包装袋の製造装置
【課題】ガゼット型の包装袋の自立安定性を向上させる。
【解決手段】袋状態における包装袋10の折返接着部11は、その先端11bが前面側を向くように、前面シート部20側に折り返されている。折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さXは、前面シート部20の下部20aの前後方向の長さZと等しく形成されている。したがって、袋状態の包装袋10においては、折返接着部11は、前面シート部20の下部20aの外面に対して対向するとともに、前面シート部20の下部20aの外面全体を覆うようになっている。また、折返接着部11の先端11bは、前面シート部20の下部20a外面の端縁部20bに当接するようになっている。
【解決手段】袋状態における包装袋10の折返接着部11は、その先端11bが前面側を向くように、前面シート部20側に折り返されている。折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さXは、前面シート部20の下部20aの前後方向の長さZと等しく形成されている。したがって、袋状態の包装袋10においては、折返接着部11は、前面シート部20の下部20aの外面に対して対向するとともに、前面シート部20の下部20aの外面全体を覆うようになっている。また、折返接着部11の先端11bは、前面シート部20の下部20a外面の端縁部20bに当接するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートにより袋状に形成された包装袋の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂シートにより袋状に形成されたガゼット型の包装袋が知られている。たとえば、図13に示すように、特許文献1の包装袋においては、前面シート部101と背面シート部102とは熱溶着性を有する面が互いに向かい合うように配置されている。また、一対の折込シート部103は、熱溶着性を有する面が外側(山側)となるように二つ折り状態に折り込まれているとともに、前面シート部101及び背面シート部102の左右それぞれの側縁に沿って折り目が前面シート部101の幅方向中央を向くように配置されている。
【0003】
包装袋の底縁には、前面シート部101及び背面シート部102によって折込シート部103が挟み込まれた状態で熱溶着されることで、底縁接着部104が形成されている。底縁接着部104は、包装袋の左右方向において、中央が前面シート部101及び背面シート部102の二重構造となっており、左右両側が前面シート部101、背面シート部102及び二つ折り状態の折込シート部103の四重構造となっている。
【0004】
図13に示すように、包装袋には、上下方向に延びる四箇所の側縁接着部105が形成されている。側縁接着部105のうちの前面シート部101側の一つは、前面シート部101の一方の側縁とその側縁に対向配置されている折込シート部103の側縁とを接着することで形成され、もう一つは、前面シート部101の他方の側縁とその側縁に対向配置されている折込シート部103の側縁とを接着することで形成されている。また、背面シート部102の両側縁についても同様にして側縁接着部105が形成されている。包装袋の上縁には、前面シート部101及び背面シート部102によって折込シート部103が挟み込まれた状態で熱溶着されることで、上縁接着部106が形成されている。上述した底縁接着部104と同様に、上縁接着部106は、包装袋の左右方向において、中央が前面シート部101及び背面シート部102の二重構造となっており、左右両側が前面シート部101、背面シート部102及び二つ折り状態の折込シート部103の四重構造となっている。
【0005】
図13及び図14に示すように、包装袋の内部に内容物を充填した状態では、二つ折り状態に折り込まれた状態であった折込シート部103が広がって包装袋に前後方向の厚みが生じる。それに伴って、包装袋を構成する各シートは、底縁接着部104から所定長さ離間した位置で幅方向に延びる折り曲げ線Lに沿って折り曲げられて底面部100が形成される。このように構成された包装袋を自立させる際には、底縁接着部104が前面シート部101側又は背面シート部102側(図14では、前面シート部101側)に折り返され、底縁接着部104を含む底面部100が載置面に接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−282681号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図14に示すように、特許文献1の包装袋では、底縁接着部104が前面シート部101側に折り返されている。そのため、載置面に接触する底面部100の接触面は、その中央に配置される底縁接着部104の外面と、前面シート部101の下部101a外面と、背面シート部102の下部102a外面とを合わせた三つの外面から構成されることとなる。とくに、底縁接着部104は最も多層に接着及び折り曲げられているとともに、この底縁接着部104が底面部100の中央に存在にしていることによって包装袋の自立安定性が損なわれる可能性がある。
【0008】
たとえば、図14に示すように包装袋を自立させようとすると、載置面に接触するのは、底縁接着部104の外面と背面シート部102の下部102a外面とであって、前面シート部101の下部101a外面と載置面とは接触せずに隙間Gが生じることがある。この隙間Gは、底縁接着部104が上述したとおり二重構造、四重構造をなすために相応の剛性を有していて、折り返された底縁接着部104が前面シート部101の下部101a外面から離間するように起き上がろうとすることから発生する。こうした自立態様では、前面シート部101の下部101aの外面は、載置面に接触する接触面として構成されることは難しく、実際の接触面はそれだけ小さくならざるを得ない。したがって、前面シート部101の下部101a外面は、包装袋の自立安定性に貢献せず、包装袋の自立安定性が充分に確保できなくなる。
【0009】
本発明は、このような従来技術の事情を鑑みてなされたものであり、自立安定性を向上させた包装袋を製造できる包装袋の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、筒状をなす樹脂シートによって形成されるとともに該樹脂シートの下部縁が接着されて折返接着部が形成され、前記樹脂シートが互いに離間して収容空間が形成された袋状態になったときには、前記樹脂シートの下部が折り畳まれるとともに対向配置される樹脂シートの一方側へ前記折返接着部が折り返されて底面部が構成され、該底面部において前記折返接着部の先端が樹脂シートの一方側における下部外面の端縁部に当接している包装袋を製造する包装袋の製造装置であって、前記樹脂シートが前記袋状態とされた後に、前記折返接着部を、該折返接着部に対向配置される樹脂シートの一方側へ折り返すとともに、前記折返接着部を樹脂シートの一方側における下部外面に押し付ける折返手段を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、折返接着部の折り返し状態を保持させるとともに、前記折返接着部の先端を一方側の樹脂シートの下部外面の端縁部に当接させることを可能にする。そして、この製造装置で製造された包装袋は、袋状態にある場合に底面部の外面を他方側の樹脂シートの下部外面と折返接着部の外面との二つの面で構成させることが可能となる。これら二つの面は、連続した外面でもあるため、包装袋を自立させた際には、その全体が載置面に接触しやすく、包装袋の自立安定性の向上に寄与できる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の包装袋の製造装置であって、前記折返手段は、前記折返接着部を樹脂シートの一方側における下部外面から離間する方向に起き上げるガイド部材と、前記ガイド部材により起き上げられた前記折返接着部に接着層を設ける接着層付与部材と、前記接着層が設けられた前記折返接着部を、樹脂シートの一方側における下部外面に押し付けて接着する押付部材とで構成されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、折返接着部の起き上げ、接着層の付与、折り返し、接着という一連の作業を連続的に行うことができる。そして、この製造装置で製造された包装袋は、折返接着部が一方側の樹脂シートの下部外面から離れにくくなり、折返接着部の折り返し状態が安定する。仮に、折返接着部の折り返しに対する反発から折返接着部と一方側の樹脂シートの下部外面とが離れて、該下部外面と載置面との間が離れると、それだけ包装袋の自立安定性は低減する。この製造装置で製造された包装袋においては、そうした自立安定性の低減を抑制する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の包装袋の製造装置であって、前記ガイド部材は、上流側から下流側へと延びるとともに互いに対向配置された一対のレール部であり、一方のレール部と他方のレール部との間隔が下流側に向うほど小さくなることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、一対のレール部の間隔が変化することにより、各レール部と包装袋との相対位置も変化する。そして、この相対位置の変化をレール部による包装袋の折返接着部の起き上げに利用できる。したがって、簡便な構成で、折返接着部の起き上げを実行させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自立安定性を向上させた包装袋を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の包装袋の斜視図。
【図2】図1におけるA−A線断面図。
【図3】本発明の包装袋の正面図。
【図4】本発明の袋体の正面図。
【図5】本発明の包装袋の製造装置の側面図。
【図6】(a)は、包装袋の製造装置の上面図。(b)は、後側レール部及び前側レール部の上面図。
【図7】(a)は、図6(a)におけるA−A線断面図。(b)は、図6(a)におけるB−B線断面図。(c)は、図6(a)におけるC−C線断面図。(d)は、図6(a)におけるD−D線断面図。
【図8】(a)及び(b)は、本発明の雄刃型及び雌刃型の模式拡大図。
【図9】(a)は、変更例における雄刃型及び雌刃型の拡大斜視図、(b)は、変更例における雄刃型及び雌刃型の断面図。
【図10】(a)及び(b)は、変更例における樹脂シート(袋体)の正面図。
【図11】変更例における包装袋の正面図。
【図12】変更例における包装袋の正面図。
【図13】従来の包装袋の斜視図。
【図14】図13におけるA−A線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、包装袋の製造装置に関する一実施形態を図1〜図8にしたがって説明する。
先ず、本発明の包装袋の製造装置によって製造される包装袋であって、複数のシート材によりガゼット型の袋状に形成された包装袋10について図1〜図3にしたがって説明する。なお、以下の説明において、包装袋10の方向を示す場合には図1に示す、前後方向(厚み方向)、左右方向(幅方向)、及び上下方向(高さ方向)を基準として説明する。
【0019】
図3に示すように、熱可塑性樹脂からなるとともに片側の面が熱溶着性を有する前面シート部20は、長方形状の上側の両角部が略台形状に切除されたような形状を成しており、上側の部分の横幅が小さくなるように形成されている。また、前面シート部20の上縁部は、左右方向のそれぞれ外側に半円状に突出するように形成されている。一方、熱可塑性樹脂からなるとともに片側の面が熱溶着性を有する背面シート部25は、前面シート部20と同一の形状に形成されている。そして、前面シート部20及び背面シート部25は、互いの熱溶着性を有する面が向かい合うように対向配置されている。
【0020】
図示は省略するが片側の面が熱溶着性を有する折込シート部30は、二つ折り状態に折り込まれていない状態では、前面シート部20よりも横幅が小さく形成されている他は、その長さ寸法や側縁部の形状が前面シート部20と同様に形成されている。すなわち、折込シート部30は、横幅が前述した前面シート部20よりも短い長方形状において、その上方側の両角部が略台形状に切り取られたような形状を成している。このような形状に形成された折込シート部30は、熱溶着性を有する面が前面シート部20及び背面シート部25と向かい合う側(山側)となるよう二つ折り状態に折り込まれている。そして、図3に示すように、一対の折込シート部30は、前面シート部20と背面シート部25との間において、図3において点線で示す折り目30aが左右方向中央側を向くように、前面シート部20及び背面シート部25の左右それぞれの側縁に沿って配置されている。
【0021】
図3に示すように、各シート部が配置された包装袋10には、その底縁部が熱溶着されて折返接着部11が形成されている。折返接着部11は、その幅方向中央部分では、折込シート部30が挟み込まれておらず、前面シート部20と背面シート部25とが接着されて二重構造を成している。そして、折返接着部11は、前面シート部20と背面シート部25との間に折込シート部30が挟み込まれている幅方向両側部分では、前面シート部20とその前面シート部20に対向する折込シート部30とが接着されるとともに、背面シート部25とその背面シート部25に対向する折込シート部30とが接着された四重構造を成している。そして、折返接着部11(包装袋10)の下側両角部には、円弧状に面取りされた面取り部17が形成されている。
【0022】
図1に示すように、包装袋10には、略上下方向に延びる四箇所の側縁接着部12が形成されている。側縁接着部12のうち前面シート部20側の一つは、前面シート部20の一方の側縁部とその側縁部に対向配置されている折込シート部30の側縁部とを接着することで形成され、もう一つは、前面シート部20の他方の側縁とその側縁に対向配置されている折込シート部30の側縁とを接着することで形成されている。また、背面シート部25の両側縁部についても同様にして側縁接着部12が形成されている。図3に示すように、側縁接着部12は、その延設方向において略等幅で形成されている。そして、側縁接着部12において、包装袋10の横幅が小さくなっている部分には、包装袋10の上縁部を切り取って開封するための切込部18が形成されている。切込部18は、四箇所の側縁接着部12それぞれに一つずつ、上下方向同じ位置に形成されている。また、幅方向において、側縁接着部12は、その内側端12aから折込シート部30の折り目30aまでの最大長さが長さYに設定されている。
【0023】
図3に示すように、包装袋10の折返接着部11の上側に隣接する部分であって、前面シート部20と折込シート部30とが対向する部分には、左右方向両側に一つずつ下部接着部13が形成されている。同様に、包装袋10の折返接着部11の上側に隣接する部分であって、背面シート部25と折込シート部30とが対向する部分には、左右方向両側に一つずつ下部接着部13が形成されている。直角二等辺三角形状に形成された下部接着部13は、その直角のコーナ部が幅方向外側であって下方を向くように形成されている。そして、直角二等辺三角形状の下部接着部13の高さ(側縁接着部12の内側端12a側の長さ)は、長さZに設定されている。なお、長さZは、側縁接着部12の内側端12aから折込シート部30の折り目30aまでの長さYと等しく形成されている。
【0024】
図3に示すように、包装袋10には、その上縁部が熱溶着されて上縁接着部14が形成されている。この上縁接着部14は、上述した折返接着部11と同様に、二重構造あるいは四重構造を成している。すなわち、折込シート部30が挟み込まれていない左右方向中央部分では、上縁接着部14は、前面シート部20と背面シート部25とが接着されて二重構造を成している。そして、前面シート部20と背面シート部25との間に折込シート部30が挟み込まれている幅方向両側部分では、上縁接着部14は、前面シート部20とその前面シート部20に対向する折込シート部30とが接着されるとともに、背面シート部25とその背面シート部25に対向する折込シート部30とが接着された四重構造を成している。また、各シート部が接着されることにより、上縁接着部14においては、左右方向のそれぞれ外側に半円状に突出された部分も各シート部が接着されて保持部19が形成されている。
【0025】
上述のように形成された包装袋10は、前面シート部20と背面シート部25とが互いに離間することで内側に収容空間が形成され、その収容空間に内容物が充填される。このような袋状態の包装袋10では、図1及び図2に示すように、前面シート部20と背面シート部25とが離間するのに伴って二つ折り状態に折り込まれた各折込シート部30が押し広げられて前後方向の厚みを生じる。そして、包装袋10を構成する各シートは、折返接着部11の上側に隣接する部分が図3に図示する折り曲げ線Rに沿って折り曲げられて底面部10aが形成される。なお、本実施形態において、折り曲げ線Rは、左右一方の下部接着部13の上側の頂点と他方の下部接着部13の上側の頂点とを結ぶ直線である。
【0026】
ここで、包装袋10の厚みは、側縁接着部12の内側端12aから折込シート部30の折り目30aまでの長さYの2倍である。また、下部接着部13における側縁接着部12の内側端12a側の長さZは、長さYに等しい。したがって、図2に示すように、包装袋10をその左右方向中央で断面視すると、前面シート部20のうち、折返接着部11の基端11aから、その基端11aに対して長さZ離間した折り曲げ線Rまでの下部20aは、包装袋10の底面部10aをなすように収容空間側に折り曲げられている。そして、背面シート部25のうち、折返接着部11の基端11aから、その基端11aに対して長さZ離間した折り曲げ線Rまでの下部25aは、包装袋10の底面部10aをなすように収容空間側に折り曲げられている。また、包装袋10の左右方向両側における折込シート部30が挟み込まれている部分では、前面シート部20の下部20a及び背面シート部25の下部25aに対向する折込シート部30の下部も折り畳まれている。これら前面シート部20の下部20a、背面シート部25の下部25a、これらに対向する折込シート部30の下部、及び折返接着部11で底面部10aが構成される。
【0027】
図2に示すように、袋状態では、包装袋10の折返接着部11は、その先端11bが前面側を向くように、前面シート部20側に折り返されている。本実施形態では、折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さXは、前面シート部20の下部20aの前後方向の長さZ(長さY)と等しく形成されている。したがって、袋状態の包装袋10においては、折返接着部11は、前面シート部20の下部20aの外面に対して対向するとともに、前面シート部20の下部20aの外面全体を覆うようになっている。また、折返接着部11の先端11bは、前面シート部20の下部20a外面の端縁部20bに当接するようになっている。そして、袋状態の包装袋10を自立させた状態では、底面部10aのうち、背面シート部25の下部25aの外面と折返接着部11の外面との二箇所の面によって、載置面に対する接触面が構成される。なお、これら二箇所の面は、いずれも背面シート部25の一方の面(外側面)によって構成される連続した面である。
【0028】
図2に示すように、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間には接着層40が介在されている。本実施形態における接着層40は、溶融状態で付与され、固化することによって接着性を発揮する、所謂ホットメルト接着剤で構成されている。図3においてその付与位置Tを模式的に図示しているように、接着層40は、折返接着部11において、基端11aから先端11bまでの長さ方向中央で左右方向に並ぶように3箇所付与されている。この接着層40により、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とが接着されており、折返接着部11が折り返し状態で固定されて前面シート部20の下部20aの外面から離れにくくなっている。
