説明

半導体圧力センサーの製造方法

【課題】本発明は、ダイアフラムと、ダイアフラムに形成された抵抗体を有する圧力検出素子とを備えた半導体圧力センサーの製造方法に関し、ダイアフラムに印加された圧力を精度よく検出することを課題とする。
【解決手段】半導体基板11に形成されたダイアフラム12と、ダイアフラム12に形成された抵抗体18を有し、抵抗体18の抵抗値の変化に基づいて、ダイアフラム12に印加された圧力を検出する圧力検出素子13とを備えた半導体圧力センサー10の製造方法であって、半導体基板11の裏面11B側から半導体基板11をエッチングして、ダイアフラム12を形成後に、半導体基板11の表面11A側に圧力検出素子13を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に係り、特にダイアフラムと、ダイアフラムに形成された抵抗体を有する圧力検出素子とを備えた半導体圧力センサーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図21は、従来の半導体圧力センサーの断面図であり、図22は、図21に示す半導体圧力センサーの平面図である。図21に示すX1,X1方向は、圧力検出部104〜106の長手方向、Z1,Z1方向は鉛直方向を示している。また、図22に示すY1,Y1方向は、圧力検出部104〜106の配列方向(X1,X1方向と直交する方向)を示している。
【0003】
図21及び図22を参照するに、従来の半導体圧力センサー100は、半導体基板101と、ダイアフラム102と、圧力検出素子103とを有する。半導体基板101は、その中央付近に凹部116を有する。半導体基板101としては、例えば、N型半導体基板を用いることができる。ダイアフラム102は、凹部116の上方に位置する半導体基板101に設けられている。ダイアフラム102は、変形しやすいように薄い厚さとされている。ダイアフラム102の幅W7,W8は、例えば、500μmとすることができる。
【0004】
圧力検出素子103は、圧力検出部104〜106を有する。圧力検出部104は、ダイアフラム102の中心C2上をX1,X1方向に通過するように、半導体基板101の上面101A側に設けられている。圧力検出部104は、微細な形状とされた抵抗体108と、絶縁膜109と、配線111,114と、外部接続端子112,115とを有する。抵抗体108は、ダイアフラム102に形成されている。抵抗体108の幅W9は、例えば、10μmとすることができ、抵抗体108の幅W10は、例えば、50μmとすることができる。
【0005】
半導体基板101としてN型半導体基板を用いた場合、抵抗体108は、例えば、ダイアフラム102にP型不純物を拡散させることで形成する。
【0006】
絶縁膜109は、半導体基板101及び抵抗体108の上面を覆うように設けられている。絶縁膜109は、抵抗体108の上面を露出する開口部109A,109Bを有する。
【0007】
配線111は、開口部109Aを充填すると共に、絶縁膜109上に亘るように配置されている。配線111は、抵抗体108と外部接続端子112との間を電気的に接続している。外部接続端子112は、絶縁膜109上に設けられている。外部接続端子112は、配線111を介して、抵抗体108と電気的に接続されている。
【0008】
配線114は、開口部109Bを充填すると共に、絶縁膜109上に亘るように配置されている。配線114は、抵抗体108と外部接続端子115との間を電気的に接続している。外部接続端子115は、絶縁膜109上に設けられている。外部接続端子115は、配線114を介して、抵抗体108と電気的に接続されている。
【0009】
圧力検出部105,106は、圧力検出部104と対向するように、Y,Y方向に配置されている。圧力検出部105,106は、圧力検出部104と同様な構成とされている。
【0010】
このような構成とされた半導体圧力センサー100は、外力によりダイアフラム102が変形したときの圧力検出部104〜106に設けられた抵抗体108の抵抗値の変化に基づいて、ダイアフラム102に印加された圧力に対応する圧力検出値を外部接続端子112,115から出力する。
【0011】
図23及び図24は、従来の半導体圧力センサーの製造工程を示す図である。
【0012】
図23及び図24を参照して、従来の半導体圧力センサー100の製造方法について説明する。
【0013】
始めに、図23に示す工程では、周知の手法により、半導体基板101の上面側に圧力検出部104〜106を備えた圧力検出素子103を形成する。
【0014】
