説明

包装装置

【課題】トレーを用いずに物品を包装することが可能であり、しかも、逆ピロー包装機と比較して設置条件や運転条件等の制限が少ない包装装置を得る。
【解決手段】包装装置1は、連続したフィルム50の第1部分501に物品100を載置した状態でフィルム50をX1方向に搬送するとともに、X1方向に関して第1部分501より前方のフィルム50の第2部分502を、X1方向とは逆のX2方向に折り返す搬送ユニット14と、第1部分501と第2部分502とを封止することにより、物品100が収容された袋体40を形成するシール部16U,16L,17U,17Lと、フィルム50を切断するカッタ32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムを緊張状態で保持し、トレー上に物品が載置された商品を下方からフィルムに押し当て、フィルムの周辺部をトレーの底面側に折り込むことによって、フィルムによる商品の包装を行うストレッチ包装機が、例えば下記特許文献1に開示されている。
【0003】
また、複数の物品が一定間隔で載置された帯状のフィルムを水平方向に搬送しながら帯状から筒状に成形した後、物品の上方での縦シール処理と、物品の前後二カ所での横シール処理とを施すことによって、フィルムによる物品の包装を行う逆ピロー包装機が、例えば下記特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−97309号公報
【特許文献2】特開平11−105810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたストレッチ包装機によると、トレー上に物品が載置された商品がフィルムによって包装される。しかし、近年における消費者の環境意識の高まりにより、消費者からはゴミの排出量の削減が求められているため、トレーを用いない包装形態の実現が望まれる。また、トレーを用いない包装形態が実現されれば、トレーの購入及び管理に要するコストを削減できるとともに、トレーの保管場所を確保する必要もなくなるため、製造業者にとっても有益である。
【0006】
また、上記特許文献2に開示された逆ピロー包装機によると、フィルムを水平方向に搬送しながら帯状から筒状に成形する必要があるため、包装機の機長が必然的に長くなる。従って、逆ピロー包装機を設置するためには大きなスペースを確保する必要があるため、スーパーマーケットのバックヤード等に逆ピロー包装機を設置することは困難な場合が多い。また、縦シール処理は物品の上方で行われるため、物品の上方に袋体の縦シール部が位置することとなる。従って、表面及び裏面が区別される物品を包装する場合において、表面を上にした状態で物品をフィルム上に載置した場合には、物品の表面の上方に縦シール部が位置することとなるため、商品を陳列した際の見栄えが悪くなる。これを回避するためには、必ず裏面を上にした状態で物品をフィルム上に載置する必要がある。さらに、逆ピロー包装機では、搬送方向に沿って並ぶ複数の物品同士の隙間で横シール処理を行う必要がある。ところが、搬送に伴う慣性等に起因して搬送方向に関するフィルムと物品との位置関係がずれた場合には、適切な箇所で横シール処理を行えず、袋体の横シール部への物品の噛み込みが生じる可能性がある。特に、逆ピロー包装機にはフィルムに対する物品の位置ずれを規制する手段が存在しないため、慣性等に起因するフィルムと物品との位置ずれが生じないように、包装機の運転条件を制限する必要がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、トレーを用いずに物品を包装することが可能であり、しかも、逆ピロー包装機と比較して設置条件や運転条件等の制限が少ない包装装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る包装装置は、連続した帯状包材の第1部分に物品を載置した状態で当該包材を第1方向に搬送するとともに、前記第1方向に関して前記第1部分より前方の前記包材の第2部分を、前記第1方向とは逆の第2方向に折り返す包材搬送手段と、前記第1部分と前記第2部分とを封止することにより、前記物品が収容された袋体を形成する封止手段と、前記帯状包材を切断する切断手段とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
第1の態様に係る包装装置によれば、包材搬送手段は、帯状包材の第1部分に物品を載置した状態で当該包材を第1方向に搬送するとともに、第1方向に関して第1部分より前方の包材の第2部分を、第1方向とは逆の第2方向に折り返す。また、封止手段は、第1部分と第2部分とを封止することにより、物品が収容された袋体を形成し、切断手段は、帯状包材を切断する。従って、第1の態様に係る包装装置によれば、トレーを用いずに物品を包装することが可能となる。その結果、消費者においては、ゴミの排出量を削減でき、また、製造業者においては、トレーの購入及び管理に要するコストを削減できるとともに、トレーの保管場所を確保する必要がなくなる。
