説明

包装装置

【課題】印字処理されたフィルムを用いて被包装物に対する値付け作業を効率化するとともに、印字処理部分の文字や図形等を有効に機能させることが可能な包装装置を提供する。
【解決手段】包装装置1は、緊張保持されたフィルムFに対して被包装物(商品GおよびトレーT)を押し当てて、被包装物における押し当てられた面とは反対の面にフィルムFの端部を折り込む包装装置である。制御部9は、予めポップ広告P1等が印字されたフィルムF2を用いて包装する場合には、無地のフィルムF1を使用して被包装物を包装する場合と比較して、フィルムF2のストレッチの程度(伸ばし具合)を抑え気味にして包装するように各部の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等が載せられたトレー等の被包装物をフィルムに押し当てて、フィルムを折り込むようにして包装する包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発泡スチロール等を使用したトレーに収納された生鮮食料品等の被包装物をストレッチフィルムによって包装する装置が用いられている。
このようなストレッチ包装装置では、所定の幅を有するストレッチフィルムをトレーの大小に応じて所定長さ寸法に切断するとともに、フィルムの幅方向の両側縁部を上下のベルト等を有する一対のフィーダにより保持しながらフィルムを包装ステーションに搬送し、包装ステーションにおいてフィルム包装を行う。包装ステーションでは、搬送されてきて緊張保持されているフィルムに対してトレーに収納された商品(以下、被包装物という。)を押し上げ、被包装物をフィルムに密着させた状態でフィルムの周縁部を被包装物の下側に折り込む。具体的には、左右の折込部材がフィルムの周縁部の左右部分を被包装物の下側に折り込み、後ろ折込部材がフィルムの周縁部の後側部分を被包装物の下側に折り込み、最後に、被包装物をプッシャーで前方に押し出してフィルムの周縁部の前側部分を相対的に被包装物の下側へと折り込む。このようにして、被包装物をストレッチフィルムで包んだ後、被包装物の下に折り込まれたフィルムをヒートシールして包装を完了させる。
【0003】
このような包装装置において包装された被包装物には、店頭に並ぶ前に、自動的に貼り付けられた計量値や計量値に応じた価格等の情報が印字されたラベルに加えて、例えば、ポップ広告等のような複雑な形状のラベルが貼り付けられる。このような複雑な形状を有するラベルの貼り付け作業は、被包装物を計量してそれに応じたラベルを作成し、1つずつ手作業で貼り付ける必要があり、非常に面倒であった。
【0004】
このようなラベル貼り付け作業の非効率性に関して、例えば、特許文献1には、被計量物の計量値に関するデータをフィルムに印字し、これを用いて被計量物を包装する値付け方法が開示されている。これによれば、被計量物を計量した後で計量値に応じた値付けラベル等を貼り付ける必要がなくなるため、値付け作業等を効率化できる。
【特許文献1】特開昭55−5350号公報(昭和55年1月16日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の値付け方法では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された値付け方法では、単に、印字処理済みストレッチフィルムを用いた場合における値付け方法が開示されているだけであって、印字処理済みのフィルムを用いた場合の包装の制御方法については特に考慮されていない。このため、通常の包装条件と同じ条件で包装した場合には、印字処理済みストレッチフィルムに印字された文字や図形等が歪んでその効果を十分に活かしきれなくなるおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、印字処理されたフィルムを用いて被包装物に対する値付け作業を効率化するとともに、印字処理部分の文字や図形等を有効に機能させることが可能な包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る包装装置は、緊張保持させたフィルムに被包装物を押し当てて、フィルムの周縁部を折り込んで被包装物を包装する包装装置であって、フィルム支持部と、保持部と、リフト機構と、折込機構と、制御部とを備えている。フィルム支持部は、包装に使用される無地のフィルムおよび印字処理が施されたフィルムの少なくともいずれか一方を支持する。保持部は、フィルム支持部からフィルムを引き出して張力をかけた状態で緊張保持する。リフト機構は、被包装物が載せられる載置部材を有し、載置部材によって被包装物をフィルムに対して押し当てる。折込機構は、被包装物が保持部によって緊張保持されたフィルムにリフト機構によって押し当てられた状態において、被包装物と載置部材との間に入り込んで、フィルムの周縁部を、被包装物におけるフィルムに押し当てられた面とは反対側の面へと折り込む。制御部は、印字処理が施されたフィルムを用いて包装する場合には、無地のフィルムを用いて包装する場合と比較してフィルムに対してかかる張力の度合いを変更するように保持部、リフト機構および折込機構の少なくとも1つを制御する。
【0008】
ここでは、緊張保持されたフィルムに対して被包装物を押し当てて、被包装物におけるフィルムに対して押し当てられた面とは反対側の面に折り込むように包装する包装装置において、無地のフィルムと印字処理が施されたフィルムの2種類のフィルムを使用する際には、それぞれの包装条件を変更して各部の制御を行う。
ここで、上記無地のフィルムとは、通常の包装に使用される、例えば透明あるいは半透明なフィルムである。一方、上記印字処理が施されたフィルムとは、例えばポップ広告や被包装物のメーカーや産地等を示す文字や図形、登録商標やサービスマーク等が印字されたフィルムが挙げられる。また、制御部によるフィルムに対してかかる張力の度合いを変更する制御としては、例えば、包装前にフィルムを緊張保持した状態におけるフィルムの伸ばし具合、フィルムに対して被包装物を押し当てた際のフィルムの伸ばし具合、あるいはフィルムを折り込む際のフィルムの伸ばし具合等を変更することが挙げられる。さらに、フィルムに対してかかる張力の度合いを変更する制御には、無地のフィルムを使用した場合と比較して、印字処理済みのフィルムを伸ばさないようにする制御、伸ばすようにする制御の双方が含まれる。
【0009】
