説明

医薬用組成物

【課題】本発明は、優れた口腔内崩壊性と高い硬度を持ち、特に水に不安定な薬効成分にも適用できる口腔内速崩壊性医薬用組成物を提供する。
【解決手段】乳糖と粉末セルロースを含有させた医薬用組成物は、口腔内崩壊時間を延長せずに高い硬度を示す。さらに崩壊剤を含有させることにより口腔内崩壊時間を延長せずに硬度を上昇させる。さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを含有させ、さらには、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸ならびにケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上を含有させた医薬用組成物は、口腔内崩壊時間を延長せずにより高い硬度を示す。また、本発明の医薬用組成物は、特殊な製剤技術を必要とすることなく、一般的な工業的製造方法にて製造し、提供することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬用組成物、詳しくは口腔内に含んだ時に唾液または少量の水にて速やかに崩壊する口腔内速崩壊性医薬用組成物、殊に通常の製造、輸送、使用に際して充分な硬度を持つ有用な口腔内速崩壊性医薬用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会への移行および生活環境の変化に伴い、老人や子供、水分摂取を制限されている患者に対し、取り扱い易くかつ服用しやすい医薬品製剤の開発が望まれている。また、水を用いずにそのまま服用できるような製剤は、場所を選ばずに服用できるため、急性疾患において症状が急に発現したときなどに有用である。このようなことから、口腔内に含んだ際に唾液のみ、もしくは少量の水で速やかに崩壊・溶解する口腔内速崩壊製剤の開発が進められてきている。
【0003】
例えば、R.P.Scherer社から市販されている口腔内溶解型製剤Zydis速溶錠や、「口腔内崩壊製剤およびその製造法」(特許文献1参照)が挙げられる。これら文献においては、薬効成分を溶解あるいは懸濁した溶液を、予め成型したPTP(Press Through Package)シートのポケットに充填し、シートごと凍結乾燥または減圧乾燥することにより得られる口腔内速崩壊性製剤が記載されている。
また、「ポリビニルアルコールを配合した速崩壊性錠剤」(特許文献2参照)は、薬剤と糖類を混合し、ポリビニルアルコールを溶解した水または有機溶媒で練合後に、鋳型に充填し、フィルムを介して低圧で圧縮成型した後、乾燥することによって得られる口腔内速崩壊性製剤である。また、「口腔内溶解型圧縮成型物およびその製造法」(特許文献3参照)は、成形性の低い糖類に成形性の高い糖類で造粒し、乾燥後打錠して得られる口腔内溶解型圧縮成型物であり、さらに「口腔内速崩壊錠およびその製造法」(特許文献4参照)は、薬物、糖類に、非晶質化する糖を組み合わせて造粒し、圧縮処理後に加湿および乾燥することによって得られる口腔内速崩壊錠について開示している。
また、「速崩壊性固形製剤」(特許文献5参照)では、活性成分に平均粒子径が30μm〜300μmの糖または糖アルコール、崩壊剤、セルロース類を含有してなる速崩壊性固形製剤を開示している。
また、「口腔内速崩壊性医薬組成物およびその製造法」(特許文献6参照)は、高融点の糖アルコール類および/または糖類と、低融点の糖アルコール類および/または糖類とを組み合わせて混合処理、圧縮処理をした後、低融点の糖アルコール類/または糖類の融点温度付近で加熱して得られる口腔内速崩壊性医薬組成物について開示している。
【特許文献1】特許第2807346号公報
【特許文献2】国際公開第01/064190号パンフレット
【特許文献3】国際公開第95/20380号パンフレット
【特許文献4】国際公開第99/47124号パンフレット
【特許文献5】特開2001−58944号公報
【特許文献6】国際公開第2002/032403号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の口腔内速崩壊性製剤、例えば、口腔内溶解型製剤Zydis速溶錠は、優れた崩壊性を有するが、得られる錠剤の硬度が充分に高くなく、ワレやカケなどが生じやすいこと、または凍結乾燥や減圧乾燥が必要なため、生産コストが高くなりやすいという欠点があった。
また、特許第2807346号公報(特許文献1)記載の「口腔内崩壊製剤およびその製造法」あるいは国際公開第01/064190号パンフレット(特許文献2)に記載の「ポリビニルアルコールを配合した速崩壊性錠剤」は、製造過程において薬効成分の懸濁液もしくは乳濁液を用いるため、水に不安定な薬効成分を含有する医薬組成物に適応することが困難であることなどの欠点があった。
また、特開2001−58944号公報(特許文献5)に記載の「速崩壊性固形製剤」は、硬度および口腔内崩壊性において、本発明者らが後述する基準に達しているといえず、充分に優れているとは言えない。
さらに、国際公開第95/20380号パンフレット(特許文献3)に記載の「口腔内溶解型圧縮成型物およびその製造法」や国際公開第99/47124号パンフレット(特許文献4)に記載の「口腔内速崩壊錠およびその製造法」、さらに国際公開第2002/032403号パンフレット(特許文献6)に記載の「口腔内速崩壊性医薬組成物およびその製造法」は、優れた口腔内崩壊性および高い硬度を持つものの、製造工程が煩雑で工業的に適していないという欠点があった。
従って、本発明の課題は、優れた口腔内崩壊性と高い硬度を持ち、特に水に不安定な薬効成分にも適用できる口腔内速崩壊性医薬用組成物を、特殊な製剤技術を必要とすることなく、一般的な工業的製造方法で可能とする方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意研究の結果、乳糖と粉末セルロースを含有する医薬用組成物が、通常の輸送や使用に充分耐えうる高い硬度と優れた口腔内崩壊性を併せ持つことを見出した。
さらに、崩壊剤を加えることによって、より優れた口腔内崩壊性を有し、かつ高い硬度をもつ口腔内速崩壊性医薬用組成物が得られることを見出した。
さらに驚くべきことに、流動化剤や制酸剤として知られているメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸ならびにケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上を、単独または組み合わせることにより、医薬用組成物の崩壊時間を延長せずに高い硬度を示すことをも見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、