【0010】
また、逆ピロー包装機と比較すると、包材を帯状から筒状に成形するためのフォーマが不要となるため、装置の小型化を図ることが可能となる。また、逆ピロー包装機とは異なり、包材の縦シール処理が不要となる。従って、表面及び裏面が区別される物品を包装する場合において、表面を上にした状態で物品を帯状包材上に載置した場合であっても、物品の表面の上方に縦シール部は存在しないため、商品の見栄えが悪くなることはない。さらに、封止手段による袋体の口部分の封止は、物品の搬送方向に対して物品よりも後方で行われる。従って、搬送に伴う慣性に起因して搬送停止後に物品が包材上を第1方向に進行したとしても、物品は口部分の封止箇所から遠ざかるため、当該封止箇所において物品の噛み込みが生じる可能性を低減することが可能となる。しかも、物品が包材上を第1方向に進行したとしても、物品の進行はその前方の包材によって規制され、無制限に進行するわけではないため、特に不都合はない。
【0011】
本発明の第2の態様に係る包装装置は、第1の態様に係る包装装置において特に、前記包材搬送手段は、前記第2方向に折り返した前記第2部分を前記物品の上方から前記物品に被せることを特徴とするものである。
【0012】
第2の態様に係る包装装置によれば、包材搬送手段は、第2方向に折り返した第2部分を物品の上方から物品に被せる。第2部分を展張状態で上方から物品に押し付けるのではなく、第2部分を物品に被せることにより、物品が第2部分から受ける圧力が小さくなるため、物品の損傷を回避することが可能となる。
【0013】
本発明の第3の態様に係る包装装置は、第1又は第2の態様に係る包装装置において特に、前記切断手段による切断によって分離された前記帯状包材同士を接合する接合手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0014】
第3の態様に係る包装装置によれば、接合手段は、切断手段による切断によって分離された帯状包材同士を接合する。従って、切断によって分離された帯状包材は、次の物品に関する包装動作を開始する際には接合手段によって互いに接合されているため、複数の物品に関して連続的に包装動作を行うことが可能となる。
【0015】
本発明の第4の態様に係る包装装置は、第3の態様に係る包装装置において特に、前記接合手段による接合後の前記帯状包材を所定量巻き取ることにより、前記接合手段による前記帯状包材の接合箇所を排出する巻き取り手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0016】
第4の態様に係る包装装置によれば、巻き取り手段は、接合手段による接合後の帯状包材を所定量巻き取ることにより、接合手段による帯状包材の接合箇所を排出する。従って、接合手段による帯状包材の接合箇所が次回の物品の包装において袋体の一部に含まれることが回避されるため、袋体の気密性及び強度の低下を回避することが可能となるともに、袋体の美観が損なわれることを回避することが可能となる。
【0017】
本発明の第5の態様に係る包装装置は、第1〜第4のいずれか一つの態様に係る包装装置において特に、前記包材搬送手段による前記第1方向への前記包材の搬送量を、前記帯状包材の長手方向に関する前記袋体の大きさに応じて設定する設定手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0018】
第5の態様に係る包装装置によれば、設定手段は、包材搬送手段による第1方向への包材の搬送量を、帯状包材の長手方向に関する袋体の大きさ(つまり袋丈)に応じて設定する。従って、帯状包材の搬送量を設定することにより、袋丈が異なる複数種類の袋体を形成することが可能となる。しかも、帯状包材の搬送量を毎回変更することによって、袋丈が異なる袋体を連続的に形成することも可能である。
【0019】
本発明の第6の態様に係る包装装置は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係る包装装置において特に、前記封止手段によって前記第1部分と前記第2部分との封止を行う高さと、厚み方向に関する前記物品の略中央の高さとを一致させる制御手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0020】
第6の態様に係る包装装置によれば、制御手段は、封止手段によって第1部分と第2部分との封止を行う高さと、厚み方向に関する物品の略中央の高さとを一致させる。従って、封止手段は、第1部分及び第2部分の縁部同士が正確に重なり合った状態で封止を行うことができるため、袋体の仕上がり精度を向上することが可能となる。また、袋体を構成する包材の幅が上下均等となるため、包材の幅を必要最小限に抑えることが可能となる。