【0029】
また、図2に示すように、接着層40は、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間に形成される空間Sを埋めるスペーサ部材としても機能している。すなわち、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間において、とくに、折返接着部11の基端11a側(包装袋10の前後方向中央側)近傍には、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とが直接的に接触しにくい部分が存在しており、これらが接触しない場合には空間Sが生じている。この空間Sの一部にスペーサ部材としての接着層40が介在されており、折返接着部11の一部が接着層40(スペーサ部材)に当接しているとともに、前面シート部20の下部20aの外面の一部が接着層40(スペーサ部材)に当接している。
【0030】
次に、包装袋の製造装置について図4〜図8にしたがって説明する。
図5に示すように、本実施形態の製造装置には、帯状の樹脂シートを袋状に形成する製袋機Pと、その製袋機Pによって袋状に形成された樹脂シートに内容物を充填して密封する充填機Fとが設けられている。製袋機P及び充填機Fとしては、後述する貫通孔52を形成する点以外は、たとえば特許文献1の製袋充填機のような一般的に使用可能な製袋機及び充填機が採用できるため詳細な図示は省略し、以下にその作用の概要を例示する。
【0031】
製袋機Pには、4枚の帯状の樹脂シートが供給される。これら4枚の帯状の樹脂シートのうち2枚は、熱溶着性を有する面が互いに向かい合うように配置される。残りの2枚は、その長手方向に沿って二つ折り状態に折り込まれ、対向配置された2枚の樹脂シートの間においてその側縁に沿って配置される。すなわち、2枚の樹脂シートは、製造される包装袋10の前面シート部20及び背面シート部25を構成し、残りの2枚は、一対の折込シート部30を構成する。
【0032】
製袋機Pには、上述のように配置された4枚の樹脂シートをそれらの長手方向(製造しようとする袋体50の上下方向)に沿って搬送する搬送ローラが設けられている。この搬送ローラは、図4に示すように、製造しようとする袋体50の上下方向の長さよりも長く設定された所定の搬送長さW毎に、間欠的に帯状の樹脂シートを上流側から下流側へと搬送する。そして、製袋機Pには、長手方向に沿って折り込まれた樹脂シート(各シート部)の側縁接着部12とその側縁接着部12よりも左右外側(側縁余白部分54)を接着する側縁シーラ部が設けられている。樹脂シートを挟み込んで接着する側縁シーラ部は、左側及び右側にそれぞれ1つずつ、樹脂シートの搬送方向に沿って延びるように配設されている。左側の側縁シーラ部のシーラ面は、下流側においては横幅が一定の幅に形成されているとともに上流側においては、右側の側縁シーラ側に向かうように横幅が大きくなっている。同様に、右側の側縁シーラ部のシーラ面は、下流側においては横幅が一定の幅に形成されているとともに上流側においては、左側の側縁シーラ側に向かうように横幅が大きくなっている。すなわち、各側縁シーラ部は、図4に図示する袋体50の側縁接着部12及びその外側の側縁余白部分54の接着部を同時に接着する。
【0033】
また、製袋機Pには、樹脂シートの所定の位置に貫通孔52を形成する穿孔装置が設けられている。穿孔装置は、図4に示すように、充填機Fによって形成される袋体50(包装袋10)の上側左右両端部にそれぞれ一つずつ計二つの円形状の貫通孔52を形成する。なお、これら2つの貫通孔52の間隔は、後述する雄刃型84の二つの位置決めピン85の間隔と同じになるように形成されている。
【0034】
充填機Fには、製袋機Pによって側縁接着部12が形成された各樹脂シートを接着して密閉する密閉シーラ部が設けられている。密閉シーラ部のシーラ面は、四角形部分の上縁両側それぞれに、直角二等辺三角形の直角のコーナ部が幅方向外側を向くように接続されたような形状を成している。つまり、密閉シーラ部のシーラ面は、その四角形部分で、図4に図示した下流側の袋体50の上縁接着部14、上縁接着部14よりも上方及び左右外側の上縁余白部分51、図4に図示する上流側の袋体50の折返接着部11を接着すると同時に、直角三角形部分で上流側の袋体50の下部接着部13を接着する。なお、密閉シーラ部によって下流側の袋体50及び上流側の袋体50の双方に跨って接着部が形成されることになるが、その接着部の形成時における上流側の袋体50では上縁接着部14及び上縁余白部分51の接着部は形成されていない。したがって、上流側の袋体50は、各樹脂シートが互いに離間することで袋体50の上縁部及び上縁余白部分51は開口可能な袋状態となっている。
【0035】
充填機Fには、上述の袋状態にある上流側の袋体50について上縁部及び上縁余白部分51の開口を介して内容物を充填する充填部が設けられている。充填部は、密閉シーラ部によって形成された折返接着部11及び下部接着部13よりも上流側であって、4枚の樹脂シートによって囲われた収容空間内に内容物を充填する。内容物が充填された樹脂シートは、前述した搬送長さW分下流側に搬送され、密閉シーラ部によって上縁接着部14及び上縁余白部分51の接着部が形成されて密閉される。
【0036】
一方、充填機Fには、密閉シーラ部によって接着された部分を切断する切断刃が設けられている。この切断刃は、搬送された樹脂シートを挟み込むことができるように前面シート部20を構成する樹脂シート側、及び背面シート部25を構成する樹脂シート側に配置された一対の刃型で構成されている。また、一対の刃型のうち一方には凸部が形成されているとともに他方には凹部が形成されており、これら凹部及び凸部の外縁は、左右方向に延びる直線の左右両側が上側に向って円弧状に湾曲したような形状に形成されている。そして、一対の刃型は、搬送された各樹脂シートが停止したときに、上流側の樹脂シートの折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さが所定の長さXとなる位置で切断できるように、その設置位置が設定されている。また、一対の刃型による切断に伴って樹脂シート(折返接着部11)に面取り部17が形成される。したがって、図4に示すように、切断刃よりも下流側の樹脂シート(袋体50)には、面取り部17の形状に対応して円弧状に上方に突出する突出部53が形成される。なお、切断刃による樹脂シートの切断の際、切断刃と樹脂シート(袋体50)との位置関係は、上述した製袋機Pの搬送ローラの搬送長さWによって規定される。
【0037】
上述した製袋機P及び充填機Fによって袋状に形成されるとともに内容物が充填された袋体50が製造される。この袋体50は、図4において上流側の袋体50から下流側の袋体50が切り離された形状を成しており、この時点では正面視略長方形状に形成されている。つまり、袋体50の前面シート部20及び背面シート部25の上方向における両角部は、まだ、切り取られていない状態である。
【0038】
さらに、袋体50は、側縁接着部12及び上縁接着部14に基づき、収容空間側と目印部側とが区画されている。具体的には、本実施形態では、図4に示すように、袋体50を構成する各樹脂シートが接着されておらず、袋体50の収容空間を構成する部分を収容空間側とし、樹脂シートが切除されて包装袋10として製造された場合における側縁接着部12の上側端12b及び上縁接着部14の外側端14aよりも外側を貫通孔52が形成される目印部側としている。すなわち、本実施形態において、上縁余白部分51及び側縁余白部分54は、袋体50の目印部側の部分を構成する。なお、図4では、側縁接着部12と側縁余白部分54との境界である側縁接着部12の上側端12b、及び上縁接着部14と上縁余白部分51との境界である上縁接着部14の外側端14aについて、破線で図示している。
【0039】
次に、仕上機60の装置構成について図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、各加工工程に供される前の状態における袋状の樹脂シートを袋体50と表現し、上述した包装袋10と共通する部分については同一の符号で表現する。
【0040】
図5に示すように、床面上に設置される搬入装置61には、複数の支持脚62よって支持されるとともに内部に空間を有する搬入装置ハウジング63が形成されている。搬入装置ハウジング63内には、駆動ローラ64aが搬入装置ハウジング63に対して回転可能に軸支されているとともに、駆動ローラ64aは、搬入装置ハウジング63に内蔵された図示しないモータ等に駆動連結されている。また、搬入装置ハウジング63内には、複数のプーリ64bが搬入装置ハウジング63に対して回転可能に軸支されている。これら駆動ローラ64a及び複数のプーリ64bには、コンベアベルト64が掛け回されている。駆動ローラ64aに駆動連結されたモータ等の駆動は、図示しない制御装置によって制御され、駆動ローラ64aの回転に基づきコンベアベルト64が回転(移動)する。
【0041】
図5に示すように、袋体50の搬送方向(図5において左右方向)において、搬入装置61の下流側(図5において右側)には、袋体50の折返接着部11の折り返し及び袋体50の樹脂シートの切除を行う仕上機本体70が床面上に設置されている。仕上機本体70には、複数の支持部71によって支持される四角筒状の本体ハウジング72が形成されている。この本体ハウジング72は、袋体50の搬送方向に沿って延設され、本体ハウジング72の一方の開口から袋体50が搬入されるとともに他方の開口から袋体50が搬出される。
【0042】
図6(a)に示すように、本体ハウジング72の内部には、本体ハウジング72の内壁に後側レール部73及び前側レール部74が袋体50の搬送方向に沿って固定されている。図6(b)に示すように、後側レール部73及び前側レール部74は、互いに平行になるように対向配置されている。また、後側レール部73の高さ位置(底壁部73b上面の高さ位置)は、搬入装置61のコンベアベルト64の上面と略同一になるように設定されている。
【0043】
図7(a)〜(d)に示すように、後側レール部73は、縦壁部73aとその縦壁部73aの下方から前側レール部74側へと延びる底壁部73bとで構成された断面略L字状に形成されている。底壁部73bの前側レール部74側への延出長は、内容物が充填された袋体50の前後方向の厚みの2分の1よりもわずかに小さく形成されている。図7(b)に示すように、前側レール部74は、縦壁部74aとその縦壁部74aの下方から後側レール部73側へと延びるガイド部75とで構成されている。また、図6(b)に示すように、ガイド部75の後側レール部73側への延出長は、下流側の所定の地点Qまでは、ガイド部75の先端面75aと後側レール部73の底壁部73bとの間隔が搬送方向下流側に向うにしたがって徐々に小さくなるように形成されている。そして、地点Qにおいては、前側レール部74は、その断面形状が後側レール部73の断面形状と同じ略L字状に形成されている。一方、地点Qよりも下流側においては、ガイド部75は形成されていない。また、図7(c)及び(d)に示すように、地点Qよりも下流側においては、前側レール部74の縦壁部74aの下端部分が所定長さ切り欠かれているため、後側レール部73の底壁部73b上面よりも下方に縦壁部74aが存在しないようになっている。
【0044】
図5に示すように、本体ハウジング72内の上流側において、本体ハウジング72には、袋体50の搬送方向に直交する水平方向において対向配置された一対の取込コンベア76がそれぞれ支持されている。具体的には、図6(a)に示すように、本体ハウジング72の前側の内側壁には、前側レール部74の上流側端部に隣接する位置に、前側(図6(a)において下側)の取込コンベア76の駆動ローラ76aが回転可能に装着されている。この駆動ローラ76aはモータ等に駆動連結されているとともに、そのモータ等の駆動が制御手段によって制御されている。本体ハウジング72の前側の内側壁には、駆動ローラ76aよりも上流側(図6(a)において左側)の位置に取込コンベア76のプーリ76bが回転可能に装着されている。これら駆動ローラ76a及びプーリ76bには、コンベアベルト76cが掛け回されており、駆動ローラ76aの回転駆動に伴ってコンベアベルト76cが移動する。後側(図6(a)において上側)の取込コンベア76についても同様にして、本体ハウジング72の後側の内側壁に対して回転可能に駆動ローラ76a及びプーリ76bが装着されており、これら駆動ローラ76a及びプーリ76bには、コンベアベルト76cが掛け回されている。なお、図6(a)において、後側の取込コンベア76の一部は、チェーンコンベア部78によって隠された状態で図示されている。
【0045】
図6(a)に示すように、本体ハウジング72には、チェーンコンベア部78の二つの駆動ローラ78aがそれぞれ本体ハウジング72に対して回転可能に軸支されている。各駆動ローラ78aは、後側レール部73よりも後側(図6(a)において上側)において、後側レール部73の上流側端部及び下流側端部の近傍で軸支されており、それぞれ図示しないモータ等に駆動連結されている。二つの駆動ローラ78aにはチェーン78bが掛け回されているとともに、チェーン78bの外側面には所定間隔毎に袋体50を下流側へと押し出すための爪部78cが突設されている。爪部78cは、前側(図6(a)において下側)に配置された状態では、後側レール部73の底壁部73b及び前側レール部74のガイド部75の直上に位置するようになっている。なお、二つの駆動ローラ78aに駆動連結されたモータは、図示しない制御手段によって駆動と停止とを繰り返すように制御され、各駆動ローラ78aの駆動に伴って、チェーン78b及び爪部78cが間欠的に移動する。すなわち、本実施形態におけるチェーンコンベア部78は、間欠チェーンコンベアとして構成されている。
【0046】
図5に示すように、本体ハウジング72の内壁上面には、切除装置82の基部83が固定されている。基部83は、図6(a)に示すように、後側レール部73及び前側レール部74の直上であって地点Qよりも上流側に配置されるように、その固定位置が設定されている。基部83には、本体ハウジング72に内蔵された流体圧発生装置81から流体(たとえば空気)が供給される四つの駆動シリンダが内蔵されている。複数の駆動シリンダのうち二つの駆動シリンダのピストンロッドの先端には、それぞれ刃部としての雄刃型84が連結されている。一方、残りの二つの駆動シリンダのピストンロッドの先端にはそれぞれ刃部としての雌刃型86が連結されているとともに、雌刃型86は雄刃型84に対向配置されている。すなわち、本実施形態では、雄刃型84及び雌刃型86で構成される一対の刃型が2セット設けられている。雄刃型84及び雌刃型86は、それぞれ駆動シリンダに流体が給排されることにより、対向面同士が当接して樹脂シートを挟み込んで切断する切除位置と、各対向面が互いに最大に離間した離間位置との間を移動する。なお、流体圧発生装置81から各駆動シリンダへの流体の給排、すなわち雄刃型84及び雌刃型86の移動は、制御手段によって制御されている。
【0047】
図8に示すように、一対の刃型のうちの雌刃型86には、袋体50の接着部上を切断するための凹部87が形成されているとともに、雄刃型84には、雌刃型86の凹部87に対応した形状の凸部(図示略)が形成されている。具体的には、図8(a)に図示するように、雌刃型86の凹部87は、下側部分では左右方向の幅が上方に向うほど狭くなるとともに、上側部分では左右方向の幅が略一定に形成されている。また、凹部87は、左右方向の幅が略一定に形成されている部分において中央側に三角形状に食い込むように形成された部分を有し、左右方向の幅が略一定に形成されている部分の上側において、左右方向のそれぞれ外側に半円状に突出するように形成されている。すなわち、雌刃型86の凹部87の外縁87aは、製造しようとする包装袋10の側縁接着部12の上側端12b及び上縁接着部14の外側端14aに沿う形状に形成されている。そして、雄刃型84の凸部は、雌刃型86の凹部87に嵌るように略同一形状に形成されている。なお、図8では、基部83の図示を省略するとともに、雄刃型84及び雌刃型86による袋体50の切断位置(側縁接着部12の上側端12b及び上縁接着部14の外側端14a)を模式的に破線で図示している。
【0048】
図8に示すように、雄刃型84において、雌刃型86と対向する面には、凸部よりも外縁側において、断面円形状の棒状で先端が半球面状に形成された検出部としての二つの位置決めピン85が雌刃型86に向って突出している。また、雌刃型86には、凹部87よりも外縁側において、位置決めピン85が貫通することのできる収容部としての二つのピン収容孔88が形成されている。二つのピン収容孔88は、それぞれ位置決めピン85の断面形状と同じ円形状に開口するように形成されているとともに、その間隔が位置決めピン85の間隔と同じになるよう形成されている。なお、上述したとおり、袋体50の二つの貫通孔52の間隔は、二つの位置決めピン85の間隔と同じとなるように形成されているため、二つの位置決めピン85、二つのピン収容孔88、及び袋体50の二つの貫通孔52の間隔はいずれも同じになっている。
【0049】
図8に示すように、雌刃型86の凹部87が形成されていない部分において、凹部87の上方に1つ、凹部87の左右両方向に1つずつ、計3つの吸引孔89が穿設されている。これら吸引孔89は、凹部87の外縁87aに対して所定の間隔で配置されており、雄刃型84及び雌刃型86が袋体50を挟み込んだ切除位置にある場合に、吸引孔89の開口全体が袋体50(背面シート部25)によって塞がれるようになっている。また、各吸引孔89には、吸引ポンプが接続されており、吸引孔89の雄刃型84側からその反対側へと空気を吸引するようになっている。なお、吸引ポンプの駆動(空気の吸引)は、制御装置によって雄刃型84及び雌刃型86の移動と同期するように制御されている。
【0050】
切除装置82には、雄刃型84と雌刃型86とを近づける際のピストンロッドの位置変化を監視する図示しない貫通エラー検出装置が内蔵されている。この貫通エラー検出装置は、雄刃型84と雌刃型86とを近づける際の両刃型の位置変化をピストンロッドの位置変化として検出し、その位置変化の推移が所定の許容範囲外となった場合に、位置決めピン85が袋体50の貫通孔52に貫通していないエラー状態と判断する。エラー状態と判断した場合は、貫通エラー検出装置は、貫通エラー信号を制御手段に出力する。なお、貫通エラー信号が出力された場合には、制御手段は、モータや流体圧発生装置の駆動を停止させ、仕上機本体70を含む仕上機60全体の動作を停止させる。
【0051】
図5に示すように、本体ハウジング72の内部には、後側レール部73及び前側レール部74の下方であって地点Qよりも下流側に位置するように接着層付与部材79が支持されている。接着層付与部材79は、ホットメルト接着剤が収容される収容体79aとそのホットメルト接着剤を溶融状態で吐出するグルーガン79bとで構成されており、グルーガン79bからの接着剤の吐出タイミングは制御手段により制御されている。また、図7(c)に示すように、接着層付与部材79のグルーガン79bは、後述する袋体50の折返接着部11において基端11aから先端11bまでの長さ方向中央に接着層40を付与することができるように、上下方向において前側レール部74に近接配置されている。
【0052】
図5に示すように、本体ハウジング72の内部には、袋体50に対して押し付け操作を行う2セットの押付機80が支持されている。押付機80は、後側レール部73及び前側レール部74の下方であって、接着層付与部材79よりも下流側に位置するように本体ハウジング72に対する支持位置が設定されている。押付機80の本体部80aには、図示しない駆動シリンダが内蔵されており、また、この駆動シリンダには、本体ハウジング72に内蔵された流体圧発生装置81から流体が供給され、駆動シリンダのピストンロッドが上下方向に移動可能にされている。本体部80aの駆動シリンダのピストンロッドには、押付部材80bが連結されており、ピストンロッドの移動に伴って上下方向に移動可能とされている。なお、流体圧発生装置81から本体部80aの駆動シリンダへの流体の供給は、制御手段によって制御されている。図7(d)に示すとおり、押付部材80bの上面は平面状に形成されており、押付部材80bは、その平面状の上面が後側レール部73の底壁部73bの上面に対して面一となる押付位置と、後側レール部73の底壁部73bの下面よりも下方の退避位置との間で上下方向に移動する。また、本体部80aには、図示しない電熱ヒータが内蔵されており、この電熱ヒータにより押付部材80bが加熱可能になっている。