1.乳糖および粉末セルロースを含有する医薬用組成物、
2.さらに崩壊剤を含有する1に記載の医薬用組成物、
3.崩壊剤が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、クロスカルメロースナトリウムから選ばれる1種または2種以上である2に記載の医薬用組成物、
4.崩壊剤が、クロスポビドンおよび/またはカルメロースである2または3に記載の医薬用組成物、
5.さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを含有する1〜4のいずれか1に記載の医薬用組成物。
6.さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上を含有する1〜5のいずれか1に記載の医薬用組成物、
7.メタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上が、ケイ酸カルシウムおよび/または軽質無水ケイ酸である6に記載の医薬用組成物、
8.さらに薬効成分を含有する1〜7のいずれか1に記載の医薬用組成物、
9.乳糖および粉末セルロースの合計含有量が、医薬用組成物の全重量に対して5〜99.5w/w%である1〜8のいずれか1に記載の医薬用組成物、
10.乳糖の含有量100重量部に対して、粉末セルロースを1〜100重量部含有する1〜9のいずれか1に記載の医薬用組成物、
11.崩壊剤の含有量が、医薬用組成物の全重量の0.1〜15w/w%である2〜10のいずれか1に記載の医薬用組成物、
12.メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの含有量が、医薬用組成物の全重量に対して0.05〜5w/w%である5〜11のいずれか1に記載の医薬用組成物、
13.メタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上のものの含有量が、医薬用組成物の全重量に対して0.05〜5w/w%である6〜11のいずれか1に記載の医薬用組成物、
14.メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの含有量1重量部に対し、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上のものを0.01〜20重量部含有する6〜13のいずれか1に記載の医薬用組成物、
15.メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの含有量1重量部に対し、ケイ酸カルシウムおよび/または軽質無水ケイ酸を0.01〜20重量部含有する7〜13のいずれか1に記載の医薬用組成物、
16.薬効成分の含有量が、医薬用組成物の全重量に対して0.01〜80w/w%である8〜15のいずれか1に記載の医薬用組成物、
17.速崩壊性である1〜16のいずれか1に記載の医薬用組成物、
18.口腔内速崩壊性である1〜16のいずれか1に記載の医薬用組成物、
19.剤形が錠剤である1〜18のいずれか1に記載の医薬用組成物、
20.メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸ならびにケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上を含有する医薬用組成物、21.メタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上が、ケイ酸カルシウムおよび/または軽質無水ケイ酸である20に記載の医薬用組成物、
22.メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを添加することを特徴とする錠剤の硬度増強方法、
23.さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上を添加するものである22に記載の硬度増強方法、
24.メタケイ酸アルミン酸マグネシウムならびにケイ酸カルシウムおよび/または軽質無水ケイ酸を添加することを特徴とする錠剤の硬度増強方法。
【発明の効果】
【0007】
後記実施例から明らかなように、本発明の医薬用組成物は、口腔内で速やかに崩壊し、実用に耐え得る程度に充分な硬度を有する。従って、本発明の医薬用組成物は、薬剤の嚥下が困難な患者や高齢者、小児に服用しやすい口腔内速崩壊性錠剤、また、水分摂取を制限されている患者や、水等を容易に入手できない状況にある緊急の患者の疾病の治療や予防に用いるものとして提供できる。さらには、本発明の医薬用組成物は、一般的な工業的製造方法によって製造できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の医薬用組成物は、乳糖および粉末セルロースを必須成分として含有する。これら必須成分を含むものを圧縮成型して得た圧縮成型物は、通常の輸送や使用に充分耐えうる高い硬度と優れた口腔内速崩壊性を併せ持つものである。
【0009】
健康な成年男子が、口腔内に服用のため水なしで本発明の医薬用組成物を含んだとき、本発明の医薬用組成物が口腔内から完全に崩壊または溶解するまでの時間(口腔内崩壊時間)は、通常90秒以内、好ましくは60秒以内、より好ましくは30秒以内、さらに好ましくは15秒以内である。通常の服用状態では、服用者が舌で舐めたり、舌と上顎で圧迫することにより、さらに短時間で崩壊する。また、本発明の医薬用組成物は、実用に耐え得る程度に充分な硬度、すなわち、通常2kp以上であり、好ましくは3kp以上、より好ましくは4kp以上を有する。
【0010】
本発明の医薬用組成物における乳糖および粉末セルロースの合計の含有量は、本発明の医薬用組成物の全重量に対して、5〜99.5w/w%であることが好ましく、10〜90w/w%であることがより好ましい。本発明の医薬用組成物において、乳糖の含有量100重量部に対して、粉末セルロースは1〜100重量部含有することが好ましく、5〜50重量部含有することがより好ましい。
【0011】