【0021】
本発明の第7の態様に係る包装装置は、第1〜第6のいずれか一つの態様に係る包装装置において特に、前記袋体を構成する前記帯状包材の一部を引き込むための引き込み手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0022】
第7の態様に係る包装装置によれば、帯状包材を引き込み手段によって引き込むことにより、次回の包装で使用する帯状包材の一部がストックされる。従って、袋体の袋丈に応じて引き込み手段でのフィルムのストック量を設定することにより、作業者は、常に載置部上の同一箇所に物品を載置することが可能となる。その結果、袋体の袋丈に応じて物品の載置箇所を変更する必要がないため、作業性を高めることが可能となる。また、作業者は、奇数回目の包装処理か偶数回目の包装処理かに拘わらず、常に載置部上の同一箇所に物品を載置すれば足り、包装回数の奇偶に応じて物品の載置箇所を変更する必要がないため、作業性を高めることが可能となる。
【0023】
本発明の第8の態様に係る包装装置は、第7の態様に係る包装装置において特に、引き込み手段によって引き込まれる帯状包材の一部には、次回の包装で使用する前記第2部分が含まれることを特徴とするものである。
【0024】
第8の態様に係る包装装置によれば、引き込み手段によって引き込まれる帯状包材の一部には、次回の包装で使用する第2部分が含まれる。これにより、次回の包装で使用する第2部分が引き込み手段によってストックされるため、適切な包装動作を行うことが可能となる。
【0025】
本発明の第9の態様に係る包装装置は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る包装装置において特に、前記帯状包材を折り返す位置を規定する位置規定手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0026】
第9の態様に係る包装装置によれば、位置規定手段は、帯状包材を折り返す位置を規定する。帯状包材を折り返す位置が規定されることにより、所望の大きさ(袋丈)の袋体を得ることが可能となる。
【0027】
本発明の第10の態様に係る包装装置は、第1〜第9のいずれか一つの態様に係る包装装置において特に、前記物品の重量を計量する計量手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0028】
第10の態様に係る包装装置によれば、計量手段を備えることによって、装置の実用性を高めることができる。
【0029】
本発明の第11の態様に係る包装装置は、第1〜第10のいずれか一つの態様に係る包装装置において特に、前記物品に関する物品情報をラベルに印字する印字手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0030】
第11の態様に係る包装装置によれば、印字手段を備えることによって、装置の実用性を高めることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、トレーを用いずに物品を包装することが可能であり、しかも、逆ピロー包装機と比較して設置条件や運転条件等の制限が少ない包装装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態に係る包装装置の全体構造を示す斜視図である。
【図2】包装装置における各処理部のレイアウトを模式的に示す図である。
【図3】図2に示した各処理部の構成を模式的に示す図である。
【図4】フィルム引き込みユニットの構造を示す正面図である。
【図5】フィルム引き込みユニットの構造を示す側面図である。
【図6】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図7】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図8】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図9】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図10】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図11】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図12】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図13】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図14】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図15】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図16】フィルムの状態を模式的に示す斜視図である。