【0053】
図5に示すように、仕上機本体70の下流側には、製造された包装袋10を所定位置に搬出するための搬出装置65が床面上に設置されている。この搬出装置65は、上述した搬入装置61と同様の構成となっている。すなわち、搬出装置65には、複数の支持脚66よって支持されるとともに内部に空間を有する搬出装置ハウジング67が形成されている。搬出装置ハウジング67内には、図示しないモータ等に駆動連結される駆動ローラ68aが搬出装置ハウジング67に対して回転可能に軸支されている。また、搬出装置ハウジング67内には、複数のプーリ68bが搬出装置ハウジング67に対して回転可能に軸支されている。これら駆動ローラ68a及び複数のプーリ68bには、コンベアベルト68が掛け回されている。駆動ローラ68aの回転速度は、制御装置によって制御され、駆動ローラ68aの回転に基づきコンベアベルト68が回転(移動)する。
【0054】
次に、包装袋の製造装置の作用、とくに、仕上機60の作用について図4〜図8にしたがって説明する。
本実施形態では、充填機Fの切断刃によって切断された袋体50が搬入装置61のコンベアベルト64上に落下して自立するようになっている。なお、充填機Fからは、折返接着部11の先端11bがある一定の方向を向くように傾斜した状態で袋体50が排出される。そのため、落下して自立したいずれの袋体50についても、折返接着部11の先端11bが同じ方向を向くように折り返される。そして、袋体50は、後側レール部73及び前側レール部74へと搬送された際に、先端11bが折り返された前面側が前側レール部74側となるように搬入装置61に落下する。
【0055】
搬入装置61から一対の取込コンベア76へと送り出された袋体50は、一対の取込コンベア76の各コンベアベルト76cによって後側レール部73及び前側レール部74上に送り出される。このとき、一対の取込コンベア76の駆動ローラ76aに駆動連結されたモータ等は、制御手段によりチェーンコンベア部78の間欠動作に合わせて駆動するように制御され、一対の取込コンベア76は、チェーンコンベア部78の間欠動作に合わせて1つずつ袋体50を下流側へと送り出す。後側レール部73及び前側レール部74上に送り出された袋体50は、チェーンコンベア部78の爪部78cによって下流側への搬送と停止とを繰り返しながら後側レール部73及び前側レール部74上を下流側へと送り出される。このとき、図6(b)及び図7(b)に図示するように、前側レール部74のガイド部75の先端面75aと後側レール部73の底壁部73bとの間隔は、上流側から下流側の地点Qへと向うにしたがって小さくなる。したがって、地点Qへと向かうにつれて、内容物の重量により前面側に折り返された折返接着部11は、ガイド部75の先端面75aに押し出されるようにして、前面シート部20の下部20aの外面から離間する方向に起き上げられる。
【0056】
一方、後側レール部73及び前側レール部74上において、切除装置82の各刃型に対応する位置まで送り出された袋体50は、切除装置82によって上縁余白部分51及び側縁余白部分54が切除される。切除装置82の切除動作は、チェーンコンベア部78が2回の搬送動作を行った後、次の搬送動作を行うまでの袋体50が停止している期間に実行されるように制御されている。したがって、本実施形態においては、切除装置82の2セットの刃型によって二つの袋体50の切除が同時に行われる。切除装置82による切除に際しては、図8(a)及び(b)に図示するように、先ず、袋体50に形成された貫通孔52に、雄刃型84の位置決めピン85を貫通させる。このとき、袋体50の貫通孔52と位置決めピン85との位置関係が多少ずれていたとしても、貫通孔52が位置決めピン85の先端の半球面に案内されつつ、貫通孔52に位置決めピン85が貫通される。そして、位置決めピン85が貫通された袋体50は、その上下方向及び左右方向の移動が規制され、雄刃型84に対して上下方向及び左右方向に正確に位置決めされた状態となる。
【0057】
一方、貫通孔52に位置決めピン85が貫通されなかった場合、位置決めピン85によって袋体50が雌刃型86側へと押し出されるとともに、袋体50を構成する樹脂シートによって雌刃型86のピン収容孔88の開口が塞がれたようになる。そのため、位置決めピン85の先端が袋体50を構成する樹脂シートに遮られて、位置決めピン85がピン収容孔88に収容できなくなる。位置決めピン85がピン収容孔88に収容できないと、雄刃型84と雌刃型86とがそれ以上近づき難くなる。このような雄刃型84及び雌刃型86の位置変化の推移は、ピストンロッドの位置変化の推移として貫通エラー検出装置によって把握され、その位置変化の推移が許容範囲外となったときにエラー検出装置によってエラー信号が出力される。なお、エラー信号が出力されない場合は、エラー信号は出力されず、位置決めピン85が貫通孔52を検出して、貫通孔52を貫通しているとみなされる。
【0058】
位置決めピン85による袋体50の位置決め後、その状態で、雄刃型84と雌刃型86とが切除位置へと移動されて袋体50を挟み込んで切除する。具体的には、雄刃型84及び雌刃型86は、袋体50の接着部上であって側縁接着部12の上側端12b及び上縁接着部14の外側端14aを切断位置として切断し、これにより袋体50の上縁余白部分51及び側縁余白部分54が切除される。このとき、貫通孔52は、切除される上縁余白部分51(目印部側)に形成されているため、各余白部分が切り離された袋体50には、貫通孔52は残存しないこととなる。
【0059】
また、図8(b)に図示するように、雄刃型84を雌刃型86に近づけていく際、雄刃型84の位置決めピン85は、雌刃型86のピン収容孔88に収容される。このとき、位置決めピン85は、その基端側が雄刃型84に固定されているとともに、その先端側がピン収容孔88の内側に当接して支持される。そのため、位置決めピン85は、雄刃型84と雌刃型86とによって両端が支持されたようになる。
【0060】
一方、雄刃型84及び雌刃型86が切除位置に移動すると、吸引ポンプが駆動されて吸引孔89を介して雄刃型84側から空気が吸引される。ここで、雄刃型84及び雌刃型86が切除位置にある場合、各吸引孔89の雄刃型84側の開口は、袋体50(背面シート部25)によって塞がれている。そのため、吸引ポンプの吸引力によって、切り離された袋体50の各余白部分が雌刃型86の各吸引孔89に吸い付いたようになる。この状態で、雄刃型84及び雌刃型86を離間位置へと移動させていくと、袋体50の各余白部分は雌刃型86に吸い付いた状態である一方、雄刃型84及び位置決めピン85が雌刃型86に対して離間するため、袋体50の各余白部分は、位置決めピン85から抜き取られることとなる。雄刃型84及び雌刃型86が離間位置に達すると吸引ポンプの駆動が停止され、袋体50の余白部分は、雌刃型86から脱落して切除カス(トリミングカス)として廃棄される。
【0061】
図5及び図7(c)に示すように、各余白部分が切除された袋体50は、後側レール部73及び前側レール部74上において地点Qよりも下流側で、接着層付与部材79によって折返接着部11に接着層40が付与される。本実施形態では、接着層付与部材79のグルーガン79bから袋体50の折返接着部11に向けて溶融状態のホットメルト接着剤を吐出して、折返接着部11に接着層40を付着させる。このグルーガン79bは、チェーンコンベア部78の搬送動作に同期して、3回接着剤を吐出するように制御されている。具体的には、間欠動作するチェーンコンベア部78が搬送を開始した時点からの時間を基準として、所定の時間が経過したら上記の接着剤の吐出動作を3回連続して行う。これにより袋体50の折返接着部11がグルーガン79bの先端側(図7(c)において右側)を横切る間に、袋体50の折返接着部11には、左右方向3箇所(図3において付与位置T)に接着層40が付与される。
【0062】
図5及び図7(d)に示すように、接着層40が付与された袋体50は、さらに下流側の押付部材80bへと送り出されて、押付機80の押付部材80bによって折返接着部11が前面側へと折り返されて包装袋10が製造される。押付機80の押付動作は、チェーンコンベア部78が2回の搬送動作を行った後、次の搬送動作を行うまでの袋体50が停止している期間に実行されるように制御されている。したがって、本実施形態では、2セットの押付機80によって二つの袋体50への押付操作が同時に行われる。図7(d)に示すように、押付部材80bは、上方へと移動されることにより折返接着部11を下方から上方へと持ち上げるようにして前面側へと折り返す。それと同時に、折返接着部11を前面シート部20の下部20aの外面に押し付けることで、接着層40を介して折返接着部11を前面シート部20の下部20aの外面とを接着する。また、この押し付けによって、折返接着部11に付与された接着層40が広がって、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間に形成された空間Sの一部を埋めるようになる。なお、押付部材80bは加熱可能であるため、仮に、接着層40が多少冷えて固まったとしても、押付部材80bにより再加熱されて溶融し、接着性を発揮させることができる。このようにして製造された包装袋10は、仕上機本体70の下流に設置された搬出装置65に送り出されるとともに、搬出装置65によって所定場所へと送り出される。
【0063】
上記実施形態の包装袋10及び包装袋10の製造装置によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)袋状態にある包装袋10において、底面部10aの外面は、背面シート部25の下部25aの外面と折返接着部11の外面との二つの面で構成させることが可能となる。これら二つの面は、背面シート部25によって構成される連続した外面でもあるため、包装袋10を自立させた際には、その全体が載置面に接触しやすく、包装袋の自立安定性の向上に寄与できる。
【0064】
(2)折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とが接着層40によって接着されているため、折返接着部11が前面シート部20の下部20aの外面から離れにくくなり、折返接着部11の折り返し状態が安定する。すなわち、折返接着部11の折り返しに対する反発から折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とが離れて、前面シート部20の下部20aの外面と載置面との間に空間が形成されると、それだけ包装袋10の自立安定性は低減する。上記の接着構成によれば、そうした自立安定性の低減を抑制する。
【0065】
(3)上記実施形態では、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間にスペーサ部材(接着層40)が介在されていることから、互いに対向配置される折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とがスペーサ部材を介して接触し、これら二つの面の実質的な接触域を拡大させることができ、それだけ包装袋10の自立安定性が向上する。
【0066】
(4)上記実施形態では、接着層40としてホットメルト接着剤を採用することで、接着層40が接着剤としての機能に加えてスペーサ部材としての機能を発揮できるようにしている。したがって、スペーサ部材を別途設ける必要がなく、包装袋10の製造装置の構成を簡略化できる。
【0067】
(5)折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さXは、下部接着部13の側縁接着部12の内側端12a側の長さZと等しく形成されている。この長さZは、底面部10aにおける前面シート部20の下部20aの前後方向の長さに相当する。したがって、これらの長さ寸法の関係によれば、折返接着部11の先端11bを前面シート部20の下部20aにおける端縁部20bに確実に当接可能とさせつつ、折返接着部11が端縁部20bよりも前方に飛び出ることを抑制することができる。
【0068】
(6)折返接着部11の角部が面取りされて面取り部17が形成されているため、折返接着部11が手指や衣服に引っかかることを抑制することができる。とくに、上述したとおり、折返接着部11の先端11bは、下部20aの端縁部20bにまで至っており、仮に面取り部17が形成されていないと、折返接着部11の角部が手指や衣服に引っかかる可能性は高い。折返接着部11の面取り部17によれば、このような事態が発生することを抑制することができる。
【0069】
(7)上記実施形態では、袋体50(包装袋10)に貫通孔52を設けている。この貫通孔52には、切除装置82による切除の際に、雄刃型84の位置決めピン85が貫通され、この貫通関係により、袋体50の雄刃型84に対する上下方向及び左右方向の正確な位置決めが可能となる。したがって、袋体50の貫通孔52と雄刃型84の位置決めピン85との関係によれば、袋体50の各余白部分を正確に切除することができる。また、上記実施形態では、貫通孔52を上縁余白部分51に形成しており、この上縁余白部分51は、切除装置82によって切除されて切り離される部分である。したがって、完成した包装袋10には貫通孔52は残らず、貫通孔52の存在によって包装袋10のデザイン性が低下してしまうことを抑制することができる。
【0070】
(8)上記実施形態では、包装袋10の四箇所の側縁接着部12それぞれに切込部18を形成している。たとえば、包装袋10の右側から切込部18を起点として切り取る場合、前面シート部20及び背面シート部25及び右側の折込シート部30については、左側へと切り取ることができる。しかしながら、左側の折込シート部30は、折り目30aが右側を向くように折り込まれており、左側への切り取り操作によっては切り取ることが難しい。上記実施形態では、四箇所の側縁接着部12それぞれに切込部18を形成することで、たとえば、右側から切り取りつつ左側からも切り取って、包装袋10の上縁接着部14を確実に切り離すことが可能である。
【0071】
(9)上記実施形態では、上縁接着部14の左右方向両端に外方に向って突出する保持部19を形成しているため、この保持部19に手指や器具等を引っ掛けて包装袋10の上縁接着部14を保持しやすい。したがって、包装袋10の保持や、上縁接着部14の切り取り操作等が行いやすくなる。
【0072】
(10)仕上機60の押付機80によれば、折返接着部11の折り返し状態を保持させるとともに、折返接着部11の先端11bを下部20aの端縁部20bに当接させることを可能にする。
【0073】
(11)上記実施形態の仕上機60には、前側レール部74のガイド部75、接着層付与部材79及び押付機80が設けられており、これらの構成によって、袋体50(包装袋10)が送り出されるに伴って、折返接着部11の起き上げ、接着層40の付与、折返接着部11の折り返し及び接着を連続的に行うことが可能である。
【0074】
(12)押付部材80bは、加熱可能であるため、仮に、接着層付与部材79によって付与された接着層40が押付部材80bまでの間に固化して、接着性を発揮できなくなったとしても、押付部材80bによって接着層40を再溶融させてその接着性を発揮させることができる。
【0075】
(13)後側レール部73及び前側レール部74の間隙の変更と、袋体50に対する爪部78cの押し出し力とを活用して折返接着部11の起き上げを実現している。したがって、折返接着部11の起き上げは、無理なく徐々に実現することができるとともに、確実に実現することができる。
【0076】
(14)地点Qよりも下流側においては、前側レール部74には、ガイド部75が形成されていないとともに縦壁部74aの下端部分が所定長さ切り欠かれており、接着層付与部材79のグルーガン79bをより上方に配置することができる。したがって、小型な袋体50で折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さXが短くても、接着層40を付与することができる。
【0077】
(16)上記実施形態では、貫通エラー検出装置を設け、貫通エラー信号が出力された場合には仕上機60全体の動作を停止させる。したがって、位置決めピン85が貫通孔52を貫通せず、切除装置82による袋体50の切除が行えないにも拘わらず、次々に袋体50が切除装置82に搬送されるといった事態が発生することはない。
【0078】
(17)上記実施形態では、雄刃型84に位置決めピン85を形成しており、両者の位置関係は常に固定されているため、これら雄刃型84と位置決めピン85との位置関係を微調整するといったメンテナンス作業は不要となる。
【0079】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよく、また、以下の変更例を組み合わせて適用してもよい。
・ 折返接着部11の折返の方向は、背面シート部25側に変更可能である。この場合、折返接着部11の先端は背面シート部25における下部25a外面の端縁に当接することとなる。
【0080】
・ 包装袋10(前面シート部20)の形状は問わない。たとえば、前面シート部20の上方側の両角部を切り取らず、前面シート部20を長方形状に形成してもよい。また、前面シート部20を上方ほど幅が小さくなるテーパ状や上方ほど幅が大きくなる逆テーパ状に形成してもよいし、これらを組み合わせたような複雑な形状としてもよい。なお、背面シート部25や折込シート部30についても前面シート部20の形状に合わせてその形状を変更すればよい。なお、各シート部の形状によっては、袋体50(包装袋10)に余白部分が形成されないこともある。
【0081】
・ さらに、包装袋10の側縁接着部12の形状を、左右非対称な形状とすることで、包装袋10を開封したときの開口が幅方向どちらかに偏在するようにしても良い。たとえば、図10(a)に示すように、袋体50の上流側において、両側の側縁接着部12の内縁12c、12dそれぞれが袋体50の幅方向中央側に寄るように側縁接着部12を形成する。そして、一方側の側縁接着部12については、その内縁12cが一対の折込シート部30の折り目30aの間に位置するように形成し、他方側の側縁接着部12については、その内縁12dが折り目30aよりも外側に位置するように形成してもよい。また、両側の側縁接着部12の内縁のうち一方のみを幅方向中央側に寄るように形成してもよい。たとえば、図10(b)に示すように、一方側の側縁接着部12の内縁12cが折り目30aの間に位置し、他方側の側縁接着部12については、内縁12dが樹脂シートの側縁に沿って直線状となるように側縁接着部12を形成してもよい。
【0082】
・ 切込部18の形成位置は変更することができる。たとえば、切込部18を包装袋10の四箇所の側縁接着部12のいずれか1〜3つのみに形成してもよい。また、切込部18を複数の側縁接着部12に形成する場合、互いの切込部18の高さ位置の関係は自由に設定できる。さらに、切込部18を形成せず省略することも可能である。また、保持部19の形状も変更することができる。半円状に突出する保持部19に限らず、三角形状や四角形状に突出するように形成してもよい。保持部19を形成せず省略することも可能である。
【0083】
・ 面取り部17の形状も適宜変更できる。たとえば、折返接着部11の角部を直線状に切り取って面取り部17を形成してもよいし、その他の形状でもよい。また、面取り部17を形成しないようにしてもよい。
【0084】
・ 下部接着部13の形状は適宜変更できる。たとえば、下部接着部13は、直角三角形状に限らず、円弧状に形成してもよいし、側縁接着部12の内側端12a側の長さZを変更することもできる。さらに、下部接着部13を形成しないようにしてもよい。
