説明

半導体セルのリード線接続装置及び接続方法

【課題】半導体セルにリード線を本圧着する際、つぎの半導体セルにリード線を仮圧着した導電性テープが熱影響を受けないようにしたリード線の接続装置を提供すること。
【解決手段】仮圧着されたリード線2によって一列に接続された複数の半導体セル1を所定方向に搬送する無端ベルト11と、無端ベルトによって搬送位置決めされた半導体セルのリード線が仮圧着された部分を加圧加熱して本圧着する加圧ツール19,21と、加圧ツールによって搬送位置決めされた半導体セルにリード線を本圧着するときに、搬送位置決めされた半導体セルよりも搬送方向の上流側に位置する半導体セルにリード線を接続した導電性テープが加圧ツールの熱によって温度昇するのを防止する温度上昇防止手段34を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は太陽電池モジュールに用いられる複数の半導体セルをリード線によって一列に接続するためのリード線接続装置及び接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールには結晶タイプと薄膜タイプがある。結晶タイプの太陽電池モジュールは単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの半導体セルをリード線によって一列に接続し、その半導体セルをガラス製の基板上に樹脂によって一体的にラミネートして構成される。このような構成の太陽電池モジュールは特許文献1に示されている。
【0003】
特許文献1に示された太陽電池モジュールは2つの太陽電池セルである、2つの半導体セルの表面に配置された導通材としての、たとえば導電性テープを介してクランク状に曲成された接続部材である、帯板状のリード線で電気的に接続するようにしている。
【0004】
上記リード線による2つの半導体セルの接続は、リード線の一端部を一方の半導体セルの上面に設けられた導電性テープに接続し、他端部を他方の半導体セルの下面に設けられた導電性テープに接続するようにしている。
【0005】
特許文献1では2つの半導体セルをリード線によって接続することが示されている。しかしながら、太陽電池モジュールの出力を向上させる場合には接続される半導体セルの数は2つでなく、たとえば10個以上の多数の半導体セルをリード線によって一列に接続するということが行われる。
【0006】
図5(a)は複数の半導体セル1をリード線2によって一列に接続した状態の平面図、図5(b)は拡大した側面図を示している。図5(b)に示すように各半導体セル1の上下面には粘着性を有する熱硬化性の樹脂からなる上記導電性テープ3が予め貼着されていて、その導電性テープ3にリード線2を仮圧着する。
【0007】
ついで、上記リード線2を仮圧着時よりも大きな加圧力で加圧しながら数百度、たとえば200℃程度に加熱する。それによって、上記導電性テープ3が溶融硬化されるから、リード線2a〜2nが半導体セル1a〜1nの上下面に本圧着、つまり電気的に接続されて固定される。
【0008】
複数の半導体セル1を一列に仮圧着した上記リード線2の本圧着は、ヒータによって加熱された加圧ツールを用いて1つの半導体セル毎に順次行なわれることになる。
【0009】
たとえば、リード線2a〜2nによって一列に仮圧着された複数の半導体セル1を搬送し、複数の半導体セル1a〜1nのうちの1つの半導体セルを上記加圧ツールに対向する位置に位置決めしたならば、上記加圧ツールを駆動して上記半導体セルに仮圧着されたリード線を加圧加熱して本圧着するということになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−101519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、一列に接続された複数の半導体セルのうち、搬送位置決めされた半導体セルを加圧ツールによって加圧加熱して本圧着するとき、本圧着される半導体セルよりも搬送方向の上流側で、1つ手前の半導体セル及びこの半導体セルに仮圧着されたリード線が上記加圧ツールの熱によって加熱されて温度上昇することが避けられない。