本発明の医薬用組成物には、崩壊剤を添加することが好ましい。崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース(カルボキシメチルセルロース)、クロスカルメロースナトリウム(架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム)などから選ばれる1種または2種以上の組み合せを挙げることができるが、これらのみに限定されるものではない。本発明においては、クロスポビドンおよび/またはカルメロースが好ましく、クロスポビドンが最も好ましい。これら崩壊剤の含有量は、所望の硬度や口腔内崩壊性に基づき、適宜検討すればよいが、本発明の医薬用組成物の全重量の0.1〜15%が好ましく、0.5〜12%がさらに好ましく、1〜10%が最も好ましい。
【0012】
本発明の医薬用組成物は、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとメタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩(以下、その他のケイ酸・ケイ酸塩と称す)から選ばれる1種または2種以上を添加することによって、通常の圧縮成型圧力によって成型した圧縮成型物の崩壊時間の延長を防止、すなわち、優れた口腔内速崩壊性を有し、かつ充分に高い硬度を有するものである。一般に、圧縮成型圧力を大きくすると、硬度を高くすることができるが、崩壊性は低下し、一方、圧縮成型圧力を小さくすると、崩壊性を高くすることができるが、硬度は低下することが知られている。本発明の医療用組成物が、充分な口腔内速崩壊性と硬度を有するには、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム単独でも良いが、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと、その他のケイ酸・ケイ酸塩とを組み合わせるのが好ましい。その他のケイ酸・ケイ酸塩の例としては、特に限定はされないが、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸水和物などを挙げることができ、これらは1種または2種以上を組み合わせることができる。本発明においては、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとケイ酸カルシウムおよび/または軽質無水ケイ酸とを組み合わせて添加することがより好ましい。
【0013】
本発明においては、圧縮成型物の所望の崩壊性を維持しつつも、充分な硬度を付与するための組成物、すなわち、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと、その他のケイ酸・ケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上とを含有する医薬用組成物も提供するものである。
本発明において、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの含有量は、所望の崩壊性や硬度に基づき、適宜検討すればよいが、医薬用組成物全重量に対して0.05〜5w/w%が好ましく、0.1〜4w/w%がより好ましい。また、その他のケイ酸・ケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上のものの含有量は、所望の崩壊性や硬度に基づき、適宜検討すればよいが、医薬用組成物全重量に対して0.05〜5w/w%が好ましく、0.1〜4w/w%がより好ましい。さらに、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとその他のケイ酸・ケイ酸塩とを組み合わせた場合、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとその他のケイ酸・ケイ酸塩の含有量の比率は、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの含有量が1重量部に対して、その他のケイ酸・ケイ酸塩の含有量が0.01〜20重量部であることが好ましく、1〜10重量部であることがより好ましい。
【0014】
本発明の医薬用組成物に含有される薬効成分は、経口投与が可能であれば特に限定はされないが、例えばビタミン剤、解熱鎮痛消炎薬、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、胃粘膜修復剤、鎮痛鎮痙剤、向精神薬、鎮吐剤、抗うつ剤、H2受容体遮断薬、プロトンポンプ阻害薬、化学療法剤、抗菌剤、降圧剤、不整脈治療剤、抗血栓薬、抗リウマチ薬、抗不安薬、抗痴呆薬、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、α1受容体遮断薬などから選ばれる1種または2種以上の成分が用いられる。これらの薬効成分の具体例としては、塩酸チアミン、ニコチン酸アミド、アスコルビン酸、パンテチン、エテンザミド、アスピリン、アセトアミノフェン、塩酸セトラキサート、インドメタシン、メロキシカム、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸プロカテロール、塩酸メクロフェノキサート、ロラゼパム、フェノバルビタール、チミペロン、パラアミノサリチル酸カルシウム、アンピシリン、カルモフール、レボフロキサシン、オフロキサシン、ニフェジピン、カルベジロール、塩酸プロカインアミド、塩酸チクロピジン、塩酸セビメリン水和物、酒石酸アリメマジン、塩酸ロフェプラミン、イソニアジド、バクロフェン、塩酸セチリジン、塩酸イソクスプリン、N−メチルスコポラミンメチル硫酸塩、塩酸トリヘキシフェニジル、オキシペルチン、塩酸メマンチン、塩酸ドネペジル、カプトプリル、ペリンドプリルエルブミン、シロドシンなどを挙げることができるが、特にこれらのみに限定されるべきものではない。
【0015】
また、本発明の医薬用組成物は水を用いずに製造可能である。従って、水に不安定な薬効成分は、本発明の医薬用組成物に特に適している。
ここで、水に不安定な薬効成分とは、25℃、75%RH、3ヶ月という保管条件で含有量が初期値に比較して5%以上低下するものをいう。
水に不安定な薬効成分としては、例えば、塩酸チアミン、ニコチン酸アミド、アスピリン、アセトアミノフェン、インドメタシン、塩酸ジフェンドラミン、塩酸プロカテロール、塩酸メクロフェノキサート、ロラゼパム、フェノバルビタール、パラアミノサリチル酸カルシウム、アンピシリン、カルモフール、カプトプリル、ニフェジピン、塩酸プロカインアミド、ペリンドプリルエルブミンなどを挙げることができるが、特にこれらのみに限定されるべきものではない。
【0016】
また、本発明においては、前記薬効成分を通常0.01〜80w/w%、好ましくは0.1〜60w/w%含有するが、本発明の効果を損なわない程度および範囲において、薬効成分の含有量を増減してもよい。