これにより、ポップ広告等が印字されたフィルムを使用して包装する場合には、印字された文字や図形等が歪んでしまうことがないように、フィルムの伸ばし具合を通常の包装時とは異なる条件になるように調整して被包装物の包装を行うことができる。この結果、ポップ広告等を含む印字されたフィルムを適正な状態で表示して、被包装物を包装することができる。
【0010】
第2の発明に係る包装装置は、第1の発明に係る包装装置であって、制御部は、印字処理が施されたフィルムを使用する場合には、無地のフィルムを使用する場合と比較してフィルムの伸び率を抑えるように制御する。
ここでは、ポップ広告等が印字処理されたフィルムを使用して包装する場合には、通常の無地のフィルムを用いて包装するよりもフィルムを伸ばさないように、保持部、リフト機構および折込機構等の制御を行う。
これにより、フィルムに印字処理された文字や図形等が歪んでしまった結果、ポップ広告や値札等として機能しなくなることを防止することができる。
【0011】
第3の発明に係る包装装置は、第1または第2の発明に係る包装装置であって、制御部は、印字処理が施されたフィルムを使用する場合には、フィルムの印字処理部分が被包装物における所定の位置にくるまでフィルムを引き出すように保持部を制御する。
ここでは、印字処理が施されたフィルムを使用する場合には、印字処理部分に相当する文字や図形等の位置に合わせてフィルムの引き出し量を調整する。
これにより、例えば、ポップ広告が印字されたフィルムを使用する場合には、被包装物においてポップ広告が貼り付けられるべき位置になるように包装することができる。この結果、被包装物を包装後に、ポップ広告等のラベルを貼り付ける場合と同様の機能をフィルムに対して持たせることができる。
【0012】
第4の発明に係る包装装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る包装装置であって、被包装物を包装位置まで搬送する搬送機構をさらに備えている。そして、制御部は、印字処理が施されたフィルムを使用する場合には、フィルムの印字処理部分が被包装物における所定の位置にくるように、搬送機構を制御する。
ここでは、印字処理が施されたフィルムを使用する場合には、印字処理部分に相当する文字や図形等の位置に合わせて被包装物の搬送位置を、前後左右に調整する。
【0013】
これにより、例えば、ポップ広告が印字されたフィルムを使用する場合には、被包装物においてポップ広告が貼り付けられるべき位置になるように包装することができる。この結果、被包装物を包装後に、ポップ広告等のラベルを貼り付ける場合と同様の機能をフィルムに対して持たせることができる。
【0014】
第5の発明に係る包装装置は、第1から第4の発明のいずれか1つに係る包装装置であって、印字処理が施されたフィルムに印字された印字部分あるいはフィルムの一部に形成されたアイマークを検知する検知部をさらに備えている。
ここでは、今から使用するフィルムあるいは現在装着されているフィルムが、無地のフィルムか印字処理が施されたフィルムかを検知するためのセンサ(検知部)を、例えば、フィルム支持部の近傍に設けている。
【0015】
これにより、印字処理が施されたフィルムの印字部分やアイマーク等を検知することで、容易にフィルムの種類を判別することができる。そして、検知部における検知結果に基づいて、フィルムの伸ばし具合を調整して適切な包装を行うことができる。さらに、印字部分やアイマークを検知してこれらが所定の位置にくるように被包装物の搬送位置やフィルムの伸ばし具合等を調整することで、被包装物における所定の位置に印字処理部分がくるように包装することができる。
【0016】
第6の発明に係る包装装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る包装装置であって、フィルム支持部は、無地のフィルムと印字処理が施されたフィルムとの両方を保持している。
ここでは、無地のフィルムと印字処理済みのフィルムとを装置内にそれぞれ保持している。
これにより、被包装物の種類に応じて適切にフィルムの種類を使い分けることができるため、例えば、必要な場合にだけ印字処理済みのフィルムを使用して被包装物を包装することができる。
【0017】
第7の発明に係る包装装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る包装装置であって、制御部は、被包装物の種類や大きさに応じて、包装に使用するフィルムの種類を自動的に選択する。
【0018】
ここでは、包装される商品(被包装物)に応じて自動的に包装に使用するフィルムの種類を選択する。
ここで、被包装物の種類とは、例えば、定価販売品か特売品か、被包装物の原産地がフィルムに印字された原産地表示に合致しているか否か、等が含まれる。
これにより、装着されたフィルムに応じて、装置が自動的に必要なフィルムを選択して被包装物の包装を行うことができる。
【0019】
第8の発明に係る包装装置は、第1から第7の発明のいずれか1つに係る包装装置であって、無地のフィルムと印字処理が施されたフィルムとは、同じ材質によって形成されている。
ここでは、例えば、無地のフィルムに対してポップ広告等を印字処理することで、印字処理済みのフィルムと無地のフィルムとで同じ材質のものを使用する。
【0020】
これにより、フィルムの張力や伸びの程度が均等になるため、印字処理済みのフィルムを使用した際におけるフィルムの伸びの程度を十分に把握した上で異なる包装条件で制御することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の包装装置によれば、ポップ広告等を含む印字されたフィルムを適正な状態で表示して、被包装物を包装することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る包装装置について、図1〜図13を用いて説明すれば以下の通りである。
本実施形態に係る包装装置1は、図1に示すように、フィルム横送り型でフィルムロールR1,R2の2本掛けのストレッチ包装装置であって、フィルムロールR1,R2から引き出されて緊張保持されたストレッチフィルムFに対してトレーTに載せた生鮮食料品等の商品Gを押し上げ(図7および図8参照)、フィルムFの周縁部をトレーTの下側に折り込むことによって、トレーTおよび商品Gからなる被包装物のフィルム包装を行う装置である。また、この包装装置1は、フィルム包装機能に加えて、計量機能やラベル貼付による値付け機能を兼ね備えている。
