説明

包装装置

【課題】トレーを用いずに物品を包装することが可能な包装装置を得る。
【解決手段】包装装置1は、帯状フィルム50の第1部分501に物品100を載置した状態でフィルム50をX1方向に搬送するとともに、第1部分501より前方のフィルム50の第2部分502をX2方向に折り返す搬送ユニット14と、第1部分501と第2部分502とを縁部同士で封止することにより、第1部分501と第2部分502との間に物品100が収容された袋体40を形成する封止手段と、袋体40をフィルム50から切断するカッタ32と、フィルム50を貯留するフィルム供給ロール30と、包装対象である物品100を載置するための載置台10と、フィルム供給ロール30と載置台10との間に配置され、フィルム供給ロール30から載置台10へのフィルム50の供給の許可及び禁止を切り換え可能なローラ11C3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムを緊張状態で保持し、トレー上に物品が載置された商品を下方からフィルムに押し当て、フィルムの周辺部をトレーの底面側に折り込むことによって、フィルムによる商品の包装を行うストレッチ包装機が、例えば下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−97309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたストレッチ包装機によると、トレー上に物品が載置された商品がフィルムによって包装される。しかし、近年における消費者の環境意識の高まりにより、消費者からはゴミの排出量の削減が求められているため、トレーを用いない包装形態の実現が望まれる。また、トレーを用いない包装形態が実現されれば、トレーの購入及び管理に要するコストを削減できるとともに、トレーの保管場所を確保する必要もなくなるため、製造業者にとっても有益である。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、トレーを用いずに物品を包装することが可能な包装装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る包装装置は、帯状包材の第1部分に物品を載置した状態で当該包材を第1方向に搬送するとともに、前記第1方向に関して前記第1部分より前方の前記包材の第2部分を、前記物品を越えて前記第1方向とは逆の第2方向に折り返す包材搬送手段と、前記第1部分と前記第2部分とを縁部同士で封止することにより、前記第1部分と前記第2部分との間に前記物品が収容された袋体を形成する封止手段と、前記袋体を前記帯状包材から切断する切断手段と、前記帯状包材を貯留する貯留部と、包装対象である前記物品を載置するための載置部と、前記貯留部と前記載置部との間に配置され、前記貯留部から前記載置部への前記帯状包材の供給の許可及び禁止を切り換え可能な切換手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
第1の態様に係る包装装置によれば、包材搬送手段は、帯状包材の第1部分に物品を載置した状態で当該包材を第1方向に搬送するとともに、第1方向に関して第1部分より前方の包材の第2部分を、物品を越えて第1方向とは逆の第2方向に折り返す。また、封止手段は、第1部分と第2部分とを縁部同士で封止することにより、第1部分と第2部分との間に物品が収容された袋体を形成し、切断手段は、袋体を帯状包材から切断する。従って、第1の態様に係る包装装置によれば、トレーを用いずに物品を包装することが可能となる。その結果、消費者においては、ゴミの排出量を削減でき、また、製造業者においては、トレーの購入及び管理に要するコストを削減できるとともに、トレーの保管場所を確保する必要がなくなる。しかも、貯留部と載置部との間に配置された切換手段は、貯留部から載置部への帯状包材の供給の許可及び禁止を切り換え可能である。従って、作業者によって載置台上に物品が載置されるタイミングにおいては切換手段を供給禁止状態に設定することにより、載置部上に載置された物品が載置後に前方に押されることに起因する帯状包材の弛みの発生を、予め回避することが可能となる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る包装装置は、第1の態様に係る包装装置において特に、前記切換手段は、回転許可状態及び回転禁止状態を切り換え可能な包材搬送ローラを有することを特徴とするものである。
【0009】
第2の態様に係る包装装置によれば、切換手段は、回転許可状態及び回転禁止状態を切り換え可能な包材搬送ローラを有する。従って、比較的簡易な構造によって切換手段を実現することが可能となる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る包装装置は、第2の態様に係る包装装置において特に、前記載置台上に前記物品が載置されるタイミングにおいて、前記包材搬送ローラは回転禁止状態に切り換えられることを特徴とするものである。
