説明

化粧料

【課題】容易に製造可能であり、かつ、皮膚の水分保持に優れる化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】60wt%のツバキ油と、27wt%のホホバ油と、13wt%のスクワラン油と、からなる化粧料を提供する。これにより、皮表脂質の主成分である、トリグリセライド、ワックスエステル、スクワレンをそれぞれ主成分として含有する、ツバキ油、ホホバ油、スクワラン油を、皮表脂質の重量比率に近似させて含有するので、皮表脂質に類似する成分を補うことが可能となり、皮膚への浸透性に優れ、かつ、皮膚の水分保持に優れる化粧料を提供できる。さらに、本発明による化粧料の製造工程は、それぞれの油を混合する簡易な工程であり、容易に製造可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関し、より詳細には、化粧料に含まれる成分の組成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の乾燥は、皮膚最外層である角層の水分保持性又はバリア性の低下等によって発生することが知られている。皮膚表面の水分は、主に表皮水分損失(TEWL)、発汗、外界環境に由来し、皮膚の乾燥を防ぐため、及び皮膚柔軟性や、形態的外観を保つために、皮膚表面に水分が適度に含まれる状態を保持することが必要である。
そして、皮膚表面は、皮表脂質と呼ばれる薄い脂質膜で覆われている。この皮表脂質は皮脂腺由来と角層由来とで構成されている。
【0003】
皮脂腺脂質の成分は、トリグリセライド、ワックスエステル、スクワレン等である。この皮脂腺脂質は、皮膚からの余分な水分の蒸発を防ぐ役割がある。角層脂質の成分は、セラミド、脂肪酸、コレステロール、コレステロールエステル等である。この角層脂質は、角質細胞の細胞間物質であり、皮膚内への異物の進入を防ぐ、バリアとして働く。
【0004】
近年、これら脂質は、乾燥皮膚、老人性皮膚、アトピー性乾燥皮膚等へのスキンケア化粧品、医薬部外品、医薬外用剤の油性基剤として重要視され、角層の水分を保持して皮膚の乾燥を防ぐことを目的として多くの製品に使用されている。
【0005】
従来、皮膚を構成する角層の水分保持を目的とし、魚類の脳及び/又は神経抽出物を含有する化粧品組成物(例えば特許文献1参照)、及びポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリンを含有する皮膚外用剤が公知となっている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−97215号公報
【特許文献2】特開2004−238334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示された構成では、角質細胞間脂質であるスフィンゴ脂質を多く含む魚類の脳由来の成分を多く含むことにより、安全性、溶解性に優れ、角質の水分保持に適した化粧料を提供できる。
しかし、当該発明に係る化粧料を製造するに際し、製造工程が複雑なものとなる点で不利である。
また、特許文献2に開示された構成では、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリンを用いることにより、優れた保湿性及びその持続性を実現できる。
しかし、当該発明に係るポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリンは界面活性剤の一種であり、通常洗浄剤の用途として用いられており、例えば幼児の肌に保湿剤の用途として用いる際の安心感に欠ける点で不利である。
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、容易に製造可能であり、かつ、皮膚の水分保持に優れる化粧料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、まず、本発明の第一の態様である化粧料は、60wt%がツバキ油であり、27wt%がホホバ油であり、13wt%がスクワラン油である。
なお、本発明に係る化粧料におけるツバキ油、ホホバ油、スクワラン油の混合比率は、それぞれを純度100%として換算したものである。
【0009】
本発明の第二の態様である化粧料は、ツバキ油と、ホホバ油と、スクワラン油と、の重量比が、4.61〜4.62:2.06〜2.10:1.0からなる混合料を0.01wt%〜99wt%の重量比率で含有するものである。前記ツバキ油と、ホホバ油と、スクワラン油と、の重量比は、4.61:2.07:1.0であることがより好ましい。
【0010】
本発明の第二の態様に係る化粧料において、ツバキ油と、ホホバ油と、スクワラン油と、の重量比が、4.61〜4.62:2.06〜2.10:1.0からなる混合料以外の成分は、例えば増粘剤、酸化防止剤、精製水、アルコール、生理活性成分等の従来化粧料に含有される成分であり、これにより、本発明の化粧料を、化粧料オイル、化粧オイルジェル、化粧水、スキンクリーム、保湿用化粧料、皮膚用外用剤等として広く利用することが可能となる。