【0012】
本圧着位置よりも上流側で、1つ手前の半導体セルやリード線が本圧着位置の加圧ツールの熱によって温度上昇すると、その熱によってリード線を半導体セルに仮圧着した熱硬化性の樹脂からなる導電性テープも温度上昇することになる。
【0013】
たとえば、加圧ツールが200℃であると、本圧着位置よりも1つ手前の半導体セルに貼着された導電性テープは100℃程度に温度上昇することがある。このように、1つ手前の半導体セルに貼着された導電性テープが温度上昇すると、本圧着時に加圧ツールによって加熱される前に、本圧着時よりも程度は低いものの、ある程度は硬化してしまうということがある。
【0014】
本圧着前に硬化した導電性テープは、本圧着位置で上記加圧ツールによって加圧加熱されても、その導電性テープは未硬化の状態で加圧加熱した場合に比べて十分に溶融せずに硬化することということがある。その結果、導電性テープ3によってリード線を半導体セルに十分な強度で接続固定することができず、リード線の剥離の原因になったり、リード線が半導体セルに電気的に確実に接続されないなどの接続不良を招くということがある。
【0015】
この発明は、複数の半導体セルを導電性テープを介してリード線によって一列に仮圧着された状態で搬送しながら順次本圧着する場合、本圧着される前のリード線を接続した導電性テープが熱影響を受けて硬化することがないようにした半導体セルのリード線接続装置及び接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明は、複数の半導体セルを熱硬化性の導電性テープを介して仮圧着されたリード線によって一列に接続してから、上記リード線を加圧加熱して上記導電性テープを溶融硬化させて本圧着するリード線接続装置であって、
仮圧着された上記リード線によって一列に接続された複数の半導体セルを所定方向に搬送する搬送手段と、
この搬送手段によって搬送位置決めされた半導体セルの上記リード線が仮圧着された部分を加圧加熱して本圧着する加圧ツールと、
この加圧ツールによって搬送位置決めされた上記半導体セルに上記リード線を本圧着するときに、搬送位置決めされた上記半導体セルよりも搬送方向の上流側に位置する半導体セルにリード線を接続した上記導電性テープが上記加圧ツールの熱によって温度上昇するのを防止する温度上昇防止手段と
を具備したことを特徴とする半導体セルのリード線接続装置にある。
【0017】
それぞれの半導体セルには上面と下面とに上記リード線が仮圧着されていて、
上記搬送手段によって搬送位置決めされた半導体セルの上記リード線が仮圧着された部分を加圧加熱して本圧着する上記加圧ツールは、上記半導体セルの上面と下面に仮圧着されたそれぞれのリード線を同時に本圧着する上部加圧ツールと下部加圧ツールであることが好ましい。
【0018】
上記温度上昇防止手段は、搬送位置決めされた上記半導体セルよりも搬送方向の上流側に位置する半導体セルに気体を噴射する給気ノズルであることが好ましい。
【0019】
上記温度上昇防止手段は、搬送位置決めされた上記半導体セルよりも搬送方向の上流側に位置する半導体セルに接触してこの半導体セルを冷却する冷却体であることが好ましい。
【0020】
上記温度上昇防止手段は、上記加圧ツールの熱を遮断して搬送位置決めされた上記半導体セルよりも搬送方向の上流側に位置する半導体セルの温度上昇を防止する断熱部材であることが好ましい。
【0021】
この発明は、複数の半導体セルを熱硬化性の導電性テープを介して仮圧着されたリード線によって一列に接続してから、上記リード線を加圧加熱して上記導電性テープを溶融硬化させて本圧着するリード線接続方法であって、
仮圧着された上記リード線によって一列に接続された複数の半導体セルを所定方向に搬送する工程と、
搬送位置決めされた半導体セルの上記リード線が仮圧着された部分を加圧ツールによって加圧加熱して本圧着する工程と、