【0011】
第3の態様に係る包装装置によれば、載置台上に物品が載置されるタイミングにおいて、包材搬送ローラは回転禁止状態に切り換えられる。これにより、載置部上に載置された物品が載置後に前方に押されることに起因する帯状包材の弛みの発生を、予め回避することが可能となる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る包装装置は、第2又は第3の態様に係る包装装置において特に、前記包材搬送ローラは、回転許可状態において、前記帯状包材を前記貯留部から前記載置台上に供給する方向、及びその逆方向の双方向に回転自在であることを特徴とするものである。
【0013】
第4の態様に係る包装装置によれば、包材搬送ローラは、回転許可状態において、帯状包材を貯留部から載置台上に供給する方向、及びその逆方向の双方向に回転自在である。逆方向への回転が自在であることにより、例えば、処理対象が長さの長い物品から短い物品に切り換えられた際に、余剰の帯状包材を載置部側から貯留部側に戻すことができ、その結果、包材の無駄の発生を回避することが可能となる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る包装装置は、帯状包材の第1部分に物品を載置した状態で当該包材を第1方向に搬送するとともに、前記第1方向に関して前記第1部分より前方の前記包材の第2部分を、前記物品を越えて前記第1方向とは逆の第2方向に折り返す包材搬送手段と、前記第1部分と前記第2部分とを縁部同士で封止することにより、前記第1部分と前記第2部分との間に前記物品が収容された袋体を形成する封止手段と、前記袋体を前記帯状包材から切断する切断手段と、包装対象である前記物品を載置するための載置部と、前記載置部上に載置された前記物品が載置後に位置変更されたことによって生じた、前記帯状包材の余剰供給長を検出する検出手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0015】
第5の態様に係る包装装置によれば、包材搬送手段は、帯状包材の第1部分に物品を載置した状態で当該包材を第1方向に搬送するとともに、第1方向に関して第1部分より前方の包材の第2部分を、物品を越えて第1方向とは逆の第2方向に折り返す。また、封止手段は、第1部分と第2部分とを縁部同士で封止することにより、第1部分と第2部分との間に物品が収容された袋体を形成し、切断手段は、袋体を帯状包材から切断する。従って、第1の態様に係る包装装置によれば、トレーを用いずに物品を包装することが可能となる。その結果、消費者においては、ゴミの排出量を削減でき、また、製造業者においては、トレーの購入及び管理に要するコストを削減できるとともに、トレーの保管場所を確保する必要がなくなる。しかも、検出手段は、載置部上に載置された物品が載置後に位置変更されたことによって生じた、帯状包材の余剰供給長を検出する。従って、検出された余剰供給長に基づいて包装装置の動作を補正制御することができ、その結果、包装動作を適切に実行することが可能となる。
【0016】
本発明の第6の態様に係る包装装置は、第5の態様に係る包装装置において特に、前記包材搬送手段が前記包材の搬送を開始する前に、前記余剰供給長に相当する長さの前記包材を回収する包材回収手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0017】
第6の態様に係る包装装置によれば、包材回収手段は、包材搬送手段が包材の搬送を開始する前に、余剰供給長に相当する長さの包材を回収する。余剰供給長の包材を回収することによって、包材の弛みを解消することができる。そして、包材の弛みが解消された後に包装動作を開始することにより、包装動作を適切に実行することが可能となる。
【0018】
本発明の第7の態様に係る包装装置は、第5の態様に係る包装装置において特に、前記余剰供給長に基づいて、前記包材搬送手段による前記包材の搬送量を設定する設定手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0019】
第7の態様に係る包装装置によれば、設定手段は、余剰供給長に基づいて、包材搬送手段による包材の搬送量を設定する。包材の弛みが生じていない場合には、包材搬送手段による包材の搬送量を既定値に設定し、一方、包材の弛みが生じている場合には、余剰供給長に応じて搬送量を既定値より大きい値に設定することにより、包材の弛みを解消することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、トレーを用いずに物品を包装することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る包装装置の全体構造を示す斜視図である。
