説明

包装装置

【課題】 各アジャスト部材に対し一括して行われる位置調整に加え、個別調整対象として選定されたアジャスト部材については、その近傍で個別に微調整を可能として、高精度な位置調整を実現し稼働効率の向上を図る。
【解決手段】 各アジャスト部材を一括して調整する主調整手段を備えるとともに、各アジャスト部材のうちの少なくとも1つは個別調整対象として、主調整手段よりも微調整可能な副調整手段を備えている。主調整手段は、各アジャストモータ110他を一括して自動制御する制御部101からなり、副調整手段は、操作ハンドル113他による手動操作や、操作ボタン111によるアジャストモータ110他の個別的な駆動操作をもって各アジャスト部材を個別に移動調整する構成を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被包装物の品種変更に伴い位置調整を必要とする複数のアジャスト部材を備えた包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子箱等の上包み包装装置や、段ボールの箱詰め機などの包装装置にあっては、製品の搬送ラインや包装紙(段ボールを含む)の供給機構に組み込まれた各機能部に、被包装物である製品の品種変更にともない位置調整が必要となるアジャスト部材が組み込まれている。
【0003】
例えば、特許文献1の段ボールの箱詰め機にあっては、製品品種の変更に際して段ボールシートの外寸や製函様式の変更に伴い、搬送される段ボールシートを案内するガイド体や、積層された段ボールシートを保持するガイド部材、段ボールシートを搬送過程で折り込む機能を有した折込みガイド等の各種アジャスト部材を位置調整するための機構が組み込まれている。
すなわち、特許文献1では、アジャストモータが適所に設けられており、ねじ軸を介してアジャストモータの駆動力が各アジャスト部材に伝えられて、位置調整が行われる構成となっている。ここで、各アジャストモータは、制御装置によって一括して制御されている。制御装置は、キーボード等のデータ入力手段から入力された被包装物の品種や、段ボールケースの外寸や、製函様式等の入力データに基づき位置調整に必要な演算を行い、各アジャストモータに制御用パルス信号を出力する。この制御用パルス信号によって各アジャストモータが駆動制御され、各アジャスト部材の位置調整を自動的に行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−122403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1の段ボールの箱詰め機にあっては、データ入力手段から入力されたデータに基づき制御手段よって自動的にアジャストモータを駆動して、各アジャスト部材の位置調整を行っていたが、この種の自動制御では調整が画一的となり、微妙な位置調整ができないという課題があった。例えば、実際に供給される段ボールや製品(被包装物)の現実の外寸と、データ入力手段から入力された規定上の外寸との僅かな寸法誤差によって段ボールの搬送に円滑さを欠いたり、ひいては詰まりを生じて停止に至り稼働効率の大幅な低下をまねくおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、各アジャスト部材に対し一括して行われる位置調整に加え、個別調整対象として選定されたアジャスト部材については、その近傍で個別に微調整を可能として、高精度な位置調整を実現し稼働効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、搬送されてくる被包装物の品種変更に伴い位置調整を必要とする複数のアジャスト部材を備えた包装装置において、
各アジャスト部材を一括して調整する主調整手段を備えるとともに、
各アジャスト部材のうちの少なくとも1つは個別調整対象として、前記主調整手段よりも微調整可能な副調整手段を備えていることを特徴とする。
このように、本発明の包装装置は、主調整手段とに加え、個別調整対象となるアジャスト部材については副調整手段を備えているので、主調整手段でサイズ変更をした後、さらに副調整手段を用いて精度の高い微妙な調整を個別に行うことができる。
副調整手段は、個別調整対象となるアジャスト部材の近傍に設けることが好ましい。そのように構成すれば、包装の仕上がり具合等を確認しながらの微調整を行うことができる。
【0008】
なお、本明細書において、アジャスト部材とは、被包装物の品種変更(例えば、サイズ変更)に伴い位置調整を必要とする構成要素をいう。
【0009】