上記加圧ツールによって搬送位置決めされた上記半導体セルに上記リード線を本圧着するときに、搬送位置決めされた上記半導体セルよりも搬送方向の上流側に位置する半導体セルにリード線を接続した上記導電性テープが上記加圧ツールの熱によって温度上昇するのを防止する工程と
を具備したことを特徴とする半導体セルのリード線接方法にある。
【0022】
それぞれの半導体セルには上面と下面とに上記リード線が仮圧着されていて、
搬送位置決めされた半導体セルの上記リード線が仮圧着された部分を加圧加熱して本圧着するときに、上記半導体セルの上面と下面に仮圧着されたそれぞれのリード線を同時に本圧着することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、加圧ツールによって搬送位置決めされた半導体セルにリード線を本圧着するときに、本圧着位置に位置決めされた半導体セルよりも搬送方向の上流側に位置する半導体セルにリード線を仮圧着した熱硬化性の導電性テープが温度上昇して硬化するが防止されるから、本圧着位置で上記リード線を上記半導体セルに確実に接続することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示すリード線接続装置の正面図。
【図2】図1に示すリード線接続装置の側面図。
【図3】(a)は上部断熱部材が上昇し、下部断熱部材が下降した状態を示す正面図、(b)は上部断熱部材が下降し、下部断熱部材が上昇して閉となった状態を示す正面図、(c)図3(b)のV−V線に沿う断面図。
【図4】この発明の第2の実施の形態を示すリード線接続装置の正面図。
【図5】(a)は複数の半導体セルがリード線によって接続されたストリングの平面図、(b)は同じく側面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1乃至図3はこの発明の第1の実施の形態を示す。図1は平面形状が四角形状の複数の半導体セル1がクランク状に折り曲げられたリード線2によって一列に接続されたストリング1Aを搬送手段としての一対の無端ベルト11(図1では一方のみ図示)を矢印X方向に搬送するリード線接続装置の正面図である。
【0026】
すなわち、複数の半導体セル1は図5(a)に示されるように、搬送方向と交差する幅方向に対してそれぞれ3本のリード線2が粘着性を有する熱硬化性の樹脂からなる導電性テープ3によって上面と下面とに仮圧着されて上記ストリング1Aを構成している。
【0027】
そして、上記ストリング1Aは、図2に示すように所定間隔で離間して無端走行する上記一対の無端ベルト11によって各半導体セル1の下面の3本のリード線2の間の部分が支持されて搬送されるようになっている。
【0028】
上記無端ベルト11によって搬送されるストリング1Aは図1にBで示す本圧着位置で所定の半導体セル1が位置決めされる。そして、位置決めされた半導体セル1に導電性テープ3によって仮圧着されたリード線2が本圧着装置12によって本圧着されるようになっている。
【0029】
上記本圧着装置12は、図2に示すように上記無端ベルト11の上方に配置され上部シリンダ15によって矢印で示すように上下駆動される板状の上部可動体16と、下方に配置され下部シリンダ17によって上下駆動される板状の下部可動体18を有する。
【0030】
上記上部可動体16の下面にはヒータ19aによって加熱される3本の上部加圧ツール19が後述する所定間隔で設けられている。上記下部可動体18の上面にはヒータ21aによって加熱される3本の下部加圧ツール21が上記上部加圧ツール19と対応する間隔で設けられている。
【0031】
図2に示すように、各加圧ツール19,21は、半導体セル1の上下面に仮圧着されたそれぞれ3本のリード線2と対応する間隔で設けられている。上部加圧ツール19と半導体セル1の上面との間には上部クッションテープ22が介装され、下部加圧ツール21と半導体セル1の下面との間には下部クッションテープ23が介装される。