【0085】
・ 折返接着部11の周縁、とくに、コーナ部分について、前面シート部20と背面シート部25とが一体となるように互いに接着してもよい。たとえば、折込シート部30に切欠や孔を設け、それら切欠や孔を介して前面シート部20と背面シート部25を熱溶着したり、二つ折りされた折込シート部30の対向面間を接着剤等で接着したりする。こうした構成の一例としては、図11に示すとおりであり、この例では、折込シート部30の切欠部11cを介して前面シート部20と背面シート部25とが熱溶着されている。折返接着部11、とくにコーナ部分で前面シート部20側と背面シート部25側とが離間する状態では、それらのいずれか一方が製造装置の装置機構に引っ掛ることも考えられるが、この変更例では、折返接着部11、とくにコーナ部分が一枚状に一体化されているため、そうしたおそれはない。
【0086】
・ 折返接着部11の周縁を一枚状に一体化する構成において、折込シート部30のうち折返接着部11を構成する部分において、折り畳み状態の折込シート部30の外面(谷側の面)に接着剤を付与して折返接着部11のコーナ部分を一枚状に一体化してもよい。この場合、前面シート部20と背面シート部25とが直接的に接着されていないが、折返接着部11の周縁(コーナ部分)において、前面シート部20と背面シート部25とが一体となっている。
【0087】
・ 4枚の帯状の樹脂シートによって包装袋10を形成するのではなく、1〜3枚の樹脂シートによって包装袋10を形成することもできる。また、1〜3枚の樹脂シートによって包装袋10を形成する場合、必ずしも4箇所の側縁接着部12を形成する必要はない。たとえば、1枚の帯状の樹脂シートで包装袋10を形成する場合、帯状の樹脂シートの左右両側の側縁を、長手方向(包装袋10の上下方向)に沿って接着部を形成すれば包装袋10の密閉性が確保できる。したがって、この場合は、一箇所の側縁接着部12のみを形成すればよいことになる。また、1枚の帯状の樹脂シートで包装袋10を形成する場合、長手方向に沿う接着部は、包装袋10の側面と側面との境界のコーナ部(上記実施形態の包装袋10において側縁接着部12が形成されている部分)に形成してもよいし、包装袋10の側面の横幅方向中央に形成してもよい。
【0088】
・ 折返接着部11の形状を変更することも可能である。たとえば、折返接着部11を、前側(図3においては下側)に向かうほど左右の幅が小さくなるように形成してもよい。この場合、折返接着部11の先端11bは、最も前側(図3においては下側)の端である。
【0089】
・ 包装袋10に樹脂シート以外の構成を付加してもよい。たとえば、包装袋10の側縁に熱硬化性樹脂からなる柱体(ピラー)を設けたり、上縁接着部14において、前面シート部20と背面シート部25との間に口具(スパウト)を設けたりしてもよい。
【0090】
以上のように、樹脂シートの下部縁(底縁部)が接着されて折返接着部が形成されており、かつ折返接着部と樹脂シートの下部とによって底面部が形成されている包装袋であれば、どのような包装袋であっても本発明を適用することができる。
【0091】
・ 上記実施形態では、接着層40の形成位置(付与位置T)として折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さ方向中央を採用したが、これを変更することもできる。たとえば、図12に図示するように、接着層40(付与位置T)を、折返接着部11の基端11aと先端11bとの中央線C1よりも基端11a側に設定することができる。この構成によれば、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間において、最も空間Sが大きくなりがちな基端11a側において、その空間Sを埋めることができる。すなわち、接着層40がスペーサ部材として、より好適に機能できる。
【0092】
・ 上記実施形態では、接着層40としてホットメルト接着剤を採用したが、たとえば、液体状の接着剤を採用し、これをスプレーやブラシ等で折返接着部11に付与して接着してもよい。また、いわゆる接着剤として販売されているものに限らず、両面に接着性を有する両面接着テープなどを接着層40として採用してもよい。さらに、両面が熱溶着性を有する前面シート部20を採用し、前面シート部20の熱溶着性でもって接着を実現してもよい。すなわち、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とを接着できる構成であればよい。
【0093】
・ 上記実施形態では、接着層40にスペーサ部材としての機能も担わせたが、接着層40とは別にスペーサ部材を設けてもよい。たとえば、接着層40とは別に、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間に、接着性を有さない合成樹脂を介在させて、空間Sを埋めるようにしてもよい。
【0094】
・ スペーサ部材を省略してもよい。たとえば、上述した液体状の接着剤や両面接着テープを接着層40として採用した場合、これらは体積(厚み)が小さいことが想定され、スペーサ部材としては機能しにくい。したがって、液体状の接着剤や両面接着テープを接着層40として採用した場合はスペーサ部材を省略したことになる。
【0095】
・ 折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とを接着しなくともよい。折返接着部11の先端11bは、前面シートの下部20aの前面側の端縁部20bにまで至っており、折返接着部11には、包装袋10の重量の大部分が作用することになる。したがって、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とを接着しなくとも、包装袋10の重量によって、折返接着部11の先端11bは、前面シートの下部20aの端縁部20bに当接可能である。
【0096】
・ 上記実施形態では、折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さXを、下部接着部13における側縁接着部12の内側端12a側の長さZ(前面シート部20の下部20aの長さZ)と等しく形成したが、両者が厳密に等しくなくてもよい。本発明でいう前面シート部20の下部20aの端縁部20bは、折り曲げ線Rのように直線を示すものではなく、ある程度幅を持った範囲である。したがって、たとえば、折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さXを、多少短く形成したり、多少長く形成したりしたとしても、先端11bは、端縁部20bに当接しているといえる。なお、端縁部20bといえる範囲は、包装袋10の大きさや形状等によっても異なるが、下部20aの端部(折り曲げ線Rの部分)から、前面シート部20の長手方向に側縁接着部12の幅程度が考えられる。
【0097】
・ 製袋機P及び充填機Fは、それぞれ上記実施形態で例示したものに限らず、一般的に使用されている製袋機及び充填機であればどのようなものでもかまわない。もちろん、樹脂シートを折り込む構成、接着部を形成する構成は、どのような構成であってもかまわないし、これらの装置構成の配置(形成順序)も問わない。たとえば、4枚の帯状の樹脂シートによって包装袋10を形成するのではなく、1〜3枚の樹脂シートを適宜折り畳んで包装袋10を形成するようにしても良い。さらに、製袋機P及び充填機Fは、一つの製袋充填機として構成されていてもよいし、製袋機及び充填機がそれぞれ複数の装置から構成されていてもよい。
【0098】
・ 袋体50の折返接着部11を起き上げる構成は、前側レール部74のガイド部75(先端面75a)に限らない。たとえば、後側レール部73及び前側レール部74の少なくとも一方を湾曲するように形成し、後側レール部73と前側レール部74の間隔が上流側から下流側へと向かうにつれて変化するように配置してもよい。
【0099】
・ ガイド部材として、前側レール部74とは別体のガイド部材を設けてもよい。たとえば、後側レール部73及び前側レール部74に加えて、ガイドレール部を設け、このガイドレール部と後側レール部73との間隔を変化するようにして、ガイドレール部に折返接着部11に対する起き上げ機能を担わせてもよい。
【0100】
・ 前側レール部74とは別体でガイド部材を設ける構成において、たとえば、袋体50を静止させておき、ガイド部材が後側レール部73側(袋体50の背面シート部25側)へと移動することでガイド部材と後側レール部73との間隔が変化するようにしてもよい。
【0101】
・ 前側レール部74のガイド部75の先端面75aは鉛直面として構成していたが、これを傾斜面として構成してもよい。たとえば、この先端面75aを上部ほど後側レール部73側に突出するような傾斜面とし、先端面75aと後側レール部73との離間長を鉛直方向において上方ほど小さくするようにする。この場合、たとえば、上記実施形態でいうならば、前面シート部20の下部20aと折返接着部11との間に先端面75aが挿入されやすくなることから、折返接着部11の起き上げの初期動作をより確実に実行させることができる。
【0102】
・ ガイド部75の後側レール部73側への延出長は、搬送方向下流側に向うにしたがって徐々に大きくなるように形成しているが、これに合わせてガイド部75の厚さ長(延長方向の長さ)を搬送方向下流側に向かうにしたがって徐々に大きくなるように形成してもよい。この場合、ガイド部75における、搬送方向の最も上流側の先端部を袋体50の搬送面と同一の高さ位置又はその搬送面よりも少し低い位置(本明細書ではこれらの位置を「ほぼ同一の高さ位置」という。)にすると、上記変更例のように折返接着部11の起き上げの初期動作をより確実に実行させることができる。
【0103】
・ 折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とを接着しないのであれば、前側レール部74のガイド部75及び接着層付与部材79を省略できる。この場合、上流側から地点Qまでの間については、前側レール部74を、後側レール部73と同様に、その延設方向全体に亘って同一の断面L字状に形成することができる。
【0104】
・ 上記実施形態では、接着層付与部材79として、収容体79aのホットメルト接着剤を吐出するグルーガン79bを採用したが、この構成を変更してもよい。たとえば、接着剤が含浸されるローラを折返接着部11と接触させつつ回転させたり、接着剤が練り出されるパイプ材や接着剤が含浸される筆材を折返接着部11に接触させたりすることで接着層を付与するようにしてもよい。
【0105】
・ 一対の刃型(雄刃型84及び雌刃型86)による袋体50の切除態様として、いわゆるダイパンチ法を採用してもよい。ダイパンチ法を採用する場合の一対の刃型の構成としては次のような構成が考えられる。
【0106】
・ 上記実施形態では、接着層付与部材79について、接着層の付与対象を折返接着部11としたが、これに限らず、たとえば、前面シート部20の下部20aの外面も対象としてもよい。また、前面シート部20の下部20aの外面のみを接着剤の付与対象とするように変更してもよい。
【0107】
図9(a)に示すように、切除装置82の基部83に内蔵された駆動シリンダの先端には連結部91を介して所定の厚みを有する板状に形成された雄刃型92が連結されているとともに、他の駆動シリンダの先端には連結部93を介して所定の厚みを有する板状に形成された雌刃型94が連結されている。雄刃型92を平面視した場合に、雄刃型92の下側部92aは、左右方向の幅が上方に向うほど狭くなるように形成されており、上側部92bは、左右方向の幅が略一定に形成されている。また、雄刃型92の上側部92bにおいて幅方向中央側に向って三角形状に食い込むように切込部92cが形成されている。また、雄刃型92の上側部92bの上方には、左右方向のそれぞれ外側に半円状に突出する半円部92dが形成されている。すなわち、雄刃型92は、その外縁形状が製造しようとする包装袋10の側縁接着部12の上側端12b及び上縁接着部14の外側端14aに沿う形状に形成されている。雌刃型94は、雄刃型92と同じ厚みの板状に形成されているとともに、雄刃型92の外縁形状と略同一形状の切欠部95が形成されている。これら雄刃型92及び雌刃型94は、雄刃型92と雌刃型94とが最大に離間した離間位置と、雄刃型92が雌刃型94の切欠部95に嵌まり込んだ嵌合位置との間を移動する。
【0108】
また、図9(a)に示すように、雌刃型94において、離間位置における雄刃型92側の面には、雄刃型92側に向って位置決めピン96が突設されている。また、雌刃型94には、切欠部95の上方に1つ、切欠部95の左右両側に1つずつ、計3つの噴出孔97が穿設されている。これら噴出孔97は、切欠部95に対して所定の間隔で配置されており、雄刃型92及び雌刃型94が袋体50を切除する際に、噴出孔97の開口全体が袋体50(背面シート部25)によって塞がれるようになっている。また、各噴出孔97には、噴出ポンプが接続されており、噴出孔97の雄刃型92側へと空気を噴出するようになっている。なお、噴出ポンプの駆動(空気の噴出)は制御装置によって制御されており、雄刃型92及び雌刃型94が嵌合位置に達した後に、噴出ポンプが駆動されるようになっている。
【0109】
これら雄刃型92及び雌刃型94によって袋体50を切除する際には、先ず、制御手段によって各駆動シリンダが制御されて、離間位置にある雄刃型92及び雌刃型94がそれぞれ近接する。そして、雄刃型92の袋体50と当接する側の面及び雌刃型94の袋体50と当接する側の面が同一平面上に配置された切除位置となったときに、雄刃型92の外縁と雌刃型94における切欠部95の内縁とによって袋体50が切除される。なお、雄刃型92及び雌刃型94は、切除位置において袋体50と当接する側の面が切除しようとする袋体50の厚み方向中央面と同一平面上に配置されるように、離間位置から切除位置までの移動距離が設定されている。したがって、雄刃型92及び雌刃型94が離間位置から切除位置まで移動する際に、各刃型によって袋体50がその厚み方向に押し出されて後側レール部73及び前側レール部74上から脱落することはない。
【0110】
次いで、制御手段によって駆動シリンダが制御され、雄刃型92の移動が切除位置で停止される一方、雌刃型94が雄刃型92側へ引き続き移動されて図9(b)に示す嵌合位置へと配置される。この切除位置から嵌合位置への移動にあたっては、雄刃型92の移動は停止されているため、袋体50の包装袋10を構成する中央部分59は雄刃型92によって押し出されることはなく、袋体50が後側レール部73及び前側レール部74上から脱落することはない。一方、袋体50の余白部分は、雌刃型94が雄刃型92側へ引き続き移動するのに伴って一方側(図9(b)において左側)に押し出される。そして、雄刃型92及び雌刃型94が嵌合位置に配置されると、噴出ポンプが駆動されて、雌刃型94の噴出孔97から空気が噴出されて、袋体50の余白部分が吹き飛ばされるようにして雌刃型94の位置決めピン96から抜き取られる。
【0111】
なお、図9(b)に示すように、雄刃型92が雌刃型94の切欠部95に嵌まり込んだ嵌合位置に達すると、両刃型は、1つの板体のような形状となる。そして、袋体50の余白部分(図9(b)においては側縁余白部分54を図示している)が各刃型の一方側の面に位置するとともに、袋体50の中央部分59が各刃型の他方側の面に位置する。すなわち、このダイパンチ法による袋体50の切除態様においては、雌刃型94が切除位置から嵌合位置へと移動した分、袋体50の前後方向において袋体50の中央部分59と余白部分とが離間される。また、これら中央部分59と余白部分とは、板状に一体化したような各刃型によって区分けられる。そのため、袋体50の余白部分が後側レール部73及び前側レール部74上に混入することがより好適に抑制される。
【0112】
・ 雄刃型84の位置決めピン85は省略することができる。袋体50の余白部分を切除するにあたって、位置決めピン82以外の構成で袋体50の正確な位置決めが確保できる場合、あるいは、正確な位置決めが必要ない場合、位置決めピン85は必ずしも必要ない。位置決めピン85を省略する場合、雌刃型86のピン収容孔88及び袋体50の貫通孔52も省略できるし、雌刃型86の吸引孔89も省略できる。さらに、たとえば、前面シート部20を四角形状に形成して余白部分の切除が必要ない場合、切除装置82そのものを省略することもできる。
【0113】
・ 切除装置82を設ける場合、切除装置82と他の装置構成との位置関係は変更できる。たとえば、押付機80よりも下流に切除装置82を設けてもよい。さらに、切除装置82は、後側レール部73及び前側レール部74の上方に設ける必要はなく、搬入装置61や搬出装置65の上方に設けてもよいし、あるいは仕上機60とは別の装置として構成することも可能である。
【0114】
・ 押付機80の押付部材80bが加熱可能でなくともよい。接着層40としてホットメルト接着剤を採用した場合でも、接着層付与部材79による接着層40の付与から押付機80による押付までの時間が短く、接着層40の溶融状態が確保できるのなら、押付機80の押付部材80bを加熱する必要はない。また、接着層40として加熱の必要のない接着剤を採用する場合、あるいは折返接着部11を接着しない場合も、押付機80の押付部材80bを加熱する必要はない。逆に、接着剤の接着性を発揮させるために冷却が必要であれば、押付機80の押付部材80bを冷却可能に構成することもできる。
【0115】
・ 上記実施形態では、内容物が充填されて袋状態となった袋体50を仕上機本体70に供給したが、袋体50が袋状態であるならば、必ずしも内容物が充填されていなくともよい。たとえば、空気や不活性ガス等の気体を袋体50の内部に充填することで袋状態とし、仕上機本体70による各処理が終了したあとに袋状態の袋体50(包装袋10)に内容物を充填するようにしてもよい。
【0116】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)折返接着部の起端から先端までの長さは、樹脂シートの一方側において、下部外面の折り曲げの起端から端縁部までの長さと等しく形成されていることを特徴とする包装袋。
【0117】
(ロ)樹脂シートは、その側縁部が接着されて複数の側縁接着部が形成されており、全ての側縁接着部には、樹脂シートの一部を切り取って開封するための切込部が形成されていることを特徴とする包装袋。
【符号の説明】
【0118】
10…包装袋、10a…底面部、11…折返接着部、11b…折返接着部の先端、20…前面シート部、20a…前面シート部の下部、20b…前面シート部の下部の端縁部、25…背面シート部、25a…背面シート部の下部、30…折込シート部、40…接着層(スペーサ部材)、73…ガイド部材としての後側レール部、74…ガイド部材としての前側レール部、75…前側レール部のガイド部、79…接着層付与部材、80…押付機、80a…押付機の押付部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートにより袋状に形成された包装袋の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂シートにより袋状に形成されたガゼット型の包装袋が知られている。たとえば、図13に示すように、特許文献1の包装袋においては、前面シート部101と背面シート部102とは熱溶着性を有する面が互いに向かい合うように配置されている。また、一対の折込シート部103は、熱溶着性を有する面が外側(山側)となるように二つ折り状態に折り込まれているとともに、前面シート部101及び背面シート部102の左右それぞれの側縁に沿って折り目が前面シート部101の幅方向中央を向くように配置されている。
【0003】
包装袋の底縁には、前面シート部101及び背面シート部102によって折込シート部103が挟み込まれた状態で熱溶着されることで、底縁接着部104が形成されている。底縁接着部104は、包装袋の左右方向において、中央が前面シート部101及び背面シート部102の二重構造となっており、左右両側が前面シート部101、背面シート部102及び二つ折り状態の折込シート部103の四重構造となっている。