【0011】
本発明の第三の態様である化粧料は、50wt%〜70wt%がツバキ油であり、17wt%〜37wt%がホホバ油であり、3wt%〜18wt%がスクワラン油である。
【0012】
本発明の第四の態様である化粧料は、50wt%〜70wt%がツバキ油であり、17wt%〜37wt%がホホバ油であり、3wt%〜18wt%がスクワラン油である混合料を0.01wt%〜99wt%の重量比率で含有するものである。
【0013】
本発明の第四の態様である化粧料において、50wt%〜70wt%がツバキ油であり、17wt%〜37wt%がホホバ油であり、3wt%〜18wt%がスクワラン油である混合料以外の成分は、例えば増粘剤、酸化防止剤、精製水、アルコール、生理活性成分等の従来化粧料に含有される成分であり、これにより、本発明の化粧料を、化粧料オイル、化粧オイルジェル、化粧水、スキンクリーム、保湿用化粧料、皮膚用外用剤等として広く利用することが可能となる。
【0014】
本発明の第五の態様である化粧料は、皮表脂質に含まれるトリグリセライドと、ワックスエステルと、スクワレンとの重量比率とそれぞれ同一の重量比率で組成されるツバキ油と、ホホバ油と、スクワラン油と、を含有してなるものである。
【0015】
本発明の第五の態様である化粧料において、「皮表脂質」とは、皮膚表面に薄く存在する脂質膜であり、この皮表脂質の成分比率を検出する方法として、例えば、総脂質量が100μg/cm以上の部位での皮表脂質を採取し、その成分を適宜測定装置により分析して、当該皮表脂質に含まれるトリグリセライド、ワックスエステル、及びスクワレンの平均重量比率をそれぞれ測定したものである。これにより、それぞれの皮表脂質、ひいては皮膚に適した化粧料を提供することが可能となる。
【0016】
本発明の第六の態様は、皮表脂質に含まれるトリグリセライドと、ワックスエステルと、スクワレンとの重量比率とそれぞれ同一の重量比率のツバキ油と、ホホバ油と、スクワラン油と、を含有してなる混合料を0.01wt%〜99wt%の重量比率で含有するものである。
【0017】
本発明の第六の態様に係る化粧料において、皮表脂質に含まれるトリグリセライドと、ワックスエステルと、スクワレンとの重量比率とそれぞれ同一の重量比率のツバキ油と、ホホバ油と、スクワラン油と、を含有してなる混合料以外の成分は、例えば増粘剤、酸化防止剤、精製水、アルコール、生理活性成分等の従来化粧料に含有される成分であり、これにより、本発明の化粧料を、化粧料オイル、化粧オイルジェル、化粧水、スキンクリーム、保湿用化粧料、皮膚用外用剤等として広く利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
本発明によれば、皮表脂質の主成分である、トリグリセライド、ワックスエステル、スクワレンをそれぞれ主成分として含有する、ツバキ油、ホホバ油、スクワラン油を、皮表脂質の重量比率に近似させて含有するので、皮表脂質に類似する成分を補うことが可能となり、皮膚への浸透性に優れ、かつ、皮膚の水分保持に優れる化粧料を提供できる。
さらに、本発明による化粧料の製造工程は、それぞれの油を混合する簡易な工程であり、容易に製造可能であるとともに、それぞれの油が分離し難いという利点がある。
【0020】
また、本発明によれば、化粧料オイル、化粧オイルジェル、化粧水、スキンクリーム、保湿用化粧料、皮膚用外用剤等として広く利用することが可能となり、皮膚の水分保持性の優れる化粧料又は外用剤としての多様性が増す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明者は数多くの実験を重ねた結果、容易に製造可能であり、皮膚への浸透性に優れ、かつ、皮膚の水分保持に優れる化粧料を得たものである。
以下に、本発明に係る化粧料の実施の一形態について説明する。
【0022】
まず、本発明に係る化粧料の実施の一形態である化粧料Aは、ツバキ油を60wt%、ホホバ油を27wt%、スクワラン油を13wt%の重量比率で含有してなり、その製造方法は、それぞれツバキ油、ホホバ油、スクワラン油を公知の方法によって均一に混合してなるものである。
【0023】
次に、本実施形態に係る化粧料Aの試験方法及び評価方法について説明する。なお、化粧料Aに対する比較試料として、比較料Bを用いた。この比較料Bは、従来のミネラルオイル及び酸化防止剤である酢酸トコフェロールを含有してなる化粧料である。
これらの化粧料A及び比較料Bを実際に皮膚に塗布した際の使用感、並びに、一定時間放置した後の使用感について評価を得た。
【0024】
試験方法は、9名の乾燥肌のモニターを用いた官能試験として、化粧料A及び比較料Bの塗布直後の使用感(伸び、ベタつき)、並びに塗布60分後の使用感(ベタつき、馴染み、エモリエント効果)についてそれぞれ評価を得た。なお、試験環境は、室温25℃、湿度34%の室内である。
前記試験方法におけるそれぞれの評価基準は以下の通りであり、評価結果は表1に示す。
5:非常に良い
4:良い
3:普通
2:悪い
1:非常に悪い
【表1】