【0023】
[包装装置1の全体概略]
包装装置1は、図1および図2に示すように、計量搬入機構2と、包装ステーション3と、ロール支持機構(フィルム支持部)4と、フィルム送り出し機構5と、フィルム搬送機構(保持部)6と、折り込み機構(折込機構)7と、加熱機構82とを備えている。
計量搬入機構2は、本体1aの正面中央部に設けられている。包装ステーション3は、本体1a内に形成される空間である。ロール支持機構4は、本体1aの両側にそれぞれ配設されており、それぞれフィルムロールR1,R2を保持する。フィルム送り出し機構5は、フィルムロールR1またはフィルムロールR2から引き出されたフィルムFを上方に送り出す。フィルム搬送機構6は、フィルム送り出し機構5からフィルムFを受け取り、包装ステーション3へとフィルムFを搬送する。折り込み機構7は、包装ステーション3に搬送されたフィルムFによって、被包装物を包み込む。加熱機構82は、折り込み機構7により被包装物の下側に折り込まれ重なったフィルムFに対して、熱を加えてヒートシールを施す。
【0024】
また、本体1aの上部には、表示パネル94、操作キー95等を備えたコンピュータからなる制御部9が配置されている。この制御部9は、上記の各機構の作動を制御するとともに、計量搬入機構2により計量された商品Gの重量を示す信号に基づいて商品Gの価格の算出等を行い、商品Gの重量や価格等をラベルに印字するラベルプリンター10やラベル発行機11の作動を制御している。表示パネル94は、タッチパネル式のディスプレイであり、パネル上に操作ボタンも配される。また、コンピュータ内には記憶部96(図5参照)が収納されており、記憶部96には、表示パネル94や操作キー95等から入力された、あるいは外部の装置から転送されたフィルムFに関するデータ(材質、幅、柄等)および被包装物に関するデータ(大きさ、対応フィルムの種類等)が記憶されている。
【0025】
また、包装装置1で使用するフィルムロールR1,R2は、所定の幅寸法に規定された長尺のストレッチフィルムFが多重に巻回されて形成されたロール体であって、フィルムロールR1は無地のフィルムF1が巻回されたものであり、フィルムロールR2は予めポップ広告P1やワンポイントシールP2、計量ラベルL等が印字処理されたフィルムF2(図12および図13参照)が巻回されたものである。なお、フィルムF1とフィルムF2とは、同じ素材で同じ厚みのフィルムFによって形成されており、ポップ広告P1が印字処理されたフィルムF2は、無地のフィルムF1に対して文字や図形等が印字処理されたものである。
【0026】
(計量搬入機構2)
計量搬入機構2は、図示は省略するが、トレーTに収納された食品等の商品Gの重量を計量する計量器と、一対のローラ間に張設された複数の搬入ベルトとを有している。搬入ベルトには搬送用の突起が設けられており、計量器上(搬入ベルト上方)に商品Gを収容したトレーTを図6に示すように載置すれば、商品Gの重量が計量器により計量された後、トレーTが搬入ベルトの突起に押されて、包装ステーション3のリフト機構30(後述)の支持ベース33a,33b上に送られる(図4および図7参照)。
【0027】
(包装ステーション3)
包装ステーション3は、本体1a内にあって、計量が終わったトレーT内の商品Gに一連のフィルム包装処理を施す空間である。この包装ステーション3では、フィルム搬送機構6によってストレッチフィルムFが張られ、張られたフィルムFに対してリフト機構30がトレーTおよび商品Gを突き上げる(図8参照)。そして、折り込み機構7の折込板76〜78や前折込棒79がフィルムFを突き上げた状態のトレーTの下側へとフィルムFの周囲の部分を折り込むことによって、トレーTおよび商品GがフィルムFで覆われた状態となる。
【0028】
この包装ステーション3の下部には、トレーTの底面を支持してトレーTおよび商品Gを上方に移動させるためのリフト機構30が設けられている。
(リフト機構30)
リフト機構30は、図3および図4に示すように、主として、支持ベース33a,33bと、支持ベース33a,33b上に固定された合計33個の載置部材と、支持ベース33a,33bを上下移動させるラックピニオン機構34とによって構成されている。ラックピニオン機構34では、ギアボックスを介してサーボモータからの回転を出力する出力軸に固定されるピニオンが、そのピニオンに噛合するラックを上下させる。これにより、ラック上部に固定される支持ベース33aが上下移動する。
【0029】
2つの支持ベース33a,33bは、前後に配置されており、大きなトレーTを包装する際には連結され、小さなトレーTを包装する際には切り離される。
載置部材は、上面がトレーTを載置するための載置面となるヘッドと、ヘッドを左右前後に回動させる回動軸とを有しており、フィルムFによってトレーTおよび商品Gを包装する際には、最適なタイミングでヘッドを回動させることでフィルムFをトレーTの下方に折り込ませる。
【0030】
また、リフト機構30は、後述するフィルム送り出し機構5に設けられたセンサ19における検知結果に基づいて、図11(a)および図11(b)に示すように、ラックの上昇の程度を変更するように制御部9によって制御される。なお、包装時におけるこのような包装制御については、後段にて詳述する。
(押さえ機構)
また、包装ステーション3の上部には、リフト機構30によってトレーTおよび商品Gが突き上げられて止まったときにトレーTや商品Gが姿勢を崩して転倒することを抑える役割を果たす押さえ機構(図示せず)が配置されている。この押さえ機構は、排出プッシャー80によってトレーTを排出台83に押し出しながらトレーTの下に折り込まれたフィルムFを加熱ローラ112によってヒートシールする際に、商品GおよびトレーTを加熱ローラ112に押しつける役割も果たす。
【0031】
(ロール支持機構4)
フィルムロールR1,R2を支持するロール支持機構4は、図2に示すように、本体1aの両側にほぼ左右対称になるように設けられている。ロール支持機構4は、主として、ロールバー4a等によって構成されている。
ロールバー4aは、フィルムロールR1,R2を挿通させ、ホルダー等でフィルムロールR1,R2を保持することができる。また、ロールバー4aは、それぞれ本体1aに回転自在な状態で支持されており、1つのフィルムロール駆動モータ4bによって駆動される。フィルムロール駆動モータ4bは、正逆回転が可能であり、正回転時に一方のロール支持機構4を、逆回転時に他方のロール支持機構4をそれぞれ駆動する。