【0017】
本発明においては、上述の成分のほかに、さらに賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、着香剤などの公知の製剤添加剤を加えてもよいが、本発明の効果を損なわない程度および範囲において加えることが好ましい。
【0018】
本発明において、賦形剤としては、糖類、糖アルコール類、セルロース類から選ばれる1種または2種以上の組み合わせであることが好ましい。
糖類としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、無水乳糖、トレハロースなどを挙げることができるが、これらのみに限定されるものではない。糖アルコール類としては、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトールなどを挙げることができるが、これらのみに限定されるものではない。セルロース類としては、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどを挙げることができるが、これらのみに限定されるものではない。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、硬化油、タルクなどを挙げることができるが、これらのみに限定されるものではない。
【0019】
本発明の医薬用組成物の剤形は、錠剤が好ましい。本発明の医薬組成物を速崩壊性医薬組成物、特に速崩壊性錠剤の製造のために使用することが好ましく、口腔内速崩壊性医薬組成物、特に口腔内速崩壊性錠剤の製造のために使用されることがより好ましい。
【0020】
本発明の医薬用組成物の製造方法の一例を次に説明する。
本発明の医薬用組成物は、一般に使用されている医薬品製造装置により、錠剤の製造方法として知られる一般的な方法により製造可能である。
【0021】
薬効成分、乳糖、粉末セルロース、所望により、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、その他のケイ酸・ケイ酸塩、崩壊剤、およびその他の製剤添加剤などの本発明の医薬用組成物に含まれる全成分またはその一部は、必要に応じて粉砕し、得られた粉砕物を混合する。粉砕は、ハンマーミル、カッティングミル、回転ミル、流体エネルギーを利用した粉砕機、ふるい分け式粉砕機、タンブラー式粉砕機などを用いればよい。次いで得られた粉砕物を混合するが、混合はV型混合機、二重円錐型混合機、ハイスピードミキサー、ナウターミキサーなどを用いればよい。
【0022】
さらに必要に応じて、混合時に製剤添加剤を加えても良く、また、混合に引き続き、流動層造粒乾燥機、攪拌造粒機、転動流動造粒機、押出し造粒機などを用いて造粒してもよい。一般的に造粒には、湿式造粒、乾式造粒および溶融造粒などがあり、いずれを用いてもよい。湿式造粒には、例えば、流動層造粒法、混合攪拌造粒法、押出し造粒法、転動造粒法などがある。乾式造粒には、薬効成分、乳糖、粉末セルロース、所望により、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、その他のケイ酸・ケイ酸塩、崩壊剤およびその他の製剤添加剤など、本発明の医薬用組成物に含まれる全てまたはその一部を直接造粒する方法であり、水に不安定な薬効成分に本発明を適用する場合には、乾式造粒にて造粒することが好ましい。また、溶融造粒は、加熱溶融することによって造粒する方法である。
【0023】
次いで得られた混合物および/または造粒物を単発式打錠機、ロータリー式打錠機、外部滑沢打錠機などの一般的な錠剤の成型機によって圧縮する処理を行なうことができる。
【0024】
圧縮処理時の圧縮成型圧は、所望の成型物の硬度、口腔内に含んだ際の崩壊性あるいは溶解性から設定すれば良い。
通常、圧縮成型圧は100〜2000kgf、好ましくは200〜1800kgf、さらに好ましくは300〜1500kgf程度である。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
(試験方法)
本発明の効果をさらに詳しく説明するため、試験例および実施例で得られた錠剤について、下記のような製剤特性に関する試験を行なった。
【0027】
(硬度試験)
錠剤硬度計はエルベーカー社製錠剤硬度計を用いて、錠剤の直径方向の破壊強度を測定した。
【0028】
(口腔内崩壊試験)
健康な成人男性の口腔内に服用のための水なしで錠剤を含ませ、錠剤が口腔内から崩壊・溶解するまでの時間を測定した。
【0029】
(実施例1)
ハイスピードミキサー(FS−5J、深江パウテック)に粉末セルロース(ARBOCEL M−80、RETTENMAIER&SOHNE)109.1g、ケイ酸カルシウム(フローライト−RE、トクヤマ)27.3g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリン UFL2、富山化学工業)9.1g、クロスポビドン(Polyplasdone−XL、ISP.JAPAN)27.3gを入れ、480rpm、3分間で混合し、混合粉末A172.8gを得た。別に、粉末セルロース9.0gと三二酸化鉄(癸巳化成)0.9gを錠剤粉砕機(KC−HUK型、小西製作所)にて1分間混合し、得られた混合粉末B9.9gとペリンドプリルエルブミン(セルビエ)18.2gとオレンジミクロン(高砂香料)0.9gと前記混合粉末A172.8gをハイスピードミキサーにて600rpm、3分間で混合し、混合粉末C201.8gを得た。さらに混合粉末C201.8gと乳糖(Lactose Monohydrate、Pharmatose 100M、DMV)797.3gをV型混合機(UM−V−5、川越機械)に入れ、20分間混合した。得られた混合粉末Dを、外部滑沢打錠機(VIRG0512SS2 AZ錠剤機、菊水製作所)を用いて打錠した(重量:110mg、打錠圧800kgf、杵:7.0mmφ)。なお、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(日東化成工業)を用いて、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
【0030】
(実施例2)
