説明

医療器具の離脱検知装置およびその製造方法

【課題】 人工透析治療や点滴治療などに使用される針を有する医療器具が人体から離脱したときにこれを検知できる使い捨てが可能な安価な離脱検知装置を提供する。
【解決手段】 合成樹脂材料などで形成されたシートを折り畳むことで離脱検知装置1が構成される。基体シート部2と保持シート部5,6との間の空間部25a,25bに、可動シート部4が挟みこまれている。可動シート部4から上方に変形部28が延び、変形部28の先の取付け部29が医療器具に固定される。針が人体に刺さった状態から医療器具が人体から離脱しようとすると、可動シート部4が空間部25a,25bから抜け出ようとする。このとき、基体シート部2と可動シート部4との間の接点が接触し、あるいは接点が離れて、離脱状態が検知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工透析治療や点滴治療または輸血治療などにおいて、医療器具に設けられた人体用針が人体から離脱したか否かを検知できる医療器具の離脱検知装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療器具の人体用針を人体の血管に刺し込んで治療を行うときは、人体用針が血管から抜き出ないように監視していることが必要である。人工透析治療では、動脈に刺し込まれる人体用針を有する医療器具と、静脈に刺し込まれる人体用針を有する医療器具とが、人体にテープなどで留められて使用されるが、これら人体用針が抜け出るの常に監視していることが必要である。特に、静脈に刺し込まれている人体用針が人体から離脱することがあると、動脈から体外に導いて処理した血液を静脈に戻せなくなり、重大な医療事故に繋がるおそれがある。
【0003】
また、点滴治療や輸血治療においても、患者の血管から人体用針が抜けないように監視することが必要である。
【0004】
以下の特許文献1に記載された監視装置は、先部に針を有する点滴用の管路に設けられた端子電極と、生体に取り付けた端子電極とを有しており、2つの端子電極の間に交流電力が与えられて、端子電極と輸液との間の容量結合と、導電路である輸液と人体との間で閉回路が構成されている。この閉回路の電流をモニターすることで、人体用針の離脱を検知できるようにしている。
【0005】
特許文献2に記載されたモニタリングシステムは、人体に刺し込まれた針と繋がる輸液ラインに電極が取り付けられ、この電極に監視手段が接続されている。建物内に設けられた商用交流電源線と生体との間に形成される静電容量を介して誘導される商用交流電源の周波数信号が、前記電極から取り出されて直流電圧に変換される。この直流電圧がしきい値と比較されることで、輸液ラインが人体から離脱したか否かを監視できるようにしている。
【0006】
特許文献3に記載された感知機構は、液体を人体内に輸送する経路に電子監視システムが配置されている。前記電子監視システムによって、前記経路の先部に設けられた針が流体と係合しているときと、針が離脱したときとでの、複合インピーダンスの変化が比較される。または、前記電子監視システムによって、前記経路の先部に設けられた針が流体と係合しているときと、針が離脱したときとでの、光学分光測定値の変化が比較される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−140092号公報
【特許文献2】特開2006−263018号公報
【特許文献3】特開2007−621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1,2,3に記載された装置は、いずれも大掛かりな電子回路を備えたものであり装置全体のコストが高くなる。また、針を人体に取り付ける度に、針や輸液ラインさらには人体に電極を取り付けることが必要であり、医療従事者にとって取り扱いに難しく、医療従事者の負担になる。
【0009】
また、検知方式が、人体や輸液を回路の導電路として使用したり、輸液の電気特性の変化を利用しているものであって、針が人体から離脱したか否かを、間接的な媒体を使用して検知しようとしている。そのため、監視動作の信頼性の点で満足できるものではない。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、固定側接点と可動側接点との接触状態を監視しているため、医療器具が人体に装着された状態か離脱したかを直接的に検知することができ、監視精度を高めることができる医療器具の離脱検知装置を提供することを目的としている。
【0011】
また、簡単な電子回路で監視動作を監視でき、使い捨てが可能で安価な構造とされた医療器具の離脱検知装置およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の医療器具の離脱検知装置は、人体に固定される基体シート部と、前記基体シート部に重ねられて固定され前記基体シート部との間に空間部を形成する保持シート部と、前記空間部に抜き出し可能に保持された可動シート部とを有し、
前記可動シート部に、人体用の針を有する医療器具を取り付ける取付け部が設けられており、