続く、図24に示す工程では、半導体基板101の裏面101Bに開口部118Aを有した絶縁膜118を形成し、次いで、絶縁膜118をマスクして、開口部118Aに露出された半導体基板101をエッチングして、所定の厚さとされたダイアフラム102を形成する。このとき、ダイアフラム102の下方には、凹部116が形成される。その後、絶縁膜118を除去することにより、先に説明した図21に示す半導体圧力センサー100が製造される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−140640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の半導体圧力センサー100の製造方法では、半導体基板101に微細な形状とされた抵抗体108を形成後に、抵抗体108の位置を基準として、半導体基板101にサイズの大きいダイアフラム102を形成していたため、ダイアフラム102に対して所定の位置に抵抗体108を配置することが困難であった。
【0016】
このため、ダイアフラム102に対する抵抗体108の位置精度を向上させることが困難であり、ダイアフラム102に印加された圧力の検出を精度よく行うことができないという問題があった。
【0017】
そこで、本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ダイアフラムに印加された圧力を精度よく検出することのできる半導体圧力センサーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一観点によれば、半導体基板(11)に形成されたダイアフラム(12)と、前記ダイアフラム(12)に形成された抵抗体(18)を有し、前記抵抗体(18)の抵抗値の変化に基づいて、前記ダイアフラム(12)に印加された圧力を検出する圧力検出素子(13)と、を備えた半導体圧力センサー(10)の製造方法であって、前記半導体基板(11)の第1の主面(11B)側から前記半導体基板(11)をエッチングして、前記ダイアフラム(12)を形成するダイアフラム形成工程と、前記ダイアフラム形成工程後に、前記第1の主面(11B)とは反対側の前記半導体基板(11)に前記圧力検出素子(13)を形成する圧力検出素子形成工程とを含むことを特徴とする半導体圧力センサー(10)の製造方法が提供される。
【0019】
本発明によれば、サイズの大きいダイアフラム(12)を形成後に、微細な形状とされた抵抗体(18)を有する圧力検出素子(13)を半導体基板(11)に形成することにより、ダイアフラム(12)に対して、所定の位置に抵抗体(18)を配置することが可能となる。これにより、ダイアフラム(12)に対する抵抗体(18)の位置精度が向上するため、ダイアフラム(12)に印加された圧力を精度よく検出することができる。
【0020】
本発明の他の観点によれば、ダイアフラム(43)と、前記ダイアフラム(43)に形成された抵抗体(18)を有し、前記抵抗体(18)の抵抗値の変化に基づいて、前記ダイアフラム(43)に印加された圧力を検出する圧力検出素子(13)と、を備えた半導体圧力センサー(40)の製造方法であって、半導体基板(41)上に、前記半導体基板(41)よりもエッチングレートの小さい半導体層(42)を形成する半導体層形成工程と、前記半導体基板(41)の第1の主面側(41B)側から前記半導体層(42)が露出するまで前記半導体基板(41)をエッチングして、前記ダイアフラム(43)を形成するダイアフラム形成工程と、前記ダイアフラム形成工程後に、前記半導体層(42)に前記圧力検出素子(13)を形成する圧力検出素子形成工程とを含むことを特徴とする半導体圧力センサー(40)の製造方法が提供される。
【0021】
本発明によれば、サイズの大きいダイアフラム(43)を形成後に、微細な形状とされた抵抗体(18)を有する圧力検出素子(13)を半導体層(42)に形成することにより、ダイアフラム(43)に対して、所定の位置に抵抗体(18)を配置することが可能となる。これにより、ダイアフラム(43)に対する抵抗体(18)の位置精度が向上するため、ダイアフラム(43)に印加された圧力を精度よく検出することができる。
【0022】
また、半導体基板(41)上に半導体基板(41)よりもエッチングレートの小さい半導体層(42)を形成し、その後、半導体層(42)が露出するまで半導体基板(41)をエッチングしてダイアフラム(43)を形成することにより、半導体層(42)がエッチングのストッパーとして機能するため、ダイアフラム(43)の厚さが所定の厚さとなるように容易に制御することができる。これにより、半導体圧力センサー(40)の歩留まりを向上させることができる。
【0023】
なお、上記参照符号は、あくまでも参考であり、これによって、本願発明が図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ダイアフラムに印加された圧力を精度よく検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体圧力センサーの断面図であり、図2は、図1に示す半導体圧力センサーの平面図である。図1に示すX,X方向は、圧力検出部14〜16の長手方向、Z,Z方向は鉛直方向を示している。また、図2に示すY,Y方向は、圧力検出部14〜16の配列方向(X,X方向と直交する方向)を示している。
【0027】
