説明

包装体

【課題】外装物品の型崩れを防止するとともに、包装体の陳列に必要なスペースを小さくする。
【解決手段】包装体50は、おむつカバーまたは吸収性物品の着用に用いられる下着である外装物品1、包装部材3およびハンガー7を備える。外装物品1は、変形可能なハンガー7に保持された状態で、ハンガー7と共に縦長状に折り畳まれて、あるいは、縦長状に丸められて包装部材3の筒状部31に収容される。そして、店頭等において、ハンガー7の吊り下げ部71が、陳列棚の吊り下げ用金具等にかけられることにより、包装体50が、包装部材3の底部32を下にして、吊り下げられた状態で陳列される。このように、外装物品1がハンガー7に保持された状態とされることにより、外装物品1の型崩れを防止することができるとともに、外装物品1が縦長状に折り畳まれ、あるいは、丸められることにより、包装体50の陳列に必要なスペースを小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつカバーまたは吸収性物品の着用に用いられる下着である外装物品を包装した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつを着用者に密着させてずれを防止するために、特許文献1に示されるように、使い捨ておむつの外側を覆うように装着されるおむつカバーが利用されている。また、軽失禁パッドのような吸収性物品の外側に装着されて、吸収性物品を着用者に密着させるショーツ等の下着も利用されている。このようなおむつカバーやショーツ等の外装物品は、通常、略矩形状に薄く折り畳まれて薄いシート状の包装袋に収容された状態で、店頭等の陳列棚に吊り下げられたり、平積みされて陳列される。
【0003】
一方、特許文献2では、タオル等を展示または陳列する場合に用いられる吊り下げ表示紙が提案されている。当該吊り下げ表示紙では、タオル等を円柱状に巻いた状態で止め付ける帯状紙部、および、帯状紙部に連続する吊り下げ紙部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−190213号公報
【特許文献2】特開2001−335063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のように、外装物品を包装袋に収容した包装体を吊り下げて陳列すると、外装物品が重力により下側に折れ曲がり、包装袋の底部に偏った状態となることがある。このように、外装物品が型崩れした状態では、外装物品の見栄えが悪く、購入予定者の購入意欲を削いでしまうおそれがある。また、包装袋の底部近傍が大きく膨れてしまい、包装体の陳列に必要なスペースが大きくなってしまう。一方、包装体を平積みして陳列した場合、外装物品の型崩れが生じる可能性は低くなるが、包装体の陳列に必要なスペースは、さらに大きくなってしまう。さらに、外装物品は柔軟な製品であり、購入予定者に柔らかな印象を与えることが購買意欲の向上につながる可能性が高いが、上述のように、外装物品を略矩形状に薄く折り畳んで薄い包装袋に収容した状態では、あまり柔らかな印象を与えることができない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、外装物品の型崩れを防止するとともに、包装体の陳列に必要なスペースを小さくすることを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、おむつカバーまたは吸収性物品の着用に用いられる下着である外装物品を包装した包装体であって、上端に吊り下げ部を有し、変形可能なハンガーと、前記ハンガーに保持された状態で、前記ハンガーと共に縦長状に畳まれた、または、丸められた外装物品と、前記外装物品および前記ハンガーを内部に収容する筒状部を有する包装部材とを備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の包装体であって、前記外装物品および前記ハンガーを展開した状態で、前記ハンガーが、前記外装物品の左右の端部内にて上下方向に延びる一対の側部保形部を備える。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の包装体であって、前記一対の側部保形部の下端部が、前記外装物品の一対の脚部開口の上部と係合する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の包装体であって、前記ハンガーが、左右方向に広げられた状態において、着用者の胴部に対応するハンガー胴部と、着用者の一対の脚部の付け根部に対応する一対のハンガー脚部とを備え、前記ハンガー胴部の左右の両側部が、前記一対の側部保形部であり、前記一対のハンガー脚部の上端部が、前記外装物品の一対の脚部開口の上部と係合する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載の包装体であって、前記一対の側部保形部の下端を下にして自立可能である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の包装体であって、前記包装部材の外周に沿って、前記筒状部に脆弱線が設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、外装物品の型崩れを防止するとともに、包装体の陳列に必要なスペースを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る包装体を示す斜視図である。