前記基体シート部に固定側接点が前記可動シート部に可動側接点が設けられ、前記医療器具が取り付けられた前記可動シート部が前記空間部から抜き出るときに、前記固定側接点と前記可動側接点とが非接触状態から接触状態に移行し、または前記固定側接点と前記可動側接点とが接触状態から非接触状態に移行することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の医療器具の離脱検知装置は、医療器具と一緒に動く可動シート部を設け、基体シート部と可動シート部との間での接点の接触または離脱を検知することで、医療器具の装着状態が監視されている。医療器具の動きが接点の状態に直接影響するために、医療器具の動きを直接に監視できることになり、検知精度を高めることが可能である。
【0014】
また、合成樹脂材料製や紙などのシートを主体として構成されているため、安価に製造でき、使い捨ても可能である。
【0015】
本発明は、前記可動シート部と前記取付け部との間に、前記可動シート部と前記取付け部との距離を変化させる変形部が設けられているものが好ましい。
例えば、前記変形部は、1枚のシートが折り畳まれて構成されている。
【0016】
上記変形部を設けることで、身体の動きに追従して人体用針および医療器具が少し動いたときに、その動きを変形部で吸収することができ、医療器具が少し動いただけで離脱状態であるかのような誤検知が発生するのを防止しやすくなる。
【0017】
本発明は、前記保持シート部が前記基体シート部と連続しており、前記保持シート部が前記基体シート部の上に折り畳まれ、前記保持シート部の一部が前記基体シート部に固定されて前記空間部が形成されているものである。
【0018】
また、前記基体シート部と前記可動シート部とが、撓み変形可能な連結シート部を介して連結されているものである。
【0019】
本発明は、前記固定側接点と前記可動側接点の少なくとも一方が形成されている箇所でシートが前記空間部内に向けて部分的に隆起成形されていることが好ましい。
【0020】
接点が設けられている部分でシートを隆起成形しておくと、前記固定側接点と前記可動側接点とを正確に接触させることができ、検知動作の精度を高めることができる。
【0021】
次に、本発明の離脱検知装置の製造方法は、表面に固定側接点を有する基体シート部と、前記基体シート部から延び出る保持シート部と、前記基体シート部から延び出て表面に可動側接点を有する可動シート部とを一体に形成し、
前記基体シート部と前記可動シート部とを、その表面どうしが対面するように折り曲げる工程と、
前記保持シート部を前記可動シート部の上に重ねるように折り畳む工程と、
前記保持シート部の一部を前記基体シート部に固定して、前記基体シート部と前記保持シート部との間に前記可動シート部を抜き出し自在に保持する空間部を形成する工程とを有し、
前記基体シートを人体の取付け可能とするとともに、前記可動シート部に、人体用の針を有する医療器具を取り付ける取付け部を形成し、
前記医療器具が取り付けられた前記可動シート部が前記空間部から抜き出されるときに、前記固定側接点と前記可動側接点とが非接触状態から接触状態に移行でき、または前記固定側接点と前記可動側接点とが接触状態から非接触状態に移行できるようにすることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の離脱検知装置の製造方法は、合成樹脂材料や紙などを主体とするシートを折り畳むことで組み立てられるので、組立コストを低減できる。
【0023】
本発明は、前記基体シート部から連続するシートまたは可動シート部から連続するシートを前記可動シート部の上面に固定するとともに、前記可動シート部の上で前記シートを折り畳んで、前記医療器具を取り付ける取付け部と、前記可動シート部と前記取付け部との距離を変化させる変形部とを形成するものとして実現できる。
【0024】
また、本発明の離脱検知装置の製造方法は、前記可動シート部を、前記基体シート部と前記保持シート部との間に挟みこんだ後に、前記可動シート部と前記基体シート部との境界部を切断する工程を含むものであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の医療器具の離脱検知装置は、医療器具の動きが、固定側接点と可動側接点との接触状態に直接に作用するため、医療器具が正常に装着されているか否かを直接的に監視でできる。また検知回路装置は、固定側接点と可動側接点との接触状態を監視すればよいため、回路構成も簡単である。
【0026】
また全体が合成樹脂や紙などを主体とするシートで形成されるため、低コストに製造でき、使い捨ても可能である。
【0027】
次に、本発明の離脱装置の製造方法は、合成樹脂などのシートを折り畳む作業だけで組み立てることができ、組立作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態の医療器具の離脱検知装置を示す斜視図、
【図2】第1の実施の形態の医療器具の離脱検知装置の展開状態を示す平面図、
【図3】図1のIII−III線の断面図、
【図4】本発明の第2の実施の形態の医療器具の離脱検知装置の展開状態を示す平面図、
【図5】本発明の第3の実施の形態の医療器具の離脱検知装置を示す斜視図、
【図6】本発明の第4の実施の形態の医療器具の離脱検知装置を示す斜視図、
【図7】第4の実施の形態の医療器具の離脱検知装置の展開状態を示す平面図、
【図8】図6に示す医療器具の離脱検知装置のVIII−VIII線の断面図、
【図9】第5の実施の形態の医療器具の離脱検知装置の展開状態を示す平面図、
【図10】医療器具の離脱検知装置の使用状態を示す説明図、