図1及び図2を参照するに、第1の実施の形態の半導体圧力センサー10は、半導体基板11と、ダイアフラム12と、圧力検出素子13とを有する。半導体基板11は、その中央付近に凹部26を有する。凹部26の深さD1は、半導体基板11の厚さM1からダイアフラム12の厚さM2を引いた値(D1=M1−M2)とされている。半導体基板11としては、例えば、N型半導体基板を用いることができる。半導体基板11の厚さM1は、例えば、400μmとすることができる。
【0028】
ダイアフラム12は、凹部26の上方に位置する半導体基板11に設けられている。ダイアフラム12は、変形しやすいように薄い厚さとされている。ダイアフラム12の厚さM2は、例えば、30μm〜50μmとすることができる。また、ダイアフラム12の幅W1,W2は、例えば、500μmとすることができる。
【0029】
圧力検出素子13は、圧力検出部14〜16を有する。圧力検出部14は、ダイアフラム12の中心C1上をX,X方向に通過するように、半導体基板11の表面11A(第1の主面とは反対側の面)側に設けられている。圧力検出部14は、微細な形状とされた抵抗体18と、絶縁膜19と、配線21,24と、外部接続端子22,25とを有する。
【0030】
抵抗体18の幅W3は、例えば、10μmとすることができ、抵抗体18の幅W4は、例えば、50μmとすることができる。
【0031】
半導体基板11としてN型半導体基板を用いた場合、抵抗体18は、例えば、ダイアフラム12にP型不純物を拡散させることで形成する。
【0032】
絶縁膜19は、半導体基板11及び抵抗体18の上面を覆うように設けられている。絶縁膜19は、抵抗体18の上面を露出する開口部19A,19Bを有する。配線21は、開口部19Aを充填すると共に、絶縁膜19上に亘るように配置されている。配線21は、抵抗体18と外部接続端子22との間を電気的に接続している。外部接続端子22は、絶縁膜19上に設けられている。外部接続端子22は、配線21を介して、抵抗体18と電気的に接続されている。
【0033】
配線24は、開口部19Bを充填すると共に、絶縁膜19上に亘るように配置されている。配線24は、抵抗体18と外部接続端子25との間を電気的に接続している。外部接続端子25は、絶縁膜19上に設けられている。外部接続端子25は、配線24を介して、抵抗体18と電気的に接続されている。
【0034】
圧力検出部15,16は、圧力検出部14と対向するように、Y,Y方向に配置されている。圧力検出部15,16は、圧力検出部14と同様な構成とされている。
【0035】
このような構成とされた半導体圧力センサー10は、外力によりダイアフラム12が変形したときの圧力検出部14〜16の抵抗体18の抵抗値の変化に基づいて、ダイアフラム12に印加された圧力に対応する圧力検出値を外部接続端子22,25から出力する。
【0036】
図3〜図8は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図である。図3〜図8において、第1の実施の形態の半導体圧力センサー10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0037】
始めに、図3に示す工程では、半導体基板11の裏面11B側(第1の主面側)に開口部29Aを有した絶縁膜29を形成する。半導体基板11としては、例えば、N型半導体基板を用いることができる。半導体基板11の厚さM1は、例えば、400μmとすることができる。開口部29Aは、凹部26の形成位置に対応する半導体基板11の裏面11Bを露出している。絶縁膜29としては、例えば、酸化膜を用いることができる。
【0038】
次いで、図4に示す工程では、絶縁膜29をマスクとして、半導体基板11の裏面11B側から半導体基板11をエッチングして、ダイアフラム12を形成する(ダイアフラム形成工程)。このとき、半導体基板11には、ダイアフラム12の下方に凹部26が形成される。半導体基板11のエッチングには、例えば、KOH液を用いたウエットエッチングを用いることができる。ダイアフラム12の厚さM2は、例えば、30μm〜50μmとすることができる。凹部26の深さD1は、半導体基板11の厚さM1からダイアフラム12の厚さM2を引いた値とすることができる。また、ダイアフラム12の幅W1,W2は、例えば、500μmとすることができる(図2参照)。
【0039】
次いで、図5に示す工程では、絶縁膜29を除去する。次いで、図6に示す工程では、ダイアフラム12に抵抗体18を形成する。具体的には、例えば、半導体基板11としてN型半導体基板を用いた場合、半導体基板11の表面11A側(第1の主面とは反対側)からダイアフラム12にP型不純物を拡散させて、抵抗体18を形成する。
【0040】
次いで、図7に示す工程では、半導体基板11の表面11A及び抵抗体18上に、開口部19A,19Bを有した絶縁膜19を形成する。開口部19A,19Bは、抵抗体18を露出するように形成する。絶縁膜19としては、例えば、酸化膜を用いることができる。絶縁膜19の厚さは、例えば、0.5μmとすることができる。
【0041】