【図2】外装物品およびハンガーを展開した状態で示す平面図である。
【図3】第2の実施の形態に係る包装体の外装物品およびハンガーを展開した状態で示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る包装体50を示す斜視図である。包装体50は、おむつカバーまたは吸収性物品の着用に用いられる下着(例えば、軽失禁パッド用のショーツ)である外装物品1を包装部材3により包装したものである。本実施の形態では、おむつカバーが、外装物品1として包装部材3により包装される。
【0016】
包装体50は、外装物品1および包装部材3に加えてハンガー7を備える。ハンガー7は、ボール紙、プラスチックフィルム、発泡樹脂等の比較的軟質な材料により形成され、変形可能である。外装物品1は、ハンガー7に保持された状態で、ハンガー7と共に縦長状に折り畳まれている。具体的には、外装物品1の左右の側部が、外装物品1の左右方向の中央部に重なるように、上下方向に略平行な折り返し線にて折り返される。本実施の形態では、外装物品1の両側部が、中央部を挟むように互いに反対側に折り返される。外装物品1は、ハンガー7と共に縦長状に丸められた状態(すなわち、外装物品1の両側部を中央部に向けて丸めた状態)で包装部材3内に収容されもよい。
【0017】
包装部材3は、外装物品1およびハンガー7を内部に収容する筒状部31、および、筒状部31の下端開口を閉塞する略楕円形の底部32を備える。筒状部31の上下方向に垂直な断面も略楕円形である。筒状部31は、透明または半透明のプラスチック等により形成され、内部の外装物品1が視認可能となっている。筒状部31の上部には、包装部材3の外周に沿って筒状部31の全周に亘って延びる脆弱線33が設けられる。本実施の形態では、脆弱線33は、断続的に形成された直線状の短い切れ目により形成されるミシン目である。包装体50では、脆弱線33が破断されることにより、外装物品1を包装部材3から取り出すための開口が形成される。包装部材3の底部32は、プラスチック等により形成され、ある程度の剛性を有する。このため、包装体50は、ハンガー7の後述する一対の側部保形部74の下端を下にした状態で自立可能である。筒状部31と底部32とは、一体物として形成されてもよく、別部材として形成されてもよい。
【0018】
図2は、外装物品1およびハンガー7を包装部材3(図1参照)から取り出して展開した状態(すなわち、折り畳まれた部位を左右に伸ばした状態)で示す平面図である。ハンガー7は、上端に位置する略逆J字状の吊り下げ部71、および、吊り下げ部71の下側に設けられるハンガー本体部72を備える。ハンガー本体部72は、吊り下げ部71の下端から左右方向に延びる水平部73、および、水平部73の両端から下側に延びる一対の側部保形部74を備える。
【0019】
外装物品1は、着用者の腹側および背側の肌に接する前方部101および後方部103、並びに、前方部101と後方部103との間にて着用者の股間部に対向する股下部102を備える。後方部103の左右両端部には、面ファスナのフック部材13が設けられる。図2に示すように、後方部103の左右両端部のフック部材13が、前方部101に止着されることにより、外装物品1が、胴部開口11および一対の脚部開口12を有するパンツ型となる。
【0020】
ハンガー7の一対の側部保形部74は、展開した状態の外装物品1の左右の端部内にて、左右方向に垂直な上下方向(すなわち、外装物品1の縦方向)に延び、外装物品1の左右の端部に当接する。側部保形部74は、外装物品1の胴部開口11から脚部開口12の上端に亘って設けられる。一対の側部保形部74の下端部75は、左右方向の外側に広がった後に上側へと向かう略U字状である。一対の下端部75は、外装物品1の一対の脚部開口12の上部と係合して外装物品1を係止する。以下の説明では、側部保形部74の下端部75を、「係止部75」と呼ぶ。
【0021】
外装物品1の販売が行われる店頭等では、図1に示すハンガー7の吊り下げ部71が、陳列棚の吊り下げ用金具等にかけられることにより、包装体50が、包装部材3の底部32を下にして、吊り下げられた状態で陳列される。あるいは、包装部材3が底部32を下にして陳列棚上に載置されることにより、包装体50が自立した状態で陳列される。このように、ハンガー7に吊り下げ部71が設けられるとともに包装体50が自立可能であるため、包装体50の陳列方法の選択が可能となっている。