【図2】包装装置における各処理部のレイアウトを模式的に示す図である。
【図3】図2に示した各処理部の構成を模式的に示す図である。
【図4】フィルム引き込みユニットの構造を示す正面図である。
【図5】フィルム引き込みユニットの構造を示す側面図である。
【図6】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図7】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図8】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図9】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図10】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図11】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図12】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図13】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図14】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図15】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図16】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図17】フィルムの状態を模式的に示す斜視図である。
【図18】フィルムの封止箇所を模式的に示す図である。
【図19】制御部が有する機能の一部を示すブロック図である。
【図20】載置台及びローラを示す図である。
【図21】載置台及びローラを示す図である。
【図22】載置台及びローラを示す図である。
【図23】包装装置の外観の一部を模式的に示す図である。
【図24】カバーを閉じた状態で、フィルム供給ロールの収容エリアを模式的に示す図である。
【図25】載置台及びローラを示す図である。
【図26】載置台及びローラを示す図である。
【図27】包装装置が備える制御部を示す図である。
【図28】包装装置が備える制御部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る包装装置1の全体構造を示す斜視図である。図1では、装置筐体のカバーを取り外した状態で包装装置1の構造を示している。包装装置1は、例えばスーパーマーケットのバックヤード等に設置され、1台の装置によって物品の包装、計量、及び値付けの各処理を行うものである。但し、計量処理及び値付け処理はオプションであり、必ずしもこれらの処理を行う機能が搭載されている必要はない。処理対象となる物品は、例えば、肉、魚、野菜等の食品である。装置筐体の正面(図中のX1方向から眺めた面)には、表示部60、操作部61、及びラベルプリンタ62が配置されている。表示部60には、各種設定情報、物品の計量結果、及び計量値に応じた値付け情報等が表示される。操作部61はテンキーや操作スイッチ等を備えており、作業者は操作部61を操作することによって各種設定情報を入力することができる。ラベルプリンタ62からは、物品の計量値や値付け情報等が記されたラベルが、物品毎に出力される。
【0024】
図2は、包装装置1における各処理部のレイアウトを模式的に示す図である。包装装置1は、載置部2と、載置部2の奥に配置された封止部3と、封止部3の横に配置された計量部4と、計量部4の手前に配置された排出部5とを有している。また、載置部2と封止部3との間には、引き込み部6が配置されている。載置部2では、処理対象である物品が作業者によってフィルム上に載置される。載置部2で載置された物品は、矢印L1で示すように図中のX1方向に沿ってフィルムごと封止部3に搬送される。封止部3では、フィルムを用いて物品の包装が行われる。引き込み部6は、フィルムを下方に引き込むことによって所定量のフィルムをストックする。封止部3による包装後の物品は、矢印L2で示すように図中のY方向に沿って計量部4に搬送される。計量部4では、物品の計量が行われる。物品は、矢印L3で示すように図中のX2方向に沿って搬送され、排出部5から排出される。載置部2と排出部5とは、装置筐体のほぼ同じ高さで横に並んで配置されている。
【0025】