【0032】
なお、ロール支持機構4では、無地で透明のフィルムF1を巻回したフィルムロールR1と、ポップ広告P1等が予め印字されたフィルムF2(図12および図13参照)を巻回したフィルムロールR2という異なる種類のフィルムロールを装着している。そして、このロール支持機構4に装着されたフィルムロールR1,R2のいずれか一方から引き出されたフィルムF1またはフィルムF2を用いて包装を行うかによって、制御部9がリフト機構30等におけるフィルムFのストレッチの程度を調整するような制御を行う。
【0033】
(フィルム送り出し機構5)
フィルム送り出し機構5は、フィルムロールR1またはフィルムロールR2から引き出されたフィルムFを後述するフィルム搬送機構6の一対のフィーダユニット61,62に受け渡すための機構である。このフィルム送り出し機構5は、図2に示すように、主として、繰り出しローラ51、繰り出しローラ51を回す繰り出しモータ52、フィルム差し込み板ユニット53、フィルム差し込み板ユニット53を上下移動させるフィルム差し込み板駆動モータ54、センサ19等によって構成されている。
【0034】
繰り出しローラ51は、ロール支持機構4に保持されたフィルムロールR1,R2の斜め上方、フィルムロールR1,R2よりも外側に配置されるローラであって、フィルムロールR1,R2の長手方向に沿って延びている。この繰り出しローラ51は、ベルトを介して繰り出しモータ52と連結されており、繰り出しモータ52の作動によって回転する。
【0035】
フィルム差し込み板ユニット53は、主として、2枚の板部材57,58によって構成されており、図2に示すように、ロール支持機構4に支持されたフィルムロールR1,R2の上方にそれぞれ配置されている。
フィルム差し込み板駆動モータ54は、上記のフィルム差し込み板ユニット53を上下に移動させるために配備されており、リンク機構を介してフィルム差し込み板ユニット53を上下移動させる。
【0036】
センサ19は、図2に示すように、フィルム送り出し機構5におけるフィルムF1,F2の搬送経路に沿って配置されており、フィルムF2に印字されたポップ広告P1やワンポイントシールP2等を検知して、制御部9へと送信する。そして、制御部9では、このセンサ19における検知結果に基づいて包装時における制御を変更する(図11(a)および図11(b)参照)。
【0037】
(フィルム搬送機構6)
フィルム搬送機構6は、フィルムロールR1,R2から上記フィルム送り出し機構5によって繰り出されたフィルムFを受け取って、包装ステーション3の中央部分に搬送し、さらにフィルムFを緊張保持する。このフィルム搬送機構6は、主として、第1フィーダユニット61と、第2フィーダユニット62と、第1フィーダ移動ユニット63と、第2フィーダ移動ユニット64と、フィーダ駆動ユニット65とによって構成されている。
【0038】
第1フィーダユニット61は装置1の正面から見て手前側に、第2フィーダユニット62は装置1の正面から見て向こう側に配置されている(図3および図4参照)。これらの第1および第2フィーダユニット61,62は、横送りされるフィルムFの前後の両側部(手前側および向こう側の側部)を上下のベルトで挟み、フィーダ駆動ユニット65の作動によってフィルムFを搬送する。
【0039】
また、第1フィーダユニット61は第1フィーダ移動ユニット63の作動により、第2フィーダユニット62は第2フィーダ移動ユニット64の作動によって、それぞれフィルム幅方向(図3および図4の左右方向)に移動するように構成されている。それぞれのフィーダユニット61,62は、フィルム幅方向に沿って延びるスライドシャフト66,67によって、2カ所でフィルム幅方向に移動自在に支持されている。
【0040】
(カッター機構69)
また、フィルム搬送機構6のフィルム搬送方向前側には、カッター機構69が配備されている。カッター機構69は、フィルム送り出し機構5からフィルム搬送機構6へと受け渡されたフィルムFがフィルム搬送機構6で所定量だけ搬送された後に、両機構5,6間においてフィルムFを切断するために設けられている。カッター機構69は、フィルム幅よりも長い切断刃69aを有し、この切断刃69aをアクチュエータで移動させることによりフィルムFを切断する。
【0041】
なお、カッター機構69も、正面左側のフィルムロールR1からフィルムF1が繰り出されるときのためのものと、正面右側のフィルムロールR2からフィルムF2が繰り出されるときのためのものとの2セットが配備されている(図2参照)。
(折り込み機構7)
折り込み機構7は、図2および図3に示すように、主として、左右折込板76,77と、後ろ折込板78と、前折込棒79と、排出プッシャー80とによって構成されている。
【0042】
左右折込板76,77は、フィルムFの周縁部の左右部分(フィルム搬送方向の両端部近傍部分)をトレーTの下側に折り込むもので、図示しないモータおよびタイミングベルトによって左右方向に水平移動が可能である。具体的には、左右折込板76,77は、図8に示すようにリフト機構30が被包装物をフィルムFに押し上げた状態において、トレーTと載置部材との間に入り込み、フィルムFの周縁部を左右方向にトレーTの下側へと折り込ませる。
【0043】
後ろ折込板78は、フィルムFの周縁部の後側部分をトレーTの下側に折り込むもので、図示しないモータおよびタイミングベルトによって前後方向に水平移動が可能である。この後ろ折込板78は、左右折込板76,77よりも上側に配置されており、平面的に左右折込板76,77に重なりながらフィルムFをトレーTの下側に折り込むことができる。具体的には、後ろ折込板78は、リフト機構30が被包装物をフィルムFに押し上げた状態において、左右折込板76,77よりも高い位置においてトレーTと載置部材との間に入り込み、フィルムFの周縁部を前後方向にトレーTの下側へと折り込ませる。
【0044】
前折込棒79は、トレーTを排出台83に向けて押し出す排出プッシャー80によるトレーTの排出時において、フィルムFの周縁部の前側部分(第1フィーダユニット61側の側部近傍部分)がトレーTの下側に折り込まれるように、図3等に示すように配置されている。