【0004】
図13に示すように、包装袋には、上下方向に延びる四箇所の側縁接着部105が形成されている。側縁接着部105のうちの前面シート部101側の一つは、前面シート部101の一方の側縁とその側縁に対向配置されている折込シート部103の側縁とを接着することで形成され、もう一つは、前面シート部101の他方の側縁とその側縁に対向配置されている折込シート部103の側縁とを接着することで形成されている。また、背面シート部102の両側縁についても同様にして側縁接着部105が形成されている。包装袋の上縁には、前面シート部101及び背面シート部102によって折込シート部103が挟み込まれた状態で熱溶着されることで、上縁接着部106が形成されている。上述した底縁接着部104と同様に、上縁接着部106は、包装袋の左右方向において、中央が前面シート部101及び背面シート部102の二重構造となっており、左右両側が前面シート部101、背面シート部102及び二つ折り状態の折込シート部103の四重構造となっている。
【0005】
図13及び図14に示すように、包装袋の内部に内容物を充填した状態では、二つ折り状態に折り込まれた状態であった折込シート部103が広がって包装袋に前後方向の厚みが生じる。それに伴って、包装袋を構成する各シートは、底縁接着部104から所定長さ離間した位置で幅方向に延びる折り曲げ線Lに沿って折り曲げられて底面部100が形成される。このように構成された包装袋を自立させる際には、底縁接着部104が前面シート部101側又は背面シート部102側(図14では、前面シート部101側)に折り返され、底縁接着部104を含む底面部100が載置面に接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−282681号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図14に示すように、特許文献1の包装袋では、底縁接着部104が前面シート部101側に折り返されている。そのため、載置面に接触する底面部100の接触面は、その中央に配置される底縁接着部104の外面と、前面シート部101の下部101a外面と、背面シート部102の下部102a外面とを合わせた三つの外面から構成されることとなる。とくに、底縁接着部104は最も多層に接着及び折り曲げられているとともに、この底縁接着部104が底面部100の中央に存在にしていることによって包装袋の自立安定性が損なわれる可能性がある。
【0008】
たとえば、図14に示すように包装袋を自立させようとすると、載置面に接触するのは、底縁接着部104の外面と背面シート部102の下部102a外面とであって、前面シート部101の下部101a外面と載置面とは接触せずに隙間Gが生じることがある。この隙間Gは、底縁接着部104が上述したとおり二重構造、四重構造をなすために相応の剛性を有していて、折り返された底縁接着部104が前面シート部101の下部101a外面から離間するように起き上がろうとすることから発生する。こうした自立態様では、前面シート部101の下部101aの外面は、載置面に接触する接触面として構成されることは難しく、実際の接触面はそれだけ小さくならざるを得ない。したがって、前面シート部101の下部101a外面は、包装袋の自立安定性に貢献せず、包装袋の自立安定性が充分に確保できなくなる。
【0009】
本発明は、このような従来技術の事情を鑑みてなされたものであり、自立安定性を向上させた包装袋を製造できる包装袋の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、筒状をなす樹脂シートによって形成されるとともに該樹脂シートの下部縁が接着されて折返接着部が形成され、前記樹脂シートが互いに離間して収容空間が形成された袋状態になったときには、前記樹脂シートの下部が折り畳まれるとともに対向配置される樹脂シートの一方側へ前記折返接着部が折り返されて底面部が構成され、該底面部において前記折返接着部の先端が樹脂シートの一方側における下部外面の端縁部に当接している包装袋を製造する包装袋の製造装置であって、前記樹脂シートが前記袋状態とされた後に、前記折返接着部を、該折返接着部に対向配置される樹脂シートの一方側へ折り返すとともに、前記折返接着部を樹脂シートの一方側における下部外面に押し付ける折返手段を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、折返接着部の折り返し状態を保持させるとともに、前記折返接着部の先端を一方側の樹脂シートの下部外面の端縁部に当接させることを可能にする。そして、この製造装置で製造された包装袋は、袋状態にある場合に底面部の外面を他方側の樹脂シートの下部外面と折返接着部の外面との二つの面で構成させることが可能となる。これら二つの面は、連続した外面でもあるため、包装袋を自立させた際には、その全体が載置面に接触しやすく、包装袋の自立安定性の向上に寄与できる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の包装袋の製造装置であって、前記折返手段は、前記折返接着部を樹脂シートの一方側における下部外面から離間する方向に起き上げるガイド部材と、前記ガイド部材により起き上げられた前記折返接着部に接着層を設ける接着層付与部材と、前記接着層が設けられた前記折返接着部を、樹脂シートの一方側における下部外面に押し付けて接着する押付部材とで構成されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、折返接着部の起き上げ、接着層の付与、折り返し、接着という一連の作業を連続的に行うことができる。そして、この製造装置で製造された包装袋は、折返接着部が一方側の樹脂シートの下部外面から離れにくくなり、折返接着部の折り返し状態が安定する。仮に、折返接着部の折り返しに対する反発から折返接着部と一方側の樹脂シートの下部外面とが離れて、該下部外面と載置面との間が離れると、それだけ包装袋の自立安定性は低減する。この製造装置で製造された包装袋においては、そうした自立安定性の低減を抑制する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の包装袋の製造装置であって、前記ガイド部材は、上流側から下流側へと延びるとともに互いに対向配置された一対のレール部であり、一方のレール部と他方のレール部との間隔が下流側に向うほど小さくなることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、一対のレール部の間隔が変化することにより、各レール部と包装袋との相対位置も変化する。そして、この相対位置の変化をレール部による包装袋の折返接着部の起き上げに利用できる。したがって、簡便な構成で、折返接着部の起き上げを実行させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自立安定性を向上させた包装袋を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の包装袋の斜視図。
【図2】図1におけるA−A線断面図。
【図3】本発明の包装袋の正面図。
【図4】本発明の袋体の正面図。
【図5】本発明の包装袋の製造装置の側面図。
【図6】(a)は、包装袋の製造装置の上面図。(b)は、後側レール部及び前側レール部の上面図。
【図7】(a)は、図6(a)におけるA−A線断面図。(b)は、図6(a)におけるB−B線断面図。(c)は、図6(a)におけるC−C線断面図。(d)は、図6(a)におけるD−D線断面図。
【図8】(a)及び(b)は、本発明の雄刃型及び雌刃型の模式拡大図。
【図9】(a)は、変更例における雄刃型及び雌刃型の拡大斜視図、(b)は、変更例における雄刃型及び雌刃型の断面図。
【図10】(a)及び(b)は、変更例における樹脂シート(袋体)の正面図。
【図11】変更例における包装袋の正面図。
【図12】変更例における包装袋の正面図。
【図13】従来の包装袋の斜視図。
【図14】図13におけるA−A線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、包装袋の製造装置に関する一実施形態を図1〜図8にしたがって説明する。
先ず、本発明の包装袋の製造装置によって製造される包装袋であって、複数のシート材によりガゼット型の袋状に形成された包装袋10について図1〜図3にしたがって説明する。なお、以下の説明において、包装袋10の方向を示す場合には図1に示す、前後方向(厚み方向)、左右方向(幅方向)、及び上下方向(高さ方向)を基準として説明する。
【0019】
図3に示すように、熱可塑性樹脂からなるとともに片側の面が熱溶着性を有する前面シート部20は、長方形状の上側の両角部が略台形状に切除されたような形状を成しており、上側の部分の横幅が小さくなるように形成されている。また、前面シート部20の上縁部は、左右方向のそれぞれ外側に半円状に突出するように形成されている。一方、熱可塑性樹脂からなるとともに片側の面が熱溶着性を有する背面シート部25は、前面シート部20と同一の形状に形成されている。そして、前面シート部20及び背面シート部25は、互いの熱溶着性を有する面が向かい合うように対向配置されている。
【0020】
図示は省略するが片側の面が熱溶着性を有する折込シート部30は、二つ折り状態に折り込まれていない状態では、前面シート部20よりも横幅が小さく形成されている他は、その長さ寸法や側縁部の形状が前面シート部20と同様に形成されている。すなわち、折込シート部30は、横幅が前述した前面シート部20よりも短い長方形状において、その上方側の両角部が略台形状に切り取られたような形状を成している。このような形状に形成された折込シート部30は、熱溶着性を有する面が前面シート部20及び背面シート部25と向かい合う側(山側)となるよう二つ折り状態に折り込まれている。そして、図3に示すように、一対の折込シート部30は、前面シート部20と背面シート部25との間において、図3において点線で示す折り目30aが左右方向中央側を向くように、前面シート部20及び背面シート部25の左右それぞれの側縁に沿って配置されている。
【0021】
図3に示すように、各シート部が配置された包装袋10には、その底縁部が熱溶着されて折返接着部11が形成されている。折返接着部11は、その幅方向中央部分では、折込シート部30が挟み込まれておらず、前面シート部20と背面シート部25とが接着されて二重構造を成している。そして、折返接着部11は、前面シート部20と背面シート部25との間に折込シート部30が挟み込まれている幅方向両側部分では、前面シート部20とその前面シート部20に対向する折込シート部30とが接着されるとともに、背面シート部25とその背面シート部25に対向する折込シート部30とが接着された四重構造を成している。そして、折返接着部11(包装袋10)の下側両角部には、円弧状に面取りされた面取り部17が形成されている。
【0022】
図1に示すように、包装袋10には、略上下方向に延びる四箇所の側縁接着部12が形成されている。側縁接着部12のうち前面シート部20側の一つは、前面シート部20の一方の側縁部とその側縁部に対向配置されている折込シート部30の側縁部とを接着することで形成され、もう一つは、前面シート部20の他方の側縁とその側縁に対向配置されている折込シート部30の側縁とを接着することで形成されている。また、背面シート部25の両側縁部についても同様にして側縁接着部12が形成されている。図3に示すように、側縁接着部12は、その延設方向において略等幅で形成されている。そして、側縁接着部12において、包装袋10の横幅が小さくなっている部分には、包装袋10の上縁部を切り取って開封するための切込部18が形成されている。切込部18は、四箇所の側縁接着部12それぞれに一つずつ、上下方向同じ位置に形成されている。また、幅方向において、側縁接着部12は、その内側端12aから折込シート部30の折り目30aまでの最大長さが長さYに設定されている。
【0023】
図3に示すように、包装袋10の折返接着部11の上側に隣接する部分であって、前面シート部20と折込シート部30とが対向する部分には、左右方向両側に一つずつ下部接着部13が形成されている。同様に、包装袋10の折返接着部11の上側に隣接する部分であって、背面シート部25と折込シート部30とが対向する部分には、左右方向両側に一つずつ下部接着部13が形成されている。直角二等辺三角形状に形成された下部接着部13は、その直角のコーナ部が幅方向外側であって下方を向くように形成されている。そして、直角二等辺三角形状の下部接着部13の高さ(側縁接着部12の内側端12a側の長さ)は、長さZに設定されている。なお、長さZは、側縁接着部12の内側端12aから折込シート部30の折り目30aまでの長さYと等しく形成されている。
【0024】
図3に示すように、包装袋10には、その上縁部が熱溶着されて上縁接着部14が形成されている。この上縁接着部14は、上述した折返接着部11と同様に、二重構造あるいは四重構造を成している。すなわち、折込シート部30が挟み込まれていない左右方向中央部分では、上縁接着部14は、前面シート部20と背面シート部25とが接着されて二重構造を成している。そして、前面シート部20と背面シート部25との間に折込シート部30が挟み込まれている幅方向両側部分では、上縁接着部14は、前面シート部20とその前面シート部20に対向する折込シート部30とが接着されるとともに、背面シート部25とその背面シート部25に対向する折込シート部30とが接着された四重構造を成している。また、各シート部が接着されることにより、上縁接着部14においては、左右方向のそれぞれ外側に半円状に突出された部分も各シート部が接着されて保持部19が形成されている。
【0025】
上述のように形成された包装袋10は、前面シート部20と背面シート部25とが互いに離間することで内側に収容空間が形成され、その収容空間に内容物が充填される。このような袋状態の包装袋10では、図1及び図2に示すように、前面シート部20と背面シート部25とが離間するのに伴って二つ折り状態に折り込まれた各折込シート部30が押し広げられて前後方向の厚みを生じる。そして、包装袋10を構成する各シートは、折返接着部11の上側に隣接する部分が図3に図示する折り曲げ線Rに沿って折り曲げられて底面部10aが形成される。なお、本実施形態において、折り曲げ線Rは、左右一方の下部接着部13の上側の頂点と他方の下部接着部13の上側の頂点とを結ぶ直線である。
【0026】
ここで、包装袋10の厚みは、側縁接着部12の内側端12aから折込シート部30の折り目30aまでの長さYの2倍である。また、下部接着部13における側縁接着部12の内側端12a側の長さZは、長さYに等しい。したがって、図2に示すように、包装袋10をその左右方向中央で断面視すると、前面シート部20のうち、折返接着部11の基端11aから、その基端11aに対して長さZ離間した折り曲げ線Rまでの下部20aは、包装袋10の底面部10aをなすように収容空間側に折り曲げられている。そして、背面シート部25のうち、折返接着部11の基端11aから、その基端11aに対して長さZ離間した折り曲げ線Rまでの下部25aは、包装袋10の底面部10aをなすように収容空間側に折り曲げられている。また、包装袋10の左右方向両側における折込シート部30が挟み込まれている部分では、前面シート部20の下部20a及び背面シート部25の下部25aに対向する折込シート部30の下部も折り畳まれている。これら前面シート部20の下部20a、背面シート部25の下部25a、これらに対向する折込シート部30の下部、及び折返接着部11で底面部10aが構成される。
【0027】
図2に示すように、袋状態では、包装袋10の折返接着部11は、その先端11bが前面側を向くように、前面シート部20側に折り返されている。本実施形態では、折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さXは、前面シート部20の下部20aの前後方向の長さZ(長さY)と等しく形成されている。したがって、袋状態の包装袋10においては、折返接着部11は、前面シート部20の下部20aの外面に対して対向するとともに、前面シート部20の下部20aの外面全体を覆うようになっている。また、折返接着部11の先端11bは、前面シート部20の下部20a外面の端縁部20bに当接するようになっている。そして、袋状態の包装袋10を自立させた状態では、底面部10aのうち、背面シート部25の下部25aの外面と折返接着部11の外面との二箇所の面によって、載置面に対する接触面が構成される。なお、これら二箇所の面は、いずれも背面シート部25の一方の面(外側面)によって構成される連続した面である。
【0028】
図2に示すように、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間には接着層40が介在されている。本実施形態における接着層40は、溶融状態で付与され、固化することによって接着性を発揮する、所謂ホットメルト接着剤で構成されている。図3においてその付与位置Tを模式的に図示しているように、接着層40は、折返接着部11において、基端11aから先端11bまでの長さ方向中央で左右方向に並ぶように3箇所付与されている。この接着層40により、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とが接着されており、折返接着部11が折り返し状態で固定されて前面シート部20の下部20aの外面から離れにくくなっている。
【0029】
また、図2に示すように、接着層40は、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間に形成される空間Sを埋めるスペーサ部材としても機能している。すなわち、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間において、とくに、折返接着部11の基端11a側(包装袋10の前後方向中央側)近傍には、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とが直接的に接触しにくい部分が存在しており、これらが接触しない場合には空間Sが生じている。この空間Sの一部にスペーサ部材としての接着層40が介在されており、折返接着部11の一部が接着層40(スペーサ部材)に当接しているとともに、前面シート部20の下部20aの外面の一部が接着層40(スペーサ部材)に当接している。
【0030】
次に、包装袋の製造装置について図4〜図8にしたがって説明する。
図5に示すように、本実施形態の製造装置には、帯状の樹脂シートを袋状に形成する製袋機Pと、その製袋機Pによって袋状に形成された樹脂シートに内容物を充填して密封する充填機Fとが設けられている。製袋機P及び充填機Fとしては、後述する貫通孔52を形成する点以外は、たとえば特許文献1の製袋充填機のような一般的に使用可能な製袋機及び充填機が採用できるため詳細な図示は省略し、以下にその作用の概要を例示する。
【0031】
製袋機Pには、4枚の帯状の樹脂シートが供給される。これら4枚の帯状の樹脂シートのうち2枚は、熱溶着性を有する面が互いに向かい合うように配置される。残りの2枚は、その長手方向に沿って二つ折り状態に折り込まれ、対向配置された2枚の樹脂シートの間においてその側縁に沿って配置される。すなわち、2枚の樹脂シートは、製造される包装袋10の前面シート部20及び背面シート部25を構成し、残りの2枚は、一対の折込シート部30を構成する。
【0032】
