説明

医療補助用粘着テープ

【課題】ポリオレフィン系不織布からなる支持体の片面にアクリル系粘着剤層が形成された構造を持ち、皮膚に対する粘着性、医療用具の固定性、及び重ね貼り部分の剥離防止性に優れた医療補助用粘着テープを提供すること。
【解決手段】ポリオレフィン系不織布からなる支持体の片面に、アクリル系粘着剤、アクリル系オリゴマー、及び粘着付与樹脂を含有する粘着剤層が形成された医療補助用粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系不織布からなる支持体の片面にアクリル系粘着剤層が形成されたタイプの医療補助用粘着テープに関する。本発明の医療補助用粘着テープは、例えば、ガーゼ、包帯、カテーテル、輸液チューブ、輸血チューブなどの固定、創傷の処置や保護、止血、手術部位の被覆など、医療の補助として使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
医療補助用粘着テープは、医療現場や家庭などでの治療の際に、例えば、脱脂綿、ガーゼ、包帯、カテーテル、輸血チューブ、シップ剤などを人体に固定するのに用いられている。医療補助用粘着テープは、一般に、支持体の片面に粘着剤層が形成された構造を有している。支持体としては、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチックフィルム類、和紙などの紙類、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステルなどの繊維からなる不織布などが用いられている。
【0003】
医療補助用粘着テープには、粘着性を利用した固定機能に加えて、貼付した皮膚面の動きに追随できる伸縮性、発汗により貼付部位に汗が溜まるのを防ぐための透湿性を有することが求められている。医療補助用粘着テープは、通常、所望の長さに切断して使用されるが、使い易さの観点から、手を用いて簡単に切断できる手切れ性を持つことが要求されている。
【0004】
支持体としてフィルム類を用いた医療補助用粘着テープは、一般に、伸縮性を有しているものの、手切れ性及び透湿性に劣っている。支持体として紙類を用いた医療補助用粘着テープは、一般に、手切れ性及び透湿性を有しているものの、伸縮性に欠けている。支持体として不織布を用いた医療補助用粘着テープは、透湿性に優れており、伸縮性も有しているが、一般に、手切れ性が不十分である。
【0005】
そこで、特開2002−360625号公報(特許文献1)には、穿孔処理したポリオレフィン系不織布からなる支持体の片面に粘着剤層を設けた皮膚貼付用粘着テープが提案されている。具体的に、特許文献1には、支持体の片面に粘着剤層が設けられた皮膚貼付用粘着テープにおいて、支持体がポリオレフィン不織布であり、該ポリオレフィン不織布には、貫通または非貫通の多数の微小孔が形成されており、かつ、各微小孔の周辺部の不織布繊維が溶融してフィルム状となっている皮膚貼付用粘着テープが開示されている。
【0006】
特許文献1には、アクリル酸イソノニル/アクリル酸メトキシノナエチレングリコール/メタクリル酸ノナエチレングリコール(83/16/1重量%)共重合体の溶液に、固形分100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤0.6重量部を添加した粘着剤溶液を用いて、ポリオレフィン不織布上に粘着剤層を形成した実施例が示されている。
【0007】
特許文献1に記載された皮膚貼付用粘着テープは、伸縮性及び透湿性に優れていることに加えて、穿孔処理により手切れ性が改善されているため、伸縮性及び透湿性に優れており、手切れ性が改善されているため、医療補助用粘着テープとして好適である。
【0008】
医療補助用粘着テープには、皮膚に対する粘着性や医療用具に対する固定性に優れるだけではなく、皮膚面から剥離する際に痛みや角質剥離を起こさないように、皮膚面に対する粘着性が過度に大きくならないように調整することが求められている。このような要求に対しては、例えば、アクリル系粘着剤にミリスチン酸イソプロピルなどの液状成分を配合する公知の方法(例えば、特許文献2)を採用すればよい。
【0009】
他方、医療補助用粘着テープは、重ね貼りして用いられることが多いため、重ね貼り部分の剥がれのないことが求められている。例えば、ガーゼや輸血チューブ、輸液チューブなどの医療用具を人の腕に固定するには、医療補助用粘着テープを重ね貼りして、これらを確実に固定する必要がある。この重ね貼りした部分が簡単に剥がれると、医療補助用粘着テープの固定機能が阻害される。しかし、本発明者らの検討結果によれば、ミリスチン酸イソプロピルなどの汎用の液状成分を含有するアクリル系粘着剤層は、自背面(ポリオレフィン系不織布の粘着剤層とは反対側の面)に対する粘着力が弱く、重ね貼りした部分に浮きや剥がれが生じやすいことが判明した。
【0010】
【特許文献1】特開2002−360625号公報
【特許文献2】特開平5−65460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、ポリオレフィン系不織布からなる支持体の片面にアクリル系粘着剤層が形成された医療補助用粘着テープであって、皮膚に対する粘着性、医療用具の固定性、及び重ね貼り部分の剥離防止性に優れた医療補助用粘着テープを提供することにある。
【0012】