排出プッシャー80は、図2に示すように、上述の押さえ機構(図示せず)と干渉しないよう、左右に2分割されている。排出プッシャー80は、図示しないモータおよびタイミングベルトによって前後方向に水平移動が可能である。後述するように、排出プッシャー80は、後ろ折込板78がフィルムFの周縁部の後側部分をトレーTの下側へと折り込ませた後に、トレーTを前方に移動させて、フィルムFの周縁部の前側部分を前折込棒79によって相対的にトレーTの下側へと折り込ませる(図9および図10参照)。
【0045】
(加熱機構82)
加熱機構82は、図3に示すように、加熱ローラ112や、その前後の搬送ローラ等によって構成されている。
(制御部9)
制御部9は、本体1aの上部に配されており、図5に示すような制御ブロックを構成して、各機構2,5,6,30,7,82,10,11の各動作を制御する。制御部9は、CPU91、ROM92、RAM93、タッチパネル式の表示パネル94、操作キー95等を有しており、また各種データが保存される記憶部96とつながっている。主電源スイッチ16、ヒータ電源スイッチ17、非常停止スイッチ18等からの入力も、制御部9に伝達される。
【0046】
記憶部96には、フィルムデータファイル96aと、商品データファイル96bと、トレーデータファイル96cとが収納されている。フィルムデータファイル96aには、複数種類のフィルムFの性状に関するデータが、フィルムFの種類ごとに記憶されている。商品データファイル96bには、商品Gの単価データや商品Gの性状に関するデータが、商品Gの種類ごとに記憶されている。トレーデータファイル96cには、トレーTの性状に関するデータが、トレーTの種類ごとに記憶されている。
【0047】
<包装装置1による通常の包装動作>
次に、上記構成を備えた包装装置1の動作の概略について、図6〜図10を用いて説明すれば以下の通りである。
すなわち、包装装置1では、オペレータが商品Gを収容したトレーTを計量搬入機構2の計量器上に載せると、計量値が安定するのを待って計量値を確定させた後、搬入ベルトが動き出す。この搬入ベルトの動きに従って搬入ベルトに固定されている突起が移動し、商品Gを載せたトレーTをリフト機構30の載置部材上に押し出す(図6および図7参照)。
【0048】
一方、フィルムロールR1,R2からフィルム送り出し機構5によってフィルム搬送機構6へと受け渡されたフィルムF1,F2は、カッター機構69の切断刃69aによって切断されて1枚の長方形状のフィルムFになって、リフト機構30の上方まで両フィーダユニット61,62によって運ばれている。そして、リフト機構30の上方において、図7に示すフィルムF1,F2は、両フィーダユニット61,62の各クランプの作動によりフィルムF1,F2の周縁部の前後端を強く把持された状態となっている。
【0049】
そして、このように周縁部、特に前後端を強く把持されたフィルムFに対して、リフト機構30が商品GおよびトレーTを押し上げる(図8参照)。すると、前後端を強く把持されているフィルムFは、伸張して商品GおよびトレーTの上部を覆う。
この状態において、左右折込板76,77、およびそれに続いて動き出す後ろ折込板78が、トレーTの下側に水平移動してくる。そして、適当なタイミングで第2フィーダユニット62のクランプがフィルムFの保持を解除し、フィルムFの周縁部の左右部分および後側部分がトレーTの下側に折り込まれる。続いて、図9に示すように排出プッシャー80がトレーTを排出台83側に押し出すと、折り込まれていなかったフィルムFの周縁部の前側部分(正面側の部分)が前折込棒79に当たり、排出台83側へのトレーTの移動にしたがってトレーTの下側に折り込まれていく。なお、第1フィーダユニット61のクランプは、このときにフィルムFの把持を解除する。また、この移動中に、トレーTの下側に折り込まれたフィルムFが加熱ローラ112によりヒートシールされ、図10に示す位置に排出されたときには、商品GおよびトレーT全体をフィルムFが覆いヒートシールされた包装完了の状態となる。
【0050】
さらに、ラベル貼付を含む処理を選択している場合には、計量値に基づいて算出される商品の値段や重量等がラベルプリンター10によりラベルに印字され、そのラベルがラベル発行機11により包装済みの商品GおよびトレーTに貼付される。
<フィルムFの種類ごとの包装制御>
本実施形態の包装装置1では、上述のように、無地のフィルムF1とポップ広告P1等が印字されたフィルムF2という2種類のフィルムFを用いて、被包装物(商品GおよびトレーT)の包装を行う。ここでは、このような2種類のフィルムFを用いた包装制御について、詳しく説明すれば以下の通りである。
【0051】
まず、包装装置1の両側に設けられたロール支持機構4にそれぞれ装着されたフィルムロールR1,R2から、フィルム送り出し機構5によってそれぞれのフィルムF1,F2が引き出される。このとき、左右のフィルム送り出し機構5にそれぞれ設けられたセンサ19によって、フィルムF2に印字されたポップ広告P1やワンポイントシールP2等の有無を検知する。
【0052】
本実施形態では、包装装置1を正面から見て、右側のロール支持機構4に印字されたフィルムF2を巻回したフィルムロールR2が装着されている。このため、右側のフィルム送り出し機構5に含まれるセンサ19から制御部9に対して、ポップ広告P1等が検知されたことを示す信号が送信される。
制御部9では、向かって左側に装着されたフィルムロールR1から引き出されたフィルムF1を用いて包装することがオペレータによって選択された場合には、図11(a)に示すように、通常のストレッチの程度になるようにリフト機構30を制御して包装を行う。一方、向かって右側に装着されたフィルムロールR2から引き出されたフィルムF2を用いて包装することが選択された場合には、図11(b)に示すように、図11(a)に示す状態よりも被包装物の上昇の度合いを小さくするように、リフト機構30を制御する。
【0053】
これにより、ポップ広告P1等が印字されたフィルムF2を用いて包装する場合には、無地のフィルムF1を用いた通常の包装時と比較して、フィルムF2のストレッチの程度(フィルムF2の伸び具合)を小さくすることができる。
この結果、予めポップ広告P1等が印字されたフィルムF2を用いることで、無地のフィルムF1を用いて包装した後でポップ広告が印字されたラベルを1つずつ貼り付ける必要がなくなり、商品Gの包装作業の作業効率を大幅に向上させることができる。さらに、予めポップ広告P1等が印字されたフィルムF2を用いた場合でも、フィルムF2に対して予め印字された文字や図形等がフィルムF2を伸ばし過ぎたために歪んでしまい、ポップ広告P1としての機能を果たさなくなってしまうことを回避して、これらを有効に機能させることができる。