次いで、図8に示す工程では、図7に示す構造体上に金属膜を成膜し、続いて、金属膜上にパターニングされたレジスト膜を形成し、次いで、レジスト膜をマスクとする異方性エッチングにより金属膜をエッチングして、配線21,24と外部接続端子22,25とを同時に形成する。
【0042】
これにより、圧力検出部14〜16を有する圧力検出素子13が形成され、ダイアフラム12と圧力検出素子13とを備えた半導体圧力センサー10が製造される。なお、本実施の形態では、図6〜図8に示す工程が圧力検出素子形成工程に相当する。
【0043】
本実施の形態の半導体圧力センサーの製造方法によれば、サイズの大きいダイアフラム12を形成後に、微細な形状とされた抵抗体18を有する圧力検出素子13を半導体基板11に形成することにより、ダイアフラム12に対して、所定の位置に抵抗体18を配置することが可能となる。これにより、ダイアフラム12に対する抵抗体18の位置精度が向上するため、ダイアフラム12に印加された圧力を精度よく検出することができる。
【0044】
図9及び図10は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体圧力センサーの他の製造工程を示す図である。図9及び図10において、第1の実施の形態の半導体圧力センサー10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0045】
図9及び図10を参照して、第1の実施の形態に係る半導体圧力センサー10の他の製造方法について説明する。
【0046】
始めに、先に説明した図3〜図5に示す工程と同様な手法により、半導体基板11にダイアフラム12を形成する(ダイアフラム形成工程)。続く、図9に示す工程では、半導体基板11の裏面11Bと凹部26を構成する半導体基板11の面とを覆うように、酸化膜32と、ポリシリコン膜33とを順次積層させて、酸化膜32及びポリシリコン膜33からなる補強膜31を形成する(補強膜形成工程)。
【0047】
酸化膜32は、ポリシリコン膜33を除去する際に半導体基板11がエッチングされることを防止するための膜である。酸化膜32の厚さは、例えば、0.1μmとすることができる。ポリシリコン膜33は、凹部26が形成された半導体基板11が撓まないように半導体基板11の強度を補強する。ポリシリコン膜33の厚さは、例えば、1μm〜10μmとすることができる。
【0048】
このように、半導体基板11の裏面11Bと凹部26を構成する半導体基板11の面とを覆うように補強膜31を形成することにより、半導体基板11の強度を補強することが可能となる。これにより、凹部26が形成された半導体基板11に、圧力検出素子13を精度よく形成することができる。
【0049】
次いで、図10に示す工程では、先に説明した図6〜図8に示す工程と同様な手法により、図9に示す構造体に圧力検出部14〜16を有する圧力検出素子13を形成する。その後、補強膜31を除去することで、図1に示すようなダイアフラム12と圧力検出素子13とを備えた半導体圧力センサー10が製造される。
【0050】
本実施の形態の半導体圧力センサーの他の製造方法によれば、半導体基板11の裏面11Bと凹部26を構成する半導体基板11の面とを覆うように補強膜31を形成することにより、半導体基板11の強度を補強することが可能となるので、半導体基板11に圧力検出素子13を精度よく形成することができる。
【0051】
なお、本実施の形態の半導体圧力センサーの他の製造方法は、先の図3〜図8で説明した第1の実施の形態の半導体圧力センサー10の製造方法と同様な効果を得ることができる。
【0052】
(第2の実施の形態)
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体圧力センサーの断面図であり、図12は、図11に示す半導体圧力センサーの平面図である。図11及び図12において、第1の実施の形態の半導体圧力センサー10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0053】
図11及び図12を参照するに、第2の実施の形態の半導体圧力センサー40は、第1の実施の形態の半導体圧力センサー10に設けられた半導体基板11及びダイアフラム18の代わりに、半導体基板41、半導体層42、及びダイアフラム43を設けた以外は半導体圧力センサー10と同様に構成されている。
【0054】
半導体基板41は、その中央付近に凹部45を有する。凹部45は、半導体基板41を貫通しており、半導体層42の下面42Bを露出している。半導体基板41としては、例えば、P型半導体基板を用いることができる。また、P型半導体基板のP型不純物濃度は、例えば、1.0×1013cm−3とすることができる。半導体基板41の厚さM3は、例えば、350μmとすることができる。凹部45の深さD2は、半導体基板41の厚さM3と略等しい。
【0055】