【0025】
表1に示すように、官能試験による評価結果より、化粧料Aは、塗布60分後の使用感(馴染み及びエモリエント効果)について、比較料Bよりも高い効果を示している。言い換えれば、皮膚への浸透性、並びに、皮膚の柔軟性及び水分保持に優れていることを示している。また、化粧料Aの塗布直後の使用感(伸び)についても、比較料Bよりも高い効果を示している。
【0026】
以上のように、ツバキ油を60wt%、ホホバ油を27wt%、スクワラン油を13wt%の重量比率で含有してなる化粧料Aは、塗布60分後の使用感について従来の比較料Bと比べて高い効果を示した。
そこで、この化粧料Aのツバキ油、ホホバ油、スクワラン油のそれぞれの混合比率について、±10%の範囲内で5%毎に適宜変更してなる化粧料A2〜A13(表2参照)と、化粧料Aとの使用感(伸び、ベタつき、馴染み、てかり)の優劣について評価を得た。
【0027】
【表2】

具体的には、表2に示すように、ツバキ油を60wt%、ホホバ油を27wt%、スクワラン油を13wt%の重量比率で含有してなる化粧料Aと、ツバキ油を65wt%、ホホバ油を27wt%、スクワラン油を8wt%の重量比率で含有してなる化粧料A2、ツバキ油を65wt%、ホホバ油を22wt%、スクワラン油を13wt%の重量比率で含有してなる化粧料A3、ツバキ油を70wt%、ホホバ油を27wt%、スクワラン油を3wt%の重量比率で含有してなる化粧料A4、ツバキ油を70wt%、ホホバ油を17wt%、スクワラン油を13wt%の重量比率で含有してなる化粧料A5、ツバキ油を60wt%、ホホバ油を32wt%、スクワラン油を8wt%の重量比率で含有してなる化粧料A6、ツバキ油を55wt%、ホホバ油を32wt%、スクワラン油を13wt%の重量比率で含有してなる化粧料A7、ツバキ油を50wt%、ホホバ油を37wt%、スクワラン油を13wt%の重量比率で含有してなる化粧料A8、ツバキ油を60wt%、ホホバ油を37wt%、スクワラン油を3wt%の重量比率で含有してなる化粧料A9、ツバキ油を60wt%、ホホバ油を22wt%、スクワラン油を18wt%の重量比率で含有してなる化粧料A10、ツバキ油を55wt%、ホホバ油を27wt%、スクワラン油を18wt%の重量比率で含有してなる化粧料A11、ツバキ油を50wt%、ホホバ油を27wt%、スクワラン油を23wt%の重量比率で含有してなる化粧料A12、ツバキ油を60wt%、ホホバ油を17wt%、スクワラン油を23wt%の重量比率で含有してなる化粧料A13を実際に皮膚に塗布した際の使用感、並びに、一定時間放置した後の使用感について評価を得た。
【0028】
試験方法は、10名の乾燥肌のモニターを用いた官能試験として、化粧料Aと、化粧料A2〜化粧料A13のそれぞれとの塗布直後の使用感(伸び、ベタつき)、並びに、塗布60分経過までの15分毎における使用感(馴染み、てかり)についてそれぞれ比較した評価を得た。なお、前記10名のモニターのうち5名は、本発明に係る化粧料の製造従事者であり、残りの5名は、一般的な消費者である。
前記試験方法におけるそれぞれの評価基準は以下の通りであり、評価結果を表3に示す。
5:化粧料Aと比べて非常に良い
4:化粧料Aと比べて良い
3:化粧料Aと同じ程度
2:化粧料Aと比べて悪い
1:化粧料Aと比べて非常に悪い
なお、表3においては、比較の便宜上、それぞれの化粧料A2〜A13に対する前記製造従事者のモニター5名による評価の平均値(表3中、上段参照)、及び前記一般的な消費者のモニター5名による評価の平均値(表3中、下段参照)のみを示している。
【表3】