本発明の他の課題は、前記の如き諸特性に優れることに加えて、経時により黄変することがない医療補助用粘着テープを提供することにある。
【0013】
さらに、本発明の課題は、穿孔処理されたポリオレフィン系不織布からなる支持体を有し、手切れ性にも優れた医療補助用粘着テープを提供することにある。
【0014】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、アクリル系粘着剤に、ミリスチン酸イソプロピルなどの従来の液状成分に代えてアクリル系オリゴマーを配合し、さらに粘着付与樹脂をも配合した粘着剤組成物により、ポリオレフィン系不織布の片面に粘着剤層を設けることにより、前記諸特性に優れた医療補助用粘着テープの得られることを見出した。粘着付与樹脂として、水素添加芳香族変性テルペン樹脂を使用すると、経時による黄変をより効果的に防ぐことができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、ポリオレフィン系不織布からなる支持体の片面に、アクリル系粘着剤、アクリル系オリゴマー、及び粘着付与樹脂を含有する粘着剤層が形成された医療補助用粘着テープが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、皮膚に対する粘着性、医療用具の固定性、及び重ね貼り部分の剥離防止性に優れた医療補助用粘着テープが提供される。また、本発明によれば、経時黄変が防止された医療補助用粘着テープが提供される。さらに、本発明によれば、前記諸特性に優れることに加えて、手切れ性が良好な医療補助用粘着テープが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明では、支持体としてポリオレフィン系不織布を使用する。ポリオレフィン系不織布を支持体として用いることにより、伸縮性、透湿性などが良好な医療補助用粘着テープを得ることができる。それに加えて、ポリオレフィン不織布の背面(粘着剤層とは反対側の面)に、特開2002−360625号公報(特許文献1)に開示されているような穿孔処理を施すことにより、手切れ性を改善することができる。しかも、ポリオレフィン系不織布の背面を穿孔処理することにより、剥離剤を塗布しなくても、適度の剥離性を発揮することができる。
【0018】
ポリオレフィン系不織布としては、ポリオレフィン系繊維を用いて製造された不織布であれば特に限定されない。ポリオレフィン系不織布の製造方法は、特に限定されず、湿式法、乾式法、その他の方法を採用することができる。乾式法には、繊維ウェブを接着剤で結合するケミカルボンド法、自己接着または接着繊維で結合するサーマルボンド法などがある。その他の製造方法としては、スパンボンド法やメルトブローン法、ニードルパンチ法などがある。これらの不織布の製造方法の中でも、スパンボンド法が好ましい。
【0019】
スパンボンド法では、一般に、シャワーのノズルに似た細い穴を多数有する紡糸口金から多数のフィラメントを押し出し、それを走行するベルト上に集めてウェブとする。高温状態のフィラメントは、フィラメント同士が互いに熱融着して不織布を形成する。熱融着に際し、エンボス加工することが望ましい。該フィラメントは、通常、連続フィラメントである。
【0020】
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、これらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレンまたはポリプロピレンを主成分として含有するブレンド物(例えば、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド物)が好ましい。
【0021】
ポリオレフィン系不織布の坪量は、好ましくは20〜250g/m、より好ましくは25〜75g/mである。ポリオレフィン系不織布の厚さは、好ましくは0.15〜0.90mm、より好ましくは0.18〜0.60mmである。ポリオレフィン不織布の坪量や厚さを上記範囲内とすることによって、医療補助用粘着テープに求められる強度、通気性(透湿性)、風合い、伸縮性などを高度にバランスさせることができ、コスト面でも有利である。
【0022】
本発明で使用するアクリル系粘着剤は、アルキル基の炭素数が通常1〜18、好ましくは4〜12のアクリル酸アルキルエステルを主成分とするアクリル酸エステル共重合体である。
【0023】
アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
【0024】
これらのアクリル酸エステルは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのアクリル酸エステルの中でも、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、及びアクリル酸イソノニルが好ましい。
【0025】
アクリル酸エステル共重合体は、モノマーとしてアクリル酸エステルを主成分とする共重合体であって、それによって、アクリル系粘着剤としての特性を発揮することができる。アクリル酸アルキルエステルの共重合割合は、好ましくは60〜95重量%、より好ましくは65〜90重量%である。
【0026】