半導体層42は、半導体基板41の表面41A上に積層されている。半導体層42は、半導体基板41よりもエッチングレートが小さい。半導体基板41としてP型半導体基板を用いた場合、半導体層42としては、例えば、N型エピタキシャル成長層を用いることができる。半導体基板41としてP型不純物濃度が1.0×1013cm−3のP型半導体基板を用いた場合、半導体層42となるN型エピタキシャル成長層のN型不純物濃度は、例えば、1.0×1010cm−3とすることができる。半導体層42の厚さM4は、ダイアフラム43の厚さM5と略等しい。半導体層42の厚さM4は、例えば、50μmとすることができる。
【0056】
ダイアフラム43は、凹部45の上方に配置されている。ダイアフラム43は、凹部45に露出された半導体層42部分である。ダイアフラム43の厚さM5は、半導体層42の厚さM4と略等しい。ダイアフラム43の厚さM5は、例えば、50μmとすることができる。
【0057】
図13〜図18は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図である。図13〜図18において、第2の実施の形態の半導体圧力センサー40と同一構成部分には同一符号を付す。
【0058】
始めに、図13に示す工程では、半導体基板41上に半導体層42を形成する(半導体層形成工程)。具体的には、半導体基板41としてP型半導体基板を用いた場合、P型半導体基板上にエピタキシャル成長法により、半導体層42となるN型エピタキシャル成長層を形成する。この場合、P型半導体基板のP型不純物濃度は、例えば、1.0×1013cm−3とすることができる。また、P型半導体基板のP型不純物濃度が1.0×1013cm−3の場合、半導体層42となるN型エピタキシャル成長層のN型不純物濃度は、例えば、1.0×1010cm−3とすることができる。半導体基板41の厚さM3は、例えば、350μmとすることができる。半導体層42の厚さM4は、ダイアフラム43の厚さM5と略等しい。半導体層42の厚さM4は、例えば、50μmとすることができる。
【0059】
次いで、図14に示す工程では、半導体基板41の裏面41Bに開口部46Aを有した絶縁膜46を形成する。開口部46Aは、ダイアフラム43の形成位置に対応する半導体基板41の裏面41Bを露出するように形成する。
【0060】
次いで、図15に示す工程では、絶縁膜46をマスクとして、半導体層42の下面42Bが露出するまで半導体基板41をエッチングして、ダイアフラム43を形成する(ダイアフラム形成工程)。このとき、ダイアフラム43の下方には、凹部45が形成される。半導体基板41のエッチングには、例えば、KOH液を用いたウエットエッチングを用いることができる。ダイアフラム43の厚さM5は、半導体層42の厚さM4と略等しい。ダイアフラム43の厚さM5は、例えば、50μmとすることができる。また、凹部45の深さD2は、半導体基板41の厚さM3と略等しい。
【0061】
このように、半導体基板41よりもエッチングレートの小さい半導体層42を半導体基板41上に形成し、半導体基板41の裏面41B側から半導体層42が露出するまで半導体基板41をエッチングしてダイアフラム43を形成することにより、半導体基板41をエッチングするときのストッパーとして用いることができる。これにより、ダイアフラム43の厚さM5が所定の値となるように精度よく制御することが可能となるため、半導体圧力センサー40の歩留まりを向上させることができる。
【0062】
次いで、図16に示す工程では、絶縁膜46を除去する。次いで、図17に示す工程では、ダイアフラム43に抵抗体18を形成する。具体的には、例えば、半導体層42がN型エピタキシャル成長層の場合、半導体基板41の表面41A側からダイアフラム43にP型不純物を拡散させて、抵抗体18を形成する。
【0063】
次いで、図18に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図7及び図8に示す工程と同様な手法により、開口部19A,19Bを有した絶縁膜19、配線21,24、及び外部接続端子22,25を形成する。これにより、圧力検出部14〜16を有する圧力検出素子13が形成され、ダイアフラム43と圧力検出素子13とを備えた半導体圧力センサー40が製造される。なお、本実施の形態では、図17及び図18に示す工程が圧力検出素子形成工程に相当する。
【0064】
本実施の形態の半導体圧力センサーの製造方法によれば、サイズの大きいダイアフラム43を形成後に、微細な形状とされた抵抗体18を有する圧力検出素子13を半導体層42に形成することにより、ダイアフラム43に対して所定の位置に抵抗体18を配置することが可能となる。これにより、ダイアフラム43に対する抵抗体18の位置精度が向上するため、ダイアフラム43に印加された圧力を精度よく検出することができる。
【0065】
また、半導体基板41よりもエッチングレートの小さい半導体層42を半導体基板41上に形成し、その後、半導体層42が露出するまで半導体基板41をエッチングしてダイアフラム43を形成することにより、半導体層42がエッチングのストッパーとして機能するため、ダイアフラム43の厚さが所定の厚さとなるように容易に制御することができる。これにより、半導体圧力センサー40の歩留まりを向上させることができる。
【0066】