図3は、図2に示した各処理部の構成を模式的に示す図である。載置部2は、載置台10及びローラ11Cを有している。封止部3は、搬送ユニット14、シール部15L,16L,17L、及びシール高さ調整ユニット18を有している。シール高さ調整ユニット18はベルトコンベアとしての機能を有しており、矢印M1で示すように図中のY方向に物品を搬送する。なお、封止部3と計量部4との間には、複数のローラ19が並んで配置されている。計量部4は、ベルトコンベア20を有しており、矢印M2で示すように図中のX2方向に物品を搬送しながら、ロードセル等の計量手段によって物品の重量を計量する。排出部5は、複数のローラが並んだ排出台21を有している。また、引き込み部6は、ローラ13A,13Bと、ローラ13A,13B間に配置されたフィルム引き込みユニット12とを有している。図1に示したように、載置台10と排出台21とは、装置筐体のほぼ同じ高さで横に並んで配置されている。
【0026】
図4及び図5は、フィルム引き込みユニット12の構造を示す正面図及び側面図である。図4,5に示すように、フィルム引き込みユニット12は、ローラ12U,12Lと一対の側板12Sとを有している。ローラ12Uは一対の側板12の上端部間に取り付けられており、ローラ12Lは一対の側板12の下端部間に取り付けられている。これにより、ローラ12U,12L間には、物品100が通過可能な空間が設けられている。なお、搬送ユニット14も同様に、一対の側板の上端部間及び下端部間にローラ14U,14Lがそれぞれ取り付けられた構造を有している。
【0027】
図6〜16は、封止部3による物品の包装動作を工程順に示す図である。封止部3は、上部シールユニット70U及び下部シールユニット70Lを有している。上部シールユニット70Uは、シール部15U,16U,17U、カッタ32、ローラ31、及びスポンジ等の押さえ部材25を有している。シール部15U,16U,17Uは、図3に示したシール部15L,16L,17Lにそれぞれ対応して設けられている。カッタ32は、シール部15U,16U間の隙間において、シール部15U,16Uに平行に設けられている。上部シールユニット70Uは、図示しない駆動機構によって上下方向(図中のZ1方向及びZ2方向)に駆動自在である。また、シール高さ調整ユニット18は図示しない駆動機構によって上下方向に駆動自在であり、フィルム引き込みユニット12も図示しない駆動機構によって上下方向に駆動自在である。さらに、搬送ユニット14は、図示しない駆動機構によって前後方向(図中のX1方向及びX2方向)に駆動自在である。
【0028】
図6に示した待機状態では、フィルム引き込みユニット12は下方に駆動されており、搬送ユニット14は前方(つまり装置筐体の正面から眺めて手前)に駆動されている。包材である帯状の透明フィルム50は、図中の太い破線で示すように、フィルム供給ロール30→テンションローラ11A→シャフト11B→ローラ11C→載置台10の上面→ローラ13A→ローラ12U→ローラ13B→ローラ14L→ローラ14U→ローラ33→フィルム回収ロール34の順に当接する経路で架け渡されている。
【0029】
次に図7を参照して、作業者は、載置台10上において、処理対象である物品100をフィルム50上に載置する。本実施の形態に係る包装装置1では、トレーを用いることなく、物品100をフィルム50上に直接載置することが可能である。但し、必ずしもトレーの使用を禁止する意図ではなく、物品が載置されたトレーを載置台10上に載置することも可能である。
【0030】
次に図8を参照して、ローラ12Lがローラ13A,13Bに同一平面内で並ぶ位置まで、フィルム引き込みユニット12が上方に駆動される。これに連動して、搬送ユニット14が後方(つまり装置筐体の正面から眺めて奥)に駆動される。搬送ユニット14は、上部シールユニット70Uと下部シールユニット70Lとの間の空間を奥に向かって進行する。この時、フィルム回収ロール34は回転が停止されており、フィルム供給ロール30は必要量だけフィルム50を供給する。これにより、搬送ユニット14が進行することによってフィルム50が搬送され、それに伴って、フィルム50上に載置されている物品100は、載置台10上から、ローラ12U,12L間の空間を通って、シール高さ調整ユニット18上に搬送される。
【0031】
次に図9を参照して、フィルム引き込みユニット12が下方に駆動される。この時、フィルム回収ロール34は回転が停止されており、フィルム供給ロール30は必要量だけフィルム50を供給する。これにより、次回の包装処理で使用されるフィルム50の一部が引き込み部6にストックされる。
【0032】