アクリル酸アルキルエステルと共重合するコモノマーとしては、官能基を有するビニルモノマーが好ましい。その具体例としては、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基を有するアクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノブチル等のカルボキシル基を有するビニルモノマー;アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド基を有するビニルモノマー;ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノ基を有するビニルモノマー;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基を有するビニルモノマー;N−ビニルピロリドン等のピロリドン環を有するビニルモノマー;アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチルなどのアクリル酸アルコキシアルキルエステル;などが挙げられる。
【0027】
これらの官能基を有するモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。アクリル酸エステル共重合体中の官能基を有するモノマーの共重合割合は、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは5〜35重量%である。
【0028】
その他のコモノマーとして、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等のメタアクリル酸アルキルエステル;酢酸ビニル等のビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;スチレン等のビニル芳香族化合物;などが挙げられる。
【0029】
その他のコモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。アクリル酸エステル共重合体中のその他のモノマーの共重合割合は、好ましくは0〜30重量%である。
【0030】
本発明で使用するアクリル系粘着剤は、アルキル基の炭素数が4〜12のアクリル酸アルキルエステル60〜95重量%、アクリル酸アルコキシアルキルエステル4〜35重量%、及びカルボキシル基含有ビニルモノマー1〜5重量%の共重合体が好ましく、炭素数4〜12のアクリル酸アルキルエステル65〜90重量%、アクリル酸アルコキシアルキルエステル9〜34重量%、及びカルボキシル基含有ビニルモノマー1〜3重量%の共重合体がより好ましい。このようなアクリル系共重合体を粘着剤の基剤として用いることにより、皮膚粘着性、固定機能などを高度にバランスさせることができる。これらの共重合体は、架橋可能な官能基を有するアクリル系共重合体である。
【0031】
アクリル系粘着剤の重量平均分子量は、好ましくは300,000〜1,000,000、より好ましくは450,000〜650,000である。アクリル系粘着剤の重量平均分子量を上記範囲内とすることによって、凝集性、粘着性、他成分との混合作業性、他成分との親和性などをバランスさせることができる。アクリル系粘着剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により、標準ポリスチレン換算値として求めた値である。
【0032】
アクリル酸エステル共重合体は、一般に、ラジカル重合させることにより合成することができる。重合法としては、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法などが挙げられるが、良好な粘着特性が得られ易い点で、溶液重合法が好ましい。重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤;などが挙げられる。全モノマーに対して、0.1〜3重量%程度の割合でラジカル重合開始剤を加え、窒素気流下、40〜90℃程度の温度で、数時間から数十時間撹拌して共重合させる。溶液重合法では、溶媒として、酢酸エチル、アセトン、トルエン、これらの混合物などが汎用されている。
【0033】
アクリル系粘着剤の凝集力を増大させるために、各種架橋剤を用いることができる。架橋剤としては、多官能イソシアネート化合物、多官能エポキシ化合物、多価金属塩などが挙げられる。アクリル系粘着剤に架橋剤を添加する場合、その使用割合は、アクリル系粘着剤100重量部に対して、好ましくは0.01〜3重量部、より好ましくは0.02〜2重量部、特に好ましくは0.03〜1重量部である。架橋剤の使用割合が過小であると、凝集力の向上効果が小さくなり、過大であると凝集力が増大しすぎる。
【0034】
本発明では、アクリル系粘着剤にアクリル系オリゴマーを配合する。アクリル系オリゴマーの数平均分子量は、好ましくは500〜50,000、より好ましくは800〜20,000、特に好ましくは1,000〜10,000である。アクリル系オリゴマーの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により、標準ポリスチレン換算値として求めた値である。
【0035】
アクリル系オリゴマーは、常温(25℃)で液状であることが好ましく、その25℃での粘度(B型粘度計で測定)は、好ましくは300〜15,000mPa・s、より好ましくは350〜10,000mPa・sである。示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したアクリル系オリゴマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−70℃から−10℃の範囲である。アクリル系オリゴマーが、前記の数平均分子量と諸特性を有することにより、アクリル系粘着剤との相溶性に優れている。