【図11】医療器具の離脱検知装置の取付け部の変形例を示す斜視図、
【図12】医療器具の離脱検知装置の取付け部および変形部の変形例を示す斜視図、
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の医療器具の離脱検知装置は、シート材を折り畳むことで構成される。以下に説明する実施の形態で使用されているシートは、厚さが0.5〜2.5mm程度の単層の合成樹脂フィルムであり、例えば単層のPETフィルムである。そして、シートどうしが溶接や接着で固定される。
【0030】
ただし、本明細書でのシートは、複数種類の樹脂材料がラミネートされた複合樹脂フィルムや合成樹脂フィルムとメッシュ状の樹脂シートとが積層されたラミネート材などであってもよい。あるいは、合成樹脂フィルムを主体とし、これと紙材とが積層されたラミネート材や、合成樹脂フィルムと金属箔とが積層されたラミネート材など、合成樹脂材料フィルムとそれ以外の材料とを複合させた複合材であってもよい。さらに、前記シートは、紙材であってもよい。この場合、シートは接着により互いに固定される。
【0031】
図1には、第1の実施の形態の医療器具の離脱検知装置1が示されており、図2に、前記離脱検知装置1を組み立てる前の展開シート1Aが示されている。
【0032】
展開シート1Aは、前記合成樹脂製のシートから形成されている。図2に示す展開シート1Aには、Y方向に長手方向が向けられた長方形状の基体シート部2と、基体シート部2の右側縁2aから延び出る連結シート部3と、連結シート部3の先部に連続する可動シート部4とが一体に形成されている。可動シート部4は、縦方向(Y方向)の長さ寸法が、基体シート部2の右側縁2aの長さ寸法とほぼ同じである。可動シート部4の横方向(X方向)の幅寸法は、基体シート部2の先端縁2bの幅寸法よりもやや短い。前記連結シート部3は横方向(X方向)と縦方向(Y方向)の両方向に延びた形状で撓み変形可能である。
【0033】
基体シート部2の左側縁2cから、横方向に一対の保持シート部5,6が連続して一体に延び出ている。保持シート部5と保持シート部6との間において、基体シート部2の左側縁2cから延長シート部7が一体に延び出ている。
【0034】
基体シート部2の基端縁2dに配線シート部8が一体に形成されている。配線シート部8は、横方向(X方向)の幅寸法が、基体シート部2の幅寸法よりも十分に短い。配線シート部8は縦方向(Y方向)に長い寸法を有しており、その先端部にコネクタ部9が一体に形成されている。コネクタ部9は、シートの幅寸法を配線シート部8の幅寸法よりもわずかに広げることで形成されている。
【0035】
図2に示すように、基体シート部2の表面(図において手前側に向けられている面)に、一対の固定側接点11,12が設けられている。固定側接点11と固定側接点12は、その中心が縦方向(Y方向)へ距離L1だけ離れて配置されている。基体シート部2の表面に、2つの固定側接点11,12を導通させる導通層13aが形成されている。配線シート部8の表面には、前記導通層13aと連続する配線層13bが形成されており、前記コネクタ部9には、配線層13bと連続するランド部13cが形成されている。
【0036】
図2に示すように、可動シート部4の表面(図において手前側に向けられている面)に、一対の可動側接点14,15が設けられている。可動側接点14と可動側接点15は、その中心が縦方向(Y方向)へ距離L2だけ離れて配置されている。可動側接点14と可動側接点15との距離L2は、固定側接点11と固定側接点2との距離L1よりも長くなっており、固定側接点11,12と可動側接点14,15とが、横方向(X方向)において同じ線上に位置しておらず、縦方向(Y方向)に位置がずれて配置されている。
【0037】
可動シート部4の表面に、2つの可動側接点14,15を導通させる導通層16aが形成され、導通層16aから配線層16bが連続している。配線層16bは、連結シート部3の表面と基体シート部2の表面に形成され、さらに配線シート部8の表面まで延びている。そして、前記コネクタ部9に、配線層16bと連続するランド部16cが形成されている。
【0038】
前記導通層13a,16aと配線層13b,16bは銅層で形成されており、固定側接点11,12と可動側接点14,15およびランド部13c,16cは銅層の表面に金層が積層されるなどして形成されている。
【0039】
基体シート部2と連結シート部3と可動シート部4および配線シート部8の表面に、レジスト層が塗布されている。このレジスト層は、固定側接点11が位置する領域17aと固定側接点12が位置する領域17b、および可動側接点14が位置する領域18aと可動側接点15が位置する領域18bを除いた領域に形成されている。すなわち、展開シート1Aの表面では、固定側接点11,12と可動側接点14,15およびランド部13c,16cが露出しており、それ以外の導通層13a,16aと配線層13b,16bがレジスト層で覆われて外気と絶縁されている。
【0040】
図3の断面図に示すように、基体シート部2では、固定側接点11が位置する領域17aと固定側接点12が位置する領域17bを構成するシートが、表面側へ部分的に隆起するようにプレス成形されている。同様に、可動シート部4では、可動側接点14が位置する領域18aと可動側接点15が位置する領域18bを構成するシートが、表面側へ部分的に隆起するようにプレス成形されている。
