説明

医療施設における二酸化炭素削減貢献度の表示システム

【課題】 リサイクル紙おむつを使用した場合のCO削減貢献度を集計等の人的手間を要することなく売り上げ処理をするだけで使用者別に容易に把握できるようにする。
【解決手段】 使用済みの紙おむつをリサイクル処理して製品化したリサイクル紙おむつの製品情報と紙おむつを使用する使用者情報とリサイクル紙おむつの使用者別の使用量情報とをコンピュータに記憶し、使用済みの紙おむつを焼却処分した場合の二酸化炭素の排出量値に相当する値を前記製品情報に二酸化炭素の削減量情報として付加し、二酸化炭素の削減量情報を使用量情報に基づいて使用者別に集計して表示する集計表示手段をコンピュータに設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療施設において使用済みの紙おむつをリサイクル処理して製品化したリサイクル紙おむつを使用した際に伴う二酸化炭素の削減貢献度を使用者別に集計して表示するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、紙おむつは子供・患者・身障者・介護老人において多量に使用されている。紙おむつにはパルプ・高分子吸収剤・不織布・ビニール等の各種素材が使用されており、使用後は廃棄物として焼却処分されている。この紙おむつの素材中、約80重量%をパルプが占めており、焼却処分した際に排出される二酸化炭素(以下COという)が地球環境の温暖化の一因ともなっている。
【0003】
これに対し、使用済みの紙おむつをリサイクル処理したリサイクル紙おむつが製品化され、実用に供している。このリサイクル紙おむつを使用することで、使用済みの紙おむつを焼却処分した場合のCOの排出量に相当する量のCOを削減できるというものである。
【0004】
ところで、リサイクル紙おむつを実際に使用したところで、どれほどのCOが削減できるのか使用者側としては分かり難いものであった。これは、使用済みの紙おむつを焼却処分した場合のCOの排出量情報やリサイクル紙おむつを使用した場合のCOの削減量情報が無いか又は公開されていないことや、それらの情報が有ったとしてもその都度集計するには膨大な人的手間を要してしまうことなどが原因と考えられる。
【特許文献1】特開2006−289154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、リサイクル紙おむつを使用した場合のCO削減貢献度を集計等の人的手間を要することなく売り上げ処理をするだけで使用者別に容易に把握できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 医療施設において使用済みの紙おむつをリサイクル処理して製品化したリサイクル紙おむつを使用した際に伴う二酸化炭素の削減貢献度を使用者別に集計して表示するシステムであって、リサイクル紙おむつの製品情報とリサイクル紙おむつを使用する使用者情報とリサイクル紙おむつの使用者別の使用量情報とをコンピュータに記憶し、使用済みの紙おむつを焼却処分した場合の二酸化炭素の排出量値に相当する値を前記製品情報に二酸化炭素の削減量情報として付加し、二酸化炭素の削減量情報を使用量情報に基づいて使用者別に集計して表示する集計表示手段をコンピュータに設けたことを特徴とする、医療施設における二酸化炭素削減貢献度の表示システム
2) 使用者毎に発行される請求書又は領収書に紙おむつの売上金額に応じた削減量情報を表記するようにした、前記1)記載の医療施設における二酸化炭素削減貢献度の表示システム
にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リサイクル紙おむつの製品情報にCOの削減量情報を付加したから、リサイクル紙おむつの使用時にその製品情報に付加されている削減量情報をコンピュータの集計表示手段で使用者別に集計して表示することで、集計等の人的手間を要することなくCOの削減量を売り上げ時点で容易に把握できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明では、COの削減量情報の集計結果は、コンピュータのディスプレイ装置に直接表示するか、あるいは使用者毎に発行される請求書又は領収書にリサイクル紙おむつの売上金額に応じた削減量情報を表記することができ、集計は使用者別だけでなく病棟別や月別など任意に分析される。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1〜5に示す実施例は、本発明のCO削減貢献度の表示システムを備えた医療施設向けのリサイクル紙おむつの物流管理システムの例である。図1は実施例の物流管理システムの説明図、図2は実施例のデータベースの説明図、図3は実施例のフロー、図4は実施例の請求書及び領収書を示す説明図、図5は実施例のCO削減量の推移を示す説明図である。
【0010】
図中、10は医療施設、11は情報端末、11aはクレイドル、12は携帯情報端末、13は管理サーバ、14はデータベース、14aは製品マスタ、14bは患者マスタ、14cは使用量マスタ、14dは在庫マスタ、15は院内ネットワーク、16はルーター、20は販売業者、21は製品情報サーバ、22はデータベース、22aは製品マスタ、22bは削減量情報、30はインターネット、40は請求書、50は領収書、60は削減量の推移である。
【0011】
本実施例のCO削減量集計システムは、図1に示すように医療施設10の病棟に配置される複数の情報端末11と、事務室に配置される管理サーバ13と、看護士が携帯して情報端末11を通じて管理サーバ13と情報の送受信を行う携帯情報端末12と、リサイクル紙おむつの販売業者20に配置される製品情報サーバ21とで構成され、複数の情報端末11と管理サーバ13とは院内ネットワーク15で接続され、管理サーバ13と製品情報サーバ21はルーター16を介してインターネット30に接続されている。