【0036】
アクリル系オリゴマーは、一般に、アルキル基の炭素数が1〜18、好ましくは2〜14、より好ましくは4〜10のアクリル酸アルキルエステル及び/またはメタクリル酸アルキルエステル(以下、「アクリル系モノマー」という)を重合して得られる低分子量アクリル系ポリマーである。アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ノニルなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸ノニルなどのメタクリル酸アルキルエステル;が挙げられる。
【0037】
アクリル系オリゴマーは、ラウリルメルカプタンやメルカプトエタノールなどの連鎖移動剤を用いてアクリル系モノマーを単独重合または共重合することにより合成することができる。近年では、連鎖移動剤を使用せずに、アクリル系モノマーを高温・高圧で連続塊状重合することにより、低分子量かつ低粘度のアクリル系オリゴマーを製造する技術が開発されている。アクリル系オリゴマーは、官能基を含有するモノマーと共重合して、水酸基やカルボキシル基、グリシジル基などの官能基を導入したものであってもよいが、通常は、無官能オリゴマーが好ましい。
【0038】
アクリル系オリゴマーとして、市販品を用いることができる。このような市販品としては、ジョンソンポリマー株式会社が販売しているJDX−Pシリーズが挙げられる。具体的には、JDX−P1000(分子量=3,000、粘度=1,000mPa・s、Tg=−60℃)、JDX−P1010(分子量=1,500、粘度=4,000mPa・s、Tg=−32℃)、JDX−P1020(分子量=1,500、粘度=400mPa・s、Tg=−66℃)、JDX−P1030(分子量=4,000、粘度=10,000mPa・s、Tg=−57℃)、JDX−P1060(分子量=2,200、粘度=900mPa・s、Tg=−59℃)、JDX−P1070(分子量=2,000、粘度=3,800mPa・s、Tg=−43℃)等が挙げられる。
【0039】
本発明では、アクリル系粘着剤に対して、アクリル系オリゴマーとともに、粘着付与樹脂を配合する。粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン、水添ロジン、水添ロジンエステルなどのロジン系樹脂;テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添芳香族変性テルペン樹脂などのテルペン系樹脂;C系石油樹脂、C系石油樹脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂環族系水添石油樹脂、クマロン・インデン樹脂などが挙げられる。
【0040】
これらの粘着付与樹脂の中でも、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添芳香族変性テルペン樹脂などのテルペン系樹脂が好ましく、経時黄変が抑制される点で、水添テルペン樹脂及び水添芳香族変性テルペン樹脂がより好ましく、水添芳香族変性テルペン樹脂が特に好ましい。芳香族変性テルペン樹脂は、芳香族モノマーとテルペンモノマーとを共重合して得られる樹脂である。水添芳香族変性テルペン樹脂は、芳香族変性テルペン樹脂を水素添加して得られる樹脂である。水添芳香族変性テルペン樹脂は、粘着付与効果が良好であることに加えて、色相が無色透明であり、熱安定性や耐候性にも優れているので、本発明の用途に特に好ましい。
【0041】
本発明では、ポリオレフィン系不織布からなる支持体の片面に、アクリル系粘着剤、アクリル系オリゴマー、及び粘着付与樹脂を含有する粘着剤組成物からなる層を形成して医療補助用粘着テープを作製する。粘着剤組成物における各成分の配合割合は、アクリル系粘着剤100重量部に対して、アクリル系オリゴマーが好ましくは5〜30重量部、より好ましくは7〜25重量部、特に好ましくは10〜20重量部であり、粘着付与樹脂が好ましくは5〜25重量部、より好ましくは7〜20重量部、特に好ましくは10〜15重量部である。アクリル系粘着剤は、一般に凝集力が乏しく、剥離時に皮膚表面に粘着剤が残留することがあるので、多官能性化合物からなる架橋剤を粘着剤組成物に添加して架橋を施すことが好ましい。そのため、粘着剤組成物には、前述の架橋剤を含有させることが好ましい。
【0042】
本発明において、アクリル系オリゴマーを使用する理由は、アクリル系粘着剤層の皮膚面に対する粘着性が過度に大きくならないようにすることに加えて、粘着テープを重ね貼りしたときに、重ね貼り部分の浮きや剥がれを防止する効果が顕著であるためである。
【0043】
粘着テープのアクリル系粘着剤層がミリスチン酸イソプロピルなどの汎用の液状成分を含有していると、皮膚面に対する粘着性が適度に調整され、医療用具に対する固定機能も発揮する。しかし、この粘着テープは、重ね貼りすると、自背面に対する粘着性が不十分なために、浮きや剥がれが生じやすい。ミリスチン酸イソプロピルなどの汎用の液状成分は、アクリル系粘着剤との相溶性が不十分である。そのため、粘着テープのアクリル系粘着剤層が、例えば、ミリスチン酸イソプロピルを含有していると、該粘着剤層の表面にミリスチン酸イソプロピルの薄い層が形成されて、粘着テープの自背面(ポリオレフィン系不織布の表面)に対する粘着性が大きく低下すると推定される。