【0041】
次に、図2に示す展開シート1Aから図1に示す離脱検知装置1を組み立てる工程を説明する。
【0042】
連結シート部3を境として可動シート部4を基体シート部2の上に重ねるように折り畳む。そして、可動シート部4の可動側接点14,15を有する表面を、基体シート部2の固定側接点11,12を有する表面に対面させる。
【0043】
次に、保持シート部5,6を可動シート部4の背面の上に重ね、図1に示すように、保持シート部5と基体シート部2とを、右側部において溶接部21で互いに接合し、左側部において溶接部22で互いに接合する。同様に、保持シート部5と基体シート部2とを、右側部において溶接部23で互いに接合し、左側部において溶接部24で互いに接合する。
【0044】
これらの溶接部21,22,23,24は、ヒートシールや超音波シールなどの加熱手段で、シートどうしを熱融着させることで構成される。ただし、溶接部21,22,23,24の代わりに接着剤でシートどうしを固定してもよい。
【0045】
図1に示すように、基体シート部2と保持シート部5との間では、溶接部21と溶接部22とで挟まれた部分に空間部25aが形成される。同様に、基体シート部2と保持シート部6との間では、溶接部23と溶接部24とで挟まれた部分に空間部25bが形成される。可動シート部4の縦方向(Y方向)の両端部は、空間部25aと空間部25bの内部において、やや強く挟み込まれて且つ抜き出ることが可能な状態で保持されている。
【0046】
図2に示すように、可動シート部4に設けられた可動側接点14,15の中心間の距離L2は、基体シート部2に設けられた固定側接点11,12の中心間の距離L2よりも長くなっている。よって、図3に示すように、可動シート部4が基体シート部2の表面に重ねられた状態では、固定側接点11と可動側接点14とが接触しておらず、固定側接点12と可動側接点15とが接触していない。したがって、配線層13bと配線層16bは導通していない。
【0047】
図2に示すように、基体シート部2の左側縁2cから左方向へ延び出ている延長シート部7は、接合部27と変形部28と取付け部29とに区分される。
【0048】
図1に示すように、延長シート部7が、基体シート部2の左側縁2cに沿う折り曲げ線7aで折り曲げられて、接合部27が、保持シート部5と保持シート部6との間に位置している可動シート部4の背面に重ねられ、可動シート部4の背面と接合部27とが接着剤などで固定される。延長シート部7は、折り曲げ線7bで折り曲げられて変形部28が上方に向けて延び、さらに折り曲げ線7cで折られて、最上部に位置する取付け部29が形成される。折り曲げ線7b,7cが自由に曲がるヒンジ部となり、さらに変形部28が変形できるため、可動シート部4に固定された接合部27と取付け部29との高さ寸法を自由に変化させることができる。
【0049】
図10に医療器具30が示されている。医療器具30は、人工透析治療や点滴治療または輸血治療に使用されるものであり、硬質のパイプで形成された硬質部31と、その先部に取り付けられた人体用針32と、硬質部31から後方に延びる可撓性のパイプ34とを有している。
【0050】
医療器具30を人体40に装着する前に、離脱検知装置1の取付け部29が、両面接着テープなどを用いて、医療器具30の硬質部31の大径部33に接着固定される。また、離脱検知装置1の基体シート部2の下面には、予め両面接着テープとその粘着面を保護する離型シートが貼着されている。
【0051】
医療器具30の人体用針32を、人体40の腕や足などの動脈や静脈に刺し込むときに、または刺し込んだ直後に、離型シートを剥がし、両面接着テープによって、基体シート部2の背面を人体の肌面に接着固定する。そして、人体用針32が人体40に刺し込まれた刺込み部41を保護すべく、ガーゼなどの吸収体36を備えたテープ37を肌面に貼り付けて、人体用針32を人体40に押し付ける。また医療器具30の硬質部31の上を覆うテープ38を人体40の肌面に貼着させ、医療器具30を人体40に不用意に動かないように装着させる。
【0052】
離脱検知装置1のコネクタ部9を、検出回路装置のプラグに刺し込む。検出回路装置は、ランド部13cとランド部16cとが短絡するか否かを監視する回路を備えている。
【0053】
図10に示すように、医療器具30の人体用針32が刺し込まれて治療を行っている間に、人体40が動くことで、医療器具30と人体40の肌面との相対位置が変動しやすい。しかし、医療器具30の大径部33に固定されている取付け部29と、可動シート部4に固定されている接合部27との間に変形部28が自由状態で存在しているため、人体40の通常の動作によって医療器具30と人体40の肌面との相対位置が変動したとしても、その変動が変形部28の自由な動きに吸収されて、可動ベース部4が動きにくくなっている。
【0054】
人体40が必要以上に激しく動いたり、医療器具30に不測の外力が作用して、人体用針32が人体40から抜け出て、医療器具30が人体40から離脱しようとすると、大径部33に貼着されている取付け部29が引っ張られ、その力が変形部28から接合部27に伝達される。この動きによって、可動シート部4の中央部が、基体シート部2から上方へ引き上げられ、可動シート部4の縦方向の両端部の少なくとも一方が空間部25a,25bから抜け出る。
【0055】