製袋機Pには、上述のように配置された4枚の樹脂シートをそれらの長手方向(製造しようとする袋体50の上下方向)に沿って搬送する搬送ローラが設けられている。この搬送ローラは、図4に示すように、製造しようとする袋体50の上下方向の長さよりも長く設定された所定の搬送長さW毎に、間欠的に帯状の樹脂シートを上流側から下流側へと搬送する。そして、製袋機Pには、長手方向に沿って折り込まれた樹脂シート(各シート部)の側縁接着部12とその側縁接着部12よりも左右外側(側縁余白部分54)を接着する側縁シーラ部が設けられている。樹脂シートを挟み込んで接着する側縁シーラ部は、左側及び右側にそれぞれ1つずつ、樹脂シートの搬送方向に沿って延びるように配設されている。左側の側縁シーラ部のシーラ面は、下流側においては横幅が一定の幅に形成されているとともに上流側においては、右側の側縁シーラ側に向かうように横幅が大きくなっている。同様に、右側の側縁シーラ部のシーラ面は、下流側においては横幅が一定の幅に形成されているとともに上流側においては、左側の側縁シーラ側に向かうように横幅が大きくなっている。すなわち、各側縁シーラ部は、図4に図示する袋体50の側縁接着部12及びその外側の側縁余白部分54の接着部を同時に接着する。
【0033】
また、製袋機Pには、樹脂シートの所定の位置に貫通孔52を形成する穿孔装置が設けられている。穿孔装置は、図4に示すように、充填機Fによって形成される袋体50(包装袋10)の上側左右両端部にそれぞれ一つずつ計二つの円形状の貫通孔52を形成する。なお、これら2つの貫通孔52の間隔は、後述する雄刃型84の二つの位置決めピン85の間隔と同じになるように形成されている。
【0034】
充填機Fには、製袋機Pによって側縁接着部12が形成された各樹脂シートを接着して密閉する密閉シーラ部が設けられている。密閉シーラ部のシーラ面は、四角形部分の上縁両側それぞれに、直角二等辺三角形の直角のコーナ部が幅方向外側を向くように接続されたような形状を成している。つまり、密閉シーラ部のシーラ面は、その四角形部分で、図4に図示した下流側の袋体50の上縁接着部14、上縁接着部14よりも上方及び左右外側の上縁余白部分51、図4に図示する上流側の袋体50の折返接着部11を接着すると同時に、直角三角形部分で上流側の袋体50の下部接着部13を接着する。なお、密閉シーラ部によって下流側の袋体50及び上流側の袋体50の双方に跨って接着部が形成されることになるが、その接着部の形成時における上流側の袋体50では上縁接着部14及び上縁余白部分51の接着部は形成されていない。したがって、上流側の袋体50は、各樹脂シートが互いに離間することで袋体50の上縁部及び上縁余白部分51は開口可能な袋状態となっている。
【0035】
充填機Fには、上述の袋状態にある上流側の袋体50について上縁部及び上縁余白部分51の開口を介して内容物を充填する充填部が設けられている。充填部は、密閉シーラ部によって形成された折返接着部11及び下部接着部13よりも上流側であって、4枚の樹脂シートによって囲われた収容空間内に内容物を充填する。内容物が充填された樹脂シートは、前述した搬送長さW分下流側に搬送され、密閉シーラ部によって上縁接着部14及び上縁余白部分51の接着部が形成されて密閉される。
【0036】
一方、充填機Fには、密閉シーラ部によって接着された部分を切断する切断刃が設けられている。この切断刃は、搬送された樹脂シートを挟み込むことができるように前面シート部20を構成する樹脂シート側、及び背面シート部25を構成する樹脂シート側に配置された一対の刃型で構成されている。また、一対の刃型のうち一方には凸部が形成されているとともに他方には凹部が形成されており、これら凹部及び凸部の外縁は、左右方向に延びる直線の左右両側が上側に向って円弧状に湾曲したような形状に形成されている。そして、一対の刃型は、搬送された各樹脂シートが停止したときに、上流側の樹脂シートの折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さが所定の長さXとなる位置で切断できるように、その設置位置が設定されている。また、一対の刃型による切断に伴って樹脂シート(折返接着部11)に面取り部17が形成される。したがって、図4に示すように、切断刃よりも下流側の樹脂シート(袋体50)には、面取り部17の形状に対応して円弧状に上方に突出する突出部53が形成される。なお、切断刃による樹脂シートの切断の際、切断刃と樹脂シート(袋体50)との位置関係は、上述した製袋機Pの搬送ローラの搬送長さWによって規定される。
【0037】
上述した製袋機P及び充填機Fによって袋状に形成されるとともに内容物が充填された袋体50が製造される。この袋体50は、図4において上流側の袋体50から下流側の袋体50が切り離された形状を成しており、この時点では正面視略長方形状に形成されている。つまり、袋体50の前面シート部20及び背面シート部25の上方向における両角部は、まだ、切り取られていない状態である。
【0038】
さらに、袋体50は、側縁接着部12及び上縁接着部14に基づき、収容空間側と目印部側とが区画されている。具体的には、本実施形態では、図4に示すように、袋体50を構成する各樹脂シートが接着されておらず、袋体50の収容空間を構成する部分を収容空間側とし、樹脂シートが切除されて包装袋10として製造された場合における側縁接着部12の上側端12b及び上縁接着部14の外側端14aよりも外側を貫通孔52が形成される目印部側としている。すなわち、本実施形態において、上縁余白部分51及び側縁余白部分54は、袋体50の目印部側の部分を構成する。なお、図4では、側縁接着部12と側縁余白部分54との境界である側縁接着部12の上側端12b、及び上縁接着部14と上縁余白部分51との境界である上縁接着部14の外側端14aについて、破線で図示している。
【0039】
次に、仕上機60の装置構成について図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、各加工工程に供される前の状態における袋状の樹脂シートを袋体50と表現し、上述した包装袋10と共通する部分については同一の符号で表現する。
【0040】
図5に示すように、床面上に設置される搬入装置61には、複数の支持脚62よって支持されるとともに内部に空間を有する搬入装置ハウジング63が形成されている。搬入装置ハウジング63内には、駆動ローラ64aが搬入装置ハウジング63に対して回転可能に軸支されているとともに、駆動ローラ64aは、搬入装置ハウジング63に内蔵された図示しないモータ等に駆動連結されている。また、搬入装置ハウジング63内には、複数のプーリ64bが搬入装置ハウジング63に対して回転可能に軸支されている。これら駆動ローラ64a及び複数のプーリ64bには、コンベアベルト64が掛け回されている。駆動ローラ64aに駆動連結されたモータ等の駆動は、図示しない制御装置によって制御され、駆動ローラ64aの回転に基づきコンベアベルト64が回転(移動)する。
【0041】
図5に示すように、袋体50の搬送方向(図5において左右方向)において、搬入装置61の下流側(図5において右側)には、袋体50の折返接着部11の折り返し及び袋体50の樹脂シートの切除を行う仕上機本体70が床面上に設置されている。仕上機本体70には、複数の支持部71によって支持される四角筒状の本体ハウジング72が形成されている。この本体ハウジング72は、袋体50の搬送方向に沿って延設され、本体ハウジング72の一方の開口から袋体50が搬入されるとともに他方の開口から袋体50が搬出される。
【0042】
図6(a)に示すように、本体ハウジング72の内部には、本体ハウジング72の内壁に後側レール部73及び前側レール部74が袋体50の搬送方向に沿って固定されている。図6(b)に示すように、後側レール部73及び前側レール部74は、互いに平行になるように対向配置されている。また、後側レール部73の高さ位置(底壁部73b上面の高さ位置)は、搬入装置61のコンベアベルト64の上面と略同一になるように設定されている。
【0043】
図7(a)〜(d)に示すように、後側レール部73は、縦壁部73aとその縦壁部73aの下方から前側レール部74側へと延びる底壁部73bとで構成された断面略L字状に形成されている。底壁部73bの前側レール部74側への延出長は、内容物が充填された袋体50の前後方向の厚みの2分の1よりもわずかに小さく形成されている。図7(b)に示すように、前側レール部74は、縦壁部74aとその縦壁部74aの下方から後側レール部73側へと延びるガイド部75とで構成されている。また、図6(b)に示すように、ガイド部75の後側レール部73側への延出長は、下流側の所定の地点Qまでは、ガイド部75の先端面75aと後側レール部73の底壁部73bとの間隔が搬送方向下流側に向うにしたがって徐々に小さくなるように形成されている。そして、地点Qにおいては、前側レール部74は、その断面形状が後側レール部73の断面形状と同じ略L字状に形成されている。一方、地点Qよりも下流側においては、ガイド部75は形成されていない。また、図7(c)及び(d)に示すように、地点Qよりも下流側においては、前側レール部74の縦壁部74aの下端部分が所定長さ切り欠かれているため、後側レール部73の底壁部73b上面よりも下方に縦壁部74aが存在しないようになっている。
【0044】
図5に示すように、本体ハウジング72内の上流側において、本体ハウジング72には、袋体50の搬送方向に直交する水平方向において対向配置された一対の取込コンベア76がそれぞれ支持されている。具体的には、図6(a)に示すように、本体ハウジング72の前側の内側壁には、前側レール部74の上流側端部に隣接する位置に、前側(図6(a)において下側)の取込コンベア76の駆動ローラ76aが回転可能に装着されている。この駆動ローラ76aはモータ等に駆動連結されているとともに、そのモータ等の駆動が制御手段によって制御されている。本体ハウジング72の前側の内側壁には、駆動ローラ76aよりも上流側(図6(a)において左側)の位置に取込コンベア76のプーリ76bが回転可能に装着されている。これら駆動ローラ76a及びプーリ76bには、コンベアベルト76cが掛け回されており、駆動ローラ76aの回転駆動に伴ってコンベアベルト76cが移動する。後側(図6(a)において上側)の取込コンベア76についても同様にして、本体ハウジング72の後側の内側壁に対して回転可能に駆動ローラ76a及びプーリ76bが装着されており、これら駆動ローラ76a及びプーリ76bには、コンベアベルト76cが掛け回されている。なお、図6(a)において、後側の取込コンベア76の一部は、チェーンコンベア部78によって隠された状態で図示されている。
【0045】
図6(a)に示すように、本体ハウジング72には、チェーンコンベア部78の二つの駆動ローラ78aがそれぞれ本体ハウジング72に対して回転可能に軸支されている。各駆動ローラ78aは、後側レール部73よりも後側(図6(a)において上側)において、後側レール部73の上流側端部及び下流側端部の近傍で軸支されており、それぞれ図示しないモータ等に駆動連結されている。二つの駆動ローラ78aにはチェーン78bが掛け回されているとともに、チェーン78bの外側面には所定間隔毎に袋体50を下流側へと押し出すための爪部78cが突設されている。爪部78cは、前側(図6(a)において下側)に配置された状態では、後側レール部73の底壁部73b及び前側レール部74のガイド部75の直上に位置するようになっている。なお、二つの駆動ローラ78aに駆動連結されたモータは、図示しない制御手段によって駆動と停止とを繰り返すように制御され、各駆動ローラ78aの駆動に伴って、チェーン78b及び爪部78cが間欠的に移動する。すなわち、本実施形態におけるチェーンコンベア部78は、間欠チェーンコンベアとして構成されている。
【0046】
図5に示すように、本体ハウジング72の内壁上面には、切除装置82の基部83が固定されている。基部83は、図6(a)に示すように、後側レール部73及び前側レール部74の直上であって地点Qよりも上流側に配置されるように、その固定位置が設定されている。基部83には、本体ハウジング72に内蔵された流体圧発生装置81から流体(たとえば空気)が供給される四つの駆動シリンダが内蔵されている。複数の駆動シリンダのうち二つの駆動シリンダのピストンロッドの先端には、それぞれ刃部としての雄刃型84が連結されている。一方、残りの二つの駆動シリンダのピストンロッドの先端にはそれぞれ刃部としての雌刃型86が連結されているとともに、雌刃型86は雄刃型84に対向配置されている。すなわち、本実施形態では、雄刃型84及び雌刃型86で構成される一対の刃型が2セット設けられている。雄刃型84及び雌刃型86は、それぞれ駆動シリンダに流体が給排されることにより、対向面同士が当接して樹脂シートを挟み込んで切断する切除位置と、各対向面が互いに最大に離間した離間位置との間を移動する。なお、流体圧発生装置81から各駆動シリンダへの流体の給排、すなわち雄刃型84及び雌刃型86の移動は、制御手段によって制御されている。
【0047】
図8に示すように、一対の刃型のうちの雌刃型86には、袋体50の接着部上を切断するための凹部87が形成されているとともに、雄刃型84には、雌刃型86の凹部87に対応した形状の凸部(図示略)が形成されている。具体的には、図8(a)に図示するように、雌刃型86の凹部87は、下側部分では左右方向の幅が上方に向うほど狭くなるとともに、上側部分では左右方向の幅が略一定に形成されている。また、凹部87は、左右方向の幅が略一定に形成されている部分において中央側に三角形状に食い込むように形成された部分を有し、左右方向の幅が略一定に形成されている部分の上側において、左右方向のそれぞれ外側に半円状に突出するように形成されている。すなわち、雌刃型86の凹部87の外縁87aは、製造しようとする包装袋10の側縁接着部12の上側端12b及び上縁接着部14の外側端14aに沿う形状に形成されている。そして、雄刃型84の凸部は、雌刃型86の凹部87に嵌るように略同一形状に形成されている。なお、図8では、基部83の図示を省略するとともに、雄刃型84及び雌刃型86による袋体50の切断位置(側縁接着部12の上側端12b及び上縁接着部14の外側端14a)を模式的に破線で図示している。
【0048】
図8に示すように、雄刃型84において、雌刃型86と対向する面には、凸部よりも外縁側において、断面円形状の棒状で先端が半球面状に形成された検出部としての二つの位置決めピン85が雌刃型86に向って突出している。また、雌刃型86には、凹部87よりも外縁側において、位置決めピン85が貫通することのできる収容部としての二つのピン収容孔88が形成されている。二つのピン収容孔88は、それぞれ位置決めピン85の断面形状と同じ円形状に開口するように形成されているとともに、その間隔が位置決めピン85の間隔と同じになるよう形成されている。なお、上述したとおり、袋体50の二つの貫通孔52の間隔は、二つの位置決めピン85の間隔と同じとなるように形成されているため、二つの位置決めピン85、二つのピン収容孔88、及び袋体50の二つの貫通孔52の間隔はいずれも同じになっている。
【0049】
図8に示すように、雌刃型86の凹部87が形成されていない部分において、凹部87の上方に1つ、凹部87の左右両方向に1つずつ、計3つの吸引孔89が穿設されている。これら吸引孔89は、凹部87の外縁87aに対して所定の間隔で配置されており、雄刃型84及び雌刃型86が袋体50を挟み込んだ切除位置にある場合に、吸引孔89の開口全体が袋体50(背面シート部25)によって塞がれるようになっている。また、各吸引孔89には、吸引ポンプが接続されており、吸引孔89の雄刃型84側からその反対側へと空気を吸引するようになっている。なお、吸引ポンプの駆動(空気の吸引)は、制御装置によって雄刃型84及び雌刃型86の移動と同期するように制御されている。
【0050】
切除装置82には、雄刃型84と雌刃型86とを近づける際のピストンロッドの位置変化を監視する図示しない貫通エラー検出装置が内蔵されている。この貫通エラー検出装置は、雄刃型84と雌刃型86とを近づける際の両刃型の位置変化をピストンロッドの位置変化として検出し、その位置変化の推移が所定の許容範囲外となった場合に、位置決めピン85が袋体50の貫通孔52に貫通していないエラー状態と判断する。エラー状態と判断した場合は、貫通エラー検出装置は、貫通エラー信号を制御手段に出力する。なお、貫通エラー信号が出力された場合には、制御手段は、モータや流体圧発生装置の駆動を停止させ、仕上機本体70を含む仕上機60全体の動作を停止させる。
【0051】
図5に示すように、本体ハウジング72の内部には、後側レール部73及び前側レール部74の下方であって地点Qよりも下流側に位置するように接着層付与部材79が支持されている。接着層付与部材79は、ホットメルト接着剤が収容される収容体79aとそのホットメルト接着剤を溶融状態で吐出するグルーガン79bとで構成されており、グルーガン79bからの接着剤の吐出タイミングは制御手段により制御されている。また、図7(c)に示すように、接着層付与部材79のグルーガン79bは、後述する袋体50の折返接着部11において基端11aから先端11bまでの長さ方向中央に接着層40を付与することができるように、上下方向において前側レール部74に近接配置されている。
【0052】
図5に示すように、本体ハウジング72の内部には、袋体50に対して押し付け操作を行う2セットの押付機80が支持されている。押付機80は、後側レール部73及び前側レール部74の下方であって、接着層付与部材79よりも下流側に位置するように本体ハウジング72に対する支持位置が設定されている。押付機80の本体部80aには、図示しない駆動シリンダが内蔵されており、また、この駆動シリンダには、本体ハウジング72に内蔵された流体圧発生装置81から流体が供給され、駆動シリンダのピストンロッドが上下方向に移動可能にされている。本体部80aの駆動シリンダのピストンロッドには、押付部材80bが連結されており、ピストンロッドの移動に伴って上下方向に移動可能とされている。なお、流体圧発生装置81から本体部80aの駆動シリンダへの流体の供給は、制御手段によって制御されている。図7(d)に示すとおり、押付部材80bの上面は平面状に形成されており、押付部材80bは、その平面状の上面が後側レール部73の底壁部73bの上面に対して面一となる押付位置と、後側レール部73の底壁部73bの下面よりも下方の退避位置との間で上下方向に移動する。また、本体部80aには、図示しない電熱ヒータが内蔵されており、この電熱ヒータにより押付部材80bが加熱可能になっている。
【0053】
図5に示すように、仕上機本体70の下流側には、製造された包装袋10を所定位置に搬出するための搬出装置65が床面上に設置されている。この搬出装置65は、上述した搬入装置61と同様の構成となっている。すなわち、搬出装置65には、複数の支持脚66よって支持されるとともに内部に空間を有する搬出装置ハウジング67が形成されている。搬出装置ハウジング67内には、図示しないモータ等に駆動連結される駆動ローラ68aが搬出装置ハウジング67に対して回転可能に軸支されている。また、搬出装置ハウジング67内には、複数のプーリ68bが搬出装置ハウジング67に対して回転可能に軸支されている。これら駆動ローラ68a及び複数のプーリ68bには、コンベアベルト68が掛け回されている。駆動ローラ68aの回転速度は、制御装置によって制御され、駆動ローラ68aの回転に基づきコンベアベルト68が回転(移動)する。
【0054】
次に、包装袋の製造装置の作用、とくに、仕上機60の作用について図4〜図8にしたがって説明する。
本実施形態では、充填機Fの切断刃によって切断された袋体50が搬入装置61のコンベアベルト64上に落下して自立するようになっている。なお、充填機Fからは、折返接着部11の先端11bがある一定の方向を向くように傾斜した状態で袋体50が排出される。そのため、落下して自立したいずれの袋体50についても、折返接着部11の先端11bが同じ方向を向くように折り返される。そして、袋体50は、後側レール部73及び前側レール部74へと搬送された際に、先端11bが折り返された前面側が前側レール部74側となるように搬入装置61に落下する。
【0055】