次に図10を参照して、物品100の厚みに応じた所定量だけ、シール高さ調整ユニット18が下方に駆動される。シール高さ調整ユニット18は、シール部15L,16L,17Lの上面の高さと、厚み方向に関する物品100の中央の高さとがほぼ等しくなる位置まで、下方に駆動される。但し、物品100とシール部15L,16L,17Lとの相対位置を調整できれば良いので、シール高さ調整ユニット18を下方に駆動する代わりに、下部シールユニット70Lを上方に駆動しても良い。
【0033】
次に図11,12を参照して、物品100との接触を回避し得る所定の姿勢及び軌道で、搬送ユニット14が前方に駆動される。これにより、搬送ユニット14は、上部シールユニット70Uと下部シールユニット70Lとの間の空間から排出され、図6に示した初期位置に戻る。図17は、フィルム50の状態を模式的に示す斜視図である。これまでの搬送ユニット14の一連の動作により、フィルム50は、物品100が載置されている第1部分501よりも前方(図中のX1方向に関する前方)の第2部分502が、物品100を越えて図中のX2方向に折り返された格好となる。
【0034】
次に図13を参照して、上部シールユニット70Uが下方に駆動されることにより、シール部15U,16U,17Uとシール部15L,16L,17Lとによって上下からフィルム50を挟み込む。そして、シール部15L,16L,17Lが有するヒータを用いた熱圧着によって、第1部分501及び第2部分502の縁部同士を封止する。これにより、第1部分501と第2部分502との間に物品100が収容された袋体40が形成される。その際、物品100が収容された袋体40は、押さえ部材25の底面とシール高さ調整ユニット18の上面とによって上下から挟み込まれて保持される。つまり、押さえ部材25及びシール高さ調整ユニット18は、熱シールを行う際に袋体40を上下から挟み込んで保持する保持手段として機能する。
【0035】
図18は、フィルム50の封止箇所を模式的に示す図である。シール部17U,17Lによって側辺部分のエリアAR1が封止され、シール部16U,16Lによって口部分のエリアAR2が封止される。これにより、袋体40が形成される。なお、必ずしも袋体40の三方を封止する必要はなく、例えばエリアAR2の封止を保留して側辺部分のみの二方の封止としても良い。この場合、袋体40の口部分が開封しているため、作業者は、袋体40が包装装置1から排出された後に調味料の小袋等を袋体40内に投入することができる。
【0036】
また、エリアAR2の近傍のラインNに沿って、カッタ32によってフィルム50が切断される。これとともに、切断によって分離されたフィルム50同士を接合するために、ラインNの近傍のエリアAR3がシール部15U,15Lによって封止される。これにより、切断によって一旦分離されたフィルム50が、接合箇所41において再び結合される。
【0037】
次に図14を参照して、押さえ部材25及びシール高さ調整ユニット18によって袋体40を上下から挟み込んだ状態で(つまり保持手段が袋体40を保持した状態で)、上部シールユニット70U及びシール高さ調整ユニット18が上方に駆動される。これにより、熱シールに伴って袋体40の縁部のフィルム50がシール部16L,17Lに付着していた場合であっても、袋体40が保持手段によって保持されつつシール部16L,17Lから遠ざけられることにより、フィルム50がシール部16L,17Lから引き剥がされる。つまり、上部シールユニット70U(特に押さえ部材25)及びシール高さ調整ユニット18は、シール部16L,17Lに付着したフィルム50を引き剥がす分離手段として機能する。
【0038】
次に図15を参照して、上部シールユニット70Uが上方に駆動されることにより、図6に示した初期位置に戻る。
【0039】
次に図16を参照して、シール高さ調整ユニット18のベルトコンベアが駆動されることにより、袋体40は、シール高さ調整ユニット18上から、シール部17Lを飛び越えて、ローラ19を介して計量部4のベルトコンベア20上に搬送される。また、フィルム回収ロール34が駆動されて所定量だけフィルム50を巻き取ることにより、フィルム50の接合箇所41が回収される。その後、シール高さ調整ユニット18が下方に駆動されることにより、図6に示した初期位置に戻る。これにより、次回の包装動作の待機状態となる。
【0040】
図19は、包装装置1に搭載されている制御部が有する機能の一部を示すブロック図である。制御部は、設定部45と記憶部46とを有している。作業者は、図1に示した操作部61を用いて、フィルム50の長手方向に関する袋体40の大きさ(つまり袋丈)と、物品100の厚みとを入力する。袋丈の入力値はデータS1として設定部45に入力され、物品100の厚みの入力値はデータS2として設定部45に入力される。
【0041】