【0054】
また、制御部9では、センサ19から受信したポップ広告P1等の検知結果を受信したタイミングに基づいて、ポップ広告P1等の位置を把握している。このため、これらのポップ広告P1が被包装物(商品GおよびトレーT)を包装した際に、図12および図13に示すように適切な位置に来るように、フィルムF2の搬送および被包装物の搬送の少なくとも一方を制御する。
【0055】
これにより、ポップ広告P1等が予め印字されたフィルムF2を用いて被包装物の包装を行う場合でも、ポップ広告が印字されたラベルが本来貼り付けられるべき適切な位置にくるように包装することができる。この結果、ポップ広告P1としての機能を損なうことなく、常に効果的に印字処理済みのフィルムF2を使用することができる。
なお、ポップ広告P1の位置合わせについては、フィルムF2の搬送だけ、あるいは被包装物の搬送だけを制御してもよいし、必要であれば双方について制御を行って、上記位置合わせを行ってもよい。
【0056】
さらに、本実施形態の包装装置1では、無地のフィルムF1が巻回されたフィルムロールR1と、印字処理済みのフィルムF2が巻回されたフィルムロールR2という2種類のフィルムロールを装着している。
これにより、オペレータの指示入力や予約設定等に従って、一方のフィルムFが必要な場合には、フィルムロールを交換することなく早急にフィルムFを供給することができる。よって、異なるフィルムFを使用した包装作業を効率よく実施することができる。
【0057】
[包装装置1の特徴]
(1)
本実施形態の包装装置1は、緊張保持されたフィルムFに対して被包装物(商品GおよびトレーT)を押し当てて、被包装物における押し当てられた面とは反対の面にフィルムFの端部を折り込む包装装置であって、予めポップ広告P1等が印字されたフィルムF2(図12等参照)を用いて包装する場合には、制御部9が、無地のフィルムF1を使用して被包装物を包装する場合(図11(a)参照)と比較して、図11(b)に示すように、フィルムF2のストレッチの程度(伸ばし具合)を変更して包装するように各部の制御を行う。
【0058】
これにより、予めフィルムF2に印字されたポップ広告P1を用いて包装することで、無地のフィルムF1を用いて包装した後でポップ広告が印字されたラベルを貼り付ける従来の方法と比較して、包装、ラベル貼り付け作業を大幅に効率化することができる。
さらに、このようなポップ広告P1等が印字されたフィルムF2を使用した場合には、上述のように、フィルムF2のストレッチの程度を、無地のフィルムF1を用いた場合から変更して包装することで、フィルムF2に印字されたポップ広告P1に含まれる文字や図形等が歪んで、広告として機能しなくなることを防止することができる。
【0059】
(2)
本実施形態の包装装置1では、予めポップ広告P1等が印字されたフィルムF2(図12等参照)を用いて包装する場合には、制御部9が、図11(b)に示すように、無地のフィルムF1を使用して被包装物を包装する場合(図11(a)参照)よりも、フィルムF2のストレッチの程度(伸ばし具合)を抑え気味にして包装するように各部の制御を行う。
【0060】
これにより、被包装物を包装した際のフィルムF2の伸びが通常の伸びよりも小さくなるため、フィルムF2に印字されたポップ広告P1に含まれる文字や図形等が歪んで、広告として機能しなくなることを防止することができる。
(3)
本実施形態の包装装置1では、制御部9が、被包装物を包装した際に、フィルムF2に印字されたポップ広告P1が被包装物(商品GおよびトレーT)に対する所定の位置(図12参照)にくるように、フィルム送り出し機構5を制御する。
【0061】
これにより、予めポップ広告P1が印字されたフィルムF2を使用する場合でも、これに印字されたポップ広告P1を、被包装物に対して所定の位置にくるように包装することができる。この結果、フィルムF2に印字されたポップ広告P1に、従来のポップ広告が印字されたラベルと同様の機能を持たせることができる。
(4)
本実施形態の包装装置1では、制御部9が、被包装物を包装した際に、フィルムF2に印字されたポップ広告P1が被包装物(商品GおよびトレーT)に対する所定の位置(図12参照)にくるように、被包装物の搬送を制御する。
【0062】
これにより、予めポップ広告P1が印字されたフィルムF2を使用する場合でも、これに印字されたポップ広告P1を、被包装物に対して所定の位置にくるように包装することができる。この結果、上記と同様に、フィルムF2に印字されたポップ広告P1に、従来のポップ広告が印字されたラベルと同様の機能を持たせることができる。
(5)
本実施形態の包装装置1では、包装に使用されるフィルムFを巻回したフィルムロールとして、図2に示すように、無地のフィルムF1を巻回したフィルムロールR1と、ポップ広告P1が予め印字されたフィルムF2を巻回したフィルムロールR2とを、装着している。
【0063】
これにより、異なるフィルムFを使用して包装する場合でもフィルムロールをその都度交換する必要がないため、必要に応じて2種類のフィルムF1,F2を使い分けて、効率よく被包装物を包装することができる。
(6)
本実施形態の包装装置1では、装着された2本のフィルムロールR1,R2にそれぞれ巻回された2種類のフィルムF1,F2が、同じ材質によって形成されている。
【0064】
これにより、同じ材質であればフィルムF1,F2の伸び具合がほぼ均等になることから、上述した制御部9によるストレッチの程度を調整する制御が容易になる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0065】
(A)
上記実施形態では、包装装置1において、図11(a)および図11(b)に示すように、ポップ広告P1等が印字されたフィルムF2に対しては、無地のフィルムF1よりもストレッチの程度が小さくなるように制御を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0066】
例えば、上記制御とは反対に、包装後の状態よりも小さめに印字処理された文字や図形等を大きくするために、ストレッチの程度を大きくするように制御してもよい。
ただし、この場合には、印字された文字や図形等が均一に伸びるように各部によるストレッチの具合を調整することがより好ましい。これにより、無地のフィルムよりもストレッチの程度を大きくして包装を行う場合でも、印字された文字や図形等としての機能を十分に果たすことができる。