【0029】
表3に示すように、化粧料Aと化粧料A2〜A13とを比較する官能試験による評価結果より、特に、化粧料A12及び化粧料A13は、ベタつき、伸び、馴染み、てかりについての評価が低くなっている。また、この化粧料A12及びA13は、スクワラン油の混合比率が23wt%と高く設定されている。この観点から見ると、ツバキ油、ホホバ油、スクワラン油の混合比率のうち、スクワラン油の混合比率が高い場合には、使用感において化粧料Aに劣るということを示している。言い換えれば、今回の官能試験によればスクワラン油の混合比率は、18wt%以下とすることが好ましいことを示している。
一方、ツバキ油及びホホバ油については、今回の官能試験によれば、それぞれツバキ油50wt%〜70wt%、ホホバ油17wt%〜37wt%の混合比率においても、使用感において化粧料Aに劣っておらず、これらの範囲内であれば良好な使用感を得ることができることを示している。
【0030】
また、以上の化粧料Aと化粧料A2〜A13とを比較する官能試験において、上述の使用感についての評価に加えて、化粧料Aと化粧料A2〜A13との外観、色調、香調についての評価を得た。
【表4】

【0031】
表4に示すように、化粧料A12及びA13において、香調について化粧料Aと異なる評価を得た。具体的には、これら化粧料A12及びA13について、スクワラン油の独特の香りが強いという評価であり、この観点からもツバキ油、ホホバ油、スクワラン油の混合比率のうち、スクワラン油の混合比率が高い場合には、香調において化粧料Aに劣るということを示している。言い換えれば、今回の官能試験によればスクワラン油の混合比率は、18wt%以下とすることが好ましいことを示している。
【0032】
以上のように、本発明に係る化粧料の実施の一形態である化粧料A2〜A11は、50wt%〜70wt%のツバキ油と、17wt%〜37wt%のホホバ油と、3wt%〜18wt%のスクワラン油と、からなるものである。
これによれば、本発明に係る化粧料の実施の一形態である化粧料Aと同等の使用感を得ることが可能となる。つまり、皮表脂質に類似する成分を補うことが可能となり、皮膚への浸透性に優れ、かつ、皮膚の水分保持に優れる化粧料を提供できる。
【実施例1】
【0033】
【表5】

次に、本発明に係る化粧料を用いて、表5に示すように、ツバキ油を55wt%、ホホバ油を25wt%、スクワラン油を11.9wt%を全体の重量比率で含有する化粧料Cを作成した。この化粧料Cの作成方法は、ツバキ油を55wt%、ホホバ油を25wt%、スクワラン油を11.9wt%を含有してなる混合料に、非水溶性増粘剤であるパルミチン酸デキストリンを8wt%、酸化防止剤であるトコフェロールを0.1wt%を公知の方法によって均一に混合してなるものである。なお、化粧料Cにおける、ツバキ油と、ホホバ油と、スクワラン油との混合比率は、4.62:2.10:1.0である。
本実施例における化粧料Cは、以上のような製造方法により、ゲル化された安定性の高いオイルジェルとして使用可能であり、本発明に係る化粧料を含有し、かつ、保存に適した形態を実現したものである。
【実施例2】
【0034】
【表6】

次に、本発明に係る化粧料を用いて、表6に示すように、ツバキ油を54.6wt%、ホホバ油を24.5wt%、スクワラン油を11.8wt%を全体の重量比率で含有する化粧料Dを作成した。この化粧料Dの作成方法は、ツバキ油を54.6wt%、ホホバ油を24.5wt%、スクワラン油を11.8wt%を含有してなる混合料に、非水溶性増粘剤であるパルミチン酸デキストリンを9wt%、酸化防止剤であるトコフェロールを0.1wt%を公知の方法によって均一に混合してなるものである。なお、化粧料Cにおける、ツバキ油と、ホホバ油と、スクワラン油との混合比率は、4.61:2.07:1.0である。
本実施例における化粧料Dは、以上のような製造方法により、ゲル化された安定性の高いオイルジェルとして使用可能であり、本発明に係る化粧料を含有し、かつ、保存に適した形態を実現したものである。
【実施例3】
【0035】
【表7】