【0032】
各クッションテープ22,23は供給リール26から繰り出され、一対のガイドローラ27にガイドされて半導体セル1の上面と下面とに平行に走行し、巻取りリール28に巻き取られるようになっている。
【0033】
なお、詳細は図示しないが、上側及び下側の上記供給リール26、ガイドローラ27及び巻取りリール28は上記本圧着装置12の上側及び下側の加圧ツール19,21と一体的に上下動するようになっている。
【0034】
上記ストリング1Aが搬送されて搬送方向先端の半導体セル1が位置決めされると、上部加圧ツール19が下降方向に駆動され、下部加圧ツール21が上昇方向に駆動される。それによって、ストリング1Aの本圧着位置Bに位置決めされた半導体セル1、この実施の形態ではストリング1Aの搬送方向1番目の半導体セル1の上下面に仮圧着された各3本のリード線2が各加圧ツール19,21によって加圧されながら加熱される。
【0035】
リード線2が加圧加熱されると、リード線2を半導体セル1に貼着した導電性テープ3が上下加圧ツール19,21に設けられたヒータ19a,21aの熱によって溶融硬化されるから、上記リード線2が半導体セル1の上下面に本圧着される。つまり、リード線2が半導体セル1の上下面に電気的に接続固定される。
【0036】
なお、上部加圧ツール19と下部加圧ツール21は、半導体セル1の上下面に対してリード線2を同時、つまり同じタイミングで本圧着するよう、上記各シリンダ15,17によって駆動が制御される。
【0037】
上記本圧着装置12によって搬送方向の先端の半導体セル1に対してリード線2の本圧着が行われるとき、図1に示すように搬送方向の2番目に位置する半導体セル1の上面側と下面側にはそれぞれ給気管30に接続された複数の給気ノズル31によって空気や不活性ガスなどの気体が噴射されるようになっている。
【0038】
それによって、上記本圧着装置12によって搬送方向の先端の半導体セル1にリード線2が本圧着されるとき、本圧着位置Bよりも1つ手前の半導体セル1は、上記上部加圧ツール19と下部加圧ツール21からの輻射熱及びリード線2からの伝熱によって温度上昇が防止されるようになっている。
【0039】
なお、この実施の形態では給気ノズル31は半導体セル1の搬送方向に3本で、搬送方向と交差する方向に3本設けられていて、搬送方向と交差する方向の3本の給気ノズル31は半導体セル1を接続した3本のリード線2に向かって気体を噴射するようになっている。それによって、リード線2の本圧着位置Bで加熱された部分からの伝熱を効率よく防ぐことができる。
【0040】
さらに、上記上部可動体16と下部可動体18との上記ストリング1Aの搬送方向上流側に位置する一方の端面にはそれぞれ板状の上部断熱部材32aと下部断熱部材32bの上下方向の一端部が取付け固定されている。
【0041】
各断熱部材32a,32bは各可動体16,18と一体的に上下動し、半導体セル1に対してリード線2の本圧着が行われるとき、上部断熱部材32aは上部加圧ツール19の輻射熱によって半導体セル1の上面側が温度上昇するのを防止し、下部断熱部材32bは下部加圧ツール21の輻射熱によって半導体セル1の下面側が温度上昇するのを防止するようになっている。
【0042】
図3(a)に示すように、上記上部断熱部材32aの下端部と下部断熱部材32bの上端部には、上部断熱部材32aが下降し、下部断熱部材32bが上昇したときに、隣り合う半導体セル1の間に位置する3本のリード線2及び2本の無端ベルト11に干渉するのを防止する合計で5つの凹部33a,33bが形成されている。
【0043】
上記上部断熱部材32aと下部断熱部材32bは半導体セル1の搬送方向に対して位置をずらして設けられている。そして、本圧着時には図3(b)、(c)に示すように上部断熱部材32aの下端部と下部断熱部材32bの上端部が2本の搬送ベルト11及び3本のリード線2に干渉することなく、重なり合うようになっている。つまり、上部断熱部材32aの下端部と下部断熱部材32bの上端部とが閉状態となる。