図19及び図20は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体圧力センサーの他の製造工程を示す図である。図19及び図20において、第2の実施の形態の半導体圧力センサー40と同一構成部分には同一符号を付す。
【0067】
図19及び図20を参照して、第2の実施の形態に係る半導体圧力センサー40の他の製造方法について説明する。
【0068】
始めに、先に説明した図13〜図16に示す工程と同様な手法により、ダイアフラム43を有する図16に示す構造体を形成する(ダイアフラム形成工程)。続く、図19に示す工程では、半導体基板41の裏面41Bと、凹部45に対応する半導体基板41及び半導体層42の面とを覆うように、酸化膜32と、ポリシリコン膜33とを順次積層させて、酸化膜32及びポリシリコン膜33からなる補強膜31を形成する(保護膜形成工程)。酸化膜32は、ポリシリコン膜33を除去する際に半導体基板41及び半導体層42がエッチングされることを防止する保護膜としての機能を奏する。酸化膜32の厚さは、例えば、0.1μmとすることができる。ポリシリコン膜33の厚さは、例えば、1μm〜10μmとすることができる。
【0069】
酸化膜32は、ポリシリコン膜33を除去する際に半導体基板11及び半導体層42
がエッチングされることを防止するための膜である。酸化膜32の厚さは、例えば、0.1μmとすることができる。ポリシリコン膜33は、凹部45が形成された半導体基板41及び半導体層42が撓まないように半導体基板41及び半導体層42の強度を補強するための膜である。ポリシリコン膜33の厚さは、例えば、1μm〜10μmとすることができる。
【0070】
このように、ダイアフラム43を形成後(凹部45を形成後)に、半導体基板41の裏面41Bと、凹部45に対応する半導体基板41及び半導体層42の面とを覆うように補強膜31を形成することにより、半導体基板41及び半導体層42の強度を補強することが可能となるため、半導体層42に精度よく圧力検出素子13を形成することができる。
【0071】
次いで、図20に示す工程では、先に説明した図17及び図18に示す工程と同様な手法により、圧力検出部14〜16を有する圧力検出素子13を形成する(圧力検出素子形成工程)。その後、補強膜31を除去することで、図11に示すようなダイアフラム43と圧力検出素子13とを備えた半導体圧力センサー40が製造される。
【0072】
本実施の形態の半導体圧力センサーの他の製造方法によれば、ダイアフラム43を形成後(凹部45を形成後)に、半導体基板41の裏面41Bと、凹部45に対応する半導体基板41及び半導体層42の面とを覆うように補強膜31を形成することにより、半導体基板41及び半導体層42の強度を補強することが可能となるので、半導体層42に圧力検出素子13を精度よく形成することができる。
【0073】
また、本実施の形態の半導体圧力センサーの他の製造方法は、先の図13〜図18で説明した第2の実施の形態の半導体圧力センサー40の製造方法と同様な効果を得ることができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、半導体基板41上に半導体層42を形成したものを基材とし、この基材にダイアフラム43及び圧力検出素子13を形成した場合を例に挙げて説明したが、上下の半導体層の間に絶縁膜を有したSOI基板を基材として、先に説明した図14〜図18と同様な手法により、ダイアフラム43及び圧力検出素子13を備えた半導体圧力センサーを製造してもよい。この場合も、第2の実施の形態の半導体圧力センサー40の製造方法と同様な効果を得ることができる。また、SOI基板を基材として半導体圧力センサーを製造する場合も、補強膜31を設けてもよい。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、ダイアフラムと、ダイアフラムに形成された抵抗体を有する圧力検出素子とを備えた半導体圧力センサーに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体圧力センサーの断面図である。
【図2】図1に示す半導体圧力センサーの平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その1)である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その2)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その3)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その4)である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その5)である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その6)である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る半導体圧力センサーの他の製造工程を示す図(その1)である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る半導体圧力センサーの他の製造工程を示す図(その2)である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る半導体圧力センサーの断面図である。