【0044】
これに対して、アクリル系オリゴマーは、一般に、液状ではあるものの、アクリル系粘着剤に対する相溶性に優れており、ミリスチン酸イソプロピルなどの汎用の液状成分のように、粘着剤層の表面に薄い膜を形成して、自背面に対する粘着性を大きく低下させることがない。アクリル系オリゴマーは、アクリル系粘着剤に対する相溶性に優れているものの、粘着テープの粘着力や保持力などの粘着特性が医療補助用粘着テープに求められる水準に保持することができる。
【0045】
アクリル系粘着剤に粘着付与樹脂を配合することにより、医療補助用粘着テープに求められる皮膚に対する粘着性や医療用具に対する固定機能を十分に発揮させることができる。
【0046】
アクリル系オリゴマーの配合割合が過小であったり、過大であったりすると、粘着テープの自背面粘着力が低下傾向を示す。粘着付与樹脂の配合割合が少なすぎると、粘着特性(粘着力、保持力)の改善効果が小さく、大きすぎると、アクリル系粘着剤との相溶性が低下し、粘着特性が低下傾向を示す。
【0047】
アクリル系粘着剤としては、所定量の各モノマーを有機溶媒中に溶解し、窒素置換後、昇温下攪拌し、過酸化物等の反応開始剤を使用して重合させ、次いで、そのままあるいは有機溶剤にて希釈したものを用いることができる。アクリル系オリゴマー及び粘着付与樹脂は、アクリル系粘着剤溶液に添加する。アクリル系粘着剤は、透湿性や通気性を改善するために、粘着剤層形成工程において、粘着剤中に微細な気泡を含有させてもよい。
【0048】
ポリオレフィン系不織布からなる支持体への粘着加工では、先ず、シリコーン樹脂などの剥離性物質を紙基材に塗布した剥離紙上に、粘着剤組成物溶液を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成する。次いで、剥離紙上の粘着剤層をポリオレフィン系不織布の表面に貼り合わせて、粘着剤層をポリオレフィン系不織布上に転写する。剥離紙は、工程の適当な段階で除去する。粘着テープは、最終工程で粘着剤層がポリオレフィン系不織布の背面に重なるようにロール状に巻き取り、粘着テープ原反とする。粘着テープ原反は、通常、ロール状に巻き取る前、あるいはロール状に巻き取った後に、所定の幅となるように裁断する。粘着剤の塗布厚みは、乾燥後で、通常20〜100μm、好ましくは30〜70μmである。
【0049】
ポリオレフィン系不織布は、予めエンボス加工を施しておくことが好ましい。エンボス加工は、公知の装置及び方法を採用することができる。エンボス加工法としては、例えば、ポイント加熱圧着法を採用することができる。エンボス加工により、1cm当り10個以上の熱融着点を形成させると、不織布の強度を補うこともできる。エンボス加工により、支持体となる不織布の背面(粘着剤層を形成する面とは反対側の面)に多数の微細な凹凸を形成する。このような微細な凹凸を形成するには、例えば、表面に凹凸模様を形成したエンボスロールとアンビルロールとを対向させ、両ロール間に不織布を通し、加熱下に押圧処理する方法を採用することが好ましい。
【0050】
エンボスパターンとしては、不織布のエンボスロールが接触する面とは反対側の面に多数の微細な凹凸が生じる形状のものであれば特に限定されず、例えば、格子状パターン、多数の短線を千鳥状に配置したパターン、多数の短線を縦横に組み合わせたパターン、小さな円形を多数配置したパターンなどがある。これらのエンボスパターンの中でも、交差する稜線(凸条)により画定された多数の凹部を有する格子状パターンが好ましい。稜線の線幅は、150〜600μmで、稜線の間隔(凹部の幅)は、0.5〜1.5mmで、凹部の深さは、50〜400μmが好ましい。支持体となる不織布の背面に浮き出した凸部(稜線など)の総面積は、不織布の全面積の通常50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下であることが望ましい。凹部の総面積の下限は、好ましくは5%、より好ましくは10%程度である。エンボスパターンが存在すると、粘着テープのロールからの巻き戻し性と重ね貼り性とのバランスが良好となる。このようなエンボス加工については、特開2004−229830号公報に詳細に説明されており、当該公報の開示を本件明細書で援用する。
【0051】
本発明では、ポリオレフィン系不織布からなる支持体の片面に粘着剤層を設けた粘着テープの支持体面側(背面側)に、穿孔処理を施すことが好ましい。より具体的に、特開2002−360625号公報(特許文献1)に開示されているような穿孔処理を施すことにより、手切れ性を改善することができる上、剥離剤を塗布しなくても、適度の剥離性を発揮することができる。剥離性は、穿孔処理とエンボス加工を組み合わせることによって、さらに改善することができる。しかも、本発明の粘着テープは、このような背面に対する粘着性が適度に保持されており、重ね貼りをしても、浮きや剥がれを生じ難い。
【0052】
粘着テープのポリオレフィン系不織布側から穿孔処理を行うには、多数の突起を備えた穿孔手段を、該突起の温度をポリオレフィンの融点前後の温度に加熱しながらポリオレフィン系不織布表面から圧着して、該ポリオレフィン不織布を貫通するか、あるいは非貫通の多数の微小孔を形成する。この方法を熱穿孔法と呼ぶ。この熱穿孔法によって、各微小孔の周辺部の不織布繊維(典型的には、フィラメント)が溶融してフィルム状になる。