【0067】
(B)
上記実施形態では、図11(a)および図11(b)に示すように、センサ19における検知結果に基づいて、無地のフィルムF1と比較して、ポップ広告P1等が印字されたフィルムF2のストレッチの程度を抑制するようにリフト機構30を制御する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0068】
フィルムF2のストレッチの程度を抑制するための包装制御の対象としては、リフト機構30以外にも、例えば、フィルム送り出し機構5やフィルム搬送機構6を制御対象として追加してもよいし、これらだけを制御対象としてもよい。例えば、フィルム搬送機構6を制御対象とした場合には、第1フィーダユニット61と第2フィーダユニット62との間に緊張保持されたフィルムにかかる張力を従来よりも抑えるように制御を行えばよい。
【0069】
この場合でも、ポップ広告等が印字されたフィルムを適正な状態で表示して、被包装物を包装することができる、という上記と同様の効果を得ることができる。
(C)
上記実施形態では、印字処理されたフィルムF2として、図12および図13に示すように、ポップ広告P1や計量ラベルL等が印字されたフィルムを例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
例えば、図14に示すように、「○○スーパー」等のようなロゴマークRMやサービスマーク、原産地表示等がフィルム全体に印字処理されたフィルムF2を、印字処理済みのフィルムとして用いることもできる。
(D)
上記実施形態では、図2等に示すセンサ19によって、印字処理された文字や図形等を検出し、制御部9が、これを目印としてフィルムFの引き出しやトレーTの搬送を調整する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0071】
例えば、印字処理された文字や図形等を目印とする以外にも、図15に示すように、フィルムF2の端部にアイマークEM等の目印を入れておき、これをセンサによって検出してフィルムF2の引き出しの程度や被包装物の搬送位置等を調整するようにしてもよい。
この場合には、アイマークEMと印字処理された文字や図形等との相対位置を一定とすることで、被包装物における所定の位置に印字処理された文字や図形等を配置して包装することができるという、上記と同様の効果を得ることができる。
【0072】
(E)
上記実施形態では、オペレータの指示入力や予約設定に従って、2種類のフィルムF1,F2(フィルムロールR1,R2)を使い分ける例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、被包装物の種類や大きさに応じて、包装装置1の制御部9が自動的に包装に使用するフィルムFの種類を選択して包装を行うようにしてもよい。この場合には、記憶部96に被包装物の種類と、被包装物ごとに包装に使用するフィルムFとが関連付けされた状態で格納されていればよい。
【0073】
(F)
上記実施形態では、印字処理済みのフィルムと無地のフィルムとをそれぞれ1本ずつ装着した2本掛けの包装装置1を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、印字処理済みのフィルムと無地のフィルムとで、上述したようなストレッチの程度を変更するような制御を行うようにすれば、1本掛けの包装装置であってもよい。
【0074】
ただし、異なるフィルムFを使用する際に、その都度フィルムロールの交換が必要になることから、作業効率の面では、上記実施形態の包装装置1のように、2本掛けとすることがより好ましい。
(G)
上記実施形態では、制御部9が、センサ19における検知結果に基づいて、フィルムのストレッチの程度を自動的に調整するように制御を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0075】
例えば、制御部が、オペレータによって入力された設定に従って、フィルムのストレッチの程度を調整するような制御を行ってもよい。例えば、現在装置に装着されているフィルムの種類が印字処理済みのフィルムであると入力されている場合には、この入力された内容に基づいてフィルムのストレッチの程度を小さめにあるいは大きめに調整すればよい。
【0076】
(H)
上記実施形態では、図2に示すように、フィルムFに印字された文字や図形等を検知するためのセンサ19を、フィルムロールR1,R2からフィルムF1,F2を送り出すフィルム送り出し機構5の近傍に設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0077】
例えば、フィルムロールR1,R2が装着されたロール支持機構4や、フィルムFを用いて被包装物を包装する直前のフィルム搬送機構6の近傍にセンサを配置してもよい。
(I)
上記実施形態では、フィルム横送り型のストレッチ包装装置に対して本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
フィルムの送り方向については特に限定されるものではなく、例えば、フィルム縦送り型のストレッチ包装装置に対して本発明を適用することも可能である。
(J)
上記実施形態では、無地のフィルムF1とポップ広告P1等が印字されたフィルムF2とが同じ素材で形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0079】
例えば、無地のフィルムF1とポップ広告P1等が印字されたフィルムF2とが異なる素材で形成されていてもよい。
この場合には、それぞれの素材のフィルムごとの張力を把握しておき、その素材に応じて適度なストレッチの程度(フィルムの張力)を調整して各部を制御することが望ましい。
【0080】
ただし、フィルムF1,F2を同じ素材、同じ厚みで形成することでストレッチの程度を容易にコントロールできることから、上記実施形態のように、フィルムF1,F2が同じ素材によって形成されていることがより好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の包装装置は、ポップ広告等を含む印字されたフィルムを適正な位置に適正な状態で表示した状態で、被包装物を包装することができるという効果を奏することから、ストレッチフィルムを用いて被包装物の包装を行う包装装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装装置の外観を示す斜視図。