【図17】フィルムの封止箇所を模式的に示す図である。
【図18】制御部が有する機能の一部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0034】
図1は、本発明の実施の形態に係る包装装置1の全体構造を示す斜視図である。図1では、装置筐体のカバーを取り外した状態で包装装置1の構造を示している。包装装置1は、例えばスーパーマーケットのバックヤード等に設置され、1台の装置によって物品の包装、計量、及び値付けの各処理を行うものである。処理対象となる物品は、例えば、肉、魚、野菜等の食品である。装置筐体の正面(図中のX1方向から眺めた面)には、表示部60、操作部61、及びラベルプリンタ62が配置されている。表示部60には、各種設定情報、物品の計量結果、及び計量値に応じた値付け情報等が表示される。操作部61はテンキーや操作スイッチ等を備えており、作業者は操作部61を操作することによって各種設定情報を入力する。ラベルプリンタ62からは、物品の計量値や値付け情報等が記されたラベルが、物品毎に出力される。
【0035】
図2は、包装装置1における各処理部のレイアウトを模式的に示す図である。包装装置1は、載置部2と、載置部2の奥に配置された封止部3と、封止部3の横に配置された計量部4と、計量部4の手前に配置された排出部5とを有している。また、載置部2と封止部3との間には、引き込み部6が配置されている。載置部2では、処理対象である物品が作業者によってフィルム上に載置される。載置部2で載置された物品は、矢印L1で示すように図中のX1方向に沿ってフィルムごと封止部3に搬送される。封止部3では、フィルムを用いて物品の包装が行われる。引き込み部6は、フィルムを下方に引き込むことによって所定量のフィルムをストックする。封止部3による包装後の物品は、矢印L2で示すように図中のY方向に沿って計量部4に搬送される。計量部4では、物品の計量が行われる。物品は、矢印L3で示すように図中のX2方向に沿って搬送され、排出部5から排出される。載置部2と排出部5とは、装置筐体のほぼ同じ高さで横に並んで配置されている。
【0036】
図3は、図2に示した各処理部の構成を模式的に示す図である。載置部2は、載置台10及びローラ11を有している。封止部3は、搬送ユニット14、シール部15L,16L,17L、及びシール高さ調整ユニット18を有している。シール高さ調整ユニット18はベルトコンベアとしての機能を有しており、矢印M1で示すように図中のY方向に物品を搬送する。なお、封止部3と計量部4との間には、複数のローラ19が並んで配置されている。計量部4は、ベルトコンベア20を有しており、矢印M2で示すように図中のX2方向に物品を搬送しながら、ロードセル等の計量手段によって物品の重量を計量する。排出部5は、複数のローラが並んだ排出台21を有している。また、引き込み部6は、ローラ13A,13Bと、ローラ13A,13B間に配置されたフィルム引き込みユニット12とを有している。図1に示したように、載置台10と排出台21とは、装置筐体のほぼ同じ高さで横に並んで配置されている。
【0037】
図4及び図5は、フィルム引き込みユニット12の構造を示す正面図及び側面図である。図4,5に示すように、フィルム引き込みユニット12は、ローラ12U,12Lと一対の側板12Sとを有している。ローラ12Uは一対の側板12の上端部間に取り付けられており、ローラ12Lは一対の側板12の下端部間に取り付けられている。これにより、ローラ12U,12L間には、物品100が通過可能な空間が設けられている。なお、搬送ユニット14も同様に、一対の側板の上端部間及び下端部間にローラ14U,14Lがそれぞれ取り付けられた構造を有している。
【0038】
図6〜15は、封止部3による物品の包装動作を工程順に示す図である。封止部3は、上部シールユニット70U及び下部シールユニット70Lを有している。上部シールユニット70Uは、シール部15U,16U,17U、カッタ32、及びローラ31を有している。シール部15U,16U,17Uは、図3に示したシール部15L,16L,17Lにそれぞれ対応して設けられている。カッタ32は、シール部15U,16U間の隙間において、シール部15U,16Uに平行に設けられている。上部シールユニット70Uは、図示しない駆動機構によって上下方向(図中のZ1方向及びZ2方向)に駆動自在である。また、シール高さ調整ユニット18は図示しない駆動機構によって上下方向に駆動自在であり、フィルム引き込みユニット12も図示しない駆動機構によって上下方向に駆動自在である。さらに、搬送ユニット14は、図示しない駆動機構によって前後方向(図中のX1方向及びX2方向)に駆動自在である。