【0053】
穿孔手段としては、例えば、表面に多数の突起を設けた穿孔ロールを用いることが、連続生産を行う上で好ましい。穿孔ロールの内部には、ヒータまたは熱媒を内蔵させて、突起及び穿孔ロール表面の温度を制御する。この他、多数の突起を設けたエンドレスベルトを用いてもよい。穿孔は、ポリオレフィン系不織布を支持体とする医療補助用粘着テープに対して連続的に行うことが好ましい。微小孔の形成方法としては、粘着テープ原反の繰り出し部と巻き取り部の途中に、穿孔ロールと加圧ロールとを対向して配置して、両ロールの接触面間に粘着テープ原反を通し、連続的に熱穿孔する方法が好ましい。熱穿孔は、剥離紙を除去してから行うことができるが、剥離紙が付着したままで行ってもよい。粘着剤層の表面に剥離紙が存在すると、熱穿孔時、剥離紙がクッション材として作用する。
【0054】
穿孔ロール等の穿孔手段の表面に設ける突起の形状は、特に限定されないが、支持体に形成される各微小孔が、引裂かれる方向にある両端部が鋭角または鈍角である孔形状(角のある孔形状)を有するに至るような突起形状とすることが望ましい。引裂かれる方向は、粘着テープまたは支持体の幅方向であることが好ましい。
【0055】
突起の底面は、最長部分の長さが好ましくは0.3〜2mm、より好ましくは0.5〜1mmで、高さが好ましくは0.2〜1.5mm、より好ましくは0.3〜1mm程度である。突起が四角錘の場合、四角形の底面の各対角線長さは、好ましくは0.3〜2mm、より好ましくは0.5〜1mmから選択され、高さは、好ましくは0.2〜1.5mm、より好ましくは0.3〜1mmから選択される。横列における各突起間の間隔(ピッチ)及び各横列間の間隔(ピッチ)は、いずれも、好ましくは0.3〜10mm、より好ましくは0.5〜8mm程度である。
【0056】
本発明の医療補助用粘着テープは、通常、対ステンレス粘着力が0.50〜2.50N/25mm、対ポリプロピレン粘着力が0.50〜2.00N/25mm、保持力が0.1〜0.4mmの粘着特性を有している。本発明の医療補助用粘着テープは、自背面粘着力が0.70N/25mm以上、好ましくは0.90〜1.35N/25mm、より好ましくは0.95〜1.30N/25mmである。
【0057】
本発明の医療補助用粘着テープは、該粘着テープをロール状に巻き取った形態で、乾熱雰囲気下、温度100℃で3日間の強制劣化試験を行い、該試験後の色調を目視にて観察したとき、黄変がなく、白色を維持していることが好ましい。本発明の医療補助用粘着テープは、後記する実用試験において、重ね貼り部分に浮きや剥がれが生じ難いものである。
【0058】
本発明の医療補助用粘着テープは、ポリオレフィン系不織布を支持体とするものであるため、透湿性及び伸縮性が良好であり、穿孔処理品は、手切れ性にも優れている。
【実施例】
【0059】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明する。物性及び特性の測定法は、次のとおりである。
【0060】
(1)分子量
アクリル系粘着剤の重量平均分子量及びアクリル系オリゴマーの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により、標準ポリスチレン換算値として求めた値である。
【0061】
(2)自背面粘着力
JIS Z 0237に規定されている180度引き剥がし法により、粘着テープの自背面粘着力を測定した。具体的には、幅25mmに裁断した粘着テープ(試験片)を、粘着面を下側にして、同じ粘着テープ試料の背面(支持体表面)に対してローラにより圧着し、該試験片の遊び部分を180度に折り返して、剥離速度300mm/分で、180度引き剥がし粘着力(自背面粘着力)を測定した。測定雰囲気は、温度23±2℃、相対湿度65±5%とした。自背面粘着力が0.70N/25mm以上であれば、粘着テープの実際の使用時において、重ね貼り部分が身に付けている衣類との擦れ等により剥がれたり、重ね貼り部分の端部に浮きが生じたりすることが十分に抑制される。
【0062】
(3)対ステンレス粘着力
JIS Z 0237に規定されている180度引き剥がし法により、幅25mmの粘着テープのステンレスに対する粘着力を測定した。剥離速度は、300mm/分とした。測定雰囲気は、温度23±2℃、相対湿度65±5%とした。
【0063】
(4)対PP粘着力
JIS Z 0237に規定されている180度引き剥がし法により、幅25mmの粘着テープのポリプロピレンパネルに対する粘着力を測定した。剥離速度は、300mm/分とした。測定雰囲気は、温度23±2℃、相対湿度65±5%とした。
【0064】
(5)保持力
JIS Z 0237に規定されている測定法により、幅25mmの粘着テープの保持力を測定した。試験板に粘着テープ試験片の25mm×25mmの面積が接触するように貼り付け、ローラで圧着後、試験板の一端を留め金で止めて、粘着テープ試験片が垂直に垂れ下がるようにし、その下端に所定の荷重をかけて予め予定された時間後のずれた距離(mm)を測定した。ローラ質量=2000±50g、圧着速さ=300mm/分、圧着回数=1往復、圧着後の放置時間=30分、荷重=200gfとした。測定雰囲気は、温度23±2℃、相対湿度65±5%とした。
【0065】
(6)実用試験