【図12】本図11に示す半導体圧力センサーの平面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その1)である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その2)である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その3)である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その4)である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その5)である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その6)である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係る半導体圧力センサーの他の製造工程を示す図(その1)である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係る半導体圧力センサーの他の製造工程を示す図(その2)である。
【図21】従来の半導体圧力センサーの断面図である。
【図22】図21に示す半導体圧力センサーの平面図である。
【図23】従来の半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その1)である。
【図24】従来の半導体圧力センサーの製造工程を示す図(その2)である。
【符号の説明】
【0078】
10,40 半導体圧力センサー
11,41 半導体基板
11A,41A 表面
11B,41B 裏面
12,43 ダイアフラム
13 圧力検出素子
14〜16 圧力検出部
18 抵抗体
19,46 絶縁膜
19A,19B,29A,46A 開口部
21,24 配線
22,25 外部接続端子
26,45 凹部
29 絶縁膜
31 補強膜
32 酸化膜
33 ポリシリコン膜
42 半導体層
42B 下面
C1 中心
D1〜D2 深さ
M1〜M5 厚さ
W1〜W6 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に形成されたダイアフラムと、
前記ダイアフラムに形成された抵抗体を有し、前記抵抗体の抵抗値の変化に基づいて、前記ダイアフラムに印加された圧力を検出する圧力検出素子と、を備えた半導体圧力センサーの製造方法であって、
前記半導体基板の第1の主面側から前記半導体基板をエッチングして、前記ダイアフラムを形成するダイアフラム形成工程と、
前記ダイアフラム形成工程後に、前記第1の主面とは反対側の前記半導体基板に前記圧力検出素子を形成する圧力検出素子形成工程とを含むことを特徴とする半導体圧力センサーの製造方法。
【請求項2】
前記ダイアフラム形成工程と前記圧力検出素子形成工程との間に、前記半導体基板のエッチングされた部分を覆うように、前記半導体基板の強度を補強する補強膜を形成する補強膜形成工程を設けたことを特徴とする請求項1記載の半導体圧力センサーの製造方法。
【請求項3】
ダイアフラムと、前記ダイアフラムに形成された抵抗体を有し、前記抵抗体の抵抗値の変化に基づいて、前記ダイアフラムに印加された圧力を検出する圧力検出素子とを備えた半導体圧力センサーの製造方法であって、
半導体基板上に、前記半導体基板よりもエッチングレートの小さい半導体層を形成する半導体層形成工程と、
前記半導体基板の第1の主面側から前記半導体層が露出するまで前記半導体基板をエッチングして、前記ダイアフラムを形成するダイアフラム形成工程と、
前記ダイアフラム形成工程後に、前記半導体層に前記圧力検出素子を形成する圧力検出素子形成工程とを含むことを特徴とする半導体圧力センサーの製造方法。
【請求項4】
前記ダイアフラム形成工程と前記圧力検出素子形成工程との間に、前記エッチングにより露出された前記半導体層と、前記エッチングされた部分の前記半導体基板とを覆うように、前記半導体層及び半導体基板の強度を補強する補強膜を形成する補強膜形成工程を設けたことを特徴とする請求項3記載の半導体圧力センサーの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2007−292559(P2007−292559A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119682(P2006−119682)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】