可動シート部4の両端部の少なくとも一方が抜き出る過程で、可動側接点14が固定側接点11に接触し、および/または、可動側接点15が固定側接点12に接触し、配線層13bと配線層16bとが一時的に導通状態になる。検出回路装置では、この導通状態を検知したときに、アラーム音を発生し、アラーム用の発光装置を点滅させるなどして、異常が発生したことが医療従事者に伝達される。
【0056】
第1の実施の形態の離脱検知装置1は、固定側接点11,12と可動側接点14,15が2個ずつ設けられ、可動シート4において、持ち上げ力が作用する中央部を挟む両側にそれぞれが配置されている。そのため、医療器具30に固定された取付け部29が引かれて、可動シート部4の中央部が上向きに動いたときに、固定側接点11と可動側接点14および固定側接点12と可動側接点15の2つの組が個別に導通状態となる。導通状態が2箇所で発生するため、医療器具30が人体40から離れた状態を検知する精度を高めることができる。
【0057】
また、前記離脱検知装置1は、可動シート部4が基体シート部2に重ねられているときに、可動側接点14,15と固定側接点11,12とが離れており、配線層13bと配線層16bとが非導通状態である。そのため、医療器具30が人体40に正常に装着されているときに、離脱検知装置1に電流が流れることがなく、消費電力を低減させることができる。
【0058】
以下、本発明の他の実施の形態を説明する。以下で説明する他の実施の形態では、図1ないし図3に示した第1の実施の形態と同じ機能を発揮する部位に同じ符号を付して説明し、詳しい説明を省略することがある。
【0059】
図4に示す第2の実施の形態の離脱検知装置1Bは、基体シート部2、連けちシート部3、可動シート部4、保持シート部5,6、延長シート部7、配線シート部8およびコネクタ部9の展開形状が図2に示した第1の実施の形態の展開シート1Aと全く同じである。
【0060】
第2の実施の形態の離脱検知装置1Bと、図2に示す展開シート1Aとでは、接点の構造のみが相違している。
【0061】
図4に示す離脱検知装置1Bでは、基体シート部2の表面(図4において手前に向けられている面)に、1個の固定側接点51が設けられており、固定側接点51と連続する配線層52bが配線シート部8に形成されて、コネクタ部9のランド層52cに接続されている。可動シート部4の表面(図4において手前に向けられている面)に、1個の可動側接点53が設けられている。この可動側接点53から延びる配線層54bが、連結シート部3と基体シート部2の表面に延び、さらに配線シート部8の表面に延びている。そしてコネクタ部9のランド層54cに接続されている。
【0062】
図4に示す離脱検知装置1Bは、図1に示すのと同じ状態に折り畳まれて組み立てられる。可動シート部4が基体シート部2に重ねられると、可動側接点53が固定側接点51に重ねられて互いに導通した状態となる。
【0063】
この離脱検知装置1Bは、図10に示すように、医療器具30と人体40との間に装着される。医療器具30が人体40に正常に装着されているとき、可動シート部4の可動側接点53が、基体シート部2の固定側接点51に接触しているため、配線層52bと配線層54bは導通状態である。人体40に対して医療器具30が必要以上に移動し、医療器具30が人体40から離脱すると、医療器具30と共に可動シート部4が引き上げられ、固定側接点51と可動側接点53が離れて非導通状態となる。
【0064】
コネクタ部9が接続される検知回路装置では、ランド層52cとランド層54cとの導通が立たれたときに、医療器具30が人体40から離脱したと判断し、アラームを発生する。
【0065】
図4に示すように、正常時に、固定側接点51と可動側接点53とが接触して導通している構造では、可動シート部4が基体シート部2に重ねられたときに、固定側接点51と可動側接点53とを、少量の導電性接着剤を介して接着しておき、または固定側接点51と可動側接点53の近傍で、基体シート部2と可動シート部4とを少量の接着剤で接合しておくことが可能である。
【0066】
この構造では、正常時は、導電性接着剤や接着剤の接着力により、固定側接点51と可動側接点53との接触導通状態を安定させることができる。そして、医療器具30が不測の力で人体40から離れようとし、導電性接着剤や接着剤の接着力よりも強い力で可動シート部4が医療器具30と共に引き上げられると、固定側接点51から可動側接点53が離脱し、ランド層52cとランド層54cとが非導通状態となり、検知回路装置で、医療器具30が離脱状態となったことを検知できる。
【0067】
図5に示す第3の実施の形態の離脱検知装置1Cは、基体シート部2、連結シート部3、可動シート部4、保持シート部5,6および配線シート部8とコネクタ部9の形状および構造が、図2および図4に示した実施の形態と同じである。また、固定側接点と可動側接点の構造は、図2に示す実施の形態または図4に示す実施の形態と同じである。
【0068】
図5に示す離脱検知装置1Cでは、図2と図4に示す延長シート部7の代わりに独立したシート部7Cが使用されている。シート部7Cの基部の接合部67は、溶接部66によって可動シート部4の背面に接合固定されており、または接着剤によって可動シート部4の背面に固定されている。シート部7Cは接合部67から上方に延びる部分が3箇所で折られ、2枚の折れ片で構成される変形部68と、取付け部69とに区分されている。
【0069】