ハイスピードミキサーに粉末セルロース108.0g、ケイ酸カルシウム26.7g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム10.0g、クロスポビドン26.7gを入れ、480rpm、3分間で混合し、混合粉末Eを171.4g得た。別に粉末セルロース10.0gと黄色三二酸化鉄(癸巳化成)0.5gおよび三二酸化鉄0.5gを錠剤粉砕機にて混合し、得られた混合粉末F11.0gとペリンドプリルエルブミン26.7gとオレンジミクロン1.0gと混合粉末E171.4gをハイスピードミキサーにて600rpm、3分間で混合し、混合粉末G210.1gを得た。さらに混合粉末G210.1gと乳糖789.0gをV型混合機に入れ、20分間混合した。得られた混合粉末Hを、外部滑沢打錠機を用いて打錠した(重量:150mg、打錠圧800kgf、杵:7.5mmφ)。なお、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを用いて、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
【0031】
【表1】

【0032】
本発明の医薬用組成物(実施例1および2)について、口腔内崩壊時間および硬度を測定した。結果を表1に示した。実施例1、2ともに口腔内崩壊時間は15秒以内、硬度は4.0kp以上という望ましい製剤特性を持つ口腔内速崩壊性医薬用組成物であることがわかった。
【0033】
(試験例1)
(試験例1.1)
結晶セルロース220g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(LH−11、信越化学)55g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、信越化学)33gおよび軽質無水ケイ酸2gをハイスピードミキサーで5分間混合した。さらに、無水乳糖(DCL−21、DMV)784.5gおよびステアリン酸マグネシウム5.5gを加えて、V型混合機で30分間混合した。得られた混合粉末をロータリー打錠機(VIRG 0512SS2 AZ錠製機、菊水製作所)を用いて連続打錠し(重量:110mg、打錠圧:900kgf、7.0mmφ)、錠剤を得た。
(試験例1.2)
試験例1.1の無水乳糖を乳糖に変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
(試験例1.3)
試験例1.1の無水乳糖をマンニトール(PEARLITOL 200SD、ROQUETTE)に変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
(試験例1.4)
試験例1.1の無水乳糖をショ糖(SUCRE COMPRESSUC MS、Beghin Say)に変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
(試験例1.5)
試験例1.1の無水乳糖をエリスリトール(微紛グレード、日研化学)に変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
(試験例1.6)
試験例1.1の無水乳糖をトレハロース(林原)に変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
(試験例1.7)
試験例1.1の無水乳糖をソルビトール(Sorbit DP−10M、東和化成)に変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
主な賦形剤の選定に対する結果を表2に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
表2から、各種の糖類または糖アルコール類について検討した結果、乳糖を用いたときに、口腔内崩壊時間が短く、高い硬度をもつ錠剤が得られた。
【0036】
(試験例2)
(試験例2.1)
ケイ酸カルシウム20.0g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム10.0g、ヒドロキシプロピルセルロース33gをハイスピードミキサーで5分間混合した。さらに結晶セルロース190g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース55gをV型混合機で5分間混合した。さらに、乳糖786.5gおよびステアリン酸マグネシウム5.5gを加えて、V型混合機で30分間混合した。得られた混合粉末をロータリー打錠機を用いて連続打錠し(重量:110mg、打錠圧:900kgf、7.0mmφ)、錠剤を得た。
(試験例2.2)
試験例2.1の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをクロスポビドンに変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
(試験例2.3)
試験例2.1の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをカルボキシメチルスターチナトリウム(プリモジェル、松谷化学)に変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
(試験例2.4)
試験例2.1の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをカルメロース(NS−300、五徳薬品)に変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
(試験例2.5)
試験例2.1の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをクロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol、旭化成)に変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
崩壊剤の選定に対する結果を表3に示す。
【0037】
【表3】

【0038】
各種の崩壊剤について検討した結果、クロスポビドン、カルメロースを用いたときに、口腔内崩壊時間が短く、高い硬度をもつ錠剤が得られた。
【0039】
(試験例3)
(試験例3.1)
ケイ酸カルシウム20.0g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム10.0g、ヒドロキシプロピルセルロース33gをハイスピードミキサーで5分間混合した。さらに結晶セルロース190g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース55gをV型混合機で5分間混合した。さらに、乳糖786.5gおよびステアリン酸マグネシウム5.5gを加えて、V型混合機で30分間混合した。得られた混合粉末をロータリー打錠機を用いて連続打錠し(重量:110mg、打錠圧:900kgf、7.0mmφ)、錠剤を得た。