ここで、副調整手段は、個別調整対象となるアジャスト部材を手動にて位置調整する構成とすることができる。包装の仕上がり具合等を確認しながら、手動操作をもってアジャスト部材を微調整することで、操作にある程度の習熟は必要となるものの、主調整手段による自動調整にくらべ高精度な現実に即した位置調整を実現することができる。
【0010】
また、副調整手段は、個別調整対象となるアジャスト部材を位置調整方向へ移動させるアジャストモータと、このアジャストモータを駆動操作するための個別操作具とを含む構成とすることもできる。このように構成すれば、ある程度の習熟が必要となる手動操作にくらべ、簡易に微調整を行うことが可能となる。
【0011】
このような構成とするときは、さらに次のような構成を組み合わせることが好ましい。すなわち、副調整手段の個別調整対象となるアジャスト部材が、搬送されてくる被包装物に対し接離する方向へ移動する部材で構成され、当該部材が被包装物からもっとも離間した位置が全開位置として設定されており、
副調整手段は、個別操作具の操作によって個別調整対象となるアジャスト部材を全開位置へ移動させる機能を有した構成とすることが好ましい。
このように、アジャスト部材を全開位置へ移動させる機能を備えることで、被包装物が詰まる等の障害が発生した際に、迅速に被包装物を取り除き復旧することが可能となる。
【0012】
また、主調整手段は、各アジャスト部材をそれぞれ位置調整方向へ移動させる複数のアジャストモータと、これら複数のアジャストモータを一括して駆動操作するための一括操作具とを含む構成とした場合には、主調整手段を構成するアジャストモータを、副調整手段を構成するアジャストモータとしても機能させて、部品点数の削減を図ることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、主調整手段とに加え、個別調整対象となるアジャスト部材については副調整手段を同部材の近傍に備えているので、各アジャスト部材に対し一括して行われる位置調整に加え、個別調整対象として選定されたアジャスト部材については、その近傍で個別に微調整を可能として、高精度な位置調整を実現し稼働効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る包装装置(上包み包装装置)の全体動作を示す概要図である。
【図2】本発明の実施形態に係る包装装置の構造を示す正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る包装装置の構造を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る包装装置の構造を、図2の矢視A方向から見た図である。
【図5】本発明の実施形態に係る包装装置における包装紙供給部の構造を示す平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る各構成要素のうちアジャスト部材に属するものの位置調整手段を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係る駆動力をアジャスト部材に伝達する駆動力伝達機構の構成例を示す平面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る駆動力をアジャスト部材に伝達する駆動力伝達機構の構成例を示す図で、図7の矢視B方向から見た図である。
【図9】本発明の実施形態に係る駆動力をアジャスト部材に伝達する駆動力伝達機構の構成例を示す正面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る包装装置の外観を示す正面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る包装装置の外観を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を上包み包装装置に適用した実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る包装装置(上包み包装装置)の全体動作を示す概要図である。同図に示すように、本実施形態に係る包装装置は、被包装物である箱形をした製品1Aの移動経路に沿って、上流側から製品供給部10、胴巻き・後ろ小口折り部20、前小口折り部30、下部フラップ折り部40、上部フラップ折り部50、積上げ排出部60の各部が設けられている。また、胴巻き・後ろ小口折り部20と交叉するように、包装紙供給部70から包装紙が供給される。
【0016】