【0044】
それによって、本圧着時に上部加圧ツール19と下部加圧ツール21とからの輻射熱によって本圧着位置Bよりも上流側にある半導体セル1が加熱されるのが防止される。
【0045】
このとき、半導体セル1の搬送方向の下流側に位置する給気ノズル31から噴射される気体の一部を本圧着位置Bに向かって流れ込むから、その気体によって無端ベルト11による本圧着位置Bよりも上流側の半導体セル1への伝熱を防止することができる。
【0046】
なお、複数の給気ノズル31のうち、半導体セル1の搬送方向の下流側に位置する給気ノズル31からは気体を下流側に向かって噴射させ、上流側に位置する給気ノズル31からは気体を上流側に向かって噴射させるようにすることで、本圧着位置Bよりも上流側の半導体セル1の温度上昇を効率よく防止できる。
【0047】
この実施の形態では、上記給気ノズル31と、上記上部断熱部材32a及び下部断熱部材32bがリード線2の本圧着時に本圧着位置Bで本圧着されている半導体セル1の1つ上流側に位置する半導体セル1が温度上昇するのを防止する温度上昇防止手段34を構成している。
【0048】
なお、温度上昇防止手段34としては、上記給気ノズル31或いは上記上部断熱部材32aと下部断熱部材32bのどちらか一方であってもよい。
【0049】
このように構成されたリード線接続装置によれば、無端ベルト11によって搬送されるストリング1Aのうちの、たとえば搬送方向の先端に位置する半導体セル1が本圧着位置Bに位置決めされると、上部加圧ツール19が下降方向に駆動され、下部加圧ツール21が上昇方向に駆動されて、リード線2の上記半導体セル1の上面と下面に導電性テープ3によって仮圧着された部分が加圧加熱される。
【0050】
それによって、各リード線2を仮圧着した部分の導電性テープ3が溶融して硬化するから、上記リード線2が仮圧着状態から本圧着されることになる。
【0051】
このようにして、ストリング1Aの搬送方向の先端に位置する半導体セル1に仮圧着されたリード線2を本圧着する際、各加圧ツール19,21に設けられたヒータ19a,21aの熱によってストリング1Aの本圧着位置Bに位置決めされた半導体セル1よりも1つ上流側の半導体セル1及びリード線2のその半導体セル1に仮圧着された部分が温度上昇する虞がある。
【0052】
そして、そのような半導体セル1及びリード線2の温度上昇を招くと、導電性テープ3の上記半導体セル1にリード線2を仮圧着した部分が硬化し、本圧着位置Bよりも1つ上流側の半導体セル1が次の本圧着時に本圧着位置Bに位置決めされてリード線2が本圧着されるとき、リード線2の本圧着が確実に行なわれずに接続不良となる。
【0053】
しかしながら、本圧着位置Bに位置決めされた半導体セル1にリード線2を本圧着するとき、本圧着位置Bよりの1つ上流側の半導体セル1の上面と下面にはそれぞれ給気ノズル31によって気体が噴射されるから、その気体の噴射によって2番目の半導体セル1の上面と下面及びリード線2の2番目の半導体セル1に仮圧着された部分が温度上昇するがを防止される。
【0054】
さらに、本圧着装置12の上部可動体16と下部可動体18のストリング1Aの搬送方向上流側に位置する端面には、それぞれ上部断熱部材32aと下部断熱部材32bが設けられ、各断熱部材32a,32bは本圧着時に上部加圧ツール19と下部加圧ツール21の輻射熱によって本圧着位置Bよりも1つ上流側の半導体セル1の上面と下面及びリード線2のその半導体セル1に仮圧着された部分が温度上昇するのを防止している。
【0055】
そのため、本圧着位置Bに位置決めされた半導体セル1にリード線2を本圧着するときに、本圧着位置Bよりも1つ上流側に位置する半導体セル1及びリード線2のその半導体セル1に仮圧着された部分が温度上昇するのが防止されるから、上記半導体セル1にリード線2を仮圧着した導電性テープ3が本圧着前に硬化するのも防止される。
【0056】