【0022】
包装体50では、外装物品1がハンガー7に保持された状態とされることにより、外装物品1の型崩れを防止することができるとともに、外装物品1が縦長状に折り畳まれ、あるいは、丸められることにより、包装体50の陳列に必要なスペースを小さくすることができる。また、外装物品1が折り畳まれたり丸められた状態で、包装部材3の筒状部31に収容されることにより、外装物品1の購入者に対して柔らかな印象を与えることができる。さらに、筒状部31の断面が略楕円形であるため、外装物品1の印象をより柔らかいものとすることができる。
【0023】
包装体50では、ハンガー7が、外装物品1の内部にて外装物品1の左右の端部に当接する一対の側部保形部74を備えることにより、外装物品1の左右の端部が左右方向の中央側に倒れてしまったり、外装物品1が下側へとずれ落ちてしまう等の外装物品1の型崩れがより一層防止される。また、一対の側部保形部74に、外装物品1の一対の脚部開口12の上部と係合する係止部75が設けられることにより、外装物品1が下側へとずれ落ちてしまうことがより一層防止される。その結果、外装物品1の型崩れがさらに防止される。包装部材3では、上述のように、筒状部31に脆弱線33が設けられることにより、筒状部31に容易に開口を形成することができ、当該開口を介して外装物品1を包装部材3内から容易に取り出すことができる。
【0024】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る包装体について説明する。図3は、第2の実施の形態に係る包装体の外装物品1およびハンガー7aを展開した状態(すなわち、左右に広げられた状態)で示す平面図である。第2の実施の形態に係る包装体では、ハンガー7aの形状が、図2に示すハンガー7の形状と異なる。その他の構成は、図1および図2に示す包装体50と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
【0025】
図3に示すように、ハンガー7aは、上端に位置する略逆J字状の吊り下げ部71、および、吊り下げ部71の下側に設けられる略矩形状のハンガー本体部72を備える。ハンガー本体部72は、着用者の胴部に対応するハンガー胴部76、および、着用者の一対の脚部の付け根部に対応する一対のハンガー脚部77を備える。ハンガー本体部72の左右両側の側部エッジ721は、ハンガー胴部76と一対のハンガー脚部77との境界近傍にて窪み(すなわち、一対の側部エッジ721間の左右方向の距離が小さくなり)、一対のハンガー脚部77において、ハンガー胴部76の下端から左右方向の外側に広がる。ハンガー本体部72の下部エッジ722は、一対のハンガー脚部77において左右方向に延び、一対のハンガー脚部77の間において、上側に向けて凹状となっている。
【0026】
ハンガー胴部76は、外装物品1が着用される際に着用者の胴部を覆う部分の内部に位置する。ハンガー胴部76の左右の両側部は、外装物品1の左右の端部内にて上下方向に延び、外装物品1の左右の端部に胴部開口11から脚部開口12の上端に亘って当接する一対の側部保形部となっている。一対のハンガー脚部77は、外装物品1が着用される際に着用者の一対の脚部の付け根部が位置する位置に配置される。外装物品1の一対の脚部開口12の上部は、ハンガー本体部72の側部エッジ721において、ハンガー胴部76と一対のハンガー脚部77との境界近傍に設けられた上記窪みに位置し、一対のハンガー脚部77の上端部78に係合する。ハンガー7aでは、一対のハンガー脚部77の上端部78(すなわち、ハンガー胴部76と一対のハンガー脚部77との境界近傍の部位)が、外装物品1を係止する係止部となっている。
【0027】
第2の実施の形態に係る包装体では、第1の実施の形態と同様に、外装物品1がハンガー7aに保持された状態でハンガー7aと共に縦長状に折り畳まれて、あるいは、縦長状に丸められて包装部材3(図1参照)に収容される。これにより、外装物品1の型崩れを防止することができるとともに、包装体の陳列に必要なスペースを小さくすることができる。また、外装物品1の購入者に対する印象を柔らかいものとすることができる。
【0028】
ハンガー7aでは、ハンガー胴部76の左右の端部が、外装物品1の内部にて外装物品1の左右の端部に当接する一対の側部保形部となる。これにより、第1の実施の形態と同様に、外装物品1の型崩れをさらに防止することができる。また、一対のハンガー脚部77の上端部78に、外装物品1の一対の脚部開口12の上部が係合することにより、外装物品1の型崩れがより一層防止される。
【0029】