製品供給部10からは箱形をした製品1A(被包装物)が1つ1つ胴巻き・後ろ小口折り部20に向かって搬送されていく。胴巻き・後ろ小口折り部20に配置された製品1Aは上方に向かって持ち上げられる。上昇経路の途中には、包装紙供給部70から包装紙が一枚一枚供給配置されており、持ち上げられてきた製品1Aに包装紙1Bが上面から逆U字状に巻き付く。ここで、包装紙供給部70から供給される包装紙1Bには、一方の端部にあらかじめ糊が塗布されている。そして、製品1Aの上昇端では、当該包装紙1Bの両端部が製品1Aの底面側に折り込まれて、その両端部が重ね合わされると同時に糊付けされる。これにより、製品1Aに包装紙1Bが筒状に巻かれた胴巻き包装体1Cができあがる。胴巻き包装体1Cには、その両側面から包装紙1Bが突き出している。
【0017】
また、胴巻き・後ろ小口折り部20では、胴巻き包装体1Cの両側面から突き出した包装紙1Bの一部(耳部1dと称する)を後ろ方向から折り込む。
さらに、小口折り部では、胴巻き包装体1Cの両側面から突き出した包装紙1Bの一部(耳部)を前方向から折り込み、これにより胴巻き包装体1Cの両側面上下各部に下部フラップ1e、上部フラップ1fが形成される。
【0018】
次いで、下部フラップ折り部40では、胴巻き包装体1Cが水平に搬送される過程で、各下部フラップ1eが胴巻き包装体1Cの両側面にそれぞれ折り込まれる。さらに、胴巻き包装体1Cが水平に搬送されていく過程で、各上部フラップ1fの下面に糊が塗布される。次いで、上部フラップ折り部50では、胴巻き包装体1Cは上方に向かって持ち上げられ、その上昇経路の途中で、各上部フラップ1fが胴巻き包装体1Cの両側面にそれぞれ折り込まれる。このとき、胴巻き包装体1Cの両側面に折り込まれた上部フラップ1fが、下部フラップ1eと重なり合って糊付けされる。
このようにして製品1Aの上包み包装が完成し、包装済みの製品1Gは、積上げ排出部60に積み重ねられた状態で保持される。
【0019】
図2乃至図5は本実施形態に係る包装装置の構造を示す図で、図2は正面図、図3は平面図、図4は図2の矢視A方向から見た図である。また、図5は包装紙供給部70の構造を示す平面図である。
図2に示すように、製品供給部10には、製品搬送コンベア(図示せず)と供給部サイドガイド12が配設されている。箱形の製品1Aは、製品搬送コンベアに載せられて1つ1つ胴巻き・後ろ小口折り部20へと搬送されていく。製品搬送コンベアの両側には板状の供給部サイドガイド12が設けてあり、これら供給部サイドガイド12によって製品1Aの両側が案内されて、正確に胴巻き部の所定位置(後述する昇降台の上面)へと供給される。このため、一対の供給部サイドガイド12の間隔(図4参照)は、製品1Aの長さ寸法Lに合わせて調整される。
【0020】
図2に示すように、胴巻き・後ろ小口折り部20には、昇降台22を上下方向に移動させるエレベータ21が配設されている。昇降台22は、下降端で、製品供給部10から搬送されてきた製品1Aを受け取る。また、エレベータ21には、昇降台22の上昇端において製品1Aを保持するラッチ23が付設してある。ラッチ23は開閉自在であり、上昇してくる製品1Aに押されて同ラッチ23が開き、当該製品1Aが同ラッチ23よりも高い位置まで持ち上げられると、同ラッチ23が閉じて当該製品1Aの底面を支持する。この状態では、昇降台22が下降しても製品1Aは上昇端に保持される。
【0021】
昇降台22は、比較的小さな面積の複数台(例えば、2台)が協働して製品1Aの底部を支持し、持ち上げていく構成をしており、エレベータ21の各昇降台22の間隔は製品1Aの幅寸法Wに合わせて調整される。同様に、エレベータ21のラッチ23も複数本が協働して製品1Aの底部を支持する構成をしており、それらエレベータ21の各ラッチ23の間隔も製品1Aの幅寸法Wに合わせて調整される。
【0022】
図5に示すように、包装紙供給部70には、四角形状をした多数枚の包装紙1Bが積層配置されており、紙捲り上げ機構71がその上面にある包装紙1Bを吸着して捲り上げ、紙搬送コンベア72に繰り出す。繰り出された包装紙1Bは、紙搬送コンベア72によって紙供給位置72Aへと供給される。図2および図4に示すように、包装紙1Bは製品1Aの搬送軌道と直交する方向から、胴巻き・後ろ小口折り部20における製品1Aの上昇軌道の途中に供給される。すなわち、紙供給位置72Aは、胴巻き・後ろ小口折り部20における製品1Aの上昇軌道の途中に設定されている。
【0023】
図5に戻り、積層配置された多数枚の包装紙1Bの両側は、紙位置ガイド73と紙幅ガイド74によって位置決めされている。このうち、紙位置ガイド73は、積層配置された包装紙1Bの基準位置を規定しており、まずこの紙位置ガイド73の位置Spを調整して基準位置を決め、次いで包装紙1Bの幅寸法Sdに合わせて紙幅ガイド74の位置を調整する。また、紙捲り上げ機構71は、包装紙1Bの長さ寸法Saに合わせて調整される。
【0024】
