濃度のデータを含み、酪酸(グラム陽性)生物を制御する処置から予想されたように、ベータ酸で処置された動物は、乳酸塩レベルが低かった。
【0148】
印刷物、電子、コンピュータ読出可能格納媒体又は他の形態の、本明細書で引用される全ての参照文献は、参照としてそのまま明確に組み込まれており、要約、記事、雑誌、出版物、テキスト、論文、技術的データシート、インターネットウェブサイト、データベース、特許、特許出願、及び特許公報を含むが、これらに限定されない。
【0149】
上の考察は、記述、図示及び例示であり、いずれかの付属の請求項により定義される範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反芻胃のpHを調節する量のホップ酸を経口投与することにより、反芻動物の所望の効率を高める方法であって、ポリエーテルイオノフォア化合物を含まない動物飼料が前記反芻動物に投与される、方法。
【請求項2】
反芻胃のpHを調節する量のホップ酸を経口投与することにより、反芻動物群の反芻胃の健康状態及び機能を向上させる方法であって、前記反芻胃の健康及び機能が、反芻胃のpHを調節する量のホップ酸を含まない動物飼料を与えられた反芻動物群に拮抗する、方法。
【請求項3】
ポリエステルイオノフォア抗生物質又はマクロライド系抗生物質を含む動物飼料を投与された反芻動物の所望の効率を高める方法であって、ポリエーテルイオノフォア抗生物質又はマクロライド系抗生物質の飼料の投与を中断し、ホップ酸を含む動物飼料を投与する工程を含む、方法。
【請求項4】
反芻動物食餌中のホップ酸の前記経口投与が、飼料配合、飼料の補充、飼料の配給、水の配給、鉱物なめ、及び/又は巨丸剤を含む、請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ホップ酸が、ホップ又はホップ源から誘導されるか、若しくは合成的に生成される、請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ホップ酸がホップβ酸である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ホップβ酸が、ルプロン、コルプロン、アドルプロン、ヘキサヒドロルプロン、ヘキサヒドロコルプロン、ヘキサヒドロアドルプロン、又はフルポンである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ホップ酸がホップα酸である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ホップα酸が、フムロン、コフムロン、アドフムロン、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロン、ジヒドロイソフムロン、ジヒドロイソコフムロン、ジヒドロイソアドフムロン、テトラヒドロイソフムロン、テトラヒドロイソコフムロン、テトラヒドロイソアドフムロン、ヘキサヒドロイソフムロン、ヘキサヒドロイソコフムロン、又はヘキサヒドロイソアドフムロンである。請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記反芻動物に投与されるホップ酸の量が、0.1〜1000mg/動物/日である、請求項1、2、又は3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ホップ酸が、調合物、混在混合物、塩、水和物、溶媒和化合物、及び/又は多形体の一部として有効量で投与されるが、これに限定されない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までの反芻胃液又は腸消化物試料のpHが、約5〜8の範囲内に維持される、請求項1、2、又は3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までの反芻胃液又は腸消化物試料のpHが、約5.2〜7の好ましい範囲内に維持される、請求項1、2、又は3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
反芻動物の所望の効率が、反芻胃液又は腸消化物中の全揮発性脂肪酸含有量の増加により高められる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での全揮発性脂肪酸が、約70〜110mMの範囲内にある、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
反芻動物の所望の効率が、飼料効率を高めることである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
飼料効率を高めることにより、体重の増加又は乳の生産が高まる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
反芻動物の所望の効率が、メタン生成を減らすことである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
反芻動物の所望の効率が、反芻胃でのアンモニア生成を高めることである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料のアンモニア濃度が、約2〜8mMの範囲内にある、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
反芻動物の所望の効率が、酢酸塩の濃度の増加により高められ、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中の酢酸塩の濃度が、約30〜50mMの範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
反芻動物の所望の効率が、反芻胃のプロピオン酸塩の生成を高めることであり、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中のプロピオン酸塩の含有量が、約24〜45mMの範囲内にある。請求項1に記載の方法。
【請求項23】
反芻動物の所望の効率が、酢酸塩に対するプロピオン酸塩の濃度の増加により高められ、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中の酢酸塩に対するプロピオン酸塩の比が、約0.75〜2.95の範囲内に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
反芻動物の所望の効率が、酪酸塩の濃度の減少により高められ、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中の酪酸塩の濃度が、約6〜13mMの範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
反芻動物の所望の効率が、イソ酪酸塩の濃度の増加により高められ、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中のイソ酪酸塩の濃度が、約0.5〜1.1mMの範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
反芻動物の所望の効率が、吉草酸塩の濃度の増加により高められ、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中の吉草酸塩の濃度が、約2〜4mMの範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
反芻動物の所望の効率が、イソ吉草酸塩の濃度の増加により高められ、飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中のイソ吉草酸塩の濃度が、約1.5〜2.5mMの範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
反芻動物の所望の効率が、反芻胃液又は腸消化物試料中の乳酸塩の濃度を維持することであり、前記乳酸塩の濃度が、反芻胃代謝機能不全の影響を最小限にする範囲内に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
反芻胃液又は腸消化物試料中の乳酸塩の濃度が、アシドーシス、無症候性アシドーシス及び/又は鼓腸症を防止する所望の範囲内にある、請求項28の方法。
【請求項30】
飼料供給開始直後から飼料供給後24時間までのいずれかの時間での反芻胃液又は腸消化物試料中の乳酸塩の濃度が、約0〜2mMの範囲内にある、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ポリエーテルイオノフォア化合物がモネンシンである、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
動物がアシドーシスを発症しない、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記動物反芻胃のpHが、ホップ酸のないポリエーテルイオノフォア化合物で処理された動物飼料を投与された動物反芻胃のpHよりも高い、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
飼料供給開始直後時間から飼料供給後24時間までの反芻胃液又は腸消化飼料中の以下の濃度において、酢酸塩が、約30〜50mMの範囲内に維持され、プロピオン酸塩が、20〜45mMの範囲内に維持され、酪酸塩が、6〜13mMの範囲内に維持され、イソ酪酸塩が、約0.5〜1.1mMの範囲内に維持され、吉草酸塩が、約2〜4mMの範囲内に維持され、イソ吉草酸塩が、約1.5〜2.5mMの範囲内に維持され、酢酸塩対プロピオン酸塩の濃度比が、約0.75〜2.95の範囲内に維持され、全揮発性脂肪酸(VFA)が、約70〜110mMの範囲内に維持され、アンモニアが、約2〜8mMの範囲内に維持され、乳酸塩の濃度が、約0〜2mMの範囲内に維持される。請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2012−524541(P2012−524541A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507218(P2012−507218)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/001205
【国際公開番号】WO2010/123571
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(509074173)
【Fターム(参考)】