図1ないし図4に示した実施の形態は、接合部27と変形部28とを区分する折り曲げ線7bおよび変形部28と取付け部29を区分する折り曲げ線7cが縦方向(Y方向)と平行に延びているため、取付け部29に固定された医療器具30のX方向への移動を許容しやすくなっている。
【0070】
一方、図5に示す離脱検知装置1Cでは、接合部67と変形部68および取付け部69を区分する折り曲げ線が横方向(X方向)へ延びているので、取付け部69に固定された医療器具30のY方向への移動を許容できる。そのため、離脱検知装置1Cの基体シート部2を人体40の肌面に接着させた状態で人体用32を血管などに刺し込む動作のときに、変形部68が医療器具30のY方向への動きに追従しやすくなり、医療器具30を人体40に装着している治療行為中に、可動シート部4に必要以上の力が作用しなくなる。
【0071】
また、図5に示す離脱検知装置1Cにおいて、組立前に、取付け部69の端部69aと基体シート部2からの延長部2eとが連続しており、図5に示すように、シートが折り畳まれて組み立てられた後に、取付け部69の端部69aが、延長部2eから切断されて切り離されてもよい。
【0072】
図6に示す第4の実施の形態の離脱検知装置101は、図7に示す展開シート101Aを折り畳むことで組み立てられる。
【0073】
第4の実施の形態においても、図1ないし図4の実施の形態と同じ機能を発揮する部分は同じ符号を付し、詳しい説明を説明する。
【0074】
図7に示す展開シート101Aでは、長方形状の基体シート部2の左側縁2cから、保持シート部5,6が左方向へ向けて一体に突出形成されている。また基体シート部2の基端縁2dから配線シート部8が延び出ている。
【0075】
図7に示す展開シート101Aでは、基体シート部2の先端縁2bから連結シート部103が一体に延び出ており、この連結シート部103に可動シート部4が一体に連続して形成されている。可動シート部4の右側縁4aから延長シート部107が延長して一体に形成されている。延長シート部107は、折り曲げ線107aを境として可動シート部4から区分されている。延長シート部107は、可動シート部4に隣接する部分が接合部127であり、接合部127と変形部128とが折り曲げ線107bを境として区分され、変形部128と取付け部129とが折り曲げ線107dを境として区分されている。変形部128はその中央部に折り曲げ線107cが形成されている。
【0076】
図7に示す展開シート101Aを折り畳んで図6に示す離脱検知装置101が形成される。
【0077】
まず、折り曲げ線107aでシートを折り曲げて、延長シート部107を可動シート部4の背面(図7の紙面手前に向く表面と逆の面)に重ねて、延長シート部107の接合部127と可動シート部4とを溶接部によって固定する。または接着剤で固定する。さらに、延長シート部107を折り曲げ線107b,107c,107dで折り曲げて、図6に示すように、可動シート部4の背面側に、接合部127から立ち上がる変形部128と取付け部129とを形成する。
【0078】
次に、連結シート部103を折り曲げ線103aで折り曲げて、可動シート部4を、その表面が基体シート部2の表面に対面するように折り畳む。
【0079】
その後、保持シート部5と保持シート部6を基体シート部2の左側縁2cを境として折り曲げて、可動シート部4の背面側(図6の上方側)に保持シート部5と保持シート部6を重ねる。可動シート部4と重ならない両側部において、基体シート部2と保持シート部5とを、溶接部21と溶接部22とで接合して、基体シート部2と保持シート部5との間に、可動シート部4を挟みこむ空間部25aを形成する。また、基体シート部2と保持シート部6とを、溶接部23と溶接部24とで接合して、基体シート部2と保持シート部5との間に、可動シート部4を挟みこむ空間部25bを形成する。
【0080】
図6において破線で示すように、可動シート部4が基体シート部2に折り重ねられると、基体シート部2と可動シート部4よりも前方へ、連結シート部103が折り畳まれた状態で突出する。この連結シート部103を切断線Laで切断して除去することで離脱検知装置101が完成する。
【0081】
図6に示す離脱検知装置101では、可動シート部4が基体シート部2から分離されているため、図10に示すように、取付け部129が医療器具30に固定された使用状態で、医療器具30が人体40から外れたときに、可動シート部4が空間部25a,25bから抜け出やすくなる。
【0082】
図6と図7に示す離脱検知装置101の接点構造は以下の通りである。
図7に示すように、基体シート部2の表面に、2組の固定側接点111,112が設けられている。固定側接点111は、分離接点111aと分離接点111bが接近して配置されており、固定側接点112は、分離接点112aと分離接点112bが接近して配置されている。分離接点111aから配線層113aが延び、分離接点111bから配線層113bが延びている。分離接点112aから配線層114aが延び、分離接点112bから配線層114bが延びている。配線層113a,113b,114a,114bは、配線シート部8に沿って形成され、配線シート部8の先部に設けられるコネクタ部に形成されたランド部と個別に接続されている。
【0083】
可動シート部4の表面に、可動側接点114と可動側接点115が縦方向(Y方向)へ距離を空けて形成されている。図6に示すように組み立てられた離脱検知装置101では、可動側接点114が、固定側接点111を構成する2箇所の分離接点111a,111bの双方に接触し、可動側接点115が、固定側接点112を構成する2箇所の分離接点112a,112bに接触している。