第2の実施の形態に係る包装体では、ハンガー胴部76が、外装物品1の内部において外装物品1の全幅に亘って設けられる。これにより、ハンガー本体部72の左右方向における剛性が増大し、ハンガー本体部72の変形が抑制される。その結果、外装物品1の左右の端部が左右方向の中央側に倒れてしまったり、外装物品1が下側へとずれ落ちてしまう等の外装物品1の型崩れをさらに防止することができる。また、ハンガー7aが、ハンガー胴部76およびハンガー脚部77を備えることにより、ハンガー7aおよび外装物品1を包装部材3から取り出して左右に広げ、実際に外装物品1を着用した状態に近い形状にて店頭等に展示することが可能となる。
【0030】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0031】
例えば、ハンガー7,7aでは、ハンガー本体部72が変形可能であれば、吊り下げ部71は、容易に変形しない材料により形成されてもよい。吊り下げ部71は、上述のような逆J字状以外の様々な形状であってよい。例えば、ハンガー7の水平部73やハンガー7aのハンガー胴部76から上側に突出する略矩形状や略半円状の突出部に、陳列棚のポールが挿入される穴が設けられ、当該突出部が吊り下げ部となってもよい。あるいは、ハンガー7の水平部73やハンガー7aのハンガー胴部76の上端部に穴が設けられ、当該穴に輪になった紐等を通し、当該紐等を吊り下げ部として利用してもよい。ハンガー本体部72も、上述の形状以外の様々な形状(例えば、略矩形状)であってよい。
【0032】
第1の実施の形態に係る包装体50では、外装物品1の型崩れが防止されるのであれば、一対の側部保形部74の下端から係止部75は省略されてもよい。また、一対の側部保形部74は、必ずしも、外装物品1の胴部開口11から脚部開口12の上端に亘って設けられる必要はなく、外装物品1の左右の端部の少なくとも一部に当接していればよい。
【0033】
第2の実施の形態に係る包装体では、包装部材3の底部32が薄いプラスチックフィルムのように比較的剛性が低い材料により形成されてもよい。この場合、折り畳まれた、または、丸められた状態で包装部材3内に収容されるハンガー7aの下端部が、包装部材3の底部32を介して陳列棚上に載置されることにより、包装体50が自立した状態で陳列される。包装体を自立させる必要がない場合等、包装部材3の底部32は省略され、筒状部31の下端部が接合されて下側開口が閉塞されてもよい。
【0034】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0035】
1 外装物品
3 包装部材
7,7a ハンガー
31 筒状部
33 脆弱線
50 包装体
71 吊り下げ部
74 側部保形部
75 係止部
76 ハンガー胴部
77 ハンガー脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
おむつカバーまたは吸収性物品の着用に用いられる下着である外装物品を包装した包装体であって、
上端に吊り下げ部を有し、変形可能なハンガーと、
前記ハンガーに保持された状態で、前記ハンガーと共に縦長状に畳まれた、または、丸められた外装物品と、
前記外装物品および前記ハンガーを内部に収容する筒状部を有する包装部材と、
を備えることを特徴とする包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の包装体であって、
前記外装物品および前記ハンガーを展開した状態で、前記ハンガーが、前記外装物品の左右の端部内にて上下方向に延びる一対の側部保形部を備えることを特徴とする包装体。
【請求項3】
請求項2に記載の包装体であって、
前記一対の側部保形部の下端部が、前記外装物品の一対の脚部開口の上部と係合することを特徴とする包装体。
【請求項4】
請求項2に記載の包装体であって、
前記ハンガーが、左右方向に広げられた状態において、
着用者の胴部に対応するハンガー胴部と、
着用者の一対の脚部の付け根部に対応する一対のハンガー脚部と、
を備え、
前記ハンガー胴部の左右の両側部が、前記一対の側部保形部であり、
前記一対のハンガー脚部の上端部が、前記外装物品の一対の脚部開口の上部と係合することを特徴とする包装体。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載の包装体であって、
前記一対の側部保形部の下端を下にして自立可能であることを特徴とする包装体。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の包装体であって、
前記包装部材の外周に沿って、前記筒状部に脆弱線が設けられることを特徴とする包装体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−240715(P2012−240715A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113123(P2011−113123)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】