(試験例3.2)
試験例3.1の結晶セルロースを粉末セルロースに変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
(試験例3.3)
試験例3.1の結晶セルロースを部分アルファー化デンプン(PCS、旭化成)に変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
(試験例3.4)
試験例3.1の結晶セルロースを部分アルファー化デンプン(スターチ4500、Colorcon Japan)に変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
(試験例3.5)
試験例3.1の結晶セルロースをリン酸カルシウム2塩基酸(日東化学)に変えて、同様の操作を行い、錠剤を得た。
第二成分としての賦形剤の選定に対する結果を表4に示す。
【0040】
【表4】

【0041】
表4より、各種賦形剤について検討した結果、乳糖に粉末セルロースを組み合わせることにより、口腔内崩壊時間が短く、高い硬度をもつ錠剤が得られた。
【0042】
(試験例4.1)
ハイスピードミキサーに粉末セルロース115.9g、ケイ酸カルシウム27.3g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム9.1g、クロスポビドン27.3gを入れ、480rpm、3分間で混合し、混合粉末Iを179.6g得た。別に粉末セルロース2.3gと三二酸化鉄0.2gを錠剤粉砕機にて混合し、得られた混合粉末J2.5gとオレンジミクロン0.9gおよび混合粉末I179.6gをハイスピードミキサーにて600rpm、3分間で混合し、混合粉末Kを得た。さらに混合粉末K183.0gと乳糖816.1gをV型混合機に入れ、20分間混合した。得られた混合粉末Lを、外部滑沢打錠機を用いて打錠した(重量:110mg、打錠圧600kgf、杵:7.0mmφ)。なお、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを用いて、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
【0043】
(試験例4.2)
試験例4.1と同様の操作を行い、打錠圧を700kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.3)
試験例4.1と同様の操作を行い、打錠圧を800kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.4)
試験例4.1と同様の操作を行い、打錠圧を900kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.5)
試験例4.1と同様の操作を行い、打錠圧を1000kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.6)
試験例4.1と同様の操作を行い、打錠圧を1100kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.7)
ハイスピードミキサーに粉末セルロース115.9gおよびクロスポビドン27.3gを入れ、480rpm、3分間で混合し、混合粉末Mを143.2g得た。別に粉末セルロース2.3gと三二酸化鉄0.2gを錠剤粉砕機にて混合し、得られた混合粉末N2.5gとオレンジミクロン0.9gおよび混合粉末M143.2gをハイスピードミキサーにて600rpm、3分間で混合し、混合粉末Oを得た。さらに混合粉末O146.6gと乳糖852.5gをV型混合機に入れ、20分間混合した。得られた混合粉末Pを、外部滑沢打錠機を用いて打錠した(重量:110mg、打錠圧600kgf、杵:7.0mmφ)。なお、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを用いて、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
【0044】
(試験例4.8)
試験例4.7と同様の操作を行い、打錠圧を700kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.9)
試験例4.7と同様の操作を行い、打錠圧を800kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.10)
試験例4.7と同様の操作を行い、打錠圧を900kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.11)
試験例4.7と同様の操作を行い、打錠圧を1000kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.12)
試験例4.7と同様の操作を行い、打錠圧を1100kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
【0045】
(試験例4.13)
ハイスピードミキサーに粉末セルロース115.9g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム9.1g、およびクロスポビドン27.3gを入れ、480rpm、3分間で混合し、混合粉末Qを152.3g得た。別に粉末セルロース2.3gと三二酸化鉄0.2gを錠剤粉砕機にて混合し、得られた混合粉末R2.5gとオレンジミクロン0.9gおよび混合粉末Q152.3gをハイスピードミキサーにて600rpm、3分間で混合し、混合粉末Sを得た。さらに混合粉末S155.7gと乳糖843.4gをV型混合機に入れ、20分間混合した。得られた混合粉末Tを、外部滑沢打錠機を用いて打錠した(重量:110mg、打錠圧600kgf、杵:7.0mmφ)。なお、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを用いて、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
【0046】
(試験例4.14)
試験例4.13と同様の操作を行い、打錠圧を700kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.15)