【0039】
図6に示した待機状態では、フィルム引き込みユニット12は下方に駆動されており、搬送ユニット14は前方(つまり装置筐体の正面から眺めて手前)に駆動されている。包材である一定の幅を以て連続する帯状のフィルム50は、図中の太い破線で示すように、フィルム供給ロール30→ローラ11→載置台10の上面→ローラ13A→ローラ12U→ローラ13B→ローラ14L→ローラ14U→ローラ33→フィルム回収ロール34の順に当接する経路で架け渡されている。
【0040】
次に図7を参照して、作業者は、載置台10上において、処理対象である物品100をフィルム50上に載置する。本実施の形態に係る包装装置1では、トレーを用いることなく、物品100をフィルム50上に直接載置することが可能である。但し、必ずしもトレーの使用を禁止する意図ではなく、物品が載置されたトレーを載置台10上に載置することも可能である。
【0041】
次に図8を参照して、ローラ12Lがローラ13A,13Bに同一平面内で並ぶ位置まで、フィルム引き込みユニット12が上方に駆動される。これに連動して、搬送ユニット14が後方(つまり装置筐体の正面から眺めて奥)に駆動される。搬送ユニット14は、引き込み部6にストックされていたフィルム量に相当する駆動量だけ後方に駆動された後も、上部シールユニット70Uと下部シールユニット70Lとの間の空間を奥に向かってさらに進行する。この時、フィルム回収ロール34は回転が停止されており、フィルム供給ロール30は必要量だけフィルム50を供給する。これにより、搬送ユニット14が進行することによってフィルム50が搬送され、それに伴って、物品100は、フィルム50上に載置されている状態で、載置台10上から、ローラ12U,12L間の空間を通って、シール高さ調整ユニット18上に搬送される。つまり、搬送ユニット14を駆動することにより、物品100は、フィルム50上に載置されている状態で搬送される。なお、搬送ユニット14の駆動に伴ってローラ33とローラ14Uとの間のフィルム長が長くなるため、搬送ユニット14と物品100との間の距離は短くなる。
【0042】
次に図9を参照して、フィルム引き込みユニット12が下方に駆動される。この時、フィルム回収ロール34は回転が停止されており、フィルム供給ロール30は必要量だけフィルム50を供給する。これにより、次回の包装処理で使用されるフィルム50の一部(後述する第2部分502)が引き込み部6にストックされる。なお、ストックのためにフィルム50を引き込む方向は、下方に限らず、上方、側方、又は斜め下方等であってもよい。
【0043】
次に図10を参照して、物品100の厚みに応じた所定量だけ、シール高さ調整ユニット18が下方に駆動される。シール高さ調整ユニット18は、シール部15L,16L,17Lの上面の高さと、厚み方向に関する物品100の中央の高さとがほぼ等しくなる位置まで、下方に駆動される。つまり、シール高さ調整ユニット18は、シール部15L,16L,17Lの上面の高さと、厚み方向に関する物品100の略中央の高さとを一致させる制御手段として機能する。但し、物品100とシール部15L,16L,17Lとの相対位置を調整できれば良いので、シール高さ調整ユニット18を下方に駆動する代わりに、下部シールユニット70Lを上方に駆動しても良い。
【0044】
次に図11,12を参照して、物品100との接触を回避し得る所定の姿勢及び軌道で、搬送ユニット14が前方に駆動される。これにより、搬送ユニット14は、上部シールユニット70Uと下部シールユニット70Lとの間の空間から排出され、図6に示した初期位置に戻る。図16は、フィルム50の状態を模式的に示す斜視図である。これまでの搬送ユニット14の一連の動作により、フィルム50は、物品100が載置されている第1部分501よりも前方(図中のX1方向に関する前方)の第2部分502が、物品100を越えて図中のX2方向に折り返された格好となる。図11,12を参照して、搬送ユニット14によって折り返された第2部分502は、展張状態で上方から物品100に押し付けられるのではなく、上部シールユニット70Uと下部シールユニット70Lとの間の空間から搬送ユニット14が排出されたことに伴って、テンションフリーの状態で物品100の上方から物品100に向けて自由落下する。これにより、第2部分502が上方から物品100に被さる。また、箱形の商品を包装紙によって自動包装するための包装機等とは異なり、フィルム50を折り返す回数は、各物品100につき1回だけである。また、搬送ユニット14は、フィルム50を折り返す位置を規定する位置規定手段として機能する。
【0045】