紙搬送コンベア72は、平行に配置された2本の紙搬送ベルト75と、これら各紙搬送ベルト75と接触してそれぞれ配置された複数の紙搬送ローラ群76を含み、これら紙搬送ベルト75と紙搬送ローラ群76とによって包装紙1Bを挟持して、紙供給位置72Aまで搬送していく。各紙搬送ベルト75と各紙搬送ローラ群76は、紙供給位置72Aにおいて製品1Aの上昇軌道に近接した位置に配設される。このため、これら2本の紙搬送ベルト75の間隔および対をなす各紙搬送ローラ群76の間隔は、製品1Aの幅寸法Wに合わせて調整される。
【0025】
また、紙供給位置72Aに包装紙1Bを停止させるために、包装紙1Bの搬送軌道上には紙ストッパ77が設けてあり、搬送されてきた包装紙1Bの縁部がこの紙ストッパ77に当接することで、包装紙1Bを紙供給位置72Aに停止させている。この紙ストッパ77の包装紙1Bの搬送軌道に対する固定位置STは、製品1Aの長さ寸法Lと包装紙1Bの長さ寸法Saに基づいて調整される。
さらに、紙ストッパ77は、紙搬送ベルト75に連結していて、紙搬送ベルト75とともに製品1Aの幅寸法Wに合わせて調整される。
【0026】
紙捲り上げ機構71によって紙搬送コンベア72上に繰り出される包装紙1Bの軌道途中には、胴糊ガン78が設置してあり、繰り出されてくる包装紙1Bの側端縁近傍に、胴糊ガン78によって糊を塗布する構成となっている。この胴糊ガン78は紙位置ガイド73と一体に位置調整される。
【0027】
図2に戻り、紙供給位置72Aに配置された包装紙1Bは、上昇してくる製品1Aとラッチ23との間で当接するため、当該製品1Aの上昇に伴い製品1Aとラッチ23に挟まれて折り曲げられ、製品1Aに上面から逆U字状に巻き付いていく。このとき、製品1Aの前後下端縁からは、包装紙1Bが下方に延出している。
【0028】
胴巻き・後ろ小口折り部20には、上昇端に保持された製品1Aの底面に沿って水平移動するボトムタッカー24が設けてある。上昇端に保持された製品1Aに対して、ボトムタッカー24が水平移動してきて、製品1Aの後下端縁から延出している包装紙1Bを製品1Aの底面に折り込む。
なお、ボトムタッカー24の対向位置にはストッパ25が設けてあり、このストッパ25により上昇端にある製品1Aの水平移動を規制している。
【0029】
次に、胴巻き・後ろ小口折り部20における製品1Aの上昇端に対し、図2の左方向から右方向に向かって、一次プッシャ26と一対の可動折りガイド27が一体に移動してくる。このとき、ストッパ25による製品1Aの移動規制は解除されている。そして、一次プッシャ26が製品1Aの後側面を押圧して、製品1Aを図2の右方向へ搬送していく。この搬送動作に伴い、製品1Aの前下端縁から延出している包装紙1Bが製品1Aの底面に折り込まれ、先に折り込まれている包装紙1Bの端部と重ね合わされると同時に糊付けされる。これにより、製品1Aに包装紙1Bが筒状に巻かれた胴巻き包装体1Cができあがる。
【0030】
さらに、一次プッシャ26と一体に移動してきた一対の可動折りガイド27が、胴巻き包装体1Cの両側面から突き出した包装紙1Bの耳部1dを後ろ方向から折り込む。ここで、一対の可動折りガイド27の間隔は、製品1Aの長さ寸法Lに合わせて調整される。
【0031】
前小口折り部30には、各一対の固定折り上ガイド31と固定折り下ガイド32が製品1A搬送軌道の両側面に配設してある。製品1Aは、一次プッシャ26から二次プッシャ33に受け渡され、二次プッシャ33によって図2の右方向へ搬送されて、前小口折り部30に入る。前小口折り部30では、固定折り上ガイド31と固定折り下ガイド32により、胴巻き包装体1Cの両側面から突き出した包装紙1Bの耳部1dを前方向から折り込む。これにより胴巻き包装体1Cの両側面上下各部にフラップが形成される。
なお、前小口折り部30は、例えば、本願出願人が先に開示した特開2006-327644号公報の前方小口折り部の構成を適用することができ、同公報に詳細な構成と作用が記載されている。
一対の固定折り上ガイド31の間隔と、一対の固定折り下ガイド32の間隔は、それぞれ製品1Aの長さ寸法Lに合わせて調整される。また、固定折り上ガイド31高さ位置は、搬送されてくる製品1Aの高さ寸法Hに合わせて調整される。
【0032】
次に、下部フラップ折り部40には、一対の下部フラップ折りガイド41が配設してあり、二次プッシャ33により搬送されてきた胴巻き包装体1Cの各下部フラップ1eが、これら下部フラップ折りガイド41によって、胴巻き包装体1Cの両側面にそれぞれ折り込まれる。
【0033】
上部フラップ折り部50の入り口には、左右両側に右サイド糊ガン51と左サイド糊ガン52が各々配設してあり、二次プッシャ33によって搬送されてきた胴巻き包装体1Cの各上部フラップ1fの下面に、これら各糊ガンによって糊が塗布される。