試験例4.13と同様の操作を行い、打錠圧を800kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.16)
試験例4.13と同様の操作を行い、打錠圧を900kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.17)
試験例4.13と同様の操作を行い、打錠圧を1000kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.18)
試験例4.13と同様の操作を行い、打錠圧を1100kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.19)
ハイスピードミキサーに粉末セルロース115.9g、ケイ酸カルシウム27.3g、およびクロスポビドン27.3gを入れ、480rpm、3分間で混合し、混合粉末Uを170.5g得た。別に粉末セルロース2.3gと三二酸化鉄0.2gを錠剤粉砕機にて混合し、得られた混合粉末V2.5gとオレンジミクロン0.9gおよび混合粉末U170.5gをハイスピードミキサーにて600rpm、3分間で混合し、混合粉末Wを得た。さらに混合粉末W173.9gと乳糖825.2gをV型混合機に入れ、20分間混合した。得られた混合粉末Xを、外部滑沢打錠機を用いて打錠した(重量:110mg、打錠圧600kgf、杵:7.0mmφ)。なお、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを用いて、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
【0047】
(試験例4.20)
試験例4.19と同様の操作を行い、打錠圧を700kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.21)
試験例4.19と同様の操作を行い、打錠圧を800kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.22)
試験例4.19と同様の操作を行い、打錠圧を900kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.23)
試験例4.19と同様の操作を行い、打錠圧を1000kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
(試験例4.24)
試験例4.19と同様の操作を行い、打錠圧を1100kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
【0048】
試験例4.1〜4.24にケイ酸カルシウムおよびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの添加における口腔内崩壊時間および硬度に及ぼす影響について打錠圧を変えて検討した。結果を表5に示す。ケイ酸カルシウムおよびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを無添加の群(以下、無添加群と称す)、ケイ酸カルシウムのみ添加した群(以下、ケイ酸カルシウム群と称す)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムのみ添加した群(以下、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム群と称す)、ケイ酸カルシウムとメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを共に添加した群(以下、併用群と称す)を各々硬度と口腔内崩壊時間についてグラフで表わした。上記4群を比較して、打錠圧を上昇させたときに、併用群は硬度の上昇に伴う口腔内崩壊時間の延長が最も起きにくく、優れた製剤特性を示した。
【0049】
【表5】

【0050】
表5から明らかなように、ケイ酸カルシウムとメタケイ酸アルミン酸マグネシウムをともに添加することにより、打錠圧を上昇させても、口腔内崩壊時間の遅延を示さず、硬度を高められることを見出した。従って、本発明においては、乳糖および粉末セルロースに、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとその他のケイ酸・ケイ酸塩をともに添加することにより、高い硬度を保ちながら優れた口腔内崩壊性を併せ持つ錠剤が得られることを見出した。
さらに、薬効成分としてオフロキサシンを10%添加し、打錠圧が硬度および口腔内崩壊時間への影響を検討した。
【0051】
(実施例3)
ハイスピードミキサーに粉末セルロース115.9g、ケイ酸カルシウム27.3g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム9.1g、クロスポビドン27.3gを入れ、480rpm、3分間で混合し、混合粉末Yを179.6g得た。別に粉末セルロース2.3gと三二酸化鉄0.2gを錠剤粉砕機にて混合し、得られた混合粉末Z2.5gとオレンジミクロン0.9gとオフロキサシン100.0gと混合粉末Y179.6gをハイスピードミキサーにて600rpm、3分間で混合し、混合粉末AA283.0gを得た。さらに混合粉末AA283.0gと乳糖716.1gをV型混合機に入れ、20分間混合した。得られた混合粉末BBを、外部滑沢打錠機を用いて打錠した(重量:110mg、打錠圧600kgf、杵:7.0mmφ)。なお、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを用いて、錠剤(口腔内崩壊性医薬用組成物)を得た。
【0052】
(実施例4)
実施例3と同様の操作を行い、打錠圧を700kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内速崩壊医薬用組成物)を得た。
(実施例5)
実施例3と同様の操作を行い、打錠圧を800kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内速崩壊医薬用組成物)を得た。
(実施例6)
実施例3と同様の操作を行い、打錠圧を900kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内速崩壊医薬用組成物)を得た。
(実施例7)
実施例3と同様の操作を行い、打錠圧を1000kgfに変えて打錠し、錠剤(口腔内速崩壊医薬用組成物)を得た。
【0053】
薬効成分としてオフロキサシンを10%配合したときの、本発明の医薬用組成物の硬度および口腔内崩壊時間を検討した。結果を表6に示す。