次に図13を参照して、上部シールユニット70Uが下方に駆動されることにより、シール部15U,16U,17Uとシール部15L,16L,17Lとによって上下からフィルム50を挟み込む。そして、熱圧着によって第1部分501及び第2部分502の縁部同士を封止する。図17は、フィルム50の封止箇所を模式的に示す図である。シール部17U,17Lによって側辺部分のエリアAR1が封止され、シール部16U,16Lによって口部分のエリアAR2が封止される。これにより、第1部分501と第2部分502との間に物品100が収容された袋体40が形成される。なお、必ずしも袋体40の三方を封止する必要はなく、例えばエリアAR2の封止を保留して側辺部分のみの二方の封止としても良い。この場合、袋体40の口部分が開封しているため、作業者は、袋体40が包装装置1から排出された後に調味料の小袋等を袋体40内に投入することができる。
【0046】
また、エリアAR2の近傍のラインNに沿って、カッタ32によってフィルム50が切断される。これとともに、切断によって分離されたフィルム50同士を接合するために、ラインNの近傍のエリアAR3がシール部15U,15Lによって封止される。これにより、切断によって一旦分離されたフィルム50が、接合箇所41において再び結合される。
【0047】
次に図14を参照して、上部シールユニット70Uが上方に駆動されることにより、図6に示した初期位置に戻る。その後、シール高さ調整ユニット18が上方に駆動され、これに伴って、シール高さ調整ユニット18上の袋体40も上方に駆動される。
【0048】
次に図15を参照して、シール高さ調整ユニット18のベルトコンベアが駆動されることにより、袋体40は、シール高さ調整ユニット18上から、シール部17Lを飛び越えて、ローラ19を介して計量部4のベルトコンベア20上に搬送される。また、フィルム回収ロール34が駆動されて所定量だけフィルム50を巻き取ることにより、フィルム50の接合箇所41が回収される。その後、シール高さ調整ユニット18が下方に駆動されることにより、図6に示した初期位置に戻る。これにより、次回の包装動作の待機状態となる。
【0049】
図18は、包装装置1に搭載されている制御部が有する機能の一部を示すブロック図である。制御部は、設定部45と記憶部46とを有している。作業者は、図1に示した操作部61を用いて、フィルム50の長手方向に関する袋体40の大きさ(つまり袋丈)と、物品100の厚みとを入力する。袋丈の入力値はデータS1として設定部45に入力され、物品100の厚みの入力値はデータS2として設定部45に入力される。
【0050】
設定部45は、データS1に基づいて、フィルム引き込みユニット12によるフィルム50の引き込み量(つまり、図8に示した位置から図9に示した位置へのフィルム引き込みユニット12の変位量)と、搬送ユニット14によるフィルム50の搬送量(つまり、図7に示した位置から図8に示した位置への搬送ユニット14の変位量)とを設定する。袋丈が大きいほどこれらの引き込み量及び搬送量は大きくなり、袋丈が小さいほどこれらの引き込み量及び搬送量は小さくなる。例えば、袋丈が2倍になると、引き込み量及び搬送量もそれぞれ約2倍になる。具体的には、様々な袋丈と、各袋丈に対応する引き込み量及び搬送量の各適正値との関係が記述されたデータテーブルを記憶部46に予め記憶しておき、設定部45は、データS1で表される袋丈に対応する引き込み量及び搬送量を、記憶部46から読み出す。制御部45は、設定した引き込み量に関するデータS3を、フィルム引き込みユニット12の駆動部に入力する。また、制御部45は、設定した搬送量に関するデータS4を、搬送ユニット14の駆動部に入力する。
【0051】
また、設定部45は、データS2に基づいて、シール高さ調整ユニット18の駆動量(つまり、図9に示した位置から図10に示した位置へのシール高さ調整ユニット18の変位量)を設定する。設定部45は、シール高さ調整ユニット18の駆動量を、データS2で表される物品100の厚みの半分の値に設定する。制御部45は、設定した駆動量に関するデータS5を、シール高さ調整ユニット18の駆動部に入力する。
【0052】
本実施の形態に係る包装装置1によれば、搬送ユニット14は、フィルム50の第1部分501に物品100を載置した状態でフィルム50をX1方向に搬送するとともに、X1方向に関して第1部分501より前方のフィルム50の第2部分502を、物品100を越えてX1方向とは逆のX2方向に折り返す。また、シール部16U,16L,17U,17Lは、第1部分501と第2部分502とを縁部同士で封止することにより、第1部分501と第2部分502との間に物品100が収容された袋体40を形成し、カッタ32は、袋体40をフィルム50から切断する。従って、本実施の形態に係る包装装置1によれば、トレーを用いずに物品100を包装することが可能となる。その結果、消費者においては、ゴミの排出量を削減でき、また、製造業者においては、トレーの購入及び管理に要するコストを削減できるとともに、トレーの保管場所を確保する必要がなくなる。