【0012】
管理サーバ13には、図2に示すようにリサイクル紙おむつの製品情報を示す製品マスタ14aと患者の個人情報を示す患者マスタ14bとリサイクル紙おむつの患者別使用量を示す使用量マスタ14cとリサイクル紙おむつの在庫量を示す在庫マスタ14dとで構成されたデータベース14と、リサイクル紙おむつを使用した際の請求書40・領収書50へのCOの削減量情報の表記及び発行と病棟別・月別・患者別の削減量情報の集計及び表示とを行うためのアプリケーション(図示せず)とが記憶されている。
【0013】
携帯情報端末12には、情報端末11を通じて管理サーバ13のデータベース14からの製品マスタ14a・患者マスタ14b・使用量マスタ14c・在庫マスタ14dの取り込みと、患者別のリサイクル紙おむつの使用量の入力とを行うためのアプリケーション(図示せず)とが記憶されている。情報端末11には、図1に示すように携帯情報端末12と接続するためのクレイドル11aが取り付けられている。
【0014】
製品情報サーバ21には、図2に示すようにリサイクル紙おむつの製品情報を示す製品マスタ22aで構成されたデータベース22が記憶され、製品マスタ22aにはそのリサイクル紙おむつを使用した場合のCOの削減量を示す削減量情報22bが付加されている。
【0015】
本実施例では、図3に示すように医療施設10からの発注で販売業者20がリサイクル紙おむつを医療施設10に納入し、医療施設10では、販売業者20の製品情報サーバ21から製品マスタ22aを管理サーバ13へ自動的に取り込んでデータベース14の製品マスタ14aを更新するとともに、納入されたリサイクル紙おむつを各病棟の棚に在庫し、入院した患者の個人情報をデータベース14の患者マスタ14bに登録する。
【0016】
病棟では、看護士が携帯情報端末12をクレイドル11aに装着して情報端末11を通じて管理サーバ13のデータベース14から患者マスタ14bと使用量マスタ14cと在庫マスタ14dを取り込み、看護士が棚に在庫されているリサイクル紙おむつを患者に使用し、その使用したリサイクル紙おむつの種類・数及び患者の情報を携帯情報端末12に入力し、携帯情報端末12をクレイドル11aに装着して情報端末11を通じて管理サーバ13のデータベース14の使用量マスタ14cと在庫マスタ14dを更新する。
【0017】
事務室では、図4に示すように管理サーバ13でリサイクル紙おむつを使用した患者別の請求書40及び領収書50を発行する。その際、その請求書40及び領収書50にデータベース14に取り込まれた削減量情報22bに基づいてリサイクル紙おむつの使用量に応じたCOの削減量を集計して表記する(右下の部分)。この請求書40及び領収書50で患者はCO削減の貢献度を把握する。また、図5に示すようにCOの削減量を病棟別などに集計して削減量の推移60を把握できるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、病院等の医療施設や老人センター等の福祉施設において、リサイクル紙おむつの使用に伴うCOの削減貢献度の把握に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例の物流管理システムの説明図である。
【図2】実施例のデータベースの説明図である。
【図3】実施例のフローである。
【図4】実施例の請求書及び領収書を示す説明図である。
【図5】実施例のCO削減量の推移を示す説明図である。
【符号の説明】
【0020】
10 医療施設
11 情報端末
11a クレイドル
12 携帯情報端末
13 管理サーバ
14 データベース
14a 製品マスタ
14b 患者マスタ
14c 使用量マスタ
14d 在庫マスタ
15 院内ネットワーク
16 ルーター
20 販売業者
21 製品情報サーバ
22 データベース
22a 製品マスタ
22b 削減量情報
30 インターネット
40 請求書
50 領収書
60 削減量の推移

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療施設において使用済みの紙おむつをリサイクル処理して製品化したリサイクル紙おむつを使用した際に伴う二酸化炭素の削減貢献度を使用者別に集計して表示するシステムであって、リサイクル紙おむつの製品情報とリサイクル紙おむつを使用する使用者情報とリサイクル紙おむつの使用者別の使用量情報とをコンピュータに記憶し、使用済みの紙おむつを焼却処分した場合の二酸化炭素の排出量値に相当する値を前記製品情報に二酸化炭素の削減量情報として付加し、二酸化炭素の削減量情報を使用量情報に基づいて使用者別に集計して表示する集計表示手段をコンピュータに設けたことを特徴とする、医療施設における二酸化炭素削減貢献度の表示システム。
【請求項2】
使用者毎に発行される請求書又は領収書に紙おむつの売上金額に応じた削減量情報を表記するようにした、請求項1記載の医療施設における二酸化炭素削減貢献度の表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−20771(P2009−20771A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183868(P2007−183868)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(300073414)ケア・ルートサービス株式会社 (7)
【Fターム(参考)】