【0054】
【表6】

【0055】
表6の結果よりオフロキサシン10%を配合した本発明の医薬用組成物は、打錠圧に関わらず、高い硬度と優れた口腔内崩壊性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0056】
前記実施例から明らかなように、本発明の医薬用組成物は、高い硬度と優れた口腔内崩壊性を示す。したがって、本発明の医薬用組成物は、口腔内速崩壊性医薬用組成物として優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳糖および粉末セルロースを含有する医薬用組成物。
【請求項2】
さらに崩壊剤を含有する請求項1に記載の医薬用組成物。
【請求項3】
崩壊剤が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、クロスカルメロースナトリウムから選ばれる1種または2種以上である請求項2に記載の医薬用組成物。
【請求項4】
崩壊剤が、クロスポビドンおよび/またはカルメロースである請求項2または3に記載の医薬用組成物。
【請求項5】
さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項6】
さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項7】
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上が、ケイ酸カルシウムおよび/または軽質無水ケイ酸である請求項6に記載の医薬用組成物。
【請求項8】
さらに薬効成分を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項9】
乳糖および粉末セルロースの合計含有量が、医薬用組成物の全重量に対して5〜99.5w/w%である請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項10】
乳糖の含有量100重量部に対して、粉末セルロースを1〜100重量部含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項11】
崩壊剤の含有量が、医薬用組成物の全重量の0.1〜15w/w%である請求項2〜10のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項12】
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの含有量が、医薬用組成物の全重量に対して0.05〜5w/w%である請求項5〜11のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項13】
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上のものの含有量が、医薬用組成物の全重量に対して0.05〜5w/w%である請求項6〜11のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項14】
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの含有量1重量部に対し、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上のものを0.01〜20重量部含有する請求項6〜13のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項15】
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの含有量1重量部に対し、ケイ酸カルシウムおよび/または軽質無水ケイ酸を0.01〜20重量部含有する請求項7〜13のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項16】
薬効成分の含有量が、医薬用組成物の全重量に対して0.01〜80w/w%である請求項8〜15のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項17】
速崩壊性である請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項18】
口腔内速崩壊性である請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項19】
剤形が錠剤である請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬用組成物。
【請求項20】
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとメタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上とを含有する医薬用組成物。
【請求項21】
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上が、ケイ酸カルシウムおよび/または軽質無水ケイ酸である請求項20に記載の医薬用組成物。
【請求項22】
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを添加することを特徴とする錠剤の硬度増強方法。
【請求項23】
さらにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外のケイ酸およびケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上を添加するものである請求項22に記載の硬度増強方法。
【請求項24】
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムならびにケイ酸カルシウムおよび/または軽質無水ケイ酸を添加することを特徴とする錠剤の硬度増強方法。

【公開番号】特開2006−298912(P2006−298912A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80693(P2006−80693)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年3月5日 日本薬剤学会発行の「日本薬剤学会創立20周年記念大会 講演要旨集」に発表
【出願人】(000002831)第一製薬株式会社 (129)
【Fターム(参考)】