搬入装置61から一対の取込コンベア76へと送り出された袋体50は、一対の取込コンベア76の各コンベアベルト76cによって後側レール部73及び前側レール部74上に送り出される。このとき、一対の取込コンベア76の駆動ローラ76aに駆動連結されたモータ等は、制御手段によりチェーンコンベア部78の間欠動作に合わせて駆動するように制御され、一対の取込コンベア76は、チェーンコンベア部78の間欠動作に合わせて1つずつ袋体50を下流側へと送り出す。後側レール部73及び前側レール部74上に送り出された袋体50は、チェーンコンベア部78の爪部78cによって下流側への搬送と停止とを繰り返しながら後側レール部73及び前側レール部74上を下流側へと送り出される。このとき、図6(b)及び図7(b)に図示するように、前側レール部74のガイド部75の先端面75aと後側レール部73の底壁部73bとの間隔は、上流側から下流側の地点Qへと向うにしたがって小さくなる。したがって、地点Qへと向かうにつれて、内容物の重量により前面側に折り返された折返接着部11は、ガイド部75の先端面75aに押し出されるようにして、前面シート部20の下部20aの外面から離間する方向に起き上げられる。
【0056】
一方、後側レール部73及び前側レール部74上において、切除装置82の各刃型に対応する位置まで送り出された袋体50は、切除装置82によって上縁余白部分51及び側縁余白部分54が切除される。切除装置82の切除動作は、チェーンコンベア部78が2回の搬送動作を行った後、次の搬送動作を行うまでの袋体50が停止している期間に実行されるように制御されている。したがって、本実施形態においては、切除装置82の2セットの刃型によって二つの袋体50の切除が同時に行われる。切除装置82による切除に際しては、図8(a)及び(b)に図示するように、先ず、袋体50に形成された貫通孔52に、雄刃型84の位置決めピン85を貫通させる。このとき、袋体50の貫通孔52と位置決めピン85との位置関係が多少ずれていたとしても、貫通孔52が位置決めピン85の先端の半球面に案内されつつ、貫通孔52に位置決めピン85が貫通される。そして、位置決めピン85が貫通された袋体50は、その上下方向及び左右方向の移動が規制され、雄刃型84に対して上下方向及び左右方向に正確に位置決めされた状態となる。
【0057】
一方、貫通孔52に位置決めピン85が貫通されなかった場合、位置決めピン85によって袋体50が雌刃型86側へと押し出されるとともに、袋体50を構成する樹脂シートによって雌刃型86のピン収容孔88の開口が塞がれたようになる。そのため、位置決めピン85の先端が袋体50を構成する樹脂シートに遮られて、位置決めピン85がピン収容孔88に収容できなくなる。位置決めピン85がピン収容孔88に収容できないと、雄刃型84と雌刃型86とがそれ以上近づき難くなる。このような雄刃型84及び雌刃型86の位置変化の推移は、ピストンロッドの位置変化の推移として貫通エラー検出装置によって把握され、その位置変化の推移が許容範囲外となったときにエラー検出装置によってエラー信号が出力される。なお、エラー信号が出力されない場合は、エラー信号は出力されず、位置決めピン85が貫通孔52を検出して、貫通孔52を貫通しているとみなされる。
【0058】
位置決めピン85による袋体50の位置決め後、その状態で、雄刃型84と雌刃型86とが切除位置へと移動されて袋体50を挟み込んで切除する。具体的には、雄刃型84及び雌刃型86は、袋体50の接着部上であって側縁接着部12の上側端12b及び上縁接着部14の外側端14aを切断位置として切断し、これにより袋体50の上縁余白部分51及び側縁余白部分54が切除される。このとき、貫通孔52は、切除される上縁余白部分51(目印部側)に形成されているため、各余白部分が切り離された袋体50には、貫通孔52は残存しないこととなる。
【0059】
また、図8(b)に図示するように、雄刃型84を雌刃型86に近づけていく際、雄刃型84の位置決めピン85は、雌刃型86のピン収容孔88に収容される。このとき、位置決めピン85は、その基端側が雄刃型84に固定されているとともに、その先端側がピン収容孔88の内側に当接して支持される。そのため、位置決めピン85は、雄刃型84と雌刃型86とによって両端が支持されたようになる。
【0060】
一方、雄刃型84及び雌刃型86が切除位置に移動すると、吸引ポンプが駆動されて吸引孔89を介して雄刃型84側から空気が吸引される。ここで、雄刃型84及び雌刃型86が切除位置にある場合、各吸引孔89の雄刃型84側の開口は、袋体50(背面シート部25)によって塞がれている。そのため、吸引ポンプの吸引力によって、切り離された袋体50の各余白部分が雌刃型86の各吸引孔89に吸い付いたようになる。この状態で、雄刃型84及び雌刃型86を離間位置へと移動させていくと、袋体50の各余白部分は雌刃型86に吸い付いた状態である一方、雄刃型84及び位置決めピン85が雌刃型86に対して離間するため、袋体50の各余白部分は、位置決めピン85から抜き取られることとなる。雄刃型84及び雌刃型86が離間位置に達すると吸引ポンプの駆動が停止され、袋体50の余白部分は、雌刃型86から脱落して切除カス(トリミングカス)として廃棄される。
【0061】
図5及び図7(c)に示すように、各余白部分が切除された袋体50は、後側レール部73及び前側レール部74上において地点Qよりも下流側で、接着層付与部材79によって折返接着部11に接着層40が付与される。本実施形態では、接着層付与部材79のグルーガン79bから袋体50の折返接着部11に向けて溶融状態のホットメルト接着剤を吐出して、折返接着部11に接着層40を付着させる。このグルーガン79bは、チェーンコンベア部78の搬送動作に同期して、3回接着剤を吐出するように制御されている。具体的には、間欠動作するチェーンコンベア部78が搬送を開始した時点からの時間を基準として、所定の時間が経過したら上記の接着剤の吐出動作を3回連続して行う。これにより袋体50の折返接着部11がグルーガン79bの先端側(図7(c)において右側)を横切る間に、袋体50の折返接着部11には、左右方向3箇所(図3において付与位置T)に接着層40が付与される。
【0062】
図5及び図7(d)に示すように、接着層40が付与された袋体50は、さらに下流側の押付部材80bへと送り出されて、押付機80の押付部材80bによって折返接着部11が前面側へと折り返されて包装袋10が製造される。押付機80の押付動作は、チェーンコンベア部78が2回の搬送動作を行った後、次の搬送動作を行うまでの袋体50が停止している期間に実行されるように制御されている。したがって、本実施形態では、2セットの押付機80によって二つの袋体50への押付操作が同時に行われる。図7(d)に示すように、押付部材80bは、上方へと移動されることにより折返接着部11を下方から上方へと持ち上げるようにして前面側へと折り返す。それと同時に、折返接着部11を前面シート部20の下部20aの外面に押し付けることで、接着層40を介して折返接着部11を前面シート部20の下部20aの外面とを接着する。また、この押し付けによって、折返接着部11に付与された接着層40が広がって、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間に形成された空間Sの一部を埋めるようになる。なお、押付部材80bは加熱可能であるため、仮に、接着層40が多少冷えて固まったとしても、押付部材80bにより再加熱されて溶融し、接着性を発揮させることができる。このようにして製造された包装袋10は、仕上機本体70の下流に設置された搬出装置65に送り出されるとともに、搬出装置65によって所定場所へと送り出される。
【0063】
上記実施形態の包装袋10及び包装袋10の製造装置によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)袋状態にある包装袋10において、底面部10aの外面は、背面シート部25の下部25aの外面と折返接着部11の外面との二つの面で構成させることが可能となる。これら二つの面は、背面シート部25によって構成される連続した外面でもあるため、包装袋10を自立させた際には、その全体が載置面に接触しやすく、包装袋の自立安定性の向上に寄与できる。
【0064】
(2)折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とが接着層40によって接着されているため、折返接着部11が前面シート部20の下部20aの外面から離れにくくなり、折返接着部11の折り返し状態が安定する。すなわち、折返接着部11の折り返しに対する反発から折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とが離れて、前面シート部20の下部20aの外面と載置面との間に空間が形成されると、それだけ包装袋10の自立安定性は低減する。上記の接着構成によれば、そうした自立安定性の低減を抑制する。
【0065】
(3)上記実施形態では、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間にスペーサ部材(接着層40)が介在されていることから、互いに対向配置される折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とがスペーサ部材を介して接触し、これら二つの面の実質的な接触域を拡大させることができ、それだけ包装袋10の自立安定性が向上する。
【0066】
(4)上記実施形態では、接着層40としてホットメルト接着剤を採用することで、接着層40が接着剤としての機能に加えてスペーサ部材としての機能を発揮できるようにしている。したがって、スペーサ部材を別途設ける必要がなく、包装袋10の製造装置の構成を簡略化できる。
【0067】
(5)折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さXは、下部接着部13の側縁接着部12の内側端12a側の長さZと等しく形成されている。この長さZは、底面部10aにおける前面シート部20の下部20aの前後方向の長さに相当する。したがって、これらの長さ寸法の関係によれば、折返接着部11の先端11bを前面シート部20の下部20aにおける端縁部20bに確実に当接可能とさせつつ、折返接着部11が端縁部20bよりも前方に飛び出ることを抑制することができる。
【0068】
(6)折返接着部11の角部が面取りされて面取り部17が形成されているため、折返接着部11が手指や衣服に引っかかることを抑制することができる。とくに、上述したとおり、折返接着部11の先端11bは、下部20aの端縁部20bにまで至っており、仮に面取り部17が形成されていないと、折返接着部11の角部が手指や衣服に引っかかる可能性は高い。折返接着部11の面取り部17によれば、このような事態が発生することを抑制することができる。
【0069】
(7)上記実施形態では、袋体50(包装袋10)に貫通孔52を設けている。この貫通孔52には、切除装置82による切除の際に、雄刃型84の位置決めピン85が貫通され、この貫通関係により、袋体50の雄刃型84に対する上下方向及び左右方向の正確な位置決めが可能となる。したがって、袋体50の貫通孔52と雄刃型84の位置決めピン85との関係によれば、袋体50の各余白部分を正確に切除することができる。また、上記実施形態では、貫通孔52を上縁余白部分51に形成しており、この上縁余白部分51は、切除装置82によって切除されて切り離される部分である。したがって、完成した包装袋10には貫通孔52は残らず、貫通孔52の存在によって包装袋10のデザイン性が低下してしまうことを抑制することができる。
【0070】
(8)上記実施形態では、包装袋10の四箇所の側縁接着部12それぞれに切込部18を形成している。たとえば、包装袋10の右側から切込部18を起点として切り取る場合、前面シート部20及び背面シート部25及び右側の折込シート部30については、左側へと切り取ることができる。しかしながら、左側の折込シート部30は、折り目30aが右側を向くように折り込まれており、左側への切り取り操作によっては切り取ることが難しい。上記実施形態では、四箇所の側縁接着部12それぞれに切込部18を形成することで、たとえば、右側から切り取りつつ左側からも切り取って、包装袋10の上縁接着部14を確実に切り離すことが可能である。
【0071】
(9)上記実施形態では、上縁接着部14の左右方向両端に外方に向って突出する保持部19を形成しているため、この保持部19に手指や器具等を引っ掛けて包装袋10の上縁接着部14を保持しやすい。したがって、包装袋10の保持や、上縁接着部14の切り取り操作等が行いやすくなる。
【0072】
(10)仕上機60の押付機80によれば、折返接着部11の折り返し状態を保持させるとともに、折返接着部11の先端11bを下部20aの端縁部20bに当接させることを可能にする。
【0073】
(11)上記実施形態の仕上機60には、前側レール部74のガイド部75、接着層付与部材79及び押付機80が設けられており、これらの構成によって、袋体50(包装袋10)が送り出されるに伴って、折返接着部11の起き上げ、接着層40の付与、折返接着部11の折り返し及び接着を連続的に行うことが可能である。
【0074】
(12)押付部材80bは、加熱可能であるため、仮に、接着層付与部材79によって付与された接着層40が押付部材80bまでの間に固化して、接着性を発揮できなくなったとしても、押付部材80bによって接着層40を再溶融させてその接着性を発揮させることができる。
【0075】
(13)後側レール部73及び前側レール部74の間隙の変更と、袋体50に対する爪部78cの押し出し力とを活用して折返接着部11の起き上げを実現している。したがって、折返接着部11の起き上げは、無理なく徐々に実現することができるとともに、確実に実現することができる。
【0076】
(14)地点Qよりも下流側においては、前側レール部74には、ガイド部75が形成されていないとともに縦壁部74aの下端部分が所定長さ切り欠かれており、接着層付与部材79のグルーガン79bをより上方に配置することができる。したがって、小型な袋体50で折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さXが短くても、接着層40を付与することができる。
【0077】
(16)上記実施形態では、貫通エラー検出装置を設け、貫通エラー信号が出力された場合には仕上機60全体の動作を停止させる。したがって、位置決めピン85が貫通孔52を貫通せず、切除装置82による袋体50の切除が行えないにも拘わらず、次々に袋体50が切除装置82に搬送されるといった事態が発生することはない。
【0078】
(17)上記実施形態では、雄刃型84に位置決めピン85を形成しており、両者の位置関係は常に固定されているため、これら雄刃型84と位置決めピン85との位置関係を微調整するといったメンテナンス作業は不要となる。
【0079】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよく、また、以下の変更例を組み合わせて適用してもよい。
・ 折返接着部11の折返の方向は、背面シート部25側に変更可能である。この場合、折返接着部11の先端は背面シート部25における下部25a外面の端縁に当接することとなる。
【0080】
・ 包装袋10(前面シート部20)の形状は問わない。たとえば、前面シート部20の上方側の両角部を切り取らず、前面シート部20を長方形状に形成してもよい。また、前面シート部20を上方ほど幅が小さくなるテーパ状や上方ほど幅が大きくなる逆テーパ状に形成してもよいし、これらを組み合わせたような複雑な形状としてもよい。なお、背面シート部25や折込シート部30についても前面シート部20の形状に合わせてその形状を変更すればよい。なお、各シート部の形状によっては、袋体50(包装袋10)に余白部分が形成されないこともある。
【0081】
・ さらに、包装袋10の側縁接着部12の形状を、左右非対称な形状とすることで、包装袋10を開封したときの開口が幅方向どちらかに偏在するようにしても良い。たとえば、図10(a)に示すように、袋体50の上流側において、両側の側縁接着部12の内縁12c、12dそれぞれが袋体50の幅方向中央側に寄るように側縁接着部12を形成する。そして、一方側の側縁接着部12については、その内縁12cが一対の折込シート部30の折り目30aの間に位置するように形成し、他方側の側縁接着部12については、その内縁12dが折り目30aよりも外側に位置するように形成してもよい。また、両側の側縁接着部12の内縁のうち一方のみを幅方向中央側に寄るように形成してもよい。たとえば、図10(b)に示すように、一方側の側縁接着部12の内縁12cが折り目30aの間に位置し、他方側の側縁接着部12については、内縁12dが樹脂シートの側縁に沿って直線状となるように側縁接着部12を形成してもよい。
【0082】
・ 切込部18の形成位置は変更することができる。たとえば、切込部18を包装袋10の四箇所の側縁接着部12のいずれか1〜3つのみに形成してもよい。また、切込部18を複数の側縁接着部12に形成する場合、互いの切込部18の高さ位置の関係は自由に設定できる。さらに、切込部18を形成せず省略することも可能である。また、保持部19の形状も変更することができる。半円状に突出する保持部19に限らず、三角形状や四角形状に突出するように形成してもよい。保持部19を形成せず省略することも可能である。
【0083】
・ 面取り部17の形状も適宜変更できる。たとえば、折返接着部11の角部を直線状に切り取って面取り部17を形成してもよいし、その他の形状でもよい。また、面取り部17を形成しないようにしてもよい。
【0084】
・ 下部接着部13の形状は適宜変更できる。たとえば、下部接着部13は、直角三角形状に限らず、円弧状に形成してもよいし、側縁接着部12の内側端12a側の長さZを変更することもできる。さらに、下部接着部13を形成しないようにしてもよい。
【0085】
・ 折返接着部11の周縁、とくに、コーナ部分について、前面シート部20と背面シート部25とが一体となるように互いに接着してもよい。たとえば、折込シート部30に切欠や孔を設け、それら切欠や孔を介して前面シート部20と背面シート部25を熱溶着したり、二つ折りされた折込シート部30の対向面間を接着剤等で接着したりする。こうした構成の一例としては、図11に示すとおりであり、この例では、折込シート部30の切欠部11cを介して前面シート部20と背面シート部25とが熱溶着されている。折返接着部11、とくにコーナ部分で前面シート部20側と背面シート部25側とが離間する状態では、それらのいずれか一方が製造装置の装置機構に引っ掛ることも考えられるが、この変更例では、折返接着部11、とくにコーナ部分が一枚状に一体化されているため、そうしたおそれはない。
【0086】
・ 折返接着部11の周縁を一枚状に一体化する構成において、折込シート部30のうち折返接着部11を構成する部分において、折り畳み状態の折込シート部30の外面(谷側の面)に接着剤を付与して折返接着部11のコーナ部分を一枚状に一体化してもよい。この場合、前面シート部20と背面シート部25とが直接的に接着されていないが、折返接着部11の周縁(コーナ部分)において、前面シート部20と背面シート部25とが一体となっている。
【0087】
・ 4枚の帯状の樹脂シートによって包装袋10を形成するのではなく、1〜3枚の樹脂シートによって包装袋10を形成することもできる。また、1〜3枚の樹脂シートによって包装袋10を形成する場合、必ずしも4箇所の側縁接着部12を形成する必要はない。たとえば、1枚の帯状の樹脂シートで包装袋10を形成する場合、帯状の樹脂シートの左右両側の側縁を、長手方向(包装袋10の上下方向)に沿って接着部を形成すれば包装袋10の密閉性が確保できる。したがって、この場合は、一箇所の側縁接着部12のみを形成すればよいことになる。また、1枚の帯状の樹脂シートで包装袋10を形成する場合、長手方向に沿う接着部は、包装袋10の側面と側面との境界のコーナ部(上記実施形態の包装袋10において側縁接着部12が形成されている部分)に形成してもよいし、包装袋10の側面の横幅方向中央に形成してもよい。
【0088】
・ 折返接着部11の形状を変更することも可能である。たとえば、折返接着部11を、前側(図3においては下側)に向かうほど左右の幅が小さくなるように形成してもよい。この場合、折返接着部11の先端11bは、最も前側(図3においては下側)の端である。
【0089】
・ 包装袋10に樹脂シート以外の構成を付加してもよい。たとえば、包装袋10の側縁に熱硬化性樹脂からなる柱体(ピラー)を設けたり、上縁接着部14において、前面シート部20と背面シート部25との間に口具(スパウト)を設けたりしてもよい。