これら右サイド糊ガン51と左サイド糊ガン52の長さ方向の位置は、製品1Aの長さ寸法Lと上部フラップ1fの長さとに基づいて調整される。さらに、これら各糊ガンの高さ位置も、製品1Aの高さ寸法Hに合わせて調整される。
【0034】
上部フラップ折り部50には、積上げエレベータ53が設置してある。積上げエレベータ53は、上下方向に移動する昇降台54と、この昇降台54の両側部に配設された一対のサイドガイド55を含んでいる。サイドガイド55は、上側サイドガイド55aと下側サイドガイド55bとで構成されており、各サイドガイド55a、55bの間には間隙が形成してある。
上部フラップ1fが折り込まれた状態の胴巻き包装体1Cは、二次プッシャ33に押圧されて昇降台54の下降端に到達し、ここで昇降台54の上面に配置される。このとき、上部フラップ1fが上下のサイドガイド55a、55bの間の間隙に入り込むとともに、上部フラップ1fは下側サイド55bに支持されて製品1Aの側面に合わせられる。そして、昇降台54の上昇に伴い胴巻き包装体1Cが持ち上げられ、その途中で上側サイドガイド55aによって上部フラップ1fが胴巻き包装体1Cの側面に折り込まれる。このとき、胴巻き包装体1Cの両側面に折り込まれた上部フラップ1fが、下部フラップ1eと重なり合って糊付けされ、包装済み製品1Gが出来上がる。
【0035】
昇降台54は、図3に示すように、左右(図の上下)一対になっており、各昇降台54が協働して胴巻き包装体1Cを持ち上げていく構成をしており、各昇降台54の間隔は製品1Aの長さ寸法Lに合わせて調整される。同様に、一対のサイドガイド55の間隔も製品1Aの長さ寸法Lに合わせて調整される。また、上下のサイドガイド55a、55bの間隙の高さ位置が、製品1Aの高さ寸法Hに合わせて調整される。
【0036】
昇降台54の上昇端付近が積上げ排出部60となっており、ここには、一対の積上げエレベータラッチ56が設けてある。積上げエレベータラッチ56は開閉自在であり、上昇してくる包装済み製品1Gに押されて同ラッチ56が開き、当該包装済み製品1Gが同ラッチ56よりも高い位置まで持ち上げられると、同ラッチ56が閉じて当該包装済み製品1Gの底面を支持し、積上げ排出部60に積み重ねた状態で保持する。
【0037】
図6は上述した各構成要素のうちアジャスト部材に属するものの位置調整手段を示すブロック図である。
既述したように、アジャスト部材とは、製品1A(被包装物)の品種変更に伴い位置調整を必要とする構成要素をいう。上述した各構成要素のうち、アジャスト部材に相当するものは、次のとおりである。
【0038】
<製品1Aの長さ寸法Lに合わせて位置調整>
まず、製品1Aの長さ寸法Lに合わせて位置調整されるアジャスト部材として、供給部サイドガイド12、可動折りガイド27、固定折り上ガイド31、固定折り下ガイド32、右サイド糊ガン51、左サイド糊ガン52、積上げエレベータ53の昇降台54、積上げエレベータ53のサイドガイド55がある(図6参照)。これらの構成要素の間隔を製品1Aの長さ寸法Lに合わせて調整するために、本実施形態に係る包装装置には、製品長さ対応アジャストモータ110(製品長AJモータ)が組み込んである。上述した各アジャスト部材は、製品長さ対応アジャストモータ110から、駆動力伝達機構を介して伝えられてきた駆動力をもって移動して、幅位置の調整が実行される。
【0039】
<製品1Aの高さ寸法Hに合わせて位置調整>
次に、製品1Aの高さ寸法Hに合わせて位置調整されるアジャスト部材としては、固定折り上ガイド31、右サイド糊ガン51、左サイド糊ガン52、積上げエレベータ53のサイドガイド55がある(図6参照)。これらの構成要素の高さ位置を製品1Aの高さ寸法Hに合わせて調整するために、本実施形態に係る包装装置には、製品高さ対応アジャストモータ120(製品高AJモータ)が組み込んである。上述した各アジャスト部材は、製品高さ対応アジャストモータ120から、駆動力伝達機構を介して伝えられてきた駆動力をもって移動して、高さ位置の調整が実行される。
【0040】
<製品1Aの幅寸法Wに合わせて位置調整>
また、製品1Aの幅寸法Wに合わせて位置調整されるアジャスト部材としては、エレベータ21の昇降台22、エレベータ21のラッチ23、紙搬送ベルト75、紙搬送ローラ群76、紙ストッパ77がある(図6参照)。これらの構成要素の間隔を製品1Aの幅寸法Wに合わせて調整するために、本実施形態に係る包装装置には、製品幅対応アジャストモータ130(製品幅AJモータ)が組み込んである。上述した各アジャスト部材は、製品幅対応アジャストモータ130から、駆動力伝達機構を介して伝えられてきた駆動力をもって移動して、幅位置の調整が実行される。