次に、本発明に係る化粧料を用いて、表7に示すように、ツバキ油を54.0wt%、ホホバ油を24.2wt%、スクワラン油を11.7wt%を全体の重量比率で含有する化粧料Eを作成した。この化粧料Eの作成方法は、ツバキ油を54.0wt%、ホホバ油を24.2wt%、スクワラン油を11.7wt%を含有してなる混合料に、非水溶性増粘剤であるパルミチン酸デキストリンを10wt%、酸化防止剤であるトコフェロールを0.1wt%を公知の方法によって均一に混合してなるものである。なお、化粧料Cにおける、ツバキ油と、ホホバ油と、スクワラン油との混合比率は、4.61:2.06:1.0である。
本実施例における化粧料Eは、以上のような製造方法により、ゲル化された安定性の高いオイルジェルとして使用可能であり、本発明に係る化粧料を含有し、かつ、保存に適した形態を実現したものである。
【0036】
ここで、実施例1〜3においては、ツバキ油と、ホホバ油と、スクワラン油と、の重量比が、4.61〜4.62:2.06〜2.10:1.0からなる混合料を89.9wt%〜91.9wt%の重量比率で含有する化粧料C、D及びEのオイルジェルとしての実施形態を示したが、本発明に係る化粧料の実施形態は以上のようなオイルジェルに限定されず、前記混合料を0.01wt%含有し、残量を精製水、酸化防止剤、等で混合した化粧水、同じく1.0wt%含有し、残量を精製水、酸化防止剤、等で混合した美容液、同じく40wt%含有し、残量を精製水、酸化防止剤、等で混合したクレンジングオイル、同じく99.9wt%含有し、残量を精製水、酸化防止剤、等で混合したオイル等としての実施形態においても同様の効果が得られる。
なお、これらの実施形態は公知の製造方法によって実現されるので、本願明細書においてはその説明を省略する。
【0037】
【表8】

表8は、総脂質量が100μg/cm以上の部位での皮表脂質を採取し、その成分を適宜測定装置により分析して、当該皮表脂質に含まれるトリグリセライド、ワックスエステル、スクワレン、コレステロールエステル、及びコレステロールの平均重量比率をそれぞれ測定した結果である。
【0038】
なお、本発明における化粧料Aは、ツバキ油を60wt%、ホホバ油を27wt%、スクワラン油を13wt%の重量比率で含有したものであって、化粧料Aに用いたツバキ油、ホホバ油、スクワラン油はそれぞれ微量のコレステロールエステル及びコレステロールを含有する。このため、ツバキ油、ホホバ油、スクワラン油を、それぞれ60wt%、27wt%、13wt%の重量比率で含有することにより、表8に示す皮表脂質に極めて類似した成分比率の化粧料を実現したものである。
【0039】
以上のように、本実施形態においては、総脂質量が100μg/cm以上の部位での皮表脂質を採取し、その成分を適宜測定装置により分析して、当該皮表脂質に含まれるトリグリセライド、ワックスエステル、スクワレン、コレステロールエステル、及びコレステロールの平均重量比率をそれぞれ測定し、ツバキ油、ホホバ油、スクワラン油の重量比率を決定した。しかしながら、皮表脂質の成分分析方法については、これに限定されないことは言うまでもなく、例えば、乾燥肌のヒトの正常部位における皮表脂質の成分を測定し、この測定結果に基づいてツバキ油、ホホバ油、スクワラン油の重量比率を決定することができる。これにより、個別の皮脂特性に応じた対応が可能である。
また、実施例1〜3に示すように、上記のように決定された重量比率で混合された混合料を0.01wt%〜99wt%の重量比率で含んだ、オイルジェル、化粧水、美容液、クレンジングオイル等として実施することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
60wt%がツバキ油であり、27wt%がホホバ油であり、13wt%がスクワラン油である化粧料。
【請求項2】
ツバキ油と、ホホバ油と、スクワラン油と、の重量比が、4.61〜4.62:2.06〜2.10:1.0からなる混合料を0.01wt%〜99wt%の重量比率で含有する化粧料。
【請求項3】
50wt%〜70wt%がツバキ油であり、17wt%〜37wt%がホホバ油であり、3wt%〜18wt%がスクワラン油である化粧料。
【請求項4】
50wt%〜70wt%がツバキ油であり、17wt%〜37wt%がホホバ油であり、3wt%〜18wt%がスクワラン油である混合料を0.01wt%〜99wt%の重量比率で含有する化粧料。
【請求項5】
皮表脂質に含まれるトリグリセライドと、ワックスエステルと、スクワレンとの重量比率とそれぞれ同一の重量比率のツバキ油と、ホホバ油と、スクワラン油と、を含有してなる化粧料。
【請求項6】
皮表脂質に含まれるトリグリセライドと、ワックスエステルと、スクワレンとの重量比率とそれぞれ同一の重量比率のツバキ油と、ホホバ油と、スクワラン油と、を含有してなる混合料を0.01wt%〜99wt%の重量比率で含む化粧料。

【公開番号】特開2009−161506(P2009−161506A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98530(P2008−98530)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000107284)ジェクス株式会社 (26)
【Fターム(参考)】