【0053】
また、シール部16U,16Lによる袋体40の口部分の封止は、物品100の搬送方向(X1方向)に対して物品100よりも後方で行われる。従って、搬送に伴う慣性に起因して搬送停止後に物品100がフィルム50上をX1方向に進行したとしても、物品100は口部分の封止箇所から遠ざかるため、当該封止箇所において物品100の噛み込みが生じる可能性を低減することが可能となる。しかも、物品100がフィルム50上をX1方向に進行したとしても、物品100の進行はその前方のフィルム50によって規制され、無制限に進行するわけではないため、特に不都合はない。
【0054】
さらに、逆ピロー包装機と比較すると、フィルムを筒状に成形するためのフォーマが不要となるため、装置の小型化を図ることが可能となる。しかも、逆ピロー包装機とは異なり、フィルム50の縦シール処理が不要となる。従って、表面及び裏面が区別される物品100を包装する場合において、表面を上にした状態で物品100をフィルム50上に載置した場合であっても、物品100の表面の上方に縦シール部は存在しないため、商品の見栄えが悪くなることはない。
【0055】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、搬送ユニット14は、X2方向に折り返した第2部分502を物品100の上方から物品100に被せる。第2部分502を展張状態で上方から物品100に押し付けるのではなく、第2部分502を物品100に被せることにより、物品100が第2部分502から受ける圧力が小さくなるため、物品100の損傷を回避することが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、シール部15U,15Lは、カッタ32による袋体40の切断によって分離されたフィルム50同士を接合する。従って、袋体40の切断によって分離されたフィルム50は、次の物品100に関する包装動作を開始する際にはシール部15U,15Lによって互いに接合されているため、複数の物品100に関して連続的に包装動作を行うことが可能となる。
【0057】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、フィルム回収ロール34は、シール部15U,15Lによる接合後のフィルム50を所定量巻き取ることにより、シール部15U,15Lによるフィルム50の接合箇所41を排出する。従って、フィルム50の接合箇所41が次回の物品100の包装において袋体40の一部に含まれることが回避されるため、袋体40の気密性及び強度の低下を回避することが可能となるともに、袋体40の美観が損なわれることを回避することが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、設定部45は、搬送ユニット14によるX1方向へのフィルム50の搬送量を、フィルム50の長手方向に関する袋体40の大きさ(つまり袋丈)に応じて設定する。従って、フィルム50の搬送量を設定することにより、袋丈が異なる複数種類の袋体40を形成することが可能となる。しかも、フィルム50の搬送量を毎回変更することによって、袋丈が異なる袋体40を連続的に形成することも可能である。
【0059】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、物品100の厚みに応じてシール高さ調整ユニット18の下方への駆動量を設定することにより、物品100の厚みの略中央の高さを、シール部15L,16L,17Lの高さに一致させる。物品100の厚みの略中央の高さとシール部15L,16L,17Lの上面の高さとが一致した状態で封止を行うことによって、シール部15L,16L,17Lは、第1部分501及び第2部分502の縁部同士が正確に重なり合った状態で封止を行うことができるため、袋体40の仕上がり精度を向上することが可能となる。また、袋体40を構成するフィルム50の幅が上下均等となるため、フィルム50の幅を必要最小限に抑えることが可能となる。
【0060】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、袋体40を構成するフィルム50の一部を引き込むための引き込み部6が、載置部2と封止部3との間に設けられている。従って、袋体40の袋丈に応じて引き込み部6でのフィルム50のストック量(つまりフィルム引き込みユニット12によるフィルム50の引き込み量)を設定することにより、作業者は、常に載置部2(載置台10)上の同一箇所に物品100を載置することが可能となる。その結果、袋体40の袋丈に応じて物品100の載置箇所を変更する必要がないため、作業性を高めることが可能となる。また、作業者は、奇数回目の包装処理か偶数回目の包装処理かに拘わらず、常に載置部2(載置台10)上の同一箇所に物品100を載置すれば足り、包装回数の奇偶に応じて物品100の載置箇所を変更する必要がないため、作業性を高めることが可能となる。