したがって、1つ目の半導体セル1にリード線2を本圧着した後、ストリング1Aを1ピッチ搬送してつぎの半導体セル1にリード線2を本圧着すとき、そのリード線2を仮圧着していた導電性テープ3が十分に溶融硬化して上記リード線2を上記半導体セル1に確実に本圧着することができる。
【0057】
このように、ストリング1Aを無端ベルト11によって所定のピッチで順次搬送することで、ストリング1Aを構成する複数の半導体セル1に対するリード線2の本圧着を順次確実に行なうことができる。
【0058】
また、半導体セル1の上下面に対してリード線2の本圧着を上部加圧ツール19と下部加圧ツール21によって同時に行なうようにしている。そのため、半導体セル1を上方向や下方向に湾曲させることなくリード線2の本圧着を行なうことができるから、半導体セル1に割れが生じるのを防止することができる。しかも、リード線2の本圧着を半導体セル1の上下面に対して別々に行う場合に比べ、生産性を向上させたり、装置構成のコンパクト化を図ることができる。
【0059】
さらに、半導体セル1が上部加圧ツール19に設けられたヒータ19aと、下部加圧ツール21に設けられたヒータ21aとによって高い温度に加熱されると、半導体セル1に熱変形や熱ひずみが生じる虞がある。
【0060】
しかしながら、半導体セル1は上下面がそれぞれ3本の上部加圧ツール19と下部加圧ツール21によって同時に、しかも同じ条件で均一に加熱されるため、半導体セル1は各加圧ツール19,21によって加熱されても熱変形や熱ひずみが生じ難いばかりか、上下面に対するリード線2の本圧着も同じ状態で行なうことが可能となる。
【0061】
図4は温度上昇防止手段34の変形例を示す、この発明の第2の実施の形態である。なお、第1の実施の形態と同一部分には同一記号を付して説明を省略する。
すなわち、この第2の実施の形態では、本圧着位置Bの上流側で、本圧着位置Bでリード線2が本圧着される半導体セル1よりも1つ上流側の半導体セル1の上面と下面に対向する位置に上部熱吸収体36と下部熱吸収体37が設けられている。つまり、第1の実施の形態の給気ノズル31に代えて上部熱吸収体36と下部熱吸収体37を設けるようにした。
【0062】
各熱吸収体36,37は熱容量の大きな材料、たとえば金属などの材料によって形成されていて、それぞれ上部シリンダ38と下部シリンダ39により上下方向に駆動されるようになっている。
【0063】
そして、上記上部熱吸収体36と下部熱吸収体37は、本圧着位置Bに位置決めされた半導体セル1のリード線2を本圧着するとき、各加圧ツール19,21とともに下降方向及び上昇方向に駆動され、それらの下面及び上面が本圧着位置Bよりも1つ前の半導体セル1の上面及び下面にそれぞれ接触若しくは近接する。
【0064】
それによって、本圧着時に上部加圧ツール19と下部加圧ツール21とから本圧着位置Bよりも1つ前に位置する半導体セル1の上面と下面とに伝わる熱が上記上部熱吸収体36と下部熱吸収体37とによって吸収されるため、上記半導体セル1の上面と下面とが温度上昇するのが防止されることになる。
しかも、第1の実施の形態と同様、上部断熱部材32aと下部断熱部材32bの遮熱効果によっても、半導体セル1の上面と下面の温度が上昇するのを防止することができる。
【0065】
この第2の実施の形態において、上記上部熱吸収体36と下部熱吸収体37だけによって半導体セル1の温度上昇を防止するようにしてもよく、さらには第1の実施の形態に示された給気ノズル31を併用して半導体セル1の温度上昇を防止するようにしてもよい。
【0066】