【図2】図1の包装装置の内部における概略的な構成を示す正面図。
【図3】図2のIII-III線矢視断面図。
【図4】図3のIV-IV線矢視断面図。
【図5】図1の包装装置内に搭載された制御部を中心に形成される制御ブロック図。
【図6】図1の包装装置の動作説明図。
【図7】図1の包装装置の動作説明図。
【図8】図1の包装装置の動作説明図。
【図9】図1の包装装置の動作説明図。
【図10】図1の包装装置の動作説明図。
【図11】(a),(b)は、無地のフィルムを使用した場合と、ポップ広告等が印字されたフィルムを使用した場合とで、包装装置において異なる包装制御を行うことを示す説明図。
【図12】図1の包装装置において使用されるフィルムの一例を示す説明図。
【図13】図1の包装装置において使用されるフィルムの他の例を示す説明図。
【図14】本発明の他の実施形態に係る包装装置において使用されるフィルムの他の例を示す説明図。
【図15】本発明のさらに他の実施形態に係る包装装置において使用されるフィルムのさらに他の例を示す説明図。
【符号の説明】
【0083】
1 包装装置
1a 本体
2 計量搬入機構
3 包装ステーション
4 ロール支持機構(フィルム支持部)
4a ロールバー
4b フィルムロール駆動モータ
5 フィルム送り出し機構
6 フィルム搬送機構(保持部)
7 折り込み機構(折込機構)
9 制御部
10 ラベルプリンター
11 ラベル発行機
16 主電源スイッチ
17 ヒータ電源スイッチ
18 非常停止スイッチ
19 センサ(検知部)
30 リフト機構
33a,33b 支持ベース
34 ラックピニオン機構
51 繰り出しローラ
52 繰り出しモータ
53 フィルム差し込み板ユニット
54 フィルム差し込み板駆動モータ
57,58 板部材
61,62 フィーダユニット
63 第1フィーダ移動ユニット
64 第2フィーダ移動ユニット
65 フィーダ駆動ユニット
66,67 スライドシャフト
69 カッター機構
69a 切断刃
76,77 左右折込板(左右方向折込部材)
78 後ろ折込板(前後方向折込部材)
79 前折込棒
80 排出プッシャー
82 加熱機構
83 排出台
91 CPU
92 ROM
93 RAM
94 表示パネル
95 操作キー
96 記憶部
112 加熱ローラ
F フィルム
EM アイマーク
F1 フィルム(無地のフィルム)
F2 フィルム(印字処理が施されたフィルム)
T トレー(被包装物)
G 商品(被包装物)
L 計量ラベル
P1 ポップ広告
P2 ワンポイントシール
R1,R2 フィルムロール
RM ロゴマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊張保持させたフィルムに被包装物を押し当てて、前記フィルムの周縁部を折り込んで前記被包装物を包装する包装装置であって、
前記包装に使用される無地の前記フィルムおよび印字処理が施された前記フィルムの少なくともいずれか一方を支持するフィルム支持部と、
前記フィルム支持部から前記フィルムを引き出して張力をかけた状態で緊張保持する保持部と、
前記被包装物が載せられる載置部材を有し、前記載置部材に載せられた前記被包装物を前記フィルムに対して押し当てるリフト機構と、
前記被包装物が前記保持部によって緊張保持された前記フィルムに前記リフト機構によって押し当てられた状態において、前記被包装物と前記載置部材との間に入り込んで、前記フィルムの周縁部を、前記被包装物における前記フィルムに押し当てられた面とは反対側の面へと折り込む折込機構と、
前記印字処理が施された前記フィルムを用いて包装する場合には、前記無地のフィルムを用いて包装する場合と比較して前記フィルムに対してかかる張力の度合いを変更するように前記保持部、前記リフト機構および前記折込機構の少なくとも1つを制御する制御部と、
を備えている包装装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記印字処理が施されたフィルムを使用する場合には、前記無地のフィルムを使用する場合と比較して前記フィルムの伸び率を抑えるように制御する、
請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記印字処理が施されたフィルムを使用する場合には、前記フィルムの印字処理部分が前記被包装物における所定の位置にくるまで前記フィルムを引き出すように前記保持部を制御する、
請求項1または2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記被包装物を包装位置まで搬送する搬送機構をさらに備えており、
前記制御部は、前記印字処理が施されたフィルムを使用する場合には、前記フィルムの印字処理部分が前記被包装物における所定の位置にくるように、前記搬送機構を制御する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項5】
前記印字処理が施されたフィルムに印字された印字部分あるいは前記フィルムの一部に形成されたアイマークを検知する検知部をさらに備えている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項6】
前記フィルム支持部は、前記無地のフィルムと前記印字処理が施されたフィルムとの両方を保持している、
請求項1から5のいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記被包装物の種類や大きさに応じて、包装に使用する前記フィルムの種類を自動的に選択する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項8】
前記無地のフィルムと前記印字処理が施されたフィルムとは、同じ材質によって形成されている、
請求項1から7のいずれか1項に記載の包装装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−223638(P2007−223638A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46265(P2006−46265)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】