【0041】
<その他の位置調整>
その他にも紙位置ガイド73、胴糊ガン78、紙幅ガイド74、紙捲り上げ機構71、紙ストッパ77の各構成要素がアジャスト部材に属している。すなわち、包装装置にはこれらの構成要素の位置調整を実行するために、紙位置設定アジャストモータ140(紙位置AJモータ)、紙幅対応アジャストモータ150(紙幅AJモータ)、紙長さ対応アジャストモータ160(紙長AJモータ)、紙ストッパ位置設定アジャストモータ170(紙ストッパ77AJモータ)の各アジャストモータが組み込まれている。
そして、紙位置ガイド73と胴糊ガン78は、紙位置設定アジャストモータ140から、駆動力伝達機構を介して伝えられてきた駆動力をもって移動して、幅位置の調整が実行される。紙幅ガイド74は、紙幅対応アジャストモータ150から、駆動力伝達機構を介して伝えられてきた駆動力をもって移動して、幅位置の調整が実行される。紙捲り上げ機構71は、紙長さ対応アジャストモータ160から、駆動力伝達機構を介して伝えられてきた駆動力をもって移動して位置調整が実行される。紙ストッパ77は、紙ストッパ位置設定アジャストモータ170から駆動力伝達機構を介して伝えられてきた駆動力をもって移動して、包装紙1Bの搬送軌道に対する固定位置の調整が実行される。
【0042】
さらに、右サイド糊ガン51と左サイド糊ガン52については、製品1Aと包装紙1Bのサイズ変更に伴い上部フラップ1fの長さが変わることに対応して、糊塗布動作の噴射位置を製品1Aの長さ方向に調整する必要がある、このため、包装装置には、右糊位置設定アジャストモータ180(右糊位置AJモータ)と左糊位置設定アジャストモータ190(左糊位置AJモータ)が組み込んである。右サイド糊ガン51と左サイド糊ガン52は、右糊位置設定アジャストモータ180と左糊位置設定アジャストモータ190から、駆動力伝達機構を介して伝えられてきた駆動力をもって移動して、噴射位置の調整Na、Nbが実行される。
【0043】
本実施形態の包装装置は、操作パネル100と制御部101を備えている。上述した各アジャストモータとこれら操作パネル100および制御部101は、各アジャスト部材を一括して調整する主調整手段を構成している。
操作パネル100からは、各アジャスト部材の位置調整に必要な各種データがあらかじめ入力される。制御部101は、コンピュータで構成されており、操作パネル100から入力されたデータに基づき、上述した製品長さ対応アジャストモータ110、製品高さ対応アジャストモータ120、製品幅対応アジャストモータ130、紙位置設定アジャストモータ140、紙幅対応アジャストモータ150、紙長さ対応アジャストモータ160、紙ストッパ位置設定アジャストモータ170、右糊位置設定アジャストモータ180、左糊位置設定アジャストモータ190を駆動制御する。
この駆動制御は、操作パネル100からユーザによる位置制御指令が入力されたとき実行される。すなわち、操作パネル100は、各アジャストモータ110他を一括して駆動操作するための一括操作具としても機能している。
各アジャストモータ110他は、制御部101からの駆動信号に基づき回転し、その回転駆動力が駆動力伝達機構を介してアジャスト部材に伝えられ、当該アジャスト部材が自動的に位置調整される。
【0044】
さらに、上述した各アジャストモータ110他には、個別に操作可能な操作ボタン111、121、131、141、151、161、171、181、191(個別操作具)が各々設けてある。これら各アジャストモータ110他と各操作ボタン111他は、主調整手段よりも微調整可能な副調整手段を構成している。各操作ボタン111他は、位置調整対象となるアジャスト部材の近傍位置に設けられており、アジャスト部材の動きを目視観察しながら位置調整ができるようになっている。
制御部101による自動制御では調整が画一的となり、各アジャスト部材の微妙な位置調整ができないこともある。そこで、主調整手段により各アジャスト部材の位置調整を実行した後、必要に応じてユーザが操作ボタン111他の操作をすることで、各アジャストモータ110他を個別に駆動して、当該モータに連結されたアジャスト部材を個別に微調整できるようになっている。
【0045】
なお、各操作ボタン111他の近傍には各アジャスト部材の現在の調整位置や設定位置(原点からの位置)に関する数値データを表示する位置表示器112、122、132、142、152、162、172、182、192が各々併設してある。ユーザはこれら表示を確認しながら各アジャスト部材を微調整することができる。
【0046】