設定部45は、データS1に基づいて、フィルム引き込みユニット12によるフィルム50の引き込み量(つまり、図8に示した位置から図9に示した位置へのフィルム引き込みユニット12の変位量)と、搬送ユニット14によるフィルム50の搬送量(つまり、図7に示した位置から図8に示した位置への搬送ユニット14の変位量)とを設定する。袋丈が大きいほどこれらの引き込み量及び搬送量は大きくなり、袋丈が小さいほどこれらの引き込み量及び搬送量は小さくなる。具体的には、様々な袋丈と、各袋丈に対応する引き込み量及び搬送量の各適正値との関係が記述されたデータテーブルを記憶部46に予め記憶しておき、設定部45は、データS1で表される袋丈に対応する引き込み量及び搬送量を、記憶部46から読み出す。制御部45は、設定した引き込み量に関するデータS3を、フィルム引き込みユニット12の駆動部に入力する。また、制御部45は、設定した搬送量に関するデータS4を、搬送ユニット14の駆動部に入力する。
【0042】
また、設定部45は、データS2に基づいて、シール高さ調整ユニット18の駆動量(つまり、図9に示した位置から図10に示した位置へのシール高さ調整ユニット18の変位量)を設定する。設定部45は、シール高さ調整ユニット18の駆動量を、データS2で表される物品100の厚みの半分の値に設定する。制御部45は、設定した駆動量に関するデータS5を、シール高さ調整ユニット18の駆動部に入力する。
【0043】
<ローラ11Cの第1の例>
ローラ11Cとしては、順方向(フィルム供給ロール30側から載置台10の上面側に向けてフィルム50を送り出す方向)及び逆方向(載置台10の上面側からフィルム供給ロール30側に向けてフィルム50を戻す方向)の双方向に回転自在なローラを用いることができる。
【0044】
図20は、載置台10及びローラ11C1を示す図である。ローラ11C1は、順方向及び逆方向の双方向に回転自在である。
【0045】
<ローラ11Cの第2の例>
図20に示したローラ11C1によると、物品100が軽量の物品である場合に、図20中の矢印P1で示すように、テンションローラ11Aの自重によってフィルム50が意図せず逆方向に搬送される事態(つまりフィルム50の逆流)が生じることがある。
【0046】
そこで、ローラ11Cとしては、順方向のみに回転自在なローラを用いることができる。図21は、載置台10及びローラ11C2を示す図である。ローラ11C2は、順方向のみに回転自在である。これにより、物品100が軽量の物品である場合であっても、テンションローラ11Aの自重に起因するフィルム50の逆流を回避することができる。
【0047】
<ローラ11Cの第3の例>
図21に示したローラ11C2によると、作業者が物品100を載置台10上に載置した後に、図21中の矢印P2で示すようにその物品100を載置台10上で前方(X1方向)にずらした場合には、物品100の下敷きとなっているフィルム50も前方にずれ、物品100の前方にフィルム50の弛み150が生じることがある。
【0048】
そこで、ローラ11Cとしては、ブレーキ機構によって回転許可状態及び回転禁止状態を切り換えることが可能なローラを用いることができる。図22は、載置台10及びローラ11C3を示す図である。ローラ11C3は、ブレーキ機構によって回転軸がロックされることにより回転禁止状態となり、ブレーキ機構による回転軸のロックが解除されることにより回転許可状態となる。回転許可状態において、ローラ11C3は順方向及び逆方向の双方向に回転自在である。また、ローラ11C3の表面にはウレタンシート又はシリコーンゴム等が貼り付けられており、これにより、ローラ11C3とフィルム50との間に大きな摩擦力が付与されている。
【0049】
図23は、包装装置1の外観の一部を模式的に示す図である。図23には、フィルム供給ロール30の収容エリアのカバー131を開いた状態を図示している。カバー131の裏面(内面)には、支持部材140によって丸棒状のシャフト11Bが取り付けられている。
【0050】
図24は、カバー131を閉じた状態で、フィルム供給ロール30の収容エリアを模式的に示す図である。カバー131を閉じると、ローラ11C3とテンションローラ11Aとの間のフィルム50が、シャフト11BによってX1方向に押される。これにより、ローラ11Cとシャフト11Bとの間では、フィルム50が鉛直方向に対して斜めに架け渡されることとなる。その結果、ローラ11C3とフィルム50との接触面積が大きくなるため、ローラ11C3とフィルム50との間の摩擦力がさらに大きくなる。
【0051】
包装装置1の全動作タイミングのうち、作業者によって載置台10上に物品100が載置されるタイミング(図6,7,10〜14等)においては、ローラ11C3は回転禁止状態に設定される。ローラ11C3とフィルム50との間には大きな摩擦力が付与されているため、ローラ11C3を回転禁止状態に設定することにより、図21に示したフィルム50の弛み150の発生を、予め回避することが可能となる。
【0052】