直径6mmの人工腎臓用血液回路を人の前腕部に載置し、部分的に重ね合わせた2枚の粘着テープで皮膚面に固定した。具体的には、図1に示すように、人の前腕部に載置した人工腎臓血液回路2の上から、幅25mmの粘着テープ11を貼付し、該粘着テープ11の背面上に、同じ幅25mmの粘着テープ12の粘着面を、10mmの部分13が重なるように貼付して、該人工腎臓血液回路2を皮膚面に固定した。皮膚面の貼付長さは、人工腎臓血液回路を挟んで左右に各20mmとした。人工腎臓血液回路2を、2枚の粘着テープ11及び12を部分的に重ね貼りした試験片1により貼付して、皮膚面に固定した後、被験者は、一般の事務作業を行った。
【0066】
貼付から2時間後に、固定状態を観察した。特に、試験片1の重ね貼り部分における粘着テープ12の端部(エッジ部)14に浮き若しくは剥がれが生じているか否かを目視により観察した。被験者は、貼付後に一般の事務作業を行ったので、腕の動きにより粘着テープ貼付部への負荷がかかる上、粘着テープが衣類と擦れ合うため、自背面粘着力が弱いと重ね合わせ部分に浮き若しくは剥がれが生じ易い。実用試験では、下記の評価基準により評価した。
○:重ね貼り部分のエッジ部に浮きが見られない、
×:重ね貼り部分のエッジ部に浮きが見られる。
【0067】
(7)色調
粘着テープをロール状に巻き取った形態で、乾熱雰囲気下、温度100℃で3日間の強制劣化試験を行い、該試験後の色調を目視にて観察した。
【0068】
[実施例1]
酢酸エチル中で、アクリル酸イソノニル68重量部、アクリル酸2−メトキシエチル30重量部、及びアクリル酸2重量部を含有する単量体混合物をラジカル重合して得られたアクリル系粘着剤(アクリル共重合体;重量平均分子量=約55万)溶液の固形分100重量部に対して、アクリル系オリゴマー(ジョンソンポリマー株式会社製、商品名「JDX−P1020」;数平均分子量=1,500、Tg=−66℃、25℃での粘度=400mPa・s)15重量部、水添芳香族変性テルペン樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製、商品名「CLEARON K−4090」)10重量部、及びエポキシ系架橋剤(三菱ガス化学株式会社製、商品名「テトラドX」)0.05重量部を添加して、粘着剤組成物溶液(濃度30重量%)を調製した。この粘着剤組成物溶液を、表面にシリコーン処理を施した剥離紙上に、乾燥後の厚みが38μmとなるように塗布し、120℃で3分間乾燥した。このようにして、剥離紙上に粘着剤組成物層を形成した。
【0069】
他方、スパンボンド法により製造されたポリプロピレン系不織布(出光ユニテック株式会社製、商品名「ストラテックPP RN2040」;坪量=40g/m、厚さ=0.27mm)を、対向するエンボスロールとアンビルロールの間を通過させて、格子状パターンの加熱エンボス加工を施した。アンビルロールに接触する側の格子状のエンボスパターンは、稜線の線幅が300μm、稜線の間隔(凹部の幅)が1.1mm、凹部の深さが150μmであり、不織布の背面に浮き出した凸部(稜線)の総面積は、不織布の全面積の約25%であった。
【0070】
このポリプロピレン系不織布のエンボスロール接触面側を、前記粘着剤組成物層と貼り合わせ、次いで、形状が四角錐の突起を多数設けた穿孔ロールとステンレスロールとの間を、穿孔ロールの表面温度145℃で、ロール間に0.9MPaの圧力をかけながら通過させて、該ポリオレフィン系不織布の粘着剤組成物層が形成されていない背面に菱形状の多数の微小孔を形成した。穿孔ロール上に設けた四角錐の突起の形状は、その底面のロール幅方向の長さが0.6mmで、回転方向の長さが0.8mmであり、突起の高さは0.5mmであった。突起のピッチは、ロール幅方向で0.8mm、回転方向で1.1mmであった。次に、剥離紙を除去しながら、ポリオレフィン系不織布の片面に粘着剤組成物層を設けた粘着シートをロールに巻取り、そして、幅25mmの大きさに裁断して粘着テープを作製した。
【0071】
このようにして得られた粘着テープは、皮膚に対する粘着性が良好であった。この粘着テープの自背面粘着力は、1.25N/25mmであった。この粘着テープの実用試験において、重ね貼り部分の浮き、剥がれは観察されなかった。この粘着テープは、ロール状に巻き取った形態で、100℃で3日間の強制劣化後において黄変することなく、色調に変化はなかった。結果を表1に示す。
【0072】
[実施例2]
実施例1において、アクリル系オリゴマーの配合割合を15重量部から10重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。このようにして得られた粘着テープは、皮膚に対する粘着性が良好であった。この粘着テープの自背面粘着力は、1.05N/25mmであった。この粘着テープの実用試験において、重ね貼り部分の浮き、剥がれは観察されなかった。この粘着テープは、ロール状に巻き取った形態で、100℃で3日間の強制劣化後において黄変することなく、色調に変化はなかった。結果を表1に示す。
【0073】
[実施例3]
実施例1において、アクリル系オリゴマーの配合割合を15重量部から20重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。このようにして得られた粘着テープは、皮膚に対する粘着性が良好であった。この粘着テープの自背面粘着力は、1.01N/25mmであった。この粘着テープの実用試験において、重ね貼り部分の浮き、剥がれは観察されなかった。この粘着テープは、ロール状に巻き取った形態で、100℃で3日間の強制劣化後において黄変することなく、色調に変化はなかった。結果を表1に示す。