また、各アジャスト部材には全開位置が設定されている。この全開位置は、各アジャスト部材が搬送されてくる製品からもっとも離れた位置である。なお、対称に移動する一対の部材の組みで構成されたアジャスト部材にあっては、互いの部材がもっとも離間した位置が全開位置となる。操作ボタン111他には、当該ボタンで位置調整されるアジャスト部材を全開位置へ移動させる全開ボタンが含まれている。この全開ボタンを操作するだけで、アジャスト部材を全開位置まで移動させるように、アジャストモータ110他が駆動する構成となっている。
【0047】
また、各アジャスト部材には、手動にて各アジャスト部材の位置調整を実行するための操作ハンドル113、123、133、143、153、163、173が各々設けてある。各操作ハンドル113他の手動操作によって発生する駆動力は、各アジャスト部材へ各アジャストモータ110他からの駆動力を伝達する駆動力伝達機構を介して各アジャスト部材へ伝達される。これらの各操作ハンドル113他は、操作ボタン111と同様に、主調整手段よりも微調整可能な副調整手段を構成している。各操作ハンドル113他は、位置調整対象となるアジャスト部材の近傍位置に設けられており、アジャスト部材の動きを目視観察しながら個別に位置調整ができるようになっている。各操作ハンドル113他による位置調整は、アナログ的な微調整が可能なため、操作にある程度の習熟は必要となるものの、主調整手段による自動調整にくらべ格段に高精度な現実に即した位置調整を実現することができる。
なお、本実施形態では、右サイド糊ガン51と左サイド糊ガン52については、操作ハンドルを省略してあるが(図6参照)、これらのアジャスト部材についても操作ハンドルを設置し手動調整できるように構成してもよい。
【0048】
図7乃至図9は駆動力をアジャスト部材に伝達する駆動力伝達機構の構成例を示す図で、図7は平面図、図8は図7の矢視B方向から見た図、図9は正面図である。
これらの図は、製品1Aの長さ寸法Lに合わせて位置調整されるアジャスト部材に対して、駆動力を伝達する駆動力伝達機構を示している。既述したように、製品1Aの長さ寸法Lに合わせて位置調整されるアジャスト部材には、供給部サイドガイド12、可動折りガイド27、固定折り上ガイド31、固定折り下ガイド32、右サイド糊ガン51、左サイド糊ガン52、積上げエレベータ53の昇降台54、積上げエレベータ53のサイドガイド55がある(図6参照)。
図7乃至図9には、これら各アジャスト部材の一部のみを描いているが、各アジャスト部材は、製品長さ対応アジャストモータ110からの駆動力を、駆動力伝達機構115を介して伝達される。駆動力伝達機構115は、チェーン伝導機構や歯車機構を組み合わせて構成されている。
【0049】
また、この駆動力伝達機構115には、操作ハンドル113の駆動軸が係合しており、操作ハンドル113の手動操作によって発生する駆動力を、各アジャスト部材に伝達するように構成されている。
【0050】
図10は本実施形態に係る包装装置の外観を示す正面図、図11は同じく背面図である。
これらの図に示すように、包装装置の正面および背面には、次のような操作ハンドル、操作ボタン、位置表示器が設けられている。
(1)製品1Aの長さ寸法Lに合わせてアジャスト部材の位置を微調整するための操作ハンドル113、操作ボタン111、位置表示器112
(2)製品1Aの高さ寸法Hに合わせてアジャスト部材の位置を微調整するための操作ハンドル123、操作ボタン121、位置表示器122
(3)製品1Aの幅寸法Wに合わせてアジャスト部材の位置を微調整するための操作ハンドル133、操作ボタン131、位置表示器132
(4)紙位置ガイド73および胴糊ガン78の位置を微調整するための操作ハンドル143、操作ボタン141、位置表示器142
(5)紙幅ガイド74の位置を微調整するための操作ハンドル153、操作ボタン151、位置表示器152
(6)紙捲り上げ機構71の位置を微調整するための操作ハンドル163、操作ボタン161、位置表示器162
(7)紙ストッパ77の包装紙1Bの搬送軌道に対する固定位置を微調整するための操作ハンドル173、操作ボタン171、位置表示器172
(8)右サイド糊ガン51の位置を微調整するための操作ボタン181、位置表示器182
(9)左サイド糊ガン52の位置を微調整するための操作ボタン191、位置表示器192
【0051】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施、応用実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、副調整手段として、操作ハンドル113他と操作ボタン111他の両方を備えたが、いずれか一方のみを備えた構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0052】