また、ローラ11C3は、回転許可状態において、順方向及び逆方向の双方向に回転自在である。逆方向への回転が自在であることにより、例えば、処理対象が長さの長い物品100から短い物品100に切り換えられた際に、余剰のフィルム50を載置台10側からフィルム供給ロール30側に戻すことができ、その結果、フィルム50の無駄の発生を回避することが可能となる。
【0053】
なお、回転禁止状態に設定可能なローラ11C3を配置するという上記の構成に代えて、例えばローラ11Cとシャフト11Bとの間でフィルム50を表裏から挟み込むことによって、あるいはフィルム50を例えばシャフト11Bに押さえ付けることによって、物品載置タイミングにおいて載置台10上へ新たなフィルム50が供給されることを禁止する構成としてもよい。つまり、フィルム供給ロール30から載置台10上へのフィルム50の供給の許可及び禁止を切り換えることが可能な切換手段であれば、どのような構成を採用してもよい。
【0054】
<ローラ11Cの第4の例>
図25は、載置台10及びローラ11C3を示す図である。作業者が物品100を載置台10上に載置した後に、図25中の矢印P2で示すようにその物品100を強引にフィルム50上で前方にずらした場合には、例えば生肉の脂によって物品100の軌跡に沿ってフィルム50が汚れることがある。フィルム50に汚れが生じた場合には、後の封止工程においてシール不良が発生する可能性がある。
【0055】
そこで、ローラ11Cとしては、ブレーキ機構を搭載せず、ロータリエンコーダ等を用いてフィルム50の余剰供給長を検出可能なローラを用いることができる。図26は、載置台10及びローラ11C4を示す図である。ローラ11C4には、ブレーキ機構が搭載されていない。従って、作業者が物品100を載置台10上に載置した後、図26中の矢印P2で示すようにその物品100を載置台10上で前方にずらした場合には、物品100の下敷きとなっているフィルム50も前方にずれ(つまり余剰供給が生じ)、物品100の前方にフィルム50の弛み150が生じる。
【0056】
また、ローラ11C4の表面にはウレタンシート又はシリコーンゴム等が貼り付けられており、これにより、ローラ11C4とフィルム50との間に大きな摩擦力が付与されている。しかも、図24と同様に、ローラ11C4とテンションローラ11Aとの間のフィルム50がシャフト11BによってX1方向に押されることにより、ローラ11C4とフィルム50との間の摩擦力がさらに大きくなる。従って、物品100を前方にずらしたことに起因してフィルム50の余剰供給が生じた場合には、それに伴ってローラ11C4が順方向に回転する。
【0057】
また、ローラ11C4にはロータリエンコーダ等が搭載されており、ローラ11C4の回転数を検出することができる。そして、回転数をフィルム長に換算することにより、フィルム50の余剰供給長を検出することが可能である。つまり、ローラ11C4は、フィルム50の余剰供給長を検出する検出手段として機能する。
【0058】
図27は、包装装置1が備える制御部300を示す図である。制御部300には、フィルム50の余剰供給長に関するデータS10が、ローラ11C4から入力される。制御部300は、データS10に基づき、搬送ユニット14がフィルム50の搬送を開始する前(つまり図7の状態)に、制御信号S11によってフィルム回収ロール34を駆動することにより、余剰供給長に相当する長さのフィルム50をフィルム回収ロール34に回収させる。余剰供給長のフィルム50を回収することによって、フィルム50の弛み150を解消することができる。そして、弛み150が解消された後に包装動作を開始することにより、包装動作を適切に実行することが可能となる。
【0059】
図28は、包装装置1が備える制御部301を示す図である。制御部301には、フィルム50の余剰供給長に関するデータS10が、ローラ11C4から入力される。制御部301は、データS10に基づき、搬送ユニット14によるフィルム50の搬送量を設定し、当該搬送量をデータS12として搬送ユニット14の駆動機構に入力する。制御部301は、フィルム50の弛み150が生じていない場合には、搬送ユニット14によるフィルム50の搬送量を、袋丈に応じた既定値に設定する。一方、フィルム50の弛み150が生じている場合には、余剰供給長に応じて搬送量を既定値より大きい値に設定する。これにより、フィルム50の弛み150を解消することができる。
【0060】