【0090】
以上のように、樹脂シートの下部縁(底縁部)が接着されて折返接着部が形成されており、かつ折返接着部と樹脂シートの下部とによって底面部が形成されている包装袋であれば、どのような包装袋であっても本発明を適用することができる。
【0091】
・ 上記実施形態では、接着層40の形成位置(付与位置T)として折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さ方向中央を採用したが、これを変更することもできる。たとえば、図12に図示するように、接着層40(付与位置T)を、折返接着部11の基端11aと先端11bとの中央線C1よりも基端11a側に設定することができる。この構成によれば、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間において、最も空間Sが大きくなりがちな基端11a側において、その空間Sを埋めることができる。すなわち、接着層40がスペーサ部材として、より好適に機能できる。
【0092】
・ 上記実施形態では、接着層40としてホットメルト接着剤を採用したが、たとえば、液体状の接着剤を採用し、これをスプレーやブラシ等で折返接着部11に付与して接着してもよい。また、いわゆる接着剤として販売されているものに限らず、両面に接着性を有する両面接着テープなどを接着層40として採用してもよい。さらに、両面が熱溶着性を有する前面シート部20を採用し、前面シート部20の熱溶着性でもって接着を実現してもよい。すなわち、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とを接着できる構成であればよい。
【0093】
・ 上記実施形態では、接着層40にスペーサ部材としての機能も担わせたが、接着層40とは別にスペーサ部材を設けてもよい。たとえば、接着層40とは別に、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面との間に、接着性を有さない合成樹脂を介在させて、空間Sを埋めるようにしてもよい。
【0094】
・ スペーサ部材を省略してもよい。たとえば、上述した液体状の接着剤や両面接着テープを接着層40として採用した場合、これらは体積(厚み)が小さいことが想定され、スペーサ部材としては機能しにくい。したがって、液体状の接着剤や両面接着テープを接着層40として採用した場合はスペーサ部材を省略したことになる。
【0095】
・ 折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とを接着しなくともよい。折返接着部11の先端11bは、前面シートの下部20aの前面側の端縁部20bにまで至っており、折返接着部11には、包装袋10の重量の大部分が作用することになる。したがって、折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とを接着しなくとも、包装袋10の重量によって、折返接着部11の先端11bは、前面シートの下部20aの端縁部20bに当接可能である。
【0096】
・ 上記実施形態では、折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さXを、下部接着部13における側縁接着部12の内側端12a側の長さZ(前面シート部20の下部20aの長さZ)と等しく形成したが、両者が厳密に等しくなくてもよい。本発明でいう前面シート部20の下部20aの端縁部20bは、折り曲げ線Rのように直線を示すものではなく、ある程度幅を持った範囲である。したがって、たとえば、折返接着部11の基端11aから先端11bまでの長さXを、多少短く形成したり、多少長く形成したりしたとしても、先端11bは、端縁部20bに当接しているといえる。なお、端縁部20bといえる範囲は、包装袋10の大きさや形状等によっても異なるが、下部20aの端部(折り曲げ線Rの部分)から、前面シート部20の長手方向に側縁接着部12の幅程度が考えられる。
【0097】
・ 製袋機P及び充填機Fは、それぞれ上記実施形態で例示したものに限らず、一般的に使用されている製袋機及び充填機であればどのようなものでもかまわない。もちろん、樹脂シートを折り込む構成、接着部を形成する構成は、どのような構成であってもかまわないし、これらの装置構成の配置(形成順序)も問わない。たとえば、4枚の帯状の樹脂シートによって包装袋10を形成するのではなく、1〜3枚の樹脂シートを適宜折り畳んで包装袋10を形成するようにしても良い。さらに、製袋機P及び充填機Fは、一つの製袋充填機として構成されていてもよいし、製袋機及び充填機がそれぞれ複数の装置から構成されていてもよい。
【0098】
・ 袋体50の折返接着部11を起き上げる構成は、前側レール部74のガイド部75(先端面75a)に限らない。たとえば、後側レール部73及び前側レール部74の少なくとも一方を湾曲するように形成し、後側レール部73と前側レール部74の間隔が上流側から下流側へと向かうにつれて変化するように配置してもよい。
【0099】
・ ガイド部材として、前側レール部74とは別体のガイド部材を設けてもよい。たとえば、後側レール部73及び前側レール部74に加えて、ガイドレール部を設け、このガイドレール部と後側レール部73との間隔を変化するようにして、ガイドレール部に折返接着部11に対する起き上げ機能を担わせてもよい。
【0100】
・ 前側レール部74とは別体でガイド部材を設ける構成において、たとえば、袋体50を静止させておき、ガイド部材が後側レール部73側(袋体50の背面シート部25側)へと移動することでガイド部材と後側レール部73との間隔が変化するようにしてもよい。
【0101】
・ 前側レール部74のガイド部75の先端面75aは鉛直面として構成していたが、これを傾斜面として構成してもよい。たとえば、この先端面75aを上部ほど後側レール部73側に突出するような傾斜面とし、先端面75aと後側レール部73との離間長を鉛直方向において上方ほど小さくするようにする。この場合、たとえば、上記実施形態でいうならば、前面シート部20の下部20aと折返接着部11との間に先端面75aが挿入されやすくなることから、折返接着部11の起き上げの初期動作をより確実に実行させることができる。
【0102】
・ ガイド部75の後側レール部73側への延出長は、搬送方向下流側に向うにしたがって徐々に大きくなるように形成しているが、これに合わせてガイド部75の厚さ長(延長方向の長さ)を搬送方向下流側に向かうにしたがって徐々に大きくなるように形成してもよい。この場合、ガイド部75における、搬送方向の最も上流側の先端部を袋体50の搬送面と同一の高さ位置又はその搬送面よりも少し低い位置(本明細書ではこれらの位置を「ほぼ同一の高さ位置」という。)にすると、上記変更例のように折返接着部11の起き上げの初期動作をより確実に実行させることができる。
【0103】
・ 折返接着部11と前面シート部20の下部20aの外面とを接着しないのであれば、前側レール部74のガイド部75及び接着層付与部材79を省略できる。この場合、上流側から地点Qまでの間については、前側レール部74を、後側レール部73と同様に、その延設方向全体に亘って同一の断面L字状に形成することができる。
【0104】
・ 上記実施形態では、接着層付与部材79として、収容体79aのホットメルト接着剤を吐出するグルーガン79bを採用したが、この構成を変更してもよい。たとえば、接着剤が含浸されるローラを折返接着部11と接触させつつ回転させたり、接着剤が練り出されるパイプ材や接着剤が含浸される筆材を折返接着部11に接触させたりすることで接着層を付与するようにしてもよい。
【0105】
・ 一対の刃型(雄刃型84及び雌刃型86)による袋体50の切除態様として、いわゆるダイパンチ法を採用してもよい。ダイパンチ法を採用する場合の一対の刃型の構成としては次のような構成が考えられる。
【0106】
・ 上記実施形態では、接着層付与部材79について、接着層の付与対象を折返接着部11としたが、これに限らず、たとえば、前面シート部20の下部20aの外面も対象としてもよい。また、前面シート部20の下部20aの外面のみを接着剤の付与対象とするように変更してもよい。
【0107】
図9(a)に示すように、切除装置82の基部83に内蔵された駆動シリンダの先端には連結部91を介して所定の厚みを有する板状に形成された雄刃型92が連結されているとともに、他の駆動シリンダの先端には連結部93を介して所定の厚みを有する板状に形成された雌刃型94が連結されている。雄刃型92を平面視した場合に、雄刃型92の下側部92aは、左右方向の幅が上方に向うほど狭くなるように形成されており、上側部92bは、左右方向の幅が略一定に形成されている。また、雄刃型92の上側部92bにおいて幅方向中央側に向って三角形状に食い込むように切込部92cが形成されている。また、雄刃型92の上側部92bの上方には、左右方向のそれぞれ外側に半円状に突出する半円部92dが形成されている。すなわち、雄刃型92は、その外縁形状が製造しようとする包装袋10の側縁接着部12の上側端12b及び上縁接着部14の外側端14aに沿う形状に形成されている。雌刃型94は、雄刃型92と同じ厚みの板状に形成されているとともに、雄刃型92の外縁形状と略同一形状の切欠部95が形成されている。これら雄刃型92及び雌刃型94は、雄刃型92と雌刃型94とが最大に離間した離間位置と、雄刃型92が雌刃型94の切欠部95に嵌まり込んだ嵌合位置との間を移動する。
【0108】
また、図9(a)に示すように、雌刃型94において、離間位置における雄刃型92側の面には、雄刃型92側に向って位置決めピン96が突設されている。また、雌刃型94には、切欠部95の上方に1つ、切欠部95の左右両側に1つずつ、計3つの噴出孔97が穿設されている。これら噴出孔97は、切欠部95に対して所定の間隔で配置されており、雄刃型92及び雌刃型94が袋体50を切除する際に、噴出孔97の開口全体が袋体50(背面シート部25)によって塞がれるようになっている。また、各噴出孔97には、噴出ポンプが接続されており、噴出孔97の雄刃型92側へと空気を噴出するようになっている。なお、噴出ポンプの駆動(空気の噴出)は制御装置によって制御されており、雄刃型92及び雌刃型94が嵌合位置に達した後に、噴出ポンプが駆動されるようになっている。
【0109】
これら雄刃型92及び雌刃型94によって袋体50を切除する際には、先ず、制御手段によって各駆動シリンダが制御されて、離間位置にある雄刃型92及び雌刃型94がそれぞれ近接する。そして、雄刃型92の袋体50と当接する側の面及び雌刃型94の袋体50と当接する側の面が同一平面上に配置された切除位置となったときに、雄刃型92の外縁と雌刃型94における切欠部95の内縁とによって袋体50が切除される。なお、雄刃型92及び雌刃型94は、切除位置において袋体50と当接する側の面が切除しようとする袋体50の厚み方向中央面と同一平面上に配置されるように、離間位置から切除位置までの移動距離が設定されている。したがって、雄刃型92及び雌刃型94が離間位置から切除位置まで移動する際に、各刃型によって袋体50がその厚み方向に押し出されて後側レール部73及び前側レール部74上から脱落することはない。
【0110】
次いで、制御手段によって駆動シリンダが制御され、雄刃型92の移動が切除位置で停止される一方、雌刃型94が雄刃型92側へ引き続き移動されて図9(b)に示す嵌合位置へと配置される。この切除位置から嵌合位置への移動にあたっては、雄刃型92の移動は停止されているため、袋体50の包装袋10を構成する中央部分59は雄刃型92によって押し出されることはなく、袋体50が後側レール部73及び前側レール部74上から脱落することはない。一方、袋体50の余白部分は、雌刃型94が雄刃型92側へ引き続き移動するのに伴って一方側(図9(b)において左側)に押し出される。そして、雄刃型92及び雌刃型94が嵌合位置に配置されると、噴出ポンプが駆動されて、雌刃型94の噴出孔97から空気が噴出されて、袋体50の余白部分が吹き飛ばされるようにして雌刃型94の位置決めピン96から抜き取られる。
【0111】
なお、図9(b)に示すように、雄刃型92が雌刃型94の切欠部95に嵌まり込んだ嵌合位置に達すると、両刃型は、1つの板体のような形状となる。そして、袋体50の余白部分(図9(b)においては側縁余白部分54を図示している)が各刃型の一方側の面に位置するとともに、袋体50の中央部分59が各刃型の他方側の面に位置する。すなわち、このダイパンチ法による袋体50の切除態様においては、雌刃型94が切除位置から嵌合位置へと移動した分、袋体50の前後方向において袋体50の中央部分59と余白部分とが離間される。また、これら中央部分59と余白部分とは、板状に一体化したような各刃型によって区分けられる。そのため、袋体50の余白部分が後側レール部73及び前側レール部74上に混入することがより好適に抑制される。
【0112】
・ 雄刃型84の位置決めピン85は省略することができる。袋体50の余白部分を切除するにあたって、位置決めピン82以外の構成で袋体50の正確な位置決めが確保できる場合、あるいは、正確な位置決めが必要ない場合、位置決めピン85は必ずしも必要ない。位置決めピン85を省略する場合、雌刃型86のピン収容孔88及び袋体50の貫通孔52も省略できるし、雌刃型86の吸引孔89も省略できる。さらに、たとえば、前面シート部20を四角形状に形成して余白部分の切除が必要ない場合、切除装置82そのものを省略することもできる。
【0113】
・ 切除装置82を設ける場合、切除装置82と他の装置構成との位置関係は変更できる。たとえば、押付機80よりも下流に切除装置82を設けてもよい。さらに、切除装置82は、後側レール部73及び前側レール部74の上方に設ける必要はなく、搬入装置61や搬出装置65の上方に設けてもよいし、あるいは仕上機60とは別の装置として構成することも可能である。
【0114】
・ 押付機80の押付部材80bが加熱可能でなくともよい。接着層40としてホットメルト接着剤を採用した場合でも、接着層付与部材79による接着層40の付与から押付機80による押付までの時間が短く、接着層40の溶融状態が確保できるのなら、押付機80の押付部材80bを加熱する必要はない。また、接着層40として加熱の必要のない接着剤を採用する場合、あるいは折返接着部11を接着しない場合も、押付機80の押付部材80bを加熱する必要はない。逆に、接着剤の接着性を発揮させるために冷却が必要であれば、押付機80の押付部材80bを冷却可能に構成することもできる。
【0115】
・ 上記実施形態では、内容物が充填されて袋状態となった袋体50を仕上機本体70に供給したが、袋体50が袋状態であるならば、必ずしも内容物が充填されていなくともよい。たとえば、空気や不活性ガス等の気体を袋体50の内部に充填することで袋状態とし、仕上機本体70による各処理が終了したあとに袋状態の袋体50(包装袋10)に内容物を充填するようにしてもよい。
【0116】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)折返接着部の起端から先端までの長さは、樹脂シートの一方側において、下部外面の折り曲げの起端から端縁部までの長さと等しく形成されていることを特徴とする包装袋。
【0117】
(ロ)樹脂シートは、その側縁部が接着されて複数の側縁接着部が形成されており、全ての側縁接着部には、樹脂シートの一部を切り取って開封するための切込部が形成されていることを特徴とする包装袋。
【符号の説明】
【0118】
10…包装袋、10a…底面部、11…折返接着部、11b…折返接着部の先端、20…前面シート部、20a…前面シート部の下部、20b…前面シート部の下部の端縁部、25…背面シート部、25a…背面シート部の下部、30…折込シート部、40…接着層(スペーサ部材)、73…ガイド部材としての後側レール部、74…ガイド部材としての前側レール部、75…前側レール部のガイド部、79…接着層付与部材、80…押付機、80a…押付機の押付部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をなす樹脂シートによって形成されるとともに該樹脂シートの下部縁が接着されて折返接着部が形成され、前記樹脂シートが互いに離間して収容空間が形成された袋状態になったときには、前記樹脂シートの下部が折り畳まれるとともに対向配置される樹脂シートの一方側へ前記折返接着部が折り返されて底面部が構成され、該底面部において前記折返接着部の先端が樹脂シートの一方側における下部外面の端縁部に当接している包装袋を製造する包装袋の製造装置であって、
前記樹脂シートが前記袋状態とされた後に、前記折返接着部を、該折返接着部に対向配置される樹脂シートの一方側へ折り返すとともに、前記折返接着部を樹脂シートの一方側における下部外面に押し付ける折返手段を備えることを特徴とする包装袋の製造装置。
【請求項2】
前記折返手段は、前記折返接着部を樹脂シートの一方側における下部外面から離間する方向に起き上げるガイド部材と、前記ガイド部材により起き上げられた前記折返接着部に接着層を設ける接着層付与部材と、前記接着層が設けられた前記折返接着部を、樹脂シートの一方側における下部外面に押し付けて接着する押付部材とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋の製造装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、上流側から下流側へと延びるとともに互いに対向配置された一対のレール部であり、一方のレール部と他方のレール部との間隔が下流側に向うほど小さくなることを特徴とする請求項2に記載の包装袋の製造装置。
【請求項1】
筒状をなす樹脂シートによって形成されるとともに該樹脂シートの下部縁が接着されて折返接着部が形成され、前記樹脂シートが互いに離間して収容空間が形成された袋状態になったときには、前記樹脂シートの下部が折り畳まれるとともに対向配置される樹脂シートの一方側へ前記折返接着部が折り返されて底面部が構成され、該底面部において前記折返接着部の先端が樹脂シートの一方側における下部外面の端縁部に当接している包装袋を製造する包装袋の製造装置であって、
前記樹脂シートが前記袋状態とされた後に、前記折返接着部を、該折返接着部に対向配置される樹脂シートの一方側へ折り返すとともに、前記折返接着部を樹脂シートの一方側における下部外面に押し付ける折返手段を備えることを特徴とする包装袋の製造装置。
【請求項2】
前記折返手段は、前記折返接着部を樹脂シートの一方側における下部外面から離間する方向に起き上げるガイド部材と、前記ガイド部材により起き上げられた前記折返接着部に接着層を設ける接着層付与部材と、前記接着層が設けられた前記折返接着部を、樹脂シートの一方側における下部外面に押し付けて接着する押付部材とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋の製造装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、上流側から下流側へと延びるとともに互いに対向配置された一対のレール部であり、一方のレール部と他方のレール部との間隔が下流側に向うほど小さくなることを特徴とする請求項2に記載の包装袋の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−86805(P2013−86805A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226060(P2011−226060)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(391003794)押尾産業株式会社 (32)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(391003794)押尾産業株式会社 (32)
【Fターム(参考)】
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