【0074】
[実施例4]
実施例1において、水添芳香族変性テルペン樹脂の配合割合を10重量部から15重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。このようにして得られた粘着テープは、皮膚に対する粘着性が良好であった。この粘着テープの自背面粘着力は、1.10N/25mmであった。該粘着テープの実用試験において、重ね貼り部分の浮き、剥がれは観察されなかった。この粘着テープは、ロール状に巻き取った形態で、100℃で3日間の強制劣化後において黄変することなく、色調に変化はなかった。結果を表1に示す。
【0075】
[比較例1]
実施例1において、アクリル系オリゴマー15重量部に代えてミリスチン酸イソプロピル10重量部、水添芳香族変性テルペン樹脂10重量部に代えてテルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製、商品名「YSポリスターS145」)20重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。このようにして得られた粘着テープは、皮膚に対する粘着性が良好であった。この粘着テープの自背面粘着力は、0.55N/25mmであった。該粘着テープの実用試験において、重ね貼り部分のエッジ部に浮きが見られた。この粘着テープは、ロール状に巻き取った形態で、100℃で3日間の強制劣化後において、やや黄色を帯びていた。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
(脚注)
(1)アクリル共重合体(アクリル酸イソノニル/アクリル酸2−メトキシエチル/アクリル酸=68/30/2重量%;重量平均分子量=約55万)
(2)ジョンソンポリマー株式会社製、商品名「JDX−P1020」、数平均分子量=1,500、Tg=−66℃、25℃での粘度=400mPa・s
(3)ヤスハラケミカル株式会社製、商品名「CLEARON K−4090」
(4)ヤスハラケミカル株式会社製、商品名「YSポリスターS145」
(5)三菱ガス化学株式会社製、商品名「テトラドX」
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の医療補助用粘着テープは、例えば、ガーゼ、包帯、カテーテル、輸液チューブ、輸血チューブなどの固定、創傷の処置や保護、止血、手術部位の被覆など、医療の補助として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、粘着テープの実用試験に関する説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1 2枚の粘着テープを部分的に重ね貼りした試験片
2 人工腎臓血液回路
11 粘着テープ
12 粘着テープ
13 重ね貼り部分
14 重ね貼り部分の端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系不織布からなる支持体の片面に、アクリル系粘着剤、アクリル系オリゴマー、及び粘着付与樹脂を含有する粘着剤層が形成された医療補助用粘着テープ。
【請求項2】
該ポリオレフィン系不織布が、ポリプロピレン系不織布である請求項1記載の医療補助用粘着テープ。
【請求項3】
該ポリオレフィン系不織布からなる支持体が、粘着剤組成物層が形成されていない背面で穿孔処理されている請求項1記載の医療補助用粘着テープ。
【請求項4】
該粘着剤層が、アクリル系粘着剤100重量部に対して、アクリル系オリゴマー5〜30重量部、及び粘着付与樹脂5〜25重量部を含有する粘着剤組成物から形成された層である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医療補助用粘着テープ。
【請求項5】
該アクリル系粘着剤が、アクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルコキシアルキルエステルとを含有する単量体混合物の共重合体である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の医療補助用粘着テープ。
【請求項6】
該アクリル系オリゴマーが、数平均分子量が500〜50,000の範囲内の低分子量アクリルポリマーである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の医療補助用粘着テープ。
【請求項7】
該粘着付与樹脂が、芳香族変性テルペン樹脂の水素添加物である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医療補助用粘着テープ。

【図1】
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【公開番号】特開2007−209515(P2007−209515A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32300(P2006−32300)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000004020)ニチバン株式会社 (80)