1A:製品(被包装物)、1B:包装紙、1C:胴巻き包装体、1d:耳部、1e:下部フラップ、1f:上部フラップ、1G:包装済み製品
10:製品供給部、12:供給部サイドガイド、
20:胴巻き・後ろ小口折り部、21:エレベータ、22:昇降台、23:ラッチ、24:ボトムタッカー、25:ストッパ、26:一次プッシャ、27:可動折りガイド、
30:前小口折り部、31:固定折り上ガイド、32:固定折り下ガイド、33:二次プッシャ、
40:下部フラップ折り部、41:下部フラップ折りガイド、
50:上部フラップ折り部、51:右サイド糊ガン、52:左サイド糊ガン、53:積上げエレベータ、54:昇降台、55:サイドガイド、55a:上側サイドガイド、55b下側サイドガイド、56:積上げエレベータラッチ
60:積上げ排出部、
70:包装紙供給部、71:紙捲り上げ機構、72:紙搬送コンベア、72A:紙供給位置、73:紙位置ガイド、74:紙幅ガイド、75:紙搬送ベルト、76:紙搬送ローラ群、77:紙ストッパ、78:胴糊ガン、
100:操作パネル、101:制御部
110:製品長さ対応アジャストモータ、111:操作ボタン、112:位置表示器、113:操作ハンドル、115:駆動力伝達機構、
120:製品高さ対応アジャストモータ、121:操作ボタン、122:位置表示器、123:操作ハンドル、
130:製品幅対応アジャストモータ、131:操作ボタン、132:位置表示器、133:操作ハンドル、
140:紙位置設定アジャストモータ、141:操作ボタン、142:位置表示器、143:操作ハンドル、
150:紙幅対応アジャストモータ、151:操作ボタン、152:位置表示器、153:操作ハンドル、
160:紙長さ対応アジャストモータ、161:操作ボタン、162:位置表示器、163:操作ハンドル、
170:紙ストッパ位置設定アジャストモータ、171:操作ボタン、172:位置表示器、173:操作ハンドル、
180:右糊位置設定アジャストモータ、181:操作ボタン、182:位置表示器、
190:左糊位置設定アジャストモータ、191:操作ボタン、192:位置表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくる被包装物の品種変更に伴い位置調整を必要とする複数のアジャスト部材を備えた包装装置において、
前記各アジャスト部材を一括して調整する主調整手段を備えるとともに、
前記各アジャスト部材のうちの少なくとも1つは個別調整対象として、前記主調整手段よりも微調整可能な副調整手段を備えていることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記副調整手段は、前記アジャスト部材の近傍に設けてあることを特徴とする請求項1の包装装置。
【請求項3】
前記副調整手段は、前記個別調整対象となるアジャスト部材を手動にて位置調整する構成であることを特徴とする請求項1又は2の包装装置。
【請求項4】
前記副調整手段は、前記個別調整対象となるアジャスト部材を位置調整方向へ移動させるアジャストモータと、このアジャストモータを駆動操作するための個別操作具とを含むことを特徴とする請求項1又は2の包装装置。
【請求項5】
前記副調整手段の個別調整対象となるアジャスト部材は、前記搬送されてくる被包装物に対し接離する方向へ移動する部材で構成され、当該部材が被包装物からもっとも離間した位置が全開位置として設定されており、
前記副調整手段は、前記個別操作具の操作によって前記個別調整対象となるアジャスト部材を全開位置へ移動させる機能を有していることを特徴とする請求項4の包装装置。
【請求項6】
前記主調整手段は、前記各アジャスト部材をそれぞれ位置調整方向へ移動させる複数のアジャストモータと、これら複数のアジャストモータを一括して駆動操作するための一括操作具とを含み、
前記主調整手段を構成するアジャストモータは、前記副調整手段を構成するアジャストモータとしても機能することを特徴とする請求項4又は5の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−42394(P2011−42394A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193022(P2009−193022)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名: FOOMA JAPAN 2009(国際食品工業展) 主催者名: 社団法人日本食品機械工業会 開催日: 平成21年6月9日から6月12日
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】