【0061】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、フィルム引き込みユニット12によって引き込まれるフィルム50の一部には、次回の包装で使用する第2部分502が含まれる。これにより、次回の包装で使用する第2部分502がフィルム引き込みユニット12によってストックされるため、適切な包装動作を行うことが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、位置規定手段(搬送ユニット14)は、フィルム50を折り返す位置を規定する。フィルム50を折り返す位置が規定されることにより、所望の大きさ(袋丈)の袋体40を得ることが可能となる。
【0063】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、計量部4を備えることによって、装置の実用性を高めることができる。
【0064】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、ラベルプリンタ62を備えることによって、装置の実用性を高めることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 包装装置
2 載置部
3 封止部
4 計量部
5 排出部
6 引き込み部
10 載置台
12 フィルム引き込みユニット
14 搬送ユニット
15U,15L,16U,16L,17U,17L シール部
18 シール高さ調整ユニット
21 排出台
30 フィルム供給ロール
32 カッタ
34 フィルム回収ロール
40 袋体
41 接合箇所
45 設定部
50 フィルム
100 物品
501 第1部分
502 第2部分



【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した帯状包材の第1部分に物品を載置した状態で当該包材を第1方向に搬送するとともに、前記第1方向に関して前記第1部分より前方の前記包材の第2部分を、前記第1方向とは逆の第2方向に折り返す包材搬送手段と、
前記第1部分と前記第2部分とを封止することにより、前記物品が収容された袋体を形成する封止手段と、
前記帯状包材を切断する切断手段と
を備える、包装装置。
【請求項2】
前記包材搬送手段は、前記第2方向に折り返した前記第2部分を前記物品の上方から前記物品に被せる、請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記切断手段による切断によって分離された前記帯状包材同士を接合する接合手段をさらに備える、請求項1又は2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記接合手段による接合後の前記帯状包材を所定量巻き取ることにより、前記接合手段による前記帯状包材の接合箇所を排出する巻き取り手段をさらに備える、請求項3に記載の包装装置。
【請求項5】
前記包材搬送手段による前記第1方向への前記包材の搬送量を、前記帯状包材の長手方向に関する前記袋体の大きさに応じて設定する設定手段をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一つに記載の包装装置。
【請求項6】
前記封止手段によって前記第1部分と前記第2部分との封止を行う高さと、厚み方向に関する前記物品の略中央の高さとを一致させる制御手段をさらに備える、請求項1〜5のいずれか一つに記載の包装装置。
【請求項7】
前記袋体を構成する前記帯状包材の一部を引き込むための引き込み手段
をさらに備える、請求項1〜6のいずれか一つに記載の包装装置。
【請求項8】
前記引き込み手段によって引き込まれる前記帯状包材の一部には、次回の包装で使用する前記第2部分が含まれる、請求項7に記載の包装装置。
【請求項9】
前記帯状包材を折り返す位置を規定する位置規定手段をさらに備える、請求項1〜8のいずれか一つに記載の包装装置。
【請求項10】
前記物品の重量を計量する計量手段
をさらに備える、請求項1〜9のいずれか一つに記載の包装装置。
【請求項11】
前記物品に関する物品情報をラベルに印字する印字手段
をさらに備える、請求項1〜10のいずれか一つに記載の包装装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−46447(P2011−46447A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167224(P2010−167224)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】