なお、第2の実施の形態の上部熱吸収体36と下部熱吸収体37とに通路を形成し、この通路にこれらを冷却するための気体や液体等の冷却媒体を流すようにしてもよい。更に、給気ノズル31から噴射される気体を常温以下に冷却して噴射させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…半導体セル、2…リード線、3…導線性テープ、11…無端ベルト(搬送手段)、12…本圧着装置、19…上部加圧ツール、21…下部加圧ツール、31…給気ノズル(温度上昇防止手段)、32a…上部断熱部材(温度上昇防止手段)、32b…下部断熱部材(温度上昇防止手段)、36…上部熱吸収体(温度上昇防止手段)、37…株熱吸収体(温度上昇防止手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体セルを熱硬化性の導電性テープを介して仮圧着されたリード線によって一列に接続してから、上記リード線を加圧加熱して上記導電性テープを溶融硬化させて本圧着するリード線接続装置であって、
仮圧着された上記リード線によって一列に接続された複数の半導体セルを所定方向に搬送する搬送手段と、
この搬送手段によって搬送位置決めされた半導体セルの上記リード線が仮圧着された部分を加圧加熱して本圧着する加圧ツールと、
この加圧ツールによって搬送位置決めされた上記半導体セルに上記リード線を本圧着するときに、搬送位置決めされた上記半導体セルよりも搬送方向の上流側に位置する半導体セルにリード線を接続した上記導電性テープが上記加圧ツールの熱によって温度昇するのを防止する温度上昇防止手段と
を具備したことを特徴とする半導体セルのリード線接続装置。
【請求項2】
それぞれの半導体セルには上面と下面とに上記リード線が仮圧着されていて、
上記搬送手段によって搬送位置決めされた半導体セルの上記リード線が仮圧着された部分を加圧加熱して本圧着する上記加圧ツールは、上記半導体セルの上面と下面に仮圧着されたそれぞれのリード線を同時に本圧着する上部加圧ツールと下部加圧ツールであることを特徴とする請求項1記載の半導体セルのリード線接続装置。
【請求項3】
上記温度上昇防止手段は、搬送位置決めされた上記半導体セルよりも搬送方向の上流側に位置する半導体セルに気体を噴射する給気ノズルであることを特徴とする請求項1記載の半導体セルのリード線接続装置。
【請求項4】
上記温度上昇防止手段は、搬送位置決めされた上記半導体セルよりも搬送方向の上流側に位置する半導体セルに接触してこの半導体セルを冷却する冷却体であることを特徴とする請求項1記載の半導体セルのリード線接続装置。
【請求項5】
上記温度上昇防止手段は、上記加圧ツールの熱を遮断して搬送位置決めされた上記半導体セルよりも搬送方向の上流側に位置する半導体セルの温度上昇を防止する断熱部材であることを特徴とする請求項1記載の半導体セルのリード線接続装置。
【請求項6】
複数の半導体セルを熱硬化性の導電性テープを介して仮圧着されたリード線によって一列に接続してから、上記リード線を加圧加熱して上記導電性テープを溶融硬化させて本圧着するリード線接続方法であって、
仮圧着された上記リード線によって一列に接続された複数の半導体セルを所定方向に搬送する工程と、
搬送位置決めされた半導体セルの上記リード線が仮圧着された部分を加圧ツールによって加圧加熱して本圧着する工程と、
上記加圧ツールによって搬送位置決めされた上記半導体セルに上記リード線を本圧着するときに、搬送位置決めされた上記半導体セルよりも搬送方向の上流側に位置する半導体セルにリード線を接続した上記導電性テープが上記加圧ツールの熱によって温度上昇するのを防止する工程と
を具備したことを特徴とする半導体セルのリード線接方法。
【請求項7】
それぞれの半導体セルには上面と下面とに上記リード線が仮圧着されていて、
搬送位置決めされた半導体セルの上記リード線が仮圧着された部分を加圧加熱して本圧着するときに、上記半導体セルの上面と下面に仮圧着されたそれぞれのリード線を同時に本圧着することを特徴とする請求項6記載の半導体セルのリード線接続方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−114261(P2012−114261A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262243(P2010−262243)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】