【0084】
よって、離脱検知装置101が組み立てられた状態では、分離接点111aと分離接点111bが可動側接点114を介して導通され、配線層113aと配線層113bとが導通している。また、分離接点112aと分離接点112bが可動側接点115を介して導通され、配線層114aと配線層114bとが導通している。
【0085】
図7に示すように、可動シート部4では、可動側接点114が形成されている部分の2箇所に、表側に突出する円形の隆起部4b,4bが形成されている。一方、保持シート部5に一対の穴5a,5aが形成されている。その結果、図8に示すように、可動シート部4の隆起部4b,4bによって基体シート部2が部分的に穴5a,5aに向けて押し付けられる。穴5a,5aに対向する部分に分離接点111a,111bが設けられているので、可動側接点114が分離接点111aと分離接点111bに強く強く押し付けられ、可動側接点114を介して分離接点111aと分離接点111bとが確実に導通できるようになる。
【0086】
同様に、可動側接点115が形成されている部分でも隆起部4c,4cが2箇所に形成され、保持シート部6の2箇所に穴6a,6aが形成されている。隆起部4c,4cによって、基体シート部2が保持シート部6の穴6a,6a内に押し付けられ、可動側接点115が分離接点112aと分離接点112bの双方に密着させられている。
【0087】
この離脱検知装置101の取付け部129が医療器具30に固定され、医療器具30が人体40に装着されているときは、配線層113aと配線層113bとが導通状態を維持し、配線層114aと配線層114bとが導通状態を維持している。医療器具30に不測の外力が作用し、人体用針32が人体から抜け出て、医療器具30が人体40が分離しようとすると、可動シート部4が空間部25a,25bから抜け出て、可動側接点114と固定側接点111との導通と、可動側接点115と固定側接点112との導通の少なくとも一方が解消される。この状態が検知回路装置で監視されて、医療器具30が離脱したと検知されたときに、アラームが発生する。
【0088】
図6に示す離脱検知装置101は、延長シート部107の折り曲げ線107b,107c,107dが横方向(X方向)に延びているため、取付け部129が固定された医療器具30がY方向へ移動したときに、その移動が変形部128で許容されることになる。よって、人体用針32を人体40に刺し込む医療行為の際にその動きが変形部128の変形で吸収されやすい。また医療器具30が人体40に装着し続けている状態で、人体40の通常の動きによって医療器具30がY方向へ少し動いても、その動きが変形部128の変形で許容される。
【0089】
ただし、医療器具30に不測の外力が作用し、人体用針32が人体40から抜け出るほど医療器具30がY方向へ大きく動くと、可動シート部4が上方へ大きく引き出され、固定側接点111と固定側接点112の少なくとも一方が非導通状態となる。
【0090】
図9に示す第5の実施の形態の離脱検知装置101Bは、シートの展開形状が、図7に示す展開シート101Aと全く同じである。また、離脱検知装置101Bの接点構造は、基体シート部2の基端縁2d側にのみ1組の固定側接点112が設けられ、固定側接点112が、分離接点112aと分離側接点112bを有している。また可動シート部4では、連結シート部103が設けられているのと逆側の自由端側にのみ可動側接点115が設けられている。可動シート部4では、可動側接点115が形成された部分の2箇所に隆起部4c,4cが形成されており、一方の保持シート部6に穴6a,6aが開口している。
【0091】
図9に示す離脱検知装置101Bが組み立てられると、外観は図6に示す離脱検知装置101と全く同じである。ただし、可動シート部4に設けられた1箇所の可動側接点115が、1組の固定側接点112の分離接点112a,112bに接触して導通した状態となる。
【0092】
図9に示す離脱検知装置101Bは、組立後に連結シート部103を切断してもよいが、連結シート部103を切断せず、基体シート部2と可動シート部4とが連結シート部103を介して連結されたままの構造で使用することができる。この場合に、医療器具30が人体から離脱しようとして、可動シート部4が持ち上げられると、可動シート部4の可動側接点115を有する自由端部が基体シート部2と保持シート部6との間の空間部25aから抜け出て、可動側接点115が固定側接点112から離れ、分離接点112aと分離接点112bの導通が解除される。
【0093】
この離脱検知装置101Bは、基体シート部2と可動シート部4とが連結シート部103によって先端側で連結されているため、通常は可動側接点115と固定側接点112の相対位置がずれにくく、固定側接点112と可動側接点115との導通状態を維持しやすい。
【0094】
なお、前記実施の形態では、シートの一部で形成された取付け部29,129を、医療器具30の大径部33などに両面接着テープなどで固着していたが、取付け部の構造は前記実施の形態に限定されない。
【0095】
例えば、図11に示すように、延長シート部7の取付け部29に、さらに強固な取付け部229を固定してもよい。この取付け部229は合成樹脂材料で形成されて比較的大きな剛性を有してリング状に形成されている。この取付け部229に、医療器具30の硬質部31または大径部33を嵌着することで、離脱検知装置1が医療器具30に取り付けられる。