このように本実施の形態に係る包装装置1によれば、搬送ユニット14は、フィルム50の第1部分501に物品100を載置した状態でフィルム50をX1方向に搬送するとともに、X1方向に関して第1部分501より前方のフィルム50の第2部分502を、物品100を越えてX1方向とは逆のX2方向に折り返す。また、シール部16U,16L,17U,17Lは、第1部分501と第2部分502とを縁部同士で封止することにより、第1部分501と第2部分502との間に物品100が収容された袋体40を形成し、カッタ32は、袋体40をフィルム50から切断する。従って、本実施の形態に係る包装装置1によれば、トレーを用いずに物品100を包装することが可能となる。その結果、消費者においては、ゴミの排出量を削減でき、また、製造業者においては、トレーの購入及び管理に要するコストを削減できるとともに、トレーの保管場所を確保する必要がなくなる。
【0061】
また、シール部16U,16Lによる袋体40の口部分の封止は、物品100の搬送方向(X1方向)に対して物品100よりも後方で行われる。従って、搬送に伴う慣性に起因して搬送停止後に物品100がフィルム50上をX1方向に進行したとしても、物品100は口部分の封止箇所から遠ざかるため、当該封止箇所において物品100の噛み込みが生じる可能性を低減することが可能となる。
【0062】
さらに、ピロー包装機と比較すると、フィルムを筒状に成形するためのフォーマが不要となるため、装置の小型化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1 包装装置
2 載置部
3 封止部
4 計量部
5 排出部
6 引き込み部
10 載置台
11C,11C1〜11C4 ローラ
12 フィルム引き込みユニット
14 搬送ユニット
15U,15L,16U,16L,17U,17L シール部
18 シール高さ調整ユニット
21 排出台
25 押さえ部材
30 フィルム供給ロール
32 カッタ
34 フィルム回収ロール
40 袋体
41 接合箇所
45 設定部
50 フィルム
100 物品
150 弛み
300,301 制御部
501 第1部分
502 第2部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状包材の第1部分に物品を載置した状態で当該包材を第1方向に搬送するとともに、前記第1方向に関して前記第1部分より前方の前記包材の第2部分を、前記物品を越えて前記第1方向とは逆の第2方向に折り返す包材搬送手段と、
前記第1部分と前記第2部分とを縁部同士で封止することにより、前記第1部分と前記第2部分との間に前記物品が収容された袋体を形成する封止手段と、
前記袋体を前記帯状包材から切断する切断手段と、
前記帯状包材を貯留する貯留部と、
包装対象である前記物品を載置するための載置部と、
前記貯留部と前記載置部との間に配置され、前記貯留部から前記載置部への前記帯状包材の供給の許可及び禁止を切り換え可能な切換手段と、
を備える、包装装置。
【請求項2】
前記切換手段は、回転許可状態及び回転禁止状態を切り換え可能な包材搬送ローラを有する、請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記載置台上に前記物品が載置されるタイミングにおいて、前記包材搬送ローラは回転禁止状態に切り換えられる、請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記包材搬送ローラは、回転許可状態において、前記帯状包材を前記貯留部から前記載置台上に供給する方向、及びその逆方向の双方向に回転自在である、請求項2又は3に記載の包装装置。
【請求項5】
帯状包材の第1部分に物品を載置した状態で当該包材を第1方向に搬送するとともに、前記第1方向に関して前記第1部分より前方の前記包材の第2部分を、前記物品を越えて前記第1方向とは逆の第2方向に折り返す包材搬送手段と、
前記第1部分と前記第2部分とを縁部同士で封止することにより、前記第1部分と前記第2部分との間に前記物品が収容された袋体を形成する封止手段と、
前記袋体を前記帯状包材から切断する切断手段と、
包装対象である前記物品を載置するための載置部と、
前記載置部上に載置された前記物品が載置後に位置変更されたことによって生じた、前記帯状包材の余剰供給長を検出する検出手段と、
を備える、包装装置。
【請求項6】
前記包材搬送手段が前記包材の搬送を開始する前に、前記余剰供給長に相当する長さの前記包材を回収する包材回収手段をさらに備える、請求項5に記載の包装装置。
【請求項7】
前記余剰供給長に基づいて、前記包材搬送手段による前記包材の搬送量を設定する設定手段をさらに備える、請求項5に記載の包装装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−251757(P2011−251757A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128455(P2010−128455)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】