【0096】
また、図12に示すように、変形部228をシート部で形成するのではなく、ゴム材料や発泡樹脂材料など弾性変形可能な材料で形成し、変形部228の下端面を可動シート部4の背面に固着し、変形部228の上端に取付け部229を固定してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 離脱検知装置
1A 展開シート
1B 離脱検知装置
1C 離脱検知装置
2 基体シート
3 連結シート部
4 可動シート部
4b,4c 隆起部
5 保持シート
5a 穴
6 保持シート
6a 穴
7 延長シート部
7C シート部
8 配線シート部
9 コネクタ部
11,12 固定側接点
14,15 可動側接点
21,22,23,24 溶接部
25a,25b 空間部
27 接合部
28 変形部
29 取付け部
30 医療器具
32 人体用針
40 人体
51 固定側接点
53 可動側接点
67 接合部
68 変形部
69 取付け部
101 離脱検知装置
101A 展開シート
101B 離脱検知装置
103 連結シート部
111,112 固定側接点
111a,111b,112a,112b 分離接点
114,115 可動側接点
127 接合部
128 変形部
129 取付け部
228 変形部
229 取付け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に固定される基体シート部と、前記基体シート部に重ねられて固定され前記基体シート部との間に空間部を形成する保持シート部と、前記空間部に抜き出し可能に保持された可動シート部とを有し、
前記可動シート部に、人体用の針を有する医療器具を取り付ける取付け部が設けられており、
前記基体シート部に固定側接点が前記可動シート部に可動側接点が設けられ、前記医療器具が取り付けられた前記可動シート部が前記空間部から抜き出るときに、前記固定側接点と前記可動側接点とが非接触状態から接触状態に移行し、または前記固定側接点と前記可動側接点とが接触状態から非接触状態に移行することを特徴とする医療器具の離脱検知装置。
【請求項2】
前記可動シート部と前記取付け部との間に、前記可動シート部と前記取付け部との距離を変化させる変形部が設けられている請求項1記載の医療器具の離脱検知装置。
【請求項3】
前記変形部は、1枚のシートが折り畳まれて構成されている請求項2記載の医療器具の離脱検知装置。
【請求項4】
前記保持シート部が前記基体シート部と連続しており、前記保持シート部が前記基体シート部の上に折り畳まれ、前記保持シート部の一部が前記基体シート部に固定されて前記空間部が形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の医療器具の離脱検知装置。
【請求項5】
前記基体シート部と前記可動シート部とが、撓み変形可能な連結シート部を介して連結されている請求項4記載の医療器具の離脱検知装置。
【請求項6】
前記固定側接点と前記可動側接点の少なくとも一方が形成されている箇所でシートが前記空間部内に向けて部分的に隆起成形されている請求項1ないし5のいずれかに記載の医療器具の離脱検知装置。
【請求項7】
表面に固定側接点を有する基体シート部と、前記基体シート部から延び出る保持シート部と、前記基体シート部から延び出て表面に可動側接点を有する可動シート部とを一体に形成し、
前記基体シート部と前記可動シート部とを、その表面どうしが対面するように折り曲げる工程と、
前記保持シート部を前記可動シート部の上に重ねるように折り畳む工程と、
前記保持シート部の一部を前記基体シート部に固定して、前記基体シート部と前記保持シート部との間に前記可動シート部を抜き出し自在に保持する空間部を形成する工程とを有し、
前記基体シートを人体の取付け可能とするとともに、前記可動シート部に、人体用の針を有する医療器具を取り付ける取付け部を形成し、
前記医療器具が取り付けられた前記可動シート部が前記空間部から抜き出されるときに、前記固定側接点と前記可動側接点とが非接触状態から接触状態に移行でき、または前記固定側接点と前記可動側接点とが接触状態から非接触状態に移行できるようにすることを特徴とする離脱検知装置の製造方法。
【請求項8】
前記基体シート部から連続するシートまたは可動シート部から連続するシートを前記可動シート部の上面に固定するとともに、前記可動シート部の上で前記シートを折り畳んで、前記医療器具を取り付ける取付け部と、前記可動シート部と前記取付け部との距離を変化させる変形部とを形成する請求項7記載の離脱検知装置の製造方法。
【請求項9】
前記可動シート部を、前記基体シート部と前記保持シート部との間に挟みこんだ後に、前記可動シート部と前記基体シート部との境界部を切断する工程を含む請求項7または請求項8記載の離脱検知装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−81626(P2013−81626A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223633(P2011−223633)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】